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特開2023-82696X線撮像装置、アセンブリ、及びX線撮像装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082696
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】X線撮像装置、アセンブリ、及びX線撮像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20230607BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 L
A61B6/00 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192865
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】2112877
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507362786
【氏名又は名称】コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】テンプリエ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルジェ ロイク
(72)【発明者】
【氏名】グロス-ダイロン エリック
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー セバスチャン
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188BB02
2G188CC15
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD09
2G188DD42
2G188DD44
2G188DD45
4C093EB13
4C093EB20
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、電気接続要素を有する転写基板100、それぞれのピクセルが、転写基板100の電気接続要素に接合されて電気的に接続されたモノリシックの基本チップ153と、転写基板100上に形成されて基本チップ153に電気的に接続されたフォトダイオードPDとを有するピクセルアレイ、及び、ピクセルアレイをコーティングするシンチレータ180を備えており、各ピクセルにおいて、基本チップ153は、フォトダイオードから読み取るための集積回路を有する、X線撮像装置に関する。
【選択図】図1I
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮像装置であって、
電気接続要素を有する転写基板、
それぞれのピクセルが、前記転写基板の電気接続要素に接合されて電気的に接続されたモノリシックの基本チップと、前記転写基板に形成されて前記基本チップに電気的に接続されたフォトダイオードとを有する、ピクセルのアレイ、及び
各ピクセルをコーティングするシンチレータ
を備えており、
各ピクセルにおいて、前記基本チップは、前記フォトダイオードから読み取るための集積回路を有する、
X線撮像装置。
【請求項2】
各基本チップにおいて、前記フォトダイオードから読み取るための前記集積回路がCMOS技術で形成される、請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項3】
各ピクセルにおいて、前記フォトダイオードは、無機半導体材料に基づくアクティブスタックを有する、請求項1または2に記載のX線撮像装置。
【請求項4】
前記無機半導体材料は、アモルファスシリコンまたはインジウムガリウム亜鉛酸化物である、請求項3に記載のX線撮像装置。
【請求項5】
各ピクセルにおいて、前記フォトダイオードは、アクティブ有機感光性ダイオードスタックを有する、請求項1または2に記載のX線撮像装置。
【請求項6】
各ピクセルにおいて、前記フォトダイオードは、透明材料からなる上部電極を有する、請求項1または2に記載のX線撮像装置。
【請求項7】
各ピクセルにおいて、前記フォトダイオードは、前記ピクセルの前記基本チップを覆わない、請求項1または2に記載のX線撮像装置。
【請求項8】
各ピクセルにおいて、前記フォトダイオードは、前記ピクセルの前記基本チップを覆う、請求項1または2に記載のX線撮像装置。
【請求項9】
各ピクセルにおいて、前記ピクセルの前記基本チップは、LEDと、前記LEDを制御するための集積回路とを有する、請求項1または2に記載のX線撮像装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の第1及び第2のスタックされたX線撮像装置を備える、アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のX線撮像装置と前記第2のX線撮像装置との間にフィルタリング層を備える、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載のX線撮像装置を製造する方法であって、
一時的支持基板により、前記基本チップを前記転写基板に一括転写して接合する、
X線撮像装置の製造方法。
【請求項13】
前記基本チップを前記転写基板に一括転写するステップの前に、前記ピクセルの前記フォトダイオードを前記転写基板に形成することを含む、請求項12に記載のX線撮像装置の製造方法。
【請求項14】
前記基本チップを前記転写基板に一括転写するステップの後に、前記ピクセルの前記フォトダイオードを前記転写基板に形成することを含む、請求項12に記載のX線撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、X線撮像装置、アセンブリ、及びX線撮像装置の製造方法に関し、特に、例えば医療撮像の分野における放射線撮影用途に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のX線撮像装置にあっては、間接変換装置と直接変換装置とに区別することができる。間接変換装置は、光放射線を捕捉するように適合されたフォトダイオードのアレイと、フォトダイオードのアレイの上に配置されたシンチレータとを備える。動作中、シンチレータはX線の吸収の結果として光を放出する。シンチレータから放出された光は、フォトダイオードによって電荷に変換される。したがって、フォトダイオードのアレイは、シンチレータによって放出された光分布を表す画像を取得し、この光分布自体は、シンチレータによって受け取られたX線分布を表す。
【0003】
直接変換装置は、吸収されたX線を電荷に直接、変換するように適合された半導体変換材料の層を備える。この変換層は、変換材料で生成された電荷を読み取るように適合された要素回路のアレイの上に配置される。動作中、変換層は、X線の吸収の結果として電荷を生成する。これらの電荷は、読み出し回路のアレイによって読み取られる。したがって、読み出し回路のアレイは、変換材料によって受け取られたX線分布を表す画像を直接、取得する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、間接変換装置としてのX線撮像装置の形成がより具体的に考慮される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、電気接続要素を有する転写基板、それぞれのピクセルが、転写基板の電気接続要素に接合されて電気的に接続されたモノリシックの基本チップと、転写基板に形成されて基本チップに電気的に接続されたフォトダイオードとを有する、ピクセルのアレイ、及び、各ピクセルをコーティングするシンチレータを備えており、各ピクセルにおいて、基本チップは、フォトダイオードから読み取るための集積回路を有する、X線撮像装置を提供する。
【0006】
一実施形態によれば、各基本チップにおいて、フォトダイオードから読み取るための集積回路が、CMOS技術で形成される。
【0007】
一実施形態によれば、各ピクセルにおいて、フォトダイオードは、無機半導体材料、例えばアモルファスシリコンまたはインジウムガリウム亜鉛酸化物に基づくアクティブスタックを有する。
【0008】
一実施形態によれば、各ピクセルにおいて、フォトダイオードは、アクティブ有機感光性ダイオードスタックを有する。
【0009】
一実施形態によれば、各ピクセルにおいて、フォトダイオードは、透明材料からなる上部電極を有する。
【0010】
一実施形態によれば、各ピクセルにおいて、フォトダイオードは、ピクセルの基本チップを覆わない。
【0011】
一実施形態によれば、各ピクセルにおいて、フォトダイオードは、ピクセルの基本チップを覆う。
【0012】
一実施形態によれば、各ピクセルにおいて、ピクセルの基本チップは、LEDと、LEDを制御するための集積回路とを有する。
【0013】
別の実施形態は、上記で特定されたような第1及び第2のスタックされたX線撮像装置を備えるアセンブリを提供する。
【0014】
一実施形態によれば、アセンブリは、第1のX線撮像装置と第2のX線撮像装置との間にフィルタリング層を備える。
【0015】
別の実施形態は、上記で特定したようなX線撮像装置を製造するX線撮像装置の製造方法を提供し、一時的支持基板により、基本チップを転写基板に一括転写して接合する。
【0016】
一実施形態によれば、X線撮像装置の製造方法は、基本チップを転写基板上に一括転写するステップの前に、ピクセルのフォトダイオードを転写基板に形成することを含む。
【0017】
一実施形態によれば、X線撮像装置の製造方法は、基本チップを転写基板上に一括転写するステップの後に、ピクセルのフォトダイオードを転写基板に形成することを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明ではモノリシック集積回路の利点を受けながら、比較的低コストで、大きな寸法のX線撮像装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前述及び他の特徴並びに利点は、添付の図面に関連して、具体的実施形態の以下の非限定的な説明において詳細に論じられる。
【0020】
図1A】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す上面図である。
図1B】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1C】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1D】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1E】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1F】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1G】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1H】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図1I】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の一実施形態のステップを示す断面図である。
図2A】一実施形態によるX線撮像装置の要素ピクセルチップを作製する方法の一例のステップを示す断面図である。
図2B】一実施形態によるX線撮像装置の要素ピクセルチップを作製する方法の一例のステップを示す断面図である。
図2C】一実施形態によるX線撮像装置の要素ピクセルチップを作製する方法の一例のステップを示す断面図である。
図2D】一実施形態によるX線撮像装置の要素ピクセルチップを作製する方法の一例のステップを示す断面図である。
図2E】一実施形態によるX線撮像装置の要素ピクセルチップを作製する方法の一例のステップを示す断面図である。
図3A】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す上面図である。
図3B】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図3C】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図3D】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図3E】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図3F】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図4図3A図3Fに示す方法の変形例を示す断面図である。
図5A】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す上面図である。
図5B】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図6A】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す上面図である。
図6B】一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す断面図である。
図7】一実施形態によるX線撮像装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
種々の図において、同様の特徴は同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態間で共通の構造的及び/または機能的特徴は、同じ参照符号を有し得、同一の構造的、寸法的、及び材料的特性を配備し得る。
【0022】
明確にするために、本明細書に記載の実施形態を理解するのに役立つステップ及び要素のみを図示し、詳細に説明している。特に、記載されたX線撮像装置の様々な可能な用途は詳述されておらず、記載された実施形態は、既知のX線撮像用途のすべてまたはほとんどと互換性があり、より具体的には、大きな寸法のX線撮像装置、例えば、横方向寸法が10cmを超え、好ましくは20cmを超える装置を利用できる用途と互換性がある。さらに、記載された装置の感光性ダイオード、電子制御回路、及びシンチレータの形成は詳述されておらず、これらの要素の形成は、本開示の指示に基づく当業者の能力の範囲内である。本明細書でX線とは、例えば、1,000eV(電子ボルト)~20MeV(メガ電子ボルト)の範囲のエネルギーを有するフォトンから形成される放射線を意味する。
【0023】
別段の指示がない限り、一緒に接続された2つの要素と言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、一緒に結合された2つの要素と言及する場合、これは、これら2つの要素が接続可能であること、またはそれらが1つ以上の他の要素を介して結合可能であることを意味する。
【0024】
以下の説明では、用語「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等などの絶対位置を述べる用語、または、用語「の上」、「の下」、「上方」、「下方」等などの相対位置を述べる用語、または、「水平」、「垂直」等などの方向を述べる用語に言及する場合、特に明記されていない限り、図面の断面図における向きへの参照がなされる。
【0025】
特に明記しない限り、「およそ」、「約」、「実質的に」及び「のオーダーで」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0026】
記載された実施形態の一態様によれば、転写基板、転写基板上に形成された光検出ピクセルのアレイ、及び光検出ピクセルのアレイをコーティングするシンチレータを備えるX線撮像装置が提供される。各光検出ピクセルは、転写基板上に形成されて転写基板の電気接続要素(トラック、ランディング、電気接続端子またはパッド)に電気的に結合または接続されたフォトダイオードと、転写基板の電気接続の要素に接合及び電気接続されたモノリシックの基本チップとを有する。各ピクセルにおいて、基本チップは、例えば、転写基板の電気接続の少なくとも1つの要素によって、フォトダイオードに接続される。基本チップは、好ましくはCMOS技術で形成された、ピクセルフォトダイオードから読み取るための少なくとも1つの集積回路を有する。
【0027】
各基本チップは、チップ制御のために転写基板に接続されるように意図された複数の電気接続パッド(端子またはランディングとも呼ばれる)を備える接続面を有する。基本チップは、その接続面が転写基板の接続面に面するように転写基板上に転写され、各基本チップの電気接続パッドが転写基板の対応する電気接続パッドに接続するように転写基板に接合される。
【0028】
記載された実施形態の利点は、モノリシック集積回路、例えばフォトダイオードの読み取り用のCMOS回路の利点から恩恵を受けながら、比較的低コストで、例えば10cmを超える、好ましくは20cmを超える横寸法を有する大きな寸法の撮像装置を得ることができる点である。特に利点は、転写基板上に直接、複数の薄層を連続的に堆積することによって形成されるTFT(薄膜トランジスタ)に基づく回路に比べて、そのようなモノリシック集積回路によって導入される低い読み出しノイズにある。別の利点は、TFT回路に比べてそのようなモノリシック集積回路における電荷キャリアの移動度が向上することに関連して、読み取り速度が向上することである。さらに、そのような回路は、フォトダイオードによって送達される電気信号の処理の追加機能を実装することを任意選択的に可能にする。別の利点は、TFT回路に比べてモノリシックの基本チップの嵩が低いことにある。
【0029】
そのようなX線撮像装置の実施形態の例は、図面に関連して以下にさらに詳細に説明される。
【0030】
図1A図1B図1C図1D図1E図1F図1G図1H図1Iは、一実施形態によるX線撮像装置の製造方法の一実施形態のステップを示す上面図及び断面図である。
【0031】
図1Aは、撮像装置の転写基板100の実施形態の一例の部分簡略上面図である。
【0032】
図1Aでは、撮像装置の同じ行の隣接する2つのピクセルに対応する、転写基板100の一部のみが示されている。
【0033】
図1B図1Iは、図1Aの断面線A-Aに沿った、異なる製造段階における装置の断面図である。
【0034】
転写基板100は、例えばガラスまたはプラスチックなどの絶縁材料からなる支持プレート(またはシート)101を有する。変形例として、支持プレート101は、絶縁材料の層で覆われた導電支持体、例えば金属を有する。転写基板100は、支持プレート101の上面に形成された電気接続要素、特に導電トラック及び導電パッドをさらに有する。これらの電気接続要素は、例えば、支持プレート101の上面の一連の導電レベル及び絶縁レベルのフルプレート堆積及びエッチングによって形成される。変形例として、電気接続要素は、支持プレート101の上面に一連の導電レベル及び絶縁レベルを印刷すること(または別の局所堆積法)によって形成される。
【0035】
図示の例では、転写基板100は、絶縁レベルI(図1Aには図示せず)によって分離された2つの導電性の金属レベルM1及びM2と、絶縁レベルIを通って2つの金属レベルM1及びM2を接続する金属ビアV(図1Bには図示せず)とを有する。この例では、転写基板100は、装置のピクセルの基本チップの対応接続パッドに接続されることが意図された、上側の金属レベルM2に形成された金属接続パッドをさらに有する。
【0036】
転写基板100の電気接続要素を介して装置の基本チップに電力供給し、それを制御するように適合された装置のアクティブ制御回路は例えば、転写基板100の周囲で転写基板100の電気接続要素に接続される。
【0037】
一例として、転写基板100の製造は、以下の3つの連続した堆積及びエッチングステップを含む。
【0038】
第1のステップ中、導電層、例えば金属、例えばチタン、銅、またはアルミニウムからなる層が支持プレート101の上面に堆積され、次いでエッチングされて金属レベルM1を形成する。この例では、金属レベルM1は、撮像装置のピクセルのアレイの列方向(図1Aでの垂直方向)に実質的に平行な複数の導電トラックを有する。より具体的には、この例では、撮像装置の各列について金属レベルM1に、装置の列の実質的に全長に沿って延びる導電トラックC1が形成される。各導電列トラックC1は、対応列のピクセルのフォトダイオードで光生成された電荷の量、したがって対応列のピクセルのフォトダイオードが受け取る光強度を表す信号VXを送達することが意図される。
【0039】
第2のステップ中、金属レベルM1は絶縁材料、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンの層で覆われ、絶縁レベルIを形成する。次いで、金属ビアVの位置で絶縁レベルIに局部的な開口部がエッチングされて、金属レベルM1及び金属レベルM2の間の電気接続を確立することができる。絶縁レベルIの開口部は、例えばBHF(緩衝フッ化水素酸)タイプのウェットエッチング、またはプラズマエッチングによって形成される。
【0040】
第3のステップ中、導電層、例えば金属が絶縁レベルIの上面に堆積され、次いでエッチングされて金属レベルM2が形成される。金属レベルM2の金属層は反射性であることが好ましい。一例として、金属レベルM2の金属層はアルミニウムからなる。この例では、金属レベルM2は、撮像装置のピクセルのアレイの行方向(図1Aでの水平方向)に実質的に平行な複数の導電トラックを有する。より具体的には、この例では、撮像装置の各行について金属レベルM2に、装置の行の実質的に全長に沿って延びる導電行トラックL1が形成される。各導電行トラックL1は、対応行のピクセルのフォトダイオードを選択するための信号SELECTを送達することが意図される。
【0041】
この例では、金属レベルM2に、装置の各ピクセルについて、ピクセルフォトダイオードの下部電極E1を画定する金属領域がさらに形成される。
【0042】
第3の堆積ステップの後、各ピクセルについて、金属レベルM2の導電領域に、ピクセルの基本チップの3つの別個の接続パッドをそれぞれ受けるように意図された3つの金属パッドP1、P2、P3が形成される。金属パッドP1、P2、P3は、対応ピクセル行の導電行トラックL1、対応ピクセル列の導電列トラックC1、及び対応ピクセルのフォトダイオードの下部電極E1にそれぞれ接続される。
【0043】
実際には、金属パッドP1、P2、P3は、金属レベルM2の形成直後、またはその後に形成され得る。図1B図1Iの断面図に示される例では、金属パッドP1、P2、P3は、ピクセルのフォトダイオードの形成(図1Eのステップ)の後に形成される。
【0044】
図1Cは、各ピクセルにおいて、ピクセルフォトダイオードの下部電極E1上にアクティブ感光性ダイオードスタック103(以下、単にアクティブスタック103とも称する)を形成するステップの最後に得られる構造を示す。
【0045】
アクティブスタック103は、例えばPINダイオードスタックである。一例として、アクティブスタック103は、例えばアモルファスシリコンまたはインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)など、比較的大きな表面積に薄膜として堆積できる無機半導体材料に基づくスタックである。変形例として、アクティブスタック103は、例えば2つの電荷輸送層(図面にて詳述されず)の間に挟まれた有機アクティブ半導体層を有する有機フォトダイオードスタックである。
【0046】
非限定的な例として、行方向及び列方向の装置のピクセル間のピッチは、50~500μmの範囲、例えば100~200μm、例えば150μmのオーダーである。好ましくは、(上面図で)下部電極E1によって占められる表面積は、ピクセル表面積の50%よりも大きく、好ましくは70%よりも大きい。アクティブスタック103は、下部電極E1の実質的に全表面積を覆う。
【0047】
アクティブスタック103は例えば、最初に転写基板100の表面全体にわたって連続的に堆積され、次いで例えばフォトリソグラフィ及びエッチングによって局所的に除去されて、スタックからタイルのみを分離したままとしてピクセルのフォトダイオードの下部電極E1の前面に位置させる。
【0048】
図1Dは、各ピクセルにおいて、ピクセルのアクティブスタック103に上部電極E2を形成するステップの最後に得られる構造を示す。上部電極E2は、透明導電材料、例えば透明導電酸化物、例えば酸化インジウムスズ(ITO)からなる。各ピクセルにおいて、下部電極E1、アクティブスタック103、及び上部電極E2によって形成されるスタックは、ピクセルのフォトダイオードPDを画定する。
【0049】
一例として、センサピクセルのフォトダイオードPDの上部電極E2はすべて相互接続されている。つまり、フォトダイオードPDの上部電極E2は、全センサピクセルで共通である。しかし、異なるフォトダイオードPDの下部電極E1は別個であり、装置のフォトダイオードPDの個々の読み取りを可能にする。
【0050】
図示の例では、アクティブスタック103はピクセル化されており、すなわち、各ピクセルは、トレンチを絶縁することによって他のフォトダイオードPDのアクティブスタック103の一部から横方向に分離された、アクティブスタック103の一部によって形成されるタイルを備える。変形例(図示せず)として、例えばアクティブスタック103がアクティブ有機感光性ダイオードスタックである場合、アクティブスタック103はピクセルアレイ全体にわたって連続的に延在するゲートを形成し、ピクセル化はピクセルの下部電極E1のレベルでのみ実行される。
【0051】
図1Eは、ピクセルの基本チップの対応金属接続パッドに接合されて電気的に接続されることを意図した金属パッドP1、P2、P3を各ピクセルに形成するステップの最後に得られる構造を示す。この例では、金属パッドP1は、ピクセルの導電列トラックC1に接続された金属レベルM2の導電トラック部分に形成され、金属パッドP2は、金属ビアVを介してピクセルの導電行トラックL1に接続された金属レベルM2の導電トラック部分に形成され、金属パッドP3は、ピクセルのフォトダイオードPDの下部電極E1に接続された金属レベルM2の導電トラック部分に形成される。
【0052】
図示の例では、金属パッドP1、P2、P3の上面は、ピクセルのフォトダイオードPDの上部電極E2の上面よりも高いレベルに位置する。つまり、金属パッドP1、P2、P3の上面は、上部電極E2の上面よりも上方に位置している。
【0053】
図1F及び図1Gは、ピクセルの金属パッドP1、P2、P3に接合され、電気的に接続された要素制御及び読み出し用の基本チップ153の各ピクセルにおける転写のステップを示す。
【0054】
この例では、基本チップ153は、一時的支持基板140から転写基板100に一括転写される。
【0055】
基本チップ153は、最初に一時的支持基板140の表面(図での下面)に接合される。一時的支持基板140と基本チップ153とを含む構造は、例えば、図2A図2Eに関連して以下に説明する方法によって形成される。
【0056】
各基本チップ153は、半導体基板、例えば単結晶シリコン基板の内部及び上部に形成された少なくとも1つの、好ましくは複数のMOSトランジスタを有する。基本チップ153は、例えば、CMOS技術で形成される。各基本チップ153は、対応ピクセルの導電列トラックC1に(端子P2を介して)信号、例えば、ピクセルのフォトダイオードPDによって受け取られた光強度を表す電圧を送達するように適合される。基本チップ153は、対応する導電行トラックL1に印加される信号SELECTを介して行ごとに選択され、画像取得フェーズ中にフォトダイオードPDを行ごとに読み取り得る。
【0057】
一時的支持基板140を持ち手として用いて、転写基板100の接続面の前面、すなわちその図面での上面に、基本チップ153を一括転写する(図1F)。
【0058】
次いで、基本チップ153の下面側に位置する接続パッド143が、転写基板100の対応する金属パッドP1、P2、P3と接触するように配置され、これらの金属パッドP1、P2、P3に接合される。基本チップ153の接続パッド143の転写基板100の接続パッドへの接合は例えば、直接接合、熱圧着、はんだ付け、接続パッド143に予め形成された金属微細構造(例えばマイクロピラー)によって、または、例えば、AFC(異方性導電膜)タイプの導電膜による接続など、任意の他の適合された接合及び接続方法によって行われる。
【0059】
接続パッド143によって転写基板100に接合されると、基本チップ153は一時的支持基板140から分離され、一時的支持基板140は除去され(図1G)、フォトダイオードPDの照射面へのアクセスをクリアにする。
【0060】
転写基板100の基本チップ153のピッチは、一時的支持基板140の基本チップ153のピッチより大きくあり得る。好ましくは、転写基板100の基本チップ153のピッチは、一時的支持基板140の基本チップ153のピッチの倍数である。この場合、基本チップ153の一部のみが、図1F及び図1Gに示されるように、各転写で一時的支持基板140からサンプリングされる。他の基本チップ153は、一時的支持基板140に固定されたままであり、一括転写の別のステップ中に使用されて、転写基板100の別の部分または別の転写基板に移植され得る。
【0061】
図1Gは、図1A図1Gのステップの最後に得られた構造に平坦化層170を堆積するステップを示す。平坦化層170の材料は、透明誘電材料、例えばポリマー材料である。平坦化層170の材料は、転写基板100の上面から、基本チップ153の上面よりも高い位置まで延在する。したがって、平坦化層170の材料は、転写基板100、フォトダイオードPD、及び基本チップ153を完全に覆う。平坦化層170の上面は、実質的に平坦であり、ピクセルアレイの表面全体にわたって連続的に延在する。
【0062】
図1Iは、平坦化層170の上面にシンチレータ180を堆積するステップの最後に得られる構造を示す。シンチレータ180は、例えば結晶形態のヨウ化セシウム(CsI)、酸化ガドリニウム(GadOx)、または任意の他の適合されたシンチレーション材料、すなわち、X線との相互作用によるエネルギーの蓄積の結果として発光する材料などのシンチレーション材料の層を有し、転写基板100の表面全体にわたって連続的に延在する。
【0063】
図面は縮尺どおりに示されていないことに留意されたい。一例として、シンチレータ180の層は、対象となる用途に応じて200μm~1mmの範囲、例えば600μmのオーダーの厚さを有し得る。フォトダイオードPDの厚さは、例えば1~10μmの範囲であり、アモルファスシリコンまたは酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)に基づくフォトダイオードについては例えば1~2μmであり、有機フォトダイオードについては1~5μmである。基本チップ153の厚さは、例えば100~500μmの範囲である。基本チップ153の横方向寸法は、例えば5~150μm、例えば10~60μmの範囲である。
【0064】
シンチレータ180は例えば、成長基板に別個に形成され、次いで平坦化層170の上面に転写される。変形例として、シンチレータ180は、平坦化層170の上面に直接、形成される。
【0065】
図2A図2B図2C図2D、及び図2Eは、図1A図1Iに関連して説明されたタイプのX線撮像装置の基本チップ153を作製する方法の一例の連続するステップを示す断面図である。
【0066】
図2Aは、装置のピクセルの将来の基本チップ153の集積制御回路にそれぞれ対応する、例えば同一または類似の複数の要素集積制御回路203がその内部及び上部に形成された基板201を備える制御構造を概略的に示す。
【0067】
図示の例では、基板201は、SOI(セミコンダクタ・オン・インシュレータ)タイプの基板であり、例えばシリコンからなる半導体の支持基板201aと、支持基板201aの上面に接触配置された、例えばシリコン酸化物からなる絶縁層201bと、絶縁層201bの上面に接触配置された、例えば単結晶シリコンからなる上部の半導体層201cとを備える。
【0068】
この例では、要素集積制御回路203は、基板201の半導体層201cの内部及び上部に形成される。各要素集積制御回路203は例えば、1つまたは複数のMOSトランジスタ(図面にて詳述されず)を有する。要素集積制御回路203は例えば、CMOS技術(相補型金属酸化物半導体)で形成される。各要素集積制御回路203は、撮像装置のフォトダイオードから読み取るための回路を有し得る。
【0069】
図2Bは、一時的支持基板140への図2Aの構造の転写及び接合のステップの最後に得られる構造を示す。
【0070】
図2Bでは、図2Aの構造の向きが図2Aに対して逆になっている。
【0071】
この例では、一時的支持基板140は、例えば200~700μmの範囲の厚さを有する支持材料、例えばガラスまたはシリコンの第1の層140aと、図1F及び図1Gの一括転写のステップ中に基本チップ153の選択的分離を可能にする比較的低い接着性の接着材料、例えばポリマー材料からなるより薄い第2の層140bとを備える。この例では、第2の層140bは、第1の層140aの上面に接触配置される。要素集積制御回路203を備える構造は、その下面、すなわち支持基板201aとは反対側のその面(図2Aにおける上面に対応する)によって、第2の層140bの上面に接合される。
【0072】
図2Cは、SOI構造の絶縁層201bの上面へのアクセスをクリアにするために、例えば研削及び/または化学エッチングによって初期SOI構造の支持基板201aを除去するステップの後に得られる構造を示す。
【0073】
説明される実施形態は、基板201がSOIタイプの基板である上記の例に限定されないことに留意されたい。変形例として、基板201は、例えばシリコンからなる固体半導体基板であり得る。この場合、図2Cのステップで、基板201は、例えば研削によって、その裏側(図2Cにおける上面)から薄くされ得る。次いで、例えば酸化シリコンからなる絶縁パッシベーション層を、薄くした基板の上面に堆積させて、SOI基板の絶縁層201bを置き換え得る。
【0074】
図2Dは、絶縁層201b及び半導体層201cに開口部を形成し、この開口部の内側及び上部に接触用のメタライゼーション143を形成するステップの最後に得られる構造を示す。メタライゼーション143は、半導体層201cの下面側に位置する相互接続スタックの金属レベル(図面にて詳述されず)上に電気接点を取ることを可能にする。メタライゼーション143は例えば、制御回路のトランジスタに電気的に接続され、これらのトランジスタ自体は、要素制御回路203の接続用のメタライゼーション205に電気的に接続または結合される。
【0075】
メタライゼーション143は、装置の転写基板100の対応接続端子に接続されることを意図した、装置のピクセルの将来の基本チップの接続端子を形成する。
【0076】
図2Eは、装置の要素ピクセルチップの個片化のステップの最後に得られる構造を示す。この目的のために、絶縁層201b及び半導体層201cを通って垂直に延びるトレンチ151が、ソーイングラインに沿って、構造の上面から形成される。この例では、トレンチ151は一時的支持基板140の上面まで現れる。トレンチ151は、それぞれが要素制御回路203を備える、例えば同一または類似の複数の基本チップ153を横方向に区切る連続ゲートを形成する。トレンチ151は、例えばプラズマエッチングによって形成される。
【0077】
基本チップ153は、図1A図1Iに関連して上述したように、X線撮像装置の転写基板100上に転写されるように意図されている。
【0078】
図3A図3B図3C図3D図3E図3Fは、一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す上面図及び断面図である。
【0079】
図3A図3Fに示される方法では、ピクセルの基本チップ153が、フォトダイオードPDの形成前に転写基板100上に転写され、図1A図1Iの例のようにその後ではないという点で、図3A図3Fの方法は、図1A図1Iの方法とは異なる。
【0080】
図3Aは、撮像装置の転写基板100の実施形態の一例の部分簡略上面図である。
【0081】
図3B図3Fは、図3Aの線A-Aに沿った断面図である。
【0082】
図1A図1Iに示す例のように、転写基板100は、絶縁レベルIによって分離された2つの金属レベルM1及びM2と、絶縁レベルIを通って2つの金属レベルM1及びM2を接続する金属ビアVとを備える。この例では、転写基板100は、装置のピクセルの基本チップの対応接続領域に接続されるように意図された、上側の金属レベルM2に形成された金属接続領域をさらに備える。
【0083】
一例として、図1A図1Iに関連して説明したものと同様に、金属レベルM1は、撮像装置の各ピクセル列について、対応列のピクセルのフォトダイオードによって受け取られた光強度を表す信号VXを送達することが意図された、装置の列の実質的に全長に沿って延在する導電列トラックC1を有し、金属レベルM2は、撮像装置のピクセルの各行について、対応行のピクセルのフォトダイオードを選択するための信号SELECTを送達することが意図された、装置の行の実質的に全長に沿って延在する導電行トラックL1を有する。
【0084】
この例では、金属レベルM2において、各ピクセルについて、ピクセルフォトダイオードの下部電極に電気的に接続されるように意図された接触領域を画定する金属領域CTがさらに形成される。図1A図1Iの例とは逆に、金属領域CTはピクセルフォトダイオードの下部電極を直接、形成しない。特に、金属領域CTは、ピクセルフォトダイオードの下部電極E1の表面積より小さい表面積を有し得る。
【0085】
金属レベルM2の形成後、各ピクセルについて、金属レベルM2の導電領域に、ピクセルの基本チップ153の3つの別個の接続パッドをそれぞれ受け入れるように意図された3つの金属パッドP1、P2、P3が形成される。金属パッドP1、P2、P3は、対応ピクセルの導電行トラックL1、対応ピクセルの導電列トラックC1、及び対応ピクセルのフォトダイオードの下部電極の金属領域CTにそれぞれ接続される。
【0086】
変形例として、接続用の金属パッドP1、P2、P3は、金属レベルM2の一部によって直接、形成され得る。
【0087】
この例では、金属パッドP1は金属レベルM2の導電トラック部分を介してピクセルの導電列トラックC1に接続され、金属パッドP2は金属レベルM2の導電トラック部分及び金属ビアVを介してピクセルの導電行トラックL1に接続され、金属パッドP3は、金属レベルM2の導電トラック部分によって金属領域CTに接続される。
【0088】
図3Bは、ピクセルの金属パッドP1、P2、P3に接合されて電気的に接続された要素制御及び読み出し用の基本チップ153の、各ピクセルにおける転写ステップの最後に得られる構造を示す。
【0089】
基本チップ153は、例えば、図1F及び図1Gに関連して上述したものと同様に、一時的支持基板から一括転写される。
【0090】
図3Cは、図3A及び図3Bのステップの最後に得られた構造に平坦化層170を堆積するステップを示す。平坦化層170の材料は、透明または透明でない誘電材料、例えばポリマー材料である。平坦化層170の材料は、転写基板100の上面から、基本チップ153の上面よりも高い位置まで延在する。したがって、平坦化層170の材料は、転写基板100及び基本チップ153を完全に覆う。平坦化層170の上面は、実質的に平坦であり、転写基板100の表面全体にわたって連続的に延在する。
【0091】
図3Cは、平坦化層170を垂直に貫通する導電ビア301を各ピクセルに形成するステップを示す。導電ビア301は、その下面によって接続用の金属領域CTの上面と接触する。導電ビア301の上面は、平坦化層170の上面と面一である。
【0092】
図3Eは、各ピクセルにおいて、ピクセルフォトダイオードの下部電極E1を形成すること、各ピクセルにおいて、下部電極E1の上面にてそれと接触するアクティブスタック103を形成すること、及び、各ピクセルにおいて、ピクセルフォトダイオードの上部電極E2を形成することの一連のステップの最後に得られる構造を示している。
【0093】
下部電極E1、アクティブスタック103、及び上部電極E2は、例えば、図1B図1C、及び図1Dに関連して上述したものと同一または同様である。
【0094】
各ピクセルにおいて、下部電極E1は、その下面によって、導電ビア301の上面と接触している。したがって、下部電極E1は、導電ビア301によってピクセルの金属領域CTに電気的に接続しており、よって、ピクセルの基本チップ153に電気的に接続される。
【0095】
各ピクセルにおいて、下部電極E1、アクティブスタック103、及び上部電極E2によって形成されるスタックは、ピクセルのフォトダイオードPDを画定する。
【0096】
一例として、センサピクセルのフォトダイオードPDの上部電極E2はすべて相互接続されている。つまり、フォトダイオードPDの上部電極E2は、全センサピクセルで共通である。しかし、異なるフォトダイオードPDの下部電極E1は別個であり、装置のフォトダイオードPDの個々の読み取りを可能にする。
【0097】
好ましくは、フォトダイオードPD、より具体的にはフォトダイオードPDのアクティブスタック103は、基本チップ153の上に延在する。
【0098】
これは、ピクセル間のピッチが等しい場合、図1A図1Iの例に比較してピクセルの光検出表面積を増加させることを可能にする。
【0099】
図示の例では、アクティブスタック103はピクセル化されており、すなわち、各ピクセルは、トレンチを絶縁することによって他のフォトダイオードPDのアクティブスタック103の一部から横方向に分離された、アクティブスタック103の一部によって形成されるタイルを有する。変形例(図示せず)として、例えばアクティブスタック103がアクティブ有機感光性ダイオードスタックである場合、アクティブスタック103は、ピクセルアレイ全体にわたって連続的に延在し、ピクセル化は、ピクセルの下部電極E1のレベルでのみ実行される。
【0100】
図3Fは、例えば図1Iのものと同一または類似のシンチレータ180をフォトダイオードPD上に堆積するステップの最後に得られる構造を示す。
【0101】
この例では、シンチレータ180はフォトダイオードPDの上に直接、堆積され、中間の平坦化層はない。
【0102】
変形例として、シンチレータ180の堆積前に、フォトダイオードPDの上に透明な平坦化層を堆積させ得る。
【0103】
図4は、図3A図3B図3C図3D図3E、及び図3Fの方法の変形例を示す断面図である。
【0104】
この変形例では、各ピクセルにおいて、基本チップ153とピクセルフォトダイオードPDの下部電極E1との間の電気的接続は、基本チップ153の上面に位置する金属製の接続端子143′を介して行われる。接続端子143′は、平坦化層170の上面と面一である。接続端子143′は、その上面によって下部電極E1の下面と接触している。したがって、図3A図3Fの例における導電ビア301及び金属領域CTは省略され得る。
【0105】
図5A及び図5Bは、一実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例のステップを示す上面図及び断面図である。
【0106】
図5Aは、撮像装置の転写基板100の実施形態の一例の部分簡略上面図である。
【0107】
図5Bは、図5Aの断面線A-Aに沿った装置の断面図である。
【0108】
図5A及び図5Bに示す方法は、図1A図1Iの方法のステップと同一または類似のステップを含む。これらのステップは、以下では再度詳述せず、図1A図1Iの方法との違いのみを説明する。
【0109】
主に、図5A及び図5Bの例では、各ピクセルにおいて、転写基板100に配置された各基本チップ153が、ピクセルのフォトダイオードPDを制御してそこから読み取るための集積回路だけでなく、無機発光ダイオード(LED)、及びLEDを制御するための集積回路も備えるという点において、図5A及び図5Bの例は、図1A図1Iの例とは異なる。
【0110】
基本チップ153にLEDを集積化することにより、有利には、2つの画像取得フェーズの間に、フォトダイオードPDに光フラッシュを印加することによってフォトダイオードPDをリセットするステップを実装することができる。
【0111】
基本チップ153は、例えば、先に出願された特許出願WO2017089676、EP3401958、及びWO2018185433に記載されたタイプのモノリシックピクセルチップである。各基本チップ153は、LED501と、LED501に電気的に接続された要素制御回路503とを備える。要素制御回路503は、例えばCMOS技術で作られる。要素制御回路503は、例えば、ピクセルのフォトダイオードPDを制御してそこから読み出すための回路と、LED501を制御するための回路とを備える。
【0112】
この例では、LED501は要素制御回路503の上面を覆う。要素制御回路503は、その下面側に接続端子143を有する。
【0113】
図示の例では、LED501は、その上面側が、例えば金属製である不透明または反射性の層505で覆われている。層505は、LEDによって放出された光をピクセルのフォトダイオードPDに向けることを可能にする。この層505は、例えば、LED501の上部電極を形成する。
【0114】
図5A及び図5Bの例では、平坦化層170(図5B)は透明な材料からなる。
【0115】
ピクセルのフォトダイオードPDから読み取り、ピクセルのLED501を伝達モードで制御できるようにするために、図5A及び図5Bの例の転写基板100は、図1A図1Iの例のものよりも、多くの導電トラックと多くの接続メタライゼーションとを備える。さらに、基本チップ153は、前述したものよりも多くの接続端子を備える。
【0116】
図示の例では、各基本チップ153は、転写基板100の6つの接続用の金属パッドP1、P2、P3、P4、P5、P6にそれぞれ接続されるように意図された6つの接続端子を有する。
【0117】
一例として、金属レベルM1は、撮像装置の各ピクセル列について、対応列のピクセルのフォトダイオードによって受け取られた光強度を表す信号VX、対応列のピクセルのLEDを制御するための信号DATA、及び、対応列のピクセルのLEDに電力供給するための信号VDDをそれぞれ送達することが意図された3つの導電列トラックC1、C2、C3を有する。この例では、金属レベルM2は、撮像装置の各ピクセル列について、対応行のピクセルのフォトダイオードの選択の信号SELPDと、対応行のピクセルのLEDを選択するための信号SELLEDとをそれぞれ送達することが意図された2つの導電行トラックL1及びL2を有する。
【0118】
金属パッドP1、P2、P3、P4、P5、P6は、金属レベルM2の導電領域に形成され、要素ピクセルチップの6つの別個の接続パッドをそれぞれ受けるように意図されている。金属パッドP1、P2、P3、P4、P5、P6は、対応ピクセルの導電行トラックL1、対応ピクセルの導電行トラックL2、対応ピクセルのフォトダイオードPDの下部電極E1、対応ピクセルの導電列トラックC3、対応ピクセルの導電列トラックC4、及び対応ピクセルの導電列トラックC5にそれぞれ接続される。
【0119】
図5A及び図5Bに示す例では、図1A図1Iに関連して上述したものと同様に、基本チップ153は、ピクセルのフォトダイオードPDを形成する前に、転写基板100に接合され、電気的に接続される。
【0120】
図6A及び図6Bは、図5A及び図5Bに示す方法の代替実施形態のステップを示す上面図及び断面図であり、基本チップは、図3A図3Fに関連して上述したものと同様に、フォトダイオードPDの形成後に転写基板に接合され、電気的に接続される。
【0121】
この変形例では、図5Bの層505は、省略されるか、または透明層、例えばLED501の上部電極を形成する、例えばITOで作られる透明導電層で置き換えられ得ることに留意されたい。実際、各ピクセルにおいて、ピクセルのLED501は、ピクセルのフォトダイオードPDの直下に位置する。
【0122】
図6A及び図6Bの例では、平坦化層170(図6B)は透明材料からなる。
【0123】
図6A及び図6Bの変形例は、図4の変形例と組み合わされ得、その場合には、図6Bの金属領域CT及び導電ビア301を省略し得ることに留意されたい。
【0124】
図7は、一実施形態によるX線撮像装置の別の代替実施形態を示す断面図である。この例では、装置は、図1Iに関連して説明したタイプの2つのスタック装置を備える。
【0125】
図7の装置は、カラーX線撮像とも呼ばれるデュアルエネルギーX線撮像を実行することを可能にし、すなわち、上部撮像装置によって低エネルギーレベル(BE)と呼ばれる第1のエネルギーレベルを、下部撮像装置によって高エネルギーレベル(HE)と呼ばれる第2のエネルギーレベルを、それぞれ撮像することができる。一例として、上部撮像装置は、1~140keV、例えば40~80keVの範囲、例えば平均60keVのオーダーのエネルギーレベルを有する放射線を検出するように適合され、下部撮像装置は、60~140keV、例えば80~120keVの範囲、例えば平均で100keVのオーダーのエネルギーレベルを有する放射線を検出するように適合される。
【0126】
図示の例では、インターフェース層701が、上部撮像装置の支持プレート101の下面と下部撮像装置のシンチレータ180の上面との間に配置されている。上部撮像装置の支持プレート101の厚さは、高エネルギーフォトンの吸収を制限するために比較的小さいことが好ましい。一例として、上部撮像装置の支持プレート101の厚さは、下部撮像装置の支持プレート101の厚さよりも小さい。
【0127】
インターフェース層710は、高エネルギー放射線のみが下部撮像装置に到達するように、低エネルギー放射線をフィルタリングするように適合されたフィルタリング層を有し得る。フィルタリング層は、例えば金属層であり、例えば連続的であり、例えば銅またはアルミニウムからなり、例えば0.1~0.4mmの範囲の厚さを有する。フィルタリング層により、2つの撮像装置間のスペクトル分離を改善できる。
【0128】
変形例として、インターフェース層701は省略され得る。
【0129】
もちろん、図7の実施形態は、前述のすべての変形例と組み合わされ得る。
【0130】
様々な実施形態及び変形例が説明されてきた。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例の特定の特徴が組み合わされ得、他の変形例が当業者に思い浮かぶことを理解する。特に、記載された実施形態は、開示において言及された寸法及び材料の例に限定されない。
【0131】
さらに、それぞれのピクセルがモノリシックの基本チップ及びフォトダイオードを備えるピクセルのアレイを、シンチレータ180が、覆う実施形態の例が、上記で説明されている。変形例として、各ピクセルにおいて、検出器は、例えば、光フォトンがピクセルのフォトダイオードと相互作用して電子を生成するヨウ化セシウム(CsI:Tl)またはGADOX(GD2O2S:Tb)を備える群からの材料による、Xフォトンを光フォトンに直接、変換するように適合されたシンチレータ180に基づくアクティブ検出スタックを備える。
【0132】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0133】
100 転写基板
103 アクティブ有機感光性ダイオードスタック(アクティブスタック)
140 一時的支持基板
153 基本チップ
180 シンチレータ
501 LED
503 要素制御回路(集積回路)
701 インターフェース層(フィルタリング層)
PD フォトダイオード
E2 上部電極
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7