(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082697
(43)【公開日】2023-06-14
(54)【発明の名称】X線撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/144 20060101AFI20230607BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
H01L27/144 K
H01L27/146 F
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192866
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】2112879
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507362786
【氏名又は名称】コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】テンプリエ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルジェ ロイク
(72)【発明者】
【氏名】グロス-ダイロン エリック
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA19
4M118CA14
4M118CB02
4M118CB05
4M118EA14
4M118FC04
4M118GA10
4M118HA26
4M118HA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放射線撮影用途のためのX線撮像装置及びこのような装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】X線撮像装置は、電気接続要素を有する転写基板(100)及び転写基板(100)の電気接続要素に接合されて電気的に接続されたモノリシックの基本チップ(153)と、基本チップ(153)に電気的に接続された直接変換Xフォトン検出器(XD)と、を夫々有しているピクセルのアレイを備える。各ピクセルでは、基本チップ(153)は、ピクセルの直接変換Xフォトン検出器(XD)から読み取るための集積回路を有している。
【選択図】
図1F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続要素を有する転写基板、及び
前記転写基板の電気接続要素に接合されて電気的に接続されたモノリシックの基本チップと、前記基本チップに電気的に接続された直接変換Xフォトン検出器とを夫々有しているピクセルのアレイ
を備えており、
各ピクセルでは、前記基本チップは、前記ピクセルの前記直接変換Xフォトン検出器から読み取るための集積回路を有している、X線撮像装置。
【請求項2】
各基本チップでは、前記ピクセルの前記直接変換Xフォトン検出器から読み取るための前記集積回路はCMOS技術で形成されている、請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項3】
各ピクセルでは、前記直接変換Xフォトン検出器は、Xフォトンを電荷に直接、変換するように適合された半導体材料に基づくアクティブ検出スタックを有している、請求項1又は2に記載のX線撮像装置。
【請求項4】
前記半導体材料は、アモルファスセレン(a:Se)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヨウ化水銀(HgI2 )、酸化鉛(PbO)、テルル化カドミウム-亜鉛(Cd(Zn)Te)又はペロブスカイト材料を含む群からの材料である、請求項3に記載のX線撮像装置。
【請求項5】
前記アクティブ検出スタックは、前記ピクセルのアレイの表面全体に亘って連続的に延在している、請求項3に記載のX線撮像装置。
【請求項6】
各ピクセルでは、前記直接変換Xフォトン検出器は下部電極及び上部電極を有し、前記上部電極は前記X線撮像装置の全ての前記ピクセルに共通であり、前記下部電極はピクセル毎に個別化されている、請求項3に記載のX線撮像装置。
【請求項7】
各ピクセルでは、前記直接変換Xフォトン検出器は、前記ピクセルの前記基本チップを覆っている、請求項1又は2に記載のX線撮像装置。
【請求項8】
各ピクセルでは、前記ピクセルの前記基本チップは、無機LEDと、前記無機LEDを制御するための集積回路とを有している、請求項1又は2に記載のX線撮像装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の積み重ねられた第1のX線撮像装置及び第2のX線撮像装置を備えている、アセンブリ。
【請求項10】
前記第1のX線撮像装置と前記第2のX線撮像装置との間にフィルタリング層を備えている、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のX線撮像装置の製造方法であって、
前記基本チップを、一時的支持基板により、前記転写基板に一括で転写して接合する、方法。
【請求項12】
前記基本チップを前記転写基板に転写して接合した後に平坦化層を堆積させる工程を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記直接変換Xフォトン検出器を前記平坦化層の表面に転写する工程を有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に、例えば医療撮像の分野における放射線撮影用途のためのX線撮像装置、及び、このような装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のX線撮像装置においては、間接変換装置及び直接変換装置を区別することができる。
【0003】
間接変換装置は、光放射線を捕捉するように適合されたフォトダイオードのアレイと、フォトダイオードのアレイの上側に配置されたシンチレータとを備える。動作中、シンチレータは、X線を吸収することにより光を放出する。シンチレータによって放出される光は、フォトダイオードによって電荷に変換される。従って、フォトダイオードのアレイは、シンチレータによって放出される光分布を表す画像を取得し、この光分布自体は、シンチレータによって受けるX線分布を表す。
【0004】
直接変換装置は、吸収されるX線を電荷に直接、変換するように適合された半導体の変換材料の変換層を備える。変換層は、変換材料で生成される電荷を読み取るように適合された基本回路のアレイの上側に配置されている。動作中、変換層は、X線を吸収することにより電荷を生成する。これらの電荷は、読み出し回路のアレイによって読み取られる。従って、読み出し回路のアレイは、変換材料によって受けるX線分布を表す画像を直接、取得する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、直接変換X線撮像装置の形成がより具体的に検討される。
【0006】
実施形態は、
電気接続要素を有する転写基板、及び
前記転写基板の電気接続要素に接合されて電気的に接続されたモノリシックの基本チップと、前記基本チップに電気的に接続された直接変換Xフォトン検出器とを夫々有しているピクセルのアレイ
を備えており、
各ピクセルでは、前記基本チップは、前記ピクセルの前記直接変換Xフォトン検出器から読み取るための集積回路を有している、X線撮像装置を提供する。
【0007】
実施形態によれば、各基本チップでは、前記ピクセルの前記直接変換Xフォトン検出器から読み取るための前記集積回路はCMOS技術で形成されている。
【0008】
実施形態によれば、各ピクセルでは、前記直接変換Xフォトン検出器は、Xフォトンを電荷に直接、変換するように適合された半導体材料、例えばアモルファスセレン(a:Se)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヨウ化水銀(HgI2 )、酸化鉛(PbO)、テルル化カドミウム-亜鉛(Cd(Zn)Te)又はペロブスカイト材料を含む群からの材料に基づくアクティブ検出スタックを有している。
【0009】
実施形態によれば、前記アクティブ検出スタックは、前記ピクセルのアレイの表面全体に亘って連続的に延在している。
【0010】
実施形態によれば、各ピクセルでは、前記直接変換Xフォトン検出器は下部電極及び上部電極を有し、前記上部電極は前記X線撮像装置の全ての前記ピクセルに共通であり、前記下部電極はピクセル毎に個別化されている。
【0011】
実施形態によれば、各ピクセルでは、前記直接変換Xフォトン検出器は、前記ピクセルの前記基本チップを覆っている。
【0012】
実施形態によれば、各ピクセルでは、前記ピクセルの前記基本チップは、無機LEDと、前記無機LEDを制御するための集積回路とを有している。
【0013】
別の実施形態は、上記に定義されたような積み重ねられた第1のX線撮像装置及び第2のX線撮像装置を備えている、アセンブリを提供する。
【0014】
実施形態によれば、前記アセンブリは、前記第1のX線撮像装置と前記第2のX線撮像装置との間にフィルタリング層を備えている。
【0015】
別の実施形態は、上記に定義されたようなX線撮像装置の製造方法であって、前記基本チップを、一時的支持基板により、前記転写基板に一括で転写して接合する、方法を提供する。
【0016】
実施形態によれば、前記方法は、前記基本チップを前記転写基板に転写して接合した後に平坦化層を堆積させる工程を有する。
【0017】
実施形態によれば、前記方法は、前記直接変換Xフォトン検出器を前記平坦化層の表面に転写する工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面に関連して、具体的な実施形態の以下の非限定的な説明で詳細に論じられる。
【0019】
【
図1A】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の例の工程を示す平面図である。
【
図1B】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図1C】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図1D】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図1E】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図1F】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図3A】実施形態によるX線撮像装置の基本ピクセルチップを製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図3B】実施形態によるX線撮像装置の基本ピクセルチップを製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図3C】実施形態によるX線撮像装置の基本ピクセルチップを製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図3D】実施形態によるX線撮像装置の基本ピクセルチップを製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図3E】実施形態によるX線撮像装置の基本ピクセルチップを製造する方法の例の工程を示す断面図である。
【
図4A】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例の工程を示す平面図である。
【
図4B】実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例の工程を示す断面図である。
【
図5】実施形態によるX線撮像装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
様々な図には、同様の特徴は同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態で共通の構造的特徴及び/又は機能的特徴は、同じ参照符号を有してもよく、同一の構造的特性、寸法的特性及び材料的特性を有してもよい。
【0021】
明確にするために、本明細書に記載の実施形態を理解するのに役立つ工程及び要素のみを図示し、詳細に説明している。特に、記載されたX線撮像装置の様々な可能な用途は詳述されておらず、記載された実施形態は、既知のX線撮像用途の全て又は大部分と互換性があり、より具体的には、大きな寸法のX線撮像装置、例えば、横方向の寸法が10cmを超え、好ましくは20cmを超える装置を利用できる用途と互換性がある。更に、記載された装置の直接変換検出器及び電子制御回路の形成は詳述されておらず、これらの要素の形成は、本開示の記載に基づく当業者の技能の範囲内である。本明細書でX線とは、例えば、1,000eV(電子ボルト)から20MeV(メガ電子ボルト)の範囲のエネルギーを有するフォトンから形成される放射線を意味する。
【0022】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素について言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素について言及する場合、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0023】
以下の説明では、用語「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」などの絶対位置を述べる用語、又は、用語「の上」、「の下」、「上側」、「下側」などの相対位置を述べる用語、又は、「水平」、「垂直」などの方向を述べる用語について言及する場合、特に明記されていない限り、図面の断面図の向きを指す。
【0024】
特に明記しない限り、「およそ」、「約」、「実質的に」及び「程度」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を表す。
【0025】
記載された実施形態の態様によれば、転写基板、及び転写基板上に形成されたX線検出ピクセルアレイを備えるX線撮像装置が提供される。各検出ピクセルは、転写基板上に形成されて転写基板の電気接続要素(電気接続のためのトラック、領域、端子又はパッド)に電気的に連結又は接続された、Xフォトンを電荷に直接、変換するように適合された半導体変換材料に基づく検出器と、転写基板の電気接続要素に接合されて電気接続されたモノリシックの基本チップとを有する。各ピクセルでは、基本チップは、例えば、転写基板の少なくとも1つの電気接続要素によってX線検出器に接続される。基本チップは、好ましくはCMOS技術で形成された、X線検出器から読み取るための少なくとも1つの集積回路を有する。
【0026】
各基本チップは、チップ制御のために転写基板に接続されるように構成された複数の電気接続パッド(端子又はランディングとも称される)を有する接続面を有している。チップは、接続面が転写基板の接続面に面するように転写基板上に転写され、各チップの電気接続パッドを転写基板の対応する電気接続パッドに接続するように転写基板に接合される。
【0027】
記載された実施形態の利点は、X線検出器から読み取るためのモノリシックの集積回路、例えばCMOS回路の利点を受けながら、比較的低コストで、例えば10cmを超える、好ましくは20cmを超える横方向の寸法を有する大きな寸法の撮像装置を得ることができることである。利点は特に、転写基板上に直接、複数の薄層を連続的に堆積させることによって形成されるTFT(「薄膜トランジスタ」)に基づく回路に比べて、このようなモノリシックの集積回路によって導入される読み出しノイズが低いことである。別の利点は、TFT回路に比べて、このようなモノリシックの集積回路における電荷担体の移動度が向上することにより、読み取り速度が増すことである。更に、このような回路は、X線検出器によって送達される電気信号を処理する追加機能の実装を任意に可能にする。別の利点は、TFT回路に比べてモノリシックの基本チップの嵩が低いことである。
【0028】
このようなX線撮像装置の実施形態の例は、図面に関連して以下に更に詳細に説明される。
【0029】
【0030】
図1Aは、撮像装置の転写基板100の実施形態の例の部分簡略平面図である。
【0031】
図1Aでは、撮像装置の同じ行の隣り合う2つのピクセルに対応する、転写基板100の一部のみが示されている。
【0032】
図1Bから
図1Fは、様々な製造段階における装置の断面図である。
【0033】
転写基板100は、例えばガラス又はプラスチックなどの絶縁材料で形成された支持プレート又は支持シート101を例えば有している。変形例として、支持プレート又は支持シート101は、絶縁材料の層で覆われた、例えば金属製の導電支持体を有している。転写基板は、支持プレート101の上面に形成された電気接続要素、特に導電トラック及び導電パッドを更に有している。これらの電気接続要素は例えば、支持プレート101の上面における一連の導電レベル及び絶縁レベルのフルプレート堆積及びエッチングによって形成される。変形例として、電気接続要素は、支持プレート101の上面における一連の導電レベル及び絶縁レベルの印刷(又は別の局所堆積法)によって形成される。
【0034】
図示の例では、転写基板100は、絶縁レベルI(
図1Aには図示せず)によって分離された2つの導電金属レベルM1及びM2と、絶縁レベルIを通って2つの金属レベルM1及び金属レベルM2を接続する金属ビアV(
図1Bには図示せず)とを有している。この例では、転写基板100は、装置のピクセルの基本チップの対応する接続パッドに接続されるように構成された、上側の金属レベルM2に形成された金属接続パッドを更に有している。
【0035】
転写基板の電気接続要素を介して装置の基本チップに電力を供給して基本チップを制御するように適合された装置のアクティブ制御回路は例えば、転写基板100の周囲で転写基板の電気接続要素に接続されている。
【0036】
例として、転写基板100の製造は、以下の3つの連続した堆積・エッチング工程を有する。
【0037】
第1の工程中、例えば金属製の、例えばチタン、銅又はアルミニウムで形成された導電層を支持基板101の上面に堆積させて、次いでエッチングしてレベルM1を形成する。この例では、レベルM1は、撮像装置のピクセルのアレイの列方向(
図1Aの向きにおける垂直方向)に実質的に平行な複数の導電トラックを有する。より具体的には、この例では、撮像装置の列毎にレベルM1に、装置の列の実質的に全長に沿って延びる導電トラックC1が形成される。各トラックC1は、対応する列のピクセルの検出器で光生成される電荷の量、ひいては対応する列のピクセルの検出器が受けるXフォトンの量を表す信号VXを送達するように構成されている。
【0038】
第2の工程中、レベルM1を絶縁材料、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンの層で覆って、絶縁レベルIを形成する。次いで、ビアVの位置で絶縁層Iに局部的な開口部をエッチングして、レベルM1及びレベルM2の間の電気接続部を形成することができる。絶縁層Iの開口部は、例えばBHF(「バッファードフッ化水素酸」)タイプのウェットエッチング、又はプラズマエッチングによって例えば形成される。
【0039】
第3の工程中、例えば金属製の導電層を絶縁レベルIの上面に堆積させ、次いでエッチングしてレベルM2を形成する。例として、レベルM2の金属層はチタン、銅又はアルミニウムで形成される。この例では、レベルM2は、撮像装置のピクセルのアレイの行方向(
図1Aの向きにおける水平方向)に実質的に平行な複数の導電トラックを有する。より具体的には、この例では、撮像装置の行毎にレベルM2に、装置の行の実質的に全長に沿って延びる導電トラックL1が形成される。各導電トラックL1は、対応する行のピクセルの検出器を選択するための信号SELECTを送達するように構成されている。
【0040】
この例では、装置のピクセル毎にレベルM2に、ピクセルのX線検出器の下部電極に電気的に接続されるように構成された接触領域を画定する金属領域CTが更に形成される。
【0041】
第3の堆積工程の後、ピクセル毎に金属レベルM2の導電領域に、ピクセルの基本チップの3つの別個の接続パッドを夫々受けるように構成された3つの金属パッドP1、P2、P3を形成する。パッドP1、P2、P3は、対応するピクセル行の導電トラックL1、対応するピクセル列の導電トラックC1、及び接触領域CTに夫々接続される。
【0042】
変形例として、接続パッドP1、P2、P3は、レベルM2の一部によって直接、形成されてもよい。
【0043】
この例では、パッドP1はレベルM2の導電トラック部分を介してピクセルの列導電トラックC1に接続され、パッドP2はレベルM2の導電トラック部分及びビアVを介してピクセルの行導電トラックL1に接続され、パッドP3は、レベルM2の導電トラック部分によって接触領域CTに接続される。
【0044】
非限定的な例として、行方向及び列方向の装置のピクセル間のピッチは、50から500μmの範囲、例えば100から200μmの範囲、例えば150μm程度である。
【0045】
図1B及び
図1Cは、ピクセルの金属接続パッドP1、P2、P3に接合されて電気的に接続された基本制御・読み出しチップ153の各ピクセルにおける転写の工程を示す。
【0046】
この例では、基本チップ153を一時的支持基板140から転写基板100に一括で転写する。
【0047】
基本チップ153を、最初に一時的支持基板140の表面(図の向きにおける下面)に接合する。一時的支持基板140と基本チップ153とを有する構造体は例えば、
図3Aから
図3Eに関連して以下に説明するタイプの方法によって形成される。
【0048】
各基本チップは、半導体基板、例えば単結晶シリコン基板の内部及び最上部に形成された少なくとも1つ、好ましくは複数のMOSトランジスタを有する。基本チップ153は、例えば、CMOS技術で形成される。各基本チップは、対応するピクセルの列導電トラックC1に(端子P2を介して)ピクセルのX線検出器によって受けるXフォトンの量を表す信号、例えば電圧を送達するように適合される。チップ153は、画像取得段階中にピクセルを行毎に読み取るために、対応する導電トラックL1に与えられる信号SELECTによって行毎に選択されてもよい。
【0049】
一時的支持基板140をハンドルとして用いて、転写基板100の接続面の前に、すなわち図の向きにおける上面に基本チップ153を一括で転写する(
図1B)。
【0050】
次いで、前記チップの下面側に位置する基本チップ153の接続パッド143を、転写基板100の対応する接続パッドP1、P2、P3と接するように配置して、前記接続パッドP1、P2、P3に接合する。転写基板の接続パッドへの基本チップ153の接続パッド143の接合を例えば、直接接合、熱圧着、はんだ付け、パッド143に予め形成された金属微細構造体(例えばマイクロピラー)によって、又は、任意の他の適合された接合及び接続方法によって行う。
【0051】
接続パッド143によって転写基板100に接合されると、基本チップ153を一時的支持基板140から分離し、一時的支持基板を除去する(
図1C)。
【0052】
転写基板100における基本チップ153のピッチは、一時的支持基板140における基本チップ153のピッチより大きくてもよい。好ましくは、転写基板100における基本チップ153のピッチは、一時的支持基板140における基本チップ153のピッチの倍数である。この場合、チップ153の一部のみが、
図1B及び
図1Cに示されるように、各転写で一時的支持基板140からサンプリングされる。他のチップ153は、一時的支持基板140に固定されたままであり、転写基板100の別の部分又は別の転写基板に装着すべく、一括で転写する別の工程中に使用されてもよい。
【0053】
図1Dは、
図1Aから
図1Cの工程の最後に得られた構造に平坦化層170を堆積させる工程を示す。平坦化層170の材料は、透明な又は透明でない誘電材料、例えばポリマー材料である。平坦化層170の材料は、転写基板の上面から、基本チップ153の上面の高さより大きい高さまで延在する。従って、平坦化層170の材料は、転写基板及び基本チップ153を完全に覆う。平坦化層170の上面は、実質的に平坦であり、ピクセルアレイの表面全体に亘って連続的に延在する。
【0054】
図1Eは、層170を垂直に貫通する導電ビア301を各ピクセルに形成する工程を示す。導電ビア301は、下面によって接触領域CTの上面と接する。導電ビア301の上面は、層170の上面と面一である。
【0055】
図1Fは、アレイ検出構造体310をパッシベーション層170の上面に転写する工程の最後に得られる構造を示す。
【0056】
構造体310は、撮像装置のピクセルアレイと同じピッチ及び同じ寸法のX線検出器XDのアレイを有する。従って、撮像装置の各ピクセルは、この例ではピクセルの基本制御チップ153と一列に垂直に配置された検出器XDを有する。
【0057】
各検出器XDは、下部電極E1、アクティブXフォトン検出スタック103、及び上部電極E2のスタックによって形成される。
【0058】
下部電極E1及び上部電極E2は、例えば、電極間に電場を与え得るために、金属又は任意の他の適合された導電性材料で形成される。
【0059】
アクティブ検出スタック103は、半導体材料によって吸収されたXフォトンを電荷(電子/正孔対)に直接、変換するように適合された半導体材料で形成された少なくとも1つの層を有する。
【0060】
検出スタック103の半導体材料は、例えばアモルファスセレン(a:Se)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヨウ化水銀(HgI2 )、酸化鉛(PbO)、テルル化カドミウム-亜鉛(Cd(Zn)Te)、又はペロブスカイト材料である。
【0061】
図示の例では、アクティブ検出スタック103及び上部電極E2は非ピクセル化されており、すなわち、撮像装置のピクセルアレイの表面全体に亘って連続的に延在する。
【0062】
しかし、様々な検出器の下部電極E1は、装置の様々なピクセルの光検出器XDからの個々の読み取りを可能にするために互いに電気的に絶縁されている。つまり、構造体310のピクセル化は、検出器XDの下部電極E1のレベルで行われる。
【0063】
装置の各ピクセルでは、ピクセル検出器XDの下部電極E1は、下面によってビア301の上面と接している。従って、下部電極E1は、ビア301によってピクセルの接触領域CT(及び、ひいてはピクセルの基本チップ153)に電気的に接続されている。
【0064】
構造体310は、別個に形成され、次いでパッシベーション層170の上面に転写されてもよい。変形例として、電極E1、アクティブ検出スタック103及び共通の上部電極E2をパッシベーション層170の上面に連続して堆積させてもよい。
【0065】
下部電極E1の横方向の寸法は、撮像装置のピクセル間のピッチの50%より大きく、好ましくは70%より大きく、更に好ましくは90%より大きいことが好ましい。
【0066】
図面は縮尺どおりに示されていないことに留意されたい。例として、アクティブ検出スタックの厚さは、対象となる用途に応じて200μmから1mmの範囲であり、例えば600μm程度である。基本チップ153の厚さは、例えば100μmから500μmの範囲である。基本チップ153の横方向の寸法は、例えば5μmから150μm、例えば10μmから60μmの範囲である。
【0067】
図2は、
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、
図1E及び
図1Fの方法の変形例を示す断面図である。この変形例では、各ピクセルで、ピクセルの基本チップ153と検出器XDの下部電極E1との電気接続が、基本チップの上面に設けられた基本チップの金属接続端子143’を介して行われる。接続端子143’は、平坦化層170の上面と面一である。接続端子143’は、上面によって電極E1の下面と接している。従って、
図1Aから
図1Fの例における導電ビア301及び金属の接触領域CTは省略されてもよい。
【0068】
【0069】
図3Aは、装置のピクセルの今後の基本チップ153の集積制御回路に夫々対応する、例えば同一又は同様の複数の基本集積制御回路203が内部及び最上部に形成されている第1の基板201を備える制御構造体を概略的に示す。
【0070】
図示の例では、基板201は、SOI(「セミコンダクタ・オン・インシュレータ」)タイプの基板であり、例えばシリコンで形成された半導体の支持基板201aと、支持基板201aの上面に配置されて支持基板201aの上面と接する、例えばシリコン酸化物で形成された絶縁層201bと、絶縁層201bの上面に配置されて絶縁層201bの上面と接する、例えば単結晶シリコンで形成された上部半導体層201cとを有する。
【0071】
この例では、基本制御回路203は、基板201の上部半導体層201cの内部及び最上部に形成される。各基本制御回路203は例えば、一又は複数のMOSトランジスタ(図面にて詳述されず)を有する。基本制御回路203は例えば、CMOS(「相補型金属酸化物半導体」)技術で形成される。各基本制御回路203は、撮像装置のフォトン検出器XDから読み取るための回路を有してもよい。
【0072】
図3Bは、
図3Aの構造体を一時的支持基板140に転写して接合する工程の最後に得られる構造を示す。
【0073】
【0074】
この例では、一時的支持基板140は、例えば200μmから700μmの範囲の厚さを有して支持材料、例えばガラス又はシリコンの第1の層140aと、
図1B及び
図1Cの一括で転写する工程中に基本チップの選択的分離を可能にする比較的低い接着性の接着材料、例えばポリマー材料で形成されたより薄い第2の層140bとを有する。この例では、第2の層140bは、第1の層140aの上面に配置されて第1の層140aの上面と接する。制御回路203を有する構造体は、下面によって、すなわち(
図3Aの向きにおける上面に相当する)支持体201aとは反対側の面によって第2の層140bの上面に接合される。
【0075】
図3Cは、SOI構造の絶縁層201bの上面へのアクセスを可能にするために、例えば研削及び/又は化学エッチングによって最初のSOI構造の支持体201aを除去する工程の後に得られる構造を示す。
【0076】
説明される実施形態は、基板201がSOIタイプの基板である上記の例に限定されないことに注目すべきである。変形例として、基板201は、例えばシリコンで形成された固体半導体基板であってもよい。この場合、
図3Cの工程で、基板201を、例えば研削によって、裏側(
図3Cの向きにおける上面)から薄くしてもよい。次いで、例えば酸化シリコンで形成された絶縁性のパッシベーション層を、薄くした基板の上面に堆積させて、SOI基板の層201bを置き換えてもよい。
【0077】
図3Dは、層201b及び層201cに開口部を形成し、前記開口部の内側及び最上部に接触用メタライゼーション143を形成する工程の最後に得られる構造を示す。メタライゼーション143は、半導体層201cの下面側に配置された相互接続スタックの金属レベル(図面にて詳述されず)に電気接点を得ることを可能にする。メタライゼーション143は例えば、制御回路のトランジスタに電気的に接続され、これらのトランジスタ自体は、制御回路203の接続用メタライゼーション205に電気的に接続又は連結される。
【0078】
メタライゼーション143は、装置の転写基板100の対応する接続端子に接続されるように構成された、装置のピクセルの今後の基本チップの接続端子を形成する。
【0079】
図3Eは、装置の基本ピクセルチップのダイシング工程の最後に得られる構造を示す。このために、層201b及び層201cを通って垂直に延びるトレンチ151が、ソーイングラインに沿って構造体の上面から形成される。この例では、トレンチは一時的支持基板140の上面まで延びる。平面図ではトレンチ151は、基本制御回路203を夫々有する、例えば同一又は同様の複数の基本ピクセルチップ153を横方向に画定する連続したゲートを形成する。トレンチ151は、例えばプラズマエッチングによって形成される。
【0080】
基本チップ153は、
図1B及び
図1Cに関連して上述したように、X線撮像装置の転写基板100上に転写されるように構成される。
【0081】
図4A及び
図4Bは、実施形態によるX線撮像装置を製造する方法の別の例の工程を示す平面図及び断面図である。
【0082】
図4Aは、撮像装置の転写基板100の実施形態の例の部分簡略平面図である。
図4Bは、装置の断面図である。
【0083】
【0084】
図4A及び
図4Bの例では主に、各ピクセルで、転写基板に配置された各基本チップ153が、ピクセル検出器XDから読み取るための集積回路だけでなく、無機発光ダイオード(LED)、及びLEDを制御するための集積回路も有するという点において、
図4A及び
図4Bの例は
図1Aから
図1Fの例とは異なる。
【0085】
基本チップ153にLEDを一体化することにより、2つの画像取得段階の間に、検出器XDに光フラッシュを与えることによって検出器XDをリセットする工程を行い得ることが有利である。
【0086】
この変形例では、ピクセルの下部電極E1は、好ましくは透明導電材料、例えば透明導電酸化物、例えば酸化インジウムスズ(ITO)で形成される。
【0087】
基本チップ153は、例えば、先に出願された特許出願の国際公開第2017/089676号パンフレット、欧州特許出願公開第3401958号明細書、及び国際公開第2018/185433号パンフレットに記載されたタイプのモノリシックのピクセルチップである。各ピクセルチップは、LED501と、LEDに接するように配置されてLEDに電気的に接続された基本制御回路503とを有する。制御回路503は、例えばCMOS技術で形成される。制御回路503は例えば、ピクセルのX線検出器XDを制御してX線検出器XDを読み出すための回路と、LEDを制御するための回路とを有する。
【0088】
この例では、LED501は基本制御回路503の上面を覆う。基本制御回路503は、下面側に接続端子143を有する。
【0089】
【0090】
ピクセルの検出器XDによって生成される電気信号を読み取り、放出中のピクセルのLED501を制御することを可能にするために、
図4A及び
図4Bの例の転写基板100は、
図1Aから
図1Fの例より多くの導電トラック及び接続用メタライゼーションを有する。更に、基本チップ153は、前述したものより多くの接続端子を有する。
【0091】
図示の例では、各基本チップは、転写基板100の6つの金属接続パッドP1、P2、P3、P4、P5、P6に夫々接続されるように構成された6つの接続端子を有する。
【0092】
例として、レベルM1は、撮像装置のピクセル列毎に、対応する列のピクセルの検出器XDによって受けるX放射線の強度を表す信号VX、対応する列のピクセルのLEDを制御するための信号DATA、対応する列のピクセルのLEDを制御するための信号DATA、及び対応する列のピクセルのLEDに電力を供給するための信号VDDを夫々送達するように構成された3つの列導電トラックC1、C2、C3を有する。例として、レベルM2は、撮像装置のピクセル行毎に、対応する行のピクセルのX線検出器を選択するための信号SELXと、対応する列のピクセルのLEDを選択するための信号SELLEDとを夫々送達するように構成された2つの行導電トラックL1、L2を有する。
【0093】
金属パッドP1、P2、P3、P4、P5、P6は、金属レベルM2の導電領域に形成されており、基本ピクセルチップの6つの別個の接続パッドを夫々受けるように構成されている。パッドP1、P2、P3、P4、P5、P6は、対応するピクセル行の導電トラックL1、対応するピクセル行の導電トラックL2、対応するピクセルの検出器XDの電極E1、対応するピクセル列の導電トラックC3、対応するピクセル列の導電トラックC4、及び対応するピクセル列の導電トラックC5に夫々接続される。
【0094】
図4A及び
図4Bの変形例は
図2の変形例と組み合わされてもよく、その場合、
図4Bの接続要素CT及び接続要素301は省略されてもよいことに注目すべきである。
【0095】
図5は、実施形態によるX線撮像装置の別の代替的な実施形態を示す断面図である。この例では、X線撮像装置は、
図1Fに関連して説明したタイプの積み重ねられた2つの装置を備えている。
【0096】
図5の装置は、カラーX線撮像とも称されるデュアルエネルギーX線撮像を行うことを可能にし、すなわち、上側撮像装置によって低エネルギーレベル(BE)と称される第1のエネルギーレベル、及び下側撮像装置によって高エネルギーレベル(HE)と称される第2のエネルギーレベルを夫々撮像することを可能にする。例として、上側撮像装置は、1keVから140keV、例えば40keVから80keVの範囲、例えば平均で60keV程度のエネルギーレベルを有する放射線を検出するように適合され、下側撮像装置は、60keVから140keV、例えば80keVから120keVの範囲、例えば平均で100keV程度の波長を有する放射線を検出するように適合される。
【0097】
図示の例では、インターフェース層510が、上側撮像装置の支持基板101の下面と下側撮像装置の検出構造体310の上面との間に配置されている。上側撮像装置の支持基板の厚さは、高エネルギーフォトンの吸収を制限するために比較的小さいことが好ましい。例として、上側撮像装置の支持基板の厚さは、下側撮像装置の支持基板の厚さより小さい。
【0098】
インターフェース層510は、高エネルギー放射線のみが下側撮像装置に達するように、低エネルギー放射線をフィルタリングするように適合されたフィルタリング層を有してもよい。フィルタリング層は、例えば金属層であり、例えば連続的であり、例えば銅又はアルミニウムで形成され、例えば0.1から0.4mmの範囲の厚さを有する。フィルタリング層により、2つの撮像装置間のスペクトル分離を向上させることができる。フィルタリング層は、例えばポリマー材料などの電気絶縁材料で形成された透明なフィルム(図面には詳述されず)によって、検出構造体310の上部電極から電気的に絶縁されることが好ましい。例として、2つの撮像装置の夫々が、例えば電気絶縁材料で形成された、図面では見えない保護パッケージを有し、フィルタリング層は2つの撮像装置の間に配置される。
【0099】
変形例として、インターフェース層510は省略されてもよい。
【0100】
言うまでもなく、
図5の実施形態は、前述の全ての変形例と組み合わされてもよい。
【0101】
様々な実施形態及び変形例が説明されている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例のある特徴が組み合わされてもよいと理解し、他の変形例が当業者に想起される。特に、記載された実施形態は、本開示で言及された寸法及び材料の例に限定されない。