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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082672
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】無人航空機及び無人航空機着陸方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/02 20060101AFI20230607BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230607BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20230607BHJP
   B64D 45/04 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
G08G5/02 A
B64C39/02
B64C13/18 Z
B64D45/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187909
(22)【出願日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】202111456525.2
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】519033063
【氏名又は名称】中光電智能機器人股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 思名
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 大和
(72)【発明者】
【氏名】李 宸奕
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF05
5H181FF22
5H181MB06
(57)【要約】
【課題】本発明は、無人航空機及び無人航空機着陸方法を提供する。
【解決手段】無人航空機はポジショニング装置及び処理器を含む。ポジショニング装置は無人航空機の現在の座標を生成するために用いられる。処理器が無人航空機の飛行状態を検出したときに、処理器はポジショニング装置から現在の座標を得る。処理器は現在の座標、所定飛行ルート及び複数の緊急着陸座標に基づいて、無人航空機が現在の座標から所定飛行ルートに沿って緊急着陸座標に移動する複数の距離を計算する。処理器は複数の距離のうちの最短距離に基づいて目標緊急着陸座標を得る。処理器は無人航空機が所定飛行ルートに沿って目標緊急着陸座標に移動するように制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機着陸方法であって、
無人航空機の飛行状態を検出しており、ポジショニング装置によって前記無人航空機の現在の座標を取得し;
前記現在の座標、所定飛行ルート及び複数の緊急着陸座標に基づいて、前記無人航空機が前記現在の座標から前記所定飛行ルートに沿って前記複数の緊急着陸座標に移動する複数の距離を計算し;
前記複数の距離のうちの最短距離に基づいて目標緊急着陸座標を取得し、前記目標緊急着陸座標は前記最短距離に対応する前記緊急着陸座標であり;及び
前記無人航空機が前記所定飛行ルートに沿って前記目標緊急着陸座標に移動するように制御することを含む、無人航空機着陸方法。
【請求項2】
請求項1に記載の無人航空機着陸方法であって、
前記所定飛行ルート上には複数の通過点が記されており、前記複数の通過点は前記複数の緊急着陸座標にそれぞれ対応する複数の緊急通過点を含む、無人航空機着陸方法。
【請求項3】
請求項2に記載の無人航空機着陸方法であって、
前記複数の距離のうちの各々は前記無人航空機が前記現在の座標から前記所定飛行ルートに沿って対応する前記緊急通過点に移動する飛行距離と、着陸距離との和であり、前記着陸距離は前記複数の緊急着陸座標のうちの各々と、対応する前記緊急通過点との間の距離である、無人航空機着陸方法。
【請求項4】
請求項2に記載の無人航空機着陸方法であって、
前記複数の通過点は前記所定飛行ルートの終点及び始点を含む、無人航空機着陸方法。
【請求項5】
請求項4に記載の無人航空機着陸方法であって、
前記複数の緊急着陸座標は前記所定飛行ルートの終点座標及び始点座標をさらに含み、前記目標緊急着陸座標が前記終点座標であるときに、対応する緊急通過点は前記終点であり、前記目標緊急着陸座標が前記始点座標であるときに、対応する緊急通過点は前記始点である、無人航空機着陸方法。
【請求項6】
無人航空機であって、
前記無人航空機の現在の座標を生成するためのポジショニング装置;及び
前記ポジショニング装置に接続される処理器を含み、
前記処理器が前記無人航空機の飛行状態を検出しているときに、前記処理器は前記ポジショニング装置から前記現在の座標を取得し、
前記現在の座標、所定飛行ルート及び複数の緊急着陸座標に基づいて、前記処理器は前記無人航空機が前記現在の座標から前記所定飛行ルートに沿って前記複数の緊急着陸座標に移動する複数の距離を計算し、
前記複数の距離のうちの最短距離に基づいて、前記処理器は目標緊急着陸座標を取得し、前記目標緊急着陸座標は前記最短距離に対応する前記緊急着陸座標であり、
前記処理器は前記無人航空機が前記所定飛行ルートに沿って前記目標緊急着陸座標に移動するように制御する、無人航空機。
【請求項7】
請求項6に記載の無人航空機であって、
前記所定飛行ルート上には複数の通過点が記されており、前記複数の通過点は前記複数の緊急着陸座標にそれぞれ対応する複数の緊急通過点を含む、無人航空機。
【請求項8】
請求項7に記載の無人航空機であって、
前記複数の距離のうちの各々は前記無人航空機が前記現在の座標から前記所定飛行ルートに沿って対応する前記緊急通過点に移動する飛行距離と、着陸距離との和であり、前記着陸距離は前記複数の緊急着陸座標のうちの各々と、対応する前記緊急通過点との間の距離である、無人航空機。
【請求項9】
請求項7に記載の無人航空機であって、
前記複数の通過点は前記所定飛行ルートの終点及び始点を含む、無人航空機。
【請求項10】
請求項9に記載の無人航空機であって、
前記複数の緊急着陸座標は前記所定飛行ルートの終点座標及び始点座標をさらに含み、前記目標緊急着陸座標が前記終点座標であるときに、対応する緊急通過点は前記終点であり、前記目標緊急着陸座標が前記原点座標であるときに、対応する緊急通過点は前記始点である、無人航空機。
【請求項11】
請求項7に記載の無人航空機であって、
前記処理器に接続される記憶媒体をさらに含み、
前記記憶媒体は対照表及び前記所定飛行ルートを記憶するために用いられ、前記対照表は前記複数の緊急着陸座標及び前記複数の緊急着陸座標にそれぞれ対応する前記複数の緊急通過点を含む、無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機着陸技術に関し、特に、緊急着陸の場合に用いられる無人航空機及び無人航空機着陸方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人航空機(例えば、ドローンやラジコン機など)が飛行中に緊急事態(例えば、電力の問題や外力の影響など)が発生し、無人航空機が所定飛行ルートを飛行し続けることができない場合、無人航空機は緊急着陸ゾーン(Emergency Landing Zone、ELZ)に自動的に飛行できる。
【0003】
従来の無人航空機着陸方法では、無人航空機に緊急事態が発生したときに、無人航空機は所定の飛行任務を停止し、かつ着陸までの直線距離が最も短い緊急着陸ゾーンに直接移動して着陸できる。しかし、無人航空機と緊急着陸ゾーンとの間の直線径路には障害物や飛行禁止空域があると、無人航空機が損傷したり、人員が危険にさらされたりする恐れがある。
【0004】
そのため、緊急着陸状態で緊急着陸ゾーンに安全に着陸できる無人航空機、無人航空機着陸方法及びその関連技術は現在、無人航空機システムの研究開発の分野で重要な課題の1つになっている。
【0005】
なお、この「背景技術」の部分が、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、所定飛行ルートに沿って移動距離が最も近い緊急着陸ゾーンに飛行することで、無人航空機が緊急着陸状態にあるときに障害物に衝突したり、飛行禁止空域に飛行したりすることを回避できる無人航空機及び無人航空機着陸方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示される技術的特徴からさらに理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の1つ又は一部又は全部の目的あるいは他の目的を達成するために、本発明の一実施例では無人航空機着陸方法が提供される。無人航空機着陸方法は次のようなステップを含む。即ち、処理器が無人航空機の飛行状態を検出しており、ポジショニング(位置決め/測位)装置によって無人航空機の現在の座標を得る。処理器は現在の座標、所定飛行ルート及び複数の緊急着陸座標に基づいて、無人航空機が現在の座標から所定飛行ルートに沿ってこれらの緊急着陸座標に移動する複数の距離を計算する。処理器はこれらの距離のうちの最短(一番短い)距離に基づいて目標緊急着陸座標を取得し、そのうち、目標緊急着陸座標は最短距離に対応する緊急着陸座標である。処理器は無人航空機が所定飛行ルートに沿って目標緊急着陸座標に移動するように制御する。
【0009】
また、本発明の無人航空機はポジショニング装置及び処理器を含む。ポジショニング装置は無人航空機の現在の座標を生成するために用いられる。処理器はポジショニング装置に接続され、そのうち、処理器が無人航空機の飛行状態を検出したときに、処理器はポジショニング装置から現在の座標を取得し;現在の座標、所定飛行ルート及び複数の緊急着陸座標に基づいて、処理器は無人航空機が現在の座標から所定飛行ルートに沿って緊急着陸座標に移動する複数の距離を計算し;複数の距離のうちの最短距離に基づいて、処理器は目標緊急着陸座標を取得し、そのうち、目標緊急着陸座標は最短距離に対応する緊急着陸座標であり;及び、処理器は無人航空機が所定飛行ルートに沿って目標緊急着陸座標に移動するように制御する。
【発明の効果】
【0010】
上述により、本発明は、無人航空機に最適な緊急着陸点を提供し、無人航空機が所定飛行ルートに沿って先に対応する緊急通過点に飛行し、次に緊急着陸座標に飛行するようにさせることができる。緊急通過点から緊急着陸座標までが単一径路であるから、無人航空機が未知の径路を飛行して障害物に遭遇する問題を解決でき、無人航空機の緊急着陸状態での安全性を改善できる。
【0011】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて図面とともに詳細な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例における無人航空機のブロック図である。
図2】本発明の一実施例における無人航空機着陸方法のフローチャートである。
図3】本発明の一実施例における所定飛行ルート、緊急着陸座標及び通過点を示す図である。
図4】本発明の他の実施例における所定飛行ルート、緊急着陸座標及び通過点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上述した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく次のような好適な実施例の詳細な説明により明確になる。なお、以下の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0014】
本発明は無人航空機及び無人航空機着陸方法を提供し、それらは計算機能(能力)を有する任意の電子装置により実現され得る。本発明の内容をより明らかにするために、以下、添付した図面を参照しながら、本発明を実施するための好適な実施例を詳細に説明する。なお、これらの実施例は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0015】
図1は本発明の一実施例における無人航空機のブロック図である。図2は本発明の一実施例における無人航空機着陸方法のフローチャートである。なお、図1及び図2は説明の便宜のためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。
【0016】
図1を参照する。本実施例で提供される無人航空機100は処理器110及びポジショニング装置120を含む。ポジショニング装置120は無人航空機100の現在の座標を生成すために用いられ、処理器110はポジショニング装置120に接続される。もう1つの実施例において、無人航空機100は記憶媒体130をさらに含む。記憶媒体130は処理器110に電気接続され、記憶媒体130は対照表(比較表)及び所定飛行ルートを記憶するために用いられる。そのうち、対照表は複数の緊急着陸座標及び該複数の緊急着陸座標にそれぞれ対応する複数の緊急通過点を含む。
【0017】
処理器110は例えば、中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)、グラフィックプロセッシングユニット(Graphic Processing Unit、GPU)、物理処理ユニット(Physics Processing Unit、PPU)、プログラム可能なマイクロプロセッサ(Microprocessor)、組み込み制御チップ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits、ASIC)又は他の類似したデバイスである。
【0018】
ポジショニング装置120は例えば、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)に基づく装置であり、全地球測位システムの全地球測位信号を受信し、無人航空機100の現在の座標位置を特定するために用いられる。本実施例において、ポジショニング装置120は、識別された測位情報(即ち、無人航空機100現在の座標位置)を処理器110に持続的に送信できる。
【0019】
記憶媒体130は例えば、任意のタイプの固定式又は可移動式ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ハードディスク、他の類似したデバイス又はこれらのデバイスの組み合わせである。一実施例において、記憶媒体130は複数のプログラムコードフラグメントを記憶するために用いられ、このようなプログラムコードフラグメントはインストールされた後に、処理器110により実行されることで、以下に述べる無人航空機100の移動径路の制御方法を実行する。
【0020】
もう1つの実施例において、無人航空機100は送受信器(transceiver(図示せず))をさらに含み、それは処理器110に電気接続され、かつ情報を地上局(図示せず)に送信し、及び地上局からの情報を受信するために用いられる。これらの情報は例えば、飛行指令(命令)、対照表、所定飛行ルートなどの情報を含み得る。一実施例において、地上局は飛行指令を無人航空機100に送信するときに、所定飛行ルート及び対照表を無人航空機100に送信することもでき、所定飛行ルートは複数の通過点の座標位置及び通過点の通過順序を含む。よって、無人航空機100は各通過点の座標位置及び通過順序に基づいて所定の飛行径路を得ることができる。送受信器は無線又は有線の方式で信号を伝送(送信)及び受信する。送受信器は例えば、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee又は他の無線方式で信号を伝送及び受信する。送受信器は例えば、送信器、受信器などのハードウェアデバイスを含むが、本発明はこれらに限定されない。もう1つの実施例において、送受信器はさらに、例えば、低ノイズ増幅(low noise amplifying、LNA)、インピーダンス整合、周波数混合、アップコンバージョン、フィルタリング、増幅及び他の類似した操作を行うことができる。
【0021】
図1及び図2を同時に参照する。ステップS210において、処理器110が無人航空機100の飛行状態を検出したときに、処理器110はポジショニング装置120から無人航空機100の現在の座標を得る。本実施例において、無人航空機100の飛行状態は具体的には緊急着陸状態であり、緊急着陸状態は無人航空機100が緊急事態に遭遇したときに自動的に始動し得る状態である。緊急事態は例えば、無人航空機100の電力不足、信号不安定、操作異常、アンダーアタック(under attack)などの状況である。具体的に言えば、処理器110は無人航空機100の飛行状態に異常が発生したことを検出したときに、処理器110はポジショニング装置120により無人航空機100の現在の座標を即時に獲得できる。
【0022】
一実施例において、ポジショニング装置120はポジショニング装置120自体によってポジショニング信号を受信できる。もう1つの実施例において、ポジショニング装置120は送受信器(図示せず)に電気接続され、送受信器によりポジショニング信号を受信できる。ポジショニング装置120は受信したポジショニング信号に基づいて現在の無人航空機100の座標位置を算出できる。一実施例において、ポジショニング装置120はリアルタイムキャリア位相差分(Real Time Kinematic、RTK)技術を用いて無人航空機100の現在の座標を取得できる。また、ポジショニング装置120は例えば、到達時間(Time of Arrival、TOA)に基づくポジショニング法、到達時間差に基づくポジショニング法(Time Difference of Arrival、TDOA)、受信信号強度指示(Received Signal Strength Indicator、RSSI)に基づくポジショニング法などのうちの少なくとも1つにより、無人航空機100とポジショニング点(例えば、原点(始点)、終点、地上局など)との間の距離を計算することで、無人航空機100の現在の座標を得ることができるが、本発明はこれらに限定されない。なお、これらの無人航空機のポジショニング方法は当業者にとって周知の技術的手段であるため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0023】
次に、ステップS220において、処理器110は現在の座標、所定飛行ルート及び複数の緊急着陸座標に基づいて、無人航空機100が現在の座標から所定飛行ルートに沿って各緊急着陸座標に移動する距離を計算する。具体的に言えば、記憶媒体130には予め、無人航空機100の複数の異なる移動軌跡が所定飛行ルートとして記憶され得る。これにより、処理器110は無人航空機100が現在完了しようとする任務の所定飛行ルートを現在の所定径路とすることができ、また、所定飛行ルートにおける各位置は平面座標又は空間座標の座標値として定義できる。さらに、記憶媒体130には各々の所定飛行ルートの複数の緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)が事前設定され得る。例を挙げて言えば、無人航空機100の任務の領域を計画するときに、使用者又は無人航空機100は少なくとも1つの緊急着陸ゾーン(Emergency Landing Zone、ELZ)を確立でき、また、緊急着陸ゾーンは平面座標又は空間座標の座標値、即ち、本発明の緊急着陸座標として定義できる。無人航空機100に緊急事態又は他の制御不能な状況が発生したときに、無人航空機100は緊急着陸座標に自動的に飛行することで、人員又は無人航空機100への損傷を回避できる。
【0024】
図3を参照する。図3は本発明の一実施例における所定飛行ルート、緊急着陸座標及び通過点を示す図である。具体的に言えば、無人航空機100の所定飛行ルート上に複数の通過点(P1~P5)が記されており(マークされており)、かつ複数の通過点(P1~P5)には緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)にそれぞれ対応する複数の緊急通過点(P1、P4、P5)が含まれる。本実施例において、記憶媒体130は対照表及び所定飛行ルートを記憶するために用いられる。そのうち、対照表は緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)及び該緊急着陸座標にそれぞれ対応する緊急通過点(P1、P4、P5)を含む。例を挙げて言えば、対照表は以下のような表1に示すとおりである。
【0025】
【表1】
表1に示すように、本実施例において、緊急着陸座標EL1の対応緊急通過点はP1、緊急着陸座標EL2の対応緊急通過点はP4、緊急着陸座標EL3の対応緊急通過点はP5であるが、本発明はこれらに限られない。
【0026】
なお、無人航空機100が現在の座標から所定飛行ルートに沿って緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)に移動する距離は、無人航空機100が現在の座標から所定飛行ルートに沿って対応する緊急通過点(P1、P4、P5)に至る飛行距離と、飛行ルート着陸距離(「着陸距離「と略称する)との和である。一実施例において、着陸距離は各緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)と、対応する緊急通過点(P1、P4、P5)との間の所定飛行ルートに沿った距離である。もう1つの実施例において、着陸距離は各緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)と、対応する緊急通過点(P1、P4、P5)との間の直線距離である。例を挙げて言えば、本実施例における着陸距離は無人航空機100が緊急通過点P1から緊急着陸座標EL1に飛行する距離、緊急通過点P4から緊急着陸座標EL2に飛行する距離、又は緊急通過点P5から緊急着陸座標EL3に飛行する距離である。本実施例では、無人航空機100が緊急通過点(P1、P4、P5)から緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)に飛行する着陸径路を記憶媒体130に事前記憶することで、無人航空機100が緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)に飛行する径路が単一径路であり、かつ着陸の過程で障害物に遭遇することがないように確保できる。
【0027】
図1乃至図3を参照する。無人航空機100の飛行状態に異常が発生したときに、処理器110はポジショニング装置120により無人航空機100の現在の座標を得る。続いて、無人航空機100は現在の座標と緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)との間の所定飛行ルートに沿った距離を計算する。
【0028】
例を挙げて言えば、図3に示すように、無人航空機100は現在、所定飛行ルート上の通過点P2と通過点P3との間に位置する。処理器110が算出した、無人航空機100の現在の座標と緊急着陸座標EL1との距離は1300メートル(m)であり、この1300メートルは無人航空機100が所定飛行ルートに沿って通過点P2及び緊急通過点P1を通過して緊急着陸座標EL1に飛行する距離である。また、処理器110が算出した、無人航空機100の現在の座標と緊急着陸座標EL2との距離は800メートルであり、この800メートルは無人航空機100が所定飛行ルートに沿って通過点P3及び緊急通過点P4を通過して緊急着陸座標EL2に飛行する距離である。さらに、処理器110が算出した、無人航空機100の現在の座標と緊急着陸座標EL3との距離は1500メートルであり、この1500メートルは無人航空機100が所定飛行ルートに沿って通過点P3、通過点P4及び緊急通過点P5を通過して緊急着陸座標EL3に飛行する距離である。
【0029】
次に、ステップS230において、処理器110は上述の複数の距離のうちの最短距離に基づいて目標緊急着陸座標を取得し、そのうち、目標緊急着陸座標は最短距離に対応する緊急着陸座標である。上述の実施例において処理器110が得た、複数の現在の座標から緊急着陸座標(EL1、EL2、EL3)までの距離(例えば、1300メートル、800メートル、1500メートル)のうち、無人航空機100が所定飛行ルートに沿って緊急着陸座標EL2に飛行する距離は最短距離である。そのため、本実施例では、処理器110は、目標緊急着陸座標が最短距離(本実施例において800メートルである)に対応する緊急着陸座標EL2であることを取得できる。
【0030】
もう1つの実施例において、通過点は所定飛行ルートの終点P6及び原点(始点)Hをさらに含み、かつ緊急着陸座標は所定飛行ルートの終点座及び原点座標をさらに含む。そのうち、終点座標は終点P6の座標値であり、かつ原点座標は原点Hの座標値である。図4は本発明のもう1つの実施例における所定飛行ルート、緊急着陸座標及び通過点を示す図である。本実施例では、処理器110により、目標緊急着陸座標が終点座標であると算出されたときに、対応する緊急通過点及び目標緊急着陸座標は終点P6である。また、処理器110により、目標緊急着陸座標が原点座標であると算出されたときに、対応する緊急通過点及び目標緊急着陸座標は原点Hである。以下の表2を参照する。表2は緊急着陸座標(H、EL1、EL2、EL3、P6)及び該緊急着陸座標にそれぞれ対応するする緊急通過点(H、P1、P4、P5、P6)を含む対照表である。
【0031】
【表2】
図4を参照する。例を挙げて言えば、無人航空機100は現在、所定飛行ルート上の通過点P5と終点P6との間に位置する。無人航空機100が現在の座標から所定飛行ルートに沿って緊急着陸座標EL1、EL2、EL3及び原点Hに至る距離に比べて、無人航空機100が現在の座標から所定飛行ルートに沿って終点P6に至る距離が最短距離であるので、処理器110は本実施例において目標緊急着陸座標が終点P6の座標であると算出できる。
【0032】
続いて、ステップS240において、処理器110は無人航空機100が所定飛行ルートに沿って目標緊急着陸座標に移動するように制御する。図3に示すように、本発明の無人航空機100の着陸方法により、従来の無人航空機システムが直線最短距離に基づいて緊急着陸地点が緊急着陸座標EL3であると判断した後に無人航空機100が緊急着陸座標EL3に飛行する途中障害物Oに衝突して無人航空機100が損傷してしまうことの発生を避けることができる。
【0033】
以上のことから、本発明の無人航空機及び無人航空機着陸方法により、無人航空機が所定飛行ルートに従って緊急着陸座標、原点又は終点に安全に飛行するようにさせることができる。本発明では、処理器が計算した距離が所定飛行ルートに沿った径路の距離であるため、無人航空機が飛行中に障害物に遭遇したり、飛行禁止空域に飛行したりすることが無いように確保でき、これによって、一般飛行状態であれ、緊急飛行状態であれ、無人航空機が所定飛行ルートに沿って安全に飛行することを実現できる。このようにして、無人航空機の飛行や着陸の過程での安全性及び安定性を確保できる。
【0034】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数量上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0035】
100:無人航空機
110:処理器
120:ポジショニング装置
130:記憶媒体
EL1、EL2、EL3:緊急着陸座標
P1、P2、P3、P4、P5:通過点
H:原点(始点)
P6:終点
S210~S240:ステップ
O:障害物
図1
図2
図3
図4