(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082824
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】傾斜しながら上昇する椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 3/16 20060101AFI20230608BHJP
A47C 3/20 20060101ALI20230608BHJP
A61G 5/14 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A47C3/16
A47C3/20
A61G5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196783
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】521529961
【氏名又は名称】株式会社畦浦設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】畦浦 博紀
【テーマコード(参考)】
3B091
【Fターム(参考)】
3B091CA09
3B091GA02
(57)【要約】
【課題】着座姿勢から立ち上がる際に、着座体を前方に傾斜させながら上昇させることにより、ひざや腰に負担の掛けずに立ち上がることができる傾斜しながら上昇する椅子を提供すること。
【解決手段】傾斜しながら上昇する椅子1は、着座体11と、椅子基礎体12と、着座体11を前方に傾斜させながら上昇等させる所定の着座体作動機構20と、を少なくとも備える。着座体作動機構20は、第1のリンク機構21と、第2のリンク機構22と、リンク機構作動軸23と、リンクモータ24と、リンク機構作動軸23とリンクモータ24とを接続するフレキシブル伝導体25と、を少なくとも備える。第1のリンク機構21が着座体11の一方側(背もたれ側)端部あるいは第2のリンク機構22が着座体11の他方側端部を上昇させた際に、着座体11が到達する最も高い位置は、着座体11の一方側端部の方である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座体(11)と、
前記着座体よりも下方に配設する椅子基礎体(12)と、
前記椅子基礎体上に配設する所定の着座体作動機構(20)と、
を少なくとも備え、
前記着座体作動機構が、前記着座体を前方に傾けかつ上昇させることを特徴とする傾斜しながら上昇する椅子。
【請求項2】
前記着座体作動機構(20)として、
前記着座体の椅子長方向の一方側端部を昇降させる第1のリンク機構(21)と、
前記着座体の椅子長方向の他方側端部を昇降させる第2のリンク機構(22)と、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構を拡開及び縮閉作動させるリンク機構作動軸(23)と、
前記リンク機構作動軸を回動させるリンクモータ(24)と、からなり、
前記第1のリンク機構が前記着座体の一方側端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体一方側端部最高到達高さ(L1)と、前記第2のリンク機構が前記着座体の他方側端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体他方側端部最高到達高さ(L2)と、を比較した場合に、前記着座体一方側端部最高到達高さの方が高い請求項1の傾斜しながら上昇する椅子。
【請求項3】
前記第1のリンク機構(21)が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部に設ける1対の第1リンク部(211)と、前記各々の第1リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト(212)及び下段第1連結シャフト(213)と、前記下段第1連結シャフトの端部に設ける第1駆動歯車(214)と、前記上段第1連結シャフトの端部に設ける第1従動歯車(215)と、前記第1連結シャフトに設ける第1ナット(216)とで構成及び前記第2のリンク機構(22)が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部に設ける1対の第2リンク部(221)と、前記各々の第2リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト(222)及び下段第2連結シャフト(223)と、前記下段第2連結シャフトの端部に設ける第2駆動歯車(224)と、前記上段第2連結シャフトの端部に設ける第2従動歯車(225)と、前記第2連結シャフトに設ける第2ナット(226)とで構成した請求項2の傾斜しながら上昇する椅子。
【請求項4】
前記第1のリンク機構(21´)が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方中央近傍部及び他方側の側方中央近傍部に設ける1対の第1リンク部(211´)と、前記各々の第1リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト(212)及び下段第1連結シャフト(213)と、前記下段第1連結シャフトの端部に設ける第1駆動歯車(214)と、前記上段第1連結シャフトの端部に設ける第1従動歯車(215)と、前記第1連結シャフトに設ける第1ナット(216)とで構成する又は前記第2のリンク機構(22´)が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方中央近傍部及び他方側の側方中央近傍部に設ける1対の第2リンク部(221´)と、前記各々の第2リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト(222)及び下段第2連結シャフト(223)と、前記下段第2連結シャフトの端部に設ける第2駆動歯車(224)と、前記上段第2連結シャフトの端部に設ける第2従動歯車(225)と、前記第2連結シャフトに設ける第2ナット(226)とで構成した請求項2の傾斜しながら上昇する椅子。
【請求項5】
前記リンク機構作動軸と前記リンクモータとの間を、フレキシブル伝導体(25)で接続した請求項1から請求項4いずれかに記載の傾斜しながら上昇する椅子。
【請求項6】
さらに、所定の自在キャスター、所定の圧縮バネ及び所定の下段ストッパーを付加した請求項1から請求項5いずれかに記載の傾斜しながら上昇する椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、着座体の高さ(高低)だけではなく傾きも変位可能な傾斜しながら上昇する椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子に着座している状態である着座姿勢から立ち上がる際にはひざや腰にかかる負担が大きかった。
【0003】
特に、和室などで利用されている座椅子は、着座位置が床面により近いため、立ち上がる際にひざや腰にかかる負担がより大きかった。
【0004】
ところで、座椅子の座部を昇降する昇降装置は存在する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の昇降装置は、設置面上に載置されてベースとなる下フレームと、座椅子の座部を支持する上フレームと、操作ペダルを踏込み毎に圧油を供給するポンプ等とを備え、操作ペダルを踏込むだけで上フレームが昇降する昇降装置であり、座椅子あるいは座部が平行に昇降するだけで、傾斜しながら昇降するものではないものと考える。
【0007】
着座姿勢から立ち上がる際には、体を前傾させた方がスムーズであり、また、ひざや腰にかかる負担も軽減されるものと考える。
【0008】
そこで、着座部を前方に傾斜させながら上昇させることが可能で、着座姿勢から立ち上がる際に、ひざや腰にかかる負担を軽減させ得る傾斜しながら上昇する椅子(座椅子を含む。)を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上述の課題を解決するために、着座体と、前記着座体よりも下方に配設する椅子基礎体と、前記椅子基礎体上に配設する所定の着座体作動機構と、を少なくとも備え、前記着座体作動機構が、前記着座体を前方に傾けかつ上昇させることを特徴とする傾斜しながら上昇する椅子を提供する。
【0010】
本願発明は、上述の課題を解決するために、前記着座体作動機構として、前記着座体の椅子長方向の一方側端部を昇降させる第1のリンク機構と、前記着座体の椅子長方向の他方側端部を昇降させる第2のリンク機構と、前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構を拡開及び縮閉作動させるリンク機構作動軸と、前記リンク機構作動軸を回動させるリンクモータと、からなり、前記第1のリンク機構が前記着座体の一方側端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体一方側端部最高到達高さと、前記第2のリンク機構が前記着座体の他方側端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体他方側端部最高到達高さと、を比較した場合に、前記着座体一方側端部最高到達高さの方が高い傾斜しながら上昇する椅子を提供する。
【0011】
本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、前記第1のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部に設ける1対の第1リンク部と、前記各々の第1リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト及び下段第1連結シャフトと、前記下段第1連結シャフトの端部に設ける第1駆動歯車と、前記上段第1連結シャフトの端部に設ける第1従動歯車と、前記第1連結シャフトに設ける第1ナットとで構成及び前記第2のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部に設ける1対の第2リンク部と、前記各々の第2リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト及び下段第2連結シャフトと、前記下段第2連結シャフトの端部に設ける第2駆動歯車と、前記上段第2連結シャフトの端部に設ける第2従動歯車と、前記第2連結シャフトに設ける第2ナットとで構成した傾斜しながら上昇する椅子を提供する。
【0012】
本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、前記第1のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方中央近傍部及び他方側の側方中央近傍部に設ける1対の第1リンク部と、前記各々の第1リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト及び下段第1連結シャフトと、前記下段第1連結シャフトの端部に設ける第1駆動歯車と、前記上段第1連結シャフトの端部に設ける第1従動歯車と、前記第1連結シャフトに設ける第1ナットとで構成する又は前記第2のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方中央近傍部及び他方側の側方中央近傍部に設ける1対の第2リンク部と、前記各々の第2リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト及び下段第2連結シャフトと、前記下段第2連結シャフトの端部に設ける第2駆動歯車と、前記上段第2連結シャフトの端部に設ける第2従動歯車と、前記第2連結シャフトに設ける第2ナットとで構成した傾斜しながら上昇する椅子を提供する。
【0013】
本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、前記リンク機構作動軸とリンクモータとの間を、フレキシブル伝導体で接続した傾斜しながら上昇する椅子を提供する。
【0014】
本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、自在キャスター、圧縮バネ及び下段ストッパーを備えた傾斜しながら上昇する椅子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の傾斜しながら上昇する椅子は、着座体と、前記着座体よりも下方に配設する椅子基礎体と、前記椅子基礎体上に配設する所定の着座体作動機構と、を少なくとも備え、前記着座体作動機構が、前記着座体を前方に傾けかつ上昇させることを特徴とする傾斜しながら上昇する椅子であるため、前記着座体を前方に傾けながら上昇させることができ、前記着座体が水平である着座姿勢から立ち上がる際に、ひざや腰の負担が軽減される。
【0016】
本願発明の傾斜しながら上昇する椅子は、前記着座体作動機構として、前記着座体の椅子長方向の一方側端部を昇降させる第1のリンク機構と、前記着座体の椅子長方向の他方側端部を昇降させる第2のリンク機構と、前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構を拡開及び縮閉作動させるリンク機構作動軸と、前記リンク機構作動軸を回動させるリンクモータと、からなり、前記第1のリンク機構が前記着座体の一方側端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体一方側端部最高到達高さと、前記第2のリンク機構が前記着座体の他方側端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体他方側端部最高到達高さと、を比較した場合に、前記着座体一方側端部最高到達高さの方が高いため、前記着座体を前方に傾けながら上昇させることができ、前記着座体が水平である着座姿勢から立ち上がる際に、ひざや腰の負担が軽減される。また、前記リンクモータを利用して前記着座体を前方に傾けながら上昇させることができる。
【0017】
本願発明の傾斜しながら上昇する椅子は、さらに、前記第1のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部に設ける1対の第1リンク部と、前記各々の第1リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト及び下段第1連結シャフトと、前記下段第1連結シャフトの端部に設ける第1駆動歯車と、前記上段第1連結シャフトの端部に設ける第1従動歯車と、前記第1連結シャフトに設ける第1ナットとで構成及び前記第2のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部に設ける1対の第2リンク部と、前記各々の第2リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト及び下段第2連結シャフトと、前記下段第2連結シャフトの端部に設ける第2駆動歯車と、前記上段第2連結シャフトの端部に設ける第2従動歯車と、前記第2連結シャフトに設ける第2ナットとで構成したため、前記着座体を安定して前方に傾けながら上昇させることができる。また、前記リンクモータを利用して前記リンクモータを利用して前記着座体を前方に傾けながら安定して上昇させることができる。
【0018】
本願発明の傾斜しながら上昇する椅子は、さらに、前記第1のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方中央近傍部及び他方側の側方中央近傍部に設ける1対の第1リンク部と、前記各々の第1リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト及び下段第1連結シャフトと、前記下段第1連結シャフトの端部に設ける第1駆動歯車と、前記上段第1連結シャフトの端部に設ける第1従動歯車と、前記第1連結シャフトに設ける第1ナットとで構成する又は前記第2のリンク機構が、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方中央近傍部及び他方側の側方中央近傍部に設ける1対の第2リンク部と、前記各々の第2リンク部のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト及び下段第2連結シャフトと、前記下段第2連結シャフトの端部に設ける第2駆動歯車と、前記上段第2連結シャフトの端部に設ける第2従動歯車と、前記第2連結シャフトに設ける第2ナットとで構成したため、前記着座体を安定して前方に傾けながら上昇させることができる。また、前記リンクモータを利用して前記着座体を前方に傾けながら安定して上昇させることができる。
【0019】
本願発明の傾斜しながら上昇する椅子は、さらに、前記リンク機構作動軸とリンクモータとの間の接続にフレキシブル伝導体を使用しているため、前記リンクモータのレイアウト(配置)を容易に変更することが可能である。
【0020】
本願発明の傾斜しながら上昇する椅子は、さらに、自在キャスター、圧縮バネ及び下段ストッパーを備えたため、前記着座体が降下した状態では、椅子基礎体が前記下段ストッパーに接地し水平となるため、安定して着座することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は実施例1の傾斜しながら上昇する椅子の正面図である。
【
図2】
図2は実施例1の傾斜しながら上昇する椅子の側面図である。
【
図3】
図3は実施例1の傾斜しながら上昇する椅子の一部拡大図である。
【
図4】
図4は実施例1の傾斜しながら上昇する椅子(
図2状態)の内部構造を上方から見た図である。
【
図5】
図5は実施例1のリンク機構作動軸(
図4状態)の一部を拡大した拡大図である。
【
図6】
図6は実施例1の傾斜しながら上昇する椅子の作動(開始時)及び構造を示す側面図である。
【
図7】
図7は実施例1のリンク機構作動軸の作動を示す一部拡大図である。
【
図8】
図8は実施例1の傾斜しながら上昇する椅子の作動(傾斜上昇時)及び構造を示す側面図である。
【
図9】
図9は実施例2の傾斜しながら上昇する椅子の側面図である。
【
図10】実施例2の傾斜しながら上昇する椅子(
図9状態)の内部構造を上方から見た図である。
【
図11】
図11は実施例2の傾斜しながら上昇する椅子の作動(開始時)及び構造を示す側面図である。
【
図12】
図12は実施例2のリンク機構作動軸の作動を示す一部拡大図である。
【
図13】
図13は実施例2の傾斜しながら上昇する椅子の作動(傾斜上昇時)及び構造を示す側面図である。
【
図14】
図14は実施例3の傾斜しながら上昇する椅子の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
着座体を傾斜させながら上昇する座椅子として実施する。
【実施例0023】
傾斜しながら上昇する椅子の全体構成について、
図1から
図8に従い説明する。
【0024】
傾斜しながら上昇する椅子(1)は、人が着座する部分である着座体(11)と、前記着座体よりも下方に配設する椅子基礎体(12)と、前記着座体を前方に傾けかつ上昇させ及び水平に戻しかつ下降させる所定の着座体作動機構(20)と、所定の自在キャスター(30)と、所定の圧縮バネ(31)と、所定のストッパー(32)と、所定の回転テーブル(33)と、を備える(
図1)。
【0025】
前記着座体(11)の構成について、少なくとも人が着座をする着座箇所を包含していれば良く、本実施例の様に、背もたれ部や左右のひじ掛け部などを付加してもかまわない。
【0026】
前記椅子基礎体(12)の形状に関して、本実施例では水平面を有する長方形形状としているが、当該椅子を設置した際に転倒しない程度の安定感を具備する形状であればいかなる形状でも許容し得る(
図1、
図2及び
図4)。
【0027】
前記着座体作動機構(20)は、前記着座体(11)と前記椅子基礎体(12)との間に挟設され、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部(
図2で示す着座した際の右腕ひじ掛け部側の端部)及び他方側の側方端部(
図6で示す着座した際の左腕ひじ掛け部側の端部)に設ける1対の第1リンク部(211)と、前記それぞれの第1リンク部の上段側のリンク連結部相互間を連結する上段第1連結シャフト(212)と、前記それぞれの第1リンク部の下段側のリンク連結相互間を連結する下段第1連結シャフト(213)と、前記下段第1連結シャフトの両端部に設ける第1駆動歯車(214)と、前記上段第1連結シャフトの両端部に設ける第1従動歯車(215)と、前記下段第1連結シャフトの直交する方向に貫通固定して設ける第1ナット(216)と、で構成する第1のリンク機構(21)と、前記着座体と前記椅子基礎体との間に挟設され、前記椅子基礎体の椅子幅方向の一方側の側方端部及び他方側の側方端部(
図6で示す着座した際の左腕ひじ掛け部側の端部)に設ける1対の第2リンク部(221)と、前記それぞれの第2リンク部の上段側のリンク連結部相互間を連結する上段第2連結シャフト(222)と、前記それぞれの第2リンク部の下段側のリンク連結相互間を連結する下段第2連結シャフト(223)と、前記下段第2連結シャフトの両端部に設ける第2駆動歯車(224)と、前記上段第2連結シャフトの両端部に設ける第2従動歯車(225)と、前記下段第2連結シャフトの直交する方向に貫通固定して設ける第2ナット(226)と、で構成する第2のリンク機構(22)と、前記第1ナット及び前記第2ナットを貫通し噛み合うリンク機構作動軸(23)と、前記リンク機構作動軸を回動させる動力源であるリンクモータ(24)と、前記リンク機構作動軸と前記リンクモータとを接続するフレキシブル伝導体(25)と、で構成する(
図4、
図2、
図5及び
図6)。
【0028】
前記第1のリンク機構(21)と前記第2のリンク機構(22)に関して、前記第1のリンク機構が前記着座体(11)の背もたれ側の端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体一方側端部最高到達高さ(L1)と、前記第2のリンク機構が前記着座体の背もたれ側とは反対側の端部を上昇させた際に前記着座体が到達する最も高い位置である着座体他方側端部最高到達高さ(L2)と、を比較した場合に、前記着座体一方側端部最高到達高さの方が高いことを要する(
図8)。
【0029】
前記1対の第1リンク部(211)の各々の長さにについて、下段側に設けるリンクの長さよりも上段側に設けるリンクの長さの方を長くしている(
図8)。
【0030】
また、前記第1リンク部(211)の下段側に設けるリンクの長さを上段側に設けるリンクの長さの2倍程度とすることが好ましいものと考える。
【0031】
前記第1リンク部(211)の一方側端部は前記着座体(11)を支持し、他方側端部は前記椅子基礎体(12)に固着する(
図2及び
図6)。
【0032】
前記第1リンク部(211)の一方側端部のより詳細な構成について、椅子長方向に対して移動自在なローラーで支持している(
図4)。
【0033】
前記第1駆動歯車(214)及び前記第1従動歯車(215)は、噛み合う様に配置する(
図2)。
【0034】
前記第1駆動歯車(214)及び前記第1従動歯車(215)の個数に関して、前記下段第1連結シャフトあるいは前記上段第1連結シャフト上の各両端で合計4個としているが、前記下段第1連結シャフトあるいは前記上段第1連結シャフトの各一方側端部で合計2個としても良い。
【0035】
なお、前記第1駆動歯車(214)及び前記第1従動歯車(215)を配設する詳細な位置について、前記着座体の上昇作動を可能とする位置であれば、前記下段第1連結シャフトあるいは前記上段第1連結シャフト上の最端部でなくとも端部近傍位置であっても許容するものとする。
【0036】
前記1対の第2リンク部(221)の各々の長さにについて、下段側に設けるリンクの長さよりと上段側に設けるリンクの長さを同一にしている(
図8)。
【0037】
なお、前記第2リンク部(221)のリンクの長さと前記第1リンク部(211)の下段側に設けるリンクの長さとは同一である(
図8)。
【0038】
前記第2リンク部(212)の一方側端部は前記着座体(11)に固着し、他方側端部は前記椅子基礎体(12)に固着する(
図2及び
図6)。
【0039】
前記第2駆動歯車(224)及び前記第2従動歯車(225)は、噛み合う様に配置する(
図6)。
【0040】
前記第2駆動歯車(224)及び前記第2従動歯車(225)の個数に関して、前記下段第2連結シャフトあるいは前記上段第2連結シャフトの各両端で合計4個としているが、前記下段第2連結シャフトあるいは前記上段第2連結シャフトの各一方側端部で合計2個としても良い。
【0041】
なお、前記第2駆動歯車(224)及び前記第2従動歯車(225)を配設する詳細な位置について、前記着座体の上昇作動を可能とする位置であれば、前記下段第2連結シャフトあるいは前記上段第2連結シャフト上の最端部でなくとも端部近傍位置であっても許容するものとするのは前記第1駆動歯車(214)及び前記第1従動歯車(215)と同様である。
【0042】
前記第1ナット(216)に設ける雌ネジ溝の形状(方向)と前記第2ナット(226)に設ける雌ネジ溝の形状(方向)とに関し、右方向の螺旋又は左方向の螺旋のいずれかが相違していることを要する(
図5)。
【0043】
前記リンク機構作動軸(23)の外周には、前記第1ナット(216)の内側雌ネジ箇所に対応する一方側の雄ネジ溝(231)及び前記第2ナット(226)の内側雌ネジ箇所に対応する他方側の雄ネジ溝(232)を設ける(
図5)。
【0044】
前記一方側の雄ネジ溝(231)のピッチ幅と、前記他方側の雄ネジ溝(232)のピッチ幅との比率について、1対1(同一)としている。
【0045】
なお、前記第1ナット(216)の内側に設ける雌ネジ溝の方向(形状)及びピッチについて、前記一方側の雄ネジ溝(231)に対応する方向及びピッチの螺旋形状を描いている(図示せず)。
【0046】
また、前記第2ナット(226)の内側に設ける雌ネジ溝の方向(形状)及びピッチについて、前記他方側の雄ネジ溝(232)に対応する方向及びピッチの螺旋形状を描いている(図示せず)。
【0047】
前記フレキシブル伝導体(25)について、具体的には回転伝達可能なワイヤーロープを樹脂等のチューブで外被を覆ったものを指すが、ユニバーサルジョイントを複数連結したものでもよい。
【0048】
前記自在キャスター(30)及び前記圧縮バネ(31)について、前記着座体(11)に荷重がかからない場合は前記圧縮バネの反発力により、床面と前記回転テーブル(33)下面の間に隙間ができ、容易に移動が可能となる。また、前記着座体に荷重がかかると前記自在キャスターが前記圧縮バネの弾性により引っ込み、床面と前記回転テーブル下面が接地し安定する(
図1及び
図3)。
【0049】
前記下段ストッパー(32)の役割について、人が着座する時に着座部を安定させる(
図1)。
【0050】
また、前記回転テーブル(33)を付加することにより、前記着座体(11)が左右方向に自在に旋回可能となる(
図1)。
【0051】
次に、傾斜しながら上昇する椅子に着座している状態(着座姿勢)から立ち上がる際の動作について、
図6から
図8に従い説明する。
【0052】
リンクモータ(24)の作動を開始すると、その出力軸が時計方向に回転を始める(
図6)。
【0053】
その後、前記リンクモータ(24)の出力軸と一方側端部を接続するフレキシブル伝導体(25)及び前記フレキシブル伝導体の他方側端部と接続するリンク機構作動軸(23)も同方向に回転を始める(
図6及び
図7)。
【0054】
前記リンク機構作動軸(23)が時計方向に回転することにより、第1ナット(216)が前記リンク作動軸の雄ネジ溝(231)に沿って外側方向(
図7で示す右方向あるいは
図8で示す背もたれ方向)に移動する(
図7及び
図8)。
【0055】
また、第2ナット(226)も前記リンク作動軸の雄ネジ溝(232)に沿って外側方向(
図7で示す左方向あるいは
図8で示す背もたれとは反対方向)に移動する(
図7及び
図8)。
【0056】
前記作動により、前記第1リンク部(211)が拡開方向に変位しながら、着座体(11)の背もたれ側が上昇を始め、最終的には一方側端部最高到達高さ(L1)まで上昇する(
図8の状態)。
【0057】
また、前記第2リンク部(221)も拡開方向に変位しながら、前記着座体(11)の背もたれ側とは反対側が上昇を始め、最終的には他方側端部最高到達高さ(L2)まで上昇する(
図8の状態)。
【0058】
前述した様に、前記第1リンク部(211)のうち上段側に設けるリンクの長さを下段側に設けるリンクの長さよりも長くし、かつ、前記リンク機構作動軸(23)の外周に設ける一方側の雄ネジ溝(231)のピッチ幅と、前記リンク作動軸の外周に設ける他方側の雄ネジ溝(232)のピッチ幅との比率を同一とすることで、前記着座体(11)の後方(背もたれ側)の方がより高く上昇し前方に傾斜する(
図8)。
【0059】
なお、前記第1駆動歯車(214)と前記第1従動歯車(215)の歯車数比率は同一としているが、この比率を変更(例えば、50対30など。)することによっても前記着座体(11)の傾斜上昇角度を変化させることも可能である。
【0060】
前述の作動により、着座姿勢から立ち上がることが容易となる。また、立ち上がる際のひざや腰の負担が軽減される。
なお、前記第1駆動歯車(214)と前記第1従動歯車(215)の歯車数比率は同一としているが、この比率を変更(例えば、50対30など。)することによっても前記着座体(11)の傾斜上昇角度を変化させることも可能である。