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特開2023-82728シート保持具、屋根構造及び屋根構造の構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082728
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】シート保持具、屋根構造及び屋根構造の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/36 20060101AFI20230608BHJP
   E04D 3/366 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
E04D3/36 H
E04D3/36 L
E04D3/366 103H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196595
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】500120060
【氏名又は名称】株式会社仲井
(71)【出願人】
【識別番号】591208814
【氏名又は名称】株式会社佐武
(74)【代理人】
【識別番号】100181733
【弁理士】
【氏名又は名称】淺田 信二
(72)【発明者】
【氏名】仲井 雅弘
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AZ01
2E108BN06
2E108CC01
2E108DF07
2E108FF04
2E108FG12
2E108GG00
(57)【要約】
【課題】屋根材の下方に設けられるシートを保持する。
【解決手段】シート保持具100は、隣り合うシート5を下方から支持する下側部材10と、隣り合うシート5を間に挟んで下側部材10に重ねられる上側部材20と、を備え、下側部材10は、隣り合うシート5が載置される載置部11と、隣り合うシート5の間から上方に突出して載置部11に設けられた突出部12と、を有し、上側部材20は、突出部11を受入れ可能な形状に形成されており、上側部材20が突出部12を受入れた状態において、突出部12は、上側部材20を介して隣り合うシート5を載置部11に押付ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材の下方において互いに横方向に隣り合うシートを保持するシート保持具であって、
前記隣り合うシートを下方から支持する下側部材と、
前記隣り合うシートを間に挟んで前記下側部材に重ねられる上側部材と、を備え、
前記下側部材は、
前記隣り合うシートが載置される載置部と、
前記隣り合うシートの間から上方に突出して前記載置部に設けられた突出部と、を有し、
前記上側部材は、前記突出部を受入れ可能な形状に形成されており、
前記上側部材が前記突出部を受入れた状態において、前記突出部は、前記上側部材を介して前記隣り合うシートを前記載置部に押付ける、
シート保持具。
【請求項2】
前記突出部は、
前記載置部から上方に延びる第1延在部と、
前記屋根材を支持する支持構造体に引っ掛け可能に前記第1延在部から曲げ返された第2延在部と、を有し、
前記第2延在部が前記上側部材を介して前記隣り合うシートを前記載置部に押付ける、
請求項1に記載のシート保持具。
【請求項3】
前記上側部材は、前記支持構造体の下方において前記第1延在部と前記第2延在部との間を塞ぐ、
請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
屋根材の下方において横方向に並べて配置された複数のシートユニットを備え、
前記複数のシートユニットの各々は、
シートと、
前記シートを下方から支持する下側部材と、
前記シートに固定された上側部材と、を備え、
前記下側部材は、
前記シートが載置される載置部と、
上方に突出して前記載置部に設けられた突出部と、を有し、
複数の前記シートユニットが前記横方向に並べて配置された状態において、隣り合う前記シートユニットのうちの一方の前記シートユニットにおける前記シートは、他方の前記シートユニットにおける前記下側部材の前記載置部に載置され、前記他方のシートユニットにおける前記下側部材の前記突出部は、前記隣り合うシートユニットにおける前記シートの間から上方に突出し、前記一方のシートユニットにおける前記上側部材は、前記他方のシートユニットにおける前記下側部材に重ねられると共に前記他方のシートユニットにおける前記下側部材の前記突出部を受入れ、前記他方のシートユニットにおける前記下側部材の前記突出部は、前記一方のシートユニットにおける前記上側部材を介して前記隣り合うシートユニットにおける前記シートを前記他方のシートユニットにおける前記下側部材の前記載置部に押付ける、
屋根構造。
【請求項5】
屋根材の下方において横方向に並べて配置された複数のシートを備える屋根構造の構築方法であって、
前記シートと、前記シートを下方から支持する下側部材と、前記シートに固定された上側部材と、を備えるシートユニットを複数組み立てる組立工程と、
一の前記シートユニットにおける前記上側部材を別の前記シートユニットにおける前記下側部材に重ねて前記一のシートユニットを前記別のシートユニットに並べて配置する配置工程と、を備え、
前記別のシートユニットにおける前記下側部材は、前記シートが載置される載置部と、上方に突出して前記載置部に設けられた突出部と、を有し、
前記一のシートユニットにおける前記上側部材は、前記突出部を受入れ可能な形状に形成されており、
前記配置工程において、
前記一のシートユニットにおける前記シートを、前記別のシートユニットにおける前記下側部材の前記載置部に載置し、
前記別のシートユニットにおける前記下側部材の前記突出部を前記別のシートユニットにおける前記シートと前記一のシートユニットにおける前記シートとの間から上方に突出させ、
前記一のシートユニットにおける前記上側部材に、前記別のシートユニットにおける前記下側部材の前記突出部を挿入し、
前記別のシートユニットにおける前記下側部材の前記突出部を用いて、前記一のシートユニットにおける前記上側部材を介して前記隣り合うシートユニットにおける前記シートを前記別のシートユニットにおける前記下側部材の前記載置部に押付ける、
屋根構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート保持具、屋根構造、及び屋根構造の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の屋根構造において、屋根材の下方に断熱材又は遮熱材を設けることがある。特許文献1には、折板屋根材の下方に複数のボード状の断熱材を一様に敷設した屋根構造が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された屋根構造では、折板屋根材を支持するタイトフレームが梁の上に固定されている。タイトフレームは、梁の長手方向に直交する方向に突出したハネ部を備えている。隣り合う梁の上に固定された2つのタイトフレームを連結するジョイナーがハネ部に引っ掛けられて取り付けられており、ボード状の断熱材の端部がジョイナーに載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-014743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、繊維系断熱材又は発泡プラスチック系断熱材から形成されたボードに代えて、放射熱に対して高反射率のシートを屋根材の下方に一様に設けることが提案されている。このようなシートは、繊維系断熱材又は発泡系断熱材から形成されたボードと比較して薄くて軽い。そのため、屋根構造の構築時において、ジョイナーにシートを載置するだけでは、風等によってシートが浮いたり飛んだりしてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、屋根材の下方に設けられるシートを保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、屋根材の下方において互いに横方向に隣り合うシートを保持するシート保持具に係り、隣り合うシートを下方から支持する下側部材と、隣り合うシートを間に挟んで下側部材に重ねられる上側部材と、を備え、下側部材は、隣り合うシートが載置される載置部と、隣り合うシートの間から上方に突出して載置部に設けられた突出部と、を有し、上側部材は、突出部を受入れ可能な形状に形成されており、上側部材が突出部を受入れた状態において、突出部は、上側部材を介して隣り合うシートを載置部に押付ける。
【0008】
また、本発明は、屋根構造に係り、屋根材の下方において横方向に並べて配置された複数のシートユニットを備え、複数のシートユニットの各々は、シートと、シートを下方から支持する下側部材と、シートに固定された上側部材と、を備え、下側部材は、シートが載置される載置部と、上方に突出して載置部に設けられた突出部と、を有し、複数のシートユニットが横方向に並べて配置された状態において、隣り合うシートユニットのうちの一方のシートユニットにおけるシートは、他方のシートユニットにおける下側部材の載置部に載置され、他方のシートユニットにおける下側部材の突出部は、隣り合うシートユニットにおけるシートの間から上方に突出し、一方のシートユニットにおける上側部材は、他方のシートユニットにおける下側部材に重ねられると共に他方のシートユニットにおける下側部材の突出部を受入れ、他方のシートユニットにおける下側部材の突出部は、一方のシートユニットにおける上側部材を介して隣り合うシートユニットにおけるシートを他方のシートユニットにおける下側部材の載置部に押付ける。
【0009】
また、本発明は、屋根材の下方において横方向に並べて配置された複数のシートを備える屋根構造の構築方法に係り、シートと、シートを下方から支持する下側部材と、シートに固定された上側部材と、を備えるシートユニットを複数組み立てる組立工程と、一のシートユニットにおける上側部材を別のシートユニットにおける下側部材に重ねて一のシートユニットを別のシートユニットに並べて配置する配置工程と、を備え、別のシートユニットにおける下側部材は、シートが載置される載置部と、上方に突出して載置部に設けられた突出部と、を有し、一のシートユニットにおける上側部材は、突出部を受入れ可能な形状に形成されており、配置工程において、一のシートユニットにおけるシートを、別のシートユニットにおける下側部材の載置部に載置し、別のシートユニットにおける下側部材の突出部を別のシートユニットにおけるシートと一のシートユニットにおけるシートとの間から上方に突出させ、一のシートユニットにおける上側部材に、別のシートユニットにおける下側部材の突出部を挿入し、別のシートユニットにおける下側部材の突出部を用いて、一のシートユニットにおける上側部材を介して隣り合うシートユニットにおけるシートを他方のシートユニットにおける下側部材の載置部に押付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋根材の下方に設けられるシートを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る屋根構造の一部断面斜視図である。
図2】(a)は、図1に示す屋根構造を梁間方向に見た側断面図であり、(b)は、シート保持具の下側部材から上側部材を分離した状態の屋根構造を、図2(a)に対応して示す側断面図である。
図3図2(a)に示すIII-III線に沿う拡大断面図である。
図4】(a)及び(b)は、本実施形態に係る屋根構造の構築方法を説明するための図である。
図5図4(a)に示すV部の拡大図である。
図6図4(a)に示すVI部の拡大図である。
図7】(a)及び(b)は、本発明の実施形態における変形例に係る屋根構造の構築方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るシート保持具100、屋根構造1、及び屋根構造1の構築方法について、図面を参照して説明する。屋根構造1は、例えば、工場、倉庫及び体育館等の建造物に適用される。
【0013】
図1は、屋根構造1の一部断面斜視図である。図1に示すように、屋根構造1は、建造物の梁間方向に延びる複数の梁2と、梁2に上方に突出するように設けられた複数のタイトフレーム3と、複数のタイトフレーム3に掛け渡された屋根材4と、を備えている。屋根材4は、建造物の最上部に位置し、建造物の内部空間の上部を覆う。図1では、屋根材4が折板である例が示されているが、屋根材4は、折板に限られない。
【0014】
梁2は、建造物の桁行方向に間隔を空けて配置されており、不図示の柱に支持されている。隣り合う梁2の間には、不図示の桁が渡されている。図1では、梁2がH型鋼である例が示されているが、梁2は、H形鋼に限られず、例えば木桟であってもよい。
【0015】
タイトフレーム3は、各梁2の上に梁間方向に互いに間隔を空けて設けられている。タイトフレーム3は、溶接により梁2に固定されていてもよいし、ボルト締めにより梁2に固定されていてもよい。
【0016】
屋根構造1は、屋根材4の下方に配置された複数のシート5を更に備えている。シート5は、タイトフレーム3を梁2に固定した後であってタイトフレーム3に屋根材4を固定する前に、梁間方向に並べられると共に桁行方向に並べられ、隣り合う梁2の間の空間を覆う。
【0017】
シート5は、複数のポリエチレンシートと複数のバブルポリエチレンシートとを交互に重ね更にアルミ箔で挟んだ素材である。アルミ箔は、放射熱を反射する遮熱効果を有し、バブルポリエチレンシートは、熱伝導を抑制する断熱効果を有する。つまり、シート5は、アルミ箔による遮熱効果と、バブルポリエチレンシートによる断熱効果と、を併せ持つ。このようなシート5としては、例えば、米国リフレクティックスインク社製の「リフレクティックス」(登録商標)を用いることができる。
【0018】
アルミ箔における放射熱に対する反射率は、繊維系断熱材及び発泡プラスチック系断熱材よりも高い。したがって、リフレクティックスのようにアルミ箔を有するシート5を屋根材4の下方に配置することにより、建造物の外部と内部との間での熱移動を軽減することができ、建造物内部の温度変動を軽減することができる。これにより、建造物における快適さを向上させることができる。
【0019】
一方で、リフレクティックスのようなシート5の厚みは10mm以下(より具体的には、8mm程度)であり、繊維系断熱材及び発泡プラスチック系断熱材からなるボードと比較して薄く軽量である。そのため、シート5を、例えば桁行方向に隣り合うタイトフレーム3に掛け渡した部材に載置するだけでは、風等によってシート5が浮いたり飛んだりしてしまうおそれがある。
【0020】
本実施形態に係るシート保持具100は、シート5を保持するために用いられる。以下、シート保持具100について、図2から図6を参照して詳述する。
【0021】
図2(a)は、屋根構造1を梁間方向に見た側断面図である。図3は、図2(a)に示すIII-III線に沿う拡大断面図である。なお、図2(a)では、屋根材4の図示を省略している。
【0022】
図2(a)及び図3に示すように、タイトフレーム3は、桁行方向に突出するハネ部3aを有している。シート保持具100は、桁行方向に互いに隣り合うタイトフレーム3のハネ部3aに引っ掛けて取り付けられる。以下において、「上方」及び「下方」は、シート保持具100は、タイトフレーム3のハネ部3aに取り付けた状態での鉛直上方及び鉛直下方である。
【0023】
シート保持具100は、梁間方向に隣り合うシート5を下方から支持する下側部材10と、隣り合うシート5を間に挟んで下側部材10に重ねられる上側部材20と、を備えている。図2(b)は、下側部材10から上側部材20を分離した状態の屋根構造1を、図2(a)に対応して示す側断面図である。図2(b)では、図2(a)と同様に、屋根材4の図示を省略している。
【0024】
図3に示すように、下側部材10は、隣り合うシート5が載置される載置部11と、隣り合うシート5の間から上方に突出して載置部11に設けられた突出部12と、を有している。下側部材10は、帯状の一枚の金属板に曲げ加工を施すことにより形成される。
【0025】
載置部11は、隣り合うシート5のうちの一方のシート5が載置される第1載置部11aと、隣り合うシート5のうちの他方のシート5が載置される第2載置部11bと、を含む。
【0026】
以下において、図3に示される2つのシート5のうち紙面左側のシート5を「左側シート5a」とも称し、紙面右側のシート5を「右側シート5b」とも称する。また、第1載置部11aを「左側載置部11a」とも称し、第2載置部11bを「右側載置部11b」とも称する。
【0027】
左側載置部11aは、右側載置部11bの下方に重ねられかつ右側載置部11bから左側に延出するように、右側載置部11bの右端で曲げ返されて形成される。
【0028】
突出部12は、右側載置部11bの左端で上方に曲げられ上方に延びる第1延在部12aと、第1延在部12aの上端で下方に曲げ返された第2延在部12bと、を含む。第1延在部12aと第2延在部12bとの間にタイトフレーム3のハネ部3aを挿入することにより、突出部12がタイトフレーム3に引っ掛けられる。つまり、第2延在部12bは、タイトフレーム3のハネ部3aに引っ掛け可能に第1延在部12aから曲げ返されている。
【0029】
第2延在部12bは、詳細には、上下方向における異なる2か所で10°~50°程度で曲げられている。第2延在部12bの上端12cと、上側の曲げ部12dと、の間の部分は、下方に向かうにつれて第1延在部12aから離れるように第1延在部12aに対して傾斜している。上側の曲げ部12dと下側の曲げ部12eとの間の部分は、下方に向かうにつれて第1延在部12aに近づくように第1延在部12aに対して傾斜している。下側の曲げ部12eと下端12fとの間の部分は、下方に向かうにつれて第1延在部12aから離れるように第1延在部12aに対して傾斜している。
【0030】
下側の曲げ部12eと下端12fとの間の部分が上記のように傾斜しているため、タイトフレーム3のハネ部3aを下方から第1延在部12aと第2延在部12bとの間に容易に挿入することができる。また、上端12cと上側の曲げ部12dとの間の部分が上記のように傾斜しているため、ハネ部3aに突出部12が引っ掛けられた状態では、梁間方向への突出部12の動きをハネ部3aにより規制することができる。
【0031】
上側部材20は、下側部材10の突出部12を受入れ可能な形状に形成されている。具体的には、上側部材20は、突出部12を下方から受入れる断面略逆V字状の受入部21と、受入部21の一方の下端から外側に出る第1庇部22aと、受入部21の他方の下端から外側に出る第2庇部22bと、を有している。上側部材20は、下側部材10と同様に、帯状の一枚の金属板に曲げ加工を施すことにより形成される。
【0032】
以下において、下側部材10と同様に、図3に示される受入部21の2つの下端のうち紙面左側の下端を「左下端」とし、紙面右側の下端を「右下端」とする。また、第1庇部22aを「左側庇部22a」とも称し、第2庇部22bを「右側庇部22b」とも称する。
【0033】
受入部21は、間に突出部12の第2延在部12bを受入れ可能に配置された第1側壁部21a及び第2側壁部21bを有している。上側部材20は、第1側壁部21aが突出部12の第1延在部12aに対して第2延在部12bとは反対側に位置するように下側部材10に重ねられる。第1側壁部21aは、受入部21の頂部21eと左側庇部22aとの間に渡って略直線状に延びている。
【0034】
また、受入部21は、第2側壁部21bから第1側壁部21aに向かって突出し括れを形成する括れ部21cと、括れ部21cと右側庇部22bとの間に渡って設けられる第3側壁部21dと、を有している。上側部材20が下側部材10に重ねられた状態では、括れ部21cは、突出部12の第2延在部12bの下方に位置する。つまり、第2延在部12bは、第1側壁部21aと第2側壁部21bとの間にのみ配置され、第1側壁部21aと第3側壁部21dとの間には配置されない。
【0035】
突出部12の第2延在部12bは、左側シート5a及び右側シート5bを間に挟んで上側部材20を下側部材10に重ねた状態において括れ部21cを下方に付勢するように形成されている。そのため、上側部材20の左側庇部22aが左側シート5aに押付けられ、上側部材20の右側庇部22bが右側シート5bに押付けられる。その結果、左側シート5aが下側部材10の左側載置部11aに押付けられ、右側シート5bが下側部材10の右側載置部11bに押付けられる。
【0036】
このように、上側部材20の受入部21が下側部材10の突出部12を受入れた状態において、突出部12は、上側部材20を介して左側シート5a及び右側シート5bを下側部材10の左側載置部11a及び右側載置部11bにそれぞれ押付ける。そのため、左側シート5a及び右側シート5bは、下側部材10と上側部材20とによって挟持される。したがって、左側シート5a及び右側シート5bを容易に保持することができ、風等によって左側シート5a及び右側シート5bが浮いたり飛んだりすることを防ぐことができる。
【0037】
突出部12は、タイトフレーム3のハネ部3aに引っ掛け可能に第1延在部12aから曲げ返された第2延在部12bを有しており、第2延在部12bが、上側部材20を介して左側シート5a及び右側シート5bを下側部材10の載置部11に押付ける。そのため、第2延在部12bは、ハネ部3aへ引っ掛けられる機能と、下側部材10の載置部11へ左側シート5a及び右側シート5bを押し付ける機能と、を有することになる。したがって、下側部材10の形状を簡素化しつつ左側シート5a及び右側シート5bを容易に保持することができる。
【0038】
第3側壁部21dは、下方に向かうにつれて第1側壁部21aから離れるように第1側壁部21aに対して傾斜している。そのため、下側部材10の突出部12を下方から受入部21に容易に挿入することができる。
【0039】
上側部材20を下側部材10に重ねる際には、上側部材20を下側部材10の上方から降下させ、突出部12の上端12cを受入部21の第1側壁部21aと第3側壁部21dとの間に挿入する。この状態から上側部材20を降下させると、突出部12の第2延在部12bが受入部21の第3側壁部21dに接触し、第3側壁部21d、括れ部21c及び第2側壁部21bが外側(図3における右側)へ押し広げられる。更に上側部材20を降下させ括れ部21cが第2延在部12bを越えると、受入部21が元の形状に戻り、括れ部21cが第2延在部12bの下方に移動する。その結果、第2延在部12bにより、括れ部21cが下方に付勢される。
【0040】
上側部材20の括れ部21cは、上側部材20を下側部材10に重ねた状態において、タイトフレーム3のハネ部3aの下方において突出部12の第1延在部12aと第2延在部12bとの間を塞ぐ。そのため、ハネ部3aは、上側部材20を下側部材10に重ねた状態では、第1延在部12aと第2延在部12bとの間から抜け出なくなる。したがって、左側シート5a及び右側シート5bが風等を受けても、下側部材10がハネ部3aから外れることを防ぐことができる。
【0041】
なお、上側部材20の括れ部21cは、上側部材20を下側部材10に重ねた状態において、突出部12の第1延在部12aに接触している必要はない。例えば、タイトフレーム3のハネ部3aが抜け出ない程度の隙間が第1延在部12aと括れ部21cとの間に形成されていてもよい。
【0042】
次に、屋根構造1の構築方法について、図4図6を参照して説明する。図4(a)及び(b)は、構築方法を説明するための図である。本実施形態に係る構築方法では、図4に示す複数のシートユニット50が用いられる。図5は、図4(a)に示すV部の拡大図であり、図6は、図4(a)に示すVI部の拡大図である。
【0043】
図4に示すように、シートユニット50は、シート5と、一のシート保持具100における下側部材10と、別のシート保持具100における上側部材20と、を備える。図5に示すように、下側部材10は、シート5の左端近傍に配置されており、下側部材10の右側載置部11bにシート5の左端近傍が載置されている。シート5と下側部材10とは例えば両面テープを用いて互いに固定又は接着されていてもよい。
【0044】
図6に示すように、上側部材20は、シート5の右端近傍に配置されており、上側部材20の左側庇部22aに固定されている。シート5と左側庇部22aとの固定には、例えば、両面テープを用いることができる。
【0045】
本実施形態に係る構築方法では、複数のシートユニット50を順に梁間方向に並べて配置することにより、屋根構造1を構築する。以下では、配置済みのシートユニット50の隣に新たにシートユニット50を配置する手順について説明する。図4(a)において、紙面右側に示されるシートユニット50を、下側部材10がタイトフレーム3のハネ部3a(図2等参照)に引っ掛けられた配置済みのシートユニット50とし、「右側シートユニット51」とも称する。紙面左側に示されるシートユニット50を、新たに配置されるシートユニット50とし、「左側シートユニット52」とも称する。
【0046】
まず、図4(a)に示すように、右側シートユニット51における下側部材10の上方に左側シートユニット52における上側部材20が来るように左側シートユニット52を移動させる。次に、左側シートユニット52を降下させる。これにより、右側シートユニット51における下側部材10の突出部12が左側シートユニット52における上側部材20の受入部21に挿入され、左側シートユニット52における上側部材20が右側シートユニット51における下側部材10に重ねられる。また、左側シートユニット52における下側部材10の突出部12がタイトフレーム3のハネ部3aに引っ掛けられる。
【0047】
図4(b)に示すように、左側シートユニット52における上側部材20の括れ部21cが右側シートユニット51における下側部材10の第2延在部12bを越えるまで左側シートユニット52を降下させると、左側シートユニット52におけるシート5は、右側シートユニット51における下側部材10の載置部11に載置される。また、右側シートユニット51における下側部材10の突出部12は、右側シートユニット51におけるシート5と左側シートユニット52におけるシート5との間から上方に突出する。右側シートユニット51における下側部材10の突出部12は、左側シートユニット52における上側部材20を介して、右側シートユニット51におけるシート5と左側シートユニット52におけるシート5を右側シートユニット51における下側部材10の載置部11に押付ける。その結果、右側シートユニット51におけるシート5と左側シートユニット52におけるシート5とが、右側シートユニット51における下側部材10と左側シートユニット52における上側部材20とにより挟持される。
【0048】
左側シートユニット52におけるシート5は、更に別のシートユニット53における上側部材20を左側シートユニット52における下側部材10に重ねることにより、左側シートユニット52における下側部材10の載置部11に押付けられる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、隣り合うシート5が順に下側部材10と上側部材20とにより挟持される。したがって、シート5と下側部材10との固定力(接着力)、及びシート5と上側部材20との固定力(接着力)が弱くても、風等によってシート5が浮いたり飛んだりすることを防ぐことができる。
【0050】
なお、シートユニット50の配置時には、作業員がシート5、下側部材10及び上側部材20を持つことになるため、風等によってシート5が飛ぶことはない。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0052】
図7は、変形例に係る屋根構造1の構築方法を説明するための図である。上記実施形態では図4に示すように、シールユニット50を組み立てて順に並べて配置することにより、屋根構造1を構築している。変形例は、シールユニット50を組み立てることなく屋根構造1を構築する。
【0053】
図7(a)に示すように、タイトフレーム3のハネ部3aに引っ掛けられた下側部材10に、2枚のシート5を載置する。このとき、下側部材10の突出部12を、隣り合うシート5の間から突出させる。次に、下側部材10の上方から上側部材20を降下させる。これにより、下側部材10の突出部12が上側部材20の受入部21に挿入され、上側部材20が下側部材10に重ねられる。
【0054】
図7(b)に示すように、上側部材20の括れ部21cが下側部材10の第2延在部12bを越えるまで上側部材20を降下させると、下側部材10の突出部12は、上側部材20を介して、隣り合うシート5を下側部材10の載置部11に押付ける。その結果、隣り合うシート5が下側部材10と上側部材20とにより挟持される。
【0055】
このように、変形例であっても、上側部材20を下側部材10に重ねるだけで、隣り合うシート5が下側部材10と上側部材20とにより挟持される。したがって、隣り合うシート5を容易に保持することができ、風等によってシート5が浮いたり飛んだりすることを防ぐことができる。
【0056】
上記実施形態及び変形例では、梁間方向に互いに隣り合うシート5を保持するシート保持具100について説明したが、シート保持具100は、桁行方向に互いに隣り合うシート5を保持してもよい。つまり、本発明は、屋根材4の下方において互いに横方向に隣り合うシート5の保持に適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態及び変形例では、シート5がリフレクティックスのような遮熱シートである場合について説明したが、シート5は遮熱シートに限られず、例えば断熱シートであってもよい。
【0058】
上記実施形態及び変形例では、タイトフレーム3のハネ部3aに下側部材10の突出部12に引っ掛ける場合について説明したが、突出部12は、例えば梁2に引っ掛けられてもよい。つまり、第2延在部12bは、屋根材4を支持する支持構造体に引っ掛け可能に第1延在部12aから曲げ返されていればよい。
【符号の説明】
【0059】
100・・・保持具
1・・・屋根構造
3a・・・ハネ部(支持構造体)
4・・・屋根材
5・・・シート
10・・・下側部材
11・・・載置部
12・・・突出部
12a・・・第1延在部
12b・・・第2延在部
20・・・上側部材
50・・・シートユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7