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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008282
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】冷却装置および照射方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/12 20060101AFI20230112BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20230112BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20230112BHJP
【FI】
F28F3/12 Z
B23K26/34
B23K26/21 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111714
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】岸 正幸
(72)【発明者】
【氏名】金井 俊典
(72)【発明者】
【氏名】平野 智哉
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA87
4E168CB03
(57)【要約】
【課題】冷却媒体の流路となる複数の貫通孔を備える冷却装置において、貫通孔における冷却媒体の流通抵抗を調整可能にする。
【解決手段】冷却装置は、内部に冷却媒体の流路となる複数の貫通孔が形成された本体部と、本体部に対し外側からレーザを照射することで形成された溶融部からなり、少なくとも一つの貫通孔に突出する突出部とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷却媒体の流路となる複数の貫通孔が形成された本体部と、
前記本体部に対し外側からレーザを照射することで形成された溶融部からなり、少なくとも一つの前記貫通孔に突出する突出部と
を備える冷却装置。
【請求項2】
前記本体部には、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、
前記突出部は、複数の前記貫通孔のうち、前記第2方向の端部側に位置する一部の貫通孔、または、当該第2方向の中央側に位置する一部の貫通孔にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第2方向の一方の端部に設けられ、前記本体部の前記貫通孔に冷却媒体を流入させる流入孔と、
前記第2方向の他方の端部に設けられ、前記本体部の前記貫通孔から冷却媒体を流出させる流出孔とをさらに備え、
前記突出部は、複数の前記貫通孔のうち、前記第2方向の一方および/または他方の端部側に位置する貫通孔にのみ形成されていることを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記本体部は、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、
前記突出部は、前記貫通孔に沿って前記第1方向に延びる前記溶融部により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記第2方向の端部側または中央部側に位置する前記貫通孔ほど、前記第1方向の長さが長いことを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記本体部は、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、
前記突出部は、前記第2方向に沿って延びる前記溶融部により、複数の前記貫通孔に跨って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記本体部には、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、
前記突出部は、少なくとも一部の前記貫通孔において、当該貫通孔を挟んで対向するように、前記第1方向と前記第2方向とに交差する第3方向の両側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記本体部の外側に積層される積層部材をさらに備え、
前記突出部の少なくとも一部は、前記本体部と前記積層部材とが積層される部位に当該積層部材側からレーザを照射することで形成された前記溶融部からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記突出部は、前記本体部に前記積層部材が積層されている部位と、当該本体部に当該積層部材が積層されていない部位との双方に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の冷却装置。
【請求項10】
内部に冷却媒体の流路となる複数の貫通孔が形成された冷却装置本体にレーザを照射する照射方法であって、
溶融部が少なくとも一つの前記貫通孔に突出するように、前記冷却装置本体の外側からレーザを照射する照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置および照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1には、冷却液が流通する貫通孔が複数形成された装置本体を備える液冷式冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-82100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却液等の冷却媒体の流路となる貫通孔を複数備える冷却装置では、冷却効率の向上のために、それぞれの貫通孔を流通する冷却媒体の流通抵抗を調整することが好ましい。
本発明は、冷却媒体の流路となる複数の貫通孔を備える冷却装置において、貫通孔における冷却媒体の流通抵抗を調整可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される冷却装置は、内部に冷却媒体の流路となる複数の貫通孔が形成された本体部と、前記本体部に対し外側からレーザを照射することで形成された溶融部からなり、少なくとも一つの前記貫通孔に突出する突出部とを備える冷却装置である。
ここで、前記本体部には、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、前記突出部は、複数の前記貫通孔のうち、前記第2方向の端部側に位置する一部の貫通孔、または、当該第2方向の中央側に位置する一部の貫通孔にのみ形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記第2方向の一方の端部に設けられ、前記本体部の前記貫通孔に冷却媒体を流入させる流入孔と、前記第2方向の他方の端部に設けられ、前記本体部の前記貫通孔から冷却媒体を流出させる流出孔とをさらに備え、前記突出部は、複数の前記貫通孔のうち、前記第2方向の一方および/または他方の端部側に位置する貫通孔にのみ形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記本体部は、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、前記突出部は、前記貫通孔に沿って前記第1方向に延びる前記溶融部により形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記突出部は、前記第2方向の端部側または中央部側に位置する前記貫通孔ほど、前記第1方向の長さが長いことを特徴とすることができる。
また、前記本体部は、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、前記突出部は、前記第2方向に沿って延びる前記溶融部により、複数の前記貫通孔に跨って形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記本体部には、それぞれが第1方向に延びる複数の前記貫通孔が当該第1方向に交差する第2方向に並んで形成されており、前記突出部は、少なくとも一部の前記貫通孔において、当該貫通孔を挟んで対向するように、前記第1方向と前記第2方向とに交差する第3方向の両側に形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記本体部の外側に積層される積層部材をさらに備え、前記突出部の少なくとも一部は、前記本体部と前記積層部材とが積層される部位に当該積層部材側からレーザを照射することで形成された前記溶融部からなることを特徴とすることができる。
また、前記突出部は、前記本体部に前記積層部材が積層されている部位と、当該本体部に当該積層部材が積層されていない部位との双方に形成されていることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される照射方法は、内部に冷却媒体の流路となる複数の貫通孔が形成された冷却装置本体にレーザを照射する照射方法であって、溶融部が少なくとも一つの前記貫通孔に突出するように、前記冷却装置本体の外側からレーザを照射する照射方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、冷却媒体の流路となる複数の貫通孔を備える冷却装置において、貫通孔における冷却媒体の流通抵抗が調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される液冷式冷却装置の斜視図である。
図2】液冷式冷却装置を構成する部品を分解した図である。
図3】液冷式冷却装置を図1における上方向から見た図である。
図4】液冷式冷却装置の装置本体を図1におけるIV-IV部で切断した断面図である。
図5】液冷式冷却装置を上方向から見た図である。
図6】液冷式冷却装置の装置本体を図5におけるVI-VI部で切断した断面図である。
図7】液冷式冷却装置を上方向から見た図である。
図8】液冷式冷却装置の装置本体を図7におけるVIII-VIII部で切断した断面図である。
図9】液冷式冷却装置の装置本体を長手方向に垂直な面で切断した断面図である。
図10】液冷式冷却装置を上方向から見た図である。
図11】(a)は、液冷式冷却装置を図10におけるXIA-XIA部で切断した断面図であり、(b)は、液冷式冷却装置を図10におけるXIB-XIB部で切断した断面図である。
図12】液冷式冷却装置を図10におけるXII-XII部で切断した断面図である。
図13】液冷式冷却装置の斜視図である。
図14図13に示す液冷式冷却装置を構成する部品を分解した図である。
図15】(a)は、液冷式冷却装置を図13におけるXVA-XVA部で切断した断面図であり、(b)は、液冷式冷却装置を図13におけるXVB-XVB部で切断した断面図である。
図16】液冷式冷却装置の斜視図である
図17】(a)は、図16に示す液冷式冷却装置を上方向から見た図であり、(b)は、液冷式冷却装置1を図17(a)におけるXVIIB-XVIIB部で切断した断面図である。
図18】(a)は、液冷式冷却装置を上方向から見た図であり、(b)は、液冷式冷却装置1を図18(a)におけるXVIIIB-XVIIIB部で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される液冷式冷却装置1の斜視図である。図2は、液冷式冷却装置1を構成する部品を分解した図である。図3は、液冷式冷却装置1を上方向から見た図である。図4は、液冷式冷却装置1の装置本体10を図1におけるIV-IV部で切断した断面図である。
【0009】
本実施の形態の液冷式冷却装置1は、冷却装置の一例であって、内部に冷却媒体の一例である冷却液が流通する装置本体10を備えている。また、液冷式冷却装置1は、装置本体10を流通する冷却液の流通方向を変更する変更部材20を備えている。さらに、液冷式冷却装置1は、装置本体10の外部から内部に冷却液を流入させるとともに、装置本体10の内部から外部に冷却液を流出させる流入出部材30を備えている。
【0010】
(装置本体10)
装置本体10は、本体部または冷却装置本体の一例であって、概形が直方体の部材であり、長手方向に延びる上壁13、下壁14および側壁15、16を備えている。装置本体10は、押出加工にて成形された、A6000系合金の押出材を用いて成形されており、押出方向が長手方向となるように成形されている。また、図1に示すように、装置本体10の長手方向および短手方向の長さは、上下方向の長さよりも大きい。なお、A6000系合金の質別は、T5又はT6であることを例示することができる。また、装置本体10の材質は、A6000系合金には限定されず、質別も任意である。
なお、以下の説明では、装置本体10の長手方向、装置本体10の短手方向、および装置本体10の上下方向を、それぞれ、単に長手方向、短手方向および上下方向と表記する場合がある。また、この例では、長手方向が第1方向の一例であり、短手方向が第2方向の一例であり、上下方向が第3方向の一例である。
【0011】
装置本体10の外部には、長手方向の一方の端部に、上壁13、下壁14および側壁15、16が外側から厚さ方向に一部除去されることで形成された薄肉部10aが形成されている。本実施の形態の液冷式冷却装置1では、この薄肉部10aに、変更部材20が嵌め合わされて取り付けられている。
同様に、装置本体10の外部には、長手方向の他方の端部に、上壁13、下壁14および側壁15、16が外側から厚さ方向に一部除去されることで形成された薄肉部10bが形成されている。本実施の形態の液冷式冷却装置1では、この薄肉部10bに、流入出部材30が嵌め合わされて取り付けられている。
薄肉部10a、10bは、例えば、押出加工にて成形された装置本体10に切削加工を施すことで形成することができる。
【0012】
装置本体10の内部には、長手方向の一方の端部から他方の端部まで貫通した貫通孔11が複数形成されている。本実施の形態の液冷式冷却装置1においては、図4に示すように、貫通孔11は、短手方向の中央部よりも手前側と、中央部よりも奥側とに、それぞれ6つ形成されている。
【0013】
手前側の6つの貫通孔11は、流入出部材30を介して流入し変更部材20に至る前の冷却液が流通する流入側流路111として機能する。隣接する流入側流路111は、流入側壁111aにより仕切られている。付言すると、それぞれの流入側流路111は、上壁13と下壁14と流入側壁111aとに囲まれている。
他方、奥側の6つの貫通孔11は、変更部材20を通過し流入出部材30から流出される前の冷却液が流通する流出側流路112として機能する。隣接する流出側流路112は、流出側壁112aにより仕切られている。付言すると、それぞれの流出側流路112は、上壁13と下壁14と流出側壁112aとに囲まれている。
【0014】
また、本実施の形態の装置本体10には、図3に示すように、上壁13に、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って長手方向に延びる複数の溶融部51が形成されている。詳細については後述するが、溶融部51は、装置本体10の上壁13に対し外側(上側)からレーザを照射することで、装置本体10を構成する材料が溶融することにより形成されたものである。そして、図4に示すように、装置本体10の内部には、溶融部51の先端からなり、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52が形成されている。
【0015】
(変更部材20)
変更部材20は、装置本体10における長手方向の一方の端部に配置されている。
変更部材20は、概形が直方体の部材であるとともに、装置本体10側の端面から凹んだ凹部21が形成されている。そして、凹部21により、流入側流路111の一方の端部と、流出側流路112の一方の端部とが連通させられている。
【0016】
変更部材20は、装置本体10における長手方向の一方の端部に形成された薄肉部10aに嵌め合わされた状態で、変更部材20と装置本体10とが積層される部位に変更部材20側からレーザを照射することで、装置本体10に接合されている。付言すると、変更部材20と装置本体10とが積層される部位には、変更部材20および装置本体10を構成する材料が溶融することにより形成され、短手方向に延びる溶融部(不図示)が形成されている。そして、変更部材20と装置本体10とは、この溶融部によって接合されている。
【0017】
変更部材20は、例えば、質別OのA3000系合金からなる条に深絞り加工が施されることにより成形されたものであることを例示することができる。また、変更部材20は、例えば、質別H14のA3000系合金又は質別H14のA1000系アルミニウムからなる素材に切削加工又は折り曲げ加工が施されることにより成形されたものであっても良い。
なお、変更部材20の材質は例示であって、A3000系合金やA1000系アルミニウムに限定されるものではない。また、変更部材20の成形方法も、任意に選択することができる。
【0018】
(流入出部材30)
流入出部材30は、装置本体10における長手方向の他方の端部に配置されている。
流入出部材30は、概形が直方体の部材であるとともに、装置本体10側の端面から凹んだ凹部31が形成されている。また、流入出部材30の凹部31は、短手方向の中央部に設けられた仕切り壁32によって、流入側凹部311と流出側凹部312とに区切られている。そして、流入出部材30と装置本体10とが接合された状態では、流入側凹部311が流入側流路111における長手方向の他方の端部に連通し、流出側凹部312が流出側流路112における長手方向の他方の端部と連通している。
【0019】
流入出部材30は、装置本体10における長手方向の他方の端部に形成された薄肉部10bに嵌め合わされた状態で、流入出部材30と装置本体10とが積層される部位に流入出部材30側からレーザを照射することで、装置本体10に接合されている。付言すると、流入出部材30と装置本体10とが積層される部位には、流入出部材30および装置本体10を構成する材料が溶融することにより形成され、短手方向に延びる溶融部(不図示)が形成されている。そして、流入出部材30と装置本体10とは、この溶融部によって接合されている。
【0020】
流入出部材30は、変更部材20と同様に、例えば、質別OのA3000系合金からなる条に深絞り加工が施されることにより成形されたものであることを例示することができる。また、流入出部材30は、例えば、質別H1のA3000系合金又は質別H14のA1000系アルミニウムからなる素材に切削加工又は折り曲げ加工が施されることにより成形されたものであっても良い。
なお、流入出部材30の材質は例示であって、A3000系合金やA1000系アルミニウムに限定されるものではない。また、流入出部材30の成形方法も、任意に選択することができる。
【0021】
流入出部材30には、流入側凹部311と外部とを接続し、外部から冷却液を流入させる流入孔の一例としての入口ジョイント33が形成されている。また、流入出部材30には、流出側凹部312と外部とを接続し、冷却液を外部に流出させる流出孔の一例としての出口ジョイント34が形成されている。本実施の形態の流入出部材30では、入口ジョイント33が短手方向の一方の端部側(手前側)に設けられ、出口ジョイント34が短手方向の他方の端部側(奥側)に設けられている。
【0022】
入口ジョイント33は、円筒状であり中心線方向が上下方向となるように配置される入口パイプ331と、入口パイプ331の下側の端部から径方向の外側に向かって延びる円板状であり入口パイプ331を保持する保持部332とを有している。本実施の形態の入口ジョイント33は、入口パイプ331と保持部332とが一体として形成されている。入口ジョイント33は、A3000系合金の板材を用いて成形されていることを例示することができる。
【0023】
そして、入口ジョイント33は、入口パイプ331の下端部が流入出部材30の流入側凹部311に対向し、保持部332が流入出部材30の上面に載せられた状態で、流入出部材30に接合されている。
【0024】
出口ジョイント34は、入口ジョイント33と同様の部材であり、円筒状であり中心線方向が上下方向となるように配置される出口パイプ341と、出口パイプ341の下側の端部から径方向の外側に向かって延びる円板状であり出口パイプ341を保持する保持部342とを有している。本実施の形態の出口ジョイント34は、出口パイプ341と保持部342とが一体として形成されている。出口ジョイント34は、入口ジョイント33と同様に、例えば、A3000系合金の板材を用いて成形されていることを例示することができる。
【0025】
そして、出口ジョイント34は、出口パイプ341の下端部が流入出部材30の流出側凹部312に対向し、保持部342が流入出部材30の上面に載せられた状態で、流入出部材30に接合されている。
なお、入口ジョイント33および出口ジョイント34の形状は一例であって、特に限定されるものではない。
【0026】
(液冷式冷却装置1の作用)
以上のように構成された液冷式冷却装置1には、装置本体10の上壁13上に、この液冷式冷却装置1により冷却される被冷却物が載せられる。被冷却物は、特に限定されないが、例えば、複数の直方体状の単電池からなる組電池が例示される。
そして、図1に示すように、液冷式冷却装置1では、入口ジョイント33から流入出部材30の流入側凹部311に流入した冷却液が、流入側流路111を通って、変更部材20に至る。変更部材20に至った冷却液は、変更部材20の凹部21内にて進行方向を変更し、その後、流出側流路112を通って、流入出部材30の流出側凹部312へ至る。そして、流出側凹部312に至った冷却液は、出口ジョイント34から外部へ流出する。このようにして、冷却液が、装置本体10の流入側流路111および流出側流路112を流通する間に、装置本体10の上壁13に載せられた被冷却物を冷却する。
【0027】
(溶融部51および突出部52)
続いて、装置本体10に形成された溶融部51および突出部52について、詳細に説明する。
上述したように、装置本体10の上壁13には、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って長手方向に延びる複数の溶融部51が形成されている。図4に示すように、それぞれの溶融部51は、上壁13から下方向に向かって形成されており、下端が貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出している。これにより、本実施の形態の装置本体10には、溶融部51からなり、一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52が形成されている。
【0028】
そして、図4に示すように、突出部52が形成された貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)では、突出部52が形成されていない貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)と比べて、長手方向に垂直な面(短手方向および上下方向に沿った面)での断面積が小さくなっている。
【0029】
ところで、液冷式冷却装置1では、装置本体10に形成された貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)の長手方向に垂直な面での断面積が小さいほど、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)を流通する冷却液の流通抵抗が大きくなる。
本実施の形態の液冷式冷却装置1では、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52を備えることで、突出部52が形成された貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗が、局所的に大きくなる。
【0030】
そして、突出部52が形成された貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗が局所的に大きくなることで、例えば、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)間を流通する冷却液の流通量を均一化したり、特定の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)を流通する冷却液の流通量を増加させたりすることが可能となる。
【0031】
また、本実施の形態では、溶融部51は、図3に示すように、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って形成されている。より具体的には、溶融部51は、6つの流入側流路111のうち短手方向の手前側に位置する3つの流入側流路111と、6つの流出側流路112のうち短手方向の奥側に位置する3つの流出側流路112とに沿って形成されている。
【0032】
これにより、本実施の形態では、突出部52は、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に形成されている。より具体的には、突出部52は、6つの流入側流路111のうち短手方向の手前側に位置する3つの流入側流路111と、6つの流出側流路112のうち短手方向の奥側に位置する3つの流出側流路112とにのみ形成されている。付言すると、突出部52は、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の中央側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)には形成されていない。
【0033】
このような構成を有することで、本実施の形態の液冷式冷却装置1では、突出部52が形成された短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗が、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)と比べて大きくなっている。
この結果、いずれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)にも突出部52が形成されていない場合と比べて、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通量を増加させることができる。
【0034】
これにより、例えば、本実施の形態の液冷式冷却装置1のように入口ジョイント33および出口ジョイント34が短手方向の端部側に配置され、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に冷却液が流通しにくい場合であっても、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)間を流通する冷却液の流通量を均一化することができる。この結果、液冷式冷却装置1による被冷却物の冷却効率を向上させることができる。
【0035】
また、例えば、装置本体10の上壁13において、被冷却物が短手方向の中央部に載せられる場合、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通量を増加させることで、被冷却物の冷却効率を向上させることができる。
【0036】
また、本実施の形態では、図3に示すように、それぞれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に形成される溶融部51は、長手方向に沿った長さが互いに異なっている。これにより、それぞれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に形成される突出部52は、長手方向に沿った長さが互いに異なっている。
本実施の形態の液冷式冷却装置1では、突出部52の長手方向に沿った長さに応じて、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗を調整することができる。すなわち、突出部52の長手方向に沿った長さが長いほど、その貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗を大きくすることができる。
【0037】
この例では、溶融部51は、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど、長手方向に沿った長さが長く形成されている。より具体的には、図3に示すように、短手方向の手前側に位置する3つの流入側流路111に形成される3つの溶融部51は、短手方向の端部側(手前側)に位置する流入側流路111ほど、長手方向の長さが長くなっている。同様に、短手方向の奥側に位置する3つの流出側流路112に形成される3つの溶融部51は、短手方向の端部側(奥側)に位置する流出側流路112ほど、長手方向の長さが長くなっている。
【0038】
これにより、本実施の形態では、突出部52は、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど、長手方向に沿った長さが長くなっている。より具体的には、短手方向の手前側に位置する3つの流入側流路111に形成される3つの突出部52は、短手方向の端部側(手前側)に位置する流入側流路111ほど、長手方向の長さが長くなっている。同様に、短手方向の奥側に位置する3つの流出側流路112に形成される3つの突出部52は、短手方向の端部側(奥側)に位置する流出側流路112ほど、長手方向の長さが長くなっている。
【0039】
このような構成を採用することで、本実施の形態の液冷式冷却装置1では、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど、冷却液の流通抵抗を大きくすることができる。
なお、本実施の形態の液冷式冷却装置1では、それぞれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における突出部52の突出量が互いに等しいが、これらを互いに異ならせてもよい。言い換えると、それぞれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における突出部52の長手方向に垂直な面での断面積を、互いに異ならせてもよい。例えば、液冷式冷却装置1では、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど突出部52の突出量を大きくすることで、冷却液の流通抵抗を大きくしてもよい。
【0040】
(液冷式冷却装置1の製造方法)
続いて、液冷式冷却装置1の製造方法について説明する。
まず、複数の貫通孔11が形成された装置本体10の上壁13に対し、装置本体10の外側(上側)からレーザを照射する。この例では、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って長手方向に連続的にレーザを照射する。より具体的には、溶融部51および突出部52を形成する一部の貫通孔11に沿って長手方向にレーザヘッドを移動させながらレーザを照射する。
これにより、レーザが照射された部位において、装置本体10を構成する材料が溶融し、長手方向に沿って、上壁13から下方向に延びるように溶融部51が形成される。
【0041】
ここで、装置本体10にレーザを照射することで形成される溶融部51の大きさ(上壁13から下方向へ延びる長さ)は、照射するレーザの出力およびレーザヘッドの移動速度によって異なる。すなわち、レーザの出力が大きいほど、またはレーザヘッドの移動速度が小さいほど、溶融部51の大きさが大きくなる。
本実施の形態では、装置本体10にレーザを照射する際に、溶融部51の下端が貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出するように、レーザの出力およびレーザヘッドの移動速度を調整する。
このように、本実施の形態では、複数の貫通孔11が形成された装置本体10に対し外側からレーザを照射することで、装置本体10を構成する材料が溶融した溶融部51からなり、貫通孔11に突出する突出部52が形成される。
【0042】
続いて、装置本体10の薄肉部10aに変更部材20を嵌め合わせる。これにより、装置本体10の薄肉部10aの壁面と変更部材20の壁面とが積層された状態となる。そして、薄肉部10aと変更部材20とが積層された部位に、変更部材20側から連続的にレーザを照射する。
これにより、レーザが照射された部位において、変更部材20を構成する材料と装置本体10を構成する材料とが溶融し、変更部材20と装置本体10の一方の端部とが接合される。
【0043】
続いて、装置本体10の薄肉部10bに流入出部材30を嵌め合わせる。これにより、装置本体10の薄肉部10bの壁面と流入出部材30の壁面とが積層された状態となる。そして、薄肉部10bと流入出部材30とが積層された部位に、流入出部材30側から連続的にレーザを照射する。
これにより、レーザが照射された部位において、流入出部材30を構成する材料と装置本体10を構成する材料とが溶融し、流入出部材30と装置本体10の他方の端部とが接合され、図1に示した液冷式冷却装置1が得られる。
【0044】
なお、上記の製造方法においては、装置本体10に対してレーザを照射して溶融部51および突出部52を形成した後に、装置本体10に変更部材20および流入出部材30を接合したが、これに限られない。例えば、装置本体10に変更部材20および流入出部材30を接合した後、装置本体10に対してレーザを照射して溶融部51および突出部52を形成してもよい。
【0045】
ここで、上述したように、装置本体10に対し外側から照射するレーザの出力およびレーザヘッドの移動速度によって、溶融部51の大きさが変化し、これに伴って溶融部51からなる突出部52の大きさが変化する。本実施の形態では、それぞれの貫通孔11に所望する冷却液の流通抵抗等に応じて、レーザの出力およびレーザヘッドの移動速度を調整し、突出部52の大きさを制御することが好ましい。
【0046】
(他の例1)
続いて、装置本体10に形成される溶融部51および突出部52の他の形態について説明する。
図5および図6は、液冷式冷却装置1の他の例を説明するための図である。図5は、液冷式冷却装置1を上方向から見た図であり、図6は、液冷式冷却装置1の装置本体10を図5におけるVI-VI部で切断した断面図である。なお、図1図4に示した例と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
【0047】
図5および図6に示す装置本体10では、溶融部51および突出部52は、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の中央部側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って形成されている。より具体的には、溶融部51および突出部52は、6つの流入側流路111のうち短手方向の奥側に位置する3つの流入側流路111と、6つの流出側流路112のうち短手方向の手前側に位置する3つの流出側流路112とに沿って形成されている。付言すると、溶融部51および突出部52は、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)には形成されていない。
【0048】
このような構成を有することで、図5および図6に示す液冷式冷却装置1では、突出部52が形成された短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗が、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)と比べて大きくなっている。
この結果、いずれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)にも突出部52が形成されていない場合と比べて、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通量を増加させることができる。
【0049】
これにより、装置本体10の上壁13において、被冷却物が短手方向の端部に載せられる場合、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通量を増加させることで、被冷却物の冷却効率を向上させることができる。
【0050】
(他の例2)
図7および図8は、液冷式冷却装置1の他の例を説明するための図である。図7は、液冷式冷却装置1を上方向から見た図であり、図8は、液冷式冷却装置1の装置本体10を図7におけるVIII-VIII部で切断した断面図である。なお、図1図4に示した例と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
図7および図8に示す例では、装置本体10の上壁13に、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に跨って短手方向に延びる2つの溶融部51が形成されている。より具体的には、それぞれの溶融部51は、6つの流入側流路111のうち短手方向の手前側に位置する3つの流入側流路111と、6つの流出側流路112のうち短手方向の奥側に位置する3つの流出側流路112とに跨って形成されている。
【0051】
また、図8に示すように、それぞれの溶融部51は、上壁13から下方向に向かって形成されており、下端の一部が、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出している。これにより、装置本体10には、溶融部51からなり、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52が形成されている。付言すると、図7および図8に示す例では、一つの溶融部51により、短手方向に並ぶ3つの貫通孔(流入側流路111、流出側流路112)に突出部52が形成されている。
【0052】
図7および図8に示す液冷式冷却装置1では、図1図4に示した液冷式冷却装置1と同様に、突出部52が形成された短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通抵抗が、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)と比べて大きくなっている。
この結果、いずれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)にも突出部52が形成されていない場合と比べて、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における冷却液の流通量を増加させることができる。
【0053】
ここで、図7および図8に示す液冷式冷却装置1を製造する場合、短手方向に連続してレーザを照射することで、一度のレーザ照射により、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に跨る溶融部51を形成することができる。この結果、レーザの出力およびレーザヘッドの移動速度を制御することで、一度のレーザ照射により、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のそれぞれに突出部52を形成することができる。これにより、液冷式冷却装置1の製造における工数を低減させることができる。
【0054】
(他の例3)
図9は、液冷式冷却装置1の他の例を説明するための図であって、液冷式冷却装置1の装置本体10を長手方向に垂直な面で切断した断面図である。図9は、装置本体10を図1におけるIV-IV部で切断した断面図に対応する。なお、図1図4に示した例と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
図9に示す例では、装置本体10の上壁13だけでなく、装置本体10の下壁14にも、溶融部51および突出部52が形成されている。言い換えると、図9に示す例では、溶融部51および突出部52が、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)を挟んで対向するように、上下方向の両側に形成されている。
【0055】
これにより、例えば、装置本体10の上壁13側にのみ突出部52が形成される場合と比べて、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)の断面積をより小さくすることができ、冷却液の流通抵抗をより大きくすることができる。付言すると、溶融部51および突出部52が上下方向の両側に形成されている貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)では、突出部52が形成されていない貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)との流通抵抗の差をより大きくすることができる。
【0056】
(他の例4)
上述した例では、装置本体10のうち変更部材20および流入出部材30が嵌め合わされていない長手方向の中央部にのみ溶融部51および突出部52を形成したが、これに限られるものではない。
図10図12は、液冷式冷却装置1の他の例を説明するための図である。図10は、液冷式冷却装置1を上方向から見た図である。また、図11(a)は、液冷式冷却装置を図10におけるXIA-XIA部で切断した断面図であり、(b)は、液冷式冷却装置を図10におけるXIB-XIB部で切断した断面図である。さらに、図12は、液冷式冷却装置1を図10におけるXII-XII部で切断した断面図である。なお、図1図4に示した例と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
【0057】
図10図12に示す液冷式冷却装置1では、図3等に示した例と同様に、装置本体10の上壁13に、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って長手方向に延びる複数の溶融部51が形成されている。付言すると、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔(流入側流路111、流出側流路112)に、溶融部51が形成されている。それぞれの溶融部51は、装置本体10の上壁13に対し外側(上側)からレーザを照射することにより形成されたものである。
そして、図11(b)に示すように、装置本体10の内部には、溶融部51の先端からなり、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52が形成されている。
【0058】
また、図10図12に示す液冷式冷却装置1では、装置本体10(薄肉部10a、図2参照)と変更部材20とが積層される部位に、装置本体10と変更部材20とを接合するために形成され、変更部材20の外周に沿って延びる溶融部61が形成されている。また、図10図12に示す例では、装置本体10(薄肉部10b、図2参照)と流入出部材30とが積層される部位に、装置本体10と流入出部材30とを接合するために形成され、流入出部材30の外周に沿って延びる溶融部61が形成されている。
そして、この液冷式冷却装置1では、図10図12に示すように、変更部材20の上側の面に沿って形成される溶融部61の下端が、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出している。同様に、この液冷式冷却装置1では、流入出部材30の上側の面に沿って形成される溶融部61の下端が一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出している。これにより、図10図12に示す例では、溶融部61からなり、一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部62が形成されている。
【0059】
この例では、図11(a)に示すように、突出部62は、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど、突出量が大きくなっている。言い換えると、突出部62は、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど、長手方向に垂直な面での断面積が大きくなっている。
これにより、この例では、短手方向の端部側に位置する貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)ほど、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)を流通する冷却液の流通抵抗が大きくなっている。
【0060】
ここで、突出部62は、液冷式冷却装置1の製造において、装置本体10と変更部材20とを接合する工程、または装置本体10と流入出部材30とを接合する工程において、照射するレーザの出力およびレーザヘッドの移動速度を調整することにより形成される。
例えば、装置本体10と変更部材20とを接合する工程において短手方向に連続してレーザを照射する際に、途中でレーザの出力やレーザの移動速度を変更することで、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)にのみ突出部62を形成することができる。
また、それぞれの貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)における突出部62の大きさについても、レーザの出力およびレーザヘッドの移動速度を調整することで変えることができる。例えば、レーザの出力を大きくするほど、またはレーザヘッドの移動速度を小さくするほど、突出部62の大きさを大きくすることができる。
【0061】
このように、装置本体10と変更部材20または流入出部材30とを接合する溶融部61により突出部62を形成することで、装置本体10に対し新たにレーザを照射しない場合であっても、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)間を流通する冷却液の流通量を均一化したり、特定の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)を流通する冷却液の流通量を増加させたりすることが可能となる。
また、装置本体10に対して変更部材20または流入出部材30が積層されている部位に突出部62を形成するとともに、装置本体10に変更部材20および流入出部材30が積層されていない部位に突出部52を形成することで、突出部62または突出部52のいずれか一方のみを形成する場合と比べて、突出部52、62が形成されている貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)と突出部52、62が形成されていない貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)との流通抵抗の差をより大きくすることができる。
【0062】
(他の例5)
図13図15(a)、(b)は、液冷式冷却装置1の他の例を説明するための図である。図13は、液冷式冷却装置1の斜視図であり、図14は、図13に示す液冷式冷却装置1を構成する部品を分解した図であり、図15(a)は、液冷式冷却装置1を図13におけるXVA-XVA部で切断した断面図であり、(b)は、液冷式冷却装置1を図13におけるXVB-XVB部で切断した断面図である。なお、図1図4および図10図12に示した例と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
【0063】
図13図15(a)、(b)に示す液冷式冷却装置1は、装置本体10と、装置本体10の端部を被覆するカバー部材25と、装置本体10の外部から内部に冷却液を流入させるとともに、装置本体10の内部から外部に冷却液を流出させる流入出部材30とを備えている。また、図13図15に示す液冷式冷却装置1は、装置本体10および流入出部材30の形状が、図1図4および図10図12に示した例とは異なっている。
まず、装置本体10には、図14に示すように、長手方向における一方の端部に、上面から凹み、流入側流路111および流出側流路112の一方の端部と連通する空間17が形成されている。空間17は、上壁13、流入側壁111aおよび流出側壁112aが切削加工等により除去されることで形成されたものである。
【0064】
また、装置本体10には、長手方向における他方の端部に、上面から凹んだ空間18が2つ形成されている。2つの空間18の内の一方は、流入側流路111の他方の端部と連通するように形成された流入側空間181であり、他方は、流出側流路112の他方の端部と連通するように形成された流出側空間182である。流入側空間181は、上壁13および流入側壁111aが切削加工等により除去されることで形成されたものである。また、流出側空間182は、上壁13および流出側壁112aが切削加工等により除去されることで形成されたものである。
なお、図14に示す例では、空間17および空間18において、流入側壁111aおよび流出側壁112aが上側から下側にかけて全て除去されているが、上側の一部が除去され、下側の部分が残っていてもよい。
【0065】
カバー部材25は、板状の部材を直角に折り曲げた概形を有しており、装置本体10の一方の端部に配置されている。カバー部材25は、装置本体10の一方の端部に重ね合わせられた状態で、レーザ溶接が施されることで装置本体10に接合されている。付言すると、液冷式冷却装置1では、装置本体10とカバー部材25とが積層される部位に、装置本体10とカバー部材25とを接合するために形成され、カバー部材25の周囲に沿って延びる溶融部61が形成されている。
また、液冷式冷却装置1では、カバー部材25が装置本体10の一方の端部に重ね合わせられることで、空間17の上側が塞がれるとともに、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)の一方の端部が塞がれている。
【0066】
流入出部材30は、板状の部材を直角に折り曲げた概形を有する本体部35と、本体部35に設けられた貫通孔351に接続される入口ジョイント33と、本体部35に設けられた貫通孔352に接続される出口ジョイント34とを備えている。入口ジョイント33および出口ジョイント34は、それぞれ、本体部35の貫通孔351および貫通孔352に重ね合わせられた状態で、本体部35側からレーザ溶接が施されることで本体部35に接合されている。
流入出部材30は、本体部35が装置本体10の他方の端部に重ね合わせられた状態で、レーザ溶接が施されることで装置本体10に接合されている。付言すると、液冷式冷却装置1では、装置本体10と流入出部材30の本体部35とが積層される部位に、装置本体10と流入出部材30とを接合するために形成され、流入出部材30における本体部35の周囲に沿って延びる溶融部61が形成されている。
また、液冷式冷却装置1では、流入出部材30が装置本体10の他方の端部に重ね合わせられることで、流入側空間181および流出側空間182の上側が塞がれるとともに、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)の他方の端部が塞がれている。
【0067】
また、この液冷式冷却装置1では、図3等に示した例と同様に、装置本体10の上壁13に、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に沿って長手方向に延びる複数の溶融部51が形成されている。付言すると、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)のうち、短手方向の端部側に位置する一部の貫通孔(流入側流路111、流出側流路112)に、溶融部51が形成されている。それぞれの溶融部51は、装置本体10の上壁13に対し外側(上側)からレーザを照射することにより形成されたものである。
そして、図15(b)に示すように、装置本体10の内部には、溶融部51の先端からなり、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52が形成されている。
【0068】
これにより、この液冷式冷却装置1では、図1図4等に示した例と同様に、貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)に突出する突出部52を有することで、複数の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)間を流通する冷却液の流通量を均一化したり、特定の貫通孔11(流入側流路111、流出側流路112)を流通する冷却液の流通量を増加させたりすることが可能となる。
【0069】
(他の例6)
図16および図17(a)、(b)は、液冷式冷却装置1の他の例を説明するための図である。図16は、液冷式冷却装置1の斜視図であり、図17(a)は、図16に示す液冷式冷却装置1を上方向から見た図であり、図17(b)は、液冷式冷却装置1を図17(a)におけるXVIIB-XVIIB部で切断した断面図である。なお、図1図4に示した例と同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明は省略する。
上述した液冷式冷却装置1では、装置本体10に形成される貫通孔11が、流入側流路111(図2等参照)と流出側流路112(図2等参照)とに分かれており、流入側流路111と流出側流路112とで冷却液の進行方向が異なっているが、液冷式冷却装置1の構成はこれに限られない。
【0070】
図16および図17(a)、(b)に示す液冷式冷却装置1は、冷却液が長手方向の一方の端部から他方の端部へ一方向に流れる構成を有している。
具体的に説明すると、図16および図17(a)、(b)の液冷式冷却装置1は、装置本体10と、装置本体10における長手方向の一方の端部に配置され、装置本体10の外部から内部に冷却液を流入させる流入部材41と、装置本体10における長手方向の他方の端部に配置され、装置本体10の内部から外部に冷却液を流出させる流出部材42とを備えている。
【0071】
流入部材41は、装置本体10における長手方向の一方の端部に配置される。また、流入部材41には、外部から冷却液を流入させる流入孔の一例としての入口ジョイント411が形成されている。この例では、入口ジョイント411は、流入部材41における短手方向の中央部に形成されている。
流出部材42は、装置本体10における長手方向の他方の端部に配置される。また、流出部材42には、冷却液を外部に流出させる流出孔の一例としての出口ジョイント421が形成されている。この例では、出口ジョイント421は、流出部材42における短手方向の中央部に形成されている。
【0072】
装置本体10は、概形が直方体の部材であり、装置本体10の内部には、長手方向の一方から他方の端部まで貫通した貫通孔11が複数(この例では、7つ)形成されている。それぞれの貫通孔11は、流入部材41の入口ジョイント411を介して流入した後、流出部材42の出口ジョイント421から流出される前の冷却液が流通する流路として機能する。そして、液冷式冷却装置1では、それぞれの貫通孔11において、冷却液が長手方向の一方の端部側から他方の端部側へ流通する。付言すると、液冷式冷却装置1では、それぞれの貫通孔11を流通する冷却液の進行方向が互いに等しくなっている。
【0073】
装置本体10には、貫通孔11に沿って長手方向に延びる溶融部51および突出部52が形成されている。この例では、溶融部51および突出部52は、流入部材41に近い長手方向の一端側と、流出部材42に近い長手方向の他端側とに分かれて形成されている。また、この例では、溶融部51および突出部52は、複数の貫通孔11のうち、短手方向の中央部側に位置する一部の貫通孔11に沿って形成されている。より具体的には、溶融部51および突出部52は、7つの貫通孔11のうち短手方向の中央部側に位置する5つの貫通孔11に沿って形成されている。
言い換えると、この例では、溶融部51および突出部52は、複数の貫通孔11のうち、流入部材41の入口ジョイント411および流出部材42の出口ジョイント421に近い部分に形成されている。
【0074】
さらに、この例では、溶融部51および突出部52は、短手方向の中央部側に位置する貫通孔11ほど、長手方向に沿った長さが長くなっている。言い換えると、溶融部51および突出部52は、流入部材41の入口ジョイント411および流出部材42の出口ジョイント421に近いほど、長手方向に沿った長さが長くなっている。
【0075】
このような構成を採用することで、液冷式冷却装置1では、突出部52が形成された短手方向の中央部側に位置する貫通孔11における冷却液の流通抵抗が、短手方向の端部側に位置する貫通孔11と比べて大きくなっている。この結果、液冷式冷却装置1では、短手方向の端部側に位置する貫通孔11における冷却液の流通量を増加させることができる。
これにより、例えば、入口ジョイント411および出口ジョイント421が短手方向の中央部に配置され、入口ジョイント411および出口ジョイント421から離れた短手方向の両端部側に位置する貫通孔11に冷却液が流通しにくい場合であっても、複数の貫通孔11間を流通する冷却液の流通量を均一化することができる。そして、液冷式冷却装置1による被冷却物の冷却効率を向上させることができる。
【0076】
なお、液冷式冷却装置1では、流入部材41における入口ジョイント411の位置、流出部材42における出口ジョイント421の位置、装置本体10における溶融部51および突出部52の位置等は、図16および図17(a)、(b)に示した例に限られるものではない。図18(a)、(b)は、入口ジョイント411、出口ジョイント421、溶融部51および突出部52の他の例を示した図であって、図18(a)は、液冷式冷却装置1を上方向から見た図であり、図18(b)は、液冷式冷却装置1を図18(a)におけるXVIIIB-XVIIIB部で切断した断面図である。
【0077】
図18(a)、(b)に示す液冷式冷却装置1では、入口ジョイント411が、流入部材41における短手方向の一端側(奥側)に設けられている。また、図18(a)、(b)に示す液冷式冷却装置1では、出口ジョイント421が、流出部材42における短手方向の他端側(手前側)に形成されている。
そして、この液冷式冷却装置1では、装置本体10の長手方向の一端側において、入口ジョイント411に近い短手方向の一端側(奥側)に位置する貫通孔11に、溶融部51および突出部52が設けられている。さらに、この液冷式冷却装置1では、装置本体10の長手方向の他端側において、出口ジョイント421に近い短手方向の他端側(手前側)に位置する貫通孔11に、溶融部51および突出部52が形成されている。
【0078】
これにより、図18(a)、(b)に示す液冷式冷却装置1においても、入口ジョイント411および出口ジョイント421から離れた短手方向の両端部側に位置する貫通孔11に冷却液が流通しにくい場合であっても、複数の貫通孔11間を流通する冷却液の流通量を均一化することができる。そして、液冷式冷却装置1による被冷却物の冷却効率を向上させることができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限りにおいては様々な変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0080】
1…液冷式冷却装置、10…装置本体、11…貫通孔、13…上壁、14…下壁、20…変更部材、30…流入出部材、33…入口ジョイント、34…出口ジョイント、51、61…溶融部、52、62…突出部、111…流入側流路、112…流出側流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18