(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082757
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20230608BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
E06B5/00 E
E06B7/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196656
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 みく
(57)【要約】
【課題】障子が下方に移動したり、障子の上桟の位置が下がったりしても、障子と上枠との係合状態を維持できるようにすることによって、枠体からの障子の外れを阻止できる建具を提供すること。
【解決手段】上枠、下枠及び左右の縦枠を有するとともに上枠及び下枠にそれぞれ溝部を有する枠体と、上桟、下桟及び左右の縦框を有する框体の内側に面材を有し、上端部及び下端部が溝部にそれぞれ挿入されることによって上枠及び下枠に保持される障子と、障子の上端面に上方に突出して設けられ、障子が上枠から外れることを阻止する上部外れ止め部材と、を有し、上部外れ止め部材は、上桟の長さ方向に沿って延び、障子の上端部が上枠の溝部に対して斜め上方に向けて挿入された状態で、障子の上端面と溝部の内底面との間の空間に収まるように上方に突出するリブを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠及び左右の縦枠を有するとともに前記上枠及び前記下枠にそれぞれ溝部を有する枠体と、
上桟、下桟及び左右の縦框を有する框体の内側に面材を有し、上端部及び下端部が前記溝部にそれぞれ挿入されることによって前記上枠及び前記下枠に保持される障子と、
前記障子の上端面に上方に突出して設けられ、前記障子が前記上枠から外れることを阻止する上部外れ止め部材と、を有し、
前記上部外れ止め部材は、前記上桟の長さ方向に沿って延び、前記障子の前記上端部が前記上枠の前記溝部に対して斜め上方に向けて挿入された状態で、前記障子の前記上端面と前記溝部の内底面との間の空間に収まるように上方に突出するリブを有する、建具。
【請求項2】
前記リブは、少なくとも前記障子の前記上端面における室外側の端縁に近接して配置される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記リブは、前記障子の前記上端面を形成するカバー材に設けられる、請求項1又は2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上枠及び下枠に設けたレール溝に、障子の上部及び下部をケンドン式に収納して支持し、左右の縦枠では障子を支持しない建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具では、障子が地震の縦揺れによって上方に浮き上がることによって、障子が下枠から外れることを阻止するために、障子の下桟のハンドルの固定部に、下枠のレール溝内に向けて突出する外れ止め部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、地震による縦揺れによって障子が下枠から外れる場合以外に、枠体から障子が外れる原因についてさらに検討した。その結果、枠体の施工不良等によって下枠が撓んだ場合等に、障子が下方へ移動して障子と上枠との係合が解除され、障子が枠体から外れるおそれがあることが判明した。
【0005】
さらに、一般に、室外側から建具に照射される直射日光は、建具の下部周辺に多く差し込むため、障子の下桟が見付け方向に収縮する熱変形が起きる場合がある。また、直射日光の熱により下桟が軟化すると、障子に納められるガラス等の面材の重みによって下桟が撓み、障子が変形して、障子の縦寸法が小さくなる場合がある。障子の縦寸法が小さくなると、障子の上桟の位置が下がることによって、障子と枠体との係合状態が変化し、障子にガタツキが発生したり、障子が枠体から外れたりするおそれがある。
【0006】
よって、発明者は、障子が下方へ移動したり、障子の上桟の位置が下がったりしても、障子と上枠との係合状態を維持できるようにすることによって、枠体からの障子の外れを阻止する、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の建具は、上枠、下枠及び左右の縦枠を有するとともに前記上枠及び前記下枠にそれぞれ溝部を有する枠体と、上桟、下桟及び左右の縦框を有する框体の内側に面材を有し、上端部及び下端部が前記溝部にそれぞれ挿入されることによって前記上枠及び前記下枠に保持される障子と、前記障子の上端面に上方に突出して設けられ、前記障子が前記上枠から外れることを阻止する上部外れ止め部材と、を有し、前記上部外れ止め部材は、前記上桟の長さ方向に沿って延び、前記障子の前記上端部が前記上枠の前記溝部に対して斜め上方に向けて挿入された状態で、前記障子の前記上端面と前記溝部の内底面との間の空間に収まるように上方に突出するリブを有する、建具である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】建具の室内側の下部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】障子の上端部の上部外れ止め部材を展開して示す斜視図である。
【
図6】障子を枠体に取り付ける様子を示す縦断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る上部外れ止め部材を有する建具の上枠の拡大図である。
【
図9】
図8に示す障子を枠体に取り付ける様子を示す縦断面図である。
【
図10】他の実施形態に係る上部外れ止め部材を有する障子の上端部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の建具の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施形態における建具は、FIX窓1を示している。FIX窓1は、いわゆる嵌め殺し窓であり、建物躯体の矩形の開口部100の内周に沿って設けられる額縁101の内側に取り付けられている。FIX窓1は、掃除等のために障子3が取り外される場合以外では、開口部100を開閉しない。
【0010】
図1は、FIX窓1を室内側から見た正面図である。以下に示す図中において、X1方向はFIX窓1の室外側を示し、X2方向はFIX窓1の室内側を示す。FIX窓1の室外側の額縁101の内側には、FIX窓、引違い窓等の他の窓(図示せず)がさらに取り付けられてもよい。これによって、額縁101の内側に二重窓が構築され、断熱性及び遮音性がさらに向上する。本実施形態のFIX窓1は、既存の窓(図示せず)の室内側に後付けすることができる。
【0011】
FIX窓1は、額縁101の内側に設けられる枠体2と、枠体2の内側に納められる障子3と、下部外れ止め部材4と、上部外れ止め部材5と、を有する。枠体2は、上枠21と、下枠22と、左右の縦枠23,23と、を矩形に枠組みすることによって構成される。障子3は、枠体2の内側に取り外し可能に嵌め込まれている。下部外れ止め部材4及び上部外れ止め部材5は、いずれも障子3が枠体2から外れることを阻止するための部材である。
【0012】
枠体2の上枠21は、樹脂材によって一体に押出し成形されている。上枠21は、室外側に配置される断面矩形の中空構造を有する第1ホロー部211と、室内側に配置される断面矩形の中空構造を有する第2ホロー部212と、第1ホロー部211及び第2ホロー部212の上端部同士を連結する平板状の基板部213と、を有する。第1ホロー部211、第2ホロー部212及び基板部213は、上枠21の延び方向の全長に亘って延びている。第1ホロー部211及び第2ホロー部212は、基板部213から下方に向けて同一の高さで突出している。
【0013】
第1ホロー部211と第2ホロー部212とは、室内外方向に離隔して平行に配置される。これによって、第1ホロー部211と第2ホロー部212と基板部213との間には、上枠21の延び方向の全長に亘る溝部214が形成される。溝部214は、下方に向けて開放し、障子3の上端部を収容する。基板部213は、溝部214の内底面を構成する。
【0014】
第1ホロー部211の下端部には、室内側に向けて突出し、障子3の室外側の面に弾性的に接触する封止部215が設けられる。第2ホロー部212の下端部には、室外側に向けて突出し、障子3の室内側の面に弾性的に接触するヒレ部216が設けられる。上枠21は、基板部213を貫通する図示しないねじによって、額縁101の上部内面に固定される。
【0015】
枠体2の下枠22は、樹脂材によって一体に押出し成形されている。下枠22は、室外側に配置される断面矩形の中空構造を有する第1ホロー部221と、室内側に配置される断面矩形の中空構造を有する第2ホロー部222と、第1ホロー部221及び第2ホロー部222の下端部同士を連結する平板状の基板部223と、を有する。第1ホロー部221、第2ホロー部222及び基板部223は、下枠22の延び方向の全長に亘って延びている。本実施形態の第1ホロー部221及び第2ホロー部222は、基板部223から上方に向けて同一の高さで突出しているが、必ずしも同一の高さで突出していなくてもよい。
【0016】
第1ホロー部221と第2ホロー部222とは、室内外方向に離隔して平行に配置される。これによって、第1ホロー部221と第2ホロー部222と基板部223との間には、上枠21と同様に、下枠22の延び方向の全長に亘る溝部224が形成される。溝部224は、上方に向けて開放し、障子3の下端部を収容する。基板部223は、溝部224の内底面を構成する。
【0017】
第1ホロー部221の上端部には、室内側に向けて突出し、障子3の室外側の面に弾性的に接触する封止部225が一体に設けられる。第2ホロー部222の上端部には、室外側に向けて突出し、障子3の室内側の面に弾性的に接触するヒレ部226が一体に設けられる。下枠22は、基板部223を貫通する図示しないねじによって、額縁101の下部内面に固定される。
【0018】
図2に示すように、下枠22の溝部224の内部には、障子3の下端部を支持する複数の樹脂製のライナー227が所定間隔で設けられている。ライナー227は、ブロック状に形成され、下枠22の第1ホロー部221及び第2ホロー部222の高さよりも少し低い高さを有している。そのため、下枠22の溝部224に収容される障子3の下端面は、ライナー227の上面に載置されることによって、下枠22の第1ホロー部221及び第2ホロー部222の上端面よりも若干低い位置に配置される。
【0019】
枠体2の縦枠23,23は、それぞれ樹脂材によって略L字状に一体に押出し成形されている。縦枠23,23は、上枠21と下枠22との間に亘って上下に延びている。縦枠23,23は、額縁101の縦方向に沿って所定幅で延びる基板部231,231と、基板部231,231の室外端部から額縁101の内側に向けて略直角に延びる室外壁部232,232と、室外壁部232,232の内端部から室内側に向けて略直角に延びる当接片部233,233と、を有する。
【0020】
当接片部233,233は、障子3の室外側の面に接触するように、基板部231,241に比べて幅狭に形成される。当接片部233,233の先端には、それぞれ障子3の室外側の面に弾性的に接触する封止部234,234が一体に設けられる。縦枠23,23は、基板部231,231を貫通する図示しないねじによって、額縁101の左右の側部内面にそれぞれ固定される。
【0021】
障子3は、上桟31と、下桟32と、左右の縦框33,33と、を矩形に框組みした框体30の内側に、グレイジングチェンネル341を介してガラス等の面材34を納めることによって構成される。面材は、2枚のガラスからなる複層ガラスであってもよい。複層ガラスの場合は、框体に設けられる軟質塩ビからなる保持部材によって保持される。
【0022】
上桟31及び下桟32は、
図2に示すように、金属製芯材311,321と、その室外側及び室内側を覆う樹脂製カバー材312,322と、樹脂製カバー材312,322の上端面及び下端面に装着される樹脂製の上端カバー材313及び下端カバー材323と、によってそれぞれ構成される。縦框33,33は、
図3及び
図5に示すように、金属製芯材331,331と、その外側を覆う樹脂製カバー材332,332と、縦框33,33の上下両端面をそれぞれ覆う端部カバー材333,333(
図5参照)と、によってそれぞれ構成される。
【0023】
図1に示すように、障子3は、左右の縦框33,33の間に上桟31及び下桟32が配置される縦勝ち構造を有する。詳しくは、左右の縦框33,33は、障子3の上下方向の全長に亘って延びている。上桟31及び下桟32は、左右の縦框33,33の間に配置され、縦框33,33の上端部同士及び下端部同士をそれぞれ連結している。縦框33,33の上下両端面の端部カバー材333は、上桟31の上端カバー材313及び下桟32の下端カバー材323と、それぞれ面一状に配置される。下桟32の室内側の面の中央部には、略コ字型のハンドル35が取り付けられている。
【0024】
下部外れ止め部材4は、従来と同一の部材であり、
図1、
図2及び
図4に示すように、ハンドル35の一対の基部351,351のうちの一方の基部351と障子3の下桟32の室内側の面32aとの間に配置される。
【0025】
図4に示すように、下部外れ止め部材4は、縦長矩形状の金属製あるいは樹脂製のケースである保持部41と、保持部41の内部に収容される金属製板材からなる係止舌片42と、保持部41と係止舌片42とに亘って貫通する上下方向に長い長孔43と、を有する。係止舌片42は、保持部41よりも上下方向に長い長板状に形成される。係止舌片42の略上半分は、保持部41内に挿入されている。係止舌片42の略下半分は、保持部41から下枠22の溝部224内に突出している。保持部41の上端面41aは閉鎖されているため、保持部41内の係止舌片42が上方へ移動することはない。保持部41から突出する係止舌片42の角は、R状に面取りされている。
【0026】
下部外れ止め部材4は、固定ねじ44によって、下桟32の室内側の面32aに取り付けられる。詳しくは、下部外れ止め部材4は、枠体2に取り付けられる前の障子3の下桟32の室内側の面32aとハンドル35の基部351との間に配置される。下部外れ止め部材4は、基部351を取り付ける固定ねじ44が基部351のねじ挿入孔に緩く嵌め込まれることによって仮止めされる。このとき、下部外れ止め部材4は、障子3の下端部の下枠22の溝部224への挿入動作に支障がないように、固定ねじ44の軸部431が長孔43の下端側に配置するように上方に移動している。したがって、下部外れ止め部材4は、最終的な取り付け位置よりも上方の位置に仮止めされる。
【0027】
後述するように、障子3がケンドン式によって枠体2に嵌め込まれた後、下部外れ止め部材4を長孔43に沿って下方にスライドさせる。これによって、係止舌片42は、
図2に示すように、下枠22の第2ホロー部222と障子3の下桟32との隙間から下枠22の溝部224内に挿入される。溝部224内の係止舌片42は、障子3の下桟32の下端カバー材323よりも下方に突出し、ライナー227と下枠22の第2ホロー部222との間に配置される。係止舌片42の下端部42aは、下枠22の基板部223に近接している。その後、固定ねじ44が締め付けられることによって、下部外れ止め部材4は、下桟32とハンドル35の基部351との間で挟着され、下桟32に固定される。固定ねじ44の軸部431が長孔43の上端に配置されるため、保持部41内の係止舌片42が下方に移動することはない。
【0028】
障子3の下桟32に下部外れ止め部材4が取り付けられることによって、地震の縦揺れ等によって障子3が上方に移動しても、係止舌片42は下枠22の溝部224との係合状態を維持する。そのため、障子3の下端部が下枠22から外れることが阻止される。
【0029】
次に、上部外れ止め部材5について、
図1、
図2及び
図5を参照して説明する。上部外れ止め部材5は、障子3の上端面に配置され、上方に向けて突出している。本実施形態の上部外れ止め部材5は、縦框33,33の上端面にそれぞれ取り付けられる樹脂製の端部カバー材333によって構成される。端部カバー材333は、縦框33と上桟31とを連結する部材である。端部カバー材333によって構成される上部外れ止め部材5は、取付脚部333bによって、縦框33の上端面に取り付けられる。
【0030】
上部外れ止め部材5は、端部カバー材333の上面333aに一体に形成される硬質樹脂製のリブ51a,51bを有する。リブ51a,51bは、端部カバー材333の上面333aにおいて、障子3の上桟31の長さ方向に沿って平行に延び、所定の突出高さH1で突出している。端部カバー材333の上面333aは、障子3の上端面である。リブ51aは、端部カバー材333の上面333aの室外側の端縁333cに近接して配置され、リブ51bは、端部カバー材333の上面333aの室内側の端縁333dに近接して配置される。2本のリブ51a,51bの突出高さは同一である。この上部外れ止め部材5は、縦框33の端部カバー材333と一体に形成されるため、低コストであり、縦框33への端部カバー材333の取り付け作業だけで、障子3に上部外れ止め部材5を簡単に設けることができる。
【0031】
次に、枠体2に対して障子3をケンドン式で挿入する方法について説明する。障子3は、
図6に示すように、上枠21の溝部214と下枠22の溝部224に対して、室内側からケンドン式で挿入される。すなわち、まず、障子3の上端部側を室外側に傾けた状態で、障子3の上端部を上枠21の溝部214の奥深くまで斜め上方に向けて挿入する。
【0032】
障子3が溝部214の奥深くまで挿入された状態では、
図7に示すように、障子3の上端面と溝部214の内底面である基板部213との間に、室外側の高さが高く、室内側の高さが低い三角形の空間Sが形成される。上部外れ止め部材5のリブ5a1,51bは、この空間S内に収まるように端部カバー材333の上面333aから突出している。詳しくは、空間Sの高さが低い室内側に配置されるリブ51bが、空間S内に収まるように端部カバー材333の上面333aから突出している。
【0033】
空間S内に収まるとは、リブ51a,51bが、障子3の上端部を溝部214内に挿入する際に基板部213と干渉して障子3の挿入動作に支障を生じるようなことがない程度に突出していることをいう。障子3の挿入動作に支障を生じない程度であれば、リブ51a,51bの先端は基板部213に接触してもよい。
【0034】
障子3の上端部を溝部214に挿入した後、障子3の下端部側を室外側に向けて移動させ、下枠22の溝部224に位置合わせする。その後、障子3を下降させ、障子3の下端部を下枠22の溝部224に挿入する。これによって、障子3の上端部及び下端部がそれぞれ溝部214,224に収容され、障子3が上枠21と下枠22とに嵌め込まれて保持される。縦枠23,23は、封止部234,234を障子3の縦框33,33に室外側から当接させ、障子3の室外側の位置を規制する。縦枠23,23は、封止部234,234を障子3の室外側の面に当接させるだけであり、障子3を保持しない。上枠21の封止部215及びヒレ部216は、障子3の上端部に対して室外側及び室内側からそれぞれ当接することによって、気密性を確保し、障子3の上端部のガタツキを防止するとともに、室外からのごみ等の侵入を阻止する。下枠22の封止部225及びヒレ部226は、障子3の下端部に対して室外側及び室内側からそれぞれ当接することによって、気密性を確保し、障子3の下端部のガタツキを防止するとともに、室外からのごみ等の侵入を阻止する。
【0035】
障子3が枠体2に取り付けられた状態では、障子3の上端部は、
図2に示すように、上部外れ止め部材5のリブ51a,51bの突出高さH1の分だけ、上枠21に対する掛かりが増える。そのため、障子3が下方へ移動したり、障子3の上桟31の位置が下がったりしても、リブ51a,51bの突出高さH1の分だけ溝部214と障子3との係合状態は維持され、障子3が枠体2から外れることは阻止される。リブ51a,51bは、溝部214の奥深くまで挿入された障子3の上端面と溝部214内の基板部213との間の空間Sに収まる高さを有するため、リブ51a,51bが上枠21に対する障子3の挿入動作に支障が生じることはない。
【0036】
上部外れ止め部材5の2つのリブ51a,51bの突出高さは、
図8に示すように、異なってもよい。
図8に示す上部外れ止め部材5は、室外側のリブ51aの突出高さH2を、室内側のリブ51bの突出高さH1よりも高く形成している。これは、
図9に示すように、障子3の上端部が上枠21の溝部214に対して斜め上方に向けて挿入された際、室外側のリブ51aは、空間Sにおける高さが高い側に配置されるためである。室外側のリブ51aは、室内側のリブ51bよりも突出高さH2を大きくすることができるため、障子3の上端部の上枠21に対する掛かりをさらに増やすことができる。その結果、障子3の枠体2からの外れ阻止効果を向上させることができる。
【0037】
上部外れ止め部材5は、
図10に示すように、障子3の上桟31に設けることもできる。
図10に示す上部外れ止め部材5は、上桟31の上端カバー材313の上面313aにねじ53によって固定される基板52を有する。上端カバー材313の上面313aは、障子3の上端面である。リブ51a,51bは、基板52の上面に一体に形成されている。室外側のリブ51aは、上端カバー材313の上面313aにおける室外側の端縁313bに近接して配置される。
【0038】
図10に示す上部外れ止め部材5は、上桟31の長さ方向に間隔をおいて、上端カバー材313の上面313aに複数設けることができる。リブ51a,51b及び基板52は、上桟31の長さ方向の全長に亘って形成されてもよい。リブ51a,51bは、縦框33の端部カバー材333に設けられる場合と同様に、上端カバー材313の上面313aに一体に形成されてもよい。
【0039】
上部外れ止め部材5が有するリブは、室外側及び室内側にそれぞれ配置される2つに限定されない。リブは、少なくとも障子3の上端面における室外側の端縁313b,333cに近接して1つ配置されていればよい。
【0040】
以上要するに、本実施形態の建具であるFIX窓1は以下の効果を奏する。すなわち、FIX窓1は、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23,23を有するとともに上枠21及び下枠22にそれぞれ溝部214,224を有する枠体2と、上桟31、下桟32及び左右の縦框33,33を有する框体30の内側に面材34を有し、上端部及び下端部が溝部214,224にそれぞれ挿入されることによって上枠21及び下枠22に保持される障子3と、障子3の上端面に上方に突出して設けられ、障子3が上枠21から外れることを阻止する上部外れ止め部材5と、を有する。上部外れ止め部材5は、上桟31の長さ方向に沿って延び、障子3の上端部が上枠21の溝部214に対して斜め上方に向けて挿入された状態で、障子3の上端面と溝部214の内底面である基板部213との間の空間Sに収まるように上方に突出するリブ51a,51bを有する。これによれば、上部外れ止め部材5のリブ51a,51bの突出高さの分だけ、上枠21に対する掛かりが増えるため、障子3が下方へ移動したり、障子3の上桟31の位置が下がったりしても、リブ51a,51bの突出高さの分だけ溝部214と障子3との係合状態は維持され、障子3が枠体2から外れることは阻止される。リブ51a,51bは、溝部214の奥深くまで挿入された障子3の上端面と溝部214内の基板部213との間の空間Sに収まる高さを有するため、リブ51a,51bが上枠21に対する障子3の挿入動作に支障が生じることはない。
【0041】
リブが、少なくとも障子3の上端面における室外側の端縁313b,333cに近接して配置される場合は、リブの突出高さを大きくすることができるため、障子3の上端部の上枠21に対する掛かりをさらに増やすことができる。その結果、障子3の枠体2からの外れ阻止効果を向上させることができる。
【0042】
リブが、障子3の上端面を形成する上端カバー材313,端部カバー材333に設けられる場合は、上端カバー材313,端部カバー材333の取り付け作業だけで、障子3に上部外れ止め部材5を簡単に設けることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 FIX窓(建具)、 2 枠体、 21 上枠、 213 基板部(溝部の内底面)、 22 下枠、 23 縦枠、 3 障子、 30 框体、 31 上桟、 313 上端カバー材、 313a 上面(障子の上端面)、 313b 室外側の端縁、 32 下桟、 33 縦框、 333 端部カバー材、 333a 上面(障子の上端面)、 333c 室外側の端縁、 34 面材、 5 上部外れ止め部材、 51a,51b リブ、 S 空間