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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082729
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】配車計画装置及び配車計画方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230608BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20230608BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230608BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/123 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196600
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 友里
(72)【発明者】
【氏名】米倉 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キル エヒ
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC24
2F129CC26
2F129CC28
2F129DD34
2F129DD66
2F129EE54
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF32
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH21
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF32
5H181MA05
5H181MA10
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】利用者の快適度を向上させるルートの組み合わせを示す配車計画を作成する。
【解決手段】配車計画装置は、乗客それぞれに対応する停車場所を示す停車場所情報を保持し、それぞれが1以上の停車場所を経由する複数のルートを生成し、全ての停車場所を経由する、複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を生成し、生成した組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおける利用者の快適度を、当該ルートに含まれる停車場所に基づいて算出し、生成した組み合わせのうち、算出した快適度が高い最も高い組み合わせを示す配車計画を出力するための情報を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車計画装置であって、
プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、乗客それぞれに対応する停車場所を示す停車場所情報を保持し、
前記プロセッサは、
それぞれが1以上の前記停車場所を経由する複数のルートを生成し、
全ての前記停車場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を生成し、
前記組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおける利用者の快適度を、当該ルートに含まれる前記停車場所に基づいて算出し、
前記生成した組み合わせのうち、前記算出した快適度が高い最も高い組み合わせを示す配車計画を出力するための情報を生成する、配車計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、順番に経由する3つの停車場所によって定められる角度が所定値以上かつ180度以下であるよう、前記複数のルートそれぞれを生成する、配車計画装置。
【請求項3】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記複数のルートそれぞれは、出発地を出発し、1以上の前記停車場所を経由して、前記出発地に戻るルートであり、
前記停車場所情報は、前記出発地と前記停車場所それぞれとの距離を示し、
前記プロセッサは、前記停車場所情報を参照して、前記複数のルートそれぞれにおいて、前記出発地から最も遠い停車場所を除く停車場所が、前記出発地と前記出発地から最も遠い停車場所とを結んだ線分に対する垂直方向の幅が定められた所定のエリアに含まれるよう、前記複数のルートそれぞれを生成する、配車計画装置。
【請求項4】
請求項3に記載の配車計画装置であって、
前記所定のエリアは、前記出発地から遠くなるほど前記線分に対する垂直方向の幅が広くなるエリアである、配車計画装置。
【請求項5】
請求項3に記載の配車計画装置であって、
前記複数のルートそれぞれは、前記乗客を乗車させていない車両が、前記出発地を出発して、前記1以上の停車場所それぞれを経由するときに当該停車場所に対応する乗客を乗車させて、前記出発地へと戻るためのルートであり、
前記プロセッサは、前記停車場所情報を参照して、前記複数のルートそれぞれにおいて、後に経由する停車場所ほど前記出発地との距離が近くなるよう、前記複数のルートそれぞれを生成する、配車計画装置。
【請求項6】
請求項3に記載の配車計画装置であって、
前記複数のルートそれぞれは、前記1以上の停車場所それぞれに対応する乗客を乗せた車両が前記出発地を出発して、前記1以上の停車場所それぞれを経由するときに当該停車場所に対応する乗客を降車させて、前記出発地へと戻るためのルートであり、
前記プロセッサは、前記停車場所情報を参照して、前記複数のルートそれぞれにおいて、後に経由する停車場所ほど前記出発地との距離が遠くなるよう、前記複数のルートそれぞれを生成する、配車計画装置。
【請求項7】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記複数のルートそれぞれは、出発地を出発し、1以上の前記停車場所を経由して、前記出発地に戻るルートであり、
前記停車場所情報は、前記出発地と前記停車場所それぞれとの距離を示し、
前記プロセッサは、前記組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおける前記出発地から最も遠い停車場所に対応する利用者の乗車時間を、前記停車場所情報を参照して、算出し、
前記算出した乗車時間に基づいて、前記快適度を算出する、配車計画装置。
【請求項8】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記複数のルートそれぞれは、出発地を出発し、1以上の前記停車場所を経由して、前記出発地に戻るルートであり、
前記プロセッサは、前記組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおいて経由する停車場所が含まれる範囲に基づいて、前記快適度を算出する、配車計画装置。
【請求項9】
請求項8に記載の配車計画装置であって、
前記停車場所情報は、前記出発地と前記停車場所それぞれとの距離を示し、
前記プロセッサは、前記組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおいて前記出発地からの距離に基づいて当該ルートに含まれる停車場所をグループ分けし、前記出発地からの距離が遠いグループほど高くなる予め定められた得点と、グループそれぞれに属する停車場所の数と、に基づいて、前記快適度を算出する、配車計画装置。
【請求項10】
配車計画装置による配車計画方法であって、
前記配車計画装置は、プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、乗客それぞれに対応する停車場所を示す停車場所情報を保持し、
前記配車計画方法は、
前記プロセッサが、それぞれが1以上の前記停車場所を経由する複数のルートを生成し、
前記プロセッサが、
全ての前記停車場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を生成し、
前記プロセッサが、前記組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおける利用者の快適度を、当該ルートに含まれる前記停車場所に基づいて算出し、
前記プロセッサが、前記生成した組み合わせのうち、前記算出した快適度が高い最も高い組み合わせを示す配車計画を出力するための情報を生成する、配車計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車計画装置及び配車計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2019-086993号公報(特許文献1)がある。この公報には、「送迎支援システム1にメモリ10およびプログラム20を備える。メモリ10に、被介護者情報格納領域11と、各被介護者の乗降時間情報を格納している乗降時間格納領域12と、車両の移動時間情報を格納している移動時間格納領域13とを備える。プログラム20に、特定の被介護者情報を抽出する抽出プログラム28と、特定の被介護者情報に基づいて巡回ルートを計算するルート計算プログラム22と、巡回ルートにおける送迎位置の到着時間を計算する到着時間計算プログラム23と、外部からの信号の受信に基づいて車両の停止時間および移動時間を計算する運行時間計算プログラム24と、乗降時間情報および移動時間情報を更新する更新プログラム25とを備える。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-086993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、被介護者の送迎位置の到着時間の算出の精度を向上させることで、被介護者の送迎における時間的なロスの低減を図っているが、乗車中の被介護者の快適度を向上させる巡回ルートを作成することは考慮されていない。そこで、本発明の一態様は、利用者の快適度を向上させるルートの組み合わせからなる配車計画を作成する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の構成を採用する。配車計画装置は、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、乗客それぞれに対応する停車場所を示す停車場所情報を保持し、前記プロセッサは、それぞれが1以上の前記停車場所を経由する複数のルートを生成し、全ての前記停車場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を生成し、前記組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれるルートにおける利用者の快適度を、当該ルートに含まれる前記停車場所に基づいて算出し、前記生成した組み合わせのうち、前記算出した快適度が高い最も高い組み合わせを示す配車計画を出力するための情報を生成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、利用者の快適度を向上させるルートの組み合わせを示す配車計画を作成することができる。
【0007】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1における配車計画システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施例1における配車計画サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】実施例1における端末の構成例を示すブロック図である。
図4】実施例1における利用者情報の一例である。
図5】実施例1における停車場所情報の一例である。
図6】実施例1における来館予定情報の一例である。
図7】実施例1における車両利用情報の一例である。
図8】実施例1における配車計画サーバによる全体処理の一例を示すシーケンス図である。
図9】実施例1におけるルート作成処理の一例を示すフローチャートである。
図10】実施例1におけるルート形状条件の一例を示す説明図である。
図11】実施例1における配車計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
図12】実施例1における第2評価値の算出方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、同一の構成には原則として同一の符号を付け、繰り返しの説明は省略する。なお、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【実施例0010】
図1は、配車計画システムの構成例を示すブロック図である。配車計画システムは、例えば、インターネット等のネットワーク103で接続された配車計画サーバ101と、1以上の端末102と、を含む。
【0011】
端末102は、例えば、車両を保有する施設が保持する端末である。端末102は、例えば端末102のユーザによって入力された車両情報及び利用情報等の各種情報を配車計画サーバ101に送信する。配車計画サーバ101は、車両情報と利用情報とに基づいて、配車計画を作成し、作成した配車計画を端末102に送信する。
【0012】
なお、本実施例では、配車計画サーバ101は、車両が出発地を出発して、それぞれ利用者(乗客)がいる1以上の停車場所を訪問して当該利用者を迎車し、当該利用者を乗せて出発地に戻る(つまり目的地が出発地と一致する)ための車両が通過するルート及び配車計画を作成する。
【0013】
図2は、配車計画サーバ101の構成例を示すブロック図である。配車計画サーバ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、補助記憶装置202、メモリ203、通信装置204、入力装置205、及び出力装置206を有する計算機によって構成される。
【0014】
CPU201は、プロセッサを含み、メモリ203に格納されたプログラムを実行する。メモリ203は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)及び揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS(Basic Input/Output System))などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU201が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0015】
補助記憶装置202は、例えば、磁気記憶装置(HDD(Hard Disk Drive))、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、CPU201が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置202から読み出されて、メモリ203にロードされて、CPU201によって実行される。
【0016】
入力装置205は、キーボードやマウスなどの、オペレータからの入力を受ける装置である。出力装置206は、ディスプレイ装置やプリンタなどの、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力する装置である。
【0017】
通信装置204は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信装置204は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースを含んでもよい。
【0018】
CPU201が実行するプログラムの一部またはすべては、非一時的記憶媒体であるリムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又は、非一時的記憶装置を備える外部計算機からネットワークを介して配車計画サーバ101に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置202に格納されてもよい。このため、配車計画サーバ101は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。これは、端末102についても同様である。
【0019】
配車計画サーバ101は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。これは端末102についても同様である。
【0020】
CPU201は、例えば、端末通信機能211、ルート作成機能212、及び配車計画作成機能213を含む。端末通信機能211は、端末102と通信し、情報の送受信を実行し、必要に応じて当該送受信した情報を出力装置206に表示したり、別システムに当該送受信した情報を送信したりする。ルート作成機能212は、車両が通過するルート(出発地を出発し、利用者の停車場所を順に訪問して利用者を迎車し、出発地へと戻るルート)を作成する。配車計画作成機能213は、ルート作成機能212が作成したルートに基づいて、配車計画を生成する。
【0021】
例えば、CPU201は、メモリ203にロードされた端末通信プログラムに従って動作することで、端末通信機能211として機能し、メモリ203にロードされたルート作成プログラムに従って動作することで、ルート作成機能212として機能する。CPU201に含まれる他の機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。また、端末102の後述するCPU301に含まれる後述する機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。
【0022】
なお、CPU201と、端末102のCPU301と、に含まれる機能部による機能の一部又は全部が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0023】
補助記憶装置202は、例えば、利用者情報221、及び停車場所情報222、来館予定情報223、及び車両利用情報224を保持する。利用者情報221は、車両の迎車の対象物である利用者に関する情報を含む。停車場所情報222は、各利用者を車両に乗せるために車両が停車する場所を示す。来館予定情報223は、利用者が停車場所にいる(即ち車両が停車場所に停車する)希望時刻(時間帯)を示す。車両利用情報224は、車両ごとの利用可能な時間帯を示す。
【0024】
なお、補助記憶装置202と、後述する端末102の補助記憶装置302と、に格納されている一部又は全部の情報は、それぞれ、メモリ203及びメモリ303に格納されていてもよいし、当該装置に接続されているデータベースに格納されていてもよい。
【0025】
なお、本実施形態において、データ管理システムが使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。本実施形態ではテーブル形式で情報が表現されているが、例えば、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0026】
図3は、端末102の構成例を示すブロック図である。端末102は、例えば、CPU301、補助記憶装置302、メモリ303、通信装置304、入力装置305、及び出力装置306を有する計算機によって構成される。
【0027】
CPU301、補助記憶装置302、メモリ303、通信装置304、入力装置305、及び出力装置306のハードウェアとしての説明は、CPU201、補助記憶装置202、メモリ203、通信装置204、入力装置205、及び出力装置206のハードウェアとしての説明と同様であるため省略する。
【0028】
CPU301は、例えば、サーバ通信機能311を含む。サーバ通信機能311は、配車計画サーバ101と通信して、情報の送受信を実行し、必要に応じて当該送受信した情報を出力装置306に表示したり、別システムに当該送受信した情報を送信したりする。
補助記憶装置302は、例えば、配車計画情報321を保持する。配車計画情報321は、配車計画サーバ101から受信した配車計画を示す。
【0029】
図4は、利用者情報221の一例である。利用者情報221は、例えば、名前欄2211、住所欄2212、緯度欄2213、及び経度欄2214を含む。名前欄2211は、利用者の氏名を示す情報を保持する。住所欄2212は、利用者の住所を示す情報を保持する。緯度欄2213は、利用者の住所の緯度を示す情報を保持する。経度欄2214は、利用者の住所の経度を示す情報を保持する。
【0030】
図5は、停車場所情報222の一例である。停車場所情報222は、例えば、利用者欄2221、出発地からの距離欄2222、緯度欄2223、及び経度欄2224を含む。利用者欄2221は、利用者の氏名を示す情報を保持する。出発地からの距離欄2222は、車両の出発地から当該利用者を迎車するための停車場所までの距離を示す情報を保持する。緯度欄2223は、当該利用者を迎車するための停車場所の緯度を示す情報を保持する。経度欄2224は、当該利用者を迎車するための停車場所の経度を示す情報を保持する。なお、停車場所情報222は、出発地の緯度及び経度を示す情報をさらに含んでいてもよい。
【0031】
図6は、来館予定情報223の一例である。来館予定情報223は、例えば、利用者欄2231及び訪問希望時間帯欄2232を含む。利用者欄2231は、利用者の氏名を示す情報を保持する。訪問希望時間帯欄2232は、当該利用者を迎車するための停車場所を車両が訪問する時間帯(利用者が希望する時間帯)を示す情報を保持する。
【0032】
図7は、車両利用情報224の一例である。車両利用情報224は、例えば、車両名欄2241及び利用可否欄2242を含む。車両名欄2241は、車両を識別する車両名を示す情報を保持する。利用可否欄2242は、時間帯ごとに各車両が利用可能であるか否かを示す情報を保持する(例えば、「7:00」の列には、7:00から7:15までの間に各車両が利用可能であるか否かを示す情報が格納されている)。
【0033】
図8は、配車計画サーバ101による全体処理の一例を示すシーケンス図である。なお、図8に示す全体処理は、例えば、配車計画を作成する日ごとに実行される。端末102のサーバ通信機能311は、例えば、入力装置305を介して、利用者情報、停車場所情報、来館予定情報、及び車両利用情報の入力を端末102のユーザから受け付け、入力された利用者情報(S801)、停車場所情報(S802)、来館予定情報(S803)、及び車両利用情報(S804)を配車計画サーバ101に送信する。
【0034】
配車計画サーバ101の端末通信機能211は、受信した利用者情報、停車場所情報、来館予定情報、及び車両利用情報を、それぞれ、利用者情報221(S805)、停車場所情報222(S806)、来館予定情報223(S807)、及び車両利用情報224(S808)に格納する。
【0035】
ルート作成機能212は、利用者情報221(S809)、停車場所情報222(S810)、及び来館予定情報223(S811)を参照して、ルート作成処理(S812)を実行する。ステップS812のルート作成処理の詳細については後述する。
【0036】
配車計画作成機能213は、車両利用情報224(S813)及びステップS812のルート作成処理で作成されたルートに基づいて、配車計画作成処理(S814)を実行する。ステップS814の配車計画作成処理の詳細については後述する。端末通信機能211は、配車計画作成機能213がステップS814で作成した配車計画を端末102に送信する(S815)。
【0037】
図9は、ルート作成処理の一例を示すフローチャートである。ルート作成機能212は、来館予定情報223に含まれる利用者総数n人からk人(k=1,・・・,n)を取り出す(重複を許さない)順列を全て算出し、算出した順列それぞれに対応するルートの迎車順序(例えば、車両が、出発地を出発して、順列が示す利用者の順序で停車場所を訪問して利用者それぞれを迎車して出発地へと戻る、という順序)を作成する(S901)。
【0038】
ルート作成機能212は、利用者n人から1人を取り出す各順列に対応するルート(つまり車両が出発地を出発して1名のみの利用者に対応する停車場所を訪問して当該1名のみの利用者を迎車して出発地に戻るルート)を採用する(S902)。ルート作成機能212は、k=2をセットする(S903)。ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列のうち未選択の順列を1つ選択する(S904)。
【0039】
ルート作成機能212は、i=2をセットする(S905)。ルート作成機能212は、選択中の順列のi番目の利用者の停車場所がルート形状条件を全て満たすかを判定する(S906)。なお、ステップS906において、ルート作成機能212は、重複する利用者についてのルート形状条件については重複して判定する必要はない(例えば、利用者1、利用者2、利用者3、利用者4という順列P1に対応するルートと、利用者1、利用者2、利用者4、利用者3という順列P2に対応するルートと、において、利用者2についてのルート形状条件はいずれも同じであり(利用者2に対応する停車場所に到達するまでのルートがいずれも同じであるため)、一方のルートにおいてのみ利用者2についてのルート形状条件を判定すればよい)。以下、ルート形状条件について説明する。
【0040】
図10は、ルート形状条件の一例を示す説明図である。図10の例は、車両が出発地を出発して、停車場所A、停車場所B、停車場所C、停車場所Dの順で停車場所を訪問した後に出発地に戻るルートにおけるルート形状条件の確認例である。
【0041】
1番目の停車場所である停車場所Aについてのルート形状条件はない。2番目以降の停車場所である、停車場所B、停車場所C、及び停車場所Dについてのルート形状条件は、例えば、選択可能エリア1001に停車場所が含まれていることを含む。
【0042】
図10の例では、選択可能エリア1001は、2つの長方形が結合した形状(T字を右に90度回転させたような形状)である。当該2つの長方形のうち一方の長方形は、長さ2Wの辺と、長さL(但し出発地と停車場所A(出発地から最も遠い停車場所)とを結んだ線分(以下、線分lとも呼ぶ)の長さを2Lとする)の辺(当該辺は停車場所情報222によって定められる)と、によって定義され、長さ2W(Wは、例えば予め定められている)の一方の辺の中点が出発地に位置し、長さ2Wの他方の辺の中点が線分lの中点に位置する。また、当該2つの長方形のうち他方の長方形は、長さ4Wの辺と、長さLの辺と、によって定義され、長さ4Wの一方の辺の中点が1番目の停車場所Aに位置し、長さ4Wの他方の辺の中点が線分lの中点に位置する。
【0043】
このように、選択可能エリア1001は、例えば、出発地から遠くなるほど線分lに対する垂直方向の幅が広くなるよう定められる。従って、例えば、選択可能エリア1001は、出発地を頂点として含み、線分lに垂直な長さ2Wの線分であって、1番目の停車場所Aを中点が通る長さ2Lの線分、を当該頂点の対辺とする二等辺三角形、等であってもよい。選択可能エリア1001がこれらのような形状であることにより、出発地に近いエリアほど車両が移動可能な(線分lに対する垂直方向の)幅が狭まるため、利用者を乗せた車両が出発地へ戻っているときに車両が無駄な移動をしていないと利用者に感じさせることができる。なお、選択可能エリア1001は、線分lに対する垂直方向の幅が定められた所定のエリアであってもよい。つまり、選択可能エリア1001は、例えば、出発地から遠くなるほど線分lに対する垂直方向の幅が、狭くなるように定められていてもよいし、一定であるように定められていてもよいし、狭くなったり広くなったりを繰り返すように定められていてもよい。
【0044】
また、2番目以降の停車場所である、停車場所B、停車場所C、及び停車場所Dについてのルート形状条件は、当該停車場所の出発地からの距離が、1つ前の停車場所の出発地からの距離より短いこと(停車場所情報222の出発地からの距離欄2222に示されている)を含んでもよい。これにより、1人でも利用者が乗車した後には、出発地に近づくルートが選択され、利用者を乗せた車両が出発地へ戻っているときに車両が無駄な移動をしていないと利用者に感じさせることができる。
【0045】
また、2番目以降かつ最後を除く停車場所についてのルート形状条件は、当該停車場所と、1つ前の停車場所と、1つの次の停車場所と、の角度が所定値以上(但し180度以下)であることを含んでもよい。つまり、図10の例では、2番目の停車場所Bについての角度ABCと、3番目の停車場所Cについての角度BCDと、はそれぞれ当該所定値以上でなければルート形状条件を満たさない。当該所定値は、例えば、100度であったり、鈍角であったりすればよい。ルート形状条件が、当該角度が所定以上であることを含むことにより、一度訪れた停車場所に近い位置に戻る方向のルートが選択されなくなり、利用者を乗せた車両が出発地へ戻っているときに車両が無駄な移動をしていないと利用者に感じさせることができる。
【0046】
また、2番目以降の停車場所である、停車場所B、停車場所C、及び停車場所Dについてのルート形状条件は、来館予定情報223が示す訪問希望時間帯を満たすことを含む。ルート作成機能212は、停車場所Bについては、例えば、1番目の停車場所Aの位置と2番目の停車場所Bの位置(停車場所情報222が示す緯度及び経度によって特定される)と所定の速度から算出される移動時間を、来館予定情報223が示す1番目の停車場所Aに対応する利用者の訪問希望時間帯に加えた時間帯が、来館予定情報223が示す2番目の停車場所Bに対応する利用者の訪問希望時間帯と重複するかを判定することにより、当該ルート形状条件が満たされるかを確認すればよい。これにより、各ルートにおいて、車両が各停車場所に停車する時間帯(時刻)、出発地を出発する時間帯(時刻)、出発地に到着する(戻ってくる)時間帯(時刻)が特定される。
【0047】
図9の説明に戻る。ルート作成機能212は、選択中の順列のi番目の利用者の停車場所がルート形状条件を全て満たすと判定した場合(S906:Yes)、i=kであるかを判定する(S907)。ルート作成機能212は、i=kでないと判定した場合(S907:No)、i=i+1をセットし(S908)、ステップS906に戻る。
【0048】
ルート作成機能212は、選択中の順列のi番目の利用者の停車場所がルート形状条件のうち満たさない条件があると判定した場合(S906:No)、当該選択中の順列のi番目の利用者の停車場所を当該順列に対応するルートからの削除対象に決定し(S909)、ステップS907に遷移する。
【0049】
ルート作成機能212は、i=kであると判定した場合(S907:Yes)、選択中の順列から削除対象に決定された停車場所に対応する利用者を削除することで再作成したルートを採用する(S910)。ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列の全てを選択済みであるかを判定する(S911)。ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列のうち未選択のものがあると判定した場合(S911:No)、ステップS904に戻る。
【0050】
ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列の全てを選択済みであるかと判定した場合(S911:Yes)、k=nであるかを判定する(S912)。ルート作成機能212は、k=nでないと判定した場合(S912:No)、k=k+1をセットして(S913)、ステップS904に戻る。ルート作成機能212は、k=nであると判定した場合(S912:Yes)、ルート作成処理を終了する。
【0051】
図11は、配車計画作成処理の一例を示すフローチャートである。配車計画作成機能213は、ステップS910で採用されたルートそれぞれの評価値を算出する(S1101)。配車計画作成機能213は、以下に説明する第1評価値又は第2評価値の一方をステップS1101における評価値として算出してもよいし、第1評価値と第2評価値とを統合した値をステップS1101における評価値として算出してもよい。第1評価値及び第2評価値は、利用者の快適度を示す指標である。
【0052】
第1評価値は、ルートにおける利用者の乗車時間が短いほどに高くなる値である。具体的には、例えば、ルートにおける利用者の最大乗車時間(即ち出発地から最も遠い停車場所に対応する利用者の乗車時間)が長いほど値が小さくなる減少関数によって第1評価値が定められる。配車計画作成機能213は、利用者の最大乗車時間(即ち出発地から最も遠い停車場所に対応する利用者の乗車時間)は、例えば、当該ルートにおいて停車する各停車場所の位置(停車場所情報222が示す緯度経度によって特定される)と、最後に停車する停車場所の位置からの出発地からの距離と、所定の速度と、を用いて算出することができる。また、例えば、ルートにおける利用者全員の総乗車時間が長いほど値が小さくなる減少関数によって第1評価値が算出されてもよい。
【0053】
配車計画作成機能213が第1評価値に基づいて配車計画を作成することにより、利用者の乗車時間が短い配車計画が生成されやすくなり、乗車時間が長くなることによる利用者の不快感を抑制することができる。
【0054】
第2評価値は、ルートにおいて停車する停車場所が近い範囲に含まれているほどに高くなる値である。図12は、第2評価値の算出方法の一例を示す説明図である。配車計画作成機能213は、例えば、出発地と1番目の停車場所Aとを結ぶ直線を所定等分(図12の例では4等分)した位置を通る垂線を生成する。これらの垂線によって分割されたグループごとに得点が予め定められ(1番目の停車場所に近いグループほど得点が高く定められている)、配車計画作成機能213は、各停車場所が属するグループの得点を合計することで、第2評価値を算出する。図12の例におけるルートでは、停車場所A及び停車場所Bがグループ4に属し、停車場所A及び停車場所Bがグループ4に属しているため、8+8+4+4=24が第2評価値である。
【0055】
また、例えば、ルートにおける全ての停車場所(ルートにおける所定割合以上の停車場所としてもよい)が含まれる最小の円の半径が大きくなるほどに高い値となる増加関数によって第2評価値が算出されてもよい。また、例えば、1番目の停車場所に対応する利用者の乗車時間に占める、1番目の停車場所に対応する利用者が乗車してから最後の停車場所に対応する利用者が乗車するまでの時間の割合が大きくなるほどに小さい値となる減少関数によって第2評価値が算出されてもよい。
【0056】
配車計画作成機能213が第2評価値に基づいて配車計画を作成することにより、停車場所が近い範囲に集中しやすくなるため、車両が寄り道をしていない(遠回りをしていない)と利用者が感じ、ひいては利用者の乗車中の不快感を抑制することができる。
【0057】
なお、配車計画作成機能213は、ステップS1101において第1評価値と第2評価値とを統合した値を評価値として算出する場合、例えば、第1評価値と第2評価値を単に足した値や掛けた値を当該評価値として算出してもよいし、第1評価値と第2評価値との重みづけ和を当該評価値として算出してもよいし、第1評価値の偏差値と第2評価値の偏差値の平均を当該評価値として算出する等のよう所定の統計量を用いてもよい。
【0058】
図11の説明に戻る。配車計画作成機能213は、車両利用情報224が示す利用可能車両によるルートの組み合わせを探索する(S1102)。具体的には、例えば、配車計画作成機能213は、各ルートについて、出発地を出発する時刻から出発地へと戻る時刻まで利用可能である車両(以下、単に利用可能車両とも呼ぶ)を、車両利用情報224を参照して特定する。さらに、配車計画作成機能213は、全ての利用者の停車場所を重複せずに含むルートの組み合わせ(1つ又は複数のルートからなる)であって、かつ利用可能車両が重複せずに割り当て可能なルートの組み合わせを特定する。
【0059】
配車計画作成機能213は、ステップS1102で特定したルートの組み合わせのうち、組み合わせに含まれるルートのステップS1101で算出した評価値の合計値が最も高い組み合わせを選択し(S1103)、配車計画作成処理を終了する。
【0060】
なお、図8におけるステップS815において、配車計画作成機能213は、ステップS1103で選択したルートの組み合わせ、当該組み合わせに含まれるルートそれぞれに用いられる車両、並びに当該組み合わせに含まれるルートそれぞれにおいて車両が出発地を出発する時刻、各停車場所に停車する時刻、及び出発地に戻る時刻等を含む配車計画を生成し、端末通信機能211は生成された配車計画を端末102に送信するとよい。端末102のサーバ通信機能311は、受信した配車計画を、例えば、配車計画情報321に格納し、出力装置306に表示する。
【0061】
また、本実施例では、配車計画サーバ101が、車両は出発地を出発して、停車場所へと利用者を迎えに行って利用者を乗せ、最終的に出発地に戻ってくる配車計画(迎えの配車計画とも呼ぶ)を生成する例を説明したが、利用者が乗車した車両が出発地を出発して、停車場所へと利用者を送りに行って利用者を降車させ、乗車していた利用者全てを降車させると出発地に戻ってくる配車計画(送りの配車計画とも呼ぶ)を配車計画サーバ101は、本実施例で説明した方法と同様の方法で生成してもよい。
【0062】
但し、配車計画サーバ101が送りの配車計画を生成するときには、迎えの配車計画を生成するときと、比較して以下の点が異なる。まず、ステップS901で算出した順列それぞれが示すものが、順列に含まれる利用者を乗せた車両が、出発地を出発して、順列が示す利用者の順序で停車場所を訪問して利用者それぞれを降車させて出発地へと戻るルート、である点において異なる。また、迎えの配車計画生成における2番目以降の停車場所についてのルート形状条件に含まれ得る、当該停車場所の出発地からの距離が、1つ前の停車場所の出発地からの距離より短いことという条件は、当該停車場所の出発地からの距離が、1つ前の停車場所の出発地からの距離より遠いことという条件に読み替えられる必要がある。
【0063】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0064】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0065】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0066】
101 配車計画サーバ、102 端末、201 CPU、202 補助記憶装置、203 メモリ、204 通信装置、205 入力装置、206 出力装置、211 端末通信機能、212 ルート作成機能、213 配車計画作成機能、221 利用者情報、222 停車場所情報、223 来館予定情報、224 車両利用情報、301 CPU、302 補助記憶装置、303 メモリ、304 通信装置、305 入力装置、306 出力装置、311 サーバ通信機能、321 配車計画情報
図1
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図10
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図12