(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082882
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】加硫ゴム用接着剤組成物、及び、タイヤ
(51)【国際特許分類】
C09J 107/00 20060101AFI20230608BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230608BHJP
C09J 109/06 20060101ALI20230608BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20230608BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C09J107/00
C09J11/06
C09J109/06
B60C1/00 Z
B60C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196867
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】岡松 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】秋山 寿江
【テーマコード(参考)】
3D131
4J040
【Fターム(参考)】
3D131AA08
3D131AA60
3D131BA18
3D131BC36
3D131LA02
4J040CA011
4J040CA081
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4J040GA01
4J040HC26
4J040HD43
4J040JA02
4J040JA09
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA23
4J040MA12
4J040NA16
(57)【要約】
【課題】接着性が優れる加硫ゴム用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムと、ジチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はモルフォリン系加硫促進剤と、有機溶媒とを含有し、上記ゴムの重量平均分子量が、200,000以上であり、上記ゴムの濃度が、組成物全量中の3.0~10質量%であり、上記ジチオカルバメート系加硫促進剤又は上記モルフォリン系加硫促進剤の含有量が、上記ゴム100質量部に対して、2.0~10質量部である、加硫ゴム用接着剤組成物、並びに、加硫されたタイヤと部品とが上記加硫ゴム用接着剤組成物で接着されたタイヤ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムと、ジチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はモルフォリン系加硫促進剤と、有機溶媒とを含有し、
前記ゴムの重量平均分子量が、200,000以上であり、
前記ゴムの濃度が、組成物全量中の3.0~10質量%であり、
前記ジチオカルバメート系加硫促進剤又は前記モルフォリン系加硫促進剤の含有量が、前記ゴム100質量部に対して、2.0~10質量部である、加硫ゴム用接着剤組成物。
【請求項2】
前記有機溶媒が、トルエン、キシレン、シクロヘキサン及びノルマルヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の加硫ゴム用接着剤組成物。
【請求項3】
前記ゴムが、スチレンブタジエンゴム及び/又はポリブタジエンを含む、請求項1又は2に記載の加硫ゴム用接着剤組成物。
【請求項4】
硫黄を実質的に含有しない、請求項1~3のいずれか1項に記載の加硫ゴム用接着剤組成物。
【請求項5】
加硫されたタイヤと部品とが請求項1~4のいずれか1項に記載の加硫ゴム用接着剤組成物で接着されたタイヤ。
【請求項6】
前記部品が、センサーを内蔵するゴム製のコンテナである、請求項5に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫ゴム用接着剤組成物、及び、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤの内面には、空気漏れを防止しタイヤ空気圧を一定に保つために、低気体透過性ブチル系ゴムを主成分とするインナーライナー層が設けられている。インナーライナー層を薄ゲージ化するための手法の一つとして、ブチル系ゴムシートと別のフィルムとの間に、ハロゲン化ブチルゴム等を含有する接着剤を配置し、その後、加硫してブチル系ゴムシートと別のフィルムとを一体化する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、IoT(Internet of Things)を利用し、自動車に装着されたタイヤの情報(例えば、空気圧等)を監視するシステムがある。上記システムにおいては、タイヤはその内部に、タイヤの情報を監視するためのセンサー(検知器)等の機器を収容する容器(コンテナ)を有する。通常、上記コンテナはタイヤ(例えば、インナーライナー)に接着剤で固定されている。
このようななか、本発明者らは特許文献1を参考にして接着剤組成物を調製し、加硫済みのインナーライナーの表面に上記接着剤組成物を塗布して、部品(例えば、センサーを収容するゴム製コンテナ)を接着させたところ、上記接着剤組成物と加硫済みのゴム(上記のインナーライナー及び/又はコンテナ)との接着性は必ずしも十分ではないことが明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、接着性が優れる加硫ゴム用接着剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、部品を接着したタイヤを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、接着剤組成物が、特定のゴムと、ジチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はモルフォリン系加硫促進剤と、有機溶媒とを含有し、ゴムの重量平均分子量、ゴムの濃度、上記加硫促進剤の含有量が、それぞれ特定の範囲であることによって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0007】
[1]
天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムと、ジチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はモルフォリン系加硫促進剤と、有機溶媒とを含有し、
上記ゴムの重量平均分子量が、200,000以上であり、
上記ゴムの濃度が、組成物全量中の3.0~10質量%であり、
上記ジチオカルバメート系加硫促進剤又は上記モルフォリン系加硫促進剤の含有量が、上記ゴム100質量部に対して、2.0~10質量部である、加硫ゴム用接着剤組成物。
[2]
上記有機溶媒が、トルエン、キシレン、シクロヘキサン及びノルマルヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の加硫ゴム用接着剤組成物。
[3]
上記ゴムが、スチレンブタジエンゴム及び/又はポリブタジエンを含む、[1]又は[2]に記載の加硫ゴム用接着剤組成物。
[4]
硫黄を実質的に含有しない、[1]~[3]のいずれかに記載の加硫ゴム用接着剤組成物。
[5]
加硫されたタイヤと部品とが[1]~[4]のいずれかに記載の加硫ゴム用接着剤組成物で接着されたタイヤ。
[6]
上記部品が、センサーを内蔵するゴム製のコンテナである、[5]に記載のタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接着性に優れる、加硫ゴム用接着剤組成物を提供することができる。
また、本発明は、部品を接着したタイヤを提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。
本明細書において、接着性がより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
【0010】
[加硫ゴム用接着剤組成物]
本発明の加硫ゴム用接着剤組成物(本発明の接着剤組成物)は、
天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムと、ジチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はモルフォリン系加硫促進剤と、有機溶媒とを含有し、
上記ゴムの重量平均分子量が、200,000以上であり、
上記ゴムの濃度が、組成物全量中の3.0~10質量%であり、
上記ジチオカルバメート系加硫促進剤又は上記モルフォリン系加硫促進剤の含有量が、上記ゴム100質量部に対して、2.0~10質量部である、加硫ゴム用接着剤組成物である。
以下、本発明の接着剤組成物に含有される各成分について詳述する。
【0011】
[ゴム]
本発明の接着剤組成物は、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムを含有する。上記の少なくとも1種のゴムを以下「特定ゴム」と称する場合がある。
【0012】
〔ゴムの重量平均分子量〕
本発明において、上記特定ゴムの重量平均分子量は、200,000以上である。
上記特定ゴムの重量平均分子量は、本発明の効果がより優れるという観点から、300,000以上であることが好ましい。
上記特定ゴムの重量平均分子量の上限は、特に制限されず、2,000,000以下としてもよい。
【0013】
本発明において、特定ゴムの重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
【0014】
〔ゴム各種〕
本発明において特定ゴムとして使用されうる、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンは、上記の重量平均分子量以外は、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0015】
上記特定ゴムは、本発明の効果がより優れ、乾燥性が優れるという観点から、スチレンブタジエンゴム及び/又はポリブタジエンを含むことが好ましく、スチレンブタジエンゴムを含むことがより好ましい。
【0016】
〔特定ゴムの濃度〕
本発明において、上記特定ゴムの濃度は、本発明の接着剤組成物全量中の3.0~10質量%である。
上記特定ゴムの濃度は、本発明の効果がより優れ、乾燥性が優れるという観点から、本発明の接着剤組成物全量中の4.0~8.0質量%であることが好ましい。
【0017】
(その他のゴム)
本発明の接着剤組成物は、上記の特定ゴム以外のゴム(その他のゴム)を含有しないことが好ましいが、その他のゴムを更に含有してもよい。
本発明の接着剤組成物がその他のゴムを更に含有する場合、ゴム全量中の上記特定ゴムの含有量が50質量%を超えることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0018】
[加硫促進剤]
本発明の接着剤組成物は、ジチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はモルフォリン系加硫促進剤を含有する。
ジチオカルバメート系加硫促進剤又はモルフォリン系加硫促進剤は、活性が高く、本発明の接着剤組成物が、一般的なゴム組成物に加硫剤として使用される硫黄を含有しない場合であっても、本発明の接着剤組成物を架橋又は加硫させることができるので、本発明の接着剤組成物は接着性が優れる。
【0019】
本発明の接着剤組成物は、本発明の効果がより優れるという観点から、ジチオカルバメート系加硫促進剤を含有することが好ましい。
【0020】
〔ジチオカルバメート系加硫促進剤〕
ジチオカルバメート系加硫促進剤は、下記式(1)で表わされる基を有する化合物である。
【化1】
(1)
【0021】
式(1)中、R、R′は、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。
【0022】
ジチオカルバメート系加硫促進剤としては、例えば、下記式(2)で表わされる化合物が挙げられる。
【化2】
(2)
【0023】
式(2)中、R、R′は、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、
Xは、金属を表し、
nは1~3を表す。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基のような脂肪族炭化水素基;フェニル基のような芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記金属としては、例えば、亜鉛、テルル、鉄、銅が挙げられる。
【0024】
ジチオカルバメート系加硫促進剤としては、具体的には例えば、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、N-エチル-N-フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。
なかでも、ジチオカルバメート系加硫促進剤は、本発明の効果がより優れるという観点から、亜鉛を有するジチオカルバメート系加硫促進剤を含むことが好ましく、
N-エチル-N-フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、及び、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0025】
〔モルフォリン系加硫促進剤〕
モルフォリン系加硫促進剤は、モルフォリン環を有する化合物である。
モルフォリン系加硫促進剤としては、例えば、4,4′-ジチオジモルホリン、2(4-モルフォリノジチオ)ベンゾイミダゾールが挙げられる。
なかでも、モルフォリン系加硫促進剤は、本発明の効果がより優れるという観点から、2個のモルフォリン環がポリスルフィド結合を介して結合する化合物を含むことが好ましく、4,4′-ジチオジモルホリンを含むことがより好ましい。
【0026】
[加硫促進剤の含有量]
本発明において、ジチオカルバメート系加硫促進剤又はモルフォリン系加硫促進剤の含有量は、上記特定ゴム100質量部に対して、2.0~10質量部である。
ジチオカルバメート系加硫促進剤の含有量は、本発明の効果がより優れ、組成物の流動性が良好となりうるという観点から、上記特定ゴム100質量部に対して、3.0~8.0質量部であることが好ましい。
モルフォリン系加硫促進剤の含有量は、本発明の効果がより優れ、組成物の流動性が良好となりうるという観点から、上記特定ゴム100質量部に対して、2.0~8.0質量部であることが好ましい。
【0027】
ジチオカルバメート系加硫促進剤とモルフォリン系加硫促進剤とを併用する場合、両者の合計量を、上記特定ゴム100質量部に対して、2.0~10質量部とすることが好ましい。
【0028】
[有機溶媒]
本発明の接着剤組成物は、有機溶媒を含有する。
上記有機溶媒は、上記の特定ゴム及び上記の加硫促進剤に対して、不活性であり、両者を溶解させうるものであれば、特に制限されない。
【0029】
有機溶媒は、本発明の効果がより優れ、乾燥性、環境性が優れるという観点から、トルエン、キシレン、シクロヘキサン及びノルマルヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、シクロヘキサンを含むことがより好ましい。
【0030】
(任意成分)
本発明の接着剤組成物は、上述した成分以外の成分(任意成分)を更に含有していてもよい。任意成分としては、例えば、可塑剤、充填剤、バルーン(中空体)、シランカップリング剤、老化防止剤、酸化防止剤、溶剤、チクソトロピー剤が挙げられる。
【0031】
(硫黄)
本発明の接着剤組成物は、硫黄を実質的に含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。上記硫黄は、ゴム組成物において一般的に加硫剤として使用される、硫黄のみからなる物質を指す。上記硫黄は、ジチオカルバメート系加硫促進剤等のような、硫黄を含む化合物を含まない。
本発明の接着剤組成物が硫黄を実質的に含有しないことは、上記硫黄の量が、本発明の接着剤組成物に含有されるゴム成分全量100質量部に対して、0~0.1質量部であることを指す。
【0032】
(水)
本発明の接着剤組成物は、本発明の効果がより優れ、乾燥性、環境性が優れるという観点から、水を実質的に含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明の接着剤組成物が水を実質的に含有しないことは、水の量が、本発明の接着剤組成物全量中の0~1.0質量%であることを指す。
【0033】
[製造方法]
本発明の接着剤組成物を製造する方法は特に限定されない。例えば、上述した各成分を混合する方法等が挙げられる。
【0034】
[用途]
本発明の接着剤組成物は、加硫ゴム(例えば、タイヤ(特にインナーライナー))に他の材料(例えば、機器を収容するゴム製コンテナ)を固定するための接着剤として有用である。
【0035】
[使用方法]
本発明の接着剤組成物は、例えば、5~40℃の条件下で硬化することができる。本発明の接着剤組成物を硬化させる際、本発明の接着剤組成物を加熱しなくともよい。
本発明の接着剤組成物の使用方法としては、加硫ゴム及び/又は他の材料に本発明の接着剤組成物を塗布し、例えば10~40℃の条件下で3~30分間置いて接着剤組成物を乾燥させた後、両者を張り合わせ、例えば、室温(例えば、5~40℃)条件下に置くことによって、本発明の接着剤組成物が硬化し、両者を接着させることができる。
【0036】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、加硫されたタイヤと部品とが本発明の加硫ゴム用接着剤組成物で接着されたタイヤである。
【0037】
〔加硫されたタイヤ〕
本発明のタイヤに使用される、加硫されたタイヤは、加硫後(加硫済み)のタイヤであれば特に制限されない。
〔接着剤組成物〕
本発明のタイヤに使用される、接着剤組成物は本発明の加硫ゴム用接着剤組成物であれば特に制限されない。
【0038】
〔部品〕
本発明のタイヤに使用される部品としては、例えば、センサーを内蔵するゴム製のコンテナが挙げられる。
(コンテナ)
上記コンテナ(の外部)は、ゴム製である。上記コンテナを形成するゴムは加硫されていることが好ましい。
上記コンテナを形成するゴムは特に制限されない。上記コンテナを形成するゴムはゴム成分として天然ゴムを含むことが好ましい。
(センサー)
上記コンテナに内蔵されるセンサーは特に制限されない。例えば、タイヤの空気圧、タイヤの磨耗状況、路面状況のような情報を取得する目的のセンサーが挙げられる。
【0039】
上記コンテナは、タイヤの例えばインナーライナー上に接着されることが好ましい態様として挙げられる。
【実施例0040】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
【0041】
[接着剤組成物の製造]
第1表の各成分を同表に示す割合(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、各接着剤組成物を製造した。
【0042】
[評価]
上記のとおり製造された各接着剤組成物を用いて以下の評価を行った。結果を各表に示す。
【0043】
〔接着性〕
上記のとおり製造された各接着剤組成物を用いて、以下の接着性(加硫ゴムに対する接着性)の評価を行った。
【0044】
加硫ゴム接着性の評価にあたり、まず、以下のとおり加硫ゴム1,2を調製した。
・加硫ゴム1の調製
以下の「加硫ゴム1用ゴム組成物」に示す成分から、硫黄、加硫促進剤を除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混合することにより、加硫ゴム1用ゴム組成物を調製した。
上記のとおり調製された加硫ゴム1用ゴム組成物を使用して所定形状の金型中で、170℃、10分間加硫して加硫ゴム1(25mm幅、長さ10cm、厚さ2mm)を作製した。
【0045】
((加硫ゴム1用ゴム組成物))
・ハロゲン化ブチルゴム100質量部(臭素化イソブチレンイソプレンラバー、EXXON CHEMICAL社製)
・カーボンブラック25質量部(新日化カーボン社製ニテロン#GN、N2SAが35m2/g
・酸化亜鉛3質量部(正同化学工業社製酸化亜鉛3種)
・硫黄3質量部(鶴見化学工業社製サルファックス5)
・加硫促進剤2質量部(大内新興化学工業社製DM-PO)
【0046】
・加硫ゴム2の調製
以下の「加硫ゴム2用ゴム組成物」に示す成分から、硫黄、加硫促進剤を除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混合することにより、加硫ゴム2用ゴム組成物を調製した。
上記のとおり調製された加硫ゴム2用ゴム組成物を使用して所定形状の金型中で、170℃、10分間加硫して加硫ゴム2(25mm幅、長さ10cm、厚さ2mm)を作製した。
【0047】
((加硫ゴム2用ゴム組成物))
・天然ゴム100質量部
・カーボンブラック25質量部(新日化カーボン社製ニテロン#GN、N2SAが35m2/g
・酸化亜鉛3質量部(正同化学工業社製酸化亜鉛3種)
・硫黄3質量部(鶴見化学工業社製サルファックス5)
・加硫促進剤2質量部(大内新興化学工業社製DM-PO)
【0048】
・試験体の調製
・・適用工程
上記のとおり製造された各接着剤組成物を、上記加硫ゴム1に塗布(塗布量:2~5g/cm2)し、25℃条件下に10分間置いて接着剤組成物を乾燥させた後、上記加硫ゴム2と張り合わせ、積層体を得た。
【0049】
・・硬化工程
上記のとおり得られた各積層体を25℃、50%相対湿度の条件下に10分間置いて養生させ、加硫ゴム1、2の間に接着剤組成物による接着層(厚さ1mm)を有する試験体を得た。
【0050】
・引張試験
上記のとおり得られた各試験体を用いて、JIS K6854-3:1999(接着剤-剥離接着強さ試験方法 第3部:T系はく離)に準じて、25℃、引張速度50mm/分の条件下で剥離接着強さを測定した。
【0051】
・評価基準
上記のとおり測定された剥離接着強さから各下記基準で接着性を評価した。
本発明において、剥離接着強さが8N/m以上であった場合、接着性が優れると評価した。
一方、剥離接着強さが8N/m未満であった場合、接着性が悪いと評価した。
接着性の評価結果を以下のように示す。
・◎:25N/m以上
・○:20N/m以上25N/m未満
・△:8N/m以上20N/m未満
・×:8N/m未満
実用上、◎、○又は△であることが好ましく、◎又は○であることがより好ましく、◎であることがさらに好ましい。
【0052】
【0053】
【0054】
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
(ゴム)
・NR:天然ゴム。商品名 RSS#3、Mw200,000以上
・IR:ポリイソプレン。商品名Nipol IR2200、日本ゼオン社製。Mw300,000以上
・SBR:スチレンブタジエンゴム。商品名 E581、旭化成ケミカルズ社製。Mw1,000,000以上
・BR:ポリブタジエン。商品名UBEPOL BR、UBEエラストマー社製。Mw500,000以上
・低分子量SBR(比較):スチレンブタジエンゴム。Mw150,000
【0055】
(加硫促進剤)
・ジチオカルバメート系加硫促進剤:n-ブチルジチオカルバメート亜鉛。商品名ノクセラーBZP(下記構造)、大内新興化学社製。
【化3】
・モルフォリン系加硫促進剤:4,4′-ジチオジモルフォリン。商品名バルノックR(下記構造)、大内新興化学社製。
【化4】
・スルフェンアミド系加硫促進剤(比較):n-シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド。商品名サンセラーCMG。三新化学工業社製。
【0056】
・有機溶媒:シクロヘキサン
【0057】
第1表に示す結果から明らかなように、所定の加硫促進剤を使用せず、代わりにスルフェンアミド系加硫促進剤を使用する比較例1は、接着性が悪かった。
加硫促進剤の含有量及びゴム濃度が所定の範囲を外れる比較例2は、接着性が悪かった。
加硫促進剤の含有量が所定の範囲を外れる比較例3は、得られた組成物が流動せず、接着性を評価することができなかった。
加硫促進剤の含有量が所定の範囲を外れる比較例4~7は、接着性が悪かった。
ゴムの濃度が所定の範囲を外れる比較例8、10は、接着性が悪かった。
ゴムの重量平均分子量が20万未満である比較例9は、接着性が悪かった。
【0058】
一方、本発明の接着剤組成物は、接着性が優れた。
なお、実施例3,4の剥離接着強さは、ゴムがSBRを含む場合(実施例3)のほうが、BRを含む場合(実施例4)よりも大きかった。実施例5,7の比較、及び、実施例6,8の比較においても、実施例3,4の剥離接着強さの上記結果と同様の結果が得られた。
また、本発明の接着剤組成物は、上記適用工程において、25℃条件下に10分間置いて後、乾燥した。