(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082799
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
H01R13/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196738
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 嘉友
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴洋
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE16
5E087FF13
5E087MM05
5E087RR04
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】相手側の接続対象の制約に応じてハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くでき、コンタクト保持力を向上でき、コンタクトに係合する係合アームの破損を防止する。
【解決手段】コンタクト21には、ハウジング22と係合する係合部26が設けられる。ハウジング22には、コンタクト21が挿入される挿入端部29と、相手側の接続対象11に接続される接続端部30と、コンタクト挿入孔31と、接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びる係合アーム32とが設けられる。係合アーム32は、係合部26と係合する被係合部33と、被係合部33から挿入端部29側に延びる延長アーム部34と、を有する。延長アーム部34は、コンタクト挿入孔31を区画する内壁37に空間を介して対向し、係合アーム32が撓んだ際に先端側で内壁37と当接して係合アーム32の撓み量を規制する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に接続されるコンタクトと、前記コンタクトが挿入されて当該コンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタであって、
前記コンタクトには、前記ハウジングに挿入された際に前記ハウジングと係合する係合部が設けられ、
前記ハウジングには、前記コンタクトが挿入される端部である挿入端部と、前記接続対象に対して接続される端部である接続端部と、前記挿入端部から前記接続端部にかけて貫通するように設けられて前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入孔と、前記接続端部側から前記挿入端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられて前記コンタクト挿入孔に挿入された前記コンタクトと係合する係合アームと、が設けられ、
前記係合アームは、前記接続端部側から前記挿入端部側に向かって片持ち状に延びる当該係合アームの途中位置に設けられて前記係合部と係合する被係合部と、片持ち状に延びる当該係合アームの先端側の部分として設けられて前記被係合部から前記挿入端部側に向かって延びる延長アーム部と、を有し、
前記延長アーム部は、前記ハウジングにおける前記コンタクト挿入孔を区画する内壁に対して空間を介して対向して配置されるとともに、前記内壁に沿って延びるように設けられ、
前記延長アーム部は、前記コンタクトが前記挿入端部側に付勢されて前記係合部が前記被係合部を付勢して前記係合アームが弾性変形して撓んだ際に、当該延長アーム部の先端側において前記内壁と当接して前記係合アームの撓み量を規制するように構成されていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記ハウジングにおいて前記接続端部側から前記挿入端部側に向かって片持ち状に延びる前記係合アームにおける根本側の部分が、前記ハウジングの外部に露出して当該ハウジングの壁部の一部を構成していることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記延長アーム部には、前記接続端部側から前記挿入端部側に向かう方向に対して斜めに延びる傾斜面が設けられ、前記傾斜面は、前記挿入端部側に向かうにつれて当該延長アーム部が対向する前記内壁側に向かって延びるように設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記延長アーム部は、前記コンタクト挿入孔に挿入された状態の前記コンタクトに接続された前記電線に対して前記コンタクトを前記挿入端部側に引き抜く方向の外力が作用して前記係合アームが弾性変形して撓んだ際に、当該延長アーム部の先端側において前記内壁と当接して前記係合アームの撓みを規制するように構成されていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタが用いられている。このようなコネクタにおいては、ハウジングにおいて、コンタクトが挿入される端部である挿入端部と、相手側の接続対象に対して接続される端部である接続端部と、挿入端部から接続端部にかけて貫通するように設けられてコンタクトが挿入されるコンタクト挿入孔とが設けられる。更に、このようなコネクタにおいては、コンタクトを保持するために、ハウジングにおいて、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトと係合する係合アームが設けられる。コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトをハウジングに保持するためにコンタクトと係合する係合アームがハウジングに設けられたコネクタとして、例えば、特許文献1或いは特許文献2に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、コンタクトとしての端子金具30と、端子金具30が挿入されるコンタクト挿入孔であるキャビティ11が設けられたハウジング10とを備えている。そして、ハウジング10において、キャビティ11は、ハウジング10の挿入端部から接続端部にかけて貫通するように設けられている。また、ハウジング10には、端子金具30に係合する係合アームとしてのランス17が設けられている。ランス17は、ハウジング10において、挿入端部側から接続端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられ、キャビティ11に挿入された端子金具30と係合するように構成されている。
【0004】
特許文献2に開示されたコネクタは、コンタクトとしてのフォーク形端子13と、フォーク形端子13が挿入されるコンタクト挿入孔である端子収納部2が設けられたハウジング1とを備えている。そして、ハウジング1において、端子収納部2は、ハウジング1の挿入端部から接続端部にかけて貫通するように設けられている。また、ハウジング1には、フォーク形端子13に係合する係合アームとしてのランス形係止片14が設けられている。ランス形係止片14は、ハウジング1において、接続端部側から挿入端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられ、端子収納部2に挿入されたフォーク形端子13と係合するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-216810号公報
【特許文献2】特開2003-115336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたコネクタにおいては、キャビティ11に挿入された端子金具30と係合するランス17は、ハウジング10の挿入端部側から接続端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。これにより、片持ち状に延びるランス17の先端側の部分は、ハウジング10の接続端部側で延びるように配置されることになる。ここで、片持ち状に延びるランス17の先端側の部分を外部から保護するためには、ランス17の先端側の部分がハウジング10の壁部から外側へ突出することがないようにする必要がある。このため、特許文献1のコネクタにおいては、片持ち状に延びるランス17の先端側の部分を内側に収容して保護できるように、ランス17の先端側の部分が配置されるハウジング10の接続端部側の部分の全体的な厚みを十分に大きくする必要がある。
【0007】
一方、コネクタが接続される相手側の接続対象の構造上の制約により、ハウジングにおいて、接続端部側の部分の厚みを薄くすることが要求される場合がある。しかし、特許文献1のコネクタにおいては、ハウジング10において、片持ち状に延びるランス17の先端側の部分が配置される接続端部側の部分の厚みを十分に大きくする必要があり、ハウジング10の接続端部側の部分の厚みを薄くすることが難しい。このため、特許文献1のコネクタにおいては、相手側の接続対象による制約に応じてハウジング10の接続端部側の部分の厚みを薄くすることが困難であるという問題がある。
【0008】
特許文献2に開示されたコネクタにおいては、端子収納部2に挿入されたフォーク形端子13と係合するランス形係止片14は、ハウジング1の接続端部側から挿入端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。これにより、片持ち状に延びるランス形係止片14の先端側の部分は、ハウジング1の挿入端部側で延びるように配置されることになる。このため、片持ち状に延びるランス形係止片14の先端側の部分は、ハウジング1の挿入端部側の部分において内側に収容されて外部に対して保護される。これにより、コネクタが接続される相手側の接続対象の構造上の制約により、ハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くすることが要求される場合、その要求に対応することができる。
【0009】
しかし、特許文献2に開示されたコネクタにおいては、ランス形係止片14は、ハウジング1の接続端部側から挿入端部側にかけて片持ち状に延びるように設けられ、片持ち状に延びる先端側においてフォーク形端子13と係合するように構成されている。このため、ランス形係止片14に係合したフォーク形端子13がハウジング1から抜ける方向に付勢された場合、即ち、フォーク形端子13がハウジング1の挿入端部側に付勢された場合、ランス形係止片14が容易に撓んでしまい、フォーク形端子13がハウジング1から抜けやすくなってしまうことになる。よって、特許文献2のコネクタでは、フォーク形端子13がハウジング1から抜け易くなり、コンタクトであるフォーク形端子13をハウジングにおいて保持するコンタクト保持力が低下してしまうという問題がある。更に、特許文献2に開示されたコネクタにおいては、ランス形係止片14に係合したフォーク形端子13がハウジング1から抜ける方向に付勢された場合、即ち、フォーク形端子13がハウジング1の挿入端部側に付勢された場合、ランス形係止片14が容易に撓んでしまうため、ランス形係止片14が過剰に撓んでしまう虞がある。ランス形係止片14が過剰に撓むと、係合アームであるランス形係止片14が破損してしまう虞がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、相手側の接続対象による制約に応じてハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くすることができ、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができ、コンタクトに係合する係合アームが破損してしまうことも防止することができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するための本発明のある局面に係るコネクタは、電線に接続されるコンタクトと、前記コンタクトが挿入されて当該コンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタであって、前記コンタクトには、前記ハウジングに挿入された際に前記ハウジングと係合する係合部が設けられ、前記ハウジングには、前記コンタクトが挿入される端部である挿入端部と、前記接続対象に対して接続される端部である接続端部と、前記挿入端部から前記接続端部にかけて貫通するように設けられて前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入孔と、前記接続端部側から前記挿入端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられて前記コンタクト挿入孔に挿入された前記コンタクトと係合する係合アームと、が設けられ、前記係合アームは、前記接続端部側から前記挿入端部側に向かって片持ち状に延びる当該係合アームの途中位置に設けられて前記係合部と係合する被係合部と、片持ち状に延びる当該係合アームの先端側の部分として設けられて前記被係合部から前記挿入端部側に向かって延びる延長アーム部と、を有し、前記延長アーム部は、前記ハウジングにおける前記コンタクト挿入孔を区画する内壁に対して空間を介して対向して配置されるとともに、前記内壁に沿って延びるように設けられ、前記延長アーム部は、前記コンタクトが前記挿入端部側に付勢されて前記係合部が前記被係合部を付勢して前記係合アームが弾性変形して撓んだ際に、当該延長アーム部の先端側において前記内壁と当接して前記係合アームの撓み量を規制するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトと係合する係合アームは、ハウジングの接続端部側から挿入端部側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。これにより、片持ち状に延びる係合アームの先端側の部分は、ハウジングの挿入端部側で延びるように配置されることになる。このため、片持ち状に延びる係合アームの先端側の部分は、ハウジングの挿入端部側の部分において内側に収容されて外部に対して保護される。これにより、コネクタが接続される相手側の接続対象の構造上の制約により、ハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くすることが要求される場合に、その要求に対応することができる。即ち、上記の構成によると、相手側の接続対象による制約に応じてハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くすることができるコネクタを実現することができる。
【0013】
また、上記の構成によると、係合アームは、片持ち状に延びる方向における途中位置に設けられた被係合部にてコンタクトの係合部と係合し、その先端側の部分としての延長アーム部が被係合部から挿入端部側に向かって延びるように設けられている。更に、延長アーム部は、コンタクト挿入孔を区画するハウジングの内壁に対して空間を介して対向して配置されてその内壁に沿って延びるように構成されるとともに、コンタクトが挿入端部側に付勢されて係合アームが撓んだ際に、延長アーム部の先端側においてコンタクト挿入孔を区画するハウジングの内壁と当接して係合アームの撓み量を規制するように構成されている。このため、係合アームに係合したコンタクトがハウジングから抜ける方向に付勢された場合、即ち、コンタクトがハウジングの挿入端部側に付勢された場合、係合アームが撓むと、係合アームの先端側の延長アーム部がハウジングの内壁に当接し、係合アームの撓み量が規制される。延長アーム部がハウジングの内壁に当接して係合アームの撓み量が規制されることで、コンタクトの係合部と係合アームの被係合部との係合が外れることが防止されてコンタクトがハウジングから抜けてしまうことが防止されることになる。これにより、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができる。また、上記の構成によると、係合アームに係合したコンタクトがハウジングから抜ける方向に付勢された場合、即ち、コンタクトがハウジングの挿入端部側に付勢された場合、係合アームが撓むと、延長アーム部がハウジングの内壁に当接して係合アームの撓み量が規制される。このため、係合アームが過剰に撓んでしまうことを防止でき、係合アームが破損してしまうことを防止することができる。
【0014】
したがって、上記の構成によると、相手側の接続対象による制約に応じてハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くすることができ、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができ、コンタクトに係合する係合アームが破損してしまうことも防止することができる、コネクタを提供することができる。
【0015】
(2)前記ハウジングにおいて前記接続端部側から前記挿入端部側に向かって片持ち状に延びる前記係合アームにおける根本側の部分が、前記ハウジングの外部に露出して当該ハウジングの壁部の一部を構成していてもよい。
【0016】
この構成によると、ハウジングの接続端部側から挿入端部側に向かって片持ち状に延びる係合アームの根本側の部分が、外部に露出したハウジングの壁部の一部を構成するように設けられる。このため、ハウジングの接続端部側に配置された係合アームの根本側部分をハウジングの接続端部側の部分の壁部の一部として兼用することができるため、ハウジングの接続端部側の部分の厚みを更に薄くすることができる。
【0017】
(3)前記延長アーム部には、前記接続端部側から前記挿入端部側に向かう方向に対して斜めに延びる傾斜面が設けられ、前記傾斜面は、前記挿入端部側に向かうにつれて当該延長アーム部が対向する前記内壁側に向かって延びるように設けられていてもよい。
【0018】
この構成によると、挿入端部側に向かって延びる係合アームの先端側の延長アーム部には、挿入端部側に向かうほどコンタクト挿入孔を区画するハウジングの内壁に近づくように延びる傾斜面が設けられる。このため、コンタクト挿入孔に対して挿入端部側からコンタクトが挿入された際に、コンタクトは、延長アーム部の傾斜面に摺接しながら傾斜面に沿って滑らかに移動することになる。そして、コンタクトの係合部が延長アーム部の傾斜面を通過して更に係合アームの被係合部を乗り越えて通過する位置に到達すると、係合部と被係合部とが係合し、コンタクトが保持されることになる。よって、上記の構成によると、コンタクト挿入孔へコンタクトを挿入した際に、係合アームとコンタクトとを円滑に係合させることができる。
【0019】
(4)前記延長アーム部は、前記コンタクト挿入孔に挿入された状態の前記コンタクトに接続された前記電線に対して前記コンタクトを前記挿入端部側に引き抜く方向の外力が作用して前記係合アームが弾性変形して撓んだ際に、当該延長アーム部の先端側において前記内壁と当接して前記係合アームの撓みを規制するように構成されていてもよい。
【0020】
この構成によると、コンタクトが接続された電線をコネクタから引き抜く方向の外力が電線に作用した際に、係合アームが撓み、延長アーム部の先端側がコンタクト挿入孔を区画するハウジングの内壁と当接し、係合アームの撓み量が規制される。これにより、電線に引き抜き方向の外力が作用した場合に、コンタクトの係合部と係合アームの被係合部との係合が外れることが防止されてコンタクトがハウジングから抜けてしまうことが防止されることになる。これにより、電線に引き抜き方向の外力が作用した場合において、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができる。更に、電線に引き抜き方向の外力が作用した場合において、係合アームが過剰に撓んでしまうことを防止でき、係合アームが破損してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、相手側の接続対象による制約に応じてハウジングの接続端部側の部分の厚みを薄くすることができ、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができ、コンタクトに係合する係合アームが破損してしまうことも防止することができる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタが相手側の接続対象である端子台に接続された状態を示す斜視図である。
【
図2】コネクタと端子台とが接続される前の状態を示す斜視図である。
【
図4】コネクタの斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す斜視図である。
【
図5】電線に接続された状態のコンタクトを示す図であって、
図5(A)は、コンタクトの正面図であり、
図5(B)は、コンタクトの側面図であり、
図5(C)は、コンタクトの底面図である。
【
図6】コネクタの断面図であって、コネクタと端子台とが接続される方向である接続方向に沿った断面での断面図である。
【
図7】
図6に示すコネクタの断面の一部を拡大して示す一部拡大断面図である。
【
図9】コネクタのハウジングの斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す斜視図である。
【
図10】コネクタのハウジングを接続方向における一方の端部側から視た図である。
【
図11】コネクタのハウジングの断面図であって、
図10のA-A線矢視位置での断面図である。
【
図12】コネクタのハウジングの断面図であって、
図10のB-B線矢視位置での断面図である。
【
図13】ハウジングの一部及びコンタクトの断面図であって、コンタクトがハウジングのコンタクト挿入孔に対して挿入される際のコネクタの作動について説明するための図であり、
図13(A)は、コンタクトがコンタクト挿入孔に挿入される前の状態を示す図であり、
図13(B)は、コンタクトがコンタクト挿入孔に挿入されている途中の状態を示す図であり、
図13(C)は、コンタクトがコンタクト挿入孔に挿入された状態を示す図である。
【
図14】ハウジングの一部及びコンタクトの断面図であって、コンタクトに接続された電線に対してコンタクトをハウジングから引き抜く方向の外力が作用した場合におけるコネクタの作動を説明するための図である。
【
図15】ハウジングの一部及びコンタクトの断面図であって、コンタクトをハウジングから取り外す際のコネクタの作動について説明するための図であり、
図15(A)は、コンタクト取り外し用の治具がコンタクト挿入孔に挿入された状態を示す図であり、
図15(B)は、コンタクト取り外し用の治具がハウジングの係合アームと当接した状態を示す図である。
【
図16】ハウジングの一部の断面を示す図であって、ハウジングの係合アームにおける延長アーム部の変形例について説明するための図である。
【
図17】ハウジングの斜視図であって、ハウジングの係合アームの変形例について説明するための図である。
【
図18】
図17に示すハウジングからコンタクトを取り外す際のコネクタの作動について説明するための図であり、
図18(A)は、コンタクト取り外し用の治具がハウジングの係合アームに設けられた治具用孔に挿入される前の状態を示す図であり、
図18(B)は、コンタクト取り外し用の治具が係合アームの治具用孔に挿入された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0024】
[コネクタの概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1が相手側の接続対象である端子台11に接続された状態を示す斜視図である。
図2は、コネクタ1と端子台11とが接続される前の状態を示す斜視図である。
図3は、コネクタ1の斜視図である。
図4は、コネクタ1の斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す斜視図である。尚、
図1乃至
図4は、コネクタ1に電線10が接続されている状態を示しており、
図1乃至
図4において、電線10については、コネクタ1に接続される部分を模式的に示している。
【0025】
図1乃至
図4に示すコネクタ1は、複数のコンタクト21と、複数のコンタクト21を保持するハウジング22とを、備えて構成されている。複数のコンタクト21は、複数の電線10に対して、それぞれ接続される。そして、複数のコンタクト21のそれぞれは、ハウジング22に挿入されてハウジング22に保持される。本実施形態では、ハウジング22に保持される複数のコンタクト21として3つのコンタクト21が備えられたコネクタ1の形態を例示している。尚、コネクタ1において備えられるコンタクト21の数としては、3つである形態に限らず、種々の数であってもよい。
【0026】
コネクタ1は、複数のコンタクト21のそれぞれにおいて電線10に接続されることで、複数の電線10に対して接続される。そして、コネクタ1は、複数の電線10が接続された状態で、相手側の接続対象である端子台11に接続されることで、複数の電線10と端子台11とを電気的に接続するように構成されている。
【0027】
コネクタ1が接続される相手側の接続対象である端子台11は、例えば、図示が省略された基板に対して取り付けられる。複数の電線10に接続されたコネクタ1と端子台11とが接続されることで、複数の電線10と基板(図示省略)とが電気的に接続される。端子台11は、相手側ハウジング12と、相手側ハウジング12に保持される複数の相手側コンタクト13と、を有している。
【0028】
相手側ハウジング12は、コネクタ1のハウジング22と嵌合することでハウジング22に接続されるように構成されている。また、相手側ハウジング12には、複数の嵌合孔14が設けられている。複数の嵌合孔14のそれぞれは、ハウジング22における後述の複数のコンタクト保持部27の接続端部30側の部分がそれぞれ嵌合するように構成されている。ハウジング22における後述の複数のコンタクト保持部27の接続端部30側の部分が複数の嵌合孔14のそれぞれに嵌合することで、ハウジング22と相手側ハウジング12とが嵌合により接続される。
【0029】
複数の相手側コンタクト13のそれぞれは、コネクタ1における複数のコンタクト21のそれぞれと電気的に接続されるように構成されている。複数の相手側コンタクト13は、相手側ハウジング12に保持されており、複数の嵌合孔14の内側に配置されている。そして、コネクタ1のハウジング22が端子台11の相手側ハウジング12に対して嵌合して接続されることで、コネクタ1の複数のコンタクト21と端子台11の複数の相手側コンタクト13とがそれぞれ接触して電気的に接続される。
【0030】
尚、本実施形態では、コネクタ1が接続される相手側の接続対象が端子台11である形態を例示しているが、この形態に限られなくてもよい。即ち、コネクタ1が接続される相手側の接続対象は、端子台11以外の形態であってもよい。
【0031】
以下、コネクタ1のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、
図1乃至
図4及び後述の図面において両端矢印X1~X3で示すように、コネクタ1における接続方向X1、幅方向X2、及び前後方向X3を定義する。接続方向X1は、コネクタ1と端子台11とが嵌合して接続する方向に平行な方向として構成される。幅方向X2及び前後方向X3は、接続方向X1に垂直な方向として構成され、幅方向X2と前後方向X3とは互いに垂直な方向として構成される。尚、本実施形態では、コネクタ1として、幅方向X2の長さの方が前後方向X3の長さよりも少し長くなるように構成されたコネクタ1の形態を例示している。
【0032】
[コンタクト]
図5は、電線10に接続された状態のコンタクト21を示す図であって、
図5(A)は、コンタクト21の正面図であり、
図5(B)は、コンタクト21の側面図であり、
図5(C)は、コンタクト21の底面図である。
図6は、コネクタ1の断面図であって、コネクタ1と端子台11とが接続される方向である接続方向X1に沿った断面での断面図である。
図7は、
図6に示すコネクタ1の断面の一部を拡大して示す一部拡大断面図である。
【0033】
図3乃至
図7に示すように、コンタクト21は、コネクタ1においては、複数備えられており、本実施形態では、3つ備えられている。尚、本実施形態では、3つのコンタクト21として、コンタクト21aとコンタクト21bとコンタクト21cとが設けられた形態を例示している。コンタクト21としてのコンタクト21aとコンタクト21bとコンタクト21cとは同一の形状に形成されている。複数のコンタクト21のそれぞれは、導電性を有する金属材料で形成され、電線10に接続されるとともに、ハウジング22に挿入されてハウジング22に保持されるように構成されている。複数のコンタクト21は、その長手方向が接続方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、ハウジング22に保持される。そして、コンタクト21は、コネクタ1と端子台11とが接続された際に、端子台11の相手側コンタクト13と接触して相手側コンタクト13と電線10とを電気的に接続するように構成されている。
【0034】
複数のコンタクト21のそれぞれには、電線圧着部23、心線圧着部24、コンタクト接続部25、及び係合部26が設けられており、電線圧着部23、心線圧着部24、コンタクト接続部25、及び係合部26は、コンタクト21において一体に設けられている。コンタクト21において、電線圧着部23と心線圧着部24とコンタクト接続部25とは、この順番で直列に並んで設けられており、電線圧着部23と心線圧着部24とコンタクト接続部25とが並ぶ方向が、コンタクト21の長手方向を構成している。
【0035】
電線圧着部23は、コンタクト21の長手方向における一方の端部側の部分として設けられ、電線10に対して圧着される部分として設けられている。尚、電線10は、心線10aと心線10aの周囲を覆う絶縁被覆10bとを有している。そして、電線10におけるコンタクト21に接続される端部においては、絶縁被覆10bが一部除去され、心線10aが外部に露出している。そして、電線圧着部23は、電線10の端部における絶縁被覆10bに対してかしめられることで電線10に圧着される部分として設けられている。
【0036】
心線圧着部24は、電線10の心線10aに対してかしめられて圧着される部分として設けられており、電線10の端部における心線10aが露出した部分に対して圧着されるように構成されている。
【0037】
コンタクト接続部25は、コンタクト21の長手方向における他方の端部側の部分として設けられている。即ち、コンタクト接続部25は、コンタクト21の長手方向における電線圧着部23側と反対側の端部の部分として設けられている。そして、コンタクト接続部25は、端子台11の相手側コンタクト13に対して接続される部分として設けられている。
【0038】
コンタクト接続部25は、平坦な板状の部分が扁平な筒状の形状を形成するように屈曲形成された部分として設けられている。そして、コンタクト接続部25は、扁平な筒状の部分の内側に端子台11の相手側コンタクト13が嵌合することで、相手側コンタクト13と接続されるように構成されている。また、コンタクト接続部25には、扁平な筒状の部分の内側において、接続された相手側コンタクト13に対して常時接触した状態となるように突出して形成された接点25aが設けられている。
【0039】
係合部26は、コンタクト21がハウジング22に挿入された際に、ハウジング22と係合する部分として設けられており、本実施形態では、コンタクト接続部25の縁部分であってコンタクト接続部25におけるコンタクト21の長手方向の一方の端部の縁部分として設けられている。より具体的には、係合部26は、コンタクト接続部25の縁部分であってコンタクト21の長手方向における電線圧着部23側の縁部分として設けられている。尚、コンタクト接続部25における電線圧着部23側の縁部分として設けられた係合部26は、コンタクト接続部25側から電線圧着部23側に向かって段状に凹むように切り欠かれた部分として形成されており、ハウジング22と係合し易いように構成されている。また、係合部26は、ハウジング22に対して、後述する係合アーム32に設けられた被係合部33において、係合するように構成されている。
【0040】
[ハウジング]
図8は、コネクタ1のハウジング22の斜視図である。
図9は、ハウジング22の斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す斜視図である。
図10は、ハウジング22を接続方向X1における一方の端部側から視た図である。
図11は、ハウジング22の断面図であって、
図10のA-A線矢視位置での断面図である。
図12は、ハウジング22の断面図であって、
図10のB-B線矢視位置での断面図である。
【0041】
図1乃至
図4、
図6乃至
図12に示すように、ハウジング22は、複数のコンタクト21が挿入されて複数のコンタクト21を保持するとともに、端子台11の相手側ハウジング12に対して接続されるように構成されている。ハウジング22は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。そして、ハウジング22は、複数のコンタクト21をそれぞれ保持する複数のコンタクト保持部27と、複数のコンタクト保持部27を一体に結合する基部28とを備えている。
【0042】
複数のコンタクト保持部27のそれぞれは、接続方向X1に沿って角筒状に延びる部分として設けられ、接続方向X1に沿って互いに平行に延びるように設けられている。そして、複数のコンタクト保持部27のそれぞれは、複数のコンタクト21のそれぞれを保持するように構成されている。尚、本実施形態のコネクタ1では、コンタクト保持部27は、コンタクト21の数に対応して、3つ設けられている。具体的には、本実施形態のハウジング22では、コンタクト保持部27として、コンタクト保持部27aとコンタクト保持部27bとコンタクト保持部27cとが設けられている。コンタクト保持部27aはコンタクト21aを保持し、コンタクト保持部27bはコンタクト21bを保持し、コンタクト保持部27cはコンタクト21cを保持するように構成されている。
【0043】
コンタクト保持部27aは、接続方向X1における一方の端部側からコンタクト21aが挿入されてコンタクト21aを保持するように構成されている。そして、コンタクト保持部27aは、接続方向X1における他方の端部側において、端子台11の相手側ハウジング12に設けられた複数の嵌合孔14のうちの1つの嵌合孔14に嵌合し、相手側ハウジング12に対して接続されるように構成されている。また、コンタクト保持部27bは、接続方向X1における一方の端部側からコンタクト21bが挿入されてコンタクト21bを保持するように構成されている。そして、コンタクト保持部27bは、接続方向X1における他方の端部側において、端子台11の相手側ハウジング12に設けられた複数の嵌合孔14のうちの1つの嵌合孔14に嵌合し、相手側ハウジング12に対して接続されるように構成されている。また、コンタクト保持部27cは、接続方向X1における一方の端部側からコンタクト21cが挿入されてコンタクト21cを保持するように構成されている。そして、コンタクト保持部27cは、接続方向X1における他方の端部側において、端子台11の相手側ハウジング12に設けられた複数の嵌合孔14のうちの1つの嵌合孔14に嵌合し、相手側ハウジング12に対して接続されるように構成されている。
【0044】
コンタクト保持部27a、コンタクト保持部27b、及びコンタクト保持部27cは、ハウジング22において、異なる位置に設けられている。本実施形態では、ハウジング22において、コンタクト保持部27aは、幅方向X2における一方の端部側に設けられ、コンタクト保持部27b及びコンタクト保持部27cは、幅方向X2における他方の端部側に設けられている。また、コンタクト保持部27bとコンタクト保持部27cとは、前後方向X3に沿って並んで設けられている。
【0045】
基部28は、接続方向X1に沿って互いに平行に角筒状に延びる複数のコンタクト保持部27を、接続方向X1における一方の端部側であってコンタクト21が挿入される端部側において一体に結合する部分として設けられている。即ち、基部28は、接続方向X1に沿って互いに平行に角筒状に延びるコンタクト保持部27aとコンタクト保持部27bとコンタクト保持部27cとを、接続方向X1における一方の端部側において一体に結合する部分として設けられている。また、基部28は、幅方向X2及び前後方向X3に広がるように設けられており、コンタクト保持部27aの端部とコンタクト保持部27bの端部とコンタクト保持部27cの端部とを一体に結合するように設けられている。
【0046】
ここで、ハウジング22の構成について、更に詳しく説明する。ハウジング22には、コンタクト21が挿入される端部である挿入端部29と、コネクタ1の相手側の接続対象である端子台11に対して接続される端部である接続端部30と、コンタクト21が挿入されるコンタクト挿入孔31と、コンタクト21と係合する係合アーム32とが設けられている。
【0047】
ハウジング22の挿入端部29は、ハウジング22におけるコンタクト21が挿入される端部として構成され、ハウジング22の接続方向X1における基部28側の端部として設けられている。そして、ハウジング22の挿入端部29は、ハウジング22のコンタクト保持部27におけるコンタクト21が挿入される端部として構成されている。即ち、コンタクト保持部27においてコンタクト21が挿入される端部であるコンタクト保持部27の挿入端部29が、ハウジング22の挿入端部29を構成している。また、本実施形態では、複数のコンタクト保持部27(27a、27b、27c)のそれぞれにおいて、コンタクト21が挿入される端部である挿入端部29が設けられている。より具体的には、コンタクト保持部27aにおける挿入端部29として挿入端部29aが設けられ、コンタクト保持部27bにおける挿入端部29として挿入端部29bが設けられ、コンタクト保持部27cにおける挿入端部29として挿入端部29cが設けられている。
【0048】
ハウジング22の接続端部30は、ハウジング22における端子台11の相手側ハウジング12に対して接続される端部として構成され、ハウジング22の接続方向X1における基部28側と反対側の端部として設けられている。そして、ハウジング22の接続端部30は、ハウジング22のコンタクト保持部27における端子台11の相手側ハウジング12に対して接続される端部として構成されている。即ち、コンタクト保持部27において端子台11の相手側ハウジング12の嵌合孔14に嵌合して相手側ハウジング12に対して接続される端部であるコンタクト保持部27の接続端部30が、ハウジング22の接続端部30を構成している。また、本実施形態では、複数のコンタクト保持部27(27a、27b、27c)のそれぞれにおいて、端子台11の相手側ハウジング12の嵌合孔14に嵌合して相手側ハウジング12に接続される端部である接続端部30が設けられている。より具体的には、コンタクト保持部27aにおける接続端部30として接続端部30aが設けられ、コンタクト保持部27bにおける接続端部30として接続端部30bが設けられ、コンタクト保持部27cにおける接続端部30として接続端部30cが設けられている。
【0049】
ハウジング22は、上記のように、コンタクト保持部27a、コンタクト保持部27b、及びコンタクト保持部27cが、挿入端部29(29a、29b、29c)側において基部28で一体に結合されて構成されている。そして、ハウジング22は、コンタクト保持部27a、コンタクト保持部27b、及びコンタクト保持部27cの接続端部30(30a、30b、30c)側の部分が、接続方向X1に沿って基部28側からそれぞれ突出するように設けられている。
【0050】
図3、
図4、
図6乃至
図12を参照して、コンタクト挿入孔31は、ハウジング22において、挿入端部29から接続端部30にかけて貫通するように設けられてコンタクト21が挿入される孔として設けられている。コンタクト挿入孔31は、ハウジング22において、複数設けられており、本実施形態では、コネクタ1のコンタクト21の数に対応して、3つのコンタクト挿入孔31が設けられている。複数のコンタクト挿入孔31のそれぞれは、接続方向X1に沿ってハウジング22を貫通するように設けられている。コンタクト挿入孔31は、ハウジング22において、複数のコンタクト保持部27のそれぞれに設けられている。即ち、コンタクト保持部27a、コンタクト保持部27b、及びコンタクト保持部27cのそれぞれに、コンタクト挿入孔31が設けられている。
【0051】
コンタクト保持部27aに設けられたコンタクト挿入孔31は、コンタクト保持部27aを挿入端部29aから接続端部30aにかけて接続方向X1に沿って貫通して延びるように設けられている。即ち、コンタクト保持部27aのコンタクト挿入孔31は、挿入端部29aにおいて外部に開口するとともに、接続端部30aにおいても外部に開口し、挿入端部29aから接続端部30aにかけて延びる貫通孔として設けられている。コンタクト21aは、コンタクト保持部27aのコンタクト挿入孔31に対して挿入端部29a側から挿入されて、コンタクト保持部27aによってコンタクト挿入孔31内で保持される。尚、コンタクト21aは、電線10に接続された状態で、コンタクト接続部25側からコンタクト保持部27aのコンタクト挿入孔31に挿入され、コンタクト21aの全体がコンタクト挿入孔31内に配置されて収容された状態でコンタクト保持部27aによって保持される。コンタクト21aがコンタクト保持部27aに保持された状態では、コンタクト21aに接続された電線10は、コンタクト保持部27aの挿入端部29aから外側に引き出された状態となる。
【0052】
コンタクト保持部27bに設けられたコンタクト挿入孔31は、コンタクト保持部27bを挿入端部29bから接続端部30bにかけて接続方向X1に沿って貫通して延びるように設けられている。即ち、コンタクト保持部27bのコンタクト挿入孔31は、挿入端部29bにおいて外部に開口するとともに、接続端部30bにおいても外部に開口し、挿入端部29bから接続端部30bにかけて延びる貫通孔として設けられている。コンタクト21bは、コンタクト保持部27bのコンタクト挿入孔31に対して挿入端部29b側から挿入されて、コンタクト保持部27bによってコンタクト挿入孔31内で保持される。尚、コンタクト21bは、電線10に接続された状態で、コンタクト接続部25側からコンタクト保持部27bのコンタクト挿入孔31に挿入され、コンタクト21bの全体がコンタクト挿入孔31内に配置されて収容された状態でコンタクト保持部27bによって保持される。コンタクト21bがコンタクト保持部27bに保持された状態では、コンタクト21bに接続された電線10は、コンタクト保持部27bの挿入端部29bから外側に引き出された状態となる。
【0053】
コンタクト保持部27cに設けられたコンタクト挿入孔31は、コンタクト保持部27cを挿入端部29cから接続端部30cにかけて接続方向X1に沿って貫通して延びるように設けられている。即ち、コンタクト保持部27cのコンタクト挿入孔31は、挿入端部29cにおいて外部に開口するとともに、接続端部30cにおいても外部に開口し、挿入端部29cから接続端部30cにかけて延びる貫通孔として設けられている。コンタクト21cは、コンタクト保持部27cのコンタクト挿入孔31に対して挿入端部29c側から挿入されて、コンタクト保持部27cによってコンタクト挿入孔31内で保持される。尚、コンタクト21cは、電線10に接続された状態で、コンタクト接続部25側からコンタクト保持部27cのコンタクト挿入孔31に挿入され、コンタクト21cの全体がコンタクト挿入孔31内に配置されて収容された状態でコンタクト保持部27cによって保持される。コンタクト21cがコンタクト保持部27cに保持された状態では、コンタクト21cに接続された電線10は、コンタクト保持部27cの挿入端部29cから外側に引き出された状態となる。
【0054】
[係合アーム]
図2乃至
図4、
図6乃至
図12を参照して、係合アーム32は、ハウジング22において、接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。そして、係合アーム32は、ハウジング22において、コンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21と係合する部分として設けられている。
【0055】
係合アーム32は、ハウジング22において、複数設けられており、コンタクト21を保持するコンタクト保持部27に対応して設けられているとともに、本実施形態では、1つのコンタクト保持部27に対して一対で対応して設けられている。即ち、本実施形態のハウジング22では、係合アーム32は、3つのコンタクト保持部27のそれぞれに対応して設けられているとともに、各コンタクト保持部27に対して一対で対応して設けられている。よって、各コンタクト保持部27において2つの係合アーム32が設けられている。このため、本実施形態のハウジング22では、合計で6つの係合アーム32が設けられている。具体的には、本実施形態のハウジング22では、係合アーム32として、コンタクト保持部27aに設けられた係合アーム32aと、コンタクト保持部27bに設けられた係合アーム32bと、コンタクト保持部27cに設けられた係合アーム32cとが備えられている。
【0056】
コンタクト保持部27aに設けられた係合アーム32aは、一対で設けられている。即ち、コンタクト保持部27aには、係合アーム32aが2つ設けられている。コンタクト保持部27aに設けられた一対の係合アーム32aのそれぞれは、接続方向X1に沿って、接続端部30a側から挿入端部29a側に向かって片持ち状に延びるように設けられており、互いに平行に延びるように設けられている。一対の係合アーム32aのそれぞれは、コンタクト保持部27aのコンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21aと係合し、コンタクト21aを保持できるように構成されている。
【0057】
コンタクト保持部27bに設けられた係合アーム32bは、一対で設けられている。即ち、コンタクト保持部27bには、係合アーム32bが2つ設けられている。コンタクト保持部27bに設けられた一対の係合アーム32bのそれぞれは、接続方向X1に沿って、接続端部30b側から挿入端部29b側に向かって片持ち状に延びるように設けられており、互いに平行に延びるように設けられている。一対の係合アーム32bのそれぞれは、コンタクト保持部27bのコンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21bと係合し、コンタクト21bを保持できるように構成されている。
【0058】
コンタクト保持部27cに設けられた係合アーム32cは、一対で設けられている。即ち、コンタクト保持部27cには、係合アーム32cが2つ設けられている。コンタクト保持部27cに設けられた一対の係合アーム32cのそれぞれは、接続方向X1に沿って、接続端部30c側から挿入端部29c側に向かって片持ち状に延びるように設けられており、互いに平行に延びるように設けられている。一対の係合アーム32cのそれぞれは、コンタクト保持部27cのコンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21cと係合し、コンタクト21cを保持できるように構成されている。
【0059】
コンタクト保持部27aに設けられた係合アーム32aと、コンタクト保持部27bに設けられた係合アーム32bと、コンタクト保持部27cに設けられた係合アーム32cとは、同様に構成されており、いずれも同一の形状に形成されている。係合アーム32a、係合アーム32b、及び係合アーム32cの構造は同一であるため、以下、係合アーム32(32a、32b、32c)の構造について、係合アーム32の構造として説明する。
【0060】
係合アーム32は、被係合部33と延長アーム部34と根本側部分35とを有して構成されている。
【0061】
被係合部33は、係合アーム32において、コンタクト21の係合部26と係合する部分として設けられている。被係合部33は、接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びる係合アーム32の途中位置に設けられている。また、被係合部33は、片持ち状に延びる係合アーム32の途中位置において、コンタクト保持部27aの内側に向かって段状に突出した凸部として設けられている。即ち、被係合部33は、片持ち状に延びる係合アーム32の途中位置において、コンタクト保持部27aの内側のコンタクト挿入孔31内で段状に突出するように設けられている。
【0062】
また、係合アーム32において段状に突出した被係合部33には、接続方向X1における接続端部30側の端部において、接続方向X1に垂直な方向に沿って延びる端面33aが設けられている。被係合部33は、コンタクト21の係合部26に対して端面33aにおいて当接することで、係合部26に係合するように構成されている。そして、被係合部33は、コンタクト21の係合部26が、接続方向X1において接続端部30側から挿入端部29側に向かって被係合部33に当接した状態で係合するように、構成されている。このため、被係合部33と係合部26とが係合した状態でコンタクト21がコンタクト保持部27から抜ける方向に付勢された場合、即ち、コンタクト21がコンタクト保持部27の挿入端部29側へ付勢された場合、コンタクト21のコンタクト保持部27の挿入端部29側への移動は、被係合部33と係合部26との係合によって規制される。これにより、コンタクト21のコンタクト保持部27からの抜け止めが図られる。
【0063】
係合アーム32の延長アーム部34は、片持ち状に延びる係合アーム32の先端側の部分として設けられて被係合部33から挿入端部29側に向かって延びる部分として設けられている。延長アーム部34は、ハウジング22のコンタクト保持部27におけるコンタクト挿入孔31を区画する壁面である内壁37に対して空間を介して対向して配置されるとともに、コンタクト保持部27の内壁37に沿って延びるように設けられている。より具体的には、延長アーム部34は、コンタクト保持部27におけるコンタクト挿入孔31を区画する内壁37のうち、コンタクト保持部27の挿入端部29側の部分の壁面に対して、空間を介して対向して配置されている。更に、延長アーム部34は、コンタクト保持部27におけるコンタクト挿入孔31を区画する内壁37に対して、接続方向X1に垂直な方向において空間を介して対向して配置されている。尚、本実施形態では、延長アーム部34が空間を介して対向するコンタクト保持部27の内壁37は、接続方向X1と平行に延びるように設けられている。そして、延長アーム部34における内壁37と対向する部分には、
図6、
図7、
図9、
図11、
図12に示すように、接続方向X1及び内壁37と平行に延びる対向面34bが設けられている。
【0064】
係合アーム32は、コンタクト保持部27のコンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21の係合部26に対して、被係合部33において係合する。そして、係合アーム32とコンタクト21とが係合した状態では、係合部26と被係合部33とが接続方向X1において当接して係合しているため、コンタクト21のコンタクト保持部27の挿入端部29側への移動が規制されている。この状態で、コンタクト21が挿入端部29側に付勢されると、コンタクト21の係合部26が係合アーム32の被係合部33を挿入端部29側へ付勢することになる。そして、挿入端部29側に向かって片持ち状に延びる係合アーム32の途中位置でコンタクト保持部27の内側に突出した被係合部33が係合部26によって挿入端部29側へ付勢されると、係合アーム32が弾性変形して撓むことになる。このとき、係合アーム32は、係合アーム32において被係合部33が設けられたコンタクト保持部27の内側とは反対側であるコンタクト保持部27の内壁37側に向かって撓む。そして、係合アーム32が内壁37側に撓むことで、係合アーム32において被係合部33から更に挿入端部29側に向かって延びる先端側の部分である延長アーム部34が内壁37に向かって変位し、延長アーム部34は、その先端側において、コンタクト保持部27の内壁37に当接する。このように、延長アーム部34は、コンタクト21が挿入端部29側に付勢されて係合部26が被係合部33を付勢して係合アーム32が弾性変形して撓んだ際に、延長アーム部34の先端側においてコンタクト保持部27の内壁37と当接するように構成されている。更に、延長アーム部34は、係合アーム32が撓んだ際に、その先端側においてコンタクト保持部27の内壁37と当接することで、係合アーム32の撓み量を規制するように構成されている。
【0065】
コンタクト21は、電線10に接続された状態で、コンタクト挿入孔31に挿入されてコンタクト保持部27に保持されている。このため、コンタクト挿入孔31に挿入された状態のコンタクト21に接続された電線10に対してコンタクト21を挿入端部29側に引き抜く方向の外力が作用すると、コンタクト21が挿入端部29側に付勢されて係合部26が被係合部33を挿入端部29側へ付勢することになる。係合部26が被係合部33を付勢すると、前述のように、係合アーム32は、弾性変形して撓み、係合アーム32の延長アーム部34が、その先端側において、コンタクト挿入孔31を区画するコンタクト保持部27の内壁37と当接し、係合アーム32の撓みが規制されることになる。このため、延長アーム部34は、コンタクト挿入孔31に挿入された状態のコンタクト21に接続された電線10に対してコンタクト21を挿入端部29側に引き抜く方向の外力が作用して係合アーム32が弾性変形して撓んだ際に、延長アーム部34の先端側においてコンタクト保持部27の内壁37と当接して係合アーム32の撓みを規制するように構成されている。
【0066】
また、延長アーム部34には、コンタクト保持部27の内側に対向する面として形成された傾斜面34aが設けられている。延長アーム部34の傾斜面34aは、コンタクト保持部27の接続端部30側から挿入端部29側に向かう方向に対して斜めに延びる面として設けられている。更に、延長アーム部34の傾斜面34aは、コンタクト保持部27の挿入端部29側に向かうにつれて、延長アーム部34が対向するコンタクト保持部27の内壁37側に向かって延びるように設けられている。これにより、コンタクト保持部27の挿入端部29側に向かって延びる係合アーム32の先端側の延長アーム部34の傾斜面34aは、挿入端部29側に向かうほどコンタクト挿入孔31を区画するコンタクト保持部27の内壁37に近づいて延びるように設けられている。そして、傾斜面34aは、接続端部30側においては、コンタクト保持部27の内側に突出した被係合部33に対して段差なく連続するように設けられている。このため、コンタクト挿入孔31に挿入端部29側からコンタクト21が挿入された際には、コンタクト21は、傾斜面34aに摺接しながら傾斜面34aに沿って滑らかに移動する。そして、コンタクト21の係合部26が被係合部33の位置へ到達すると、係合部26が被係合部33を乗り超えるようにして被係合部33を通過し、係合部26が被係合部33に係合することになる。
【0067】
係合アーム32の根本側部分35は、ハウジング22において接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びる係合アーム32における根本側の部分として構成されている。根本側部分35と延長アーム部34とは連続しており、根本側部分35の更に挿入端部29側で延長アーム部34が挿入端部29側に向かって延びている。また、根本側部分35は、ハウジング22の外部に露出しており、ハウジング22の壁部の一部を構成している。より具体的には、根本側部分35は、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の壁部であってハウジング22の外部に露出して設けられた壁部の一部を構成している。尚、
図3、
図4、
図6、
図8,
図9、
図11に示すように、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の壁部には、ハウジング22において片持ち状に延びて弾性変形可能な係合アーム32を形成するためのスリット36が設けられている。ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の壁部においては、根本側部分35は、スリット36とともに、ハウジング22の外部に露出した状態で、配置されている。
【0068】
[ハウジングの接続端部側の部分の厚みに関する構成]
コネクタ1は、相手側の接続対象である端子台11に対して接続されるため、コネクタ1のハウジング22は、相手側の接続対象である端子台11の構造上の制約に応じて、端子台11に接続できるように構成される。このため、ハウジング22において、端子台11の相手側ハウジング12に接続される接続端部30側の部分は、相手側ハウジング12の嵌合孔14に嵌合して接続できるように構成される必要がある。即ち、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分は、相手側ハウジング12の嵌合孔14に嵌合して接続できるように構成される必要がある。このため、相手側ハウジング12における嵌合孔14の配置スペースの制約上、嵌合孔14の断面の短手方向の寸法が小さくなる場合、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚みを薄くすることが要求されることになる。
【0069】
コネクタ1においては、コンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21と係合する係合アーム32は、ハウジング22のコンタクト保持部27の接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。これにより、片持ち状に延びる係合アーム32の先端側の部分である延長アーム部34は、ハウジング22のコンタクト保持部27の挿入端部29側で延びるように配置されることになる。そして、片持ち状に延びる係合アーム32の先端側の部分は、コンタクト保持部27の挿入端部29側の部分の内側に収容されて配置されている。即ち、コンタクト保持部27の挿入端部29側の部分が、係合アーム32の先端側の部分の周囲を囲むように設けられている。このため、係合アーム32の先端側の部分は、ハウジング22のコンタクト保持部27の挿入端部29側の部分において外部に対して保護される。
【0070】
一方、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分においては、係合アーム32の根本側の部分である根本側部分35が配置され、係合アーム32の先端側の部分は配置されない。このため、コンタクト保持部27における接続端部30側の部分においては、係合アーム32の先端側の部分の保護のために係合アーム32の先端側の部分の周囲を囲む保護壁の構造を設ける必要がない。これにより、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚みを薄くすることができる。したがって、コネクタ1においては、コネクタ1が接続される相手側の接続対象である端子台11の構造上の制約により、ハウジング22のコンタクト保持部27の接続端部30側の部分の厚みを薄くすることが要求される場合、その要求に対応することができる。即ち、コネクタ1においては、相手側の接続対象による制約に応じてハウジング22のコンタクト保持部27の接続端部30側の部分の厚みを薄くすることができる。
【0071】
コネクタ1においては、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚みが、薄く形成されている。
図9及び
図10を参照して、ハウジング22のコンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚み寸法T1については、両端矢印T1で示しており、ハウジング22のコンタクト保持部27における挿入端部29側の部分の厚み寸法T2については、両端矢印T2で示している。コネクタ1のハウジング22においては、コンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚みは、コンタクト保持部27における挿入端部29側の部分の厚みよりも薄く形成されている。即ち、コンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚み寸法T1が、コンタクト保持部27における挿入端部29側の部分の厚み寸法T2よりも小さく設定されている。より具体的には、コンタクト保持部27aにおける接続端部30a側の部分の幅方向X2における厚み寸法T1が、コンタクト保持部27aにおける挿入端部29a側の部分の幅方向X2における厚み寸法T2よりも小さく設定されている。また、コンタクト保持部27bにおける接続端部30b側の部分の前後方向X3における厚み寸法T1が、コンタクト保持部27bにおける挿入端部29b側の部分の前後方向X3における厚み寸法T2よりも小さく設定されている。また、コンタクト保持部27cにおける接続端部30c側の部分の前後方向X3における厚み寸法T1が、コンタクト保持部27cにおける挿入端部29c側の部分の前後方向X3における厚み寸法T2よりも小さく設定されている。そして、コンタクト保持部27における接続端部30側の部分の厚み寸法T1は、相手側の接続対象である端子台11の相手側ハウジング12の嵌合孔14の断面の短手方向の寸法の制約に応じた厚みの薄い寸法に設定されている。
【0072】
[コネクタの作動]
次に、上述したコネクタ1の作動について説明する。まず、コネクタ1において、ハウジング22にコンタクト21が挿入されてコンタクト21がハウジング22に保持される際のコネクタ1の作動について説明する。
図13は、ハウジング22の一部及びコンタクト21の断面図であって、コンタクト21がハウジング22のコンタクト挿入孔31に対して挿入されるコネクタ1の作動について説明するための図である。尚、
図13(A)は、コンタクト21がコンタクト挿入孔31に挿入される前の状態を示す図である。また、
図13(B)は、コンタクト21がコンタクト挿入孔31に挿入されている途中の状態を示す図である。また、
図13(C)は、コンタクト21がコンタクト挿入孔31に挿入された状態を示す図である。尚、
図13の断面図においては、ハウジング22におけるコンタクト保持部27cの部分及びコンタクト21cの断面を示している。また、
図13においては、電線10については模式的に示しており、電線10の心線10aの図示を省略し、電線10の絶縁被覆10bの外形に対応した形状部分のみを一様なハッチングの断面で図示している。
【0073】
図13(a)を参照して、ハウジング22にコンタクト21が挿入される際には、コンタクト21は、電線10が接続された状態で、ハウジング22のコンタクト保持部27に設けられたコンタクト挿入孔31に挿入される。そして、コンタクト21は、電線10に接続された端部とは反対側の端部であるコンタクト接続部25側の端部から、コンタクト挿入孔31に挿入される。また、コンタクト21は、ハウジング22のコンタクト保持部27の挿入端部29側からコンタクト挿入孔31に対して挿入される。
【0074】
図13(b)を参照して、コンタクト挿入孔31にコンタクト21が挿入されると、コンタクト21は、ハウジング22のコンタクト保持部27を接続方向X1に沿って貫通するコンタクト挿入孔31を挿入端部29側から接続端部30側に向かって移動する。そして、コンタクト21は、コンタクト挿入孔31内において、係合アーム32の延長アーム部34に当接する位置に到達すると、コンタクト接続部25の先端部において、延長アーム部34の傾斜面34aに当接する。
【0075】
コンタクト21がコンタクト挿入孔31に挿入されてコンタクト接続部25の先端部が延長アーム部34の傾斜面34aに当接すると、係合アーム32は、傾斜面34aにおいてコンタクト21から接続端部30側に向かって付勢される。係合アーム32は、傾斜面34aにおいてコンタクト21から付勢されると、延長アーム部34が対向するコンタクト保持部27の内壁37側に向かって撓む。係合アーム32が内壁37側に向かって撓むことで、コンタクト21は、コンタクト接続部25の先端部において傾斜面34aに摺接しながら傾斜面34aに沿って滑らかに移動する。そして、コンタクト挿入孔31に挿入されているコンタクト21のコンタクト接続部25が係合アーム32の被係合部33の位置へ到達すると、コンタクト接続部25が被係合部33を乗り越えるようにして被係合部33を通過する。
【0076】
図13(C)を参照して、コンタクト接続部25が被係合部33を通過するようにしてコンタクト21がコンタクト挿入孔31に更に挿入されると、コンタクト21の係合部26が被係合部33の位置へ到達する。コンタクト21の係合部26が係合アーム32の被係合部33の位置へ到達すると、係合部26が被係合部33を乗り越えるようにして被係合部33を通過する。そして、コンタクト接続部25の縁部分として段状に凹むように設けられた係合部26が被係合部33を通過すると、被係合部33が係合部26に嵌りこむようにして変位しながら、係合アーム32が弾性回復して係合アーム32の撓みが戻ることになる。これにより、係合部26が、係合アーム32の被係合部33に係合することになる。コンタクト21の係合部26が係合アーム32の被係合部33と係合することで、コンタクト21がハウジング22のコンタクト保持部27に保持された状態となる。
【0077】
次に、ハウジング22に保持されたコンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢された場合のコネクタ1の作動について説明する。
図14は、ハウジング22の一部及びコンタクト21の断面図であって、コンタクト21に接続された電線10に対してコンタクト21をハウジング22から引き抜く方向の外力が作用した場合におけるコネクタ1の作動を説明するための図である。尚、
図14の断面図においては、ハウジング22におけるコンタクト保持部27cの部分及びコンタクト21cの断面を図示している。また、
図14では、電線10に対してコンタクト21をハウジング22から引き抜く方向に作用する外力の方向を矢印Fで示している。また、
図14においては、電線10については模式的に示しており、電線10の心線10aの図示を省略し、電線10の絶縁被覆10bの外形に対応した形状部分のみを一様なハッチングの断面で図示している。
【0078】
図14を参照して、ハウジング22に保持されたコンタクト21に接続された電線10に対してコンタクト21をハウジング22から引き抜く方向の外力が作用すると、コンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢されることになる。コンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢されると、コンタクト21は、ハウジング22のコンタクト保持部27の挿入端部29側へ付勢されることになる。このとき、コンタクト21の係合部26は係合アーム32の被係合部33の端面33aと当接して被係合部33と係合しているため、コンタクト21の挿入端部29側への移動が規制されている。このため、コンタクト21の係合部26が、片持ち状に延びる係合アーム32の途中位置でコンタクト保持部27の内側に突出した被係合部33を挿入端部29側へ付勢すると、係合アーム32が弾性変形して撓むことになる。このとき、係合アーム32は、係合アーム32において被係合部33が設けられたコンタクト保持部27の内側とは反対側であるコンタクト保持部27の内壁37側に向かって撓む。そして、係合アーム32が内壁37側に撓むことで、係合アーム32において被係合部33から更に挿入端部29側に向かって延びる先端側の部分である延長アーム部34が内壁37に向かって変位し、延長アーム部34は、その先端側において、コンタクト保持部27の内壁37に当接する。そして、係合アーム32が内壁37側に向かって撓み、延長アーム部34が、その先端側において内壁37と当接することで、係合アーム32の撓み量が規制されることになる。
【0079】
電線10に外力が作用してコンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢されると、係合アーム32が撓んで係合アーム32の延長アーム部34がコンタクト保持部27の内壁37と当接し、係合アーム32の撓み量が規制される。このため、コンタクト21の係合部26と係合アーム32の被係合部33との係合が外れてコンタクト21がハウジング22から抜けてしまうことが防止されることになる。よって、電線10に外力が作用してコンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢された場合でも、コンタクト21がハウジング22に保持されたままの状態が維持され、コンタクト21がハウジング22から抜けてしまうことが防止される。
【0080】
次に、コンタクト21をハウジング22から取り外す際のコネクタ1の作動について説明する。
図15は、ハウジング22の一部及びコンタクト21の断面図であって、コンタクト21をハウジング22から取り外す際のコネクタ1の作動について説明するための図である。尚、
図15(A)は、コンタクト取り外し用の治具50がコンタクト挿入孔31に挿入された状態を示す図である。また、
図15(B)は、コンタクト取り外し用の治具50がハウジング22の係合アーム32と当接した状態を示す図である。尚、
図15の断面図においては、ハウジング22におけるコンタクト保持部27cの部分及びコンタクト21cの断面を図示している。また、
図15においては、電線10については模式的に示しており、電線10の心線10aの図示を省略し、電線10の絶縁被覆10bの外形に対応した形状部分のみを一様なハッチングの断面で図示している。
【0081】
図15(A)を参照して、ハウジング22に保持されたコンタクト21をハウジング22から取り外す際には、コンタクト取り外し用の治具50が用いられる。治具50は、コンタクト挿入孔31に挿入される細長い棒状に形成され、例えば、矩形断面で延びる棒状に形成されている。そして、治具50は、ハウジング22に保持されたコンタクト21に接続されてコンタクト挿入孔31から引き出された電線10の外周とコンタクト挿入孔31の内周との間の隙間から挿入可能な程度の断面寸法の棒状に形成されている。また、治具50の先端側の端部には、治具50の長手方向に対して傾斜した斜面50aが設けられている。このため、治具50の先端側の端部は、先端側に向かって尖るように切っ先状に形成されている。
【0082】
コンタクト21をハウジング22から取り外す際には、治具50が、ハウジング22のコンタクト保持部27に設けられたコンタクト挿入孔31に対して、コンタクト保持部27の挿入端部29側から挿入される。このとき、治具50は、その斜面50aが設けられた先端側から、コンタクト保持部27のコンタクト挿入孔31に挿入される。治具50がコンタクト挿入孔31に挿入されると、治具50の先端側の端部は、コンタクト挿入孔31に沿ってコンタクト保持部27の接続端部30側に向かって移動する。
【0083】
図15(B)を参照して、治具50がコンタクト挿入孔31の奥側に挿入されると、治具50の先端側の端部は、斜面50aにおいて、係合アーム32の先端側の部分である延長アーム部34の傾斜面34aと当接する。治具50の斜面50aと延長アーム部34の傾斜面34aとが当接すると、延長アーム部34がコンタクト保持部27の内壁37側に向かって付勢される。そして、延長アーム部34が内壁37側に向かって付勢されることで、係合アーム32が内壁37側に撓むことになる。係合アーム32が内壁37側に向かって撓むことで、係合アーム32の被係合部33が、コンタクト21の係合部26に対して、接続方向X1に垂直な方向においてずれて離間する方向に変位する。これにより、被係合部33と係合部26との係合が解除される。尚、治具50を用いてコンタクト21をハウジング22から取り外す際には、コンタクト21を挿入端部29側へ付勢する力は作用していない。このため、被係合部33と係合部26との間において、コンタクト21が挿入端部29側へ付勢されることで作用する摩擦力は生じず、被係合部33が係合部26に対して接続方向X1に垂直な方向においてずれるように変位することで、被係合部33と係合部26との係合を解除することができる。
【0084】
係合アーム32の被係合部33とコンタクト21の係合部26との係合が解除されることで、コンタクト21は、ハウジング22から取り外し可能な状態となる。この状態で、コンタクト21が接続された電線10がハウジング22から引き抜かれることで、即ち、接続端部30側から挿入端部29側へ向かう方向に沿って電線10が引っ張られることで、電線10とともにコンタクト21が挿入端部29側へ移動する。これにより、コンタクト21がコンタクト挿入孔31から引き抜かれ、ハウジング22から取り外される。
【0085】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態によると、コンタクト挿入孔31に挿入されたコンタクト21と係合する係合アーム32は、ハウジング22の接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。これにより、片持ち状に延びる係合アーム32の先端側の部分は、ハウジング22のコンタクト保持部27の挿入端部29側で延びるように配置されることになる。このため、片持ち状に延びる係合アーム32の先端側の部分は、ハウジング22のコンタクト保持部27の挿入端部29側の部分において内側に収容されて外部に対して保護される。これにより、コネクタ1が接続される相手側の接続対象の端子台11の構造上の制約により、ハウジング22のコンタクト保持部27の接続端部30側の部分の厚みを薄くすることが要求される場合、その要求に対応することができる。即ち、本実施形態によると、相手側の接続対象である端子台11による制約に応じてハウジング22のコンタクト保持部27の接続端部30側の部分の厚みを薄くすることができるコネクタ1を実現することができる。
【0086】
また、本実施形態によると、係合アーム32は、片持ち状に延びる方向における途中位置に設けられた被係合部33にてコンタクト21の係合部26と係合し、その先端側の部分としての延長アーム部34が被係合部33から挿入端部29側に向かって延びるように設けられている。更に、延長アーム部34は、コンタクト挿入孔31を区画するハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37に対して空間を介して対向して配置されてその内壁37に沿って延びるように構成されるとともに、コンタクト21が挿入端部29側に付勢されて係合アーム32が撓んだ際に、延長アーム部34の先端側においてコンタクト挿入孔31を区画するハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37と当接して係合アーム32の撓み量を規制するように構成されている。このため、係合アーム32に係合したコンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢された場合、即ち、コンタクト21がハウジング22の挿入端部29側に付勢された場合、係合アーム32が撓むと、係合アーム32の先端側の延長アーム部34がハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37に当接し、係合アーム32の撓み量が規制される。延長アーム部34がハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37に当接して係合アーム32の撓み量が規制されることで、コンタクト21の係合部26と係合アーム32の被係合部33との係合が外れることが防止されてコンタクト21がハウジング22から抜けてしまうことが防止されることになる。これにより、コンタクト21をハウジング22において保持するコンタクト保持力を向上させることができる。また、本実施形態によると、係合アーム32に係合したコンタクト21がハウジング22から抜ける方向に付勢された場合、即ち、コンタクト21がハウジング22の挿入端部29側に付勢された場合、係合アーム32が撓むと、延長アーム部34がハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37に当接して係合アーム32の撓み量が規制される。このため、係合アーム32が過剰に撓んでしまうことを防止でき、係合アーム32が破損してしまうことを防止することができる。
【0087】
したがって、本実施形態によると、相手側の接続対象による制約に応じてハウジング22の接続端部30側の部分の厚みを薄くすることができ、コンタクト21をハウジング22において保持するコンタクト保持力を向上させることができ、コンタクト21に係合する係合アーム32が破損してしまうことも防止することができる、コネクタ1を提供することができる。
【0088】
また、本実施形態によると、ハウジング22の接続端部30側から挿入端部29側に向かって片持ち状に延びる係合アーム32の根本側部分35が、外部に露出したハウジング22の壁部の一部を構成するように設けられる。このため、ハウジング22の接続端部30側に配置された係合アーム32の根本側部分35をハウジング22の接続端部30側の部分の壁部の一部として兼用することができるため、ハウジング22の接続端部30側の部分の厚みを更に薄くすることができる。
【0089】
また、本実施形態によると、挿入端部29側に向かって延びる係合アーム32の先端側の延長アーム部34には、挿入端部29側に向かうほどコンタクト挿入孔31を区画するハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37に近づくように延びる傾斜面34aが設けられる。このため、コンタクト挿入孔31に対して挿入端部29側からコンタクト21が挿入された際に、コンタクト21は、延長アーム部34の傾斜面34aに摺接しながら傾斜面34aに沿って滑らかに移動することになる。そして、コンタクト21の係合部26が延長アーム部34の傾斜面34aを通過して更に係合アーム32の被係合部33を乗り越えて通過する位置に到達すると、係合部26と被係合部33とが係合し、コンタクト21が保持されることになる。よって、本実施形態によると、コンタクト挿入孔31へコンタクト21を挿入した際に、係合アーム32とコンタクト21とを円滑に係合させることができる。
【0090】
また、本実施形態によると、コンタクト21が接続された電線10をコネクタ1から引き抜く方向の外力が電線10に作用した際に、係合アーム32が撓み、延長アーム部34の先端側がコンタクト挿入孔31を区画するハウジング22のコンタクト保持部27の内壁37と当接し、係合アーム32の撓み量が規制される。これにより、電線10に引き抜き方向の外力が作用した場合に、コンタクト21の係合部26と係合アーム32の被係合部33との係合が外れることが防止されてコンタクト21がハウジング22から抜けてしまうことが防止されることになる。これにより、電線10に引き抜き方向の外力が作用した場合において、コンタクト21をハウジング22において保持するコンタクト保持力を向上させることができる。更に、電線10に引き抜き方向の外力が作用した場合において、係合アーム32が過剰に撓んでしまうことを防止でき、係合アーム32が破損してしまうことを防止することができる。
【0091】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0092】
(1)前述の実施形態では、コネクタ1に複数のコンタクト21が備えられる形態を例示したが、この通りでなくてもよい。コネクタ1に1つのコンタクト21が備えられる形態が実施されてもよい。即ち、コネクタ1のハウジング22において端子保持部27が1つのみ設けられた形態が実施されてもよい。また、前述の実施形態では、コネクタ1において、複数のコンタクト21として3つのコンタクト21が備えられる形態を例示したが、この通りでなくてもよい。コネクタ1において、複数のコンタクト21として、2つのコンタクト21、又は、4つ以上のコンタクト21が備えられる形態が実施されてもよい。即ち、コネクタ1のハウジング22において端子保持部27が2つ又は4つ以上設けられた形態が実施されてもよい。
【0093】
(2)前述の実施形態では、コネクタ1が接続される相手側の接続対象が端子台11である形態を例示したが、この通りでなくてもよい。即ち、コネクタ1が接続される相手側の接続対象が端子台11以外である形態が実施されてもよい。例えば、コネクタ1が接続される相手側の接続対象が、相手側コンタクト13を備えた相手側コネクタである形態が実施されてもよい。或いは、コネクタ1が接続される相手側の接続対象が、相手側コンタクト13が実装された基板である形態が実施されてもよい。
【0094】
(3)前述の実施形態では、コンタクト21の係合部26がコンタクト接続部25の縁部分として設けられた形態を例示したが、この通りでなくてもよく、他の形態の係合部26が実施されてもよい。例えば、係合部26が、コンタクト接続部25に設けられた凹部又は孔として設けられた形態が実施されてもよい。
【0095】
(4)前述の実施形態では、コンタクト保持部27において係合アーム32が一対で設けられた形態を例示したが、この通りでなくてもよい。例えば、コンタクト保持部27において係合アーム32が1つ設けられた形態が実施されてもよい。或いは、コンタクト保持部27において係合アーム32が3つ以上設けられた形態が実施されてもよい。
【0096】
(5)前述の実施形態では、係合アーム32の延長アーム部34が空間を介して対向するコンタクト保持部27の内壁37が、接続方向X1と平行に延びるように設けられ、延長アーム部34における内壁37と対向する部分の対向面34bが、接続方向X1及び内壁37と平行に延びるように設けられた形態を例示したが、この通りでなくてもよい。延長アーム部34と空間を介して対向する端子保持部27の内壁37及び、延長アーム部34の対向面34bが、接続方向X1と平行に延びていない形態が実施されてもよく、例えば、
図16に示すような形態の変形例が実施されてもよい。
【0097】
図16は、ハウジング22の一部の断面を示す図であって、ハウジング22の係合アーム32における延長アーム部34の変形例について説明するための図である。尚、
図16の断面図においては、ハウジング22におけるコンタクト保持部27cの断面を図示している。
【0098】
図16に示す変形例では、係合アーム32の延長アーム部34が空間を介して対向するコンタクト保持部27の内壁37には、延長アーム部34に対して対向する部分において、接続方向X1に対して斜めに傾斜して延びる斜面部37aが設けられている。より具体的には、コンタクト保持部27の内壁37は、延長アーム部34に対して対向していない部分である斜面部37a以外の部分においては接続方向X1と平行に延びている。そして、コンタクト保持部27の内壁37は、延長アーム部34と対向する斜面部37aにおいては、接続端部30側に向かうにつれて延長アーム部34側に延びており、接続方向X1に対して斜めに傾斜して延びるように設けられている。
【0099】
また、係合アーム32の延長アーム部34におけるコンタクト保持部27の内壁37と対向する部分の対向面34bは、内壁37の斜面部37aに対して空間を介して対向するように設けられている。更に、延長アーム部34の対向面34bは、接続方向X1に対して斜めに傾斜して延びており、コンタクト保持部27の内壁37の斜面部37aと平行な方向に沿って延びるように設けられている。
【0100】
図16に示す変形例のように、延長アーム部34と空間を介して対向する端子保持部27の内壁37及び、延長アーム部34の対向面34bが、接続方向X1と平行に延びていない形態が実施されてもよい。
【0101】
(6)前述の実施形態では、コンタクト挿入孔31に対してコンタクト保持部27の挿入端部29側からコンタクト取り外し用の治具50が挿入されて係合アーム32とコンタクト21との係合が解除され、コンタクト21がハウジング22から取り外される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。治具50とは異なる形態のコンタクト取り外し用の治具が用いられ、コンタクト取り外し用の治具に対応した構成が係合アーム32に設けられていることで、コンタクト21がハウジング22から取り外される形態が実施されてもよい。例えば、
図17及び
図18に示すような形態の変形例が実施されてもよい。
【0102】
図17は、ハウジング22の斜視図であって、ハウジング22の係合アーム32の変形例について説明するための図である。
図18は、
図17に示すハウジング22からコンタクト21を取り外す際のコネクタ1の作動について説明するための図である。尚、
図18(A)は、コンタクト取り外し用の治具51がハウジング22の係合アーム32に設けられた治具用孔34cに挿入される前の状態を示す図である。また、
図18(B)は、コンタクト取り外し用の治具51が係合アーム32の治具用孔34cに挿入された状態を示す図である。尚、
図18の断面図においては、ハウジング22におけるコンタクト保持部27cの部分及びコンタクト21の断面を図示している。また、
図18においては、電線10については模式的に示しており、電線10の心線10aの図示を省略し、電線10の絶縁被覆10bの外形に対応した形状部分のみを一様なハッチングの断面で図示している。
【0103】
図17及び
図18に示す変形例では、ハウジング22に保持されたコンタクト21をハウジング22から取り外す際には、コンタクト取り外し用の治具51が用いられる。そして、
図17及び
図18に示す変形例では、ハウジング22の係合アーム32には、コンタクト取り外し用の治具51に対応した構成が設けられている。
【0104】
図18を参照して、治具51は、細長い棒状に形成され、例えば、矩形断面で延びる棒状に形成されている。そして、治具51には、その先端側の端部において、ハウジング22の係合アーム32に設けられた治具用孔34cに挿入されて治具用孔34cと係合可能な係合突起51aが設けられている。係合突起51aは、棒状に延びる治具51の本体部分の断面積よりも小さい断面積で治具51の本体部分の先端側の端部から突起状に突出して延びる部分として設けられている。
【0105】
図17及び
図18を参照して、ハウジング22の係合アーム32には、延長アーム部34において、治具51の先端側の端部の係合突起51aが挿入される治具用孔34cが設けられている。治具用孔34cは、延長アーム部34において、コンタクト保持部27の接続端部30側に向かって開口するように設けられている。更に、治具用孔34cは、延長アーム部34において、コンタクト保持部27の接続端部30側から挿入端部29側に向かって延びる孔として設けられている。
【0106】
図18(A)を参照して、コンタクト21をハウジング22から取り外す際には、治具51が、ハウジング22の係合アーム32の延長アーム部34に設けられた治具用孔34cに対して、コンタクト保持部27の接続端部30側から挿入される。このとき、治具51は、その先端側の係合突起51aが、延長アーム部34において接続端部30側に開口した治具用孔34cに挿入される。治具51の係合突起51aが係合アーム32の治具用孔34cに挿入されると、治具51の係合突起51aは、係合アーム32の治具用孔34cの奥側に嵌り込むように移動し、治具用孔34cと係合可能な状態となる。
【0107】
図18(B)を参照して、治具51の係合突起51aが係合アーム32の治具用孔34cに嵌り込むように挿入されると、次いで、治具51は、ハウジング22に対して接続方向X1に垂直な方向に沿って相対的に変位するように操作される。より具体的には、治具51は、係合突起51aが治具用孔34cに係合した状態で、ハウジング22に対して、接続方向X1に垂直な方向であって延長アーム部34が対向するコンタクト保持部27の内壁37に向かう方向に沿って相対的に変位するように、操作される。係合突起51aが治具用孔34cに係合した状態の治具51がハウジング22に対してコンタクト保持部27の内壁37側に相対変位するように操作されると、係合アーム32の延長アーム部34がコンタクト保持部27の内壁37側に向かって付勢される。そして、延長アーム部34が内壁37側に向かって付勢されることで、係合アーム32が内壁37側に撓むことになる。係合アーム32が内壁37側に向かって撓むことで、係合アーム32の被係合部33が、コンタクト21の係合部26に対して、接続方向X1に垂直な方向においてずれて離間する方向に変位する。これにより、被係合部33と係合部26との係合が解除される。尚、治具51を用いてコンタクト21をハウジング22から取り外す際には、コンタクト21を挿入端部29側へ付勢する力は作用していない。このため、被係合部33と係合部26との間において、コンタクト21が挿入端部29側へ付勢されることで作用する摩擦力は生じず、被係合部33が係合部26に対して接続方向X1に垂直な方向においてずれるように変位することで、被係合部33と係合部26との係合を解除することができる。
【0108】
係合アーム32の被係合部33とコンタクト21の係合部26との係合が解除されることで、コンタクト21は、ハウジング22から取り外し可能な状態となる。この状態で、コンタクト21が接続された電線10がハウジング22から引き抜かれることで、即ち、接続端部30側から挿入端部29側へ向かう方向に沿って電線10が引っ張られることで、電線10とともにコンタクト21が挿入端部29側へ移動する。これにより、コンタクト21がコンタクト挿入孔31から引き抜かれ、ハウジング22から取り外される。
【0109】
図17及び
図18に示す変形例のように、ハウジング22に保持されたコンタクト21をハウジング22から取り外す際に、専用のコンタクト取り外し用の治具51が用いられ、ハウジング22の係合アーム32に、専用のコンタクト取り外し用の治具51に対応した治具用孔34cが設けられた形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0111】
1 コネクタ
10 電線
11 端子台(相手側の接続対象)
21 コンタクト
22 ハウジング
26 係合部
29、29a、29b、29c 挿入端部
30、30a、30b、30c 接続端部
31 コンタクト挿入孔
32 係合アーム
33 被係合部
34 延長アーム部
37 内壁