(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082844
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】全遮熱外装構造
(51)【国際特許分類】
E04D 3/00 20060101AFI20230608BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
E04D3/00 M
E04D3/00 T
E04D3/00 N
E04F13/08 101W
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196814
(22)【出願日】2021-12-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】512043360
【氏名又は名称】日本遮熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】野口 修平
(72)【発明者】
【氏名】野口 彩乃
【テーマコード(参考)】
2E108
2E110
【Fターム(参考)】
2E108AA01
2E108AS02
2E108BB04
2E108BN05
2E108BN06
2E108CC01
2E108CV01
2E108CV09
2E108EE01
2E108EE02
2E108FF11
2E108GG01
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2E108GG20
2E110AA02
2E110AA09
2E110AA51
2E110AB02
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA12
2E110BC02
2E110CA07
2E110CA08
2E110DA12
2E110DA16
2E110DC12
2E110GA32X
2E110GA33W
2E110GA42X
2E110GB01W
2E110GB06X
2E110GB32X
(57)【要約】
【課題】建物の外装に施行することによって、建物外側が高温になったときの熱を遮熱する全遮熱外装構造を提供する。
【解決手段】全遮熱外装構造1は、鉄骨造、RC造、石造または木造等建物の、金属材、コンクリート材、スレート材、石材または木材を用いた屋根あるいは壁等既存の外装材10と、既存の外装材10の外側に設置される金属材を用いた新規金属外装材11とを備え、既存の外装材10と新規金属外装材11との間に、輻射熱に対して高反射率の遮熱材120を用いた遮熱層12、および、遮熱層12を境界にして配置される二層の通気帯13を設けたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造、RC造、石造または木造等建物の、金属材、コンクリート材、スレート材、石材または木材を用いた屋根あるいは壁等既存の外装材と、
前記既存の外装材の外側に設置される、金属材を用いた新規金属外装材と、
を備え、
前記既存の外装材と前記新規金属外装材との間に、遮熱材を用いた少なくとも一層以上の遮熱層、および、少なくとも一層以上の通気帯を設けた、
ことを特徴とする遮熱外装構造。
【請求項2】
前記遮熱層は、
不織布またはガラス繊維の片面あるいは両面にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた前記遮熱材を用いて形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の遮熱外装構造。
【請求項3】
前記新規金属外装材を前記既存の外装材の外側部分に設置する支持部材を備え、
前記遮熱材は、
前記支持部材と前記新規金属外装材との間に設置され、
前記支持部材と前記既存の外装材との間、および、前記遮熱材と前記新規金属外装材との間に前記通気帯が形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮熱外装構造。
【請求項4】
前記遮熱材は、
前記新規金属外装材と前記既存の外装材との間に挟み込んで設置され、
前記遮熱材の、前記新規金属外装材側または前記既存の外装材側のいずれか一方に、あるいは、前記新規金属外装材側および前記既存の外装材側の両方に、前記通気帯が形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮熱外装構造。
【請求項5】
前記通気帯は、
少なくとも前記遮熱材が前記建物外部からの熱を放射する側において通気するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遮熱外装構造。
【請求項6】
前記既存の外装材は、前記RC造建物の陸屋根の外装材である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遮熱外装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の屋根、外壁等の外装に用いる全遮熱外装構造(遮熱外装構造)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内空調等の省エネルギーを図るためや、外装の美観を向上させるため、ビルディング等の建物の外装材に遮熱塗料を塗装することがある。
また、アスベストを含むスレートの外側に、例えば、金属製のカバー材を設置してアスベストの飛散防止と、室内空調等の省エネルギーとを図っている建物がある。
また、室内空調等の省エネルギーを図るために、建物の既存の外装材の屋外側にアルミホイル製の遮熱材を設置施行したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、省エネルギーや美観の向上を目的にビル等のコンクリート外装材に遮熱塗装を施工している建物がある。
遮熱塗装は、輻射熱に対する反射率が低いだけでなく反射率の低下も早く、充分な省エネルギー効果を生み出す事は難しい。また、遮熱塗装は、一般的には5年程度の耐用年数と言われ、その都度塗り替える必要があるため、高層ビルでは費用も大幅にかかる。
更に問題なのは、これ以上の気温上昇に対応できるか疑義がある。
【0005】
アスベストを含むスレートの外側に、金属製のカバー材を施工し省エネルギーやアスベスト飛散をしている建物がある。
アスベストを含有するスレートは、新しい屋根に交換するには法的な問題が絡み大きな費用がかかる。従って、素材が劣化して雨漏りする状態になっても野放し状態のものが多い。
最近、アスベストの飛散防止と省エネルギーを目的に、スレートの屋外側に金属製のカバーを施工する建物も増えてきた。勿論、スレート全体を金属製の外装材で包んでしまうので、外部へのアスベストの飛散は防止できる。
しかしながら、金属製のカバーは輻射熱に対する反射率が低く、大半は熱を吸収し二次輻射熱としてスレートに照射される。この二次輻射熱は大半がスレートに吸収され、三次輻射熱として室内に放射される。即ち、金属カバー工法は、アスベスト飛散にはなるが、省エネルギー効果は低いと言える。
【0006】
既存外装材の屋外側に、アルミホイル製の遮熱材を施工した建物もある。アルミホイル製の遮熱材は、輻射熱を効率的に反射するので省エネルギー効果は大きい事は知られている。しかしながら、反射率が高いが故に反射光が周囲に放射、人間の目を傷めたり或いは航空障害を起こしたりするため屋外で使用する事は難しかった。そこで、アルミホイルの表面に樹脂製の乱反射材を施工し、これらの問題を解消している。
昨今の気温上昇は凄まじく、40[℃]を超える日も増えつつある。これ迄、金属屋根の最高温度は80[℃]位とされていたが、現時点でも83[℃]を超えるとも言われており、将来的には更なる温度上昇が懸念される。
その結果、現状でも樹脂製の乱反射材に剥離が生じたり或いはシワが出来たりし表面状況は悪化傾向にあり、これ以上気温が上昇すると使用できない状況になると考えられる。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決する為になされたもので、建物の外装に施行することによって、建物外側が高温になったときの熱を遮熱する全遮熱外装構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る全遮熱外装構造(遮熱外装構造)は、鉄骨造、RC造、石造または木造等建物の、金属材、コンクリート材、スレート材、石材または木材を用いた屋根あるいは壁等既存の外装材と、前記既存の外装材の外側に設置される、金属材を用いた新規金属外装材と、を備え、前記既存の外装材と前記新規金属外装材との間に、遮熱材を用いた少なくとも一層以上の遮熱層、および、少なくとも一層以上の通気帯を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、前記遮熱層は、不織布またはガラス繊維の片面あるいは両面にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた前記遮熱材を用いて形成されることを特徴とする。
【0010】
また、前記新規金属外装材を前記既存の外装材の外側部分に設置する支持部材を備え、前記遮熱材は、前記支持部材と前記新規金属外装材との間に設置され、前記支持部材と前記既存外装材との間、および、前記遮熱材と前記新規金属外装材との間に前記通気帯が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、前記遮熱材は、前記新規金属外装材と前記既存の外装材との間に挟み込んで設置され、前記遮熱材の、前記新規金属外装材側または前記既存の外装材側のいずれか一方に、あるいは、前記新規金属外装材側および前記既存の外装材側の両方に、前記通気帯が形成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記通気帯は、少なくとも前記遮熱材が前記建物外部からの熱を放射する側において通気するように設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、前記既存の外装材は、前記RC造建物の陸屋根の外装材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、建物の外装に施行することによって建物外側が高温になったときの熱を遮熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施の形態1による全遮熱外装構造(遮熱外装構造)の断面図である。
【
図2】
図1の全遮熱外装構造に備えられる支持部材および当該支持部材が固定される既存の外装材を示す説明図である。
【
図3】
図1の全遮熱外装構造に備える遮熱材の構成を示す断面図である。
【
図4】本開示の実施の形態2による全遮熱外装構造の断面図である。
【
図5】実施の形態2による全遮熱外装構造の他の構成を示す断面図である。
【
図6】本開示の実施の形態3による全遮熱外装構造の断面図である。
【
図7】実施の形態3による全遮熱外装構造の構成を示す説明図である。
【
図8】本開示の実施の形態4による全遮熱外装構造の断面図である。
【
図9】試験1の測定系の概略構成を示す説明図である。
【
図10】試験1の温度測定結果を示す説明図である。
【
図11】試験2の測定系の概略構成を示す説明図である。
【
図12】試験2の温度測定結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これ迄、気象庁が気温25[℃]の夏日と言えば、私どもは今日暑い日だと意識してきた。しかしながら、昨今の気温は体温を超えるのが珍しくなく、ときには40[℃]を超える日も少なくなくなってきた。
世界的に見ても、イタリアのシチリア島でも48.8[℃]を記録したと報道されている。
また、これ迄ならば、大型建物において建物内部全面に遮熱材を施工すれば、夏場のエアコン使用を抑えることが十分可能で有った。
【0017】
遮熱材は、輻射熱の反射材で反射率+放射率=100[%]となる。即ち、反射率が高ければ放射率は少なくなる。また、遮熱材の反射率は95~98[%]のものが一般的に使用されている。
例えば、反射率98[%]の遮熱材を鉄骨建物の胴縁等に施工した場合、外壁からの輻射熱は遮熱材によって98[%]反射されて屋外側に戻されるので、室内側には僅か2[%]の輻射熱が放射されることになる。2[%]と言えども、朝から夕方までの熱量を積算すれば大きくなるが、大型建物は屋根が高いので、熱エネルギーを蓄えた空気は浮力で上昇し、大半は屋根の下側に滞留する事になる。従って、地上で働く人間には、その暑さは感じられない。
夜になると、気温が室温より低下するので、室内に滞留した熱はゆっくり屋外側に放出され、朝までには室温は大幅に低下する。即ち、この繰り返しにより、真夏でもエアコン不要の環境が得られた。
【0018】
しかしながら、近年の暑さは依然と大きく変わった。
昼間は従来に比べて熱量が増加するのは解るが、夜でも気温は25[℃]以上、ときには30[℃]になる事もある。
即ち、夜になっても熱帯夜で気温は下がらず、一日中屋外から室内に熱が伝達されると言う状況になってきているが、この傾向は今後更に進むものと思われる。
この状態では、室内に僅か2[%]しか輻射熱は放射されないと言っても、長時間では大量の熱が蓄熱されるのでエアコン不要のシステムは成り立たなくなりつつある。
即ち、今後は、昼夜を問わず室内側に熱を入れない建物構造とする事が重要である。
【0019】
本発明は、鉄骨造、RC造、石造、木造等あらゆる建物の、金属、コンクリート、スレート、石材、木材製の屋根や壁等既存の外装材と、その屋外側に新設する新規金属外装材との間の全周に、少なくても一層以上の遮熱層と、少なくても一層以上の通気帯を設けた全遮熱外装構造(遮熱外装構造)である。
【0020】
本発明は、全ての建物の既存の外装材の屋外側を新規金属製外装材で覆い、新規金属外装材と既存の外装材との間に少なくても一層以上の遮熱材を施工するものである。更に、遮熱材の片側あるいは両側に空気層を設ける構造である。
少なくても一層以上とは、遮熱材なら出来れば二層、空気層で有れば外装材と鉛直方向に二つ以上の空気層を設ける事が好ましいのである。
本発明が、これ迄の工法と最も大きな違いは、遮熱材を使用しながら通気層を設ける事にある。
【0021】
これ迄、遮熱材を使用している空間に通気をすると、高温側から空気に伝達された熱を熱伝導率の良い遮熱材が吸収し、低温側に伝達して熱効率が低下したり或いは結露発生を引き起こす要因になったりと問題が多く、遮熱材と通気は相性が悪く使わないのが常識であった。
本発明は、外装材を二重構造にする事により、結露の発生があっても既存の外装材内部にまで影響を及ぼさない構造にした。
また、極力多くの通気層を設け、大気を使って壁内の排熱を最大限に引き出すもので、これ迄の静止空気工法を通気工法に大転換した超高温時代にマッチする最新工法である。
【0022】
何故、最外装に金属製外装材か、金属外装材は安くて加工がし易く、耐久性が20~30年と長い事にある。
また、一度施工するとこの間はメンテナンスが殆ど不要で、ランニングコストがかからない事にある。更に、屋根の葺き替えを考えている場合、本工法なら葺き替えをしないで新規金属外装材を施工する事で、既存の外装材を剥がす工事も無くなり、遮熱工事が大幅に低減することが出来る。
【0023】
本発明の遮熱層とは、不織布やガラス繊維等の片面或いは両面に、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けた遮熱材を、建物の全外周に少なくても一層以上取り付けたものである。
【0024】
建物を出入する熱を、伝導熱、対流熱、輻射熱に分けた場合、全移動熱の75パーセントが輻射熱で有ると報告されている。従って、熱中症対策や省エネルギー考えるには、この輻射熱の阻止が最も重要となる。
また、この輻射熱を阻止するには、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材が有効で有る事が解っていて、当該建物にはこの素材を利用した遮熱材が使用されている。
遮熱材は、輻射熱を反射したり、放射を阻止したりする性能が高いので出来れば複数層が好ましいが、コストの問題もあるので少なくても一層は必要である。
【0025】
本発明の遮熱材の施工方法の最大の特徴は、既存の外装材に凹凸形状があり、更にその屋外側に施工する新規金属外装材にも凹凸形状があれば、遮熱材は双方の間に挟み込む事で良いと言う事である。即ち、遮熱材はフラットの状態で施工可能で、遮熱材が最小面積で済む事、施工が簡単になる事、結果的に大幅なコスト削減が出来る事にある。
もし、既存の外装材に凹凸形状があるが、新規外装材は平板で有る場合も前記同様、遮熱材は既存の外装材の凹凸形状部分にフラットに貼ればよい。
但し、RC外装材の様に遮熱材の放射側に通気層が取れない場合は、遮熱材を平面に貼るよりはむしろ新規金属外装材の内側に直貼りする事が好ましい。
【0026】
本発明の通気帯とは、既存の外装材と新規金属外装材とが非接触の場合は、その間に金属製の格子等をボルトや金属ステー等を使用し中空状態に設け、その外側に遮熱材、更にその外側に新規金属外装材を取り付ける構造とする事により遮熱材の両側に連続した空気層を形成するものであり、既存の外装材と新規金属外装材とが接触する場合は、両者の間に遮熱材を挟み込み、遮熱材の片面或いは両面に台形や半円形等の空気層を連続的に形成する全遮熱外装構造である。
【0027】
前述もしたが、これ迄昼は屋外から室内側に熱移動、夜は室内側から屋外側に熱移動、即ち昼夜の差によって熱移動の向きが変わり、真夏ゼロエネルギーも可能で有った。
しかし、超高温の時代では外装材に加わる熱量も増加し、更には昼夜を問わず、熱は屋外側から室内側に向って移動し続ける。これ迄の金属屋根の温度は80[℃]位と言われていたが、現在でも既に83[℃]の報告もあり、今後は更に上昇傾向にある。
即ち、今後の省エネルギーを考えるなら、高温の既存の外装材の熱を如何に室内側に伝達しないかという事である。
そこで本発明は、高温の空気を冷却媒体として使用する。そして、その空間を作る場合に遮熱材をフラットの状態で利用するものである。
例えば、既存のRC造の外装材の屋外側に、新規金属外装材を非接触の状態で施工する場合は、フラットバー等で製作した格子板を既存の外装材からボルト等で空間を空けて固定し、その外側から平らに遮熱材を貼れば良い。勿論、新規金属外装材はその屋外側から直接貼ればよい。
この工法(構造)は、建物全周に既存の外装材と遮熱材との間に連続した空気層が出来ること、更に遮熱材と新規外装材との間にも通気層が出来るので、最高の省エネルギー構造と言える。
【0028】
新規金属外装材をRCの既存の外装材に直に取り付ける場合、遮熱材の放射側に通気層が取れないので、遮熱材は後述する
図6等の様に新規金属外装材の内側に直貼りする事が好ましい。
【0029】
本発明は、通気帯の空気層は、少なくても遮熱層の放射側は通気層とした全遮熱外装構造をも提案する。
【0030】
新規金属外装材は、強度を増す為や厚みを減らす為に素材に凹凸を形成させているものが多い。従って、新規金属外装材を使う事によって、建物の外側には空間が作りやすい。本発明では、この空間を通気層として大気を利用し、建物外部からの熱を少しでも多く排出しようとしている。
ここで最も重要なのは、遮熱材を使用する場合は、低放射側の温度を如何に低減するかである。遮熱材は、反射率プラス放射率が100パーセントである。空間をもたせる事は、この反射性能や放射性能を有効に使う為である。
【0031】
放射側が大気開放状態なら温度も低く、高いと言っても気温が上限である。しかし、本発明の様に既存の外装材の外側に、新規金属外装材の放射側が位置する構造では、低放射側に既存の外装材の壁が出来る事になる。即ち、新規金属外装材の放射側が保温されることになる。低放射と言っても、熱は少しずつ蓄熱される事、既存の外装材側にも中々熱が逃げない事もあって、この空間は徐々に温度上昇する。すると、今度はステファンボルツマンの法則に従い放射量が増え、却って高温になる事がある。従って、低放射側は少なくても大気を取り入れ通気し、より低温にする必要がある。
勿論、全ての空間で通気出来れば好ましいが、種々問題があるならば少なくても遮熱材の放射側は必ず通気する事が必要である。
【0032】
本発明は、RC造屋根仕様の建物の既存屋根の上部に、少なくても一層以上の遮熱層と、少なくても一層以上の通気層のある金属製屋根を設置した全遮熱外装構造をも提案する。
【0033】
RC造等屋根がコンクリートの建物は、そのままでは排熱工法が取れないので、屋上の側壁や上部に新たに新規金属外装材を設置する事が好ましい。
既存のRC造の屋上の周囲は、パラペットや鉄柵が設けられているが、新規金属外装材はその外側全周に施工する必要がある。この様にすると、屋上は大きな空間になる。
そこで、今度は屋上の上部に新規金属外装材を設置する事が重要である。
この場合、新規金属外装材は室内側の凸部にフラットに遮熱材を取り付けた構造にすればよい。新規金属外装材と遮熱材の間には空間が取れるばかりか、遮熱材の室内側には大きな屋上大空間となるので、少なくても一層以上の遮熱層と、少なくても一層以上の通気層が出来ることになる。
【0034】
遮熱材は、不織布やガラス繊維等の片面或いは両面にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を取り付けたものである。
不織布やガラス繊維等は遮熱材の基材で、細い繊維を複数層重ねる事により遮熱材の強度を向上させ、また、断熱性を高める効果がある。通常は、0.1~0.2[mm]位の厚みの物を使用するが、結露対策を目的にする場合は、不織布やガラス繊維の代わりに5[mm]位の断熱材を使用する事も可能で有る。
遮熱材を新規金属外装材に直貼りする場合は、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材が片面の物を使用し、不織布やガラス繊維等の面は金属面に接着して使用する。
【0035】
アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材は、高純度のアルミホイルを使用する場合が多く、純度は99.5[%]以上のものが一般的に使用される。厚みは、通常5~10[μm]程度である。輻射熱の反射や放射は表面の状態が重要で、厚みの違いによる性能低下は無かった。
しかし、本発明の様に通気を伴う場合は、空気との摩耗や腐食をも考慮しなければならないので30[μm]等厚いものが好ましいが、重量が重くなるので建物の強度が十分対応可能かを勘案して決める事が好ましい。
【0036】
遮熱材の表面のアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材は金属で、酸やアルカリに弱いだけでなく、金属と接触すると電食を起こしやすい。
そこで、この表面を保護する必要が有るが、輻射熱を良く透過する高透過樹脂層を使用する事が好ましい。僅か、5[μm]位の樹脂層であるが、遮熱材の反射性能や低放射性能を損なわず、前述の様な問題を解決するので通気工法を採用するには絶対必要である。
【0037】
本発明を整理する。
先ず、温度の解析である。
これ迄は、昼と夜では室内と屋外との熱移動の向きが変わる。例えば、昼間気温が35[℃]で室温が25[℃]なら、熱は室内に向かって移動する。しかし、夜になって気温が25[℃]以下になると、今度は室内から屋外に熱は移動する。即ち、昼と夜では熱移動方向が自動的に変わり、遮熱材を外装全面に施工している大型建物等では室内のエアコンは不要の状況までにする事が可能であった。しかしながら、今後熱帯夜が続くと、建物には昼夜を問わず熱は屋外側から室内側に一方的に伝達される。従って、従来の考え方では省エネルギーの理論が全く成り立たなくなる。
本発明は、85[℃]の外装材を40[℃]の大気で冷却しようとするものである。
【0038】
次に、現状の種々の工法についての問題点について説明する。
既存の外装材の表面に、遮熱塗装が施工されている。性能の問題もあるが、今後の気温上昇に対応できるか疑義がある。
また、屋根の屋外側に遮熱材を使用する事は、輻射熱を効率的に反射するので省エネルギー効果が高い事は解っている。しかし、遮熱材の反射光が人間の目を傷める等問題があり、その防止策として遮熱材の表面に樹脂製の乱反射材を施工している。しかし、樹脂製が故に現状では使用できるが、将来的な超高温下では成分が破壊されその使用が厳しくなることも予想される。
金属で、スレート屋根をカバーしている工法もある。この工法は、日蔭は作るものの二次輻射熱を発生、結果的には省エネルギー効果は低い。
既存の屋根材の屋外側に、金属製の屋根を取り付け、間に断熱材を取り付けたものもある。しかし、金属製屋根材は輻射熱の90[%]を吸収して熱を発生し、この熱が断熱材を通して室内側に伝達されるのでその効果は余り望めない。そもそも、断熱材は伝導熱の阻止材と言われているが、金属と接触すると多くの熱を伝達してしまい、省エネルギー効果は発揮できないのである。
【0039】
本発明を構築する場合に、以下の様な考え方が重要である。
第一に、建物を通過する熱の75[%]は輻射熱である。そのうち、壁面は65~80[%]が、屋根面は93[%]が輻射熱である。即ち、暑さ対策や省エネルギー対策には輻射熱阻止が最も重要である。
輻射熱は、放射された部分に熱を発生する性質があり、周囲の温度が低温でも大きな熱を発生する。例えば、気温25[℃]でも屋根の温度が80[℃]になるのもその為である。即ち、この輻射熱阻止が出来る構造とするのが重要である。
【0040】
第二に、輻射熱の阻止には遮熱材が重要である。遮熱材の輻射熱に対する反射率は、95~98[%]に上る。しかも、反射と放射の二つの性能を同時に利用する事ができ、輻射熱の阻止には絶対的に有効である。
第三に、この遮熱材の反射と放射性能を引き出すには、少なくても片面、出来れば両面に空間をもたせる事が重要である。この観点から、新規金属外装材は、凹凸を有する形状が好ましい。ただ、既存の外装材に凹凸形状を有して空気層が構築できれば、新規外装材はフラットでも問題は無い。
【0041】
第四に、遮熱材の放射側の温度を如何に低温にするかである。放射量は、絶対温度の4乗に比例するので、放射側が少しでも高温になると忽ち放射量が増え、室内側への熱の供給が増える事になる。従って、遮熱材の放射側の温度を如何に低くするかが重要である。
第五に、建物の熱移動で輻射熱の次に大きいのが対流熱である。これ迄、遮熱材を使用して通気すると結露の発生や熱損失が大きくなり、静止空気とするのが基本であった。しかし、本発明は既存の外装材の外側に新規金属外装材を設ける外装材二重構造の為、結露等の問題は無くなった。それより、超高温の時代になる今日では、如何に室内側に向う熱量を減らすかにある。それには、対流の効果は大きく、空間に通気をする事は今後極めて重要になってくる。
また、対流熱は空気の温度で有るから、外部から熱の供給が無い限り温度は一定である。
第六に、大きな熱ではないが、接触して伝達される伝導熱の阻止も考える必要がある。伝導熱は、建物を出入する熱の5~7[%]と言われているが、屋外からの熱量が増えるとその伝導熱量も大きくなる。特に、遮熱材も金属で、接触する事による熱伝達は大きい。従って、新規金属外装材や既存の外装材と如何に接触しないかが重要になってくる。
即ち、新規金属外装材と既存の外装材との接触面積を如何に少なくするかである。理想的に言えば、新規金属外装材と既存の外装材とは非接触状態で、その中間に遮熱材が存在する構造である。遮熱材を固定する胴縁やボルト等を使用して、最小限の接触面積とする事が好ましい。
【0042】
この様な観点から本発明は、
第一に、既存の外装材の屋外側に新規金属外装材を設ける事を前提にしている。
新規金属外装材を使う理由は、新規金属外装材は強度を増す為、凹凸形状にして使用するので、既存外装材との間に空間を作りやすい為である。
しかも、新規金属外装材は、ガルバリウム製なら20~30年以上の耐久性能がありメンテナンス費用が大幅に削減できる。今後、高層ビル等も視野に入れると、耐久性は絶対に必要な条件である。
【0043】
第二に、既存の外装材と新規金属外装材との間に空間を設け、その間に遮熱材を施工する事である。即ち、遮熱材が界壁となって空間を作る事である。
理想的には、新規金属外装材、遮熱材、既存の外装材等が空間をもっている事である。そこで、これらの空間に胴縁やボルト等を使用する事により最小の接触面の構造が可能となる。
新規金属外装材は、概ね凹凸形状に形成された素材を使用するので、遮熱材の取り付け位置に関わりなく遮熱材や既存の外装材との間に空間を作りやすい。
勿論、既に凹凸形状を有するスレート屋根や折板屋根等の場合は、新規金属外装材は平板でも良いが、より接触面を少なくするには胴縁やボルト等で双方を隔離する方法を取る事も可能で有る。
既存の外装材がコンクリートの様に平板の場合は、凹凸形状に形成された新規金属外装材を使用すればよいが、より接触面を減らすにはコンクリート表面に胴縁やボルト等により空間を設け、その外側に新規金属外装材を取り付けるのが好ましい。
【0044】
第三に、遮熱材は両面に空間が作れる位置が最も好ましいが、それが難しい場合は遮熱材の放射側に空間を作れることがポイントになってくる。例えば、凹凸形状を有する新規金属外装材の室内側に設けた物でもよい。
既存の外装材と新規金属外装材とに双方とも凹凸形状を有する場合は、双方の凸部が接触する接点に挟み込む構成も好ましい。こうする事により、接触面が少なくなるばかりか、遮熱材の両面に通気層を作る事が出来る。
また、少なくとも遮熱材(遮熱層)の放射側、即ち、遮熱材の既存の外装材側の面に通気されるように通気層を設ける。
【0045】
第四に、遮熱材は片面或いは両面にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を使用する。重要なのは、反射率で高いものを使用する事である。
更に、大気が通過するので、酸やアルカリに強い表面処理が施されている事が望ましい。
第五に、通気帯は極力全周に、しかも連続している事が好ましい。
遮熱材は、放射側が低温であることが好ましいが、今後の放射側の温度は高温になる事が予想される。従って、全ての空間から熱を排除する事が好ましい。
【0046】
本発明のメカニズムを説明する。
本発明は後述する
図1に示したように、既存の折板屋根材の屋外側に新規の金属製折板屋根を取り付け、双方の間に遮熱材を設けた全遮熱外装構造である。
この全遮熱外装構造は、断面を見ると、連続した六角形状の空間の中央に遮熱材が施工された状態である。
屋外からの輻射熱は、新規金属外装材に照射されると一部は反射するが、大半は新規金属外装材に吸収される。この熱は、伝導熱の形態をもって室内側に移動し、大半は新規金属外装材の表面から輻射熱の形態をとって室内側に放射され、その大半は遮熱材に反射されて再び新規金属外装材に戻される。
【0047】
これ迄は、上記のような遮熱で問題がなかった。しかし、気温が上昇すると双方の折板屋根材の接触部から伝導熱の形態をとって、室内側に侵入する熱の量が増大する事になる。屋根側の高温の熱は、熱伝導の良い遮熱材を通して室内側に伝達される。
しかし、この熱は既存の折板屋根材の表面から再び室内側に二次輻射熱として照射されるが、室内側には既存の折板屋根材の空間がある。また、この空間も通気工法で通気されている為、表面温度は低下傾向となり放射の熱量も減少する。
この様に、空気は確実に放射側の温度を低下させるので、放射量を抑える事が出来る。
【0048】
コンクリートの建物の場合、外壁の外側に遮熱材を施工し、その屋外側に新規金属外装材を施工した場合は、輻射熱は反射するがこの空間の温度が上昇し、結果的に遮熱材の温度が上昇、放射側に空間の無い為直接室内側に熱は伝達される。もし、コンクリートの屋外側に胴縁等を設けて通気層を作ると、放射側に伝達される伝導熱の量は大幅に低下する。
現在でも熱帯夜が増え、屋外の熱は一日中室内側に伝達される。
今後、気温は間違いなく上昇すると思われ、85[℃]の外装材を40[℃]の空気で冷却する必要性は不可欠である。
【0049】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
[実施の形態1]
図1は、本開示の実施の形態1による全遮熱外装構造1(遮熱外装構造)の断面図である。
全遮熱外装構造1は、前述のように、鉄骨造、RC造、石造、木造等のあらゆる建物について、屋根、外壁等に用いることができるものである。
図1の全遮熱外装構造1は、上記のような建物の、例えば、凹凸形状を有する折板屋根(または外壁)の断面を示したものである。
全遮熱外装構造1は、上記の建物の既存の外装材10の外側を覆う新規金属外装材11、既存の外装材10と新規金属外装材11との間に設けられる遮熱層12、例えば、図中、遮熱層12の上下両側に設けられた複数の通気帯13を備えて構成されている。
【0050】
また、
図1の全遮熱外装構造1は、新規金属外装材11を支持し、当該新規金属外装材11を既存の外装材10に設置固定する支持部材14を備えて構成されている。
なお、
図1に例示した全遮熱外装構造1は、既存の外装材10と新規金属外装材11が直接接触する部分(図中上下方向において接触する部分)が無いように構成されているが、既存の外装材10、ならびに、新規金属外装材11に十分な強度が備えられており、また、既存の外装材10と新規金属外装材11とが互いに接触する部分がある場合には、支持部材14を備えることなく、全遮熱外装構造1を構成してもよい。即ち、既存の外装材10に、直接新規金属外装材11を設置固定するように構成してもよい。
【0051】
既存の外装材10は、前述のように、例えば、金属材、コンクリート材、スレート材、石材または木材等を用いた、屋根材あるいは外壁材等であり、表面に複数の凹凸形状を形成させたもので、前述の建物の柱材、梁材等(フレーム材等)に固定されている。
新規金属外装材11は、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ジンカリウム鋼板、トタン、銅板、ステンレス板、チタン板等の金属板であり、折板屋根用部材のように、表面に複数の凹凸形状を形成させたものである。
遮熱層12は、後述する遮熱材120を用いて形成されたもので、例えば、全遮熱外装構造1を図中上方から見たとき(全遮熱外装構造1を建物の外側から見たとき)、薄いシート形状の遮熱材120を、既存の外装材10全体(および新規金属外装材11全体)を覆い隠すように設置したものである。
【0052】
全遮熱外装構造1は、既存の外装材10の凸形状部位10aに新規金属外装材11の凸形状部位11bが、支持部材14等を挟んで重なるように、既存の外装材10に対して新規金属外装材11が配置されている。即ち、既存の外装材10と新規金属外装材11との間に遮熱材120を挟み込んで遮熱層12を形成させている。
既存の外装材10と新規金属外装材11とは、凸形状部位10aと凸形状部位11bとが重なり合い、また、凹形状部位10bと凹形状部位11aとが重なり合うように、支持部材14を介して配置されている。
また、既存の外装材10と新規金属外装材11との間は、平坦に設置された(凹形状部位11aと支持部材14との間に挟み込まれた)遮熱材120によって仕切られている。
【0053】
このように、既存の外装材10と新規金属外装材11との間が遮熱材120によって仕切られることにより、凹形状部位10bと遮熱材120(遮熱層12)によって囲まれた空洞が形成され、この空間が通気帯13になる。
また、凸形状部位11bと遮熱材120(遮熱層12)によって囲まれた空洞が形成され、この空間が通気帯13になる。
即ち、全遮熱外装構造1は、遮熱層12を挟んで、二層の通気層(通気帯13)を備えている。換言すると、全遮熱外装構造1の遮熱材120は、既存の外装材10側および新規金属外装材11側の両方に通気帯13が設けられている。
【0054】
図2は、
図1の全遮熱外装構造1に備えられる支持部材14および支持部材14が固定される既存の外装材10を示す説明図である。この図は、新規金属外装材11および遮熱材120(遮熱層12)を除いた全遮熱外装構造1を、
図1において上方(新規金属外装材11側)から見た場合の状態を示している。
既存の外装材10(および新規金属外装材11)は、前述のように複数の凹凸形状を有する。各凸形状部位10a(各凸形状部位11b)は、同一方向に延設され、それぞれ平行に配置されている。また各凹形状部位10b(各凹形状部位11a)についても、同様に形成され、即ち、凸形状部位10a(凸形状部位11b)と同一方向に延設され、また、それぞれ平行に配置されている。
【0055】
支持部材14は、例えば、全遮熱外装構造1に複数備えられた金属製の長板形状の部材(フラットバー)、または、角棒形状の部材であり、長手方向が凸形状部位10a等の延設方向と直交するように配置されて、各凸形状部位10aの上端部分に、固定部材14aを用いて固定されている。固定部材14aは、例えば、コーチボルト、固定用ステー部材等である。
なお、
図2に示されていない遮熱材120は、例えば、表面が平坦になるように、また、支持部材14の上側(外側)に被せるように(積層するように)配置される。
また、全遮熱外装構造1は、遮熱材120の上側(外側)に新規金属外装材11が重ねられ、当該新規金属外装材11が、例えば、図示を省略した固定部材14a等を用いて支持部材14に固定されている。
【0056】
図3は、
図1の全遮熱外装構造1に備える遮熱材120の構成を示す断面図である。遮熱材120は、前述のように既存の外装材10(および新規金属外装材11)の表面全体を覆うことができる大きさ形状を有するシート形状の部材である。
遮熱材120は、例えば、不織布やガラス繊維等によって形成された基材層123の両面(図中上下の両層)に、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材(例えばアルミホイル122ならびにアルミホイル124)をそれぞれ密着させている。
遮熱材120は、アルミホイル122の外側(図中上側)に、輻射熱等を高い効率で透過させる樹脂によって形成された高透過樹脂層121が積層されている。また、アルミホイル124の外側(図中下側)に、高透過樹脂層121と同様な樹脂によって形成された高透過樹脂層125が積層されている。
【0057】
遮熱材120は、例えば、高透過樹脂層121、アルミホイル122、基材層123、アルミホイル124、高透過樹脂層125をそれぞれ密着させ、各層間に空気層が形成されないように構成されている。
遮熱材120は、上記のように構成することにより、高透過樹脂層121側の表面から入射した輻射熱を、当該高透過樹脂層121の外側へ反射し、高透過樹脂層125側の表面から入射した輻射熱を、当該高透過樹脂層125の外側へ反射することができる。
このような遮熱材120を既存の外装材10と新規金属外装材11との間に配置することにより、前述のように建物の外部から入射する輻射熱を新規金属外装材11側に反射することができ、また、前述のように通気帯13を備えることにより、新規金属外装材11から伝導する熱を抑制することができる。即ち、建物の室内側の温度上昇を抑制することができる。
また、建物の室内側から外部に向かう輻射熱を室内側に反射することができ、室内の暖房効率を良好にすることができる。
【0058】
[実施の形態2]
図4は、本開示の実施の形態2による全遮熱外装構造2の断面図である。
全遮熱外装構造2は、波形スレート材である既存の外装材20に、既存の外装材20と同様な波形の新規金属外装材21を設置したもので、概ね、全遮熱外装構造1の既存の外装材10を既存の外装材20に替えて、また、新規金属外装材11を新規金属外装材21に替えて構成されたものである。
【0059】
既存の外装材20は、上記のように波形スレート材であり、表面に複数の凸形状部位20aと凹形状部位20bと設けて波形の凹凸を有するように構成されている。
既存の外装材20は、建物のフレーム材等と凸形状部位とを繋ぐことができる長さのコーチボルトを固定部材14bとして使用し、建物の外側部分に固定されている。
新規金属外装材21は、新規金属外装材11と同様な金属を用いて形成されたもので、新規金属外装材21の表面が、既存の外装材20の波形と同様な形状になる、複数の凸形状部位21bおよび凹形状部位21aを有している。
【0060】
全遮熱外装構造2は、既存の外装材20の凸形状部位20aに新規金属外装材21の凸形状部位21bが、支持部材14等を挟んで重なるように、既存の外装材20に対して新規金属外装材21が配置されている。即ち、既存の外装材20と新規金属外装材21との間に遮熱材120を挟み込んで遮熱層12を形成させている。
既存の外装材20と新規金属外装材21とは、凸形状部位20aと凸形状部位21bとが重なり合い、また、凹形状部位20bと凹形状部位21aとが重なり合うように、支持部材14を介して配置されている。
また、既存の外装材20と新規金属外装材21との間は、平坦に設置された(凸形状部位20aと支持部材14との間に挟み込まれた)遮熱材120によって仕切られている。
なお、この遮熱材120(遮熱層12)は、全遮熱外装構造1に備えた遮熱材120と同様に構成されたものである。
【0061】
全遮熱外装構造2は、既存の外装材20と新規金属外装材21との間を遮熱材120が仕切っており、凹形状部位20bと遮熱材120(遮熱層12)によって囲まれた空洞が形成され、この空間が通気帯13になる。
また、凸形状部位21bと遮熱材120(遮熱層12)によって囲まれた空洞が形成され、この空間が通気帯13になる。
即ち、全遮熱外装構造2は、遮熱層12を挟んで、二層の通気層(通気帯13)を備えている。換言すると、全遮熱外装構造2の遮熱材120は、既存の外装材20側および新規金属外装材21側の両方に通気帯13が設けられている。
【0062】
全遮熱外装構造2は、例えば、全遮熱外装構造1と同様な支持部材14を備え、当該支持部材14を用いて、既存の外装材20に新規金属外装材21が設置固定されている。
図4に例示した全遮熱外装構造2は、建物に固定された既存の外装材20の外側表面を覆うように遮熱材120(遮熱層12)を設置し、この遮熱材120の上側に支持部材14を設置している。即ち、この遮熱材120は、支持部材14の下側に積層するように配置されている。また、この遮熱材120(遮熱層12)は、遮熱材120の表面が平坦になるように設置されている。
全遮熱外装構造2の支持部材14は、例えば、既存の外装材20を建物に固定している固定部材14bによって、当該既存の外装材20に固定されている。
【0063】
新規金属外装材21は、支持部材14の上側(外側)に重ねられ、例えば、凸形状部位21bと支持部材14とを繋ぐことができる固定部材14b等を用いて、支持部材14に固定されている。
【0064】
波形に形成された新規金属外装材21を用いた全遮熱外装構造2においても、前述の全遮熱外装構造1と同様に、建物の外部から入射する輻射熱を新規金属外装材21側に反射することができ、また、前述のように通気帯13を備えることにより、新規金属外装材21等から伝導する熱を抑制することができる。即ち、建物の室内側の温度上昇を抑制することができる。
また、建物の室内側から外部に向かう輻射熱を室内側に反射することができ、室内の暖房効率を良好にすることができる。
【0065】
図5は、実施の形態2による全遮熱外装構造2aを示す断面図である。
全遮熱外装構造2aは、前述の新規金属外装材21の内側表面に遮熱材120を設置したもので、それ以外の部分は、
図4に示したものと同様に構成されている。
全遮熱外装構造2aは、前述の全遮熱外装構造2において既存の外装材20と接するように、また、表面が平坦となるように設置されていた遮熱材120を、新規金属外装材21の内側表面(既存の外装材20側の表面)に沿って貼付け固定したものである。
図5の遮熱材120(遮熱層12)は、新規金属外装材21との間に空気層等が生じないように密着させて備えられている。
即ち、全遮熱外装構造2aの遮熱材120は、既存の外装材20側に通気帯13が設けられている。換言すると、全遮熱外装構造2aは、一層の通気層(通気帯13)を備えている。なお、全遮熱外装構造2aにおいて、支持部材14が気密性を備えるように構成されている場合には、この支持部材14によって既存の外装材20と新規金属外装材21との間が仕切られ、二層の通気層(通気帯13)を備えた構成になる。
【0066】
上記のように、遮熱材120を新規金属外装材21の内側表面に密着させることにより、建物の外側、即ち、新規金属外装材21の外側から入射する輻射熱を、新規金属外装材21の外側に向かって反射することができ、さらに効率よく室内側の温度上昇を抑制することができる。
【0067】
[実施の形態3]
図6は、本開示の実施の形態3による全遮熱外装構造3の断面図である。
全遮熱外装構造3は、コンクリート製の既存の外装材30、前述の新規金属外装材11等と同様な金属によって形成された新規金属外装材31、前述の遮熱材120によって形成された遮熱層12を備えている。
【0068】
全遮熱外装構造3は、例えば、建物の外壁等(既存の外装材30)の外側表面に、遮熱材120(遮熱層12)を積層し、また、遮熱材120に新規金属外装材31を積層させている。
既存の外装材30は、外側表面が平坦に形成されている。
新規金属外装材31は、例えば、新規金属外装材11と同様な凹凸形状を有しており、複数の凸形状部位31bおよび凹形状部位31aが形成されている。
また、凸形状部位31bと既存の外装材30の外側表面によって囲われた空洞が形成され、この空洞が全遮熱外装構造3の通気帯13になる。
即ち、全遮熱外装構造3は、一層の通気層(通気帯13)を備えている。
全遮熱外装構造3の遮熱材120(遮熱層12)は、例えば、新規金属外装材31の内側表面に沿って備えられ、即ち、新規金属外装材31の内側表面に密着させて貼付け固定されている。換言すると、全遮熱外装構造3の遮熱材120は、既存の外装材30側に通気帯13が設けられている。
なお、
図6には、後述する支持部材34の図示を省略している。
【0069】
図7は、実施の形態3による全遮熱外装構造3の構成を示す説明図である。
全遮熱外装構造3は、前述のようにコンクリート製外壁等の既存の外装材30に、新規金属外装材31を設置している。
内側表面に遮熱材120が貼り付け固定された新規金属外装材31は、例えば、複数の細い平板形状の金属部材(フラットバー)等を格子形状に配置して形成された支持部材34に、図示を省略した固定部材等を用いて固定されている。
【0070】
具体的には、新規金属外装材31は、例えば、各凹形状部位31aを支持部材34に当接させ、これらの部位に貫通させたボルト等の固定部材を用いて支持部材34に固定されている。このとき、凹形状部位31aと支持部材34との間に遮熱材120の一部分が挟み込まれる。
格子形状の支持部材34は、例えば、ボルトおよびステー部材等によって構成された固定部材14cによって、コンクリート製の既存の外装材30に固定されている。
【0071】
全遮熱外装構造3は、遮熱材120を新規金属外装材31の内側表面に密着させることにより、建物の外側、即ち、新規金属外装材31の外側から入射する輻射熱を、新規金属外装材31の外側に向かって反射することができ、効率よくコンクリート製の既存の外装材30(室内側)の温度上昇を抑制することができる。また、遮熱材120と既存の外装材30との間に通気帯13を備えることにより、新規金属外装材31等から既存の外装材30に伝導する熱を抑制することができる。
【0072】
[実施の形態4]
図8は、本開示の実施の形態4による全遮熱外装構造4の断面図である。
全遮熱外装構造4は、例えば、RC造の建物屋上等の外側表面に、遮熱材120(遮熱層12)を積層し、また、遮熱材120に新規金属外装材41を積層させている。
既存の外装材40は、例えば、RC造建物の陸屋根を形成するもので、外側もしくは上側表面等が平坦に形成された外装材等である。
新規金属外装材41は、例えば、新規金属外装材11と同様な凹凸形状を有しており、複数の凸形状部位41bおよび凹形状部位41aが形成されている。
また、新規金属外装材41は、図示を省略した例えば固定部材等によって既存の外装材40に固定されている。
【0073】
全遮熱外装構造4は、凸形状部位41bと既存の外装材40の表面によって囲われた空洞が形成され、この空洞が全遮熱外装構造4の通気帯13になる。
即ち、全遮熱外装構造4は、一層の通気層(通気帯13)を備えている。換言すると、全遮熱外装構造4の遮熱材120は、新規金属外装材11側に通気帯13が設けられている。
全遮熱外装構造4は、例えば、建物の屋上の平坦な表面(既存の外装材40の表面)に遮熱材120を設置固定している。即ち、全遮熱外装構造4は、新規金属外装材41の凹形状部位41aと既存の外装材40との間に遮熱材120を挟み込んで、当該遮熱材120を平坦に設置している。
【0074】
なお、全遮熱外装構造4は、例えば、実施の形態1等で説明した支持部材14、実施の形態3で説明した支持部材14等を備え、この支持部材14を用いて、既存の外装材40に新規金属外装材41を設置固定するように構成してもよい。また、この支持部材14の新規金属外装材41側の表面(または既存の外装材40側の表面)に、遮熱材120を設置してもよい。
このように構成すると、RC造建物の陸屋根に適用される遮熱外装構造4は、上記のように凸形状部位14bと遮熱材120(支持部材14)との間に空洞が設けられ、また、遮熱材120(支持部材14と)既存の外装材40との間に空洞が設けられ、これらの空洞を通気層(通気帯13)とすることができる。即ち、全遮熱外装構造4は、前述の全遮熱外装構造1等のように、遮熱材120(遮熱層12)によって仕切られた二層の通気層を有するものになる。
【0075】
上記のように遮熱材120(遮熱層12)を既存の外装材40と新規金属外装材41との間に配置し、遮熱材120と新規金属外装材41との間に通気帯13を備えることにより、建物の外部等から入射する輻射熱を新規金属外装材41側に反射し、既存の外装材40への熱伝導を抑えることにより、建物の室内側の温度上昇を抑制することができる。
また、建物の室内側から外部に放射される輻射熱を室内側に反射することができ、室内の暖房効率を良好にすることができる。
【0076】
次に本件発明の全遮熱外装構造による遮熱試験を説明する。
【0077】
[試験1]
既存の外装材の屋外側に、新規の外装材を設けるとき、遮熱材は何処の位置が好ましいかの試験で有る。又、既存の外装材と新規の外装材の間に出来た空間は、静止空気工法と通気工法どちらが良いかを検証する。
また、一般的に鉄板屋根材はこれ迄最高の温度が80[℃]程度あったが、今回は将来の温度上昇に対応する為の外装構造が目的であるから、外壁の温度を90[℃]近くまで上昇させて検証する。
【0078】
図9は、試験1の測定系の概略構成を示す説明図である。
遠赤外線ヒーター1[kw]の前方300[mm]の位置に、外壁に使用する角波ガルバリウム鋼板(登録商標)の内壁側を重ねて、断面が連続する二つの六角形になる様にした二つの試験セットを置いた。何れのセットも、六角形の二連形状で、ヒーターに対して鉛直になる様に設置した。
一つ目のセットは、ヒーター側の内側に両者共遮熱材(日本遮熱株式会社製THB-X0.2[mm]、両面電触処理済)を直貼りし、左側の(A)は上下を開放して通気し、右側(B)は上下とも密封し静止空気の状態にした。
二つ目のセットは、六角形の中央に遮熱材を挟み込み、ヒーター側の空間とヒーターと反対側の空間とが別の空間になる様に施工した。左側(C)は、ヒーター側を密封し静止空気の状態とし、反対側を通気工法とした。また、右側(D)は、その反対でヒーター側の空間を通気工法、ヒーターと反対側の空間を密封空間とした。
なお、
図9に記載の「No.1」~「No.15」は、温度の各測定位置を表す。
【0079】
この状態で、ヒーター側が概ね70[℃]から90[℃]位になる迄昇温した。室温は、概ね25[℃]前後で有った。
このときの測定結果を、次の表1および
図10の温度測定結果を示す説明図(グラフ)に示す。なお、
図10のグラフは、縦軸が温度、横軸が時間を示している。
【0080】
【0081】
(1)16時30分、ヒーターと反対側の温度のサンプル(A)は54.3[℃]、サンプル(B)は58.6[℃]でサンプル(A)の方が4.3[℃]低い。通気工法の冷却効果は大きい事が解る。
(2)同時刻のヒーターと反対側の(C)の温度は51.3[℃]と最も低く、(D)は52.4[℃]でその差は1.1[℃]であった。このデータから見て、こちらも遮熱材の放射側に通気工法が好ましい事がわかる。
(3)同時刻のヒーターと反対側の温度全体を見ると、(C)が一番低温で、続いて(D)、更に(A)、(B)の順である。即ち、既存の外装材と新規の外装材の間に、大きな空間があるよりも小さな空間が複数ある方が断熱性は高いと言える。
【0082】
(4)同時刻のヒーター側温度とヒーターと反対側温度の差を見ると、(A)は26.5[℃]、(B)は25.3[℃]、(C)は、27.5[℃]、(D)は25.5[℃]である。温度差の大きい順は、(C)、(A)、(D)、(B)の順である。このことから、ヒーターと反対側に通気層が有る事が好ましい事が解る。
(5)同時刻のサンプル(C)と(D)のヒーター側温度を比較すると、(C)は68.9[℃]、(D)は73.8[℃]と、通気工法の(D)の方が4.9[℃]も高い事が解る。これは、通気によりヒーター側の温度(熱エネルギー)が沢山移動している為である。
(6)同時刻のサンプル(C)と(D)のヒーターと反対側温度を比較すると、(C)は57.0[℃]、(D)は60.2[℃]でその差は3.2[℃]である。即ち、遮熱材の放射側温度を通気する事が好ましい事が解る。
【0083】
(7)16時55分、ヒーターと反対側の温度サンプル(A)は57.5[℃]、(B)は61.9[℃]でその差は4.4[℃]でこちらも通気工法の方が低い事が解る。
(8)同時刻のヒーターと反対側の温度サンプル(C)は53.6[℃]、(D)は54.8[℃]でその差は1.2[℃]で、こちらも遮熱材の放射側に通気工法が採用されている方が低温になる事がわかる。
(9)同時刻のヒーターと反対側の温度全体を見ると、(C)が一番低温で、続いて(D)、更に(A)、(B)の順である。即ち、既存の外装材と新規の外装材の間に、大きな空間があるより小さな空間が複数ある方が断熱性は高いと言える。
(10)同時刻のヒーター側温度とヒーターと反対側温度の差を見ると、(A)は30.6[℃]、(B)は28.9[℃]、(C)は、31.3[℃]、(D)は29.2[℃]である。温度差の大きい順は、(C)、(A)、(D、)(B)の順である。このことから、ヒーターと反対側に通気層が有る事が好ましい事が解る。
【0084】
[考察1]
(1)既存の外装材と新規外装材との空間は、一つの空間にするより二つの空間に分離する事が効果的な断熱工法である。
(2)更に、前記空間を分離するには遮熱材が有効である。
(3)大空間にしろ、分離された小さな空間であれ、遮熱材の放射側は通気して冷却する事が好ましい。
【0085】
[試験2]
既存の外装材の屋外側に、新規の外装材を設ける時、遮熱材は何処の位置が好ましいかの試験である。但し、前記試験1と粗同様であるが、特に遮熱材の両側に空間がある場合、両方とも静止空気工法が良いか或いは通気工法が良いかの検証である。
また、一般的に鉄板屋根材はこれ迄最高の温度が80[℃]程度あったが、今回も将来の温度上昇に対応する為の外装構造が目的であるから、外壁の温度を90[℃]近くまで上昇させて検証する。
【0086】
図11は、試験2の測定系の概略構成を示す説明図である。
試験2の測定系は、試験1と同様に、遠赤外線ヒーター1[kw]の前方300[mm]の位置に、外壁に使用する角波ガルバリウム鋼板(登録商標)の内壁側を重ねて、断面が連続する二つの六角形になる様にした二つの試験セットを置いた。何れのセットも、六角形の二連形状で、ヒーターに対して鉛直になる様に設置した。
試験2の一つ目のセットの(A)および(B)は、試験1で使用した(A)および(B)と同様なものである。
試験2の二つ目のセットは、六角形の中央に遮熱材を挟み込み、左側(C)はヒーター側の空間およびヒーターと反対側の空間に通気工法を施工した。また、右側(D)は、その反対でヒーター側の空間およびヒーターと反対側の空間を密封空間とした。
なお、
図11に記載の「No.1」~「No.15」は、温度の各測定位置を表す。
【0087】
この状態で、ヒーター側が概ね70[℃]から90[℃]位になる迄昇温した。室温は、概ね25[℃]前後で有った。
このときの測定結果を、次の表2および
図12の温度測定結果を示す説明図(グラフ)に示す。なお、
図12のグラフは、縦軸が温度、横軸が時間を示している。
【0088】
【0089】
(1)16時10分、ヒーター側の温度が前回試験1の80.8[℃]より0.2[℃]高い81.0[℃]の時の比較をする。ヒーターと反対側の温度は、(C)が51.5[℃]、(D)が52.7[℃]で前回の試験1と同様1.2[℃]の差であった。他の数値を見ても大きな変化は無い。
【0090】
[考察2]
(1)遮熱材放射側に空気層が有る事は前回の試験1と同様重要であることは解るが、遮熱材のヒーター側に空気層があっても大きな差は出来ない事が解った。
(2)又、通気工法が静止空気工法より良い事は前回の試験1と同様である。
【0091】
以上のように、本件発明の実施の形態によれば、これ迄、ビルの省エネルギー対策には遮熱塗装位しかなかったが、大きな省エネルギーが可能で有ると同時に、塗装等のメンテナンス軽費が大幅に低減する。
また、スレート屋根のアスベスト飛散防止が出来るだけでなく、最も外側が金属製外装材となり耐久性能が25年以上伸びて大きなメリットがある。
また、金属製の外装材を用いることにより、色の退色が少なくいつまでも綺麗な状況が保たれる。
また、屋外側の外装工事なので、室内の生産設備等を停止する必要も無く、生産ロスが全くない。即ち、年間を通して何時でも施工することが可能になる。
【符号の説明】
【0092】
1,2,2a,3,4 全遮熱外装構造(遮熱外装構造)
10 既存の外装材
10a 凸形状部位
10b 凹形状部位
11 新規金属外装材
11a 凹形状部位
11b 凸形状部位
12 遮熱層
13 通気帯
14 支持部材
14a,14b,14c 固定部材
20 既存の外装材
20a 凸形状部位
20b 凹形状部位
21 新規金属外装材
21a 凹形状部位
21b 凸形状部位
30 既存の外装材
31 新規金属外装材
34 支持部材
40 既存外装材
41 新規金属外装材
120 遮熱材
121,125 高透過樹脂層
122,124 アルミホイル
123 基材層
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造、RC造、石造または木造等建物の、金属材、コンクリート材、スレート材、石材または木材を用いた屋根あるいは壁等既存の外装材と、
前記既存の外装材の外側に設置され、凹凸形状に形成された新規金属外装材と、
前記既存の外装材と前記新規金属外装材との間を仕切るように設置された遮熱材と、
を備え、
前記既存の外装材と凹凸形状に形成された前記新規金属外装材との間に生じる空洞によって、前記既存の外装材と前記新規金属外装材との間の通気を行う通気帯が複数形成されている、
ことを特徴とする遮熱外装構造。
【請求項2】
前記遮熱材は、
不織布またはガラス繊維の片面あるいは両面にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材が取り付けられ内部に空気層が生じないように形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の遮熱外装構造。
【請求項3】
前記新規金属外装材を前記既存の外装材の外側部分に設置する支持部材を備え、
前記遮熱材は、
前記支持部材の上側又は下側に設置され、
前記支持部材と前記既存の外装材との間、および、前記遮熱材と前記新規金属外装材との間に前記通気帯が形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮熱外装構造。
【請求項4】
前記遮熱材は、
前記新規金属外装材と前記既存の外装材との間に挟み込んで設置され、
前記遮熱材の、前記新規金属外装材側または前記既存の外装材側のいずれか一方に、あるいは、前記新規金属外装材側および前記既存の外装材側の両方に、前記通気帯が形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮熱外装構造。
【請求項5】
前記通気帯は、
少なくとも前記遮熱材が前記建物外部からの熱を放射する側において通気するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遮熱外装構造。
【請求項6】
前記既存の外装材は、前記RC造建物の陸屋根の外装材である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遮熱外装構造。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造、RC造、石造または木造等建物の、金属材、コンクリート材、スレート材、石材または木材を用いた屋根あるいは壁等既存の外装材と、
前記既存の外装材の外側に設置され、凹凸形状に形成された新規金属外装材と、
前記既存の外装材と前記新規金属外装材との間を仕切るように設置された遮熱材と、
を備え、
前記既存の外装材と凹凸形状に形成された前記新規金属外装材との間に生じる空洞によって、前記既存の外装材と前記新規金属外装材との間の通気を行う通気帯が複数形成され、
前記通気帯は、前記遮熱材の放射側に形成され、かつ前記既存の外装材の形状又は前記新規金属外装材の形状に沿って台形状又は半円形状に形成されている、
ことを特徴とする遮熱外装構造。
【請求項2】
前記遮熱材は、
不織布またはガラス繊維の片面あるいは両面にアルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材が取り付けられ内部に空気層が生じないように形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の遮熱外装構造。
【請求項3】
前記新規金属外装材を前記既存の外装材の外側部分に設置する支持部材を備え、
前記遮熱材は、
前記支持部材の上側又は下側に設置され、
前記支持部材と前記既存の外装材との間、および、前記遮熱材と前記新規金属外装材との間に前記通気帯が形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮熱外装構造。
【請求項4】
前記遮熱材は、
前記新規金属外装材と前記既存の外装材との間に挟み込んで設置され、
前記遮熱材の、前記新規金属外装材側または前記既存の外装材側のいずれか一方に、あるいは、前記新規金属外装材側および前記既存の外装材側の両方に、前記通気帯が形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮熱外装構造。
【請求項5】
前記通気帯は、
少なくとも前記遮熱材が前記建物外部からの熱を放射する側において通気するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遮熱外装構造。
【請求項6】
前記既存の外装材は、前記RC造建物の陸屋根の外装材である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遮熱外装構造。