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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082870
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】保護カバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/20 20200101AFI20230608BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230608BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
B62J45/20
B60K35/00 Z
B60K37/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196849
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】521530071
【氏名又は名称】株式会社ROSSI
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 優一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA03
3D344AA08
3D344AA21
3D344AC03
3D344AC04
3D344AD05
(57)【要約】
【課題】 表示部及び操作部が配置された操作パネルを有する制御装置について、操作部の視認性や操作部の操作性を低下させず、かつ、省スペース性に優れた保護カバーを提供する
【解決手段】 本発明の保護カバーは、ボタンスイッチ及び表示部が配置された制御パネルを保護する保護カバーであって、第1の硬質性透明フィルム層と、第2の硬質性透明フィルム層と、第1の硬質性透明フィルム層と第2の硬質性透明フィルム層との間に配置された変形性材料により構成された変形性透明フィルム層とを備え、第1の硬質性透明フィルム層及び第2の硬質性透明フィルム層には、ボタンスイッチに対応する領域にユーザからのボタンスイッチのアクセスを受け付ける操作孔が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部及び表示部が配置された制御パネルを保護する保護カバーであって、
第1の硬質性透明フィルム層と、第2の硬質性透明フィルム層と、前記第1の硬質性透明フィルム層と前記第2の硬質性透明フィルム層との間に配置された変形性材料により構成された変形性透明フィルム層とを備え、
前記第1の硬質性透明フィルム層及び前記第2の硬質性透明フィルム層には、前記操作部に対応する領域にユーザからの前記操作部のアクセスを受け付ける操作孔が形成されている
ことを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
前記変形性透明フィルム層の一方の面に、紫外線をカットする機能を備える第1のコーティングが施されていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記変形性透明フィルム層の一方の面に、抗菌機能及び又は抗ウィルス機能を備える第2のコーティングが施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記変形性透明フィルム層には、前記ボタンスイッチに対応する領域に前記ボタンスイッチを収容するボタン収容部が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の保護カバー。
【請求項5】
前記制御パネルは、電動機付き自転車の制御管理を行うための制御装置の一部であることを特徴とする1~4のいずれかに記載の保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護カバーに関し、例えば、電動モーターによりタイヤの駆動を補助可能な自転車(以下、「電動アシスト自転車」と呼ぶ)に搭載される制御パネルの保護に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、電動アシスト自転車には、搭載している電動モーターやライト等の電動機器を制御・管理するための操作部(例えば、スイッチ等)や表示部(例えば、メータやディスプレイ等)が配置された箱型の装置(以下、「制御ボックス」と呼ぶ)が搭載されている(非特許文献1、2参照)。通常、制御ボックスは塩化ビニールやPET(Poly Ethylene Terephthalate)等の樹脂製(プラスチック製)の箱型筐体に納められている。
【0003】
通常、電動アシスト自転車は屋外で使用(走行)・保管されるため、雨、砂、ホコリ、紫外線、衝撃等の過酷な環境に耐えられる必要があるが、上記の通り制御ボックスの筐体は通常プラスチック製である。そのため、従来は、制御ボックスには、上記のような環境から制御パネルの各要素を保護するためのカバー(以下、「保護カバー」と呼ぶ)が装着されるのが一般的であった。従来存在する保護カバーとしては、例えば、特許文献1、2に記載されるように、制御ボックスの筐体全体(側面及び背面を含む全面)を被覆するシリコン等のゴム製のカバー(以下、「全被覆式カバー」と呼ぶ)が一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「電動アシスト自転車用スイッチカバー」、株式会社野口商会、INTERNET、[2020年10月26日検索],< http://www.ilivelight.jp/products_switch_cover.html>
【非特許文献2】「電動アシスト自転車用スイッチカバー」、株式会社野口商会、INTERNET、[2020年10月26日検索],< http://www.ilivelight.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の通り、従来の全被覆式カバーには、過酷な環境に耐えるためにゴム製のカバーを適用しており、耐久性を高くするためにある程度の厚さとする必要がある一方で、制御ボックスのメータ類の視認性を上げるために高い透明度も求められる。
【0006】
また、従来の全被覆式カバーを制御ボックスに装着させた際、全被覆式カバーが厚いと、視認性が低下する上、制御ボックスに搭載されたスイッチ(例えば、ボタン式のスイッチ)が操作しにくくなるという問題もある。
【0007】
さらに、従来の全被覆式カバーは、制御ボックスよりも一回り大きい形状であることから、流通の際に容積がかさばるため、その分輸送や保管のコストが大きくなるという問題があった。
【0008】
以上のような問題に鑑みて、メータ類の視認性やスイッチ類の操作性を低下させず、かつ、省スペース性に優れた保護カバーが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保護カバーは、操作部及び表示部が配置された制御パネルを保護する保護カバーであって、第1の硬質性透明フィルム層と、第2の硬質性透明フィルム層と、前記第1の硬質性透明フィルム層と前記第2の硬質性透明フィルム層との間に配置された変形性材料により構成された変形性透明フィルム層とを備え、前記第1の硬質性透明フィルム層及び前記第2の硬質性透明フィルム層には、前記操作部に対応する領域にユーザからの前記操作部のアクセスを受け付ける操作孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メータ類及び操作部が配置された操作パネルを有する制御装置について、メータ類の視認性や操作部の操作性を低下させず、かつ、省スペース性に優れた保護カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る保護カバーの斜視図である。
図2】実施形態に係る保護カバーの装着対象となる制御ボックスの斜視図である。
図3】実施形態に係る保護カバーを制御ボックスに装着した状態について示した斜視図である。
図4】実施形態に係る保護カバーの平面図である。
図5図4のA-A’線矢視断面図である。
図6】実施形態に係る保護カバーを分解した状態で示す斜視図(分解図)である。
図7】実施形態に係る変形性透明フィルムの構成について示した図(断面図)である。
図8】実施形態に係る保護カバーの詳細構成及び製造工程について示した図である。
図9】実施形態の変形例に係る保護カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による保護カバーの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0013】
(A-1)第1の実施形態の構成
図1は、実施形態に係る保護カバー10の斜視図である。
【0014】
図2は、実施形態に係る保護カバー10の装着対象となる制御ボックス20の斜視図である。
【0015】
図3は、保護カバー10を制御ボックス20に装着した状態について示した斜視図である。
【0016】
まず、ここでは、保護カバー10の装着対象となる制御ボックス20の構成について説明する。
【0017】
図2に示す制御ボックス20は、図示しない電動アシスト自転車のハンドル部分に取り付けされる略直方体の箱型の装置である。
【0018】
図2に示す制御ボックス20は、直方体の箱型の筐体22の一面(図2の方から見た場合手前側の面)に図示しない電動アシスト自転車を制御管理するためのスイッチ類や表示部が配置された制御パネル21が設けられている。図2に示す制御ボックス20の構成は一例であるが、他の電動アシスト自転車用の制御ボックスであっても、制御パネルの大きさや制御パネル内の要素のレイアウトが異なる程度で概ね同様の構成である。
【0019】
図2に示す制御ボックス20は、パナソニック社製(登録商標)の電動アシスト自転車(商品名「ビビ・L・20」、型番「BE‐ELL032」)に搭載可能なものである。この実施形態では、保護カバー10は図2に示す制御ボックス20に適合する形状であるものとするが、本発明の保護カバーは図2に示す制御ボックス20に限定されず他の形状(他のレイアウトの制御パネル)に対応する形状としてもよいことは当然である。
【0020】
図2に示す制御ボックス20の制御パネル21には、5つのボタンスイッチ211~215、6つのランプ221~226、及び1つの7セグメント表示部231が配置されている。図2に示す制御ボックスでは、ボタンスイッチ211~215が操作部を構成し、ランプ221~226及び7セグメント表示部231が表示部を構成している。なお、上記の通り、操作部や表示部の要素の数やレイアウトは図2の構成に限定されないものであり、種々の組み合わせを適用することができる。すなわち、この実施形態において、制御ボックス20の制御パネル21には、操作部及び表示部が1以上あれば良い。
【0021】
ボタンスイッチ211~215は、いずれも輪郭の形状が異なるのみで、同じ仕様の押しボタン式のスイッチである。ボタンスイッチ211~215は、いわゆるタクトスイッチが樹脂素材(例えば、PET等)で被覆されたものであり、中心部分(タクトスイッチが配置された部分)が制御パネル21から1mm程度突出した形状となっている。
【0022】
ここでは、ランプ221~226は、いずれも一般的なLEDランプであり、同様に表面が透明な樹脂素材(例えば、PET等)で被覆されている。
【0023】
7セグメント表示部231は2桁の数値やアルファベットが表示可能な7セグメントディスプレイであり、他の要素と同様に表面が透明な樹脂素材(例えば、PET等)で被覆されている。
【0024】
保護カバー10は、図3に示すように、制御パネル21の前面を覆うように構成された透明色のカバーであり、制御パネル21を構成する各要素(ボタンスイッチ211~215、ランプ221~226、7セグメント表示部231等;スイッチ類及び表示部)を保護しつつ、ユーザによるボタンスイッチ211~215の操作を妨げない構成となっている。
【0025】
次に、保護カバー10の構成について説明する。
【0026】
図4は、保護カバー10の平面図である。
【0027】
図5は、保護カバー10を分解した状態で示す斜視図(分解図)である。
【0028】
図4図5に示すように、保護カバー10は、硬質性透明フィルム11の層と変形性透明フィルム12の層とを含む構造となっている。
【0029】
硬質性透明フィルム11としては、透明色で硬質な材料が用いられることが望ましい。この実施形態では、硬質性透明フィルム11は厚さ0.33mmの硬質ガラスフィルムであるものとして説明する。硬質性透明フィルム11に適用する材料は、例えば、スマートホン等の携帯端末のタッチパネルディスレプレイ等を保護するガラスフィルムと同様のものを適用することができる。硬質性透明フィルム11に適用する材料としては、例えば、アルミノシリケートガラスを適用することができる。硬質性透明フィルム11の厚さは、0.30mm~0.40mmであることが望ましい。
【0030】
そして、硬質性透明フィルム11には、ボタンスイッチ211~215の操作性(ユーザによる押下)を確保するためにユーザの指を挿入可能な操作孔111~114が設けられている。
【0031】
変形性透明フィルム12は、可変形成の材料(例えば、可撓性、弾性、柔軟性等を備える材料)で形成されたフィルムであるものとする。変形性透明フィルム12は、操作孔111~114を介してボタンスイッチ211~215を押下可能な程度の変形性(可撓性、弾性、柔軟性)を備え、透明度の高いフィルムであることが望ましい。変形性透明フィルム12としては、例えば、可撓性を備える透明色の材料(例えば、PET等)を用いたものでもよいし、弾性を備える透明色の材料(例えば、シリコンゴム等)であってもよい。この実施形態では、変形性透明フィルム12は、0.13mmのPETフィルムであるものとして説明する。変形性透明フィルム12の厚さは、0.10mm~0.15mm程度であることが望ましい。
【0032】
図6は、図4のA-A’線矢視断面図である。
【0033】
図6の断面図では、硬質性透明フィルム11の操作孔113、114を含む領域を切断した状態について図示している。
【0034】
なお、図6では、説明を簡易とするために各層の厚さを図示しやすい厚さとして記載しているが、実際の厚さを限定するものではない。
【0035】
図5図6に示すように、変形性透明フィルム12には、操作孔113、114の内周に沿った輪郭の凸形状(下面から見た場合凹形状)のボタン収容部123、124が形成(成型)されている。ボタン収容部123、124は、それぞれボタンスイッチ214、215で制御パネル21の面から突出した部分を収容する形状となっている。言い換えると、ボタン収容部123、124は、それぞれ、ボタンスイッチ214、215の表面を覆う形状となっている。
【0036】
変形性透明フィルム12には、上記と同様に操作孔111、112の内周に沿った輪郭のボタン収容部121、122も形成されている。ボタン収容部121は、ボタンスイッチ211の突出部分を収容し、ボタン収容部122はボタンスイッチ212、213の突出部分を収容する。
【0037】
このように、変形性透明フィルム12では、ボタン収容部121~124を設けることにより、ボタンスイッチ211~215の表面を保護しつつ、ボタンスイッチ211~215の操作性を確保している。
【0038】
変形性透明フィルム12にボタン収容部121~124を形成する方法については限定されないものであるが、例えば、金型整形等により変形性透明フィルム12を変形させることで形成するようにしてもよい。
【0039】
なお、ボタンスイッチ211~215の形状が、制御パネル21の面から突出していない形状である場合には、変形性透明フィルム12にボタン収容部121~124を設ける必要はない。
【0040】
図7は、変形性透明フィルム12の構成について示した図(断面図)である。
【0041】
図7は、図4において変形性透明フィルム12をA-A’線で切断した場合の断面図である。
【0042】
図7に示すように、変形性透明フィルム12において、下側の面12bに、紫外線をカット(遮蔽/抑止/防止)する効果のある塗料によるコーティング(以下、「紫外線カットコーティング」と呼ぶ)CUVが施されているものとする。また、図7に示すように、変形性透明フィルム12において、上側の面12aに、抗菌機能及び抗ウィルス機能を備える塗料によるコーティング(以下、「抗菌/抗ウィルスコーティング」と呼ぶ)CABが施されているものとする。なお、ここでは、変形性透明フィルム12には、抗菌機能及び抗ウィルス抗菌/抗ウィルスコーティングCABを適用するものとして説明するが、抗菌機能又は抗ウィルス機能の一方のみを備えるコーティングに置き換えるようにしてもよい。
【0043】
紫外線カットコーティングCUV及び抗菌/抗ウィルスコーティングCABについて具体的な塗料は限定されないものであるが、透明色であることや高い耐久性(耐侯性)を備えることが望ましい。
【0044】
紫外線カットコーティングCUVとしては、例えば、既存の紫外線をカットする特性を備える材料が練りこまれた樹脂(例えば、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等)を含む塗料を適用するようにしてもよい。また、紫外線カットコーティングCUVを除外し、変形性透明フィルム12自体に、既存の紫外線をカットする材料を練りこんだ構造とするようにしてもよい。
【0045】
抗菌/抗ウィルスコーティングCABとしては、例えば、既存の抗菌/抗ウィルス機能を備える材料を含む塗料を適用することができる。
【0046】
変形性透明フィルム12として予め紫外線カットコーティングCUV及び抗菌/抗ウィルスコーティングCABが施されたものを適用するようにしてもよいし、変形性透明フィルム12の形状を成型した後に紫外線カットコーティングCUV及び抗菌/抗ウィルスコーティングCABを施したものを適用するようにしてもよい。
【0047】
次に、保護カバー10を製造する手順の一例について説明する。
【0048】
図8は、保護カバー10の詳細構成及び製造工程について示した図である。
【0049】
この実施形態では、硬質性透明フィルム11と変形性透明フィルム12との間の接着に接着剤により構成されたシート(以下、「接着シート」と呼ぶ)を用いるものとして説明する。
【0050】
なお、以下では、保護カバー10において、変形性透明フィルム12から硬質性透明フィルム11への方向を上側と呼び、硬質性透明フィルム11から変形性透明フィルム12への方向を下側(下方向)と呼ぶものとする。図8では、変形性透明フィルム12におけるボタン収容部121~124が上側に突出した配置となっている。また、図8では、硬質性透明フィルム11と変形性透明フィルム12との間が接着シート13により接着される構造について示している。さらに、図8では、保護カバー10において変形性透明フィルム12の下側の面に接着シート14が貼り付けされる例について示している。さらにまた、図8では、保護カバー10の下側の面(接着シート14の下側の面)に剥離シート30が貼り付けされる例について示している。
【0051】
ここでは、接着シート13、14は、透明色でシート状(フィルム状)の接着剤であることが望ましい。接着シート13、14としては、例えば、既存のOCA(Optical Clear Adhesive;いわゆる光学糊)を適用することができる。なお、接着シート13、14としては、添加物(例えば、シリコン等の添加物)入りのOCAを適用するようにしてもよい。ここでは、接着シート13は厚さ0.1mmのシートであり、接着シート14は厚さ0.33mmのシートであるものとするが接着性能を満たすものであればその厚さは限定されないものである。
【0052】
ここでは、図8に示す通り、接着シート13、14の接着面は、いずれも硬質性透明フィルム11と同じ形状に成型されているものとする。したがって、接着シート13には操作孔111~114と同様の形状の操作孔131~134が形成されており、接着シート14にも操作孔111~114と同様の形状の操作孔141~144が形成されている。
[第1の工程]
ここでは、まず、変形性透明フィルム12の上側に接着シート13を貼り付けるものとする。以下では、変形性透明フィルム12の上側に接着シート13が貼り付けされた構成を「ユニットA」と呼ぶものとする。このとき、ユニットAにおいて、変形性透明フィルム12と接着シート13とを接着する際に残る気泡を除去する脱泡処理を行うことが望ましい。脱泡処理は、例えば、負圧チャンバーを用いるようにしてもよい。
[第2の工程]
次に、ユニットAの上側の面に、硬質性透明フィルム11を張り付けるものとする。以下では、ユニットAに硬質性透明フィルム11を張り付けた構成を「ユニットB」と呼ぶものとする。このとき、ユニットBの完成後についても脱泡処理を行うことが望ましい。
[第3の工程]
次に、ユニットBの下側の面に、接着シート14を張り付けることにより保護カバー10が完成する。このとき、保護カバー10の完成後についても脱泡処理を行うことが望ましい。
[第4の工程]
保護カバー10の完成後は、下側の面(接着シート14の下側の面)に剥離シート30を張り付けることにより、流通しやすい状態となる。
【0053】
(A-2)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0054】
この実施形態の保護カバー10は、硬質性透明フィルム11の下側に変形性透明フィルム12を張り付けた構造となっている。また、この実施形態の保護カバー10では、硬質性透明フィルム11において、ボタンスイッチ211~215に対応する領域に、操作孔111~114が設けられている。これにより、この実施形態の保護カバー10が張り付けられた制御ボックス20(制御パネル21)では、各表示部(この実施形態ではランプ221~226及び7セグメント表示部231)の視認性及び各操作部(ボタンスイッチ211~215)の操作性を低下させずに、各操作部を保護(例えば、塵、傷、衝撃、指紋等に対する保護)することが可能となる。
【0055】
また、この実施形態では、硬質性透明フィルム11としてガラスフィルムを適用している。ガラスフィルムには透明性が高く非常に硬質なもの(例えば、スマートホン等のタッチパネルディスプレイを保護するためのガラスフィルム)が存在するため、硬質性透明フィルム11にそのようなガラスフィルムを適用することで、表示部の視認性を妨げずに保護することができる。
【0056】
さらに、この実施形態では、変形性透明フィルム12として、透明性が高く柔軟性のある材料であるPETフィルムを適用することにより、操作部(ボタンスイッチ211~215)の操作性及び視認性(表示内容の視認性)を妨げずに保護することができる。
【0057】
さらに、この実施形態の保護カバー10は、板形状であるため、従来の全被覆式の保護カバーと異なり容積が小さく、流通や保管にかかるコストを低減することができる。
【0058】
さらにまた、この実施形態の保護カバー10では、変形性透明フィルム12の上側の面12aに抗菌/抗ウィルスコーティングCABが施され、下側の面12bに紫外線カットコーティングCUVが施されている。これにより、保護カバー10を装着した制御ボックス20では、ユーザの指が直接触れる部分(ボタン収容部121~124)を衛生的に保ちつつ、紫外線による劣化(特にボタンスイッチ211~215の表面部分の樹脂の劣化)を抑制することができる。特に、制御ボックス20は屋外で使用・保管される自転車に装着されるものであり、何も保護しない状態であると、屋外における光(特に、紫外線)により耐用年数を遥かに下回る期間で劣化(特にボタンスイッチ211~215の表面部分の樹脂が劣化)してしまうが、保護カバー10を装着することで、そのような劣化を抑制することができる。
【0059】
さらに、この実施形態の保護カバー10は、従来の全被覆式の保護カバーと異なり、接着剤により制御ボックス20に張り付けてしまう構成であり、容易に取り外しはできないため盗難されにくい。
【0060】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0061】
(B-1)上記の実施形態では、硬質性透明フィルム11として、硬質なガラスフィルムを適用する例について示したが、透明で各表示部を保護可能なものであれば他の材料を適用するようにしてもよい。例えば、硬質性透明フィルム11として、硬質で透明色の樹脂素材(例えば、アクリルやポリカーボネート等)を適用するようにしてもよい。
【0062】
(B-2)変形性透明フィルム12として、透明色のPETフィルムを適用する例について示したが、透明色な変形性材料(例えば、シリコン等)適用するようにしてもよい。
【0063】
(B-3)上記の実施形態では、保護カバーの形状やレイアウト(操作孔及びボタン収容部のレイアウト)の一例について示したが、それに限定されず種々のレイアウトを適用することができる。図9は、保護カバー10における操作孔及びボタン収容部のレイアウトを変更した保護カバー10Aの斜視図である。図9は、上述の図1図8と同一部分又は対応部分に同一符号又は対応符号を付している。
【0064】
保護カバー10Aは、ガラスフィルム11Aの下側に変形性透明フィルム12A付けられた構造となっている。保護カバー10Aでは、ガラスフィルム11A及び変形性透明フィルム12Aの形状(付随する接着剤層の形状も含む)が上記の実施形態の保護カバー10と異なる。
【0065】
保護カバー10Aでは、ガラスフィルム11Aの板面の形状が略正方形であり、2つの略楕円形の操作孔111A、112Aが形成されている。変形性透明フィルム12Aについても操作孔111A、112Aに対応する領域にボタン収容部121A、122Aが形成されている。
【0066】
(B-4)上記の実施形態では、本発明の保護カバーを、電動アシスト自転車の制御ボックスを構成する制御パネルに限定されず、その他の装置の制御パネルに適用するようにしてもよい。例えば、本発明の保護カバーを、屋外で使用される船舶、建設機械(例えば、ショベルカーやクレーン等)を制御するための制御パネルに適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…保護カバー、11、11-111-2…硬質性透明フィルム、12…変形性透明フィルム、13…接着シート、14…接着シート、20…制御ボックス、21…制御パネル、22…筐体、30…剥離シート、111~114…操作孔、121~124…ボタン収容部、131~134、141~144…操作孔、211~215…押しボタンスイッチ、221~226…ランプ、231…7セグメント表示部、CUV…紫外線カットコーティング、CAB…抗菌/抗ウィルスコーティング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9