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特開2023-82773放射線検出器、生産管理システムおよび生産管理方法
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  • 特開-放射線検出器、生産管理システムおよび生産管理方法 図1
  • 特開-放射線検出器、生産管理システムおよび生産管理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082773
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】放射線検出器、生産管理システムおよび生産管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
G01T1/20 L
G01T1/20 E
G01T1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196686
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】キヤノン電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】瀧 直輝
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188CC17
2G188CC19
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD42
2G188DD44
(57)【要約】
【課題】アレイ基板情報に基づいた管理ができる放射線検出器を提供する。
【解決手段】放射線検出器10は、光電変換部を有するアレイ基板11と、アレイ基板11の光電変換部上に設けられたシンチレータ12と、アレイ基板11との間にシンチレータ12を覆う防湿体13と、防湿体13に設けられ、アレイ基板11のアレイ基板情報を含む情報を表示する防湿体表示部15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を有するアレイ基板と、
前記アレイ基板の前記光電変換部上に設けられたシンチレータと、
前記アレイ基板との間に前記シンチレータを覆う防湿体と、
前記防湿体に設けられ、前記アレイ基板のアレイ基板情報を含む情報を表示する防湿体表示部と
を備えることを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
前記アレイ基板の前記アレイ基板情報を表示して前記アレイ基板に設けられているとともに前記防湿体が設けられることで前記防湿体によって覆われるアレイ基板表示部を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記防湿体表示部は、前記光電変換部および前記シンチレータに対向する有効領域内に、前記防湿体の表面に施される表面加工によって設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の放射線検出器。
【請求項4】
光電変換部を有するアレイ基板と、前記アレイ基板の前記光電変換部上に設けられたシンチレータと、前記アレイ基板との間に前記シンチレータを覆う防湿体と、前記アレイ基板のアレイ基板情報を表示して前記アレイ基板に設けられているとともに前記防湿体が設けられることで前記防湿体によって覆われるアレイ基板表示部と、前記アレイ基板の前記アレイ基板情報を含む情報を表示して前記防湿体に設けられる防湿体表示部と、を備える放射線検出器の生産管理システムであって、
前記アレイ基板の前記アレイ基板情報と、前記アレイ基板の品種情報と、前記アレイ基板に設ける前記シンチレータおよび前記防湿体の生産および管理に関する生産管理情報と、を紐付けて登録するデータベース部を備え、
前記アレイ基板表示部と前記防湿体表示部のいずれからでも取得される前記アレイ基板情報に対応して、紐付けられた情報を前記データベース部から提供する
ことを特徴とする生産管理システム。
【請求項5】
光電変換部を有するアレイ基板と、前記アレイ基板の前記光電変換部上に設けられたシンチレータと、前記アレイ基板との間に前記シンチレータを覆う防湿体と、前記アレイ基板のアレイ基板情報を表示して前記アレイ基板に設けられているとともに前記防湿体が設けられることで前記防湿体によって覆われるアレイ基板表示部と、前記アレイ基板の前記アレイ基板情報を含む情報を表示して前記防湿体に設けられる防湿体表示部と、を備える放射線検出器の生産管理方法であって、
前記アレイ基板の前記アレイ基板情報と、前記アレイ基板の品種情報と、前記アレイ基板に設ける前記シンチレータおよび前記防湿体の生産および管理に関する生産管理情報と、が紐付けられてデータベース部に登録され、
前記防湿体が設けられる前に前記アレイ基板表示部から取得される前記アレイ基板情報に対応して、紐付けられた情報を前記データベース部から提供し、
前記防湿体が設けられるとともに前記防湿体表示部が設けられた後に前記防湿体表示部から取得される前記アレイ基板情報に対応して、紐付けられた情報を前記データベース部から提供する
ことを特徴とする生産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器、生産管理システムおよび生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換部を有するアレイ基板上に、シンチレータが設けられるとともに、このシンチレータを覆って防湿体が設けられた放射線検出器がある。この放射線検出器は、入射するX線をシンチレータで可視光に変換し、この可視光をアレイ基板の光電変換部で電気信号に変換し、このアレイ基板から出力される電気信号から画像情報を取得している。
【0003】
アレイ基板は、一般的に、製造工程で付与されるIDなどの個別のアレイ基板情報がアレイ基板にパターニングされて表示されている。
【0004】
放射線検出器を製造する場合、アレイ基板の種類毎に、シンチレータおよび防湿体の製造プロセスを正しく認識すること、製造データを取得して製品の品質を管理することなど、アレイ基板の種類毎の管理が求められる。アレイ基板の種類が多い場合でも、アレイ基板に表示されたアレイ基板情報を読み取ることで、アレイ基板の種類を識別し、アレイ基板の種類毎の管理が可能となる。
【0005】
この放射線検出器では、アレイ基板の狭額縁化の傾向により、アレイ基板上にシンチレータを覆う防湿体を設けた際に、この防湿体でアレイ基板情報が隠れてしまう場合があり、アレイ基板情報に基づいた管理が難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-231786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、アレイ基板情報に基づいた管理ができる放射線検出器、生産管理システムおよび生産管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の放射線検出器は、光電変換部を有するアレイ基板と、アレイ基板の光電変換部上に設けられたシンチレータと、アレイ基板との間にシンチレータを覆う防湿体と、防湿体に設けられ、アレイ基板のアレイ基板情報を含む情報を表示する防湿体表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態を示す放射線検出器を示し、(a)は放射線検出器の斜視図、(b)は防湿体表示部の拡大正面図である。
図2】同上放射線検出器の生産管理システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に放射線平面検出器である放射線検出器10を示す。放射線検出器10は、アレイ基板11と、このアレイ基板11上に設けられたシンチレータ12と、アレイ基板11との間にシンチレータ12を覆う防湿体13とを備えている。
【0012】
アレイ基板11は、例えば無アルカリガラスなどのガラス製の基板の一面に複数の光電変換部が形成されている。複数の光電変換部は基板上にマトリクス状に配置され、1つの光電変換部が放射線画像の1つの画素を構成する。各光電変換部には、可視光を電気信号に変換する例えばフォトダイオードなどの光電変換素子と、光電変換素子で得られた電気信号を所定の走査タイミングで読み出すためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)とが設けられている。
【0013】
アレイ基板11には、複数の光電変換部が設けられた有効画素領域の外に、アレイ基板情報を表示する第1表示部であるアレイ基板表示部14が設けられている(図2参照)。アレイ基板表示部14は、例えば、アレイ基板11の光電変換部のパターニング工程において一緒に設けられている。アレイ基板表示部14は、アレイ基板11の狭額縁化が図られている場合、光電変換部が設けられた有効画素領域に接近した位置に設けられている。アレイ基板表示部14に表示されるアレイ基板情報は、例えば、アレイ基板11の固有またはアレイ基板11の品種に個別のIDであって、そのIDの文字列、そのIDを示すバーコードや二次元コードなどの識別コードなどが含まれている。
【0014】
また、シンチレータ12は、アレイ基板11の複数の光電変換部が設けられた有効画素領域を覆うように設けられる。シンチレータ12は、入射する放射線であるX線を可視光である蛍光に変換する。
【0015】
シンチレータ12は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)、あるいは臭化セシウム(CsBr):ユーロピウム(Eu)などを用いて形成することができる。
【0016】
シンチレータ12は、例えば、真空蒸着法を用いてアレイ基板11の上に直接蒸着することができる。真空蒸着法を用いてシンチレータ12を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ12を形成することができる。
【0017】
シンチレータ12の表面には、シンチレータ12の表面側に向う可視光を光電変換部へ向けて反射させ、可視光の利用効率を高めて感度特性を向上させるために反射層を設けることができる。
【0018】
また、防湿体13は、アレイ基板11との間にシンチレータ12を覆い、空気中に含まれる水分によりシンチレータ12の特性が劣化するのを抑制するために設けることができる。
【0019】
防湿体13は、例えば、金属を含むシートとすることができる。金属は、例えば、アルミニウムを含む金属、銅を含む金属、マグネシウムを含む金属、タングステンを含む金属、ステンレス、コバール材などとすることができる。この場合、金属を含む防湿体13とすれば、防湿体13を透過する水分をほぼ完全になくすことができる。
【0020】
防湿体13は、例えば、樹脂膜、金属膜、および無機膜の少なくとも二種が積層された積層シートとすることもできる。樹脂膜は、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、テフロン(登録商標)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、弾性ゴムなどから形成されたものとすることができる。金属膜は、例えば、前述した金属を含むものとすることができる。金属膜は、例えば、スパッタリング法、ラミネート法などを用いて形成することができる。無機膜は、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウムなどを含む膜とすることができる。無機膜は、例えば、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0021】
この場合、樹脂膜がシンチレータ12側に設けられても、金属膜がシンチレータ12側に設けられてもよい。樹脂膜がシンチレータ12側に設けられれば、塩化物を含むシンチレータ12と金属膜が直接接触するのを抑制することができ、金属膜の腐食を抑制することができる。また、金属膜がシンチレータ12側に設けられれば、樹脂膜や無機膜により金属膜を覆うことができるので、外力などにより金属膜が傷つくのを抑制することができ、樹脂層を介した透湿でシンチレータ12の特性が劣化するのを抑制することができる。
【0022】
防湿体13は、アレイ基板11との間にシンチレータ12を覆う防湿体13の周辺部で、アレイ基板11の複数の光電変換部が設けられた有効画素領域の外に設けられているアレイ基板表示部14を覆い、隠してしまう場合がある。
【0023】
このように防湿体13でアレイ基板表示部14を覆ってしまう場合でも、アレイ基板11のアレイ基板情報に基づいて生産管理ができるように、防湿体13の表面にアレイ基板情報を含む情報を表示する第2表示部である防湿体表示部15を設けることができる。
【0024】
防湿体表示部15に表示される情報には、例えば、アレイ基板情報を示すバーコードや二次元コードなどの識別コード、アレイ基板情報を示す文字列など、少なくともアレイ基板情報を含むことができる。さらに、防湿体表示部15に表示される情報には、製品のシリアル番号などを含むことができる。例えば、図1(b)には、防湿体表示部15に表示される情報として、アレイ基板情報を示すバーコードと、製品のシリアル番号とを表示した例を示す。
【0025】
防湿体表示部15は、アレイ基板11の光電変換部(有効画素領域)およびシンチレータ12に対向する有効領域内に、防湿体13の表面に施される表面加工によって設けられている。表面加工としては、例えば、レーザー加工あるいはサンドブラスト加工により防湿体13の表面の粗さを変えたり、レーザー照射によって熱を加えて防湿体13の表面を酸化させたり、防湿体13の表面が樹脂の場合にはレーザー加工により樹脂の表面を焦がすなどの方法が含まれる。
【0026】
防湿体13の表面に防湿体表示部15を形成するには、例えばインクなどを用いて印字することも可能であるが、防湿体13の表面に別部材のインクが存在することでX線が吸収され、X線画像に影響が生じるおそれがあるが、防湿体13の表面を表面加工することでX線画像への影響を少なくできる。
【0027】
また、図2に生産管理システム20の構成図を示す。
【0028】
生産管理システム20は、アレイ基板11のアレイ基板表示部14からアレイ基板情報を読み取る第1読取部21と、防湿体13の防湿体表示部15からアレイ基板情報を含む情報を読み取る第2読取部22と、情報を表示したり入力するための端末23と、情報を管理するための管理装置24とが含まれている。
【0029】
第1読取部21は、アレイ基板表示部14に表示されるアレイ基板情報が文字列の場合には撮像装置が用いられ、バーコードの場合にはバーコードリーダが用いられる。
【0030】
第2読取部22は、防湿体表示部15に表示される情報がバーコードの場合にはバーコードリーダが用いられ、文字列を含む場合には撮像装置が用いられる。
【0031】
端末23は、例えば、タブレットや、ノートパソコンなどの電子端末が含まれる。端末23は、第1読取部21または第2読取部22が有線または無線で通信可能に接続され、第1読取部21で読み取るアレイ基板情報または第2読取部22で読み取るアレイ基板情報を含む情報を取得する。端末23は、有線または無線によって管理装置24と相互に通信可能とし、取得したアレイ基板情報などの情報を管理装置24に送信したり、管理装置24から送信される表示や入力のための情報を受信できる。
【0032】
なお、第1読取部21および第2読取部22、端末23は、複数用いられ、例えば工程毎に配置されていてもよい。また、第1読取部21と第2読取部22とは共通でもよい。あるいは、端末23がカメラと情報読取処理機能を備えることにより、端末23が第1読取部21および第2読取部22の機能を兼用してもよい。
【0033】
管理装置24は、例えばサーバーで構成される。管理装置24は、第1読取部21または第2読取部22などによって読み取られるアレイ基板情報を端末23などから取得するアレイ基板情報入力部25と、取得されたアレイ基板情報に対応して予め登録されている品種を特定する品種特定部26と、特定された品種に対応した品質管理項目の情報が端末23などから入力される品質管理項目入力部27との各機能を有している。
【0034】
さらに、管理装置24は、情報を記憶するデータベース部28を備えている。データベース部28は、アレイ基板11のアレイ基板情報と、アレイ基板11の品種情報と、アレイ基板11に設けるシンチレータ12および防湿体13の生産および管理に関する生産管理情報と、が紐付けられて登録されている。生産管理情報には、製造を行う各工程の作業内容や製造装置のレシピ条件などを含む製造情報(生産情報)と、各工程の製造条件や製造品質、各工程の開始時刻、各工程の作業者名などを含む品質管理項目の情報とが含まれる。品種毎に対応した製造情報および品質管理項目の情報を含む生産管理情報は、データベース部28に予め登録されている。
【0035】
次に、生産管理システム20の動作を説明する。
【0036】
まず、アレイ基板11のアレイ基板情報と品種とを紐付けてデータベース部28に登録する。
【0037】
これは、第1読取部21などでアレイ基板11のアレイ基板表示部14からアレイ基板情報を読み取ることにより、端末23などを通じて管理装置24のアレイ基板情報入力部25がアレイ基板情報を取得する。
【0038】
端末23にアレイ基板11の品種の入力画面が表示され、この端末23によってアレイ基板11に対応した品種が入力されることにより、アレイ基板情報と品種とが紐付けられて管理装置24のデータベース部28に登録される。
【0039】
また、放射線検出器10の製造時においては、第1読取部21でアレイ基板11のアレイ基板表示部14からアレイ基板情報を読み取り、端末23を通じて管理装置24のアレイ基板情報入力部25がアレイ基板情報を取得すると、品種特定部26でデータベース部28に予め登録されているアレイ基板情報に紐付けられている品種を特定し、さらに、アレイ基板情報および品種と紐付けられている製造情報や品質管理項目の情報などを含む生産管理情報を端末23に提供する。
【0040】
端末23では、管理装置24から提供される生産管理情報を取得し、品種に応じた製造情報を表示したり、品質管理項目の入力部を表示する。
【0041】
端末23では、製造を行う工程の製造情報を選択操作することにより、選択操作された工程の作業内容や製造装置のレシピ条件などを含む製造情報を表示する。作業者は、端末23に表示された製造情報を確認し、作業を進めることができる。
【0042】
端末23では、品質管理項目の入力部が表示されることにより、各工程の製造条件や製造品質、各工程の開始時刻、各工程の作業者名などを含む品質管理項目の情報を入力できる。入力された品質管理項目の情報は、アレイ基板情報に紐付けてデータベース部28に登録される。
【0043】
そして、製造工程では、アレイ基板11の光電変換部上にシンチレータ12を形成し、アレイ基板11との間にシンチレータ12を覆う防湿体13を設ける。
【0044】
アレイ基板11上にシンチレータ12を覆う防湿体13を設けた後、防湿体13の表面にはアレイ基板情報を含む情報を表示する防湿体表示部15を設ける。例えばレーザー加工機で防湿体表示部15を設ける場合、管理装置24から防湿体表示部15に表示するアレイ基板情報を含む情報をレーザー加工機に送信し、あるいは、その情報が端末23に表示され、表示を確認した作業者がレーザー加工機に情報を入力することにより、レーザー加工機で防湿体表示部15を設ける。
【0045】
また、アレイ基板11の狭額縁化の傾向により、アレイ基板11との間にシンチレータ12を覆う防湿体13を設けた際に、この防湿体13の周辺部でアレイ基板表示部14が覆われ、隠れてしまう場合があるが、防湿体13の表面に防湿体表示部15が設けられることにより、それ以降もアレイ基板情報に基づいた生産管理が可能となる。
【0046】
すなわち、第2読取部22で防湿体13の防湿体表示部15からアレイ基板情報を含む情報を読み取り、管理装置24のアレイ基板情報入力部25がアレイ基板情報を取得すると、品種特定部26でデータベース部28に予め登録されているアレイ基板情報に紐付けられている品種を特定し、さらに、アレイ基板情報および品種と紐付けられている製造情報や品質管理項目の情報などを含む生産管理情報を端末23に提供する。
【0047】
なお、端末23では、任意のアレイ基板情報を入力することで、紐付けられている情報をデータベース部28から取得して表示できる。
【0048】
以上のように、本実施形態の放射線検出器10では、防湿体13にアレイ基板情報を含む情報を表示する防湿体表示部15が設けられるため、アレイ基板11のアレイ基板表示部14が防湿体13によって隠れてしまっても、防湿体表示部15を読み取ることでアレイ基板情報に基づいた管理ができる。
【0049】
そのため、アレイ基板11の種類が多い場合でも、製造条件の間違いなどによる不良の発生を抑え、管理を容易にできる。
【0050】
さらに、防湿体表示部15は、アレイ基板11の光電変換部(有効画素領域)およびシンチレータ12に対向する有効領域内に設けられる場合、防湿体13の表面に施される表面加工によって設けられることにより、例えばインクなどを用いて印字する場合に比べて、X線画像への影響を少なくできる。
【0051】
また、生産管理システム20では、アレイ基板11のアレイ基板情報と、アレイ基板11の品種情報と、アレイ基板11に設けるシンチレータ12および防湿体13の生産および管理に関する生産管理情報と、を紐付けて登録するデータベース部28を備えることにより、アレイ基板11に表示されたアレイ基板表示部14と防湿体13に設けられた防湿体表示部15のいずれからでも取得されるアレイ基板情報に対応して、紐付けられた情報をデータベース部28から提供することができる。
【0052】
つまり、防湿体13が設けられる前にアレイ基板11のアレイ基板表示部14から取得されるアレイ基板情報に対応して、紐付けられた情報をデータベース部28から提供し、また、防湿体13が設けられるとともに防湿体表示部15が設けられた後に防湿体表示部15から取得されるアレイ基板情報に対応して、紐付けられた情報をデータベース部28から提供することができる。
【0053】
なお、アレイ基板11のアレイ基板表示部14は、着脱可能とするシール台紙にアレイ基板情報を印字したアレイ基板情報表示シールでもよい。アレイ基板情報表示シールは、アレイ基板11の裏面などの製品特性、工程作業に影響がでない箇所に貼り付けることが好ましい。アレイ基板情報表示シールは、装置内での加工中は外し、加工終了後に再度貼り付けることになる。
【0054】
この場合、アレイ基板情報表示シールが作業中などに脱落する可能性があるが、防湿体13に防湿体表示部15が設けられた後であれば、アレイ基板情報に基づく管理が可能となる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 放射線検出器
11 アレイ基板
12 シンチレータ
13 防湿体
14 アレイ基板表示部
15 防湿体表示部
20 生産管理システム
28 データベース部
図1
図2