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2023-82775連結具、及び、これを使用したグレーチング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082775
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】連結具、及び、これを使用したグレーチング
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20230608BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
E03F5/06 A
E03F5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196688
(22)【出願日】2021-12-03
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】500494499
【氏名又は名称】株式会社シマブン
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】大野 昌久
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CB06
2D063CB12
2D063CB22
2D063CB30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構造でありながら手作業での挿脱が容易であり、隣り合うグレーチング用メインバーの間を確実に連結できる連結具及びこれを使用したグレーチングを提供する。
【解決手段】連結具1は、踏部と該踏部から垂下して連結具1を嵌挿可能な掛合穴が側面に形成された支脚部を有するメインバーの連結に使用でき、同掛合穴の穴形よりも細軸状で所定長さの中間軸部11、同中間軸部の軸方向一端側に配設した第1連結部12及び同中間軸部の軸方向他端側に配設した第2連結部13を備える。第1連結部12(同構造の第2連結部13)は、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴と略同形状であり、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部123・133が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏部及び該踏部から垂下した支脚部を有し、該支脚部の側面に連結具を嵌挿可能な掛合穴が形成されたグレーチング用メインバーの連結に使用可能であり、
前記掛合穴の内形寸法よりも細い軸状に設けられた所定長さの中間軸部と、
該中間軸部の軸方向一端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第1連結部と、
該中間軸部の軸方向他端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第2連結部と、を備える
連結具。
【請求項2】
前記第1連結部及び前記第2連結部の各々は、軸方向中間から先端方向へ窄まる嵌挿補助部が形成されている
請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記第1連結部及び前記第2連結部の各々において、使用状態で天地方向となる箇所に、平坦な天面部及び底面部が形成されていると共に、該天面部及び該底面部には、軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分と、該高面部分と比較して低く形成された前記中間軸部寄りの領域である低面部分と、が設けられ、
該低面部分から前記高面部分との間で略鉛直に立ち上がって形成された軸線方向と交差した隅部分が、前記掛止部を構成する
請求項1又は2に記載の連結具。
【請求項4】
前記第1連結部及び前記第2連結部は、略円柱形状であり、同第1連結部の各底面と前記第2連結部の各底面の向きが一致する態様で設けられている
請求項1に記載の連結具。
【請求項5】
前記各底面には、軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分と、該高面部分と比較して低く形成された前記中間軸部寄りの領域である低面部分と、が設けられ、
該低面部分から前記高面部分との間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、前記掛止部を構成する
請求項4に記載の連結具。
【請求項6】
前記第1連結部及び前記第2連結部の各々に、軸体を嵌挿可能な受け穴が形成されている
請求項1乃至5のいずれかに記載の連結具。
【請求項7】
前記受け穴は、使用状態において天地方向に貫通している
請求項6に記載の連結具。
【請求項8】
前記中間軸部は、その側面形状が短径方向断面視で俵形であり、使用状態で左右方向となる各側面部分が平面であると共に、使用状態で天地方向となる各側面部分が膨出曲面である
請求項1乃至7のいずれかに記載の連結具。
【請求項9】
踏部及び該踏部から垂下した支脚部を有し、該支脚部の側面に掛合穴が形成された複数のグレーチング用メインバーと、
前記掛合穴の内形寸法よりも細い軸状に設けられた所定長さの中間軸部、該中間軸部の軸方向一端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第1連結部、及び、該中間軸部の軸方向他端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第2連結部、を有する連結具と、を備え、
該連結具を前記掛合穴に嵌挿することで、前記グレーチング用メインバーの一部又は全部が連結されて構成されている
グレーチング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具、及び、これを使用したグレーチングに関する。詳しくは、簡易な構造でありながら手作業での挿脱が容易であり、隣り合うグレーチング用メインバーの間を確実に連結することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内プールや浴室、厨房等に設けられた排水升や排水溝(以下「排水升等」という)の開口部には、転落による怪我等の防止やゴミの流入を制限するために、グレーチングが設置されており、例えば、本発明者も特許文献1に記載されたグレーチングを過去に開発している。
【0003】
特許文献1記載のグレーチングは、所要数のメインバー1を並設してジョイント2によって連結することにより構成されたものである。メインバー1は、踏部10と、踏部10の下側に設けられて掛合穴13が形成された所要数の脚部11を有している。また、ジョイント2は、弾性材料で所要長さに形成されており、長手方向の両端にはメインバー1の各掛合穴13に差し込み、掛合穴13の穴縁部と掛止できる掛止部201・211を備えた差込部20・21を有し、各差込部20・21の間の中間部22が掛合穴13より径大に又は太く形成されている。そして、このグレーチングは、隣り合うメインバー1の対向する脚部11の各掛合穴13に、ジョイント2の差込部20・21を差し込み掛合してメインバー1が連結されたものである。
【0004】
このグレーチングによれば、排水がグレーチングの幅方向両側から流入しやすくなっていることで施工部の排水の集水性に優れ、水捌けがよく、しかも髪の毛等が詰まりにくく清掃等のメンテナンス性にも優れたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5658627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載のグレーチングは、所定の長さで出荷され、作業現場において排水升等が長尺や幅広な場合は複数のグレーチングを長手方向又は幅方向に継ぎ、排水升等に適合するサイズに調製することがある。ところで、組立工場に備わる所定の工具を使用すると、前述のジョイント2は掛合穴13へ挿脱しやすいものの、工具不使用の場合は挿脱が行いにくく、作業現場での速やか且つ簡易的な施工には若干不向きであった。
【0007】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、簡易な構造でありながら手作業での挿脱が容易であり、隣り合うグレーチング用メインバーの間を確実に連結することができる連結具、及び、これを使用したグレーチングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の連結具は、踏部及び該踏部から垂下した支脚部を有し、該支脚部の側面に連結具を嵌挿可能な掛合穴が形成されたグレーチング用メインバーの連結に使用可能であり、前記嵌合孔の内形寸法よりも細い軸状に設けられた所定長さの中間軸部と、該中間軸部の軸方向一端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第1連結部と、該中間軸部の軸方向他端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第2連結部と、を備える。
【0009】
ここで、本発明の連結具は、これを使用することにより、前述した構造のグレーチング用メインバーを連結することができる。
【0010】
より詳しくは、連結対象となる第1のグレーチング用メインバーの支脚部に形成された掛合穴に第1連結部を嵌挿する。第1連結部は、その外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成されているため、作業者が少し力を入れるだけで円滑に嵌挿することができる。
【0011】
更に、第1連結部は、中間軸部を反対方向とする先端方向視で掛合穴と略同じ形状であることにより、嵌挿しやすくなっている。また、例えば、第1連結部の形状が長方形等の多角形である場合、掛合穴の形状と合った正しい向きでないと嵌挿できないため、嵌挿方向の間違いを予防することができる。
【0012】
そして、第1連結部は、掛止部が設けられており、且つ、前述の通り外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さい構造であるため、掛合穴に嵌挿後、掛合穴の穴縁部に掛止されて、掛合穴から容易に抜けにくくすることができる。
【0013】
次いで、連結対象となる第2のグレーチング用メインバーの支脚部に形成された掛合穴に第2連結部を嵌挿する。第1連結部と同様、第2連結部も、その外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成されているため、作業者が少し力を入れるだけで円滑に嵌挿することができる。
【0014】
更に、第1連結部と同様、第2連結部も、掛合穴と略同じ形状であることによって嵌挿しやすく、掛止部が設けられ且つ外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さい構造であるため、掛合穴に嵌挿後、掛合穴の穴縁部に掛止されて、掛合穴から容易に抜けにくくすることができる。
【0015】
中間軸部は、所定長さであることによって、第1のグレーチング用メインバーと第2のグレーチング用メインバーの間で、間隔を保持するスペーサーの役割を果たすことができる。
【0016】
更に、中間軸部は、掛合穴の内形寸法よりも細い軸状に設けられていることで、掛合穴内で中間軸部を揺動させるためのスペースを確保することができる。これにより、第1のグレーチング用メインバーと第2のグレーチング用メインバーの連結を解除する際に、中間軸部を揺動させながら掛合穴の穴縁部と掛止部との掛止状態を解除することができると共に、掛合穴と第1連結部の外周とが嵌合して摩擦抵抗が生じた状態であっても、手作業で中間軸部を揺動させることで徐々に引き抜くことができる。なお、第2連結部を第2のグレーチング用メインバーの掛合穴から外す際も同様である。
【0017】
また、第1連結部及び第2連結部の各々は、軸方向中間から先端方向へ窄まる嵌挿補助部が形成されている場合は、例えば、第1連結部及び第2連結部が角形や円柱形等であって、先端面と側面部の交わる部分に角がある等の嵌挿補助部が無い形状と比較して、緻密に観察せずとも第1連結部及び第2連結部を掛合穴に挿入しやすく、作業性を更に向上させることができる。
【0018】
また、第1連結部及び第2連結部の各々において、使用状態で天地方向となる箇所に、平坦な天面部及び底面部が形成されていると共に、天面部及び底面部には、軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分と、高面部分と比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分と、が設けられ、低面部分から高面部分との間で略鉛直に立ち上がって形成された軸線方向と交差した隅部分が、掛止部を構成する場合は、簡易な構成でありながら確実な掛止を行うことができる。
【0019】
より詳しくは、掛合穴に嵌挿された第1連結部(第2連結部)は、中間軸部の方向へ入れ込まれて掛合穴の穴縁部が低面部分まで至り、低面部分に落ち込んだ掛合穴の穴縁部は、低面部分と高面部分の間の隅部分である掛止部に引っ掛かり、容易に抜けないようになる。また、掛止部は、低面部分から高面部分との間で略鉛直に立ち上がって形成された軸線方向と交差した隅部分であり、換言すると低面部分と高面部分の段差であって簡易な構造であるため、複雑な金型等を必要とせず、製造コストの低減化を図ることもできる。
【0020】
更にまた、掛止部を天面部及び底面部の両面に設けたことで、天地を問わずに取り付けることができ、且つ、両面に設けた掛止部が、掛合穴の穴縁部の上下いずれかにほぼ常時引っ掛かるので、確実な掛止を行うことができる。
【0021】
なお、前述の通り、「天面部」とは使用状態において上に向く部分であり、「底面部」とは使用状態において下に向く部分である。第1連結部及び第2連結部が前述の通り円柱状等の柱形状である場合は、天面部及び底面部は共に対称な「底面」と表現できるが、柱形状でない場合や、天面部及び底面部が非対称な場合を含む意味で「天面部」「底面部」と表現している。つまり、用語「天面部」「底面部」は、柱形状であるときは共に「底面」であると換言することができる。
【0022】
また、第1連結部及び第2連結部は、略円柱形状であり、第1連結部の各底面と第2連結部の各底面の向きが一致する態様で設けられている場合は、先端面と側面部の交わる部分に角がある等の嵌挿補助部が無い形状と比較して、緻密に観察せずとも第1連結部及び第2連結部を掛合穴に挿入しやすく、作業性を更に向上させることができる。
【0023】
より詳しくは、第1連結部及び第2連結部は、前述した態様の略円柱形状であることから、軸方向中間から先端方向へ窄まる嵌挿補助部を有する形状に自ずとなっており、また、嵌挿補助部の形状が滑らかであることから、第1連結部及び第2連結部を掛合穴に挿入しやすい。そして、第1連結部及び第2連結部が略円柱形状であることから、掛合穴へ挿脱する際に摩擦抵抗が生じる外周部分が小さくなるので、掛合穴への挿脱が行いやすい。なお、「第1連結部の各底面と第2連結部の各底面の向きが一致する」とは、「第1連結部の各底面と第2連結部の各底面の向きが水平方向において一致する」とも換言できる。
【0024】
また、各底面部には、軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分と、高面部分と比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分と、が設けられ、低面部分から高面部分との間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部を構成する場合は、簡易な構成でありながら確実な掛止を行うことができる。
【0025】
より詳しくは、掛合穴に嵌挿された第1連結部(第2連結部)は、中間軸部の方向へ入れ込まれて掛合穴の穴縁部が低面部分まで至り、低面部分に落ち込んだ掛合穴の穴縁部は、低面部分と高面部分の間の隅部分である掛止部に引っ掛かり、容易に抜けないようになる。また、掛止部は、低面部分から高面部分との間で略鉛直に立ち上がって形成された軸線方向と交差した隅部分であり、換言すると低面部分と高面部分の段差であって簡易な構造であるため、複雑な金型等を必要とせず、製造コストの低減化を図ることもできる。
【0026】
更にまた、掛止部を各底面部に設けたことで、天地を問わずに取り付けることができ、且つ、両面に設けた掛止部が、掛合穴の穴縁部の上下いずれかにほぼ常時引っ掛かるので、確実な掛止を行うことができる。
【0027】
また、第1連結部及び第2連結部の各々に、軸体を嵌挿可能な受け穴が形成されている場合は、連結した各グレーチング用メインバーの意図しない連結解除を抑止することができる。
【0028】
より詳しくは、第1連結部(第2連結部)を掛合穴へ嵌挿した後、受け穴の大きさよりも長い軸体(例えば、棒状で頭の付いた留めピンやスナップピン)を受け穴に嵌挿することで、軸体の先端部分や基端部分が受け穴周囲の支脚部に引っ掛かる。これにより、相当な引張力が生じない限り、連結具がグレーチング用メインバーの支脚部から外れなくなり、即ち、連結した各グレーチング用メインバーの意図しない連結解除を抑止することができる。
【0029】
また、受け穴が使用状態において天地方向に貫通している場合は、水平方向に設けた受け穴と比較して、軸体を受け穴に嵌挿する作業が行いやすく、作業性を更に向上させることができる。
【0030】
更に、受け穴が貫通しているので、軸体の先端部分と基端部分の両方が受け穴からはみ出るように嵌挿できるので、軸体の先端部分と基端部分の両方が受け穴周囲の支脚部に引っ掛かるようにすることができる。これにより、引張力に対する強度がより高まり、連結した各グレーチング用メインバーの意図しない連結解除を抑止する効果が更に高まめることができる。
【0031】
また、中間軸部は、その側面形状が短径方向断面視で俵形であり、使用状態で左右方向となる各側面部分が平面であると共に、使用状態で天地方向となる各側面部分が膨出曲面である場合は、連結した各グレーチング用メインバーの連結を解除する際に、連結具を外す作業が行いやすく、作業性を更に向上させることができる。
【0032】
より詳しくは、掛合穴の穴縁部と掛止部との掛止状態を解除する際に、中間軸部は、膨出曲面である天地方向の各側面部分が、穴縁部との接触面積が少ないため、中間軸部を揺動させやすくなっている。一方、中間軸部は、左右方向となる各側面部分が平面であることにより、穴縁部との接触面積が多く、中間軸部が左右にブレにくくなって、連結時において掛止部が掛合穴の穴縁部から外れにくいようになっている。
【0033】
上記の目的を達成するために、本発明のグレーチングは、踏部及び該踏部から垂下した支脚部を有し、該支脚部の側面に掛合穴が形成された複数のグレーチング用メインバーと、前記掛合穴の内形寸法よりも細い軸状に設けられた所定長さの中間軸部、該中間軸部の軸方向一端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第1連結部、及び、該中間軸部の軸方向他端側に配設され、同中間軸部を反対方向とする先端方向視で前記掛合穴と略同じ形状であると共に、その外形寸法が同掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成され、軸方向中間から中間軸部との間の領域に、同掛合穴の穴縁部と掛止可能な掛止部が設けられた、第2連結部、を有する連結具と、を備え、該連結具を前記掛合穴に嵌挿することで、前記グレーチング用メインバーの一部又は全部が連結されて構成されている。
【0034】
ここで、グレーチング用メインバーは、複数を連結することで、集水升や集水溝の蓋を構成すると共に、通行人の体重等の踏部から加わる荷重を支脚部が支える態様で使用される。そして、複数のグレーチング用メインバーを連結するにあたり、隣接するグレーチング用メインバーへ前述した連結具が使用される。
【0035】
より詳しくは、連結対象となる第1のグレーチング用メインバーの支脚部に形成された掛合穴に、連結具の第1連結部を嵌挿する。第1連結部は、その外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成されているため、作業者が少し力を入れるだけで円滑に嵌挿することができる。
【0036】
更に、第1連結部は、中間軸部を反対方向とする先端方向視で掛合穴と略同じ形状であることにより、嵌挿しやすくなっている。また、例えば、第1連結部の形状が長方形等の多角形である場合、掛合穴の形状と合った正しい向きでないと嵌挿できないため、嵌挿方向の間違いを予防することができる。
【0037】
そして、第1連結部は、掛止部が設けられており、且つ、前述の通り外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さい構造であるため、掛合穴に嵌挿後、掛合穴の穴縁部に掛止されて、掛合穴から容易に抜けにくくすることができる。
【0038】
次いで、連結対象となる第2のグレーチング用メインバーの支脚部に形成された掛合穴に第2連結部を嵌挿する。第1連結部と同様、第2連結部も、その外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さく形成されているため、作業者が少し力を入れるだけで円滑に嵌挿することができる。
【0039】
更に、第1連結部と同様、第2連結部も、掛合穴と略同じ形状であることによって嵌挿しやすく、掛止部が設けられ且つ外形寸法が掛合穴の内形寸法よりも僅かに小さい構造であるため、掛合穴に嵌挿後、掛合穴の穴縁部に掛止されて、掛合穴から容易に抜けにくくすることができる。
【0040】
中間軸部は、所定長さであることによって、第1のグレーチング用メインバーと第2のグレーチング用メインバーの間で、間隔を保持するスペーサーの役割を果たすことができる。
【0041】
更に、中間軸部は、掛合穴の内形寸法よりも細い軸状に設けられていることで、掛合穴内で中間軸部を揺動させるためのスペースを確保することができる。これにより、第1のグレーチング用メインバーと第2のグレーチング用メインバーの連結を解除する際に、中間軸部を揺動させながら掛合穴の穴縁部と掛止部との掛止状態を解除することができると共に、掛合穴と第1連結部の外周とが嵌合して摩擦抵抗が生じた状態であっても、中間軸部を揺動させることで徐々に引き抜くことができる。なお、第2連結部を第2のグレーチング用メインバーの掛合穴から外す際も同様である。
【0042】
本発明のグレーチングによれば、前述の連結具を使用することにより、工具等を使用しなくとも隣り合うグレーチング用メインバーの間が確実に連結されたものを提供することができる。そして、本発明のグレーチングは、特許文献1のグレーチングと比較して、組立効率が良く、作業性が向上している。
【0043】
更に、本発明のグレーチングによれば、連結具の挿脱が容易であるため、例えば、集水升や集水溝の長さや幅が長尺で、特許文献1記載の工場で組み立てられた規定サイズのグレーチングのサイズが足りない場合であっても、グレーチングの端部に位置するグレーチング用メインバーに連結具を使用して複数のグレーチングを継ぐことで、作業現場でより長尺又は幅広のグレーチングを組むことができる(即ち、グレーチング用メインバーの一部が連結されて構成されている態様である)。
【0044】
更にまた、本発明のグレーチングによれば、連結具の挿脱が容易であるため、例えば、現場での作業において、既に組み立てた状態で搬入したグレーチングのサイズが集水升や集水溝のサイズと合わない場合であっても、集水升や集水溝のサイズに合わせてグレーチング用メインバーの数を容易に増減させることができ、これによって集水升や集水溝のサイズに合ったグレーチングを作業現場で組むことができる(即ち、グレーチング用メインバーの一部又は全部が連結されて構成されている態様である)。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、簡易な構造でありながら手作業での挿脱が容易であり、隣り合うグレーチング用メインバーの間を確実に連結することができる連結具、及び、これを使用したグレーチングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の連結具(第1実施形態)の斜視図である。
図2図1に示す連結具の正面図である。
図3図1に示す連結具の平面図である。
図4図1に示す連結具の右側面図である。
図5図2に示す連結具の断面図であり、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
図6図1に示す連結具をグレーチングに適用する際の使用状態説明図である。
図7図6に示すグレーチングの構造の説明図であり、(a)は図6X部の横断面図、(b)は図6Y部の横断面図である。
図8図7に示すグレーチングの構成部品であり、(a)は接続具の斜視図、(b)はグレーチング用メインバーの斜視図である。
図9】本発明のグレーチングの使用状態説明図である。
図10】本発明の連結具の変形例であり、(a)は変形例1を示す斜視図、(b)は変形例2を示す斜視図、(c)は変形例3を示す斜視図である。
図11図9に示すグレーチングの変形例1であり、(a)は接続方法を示す分解斜視説明図、(b)はグレーチングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1図11を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、〔第1実施形態〕、〔第2実施形態〕、〔変形例1〕、〔変形例2〕、〔変形例3〕、〔変形例4〕の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
【0048】
〔第1実施形態〕
図1~5を参照して、本発明の連結具1について説明する。連結具1は、中間軸部11、第1連結部12、及び、第2連結部13を備える。各部については以下詳述する。なお、連結具1の作用効果については、後述する〔第2実施形態〕において併せて説明する。
【0049】
(中間軸部11)
中間軸部11は、後述するグレーチング用のメインバー21に形成された掛合穴215の内形寸法よりも細い、所定長さの軸状に設けられている。また、中間軸部11は、その側面形状が短径方向断面視で俵形であり、使用状態で左右方向となる各側面部分が平面であると共に、使用状態で天地方向となる各側面部分が膨出曲面である(図1図2図4図5(b)参照)。
【0050】
(第1連結部12)
第1連結部12は、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり(図4参照)、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第1連結部12は、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部123が設けられている。以下、第1連結部12の各部について詳述する。
【0051】
第1連結部12は、略円柱形状であり(図1図4参照)、第1連結部12の各底面120と、後述する第2連結部13の各底面130の向きとが一致する態様で設けられている(図1図2図3図5(a)参照)。なお、第1連結部12は、略円柱形状であることから、中間軸部11から見て反対方向となる先端方向の曲面部分は、換言すると「軸方向中間から先端方向へ窄まる」形状であり、即ち同曲面部分が嵌挿補助部124となる。
【0052】
各底面120には、連結具1長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分121と、高面部分121と比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分122と、が設けられている(図1図2図3参照)。
【0053】
そして、低面部分122から高面部分121との間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部123を構成している。掛止部123の立ち上がり高さh1は、低面部分122上面を起点として約1mmである(図2参照)。
【0054】
第1連結部12は、後述する軸体3を嵌挿可能な受け穴125が形成されている。受け穴125は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0055】
(第2連結部13)
第2連結部13は、中間軸部11の軸方向他端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり(図4参照)、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第2連結部13は、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部123が設けられている。以下、第2連結部13の各部について詳述する。
【0056】
第2連結部13は、略円柱形状であり(図1図4参照)、第2連結部13の各底面130と、前述した第1連結部12の各底面120の向きとが一致する態様で設けられている(図1図2図3図5(a)参照)。なお、第2連結部13は、略円柱形状であることから、中間軸部11から見て反対方向となる先端方向の曲面部分は、換言すると「軸方向中間から先端方向へ窄まる」形状であり、即ち同曲面部分が嵌挿補助部134となる。
【0057】
各底面130には、連結具1長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分131と、高面部分131と比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分132と、が設けられている(図1図2図3参照)。
【0058】
そして、低面部分132から高面部分131との間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部133を構成している。掛止部133の立ち上がり高さは、掛止部123と同様、低面部分132上面を起点として約1mmである(図2参照)。
【0059】
第2連結部13は、後述する軸体3を嵌挿可能な受け穴135が形成されている。受け穴135は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0060】
なお、第1実施形態における連結具1は、中間軸部11、第1連結部12及び第2連結部13が前述の構成であることから、平面視メガネ型とも換言できるが、これに限定するものではなく、後述する各変形例のような態様であってもよく、各変形例では、嵌挿補助部や使用状態で天地方向となる箇所(天面部及び底面部)は第1実施形態における連結具と異なる構造に適宜変更することもできる。
【0061】
本実施形態において、中間軸部11は、前述した形状であるが、これに限定するものではなく、例えば、短径方向断面視で円形や楕円形、四角形や六角形、八角形の多角形等であってもよい。
【0062】
本実施形態において、掛止部123・133の立ち上がり高さは、低面部分122・132上面を起点として約1mmであるが、これに限定するものではなく、例えば、0.5mm以上2mm以下の範囲内であってもよい。発明者が実験したところ、0.5mm未満であると掛止力が低下して好ましくなく、2mmを超えるとガタつきが大きくなるため好ましくないためである。また、「約1mm」の語は、製品成形の際に生じる多少の誤差を許容する表現であり、本明細書中では0.8mm~1.2mmを含む意味で使用している
【0063】
〔第2実施形態〕(連結具1の作用効果)
図6図9を参照して、本発明のグレーチング2について説明する。グレーチング2は、複数のグレーチング体20及び連結具1を備える。各部については以下詳述する。なお、グレーチング2は、前述した連結具1を使用してグレーチング体20を連結して構成されるものであり、連結具1の作用効果についても併せて説明する。
【0064】
(グレーチング体20)
グレーチング体20は、所要数のメインバー21と、それらを連結する所要数のジョイント22で構成されている(図6図7参照)。
【0065】
(メインバー21)
メインバー21は、踏部211と支脚部212を有しており、踏部211と支脚部212は硬質の合成樹脂で一体的に形成されている(図6図7参照)。
【0066】
踏部211は、その上面に、滑り止め且つ使用感(踏んだ際の感触)向上のために、軟質の合成樹脂製の表層213が設けられている(図7参照)。
【0067】
支脚部212は、踏部211から垂下しており、更に詳しくは、使用状態において踏部211下側となる面から垂直方向へ立設された2本一組の脚材214で構成され、脚材214は各々が所要間隔を空けてメインバー21の長手方向において平行となった構造である(図6図7図8(b)参照)。各脚材214の先端(使用状態において下端となり、踏部211の反対となる箇所)には、排水升等の受け部に対するガタつきや音の発生を抑制する滑り止めとなる、軟質の合成樹脂の滑止層217が設けられている。
【0068】
そして、支脚部212は、各脚材214の側面に、ジョイント22や連結具1を嵌挿可能な掛合穴215が形成されている。掛合穴215は、板厚方向に貫通した略正方形の穴であり、支脚部212(脚材214)の長手方向において支脚部212(脚材214)の両端近傍のそれぞれ(合計二箇所)に形成されており、各脚材214において対向する各掛合穴215の位置が重なるように設けられている。
【0069】
(ジョイント22)
図8(a)を参照する。図8(a)に示すジョイント22は、弾性を有する合成樹脂で形成されており、中間軸部220と、中間軸部220の長手方向の両端において同軸線上に設けられた一対の差込部221を有している。なお、ジョイント22は、各差込部221の先端の間を軸線方向(中心線方向)に貫通して、断面円形の貫通孔223が設けられており、貫通孔223を有することで、掛合穴215に嵌挿するときに、中間軸部220や各差込部221が潰れる際の変形を容易にして、ジョイント22着脱の作業性を良好にすることができる。
【0070】
各差込部221は、前述した掛合穴215に差し込み掛合するものであり、先端側が径小となった截頭錐体形である円錐台状に形成されている。差込部221は、その径大側の直径が、中間軸部220の対角線の長さ(又は対角部の幅)及び掛合穴215の対角線の長さよりやや径大に(又は太く)形成されている。また、差込部221の径大側の端面は、掛合穴215の穴縁部216に当たってジョイント22が抜けないか抜けにくいように掛止する掛止面222となっている。
【0071】
中間軸部220は、断面正方形状の胴部分(符号省略)と、胴部の両端側に設けられた四角錐台状の接続部分(符号省略)で構成されている。なお、中間軸部の胴部分は、断面正方形状に限定するものではなく、断面円形状又は断面多角形状のもの等、他の形状を採用することもできる。
【0072】
また、中間軸部220は、胴部分の太さが掛合穴215の穴のサイズよりやや太く形成されている。詳しくは、胴部分の断面正方形状の一辺の長さが、掛合穴215の一辺の長さより僅かに長くなるように形成されている。胴部分の外表面四面のうち一面(図8(a)で上面)には、四角形状に膨出した停止突部224が設けられている。
【0073】
停止突部224は、隣り合うメインバー21の間隔が狭まったとき、停止突部224における両段部(ジョイント21の軸線方向両端部の段部)に、掛合穴13の穴縁部216が当たることで、隣接するメインバー21の間を一定間隔で止めることができる(図7参照)。当該間隔が隙間となって、グレーチング2上下方向に貫通する空隙が形成され、この空隙から水等の液体が排水升等へ流下する。
【0074】
(作 用)
グレーチング体20は、隣接するメインバー21をジョイント22で連結し(図7を参照)、複数のメインバー21の連結により構成される(図6参照)。更に詳しくは、グレーチング体20は、全長方向に対して軸線が交差するように並設された所要数の各メインバー21において、隣り合う支脚部212間にジョイント22を配し、ジョイント22の差込部221を掛合穴215に差し込み、各メインバー21を連結することにより形成されている。
【0075】
手順としては、まず、ジョイント22を掛合穴215と位置合わせし、一方の差込部221を差し込む。このとき、ジョイント22の差込部221が弾性変形して掛合穴215を通って嵌挿され、掛合穴215を通過した差込部221は元の形状に戻る。これによって、掛合穴215の穴縁部216に掛止面222が掛止されるようになり、差込部221は掛合穴215から容易には抜けない状態で掛合する(図7(a)参照)
【0076】
同様に、ジョイント22の他方の差込部221を隣接する別のメインバー21に形成された掛合穴215に差し込み掛合させる。この結果、ジョイント22は、掛合穴215から軸線方向へ容易には抜けない状態で隣り合うメインバー21同士を繋ぐことができる(図7(a)参照)。このように隣り合うメインバー21を2個のジョイント22で連結することにより、必要数のメインバー21を連ねた所要長さのグレーチング体20を形成することができる。
【0077】
なお、隣り合うメインバー21へ縮まる方向に荷重が加わったとしても、停止突部224における両段部(ジョイント21の軸線方向両端部の段部)に掛合穴13の穴縁部216が当たることで、隣接するメインバー21の間を一定間隔で止める(間隔を保持する)ことができるが、脚材214の間の空間内において、差し込まれた一対の差込部221の間にスペーサー(符号省略)を挟むことで、更に確実に隣接するメインバー21の間を一定間隔で止める(間隔を保持する)ことができる(図7(a)(b)参照)。当該間隔が隙間となって、グレーチング2上下方向に貫通する空隙が形成され、この空隙から水等の液体が排水升等へ流下する。
【0078】
メインバー21は、複数が連結されることで集水升等の蓋であるグレーチング体20を構成すると共に、通行人の体重等の踏部から加わる荷重を支脚部212が支える態様で使用される。
【0079】
なお、図6に示すように、出荷時におけるグレーチング体20は、最も外側に位置する掛合穴215は空けられている(ジョイント22が嵌挿されていない)。用途に合わせてサイズ拡大を行うべく複数のグレーチング体20を連結するにあたり、連結具1を使用することで、グレーチング2が構成される(該グレーチング2は「連結具を掛合穴に嵌挿することで、グレーチング用メインバーの一部が連結されて構成されている」態様である)。
【0080】
詳しくは、複数のグレーチング体20を連結するにあたり、最も外側に位置するメインバー21に設けられた掛合穴215に、連結具1の第1連結部12を嵌挿する。第1連結部12は、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されているため、作業者が少し力を入れるだけで円滑に嵌挿することができる。また、第1連結部12は、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であることによって嵌挿しやすく、嵌挿方向の間違いも予防することができる。そして、第1連結部の掛止部123は、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さい構造であるため、掛合穴215に嵌挿後、掛合穴215の穴縁部216に掛止されて、掛合穴215から容易に抜けにくくなる。
【0081】
更に詳しくは、第1連結部12は、前述の形状(各底面の向きが一致した略円柱形状)であることにより、嵌挿補助部124を有し且つ嵌挿補助部124の形状が滑らかであることから、緻密に観察せずとも第1連結部12を掛合穴215に挿入しやすく、且つ、(挿脱する際に摩擦抵抗が生じる外周部分が小さい形状であるため)掛合穴215への挿脱が行いやすく、作業性が良い。
【0082】
また、第1連結部12は、底面120が前述の構成(高面部分121と低面部分122から成る)であるため、簡易な構成でありながら確実な掛止を行うことができる。より詳しくは、掛合穴215に嵌挿された第1連結部12は、中間軸部11の方向へ入れ込まれて掛合穴の穴縁部216が低面部分122まで至り、低面部分122に落ち込んだ掛合穴の穴縁部216は、低面部分と高面部分の間の隅部分である掛止部123に引っ掛かり、容易に抜けないようになる。なお、第1連結部12は、掛止部等を含む底面120が簡易な構造であるため、複雑な金型等を必要とせず、製造コストの低減化を図ることもできる。更にまた、掛止部123を底面部120の各々に設けたことで、天地を問わずに取り付けることができ、且つ、両面に設けた掛止部123が、掛合穴215の穴縁部216の上下いずれかにほぼ常時引っ掛かるので、確実な掛止を行うことができる。
【0083】
なお、第1連結部12に設けられた使用状態において天地方向に貫通した受け穴125は、第1連結部12を掛合穴215へ嵌挿した後に軸体3を嵌挿する使用態様をとることができる(図7(b)参照)。受け穴125に軸体3を嵌挿すると、軸体3の先端部分や基端部分が受け穴125周囲の支脚部(脚材214)に引っ掛かり、相当な引張力が生じない限り、連結具1がメインバー21(の支脚部)から外れなくなり、連結した各メインバー21の意図しない連結解除を抑止することができる(図7(b)参照)。また、受け穴125が使用状態において天地方向に貫通しているので、水平方向に設けた受け穴と比較して、軸体3を受け穴125に嵌挿する作業が行いやすく、作業性がよい。なお、軸体3の使用は任意であり、これが無くとも各メインバー21間の連結状態を十分に保持することができる。
【0084】
次いで、連結対象となる隣り合う他のメインバー21に形成された掛合穴215に第2連結部13を嵌挿する。なお、第2連結部13の挿着手順及び作用効果は、第1連結部12と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
特許文献1記載のグレーチングと同等物であるグレーチング体20は、所定の長さで出荷され、作業現場において排水升等が長尺や幅広な場合は複数のグレーチング体20を長手方向又は幅方向に継ぎ、排水升等に適合するサイズに調製することがある。ところで、組立工場に備わる所定の工具を使用すると、ジョイント22は掛合穴215へ挿脱しやすいものの、工具不使用の場合は挿脱が行いにくく、作業現場での速やか且つ簡易的な施工には若干不向きであった。
【0086】
しかしながら、グレーチング2によれば、連結具1を使用することにより、複数のグレーチング体20を長手方向又は幅方向に継いで排水升等に適合するサイズに調製する際に、工具等を使用しなくともグレーチング体20を簡単且つ確実に連結することができ、作業現場での組立効率も良く作業性が向上している。
【0087】
本発明者は、2つのグレーチング体20を継いでグレーチング2を構成するために、組立工場に備わる所定の工具を使用せずに素手で行う、
(試験1)ジョイント22を掛合穴215へ嵌挿し終わる迄の作業時間、
(試験2)連結具1を掛合穴215へ嵌挿し終わる迄の作業時間、
を計測する試験を行った。
【0088】
試験1では、ジョイント22を掛合穴215へ嵌挿し終わる迄の作業時間は1分21秒10であった。一方、試験2では、連結具1を掛合穴215へ嵌挿し終わる迄の作業時間は20秒11であった。つまり、「組立工場に備わる所定の工具を使用せずに素手で、2つのグレーチング体20を継いでグレーチング2を構成する」作業において、連結具1を使用する優位性を確認することができた。
【0089】
中間軸部11は、隣接するメインバー21間で、間隔を保持するスペーサーの役割を果たす。更に、中間軸部11は、掛合穴215の内形寸法よりも細い軸状であることにより、掛合穴215内で中間軸部11を揺動させるためのスペースが確保される。これにより、隣接するメインバー21同士の連結を解除する際に、中間軸部11を揺動させながら掛合穴215の穴縁部216と掛止部123との掛止状態を解除することができる。更にまた、掛合穴215と第1連結部12の外周とが嵌合して摩擦抵抗が生じた状態であっても、中間軸部11を揺動させることで徐々に引き抜くことができる。なお、第2連結部13をメインバー21から外す際も同様である。
【0090】
なお、中間軸部11は、その側面形状が前述の形状(使用状態において短径方向縦断面視で俵形)であることにより、連結した各メインバー21の連結を解除する際に、連結具1を外す作業が行いやすく、作業性がよい。詳しくは、掛合穴の穴縁部216と掛止部123との掛止状態を解除する際に、中間軸部11は、膨出曲面である天地方向の各側面部分が、穴縁部216との接触面積が少ないため、中間軸部11を揺動させやすく、一方で、左右方向となる各側面部分が平面であることにより、穴縁部216との接触面積が多く、中間軸部11が左右にブレにくくなって、連結時において掛止部123が掛合穴の穴縁部216から外れにくい。
【0091】
本実施形態では、メインバー21の支脚部212として2本の脚材214が平行に設けられているが、これに限定されるものではなく、脚材は1本でもよいし、3本以上設けた態様あってもよい。脚材が1本である場合は、各メインバー21を連結するジョイント22を同軸線上に配置せずに交互にずらす態様で、且つ、連結具1も嵌挿できるように掛合穴215を3以上設けた構造であってもよい。他方、脚材214のジョイント22を嵌挿する部分を肉厚に形成して、厚み方向の表裏側の二箇所にジョイント22の装着部を設けてジョイント22を同軸線上に配置した構造としてもよい。脚材が3本以上である場合は、設置時の安定性が更に向上する。
【0092】
〔変形例1〕
図10(a)を参照する。図10(a)に示す連結具1aは、本発明に係る連結具の変形例である。連結具1aは、中間軸部11、第1連結部12a、及び、第2連結部13aを備える。なお、前述した第1実施形態と同様の構造及びその作用効果については説明を省略する。中間軸部11は、連結具1のものと同じ構造であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
(第1連結部12a)
第1連結部12aは、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第1連結部12aは、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部123aが設けられている(図10(a)参照)。以下、第1連結部12aの各部について詳述する。
【0094】
第1連結部12aは、略角柱形状であり、第1連結部12aの各底面120aと、後述する第2連結部13aの各底面130aの向きとが一致する態様で設けられている(図10(a)参照)。なお、第1連結部12aは、嵌挿補助部を有しない態様である。
【0095】
各底面120aには、連結具1a長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分121aと、高面部分121aと比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分122aと、が設けられている(図10(a)参照)。そして、低面部分122aから高面部分121aとの間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部123aを構成している。掛止部123aの立ち上がり高さは、低面部分122a上面を起点として約1mmである。第1連結部12aは、軸体3を嵌挿可能な受け穴125が形成されている。受け穴125は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0096】
(第2連結部13a)
第2連結部13aは、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第2連結部13aは、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部133aが設けられている(図10(a)参照)。以下、第2連結部13aの各部について詳述する。
【0097】
第2連結部13aは、略角柱形状であり、第2連結部13aの各底面130aと、前述した第1連結部12aの各底面120aの向きとが一致する態様で設けられている(図10(a)参照)。なお、第2連結部13aも、嵌挿補助部を有しない態様である。
【0098】
各底面130aには、連結具1a長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分131aと、高面部分131aと比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分132aと、が設けられている(図10(a)参照)。そして、低面部分132aから高面部分131aとの間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部133aを構成している。掛止部133aの立ち上がり高さは、低面部分132a上面を起点として約1mmである。第2連結部13aは、軸体3を嵌挿可能な受け穴135が形成されている。受け穴135は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0099】
連結具1aによれば、第1連結部12a及び第2連結部13aにおいて、中間軸部11側の端部に角部(符号省略)が形成されており、この角部が掛合穴215の使用状態における穴縁部216の左右縦部分に引っ掛かる作用効果を奏する。つまり、当該角部は、穴縁部216の左右縦部分に対する掛止部とも換言でき、このような角部を有しない連結具1と比較して、掛合穴215に嵌挿した第1連結部12a及び第2連結部13aが掛合穴215から更に抜けにくくなっている。
【0100】
〔変形例2〕
図10(b)を参照する。図10(b)に示す連結具1bは、本発明に係る連結具の変形例である。連結具1bは、中間軸部11、第1連結部12b、及び、第2連結部13bを備える。なお、前述した第1実施形態と同様の構造及びその作用効果については説明を省略する。中間軸部11は、連結具1のものと同じ構造であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
(第1連結部12b)
第1連結部12bは、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第1連結部12bは、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部123bが設けられている(図10(b)参照)。以下、第1連結部12bの各部について詳述する。
【0102】
第1連結部12bは、各底面が平面視台形の略角柱形状であり、第1連結部12bの各底面120bと、後述する第2連結部13bの各底面130bの向きとが一致する態様で設けられている(図10(b)参照)。なお、第1連結部12bは、平面視台形の下底が中間軸部11寄りであり、平面視台形の上底が中間軸部11から見て反対方向となる先端方向に位置している。つまり、第1連結部12bは、「軸方向中間から先端方向へ窄まる」形状であり、即ち平面視台形の下底から上底に至る側面部分が嵌挿補助部124bとなる。
【0103】
各底面120bには、連結具1b長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分121bと、高面部分121bと比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分122bと、が設けられている(図10(b)参照)。そして、低面部分122bから高面部分121bとの間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部123bを構成している。掛止部123bの立ち上がり高さは、低面部分122b上面を起点として約1mmである。第1連結部12bは、軸体3を嵌挿可能な受け穴125が形成されている。受け穴125は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0104】
(第2連結部13b)
第2連結部13bは、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第2連結部13bは、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部133bが設けられている(図10(b)参照)。以下、第2連結部13bの各部について詳述する。
【0105】
第2連結部13bは、各底面が平面視台形の略角柱形状であり、第2連結部13bの各底面130bと、前述した第1連結部12bの各底面120bの向きとが一致する態様で設けられている(図10(b)参照)。なお、第2連結部13bは、平面視台形の下底が中間軸部11寄りであり、平面視台形の上底が中間軸部11から見て反対方向となる先端方向に位置している。つまり、第2連結部13bは、「軸方向中間から先端方向へ窄まる」形状であり、即ち平面視台形の下底から上底に至る側面部分が嵌挿補助部134bとなる。
【0106】
各底面130bには、連結具1b長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分131bと、高面部分131bと比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分132bと、が設けられている(図10(b)参照)。そして、低面部分132bから高面部分131bとの間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部133bを構成している。掛止部133bの立ち上がり高さは、低面部分132b上面を起点として約1mmである。第2連結部13bは、軸体3を嵌挿可能な受け穴135が形成されている。受け穴135は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0107】
連結具1bによれば、第1連結部12b及び第2連結部13bにおいて、中間軸部11側の端部に角部(符号省略)が形成されており、この角部が掛合穴215の使用状態における穴縁部216の左右縦部分に引っ掛かる作用効果を奏する。つまり、当該角部は、穴縁部216の左右縦部分に対する掛止部とも換言でき、このような角部を有しない連結具1と比較して、掛合穴215に嵌挿した第1連結部12b及び第2連結部13bが掛合穴215から更に抜けにくくなっている。
【0108】
〔変形例3〕
図10(c)を参照する。図10(c)に示す連結具1cは、本発明に係る連結具の変形例である。連結具1cは、中間軸部11、第1連結部12c、及び、第2連結部13cを備える。なお、前述した第1実施形態と同様の構造及びその作用効果については説明を省略する。中間軸部11は、連結具1のものと同じ構造であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0109】
(第1連結部12c)
第1連結部12cは、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第1連結部12cは、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部123cが設けられている(図10(c)参照)。以下、第1連結部12cの各部について詳述する。
【0110】
第1連結部12cは、各底面が平面視半長円形の略柱形状であり、第1連結部12cの各底面120cと、後述する第2連結部13cの各底面130cの向きとが一致する態様で設けられている(図10(c)参照)。なお、第1連結部12cは、平面視半長円形の径線部分が中間軸部11寄りであり、平面視半長円形の円弧部分先部が中間軸部11から見て反対方向となる先端方向に位置している。つまり、第1連結部12cは、「軸方向中間から先端方向へ窄まる」形状であり、即ち平面視半長円形の径線部分から円弧部分先部に至る側面部分が嵌挿補助部124cとなる。
【0111】
各底面120cには、連結具1c長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分121cと、高面部分121cと比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分122cと、が設けられている(図10(c)参照)。そして、低面部分122cから高面部分121cとの間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部123cを構成している。掛止部123cの立ち上がり高さは、低面部分122c上面を起点として約1mmである。第1連結部12cは、軸体3を嵌挿可能な受け穴125が形成されている。受け穴125は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0112】
(第2連結部13c)
第2連結部13cは、中間軸部11の軸方向一端側に配設され、中間軸部11を反対方向とする先端方向視で掛合穴215と略同じ形状であり、その外形寸法が掛合穴215の内形寸法よりも僅かに小さく形成されている。更に、第2連結部13cは、軸方向中間から中間軸部11との間の領域に、掛合穴215の穴縁部216と掛止可能な掛止部133cが設けられている(図10(c)参照)。以下、第2連結部13cの各部について詳述する。
【0113】
第2連結部13cは、各底面が平面視半長円形の略柱形状であり、第1連結部13cの各底面130cと、前述した第1連結部12cの各底面120cの向きとが一致する態様で設けられている(図10(c)参照)。なお、第2連結部13cは、平面視半長円形の径線部分が中間軸部11寄りであり、平面視半長円形の円弧部分先部が中間軸部11から見て反対方向となる先端方向に位置している。つまり、第2連結部13cは、「軸方向中間から先端方向へ窄まる」形状であり、即ち平面視半長円形の径線部分から円弧部分先部に至る側面部分が嵌挿補助部134cとなる。
【0114】
各底面130cには、連結具1c長手方向の軸線方向視で、先端側から略半分の領域である高面部分131cと、高面部分131cと比較して低く形成された中間軸部寄りの領域である低面部分132cと、が設けられている(図10(c)参照)。そして、低面部分132cから高面部分131cとの間で略鉛直に立ち上がり、軸線方向と交差した隅部分が、掛止部133cを構成している。掛止部133cの立ち上がり高さは、低面部分132c上面を起点として約1mmである。第2連結部13cは、軸体3を嵌挿可能な受け穴135が形成されている。受け穴135は、使用状態において天地方向に貫通している。
【0115】
連結具1cによれば、第1連結部12c及び第2連結部13cにおいて、中間軸部11側の端部に角部(符号省略)が形成されており、この角部が掛合穴215の使用状態における穴縁部216の左右縦部分に引っ掛かる作用効果を奏する。つまり、当該角部は、穴縁部216の左右縦部分に対する掛止部とも換言でき、このような角部を有しない連結具1と比較して、掛合穴215に嵌挿した第1連結部12c及び第2連結部13cが掛合穴215から更に抜けにくくなっている。
【0116】
〔変形例4〕
図11を参照する。図11(b)に示すグレーチング体20aは、本発明に係るグレーチング2に使用するグレーチング体の変形例である。グレーチング体20aは、連結具1及びメインバー21aを備え、ジョイント22を使用せず、ジョイント22に代えて連結具1を使用する態様である(つまり「連結具を掛合穴に嵌挿することで、グレーチング用メインバーの全部が連結されて構成されている」態様である)。なお、前述した第2実施形態と同様の構造及びその作用効果については説明を省略する。
【0117】
(メインバー21a)
メインバー21aは、踏部211aと支脚部212aを有しており、踏部211aと支脚部212aは硬質の合成樹脂で一体的に形成されている(図11参照)。メインバー21aは、メインバー21よりも長尺に形成されている。踏部211aは、その上面に軟質の合成樹脂製の表層(符号省略)が設けられている。
【0118】
支脚部212aは、使用状態において踏部211a下側となる面から垂直方向へ立設された2本一組の脚材(符号省略)で構成され、脚材は各々が所要間隔を空けてメインバー21aの長手方向において平行となった構造である(図11参照)。各脚材は、その先端に軟質の合成樹脂の滑止層(符号省略)が設けられている。そして、支脚部212aは、各脚材の側面に、連結具1(ジョイント22も使用可能)を嵌挿可能な掛合穴215が形成されている。掛合穴215は、板厚方向に貫通した略正方形の穴であり、支脚部212aの長手方向において間隔を空けて複数が形成されており、各脚材において対向する各掛合穴215の位置が重なるように設けられている。
【0119】
グレーチング体20aにおいては、各メインバー21aの連結に連結具1を使用する(図11a参照b)。これにより、メインバー21aと連結具1を作業現場に持ち込み、同作業現場で最適なサイズのグレーチング体20a(グレーチング2)を組む(調製する)ことができる。また、グレーチング体20aは、所定の長さで出荷され、作業現場において排水升等が長尺や幅広な場合は複数のグレーチング体20aを長手方向又は幅方向に継ぎ、排水升等に適合するサイズに調製することもできる。
【0120】
連結具1は、隣り合うメインバー21aの間隔が狭まったとき、相対する第1連結部12と第2連結部13の各々の先端が当接することで、隣接するメインバー21の間を一定間隔で止めることができる(図11(b)参照)。当該間隔が隙間となって、グレーチング2上下方向に貫通する空隙が形成され、この空隙から水等の液体が排水升等へ流下する。
【0121】
更に、グレーチング2を構成するグレーチング体20aは、経年等によりメインバー21aが劣化又は破損したときは、劣化等したメインバー21aのみを取り外して交換することができる。なお、メインバー21aの連結に連結具1を使用しているので、メインバー21aへの連結具1の挿脱が簡単で、設置現場でも手早く交換作業を行う事ができる。これにより、グレーチング1全体を交換することなく、グレーチング1の美観と安全性を保持することができる。
【0122】
また、グレーチング体20aを使用したグレーチング2は、メインバーの配列方向の相違により、グレーチング体20を使用したグレーチング2と異なる美観を生じさせるグレーチングを提供することができる。
【0123】
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
【0124】
1、1a、1b、1c 連結具
11 中間軸部
12、12a、12b、12c 第1連結部
120、120a、120b、120c 底面
121、121a、121b、121c 高面部分
122、122a、122b、122c 低面部分
123、123a、123b、123c 掛止部
124、124b、124c 嵌挿補助部
125 受け穴
h1 掛止部123の立ち上がり高さ
13、13a、13b、13b、13c 第2連結部
130、130a、130b、130c 底面
131、131a、131b、131c 高面部分
132、132a、132b、132c 低面部分
133、133a、133b、133c 掛止部
134、134b、134c 嵌挿補助部
135 受け穴
2 グレーチング
20、20a グレーチング体
21、21a メインバー
211、211a 踏部
212、212a 支脚部
213 表層
214 脚材
215 掛合穴
216 穴縁部
217 滑止層
22 ジョイント
220 中間軸部
221 差込部
222 掛止面
223 貫通孔
224 停止突部
3 軸体

図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11