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特開2023-82862メラニン産生促進剤、毛髪化粧料、及び白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082862
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】メラニン産生促進剤、毛髪化粧料、及び白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9717 20170101AFI20230608BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61K 36/04 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230608BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61K8/9717
A61Q5/00
A61K36/04
A61P17/00
A61P43/00 111
A61K8/34
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196839
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】大石 泉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 ほたか
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD532
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE16
4C083EE24
4C083FF01
4C088AA14
4C088AC01
4C088BA09
4C088CA05
4C088MA16
4C088MA17
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA92
4C088ZC02
(57)【要約】
【課題】優れたメラニン産生促進作用を有するメラニン産生促進剤、優れたメラニン産生促進作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れる毛髪化粧料、並びに、優れたメラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れる白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)ウシケノリ科アマノリ属の海藻の水抽出物を含有するメラニン産生促進剤である。また、前記メラニン産生促進剤を含有する毛髪化粧料及び白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウシケノリ科アマノリ属の海藻の水抽出物を含有することを特徴とするメラニン産生促進剤。
【請求項2】
更に、(B)1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載のメラニン産生促進剤。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載のメラニン産生促進剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項4】
請求項1から2のいずれかに記載のメラニン産生促進剤を含有することを特徴とする白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニン産生促進剤、毛髪化粧料、及び白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
白髪化は生理的な老化現象のひとつであり、近年、頭皮の毛包中の色素細胞が老化やストレスにより機能が低下することで起こることが分かってきた。しかしながら、白髪化のメカニズムは多数存在し、かつそのメカニズムは個人差によっても複数存在するため、原因を究明することは困難である。そのため、白髪化の予防又は改善には、従来の対症療法的な対応である染毛剤が依然として多く用いられている。
【0003】
一方で、白髪そのものの発生を本質的に改善又は防止する白髪の予防又は改善剤の開発も進められており、色素細胞におけるメラニン産生を促進させる成分が見出され、そのような成分を用いたメラニン産生促進剤や白髪防止・改善剤が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
しかしながら、上記提案のようなメラニン産生促進剤や白髪防止・改善剤は、有効成分の含有量が少なかったり、細胞毒性を呈したりするなどの問題があり、その効果は十分満足できるものではないという課題があった。
【0005】
したがって、優れたメラニン産生促進作用を有する新たな有効成分の探索や、前記有効成分を含有し、白髪を予防又は改善することができる新たな毛髪化粧料の提供が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-315442号公報
【特許文献2】特開2000-212056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたメラニン産生促進作用を有するメラニン産生促進剤、優れたメラニン産生促進作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れる毛髪化粧料、並びに、優れたメラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れる白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)ウシケノリ科アマノリ属の海藻の水抽出物を含有することを特徴とするメラニン産生促進剤である。
<2> 更に、(B)1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する前記<1>に記載のメラニン産生促進剤である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載のメラニン産生促進剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料である。
<4> 前記<1>から<2>のいずれかに記載のメラニン産生促進剤を含有することを特徴とする白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れたメラニン産生促進作用を有するメラニン産生促進剤、優れたメラニン産生促進作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れる毛髪化粧料、並びに、優れたメラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れる白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(メラニン産生促進剤)
本発明のメラニン産生促進剤は、(A)ウシケノリ科アマノリ属の海藻の水抽出物を含有し、更に(B)1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0011】
<(A)ウシケノリ科アマノリ属の海藻の水抽出物>
前記(A)成分としてのウシケノリ科(Bangiaceae)アマノリ属(Neopyropia)の海藻の水抽出物は、主にメラニン産生促進作用を向上させるために含有される。
【0012】
前記ウシケノリ科(Bangiaceae)アマノリ属(Neopyropia)の海藻は、紅藻植物門(Rhodophyta)真正紅藻亜門(Eurhodophytina)ウシケノリ綱(Bangiophyceae)ウシケノリ目(Bangiales)ウシケノリ科(Bangiaceae)アマノリ属(Neopyropia)に属する植物であり、その入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0013】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の抽出原料となる前記アマノリ属に属する海藻の種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アサクサノリ(Neopyropia tenera)、ウタスツノリ(Neopyropia kinositae)、カイガラアマノリ(Neopyropia tenuipedalis)、カヤベノリ(Neopyropia moriensis)、スサビノリ(Neopyropia yezoensis)、ソメワケアマノリ(Neopyropia katadae)、ベンテンアマノリ(Neopyropia ishigecola)、マルバアサクサノリ(Neopyropia kuniedae)、ヤブレアマノリ(Neopyropia lacerata)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の抽出原料となる前記アマノリ属に属する海藻の種としては、メラニン産生促進作用が高い点で、アサクサノリ、スサビノリが好ましく、スサビノリがより好ましい。
【0014】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法により容易に得ることができ、例えば、抽出溶媒としての水を満たした処理槽に前記抽出原料として使用する海藻を浸漬し、必要に応じて適宜攪拌又はホモジナイズしながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより前記アマノリ属の海藻の水抽出物を得る方法などが挙げられる。また、前記抽出残渣を使用して更に上記抽出操作を繰り返すことにより、抽出効率を向上させてもよい。更に得られた水抽出物を粗精製物又は精製してもよい。
【0015】
前記抽出原料として使用する前記アマノリ属の海藻の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
【0016】
前記抽出原料として使用する前記アマノリ属の海藻の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、搾汁の状態などが挙げられる。
【0017】
前記アマノリ属の海藻を前記乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
【0018】
前記アマノリ属の海藻を前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
【0019】
前記アマノリ属の海藻を前記搾汁の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
【0020】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の抽出溶媒としては、水であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の抽出溶媒のpHとしては、極端な酸性又はアルカリ性に傾かない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
前記抽出溶媒としての水の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抽出原料として使用する前記アマノリ属の海藻の2倍量~10倍量(質量比)が好ましい。
【0023】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の抽出条件(抽出時間、抽出温度、圧力等の雰囲気条件など)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の可溶性成分を溶出するための抽出時間としては、通常、10分間~1時間程度である。
前記抽出溶媒の温度としては、室温又は使用する抽出溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記抽出の際の圧力としては、常圧(101.325kPa)であってもよいが、101.325kPa~1,013.325kPaが好ましい。
【0024】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アマノリ属の海藻の水抽出物そのものであってもよく、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の粗精製物又は精製物、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の濃縮物、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の希釈物、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の乾燥物、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の凍結乾燥物などであってもよい。また、前記アマノリ属の海藻の水抽出物は、前記アマノリ属の海藻の水抽出物の乾燥物又は凍結乾燥物を、再度水に混合又は溶解させたものであってもよく、粉末状にしたものであってもよく、ペースト状に調製したものであってもよい。
【0025】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、液-液分配抽出、膜分離などが挙げられる。これらの精製方法は、1種単独で行ってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記アマノリ属の海藻の水抽出物の市販品としては、例えば、商品名で、IPF-100K(スサビノリエキス)、アルゲフィルマー(スサビノリエキス)(以上、一丸ファルコス株式会社製)などが挙げられる。
【0027】
前記メラニン産生促進剤における前記アマノリ属の海藻の水抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記メラニン産生促進剤全量に対して、固形分含有量として、0.0001質量%以上、0.001質量%以上などが挙げられ、また、その上限値としては、例えば、前記メラニン産生促進剤全量に対して、固形分含有量として、1質量%以下、0.1質量%以下などが挙げられるが、メラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用の点から、前記メラニン産生促進剤全量に対して、固形分含有量として、0.0001質量%~1質量%が好ましく、0.001質量%~0.1質量%がより好ましい。前記アマノリ属の海藻の水抽出物の含有量(固形分含有量)が、0.0001質量%以上又は0.1質量%以下であると、メラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用が良好である。
【0028】
<(B)1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種>
前記メラニン産生促進剤は、血流量増加による経皮吸収性の向上及び白髪の予防又は改善作用の向上の点から、更に前記(B)成分としての1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、1,3-ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、1,3-ブチレングリコールを含有することが更に好ましい。
【0029】
前記メラニン産生促進剤が前記(B)成分を含有すると、血流量増加作用により経皮吸収性が向上するため、前記(A)成分との相乗効果により、メラニン産生促進作用が更に向上し、これにより白髪の予防又は改善作用が更に優れる点で好ましい。
【0030】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平均分子量190~210のポリエチレングリコール200、平均分子量280~320のポリエチレングリコール300、平均分子量380~420のポリエチレングリコール400、平均分子量570~630のポリエチレングリコール600などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、血流量増加による経皮吸収性の向上及び白髪の予防又は改善作用の点から、平均分子量280~320のポリエチレングリコール300が好ましい。
なお、本明細書において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、医薬部外品原料規格2006(薬事日報社)収載のポリエチレングリコール200の試験法(p1378)を準用して測定した値である。
【0031】
前記(B)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の製造方法により適宜製造してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(B)成分の1,3-ブチレングリコールの市販品としては、例えば、商品名で、1,3-BG(株式会社ダイセル製)などが挙げられる。
前記(B)成分のグリセリンの市販品としては、例えば、商品名で、化粧品用濃グリセリン(阪本薬品工業株式会社製)などが挙げられる。
前記(B)成分のジプロピレングリコールの市販品としては、例えば、商品名で、DPG(交洋ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。
前記(B)成分のポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、商品名で、PEG-300(ポリエチレングリコール300)、PEG-400(ポリエチレングリコール400)、PEG-600(ポリエチレングリコール600)(以上、三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。
【0032】
前記メラニン産生促進剤における前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記メラニン産生促進剤全量に対して、0.01質量%以上、0.3質量%以上などが挙げられ、また、その上限値としては、例えば、前記メラニン産生促進剤全量に対して、30質量%以下、5質量%以下などが挙げられるが、血流量増加による経皮吸収性の向上及び白髪の予防又は改善作用の点から、前記メラニン産生促進剤全量に対して、0.01質量%~30質量%が好ましく、0.3質量%~5質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.01質量%以上であると、血流量増加による経皮吸収性の向上及び白髪の予防又は改善作用が良好であり、30質量%以下であると、頭皮にべたつきが生じず使用性が良好である。
【0033】
<その他の成分>
前記メラニン産生促進剤は、前記(A)成分及び前記(B)成分の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更にその他の成分を配合することができる。
【0034】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記メラニン産生促進剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、両性界面活性剤等)、ポリマー(例えば、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー等)、前記(B)成分以外のポリオール類、有機塩類、保湿剤、トニック剤、可溶化剤、酸化防止剤(例えば、BHTジブチルヒドロキシトルエン、α-トコフェロール等)、殺菌剤(例えば、トリクロサン、トリクロロカルバン等)、粘度調整剤(例えば、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等)、紫外線吸収剤、タンパク質誘導体、前記(A)成分以外の動植物抽出物、フケ防止剤(例えば、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等)、抗炎症剤(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム等)、防腐剤(例えば、安息香酸及びその塩、パラベン類等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、トリエタノールアミン等)、パール化剤(例えば、エチレングリコールジ脂肪酸エステル等)、乳濁剤、ハイドロトロープ、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈性溶媒、水、エキス類、色素、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
-製造方法-
前記メラニン産生促進剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温(例えば、25℃)の環境下において、前記(A)成分、好ましくは更に前記(B)成分、更に必要に応じて前記その他の成分を混合させ、撹拌しながら各成分を溶解させる方法などが挙げられる。
【0036】
前記メラニン産生促進剤は、装置を用いて調製してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる撹拌羽根を備えた撹拌装置などが挙げられる。
前記撹拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0037】
-用途-
前記メラニン産生促進剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メラニン産生細胞に対して優れたメラニン産生促進作用を有するため、例えば、皮膚の褐色化のため、白斑の予防又は治療のため、白髪の予防又は改善のためなどに好適に用いることができる。したがって、前記メラニン産生促進剤は、これらの用途に用いられる化粧品、医薬部外品、医薬品などとして好適に用いられる。また、前記メラニン産生促進剤は、皮膚の褐色化剤、白斑の予防又は治療剤などとしても好適に用いることができ、前記皮膚の褐色化剤及び前記白斑の予防又は治療剤も本発明の範囲である。これらの中でも、前記メラニン産生促進剤は、後述する本発明の毛髪化粧料及び白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料に特に好適に用いられる。
【0038】
(毛髪化粧料及び白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料)
本発明の毛髪化粧料は、本発明のメラニン産生促進剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明の白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、本発明のメラニン産生促進剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
以下に、本発明の毛髪化粧料及び本発明の白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料について説明する。
【0039】
本発明の白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、本発明のメラニン産生促進剤の優れたメラニン産生促進作用に基づき白髪を予防又は改善することができるものである。また、前記メラニン産生促進剤が、前記(B)成分を含有する場合、血流量増加作用による経皮吸収性が向上するため、前記(A)成分との相乗効果により、メラニン産生促進作用が更に向上し、これにより白髪の予防又は改善作用が更に優れる点で好ましい。
【0040】
また、本発明の毛髪化粧料及び本発明の白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、塗布した際に頭皮にべたつきを感じないものであり、使用感が良好である。
【0041】
<メラニン産生促進剤>
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料が含有するメラニン産生促進剤は、本発明のメラニン産生促進剤であり、前記した通りである。
【0042】
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料における前記メラニン産生促進剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、前記メラニン産生促進剤そのものであってもよい。
【0043】
<その他の成分>
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料における前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(メラニン産生促進剤)の<その他の成分>の項目に記載のものと同様のものを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0045】
-容器-
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、容器に充填されて用いることができる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートチューブ、EVALTMチューブ(株式会社クラレ製)、アルミニウムチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブ等のチューブの他、機械的又は差圧によるディスペンサー容器及びスクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、スティック容器、ボトル容器などが挙げられる。
【0046】
前記アルミニウムラミネートチューブ又は前記ラミネートフィルム容器のラミネートフィルムは、通常2層以上の多層を有し、その材質はポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミニウム蒸着プラスチックなどによって構成されることが好ましい。前記アルミニウムラミネートチューブのラミネートフィルムは、強度、柔軟性、耐候性等を考慮し、一般的には2層~5層のものを用いることが好ましい。
【0047】
前記ディスペンサー容器、前記スクイーズ容器、前記スポイト容器、前記スティック容器、又は前記ボトル容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ガラス等を単層ないし2層以上組み合わせて用いることができる。
【0048】
-使用方法-
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、頭皮に塗布し、指でなじませて使用されることが好ましい。前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、前記メラニン産生促進剤を含有するため、メラニン産生細胞が存在する部位に好適に用いることができる。したがって、前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料の適用範囲は、毛髪に限られず、頭皮や毛根にも好適に用いられる。
【0049】
-用途-
前記毛髪化粧料は、優れたメラニン産生促進作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れるため、化粧品などとして好適に用いられる。
前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、優れたメラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れるため、白髪を予防又は改善するための医薬品、医薬部外品、化粧品などとして好適に用いられる。
前記毛髪化粧料及び前記白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、外用剤が好ましい。
前記外用剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ローション、クリーム、乳剤、軟膏、ゲル、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアーリンス、ヘアーシャンプー、ヘアートリートメント、ヘアーコンディショナー、エアゾール、ムースなどが挙げられる。
【実施例0050】
以下に調製例、実施例、比較例、及び処方例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの調製例、実施例、及び処方例に何ら制限されるものではない。
なお、調製例、実施例、比較例、及び処方例に記載の各成分の含有量は、特記しない限り「質量%」を示し、全て純分換算した値である。
【0051】
(調製例1:スサビノリの水抽出物の調製)
北海道産スサビノリ5g(湿潤量)に対して、生理食塩水(扶桑薬品工業株式会社製)20mLを加え、ポリトロンホモジナイザー(PT10-35GT、株式会社セントラル科学貿易製)を用い、室温(24±1℃)にて8,000rpmで5分間ホモジナイズした。次いで、室温にて3,000rpmで20分間遠心分離した後、沈澱物を回収した。前記沈澱物に水20mLを加え、ポリトロンホモジナイザーを用い、室温にて8,000rpmで5分間ホモジナイズした。次いで、室温にて3,000rpmで20分間遠心分離した後、ペーパー送行式全自動加圧脱水ろ過機(EFC-40S、三協技研工業株式会社製)を用いてろ過することによって、スサビノリの水性可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「スサビノリの水抽出物」とした。
得られたスサビノリの水抽出物5mLを、100℃の水浴上で蒸発乾固した後、105℃にて6時間乾燥させて得られた固形物の質量を測定した。前記固形物量から算出したスサビノリの水抽出物中の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
【0052】
(調製例2:アサクサノリの水抽出物の調製)
調製例1において、スサビノリを、千葉県産アサクサノリに変更したこと以外は、調製例1と同様の方法でアサクサノリの水性可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「アサクサノリの水抽出物」とした。
調製例1と同様の方法で算出したアサクサノリの水抽出物の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
【0053】
(調製例3:カイガラアマノリの水抽出物の調製)
調製例1において、スサビノリを、山口県産カイガラアマノリに変更したこと以外は、調製例1と同様の方法でカイガラアマノリの水性可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「カイガラアマノリの水抽出物」とした。
調製例1と同様の方法で算出したカイガラアマノリの水抽出物の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
【0054】
(調製例4:ソメワケアマノリの水抽出物の調製)
調製例1において、スサビノリを、北海道産ソメワケアマノリに変更したこと以外は、調製例1と同様の方法でソメワケアマノリの水性可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「ソメワケアマノリの水抽出物」とした。
調製例1と同様の方法で算出したソメワケアマノリの水抽出物の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
【0055】
(調製例6:スサビノリのメタノール抽出物の調製)
北海道産スサビノリ5g(湿潤量)に対して、生理食塩水(扶桑薬品工業株式会社製)20mLを加え、ポリトロンホモジナイザー(PT10-35GT、株式会社セントラル科学貿易製)を用い、室温(24±1℃)にて8,000rpmで5分間ホモジナイズした。次いで、室温にて3,000rpmで20分間遠心分離した後、沈澱物を回収した。前記沈澱物にメタノール20mLを加え、ポリトロンホモジナイザーを用い、室温にて8,000rpmで5分間ホモジナイズした。次いで、室温にて3,000rpmで20分間遠心分離した後、ペーパー送行式全自動加圧脱水ろ過機(EFC-40S、三協技研工業株式会社製)を用いてろ過することによって、スサビノリのメタノール可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「スサビノリのメタノール抽出物」とした。
調製例1と同様の方法で算出したスサビノリのメタノール抽出物の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
【0056】
(調製例7:フクロフノリの水抽出物の調製)
調製例1において、スサビノリを、千葉県産フクロフノリに変更したこと以外は、調製例1と同様の方法でフクロフノリの水性可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「フクロフノリの水抽出物」とした。
調製例1と同様の方法で算出したフクロフノリの水抽出物の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
なお、フクロフノリ(Gloiopeltis furcata)は、紅藻植物門(Rhodophyta)真正紅藻綱(Florideophyceae)スギノリ目(Gigartinales)フノリ科(Endocladiaceae)フノリ属(Gloiopeltis)に属する植物である。
【0057】
(調製例8:ヒバマタの水抽出物の調製)
調製例1において、スサビノリを、北海道産ヒバマタに変更したこと以外は、調製例1と同様の方法でヒバマタの水性可溶物を含有する上清を得た。得られた上清を「ヒバマタの水抽出物」とした。
調製例1と同様の方法で算出したヒバマタの水抽出物の固形分含有量は、1.0w/v%であった。
なお、ヒバマタ(Fucus evanescens C. Agardh)は、不等毛植物門(Heterokontophyta)褐藻綱(Phaeophyceae)ヒバマタ目(Fucales)ヒバマタ科(Fucaceae)ヒバマタ属(Fucus)に属する植物である。
【0058】
(実施例1~15及び比較例1~4)
実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤を、下記表1~表3に示す組成及び含有量(質量%)の通りに配合し、以下の製造方法に基づいて調製した。なお、下記表1~表3に示される(A)成分又は(A)成分の比較成分の含有量は、固形分濃度を示す。
【0059】
-メラニン産生促進剤の調製-
25℃の環境下において、適量の精製水に、(A)成分又は(A)成分の比較成分、及び(B)成分をこの順で添加し、溶解させた。その後、各メラニン産生促進剤の全体が100質量%となるように精製水を加え、実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤を得た。
【0060】
得られた実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤について、下記評価方法に基づき、「メラニン産生促進作用」、「血流量増加作用」、「白髪改善作用」、及び「頭皮のべたつきのなさ」について評価した。評価結果は、下記表1~表3に示した。
【0061】
<メラニン産生促進作用>
<<試料含有培地の調製>>
5体積%牛胎児血清(Thermo Fisher Scientific社製、以下同様のものを使用した)を含有するDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製、以下同様のものを使用した)に、終濃度(ただし、(A)成分又は(A)成分の比較成分は固形分濃度)が、下記表1~表3に示される実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤の(A)成分又は(A)成分の比較成分、(B)成分、及び水(精製水)の各含有量(質量%)となるように各成分を添加して混合することにより、「試料含有培地」を調製した。
【0062】
<<細胞培養方法>>
-試料添加群-
B16マウスメラノーマ細胞(コスモ・バイオ株式会社製)を24ウェル培養プレートに5×10細胞/ウェルで播種し、常法に従い、5体積%牛胎児血清を含有するDMEM培地を用いて、37℃、5%二酸化炭素下にて24時間培養した。次に、培養後の培養上清を、試料含有培地に交換した。培養上清は、72時間毎に新しい試料含有培地に交換しながら3日間培養した。培養後、細胞をトリプシン溶液(0.25質量%トリプシン、0.01質量%EDTA、タカラバイオ株式会社製)で処理し、細胞及び細胞上清をエンペンドルフチューブに回収し、4℃にて9,000rpm、8分間遠心分離した。得られた細胞ペレットをPBS(-)(タカラバイオ株式会社製、以下同様のものを使用した)1.5mL/チューブで添加し、細胞を均一に懸濁させて細胞懸濁液を得た(以下、「試料添加群」と称することがある)。得られた細胞懸濁液のうち、0.3mLを以下のタンパク質の定量に用い、残り1.2mLを以下のメラニンの定量に用いた。
【0063】
-対照群-
前記試料添加群の細胞懸濁液の調製において、試料含有培地を使用せず、これに代えて5体積%牛胎児血清を含有するDMEM培地に使用したこと以外は、前記試料添加群の細胞懸濁液の調製方法と同様の方法で細胞懸濁液を得た(以下、「対照群」と称することがある)。得られた細胞懸濁液のうち、0.3mLを以下のタンパク質の定量に用い、残り1.2mLを以下のメラニンの定量に用いた。
【0064】
<<タンパク質定量法>>
試料添加群又は対照群の細胞懸濁液0.3mLを4℃にて9,000rpm、8分間遠心分離した。得られた細胞ペレットにPBS(-)を1.5mL添加して懸濁させ、9,000rpm、8分間遠心分離して洗浄した。同様の方法で、洗浄を更に2回実施した。洗浄後の細胞ペレットに0.5体積%Triton X-100(キシダ化学株式会社製)を含有するPBS(-)を1mL添加し、20分間ボルテックス処理を行い、細胞タンパク質溶解液を得た。TaKaRa BCA TM Protein Assay Kit(タカラバイオ株式会社製)を用いて、得られた細胞タンパク質溶解液のタンパク質量を算出し、1ウェル当たりのタンパク質量に換算した。
【0065】
<<メラニン定量法>>
試料添加群又は対照群の細胞懸濁液1.2mLを4℃にて9,000rpm、8分間遠心分離した。得られた細胞ペレットに、PBS(-)を1.5mL添加して懸濁させ、9,000rpm、8分間遠心分離して洗浄した。同様の方法で、洗浄を更に2回実施した。次に、5体積%トリクロロ酢酸を用いて、同様の方法で3回洗浄し、更にエタノール/ジエチルエーテル(3:1、体積比)溶液を用いて、同様の方法で3回洗浄した後、ジエチルエーテルを用いて、同様の方法で1回洗浄した。得られた細胞ペレットを1時間、50℃で加熱して十分に乾燥させた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を150μL添加し、100℃にて10分間加熱溶解して、試験試料を作製した。前記試験試料を、96ウェルプレートに100μL/ウェルで分注し、96ウェルマイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。
予め、合成メラニン(東洋紡株式会社製)を用いて作成した標準曲線に基づき、前記試験試料のメラニン量を算出し、1ウェル当たりのメラニン量に換算した。
【0066】
1ウェル当たりのタンパク質量及び1ウェル当たりのメラニン量から下記式(1)又は下記式(2)により単位タンパク質量当たりのメラニン量を算出し、次いで、下記式(3)によりメラニン産生率(%)を算出した。
試料添加群の単位タンパク質量当たりのメラニン量=試料添加群の1ウェル当たりのメラニン量(mg)/試料添加群の1ウェル当たりのタンパク質量(mg) ・・・ 式(1)
対照群の単位タンパク質量当たりのメラニン量=対照群の1ウェル当たりのメラニン量(mg)/対照群の1ウェル当たりのタンパク質量(mg) ・・・ 式(2)
メラニン産生率(%)=(試料添加群の単位タンパク質量当たりのメラニン量/対照群の単位タンパク質量当たりのメラニン量)×100 ・・・ 式(3)
【0067】
<血流量増加作用>
40歳代~60歳代の女性の被験者5名について、前腕内腹部2cm四方の特定部位に実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤67μLを塗布し、3分間後に、光ファイバー式レーザー血流量計(OMEGAFLO、オメガウェーブ株式会社製)を用いて血流量[T1]を測定した。また、実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤を塗布する前(ブランク)の前記特定部位の血流量[T0]を、予め光ファイバー式レーザー血流量計(OMEGAFLO、オメガウェーブ株式会社製)を用いて測定した。測定した血流量[T1]と血流量[T0]とから、下記式(4)により血流量の増加率(%)を算出し、5名の平均値を求めた。5名の平均値より、下記評価基準に基づいて「血流量増加作用」を評価した。
血流量の増加率(%)={([T1]-[T0])/[T0]}×100 ・・・ 式(4)
-「血流量増加作用」の評価基準-
◎ :ブランクより血流量が30%以上50%以下増加した
◎~○:ブランクより血流量が20%以上30%未満増加した
○ :ブランクより血流量が15%以上20%未満増加した
△ :ブランクより血流量が10%以上15%未満増加した
× :ブランクより血流量が10%未満増加した、若しくは変化なし
【0068】
<白髪改善作用>
白髪のある30歳代~60歳代の男女の被験者10名に対して、実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤を1回につき約1.5mL頭皮に塗布し、指でなじませた。1日2回(1回毎の間隔をあけて1日に合計2回使用)、6ヶ月間連続使用し、使用前の白髪の本数と、使用後の白髪の本数とを比較し、下記評価基準に基づいて「白髪改善作用」を評価した。
-「白髪改善作用」の評価基準-
◎ :10名中9名以上が、白髪が減ったと回答した
◎~○:10名中6名~8名が、白髪が減ったと回答した
〇 :10名中3名~5名が、白髪が減ったと回答した
△ :10名中1名~2名が、白髪が減ったと回答した
× :白髪が減ったと回答した被験者がいなかった、又は10名中1名以上が、白髪が増えたと回答した
【0069】
<頭皮のべたつきのなさ>
専門パネラーの男女10名について、25℃、相対湿度40%の条件下において、実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤1.5mLを頭皮に塗布し、指でなじませた。5分間後の頭皮のべたつきのなさについて、下記判断基準に基づいて「頭皮のべたつきのなさ」を点数化し、前記点数の10名の平均値により評価した。
-「頭皮のべたつきのなさ」の評価基準-
5点:べたつきを感じない
4点:べたつきをほとんど感じない
3点:わずかにべたつきを感じる
2点:べたつきを感じる
1点:べたつきを強く感じる
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
(処方例1~7:シャンプー)
処方例1~7の各シャンプーを、下記表4に示す組成及び含有量(質量%)の通りに配合し、常法により調製した。
なお、(A)成分及び(B)成分からなるメラニン産生促進剤を含有する処方例1~7のシャンプーは、白髪の予防又は改善作用が得られるものである。
【0074】
【表4】
【0075】
(処方例8~14:頭皮エッセンス)
処方例8~14の各頭皮エッセンスを、下記表5に示す組成及び含有量(質量%)の通りに配合し、常法により調製した。
なお、(A)成分及び(B)成分からなるメラニン産生促進剤を含有する処方例8~14の頭皮エッセンスは、白髪の予防又は改善作用が得られるものである。
【0076】
【表5】
【0077】
実施例1~15及び比較例1~4の各メラニン産生促進剤の使用原料は、下記表6に示す通りである。
【0078】
【表6】
【0079】
処方例1~7の各シャンプーの使用原料は、下記表7に示す通りである。
【0080】
【表7】
【0081】
処方例8~14の各頭皮エッセンスの使用原料は、下記表8に示す通りである。
【0082】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のメラニン産生促進剤は、優れたメラニン産生促進作用を有するため、皮膚の褐色化のため、白斑の予防又は治療のため、白髪の予防又は改善のための化粧品、医薬部外品、医薬品などに好適に用いられる。
また、本発明の毛髪化粧料は、優れたメラニン産生促進作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れるため、化粧品などに好適に用いられる。
また、本発明の白髪の予防用又は改善用毛髪化粧料は、優れたメラニン産生促進作用及び白髪の予防又は改善作用を有し、かつ頭皮のべたつきのなさに優れるため、白髪を予防又は改善するための医薬品、医薬部外品、化粧品などとして好適に用いられる。