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特開2023-82888遠隔操作システム及び遠隔操作制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082888
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】遠隔操作システム及び遠隔操作制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196874
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末廣 優樹
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD06
5H301DD07
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】移動体が行う通信の通信品質が低下した場合であっても、遠隔オペレータが移動体の遠隔操作を可能な限り継続することができる技術を提供する。
【解決手段】遠隔操作システムは、遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作を制御する。移動体が行う通信の通信品質が閾値以上である場合、遠隔操作システムは、移動体に搭載された第1カメラによって撮影される第1画像を遠隔オペレータに提示する。一方、通信品質が閾値を下回った場合、遠隔操作システムは、移動体とは異なる物体に設置された代替カメラを利用する。より詳細には、遠隔操作システムは、移動体の位置及び進行方向、代替カメラの位置及び視野に基づいて、移動体とその周囲を撮影可能な代替カメラを第2カメラとして選択する。そして、遠隔操作システムは、第2カメラによって撮影される第2画像を遠隔オペレータに提示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作を制御する遠隔操作システムであって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記遠隔操作時に前記移動体が行う通信の通信品質を取得する処理と、
前記通信品質が第1閾値以上である場合、前記移動体に搭載された第1カメラによって撮影される第1画像を前記遠隔オペレータに提示する処理と、
前記通信品質が前記第1閾値を下回った場合、前記遠隔オペレータに提示する画像を切り替える画像切り替え処理と
を実行するように構成され、
前記画像切り替え処理は、
前記移動体の位置及び進行方向を示す移動体情報を取得する処理と、
前記移動体とは異なる物体に設置された代替カメラの位置及び視野を示す代替カメラ情報を取得する処理と、
前記移動体情報と前記代替カメラ情報に基づいて、前記移動体とその周囲を少なくとも撮影可能な前記代替カメラを第2カメラとして選択する処理と、
前記第2カメラによって撮影される第2画像を前記遠隔オペレータに提示する処理と
を含む
遠隔操作システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔操作システムであって、
前記通信品質が前記第1閾値を下回った場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記移動体からの前記第1画像の送信を停止する
遠隔操作システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遠隔操作システムであって、
前記第2カメラの優先度の設定ポリシーを示す優先度ポリシー情報を格納する1又は複数の記憶装置を更に備え、
前記第2カメラの候補が複数存在する場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記優先度ポリシー情報に基づいて、前記複数の候補の中から前記優先度に従って前記第2カメラを選択する
遠隔操作システム。
【請求項4】
請求項3に記載の遠隔操作システムであって、
前記第2カメラの前記複数の候補が、前記移動体の後ろを走行する後続移動体に搭載された後続カメラを含む場合、前記後続カメラの前記優先度は他の代替カメラの前記優先度よりも高い
遠隔操作システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の遠隔操作システムであって、
前記移動体が第1方向に曲がり、且つ、前記第2カメラの前記複数の候補が、前記移動体から見て前記第1方向の側に存在する第1代替カメラと、前記移動体から見て前記第1方向と逆の第2方向の側の存在する第2代替カメラとを含む場合、前記第1代替カメラの前記優先度は前記第2代替カメラの前記優先度よりも高い
遠隔操作システム。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の遠隔操作システムであって、
前記第2カメラの前記複数の候補が、前記移動体の走行車線側に設置された第1固定カメラと、対向車線側に設置された第2固定カメラとを含む場合、前記第1固定カメラの前記優先度は前記第2固定カメラの前記優先度よりも高い
遠隔操作システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の遠隔操作システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記画像切り替え処理と連動して、前記移動体の走行を制限する走行制限処理を更に実行する
遠隔操作システム。
【請求項8】
請求項7に記載の遠隔操作システムであって、
前記走行制限処理が実行されている間、前記1又は複数のプロセッサは、前記移動体の走行が制限されていることを前記遠隔オペレータに通知する
遠隔操作システム。
【請求項9】
遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作を制御する遠隔操作制御方法であって、
前記遠隔操作時に前記移動体が行う通信の通信品質を取得する処理と、
前記通信品質が第1閾値以上である場合、前記移動体に搭載された第1カメラによって撮影される第1画像を前記遠隔オペレータに提示する処理と、
前記通信品質が前記第1閾値を下回った場合、前記遠隔オペレータに提示する画像を切り替える画像切り替え処理と
を含み、
前記画像切り替え処理は、
前記移動体の位置及び進行方向を示す移動体情報を取得する処理と、
前記移動体とは異なる物体に設置された代替カメラの位置及び視野を示す代替カメラ情報を取得する処理と、
前記移動体情報と前記代替カメラ情報に基づいて、前記移動体とその周囲を少なくとも撮影可能な前記代替カメラを第2カメラとして選択する処理と、
前記第2カメラによって撮影される第2画像を前記遠隔オペレータに提示する処理と
を含む
遠隔操作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両を遠隔運転するための遠隔運転装置を開示している。遠隔運転装置は、車両の現在の通信状態の情報を車両から受信する。そして、遠隔運転装置は、車両の現在の通信状態を表示装置に表示して遠隔オペレータに伝える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/202379号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔オペレータによる移動体(例:車両、ロボット)の遠隔操作について考える。移動体の遠隔操作では、移動体に搭載されたカメラによって撮影される画像が、遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末に送信される。遠隔オペレータ端末は、受信した画像を遠隔オペレータに提示し、遠隔オペレータは、その画像を見ながら移動体の遠隔操作を行う。
【0005】
移動体の遠隔操作の最中、移動体が行う通信の通信品質が低下する可能性がある。通信品質の低下は、移動体から遠隔オペレータ端末への画像伝送に支障を来す。仮に通信途絶が発生すると、遠隔オペレータ端末に画像が届かなくなる。このように、通信品質が低下すると、遠隔オペレータが移動体の遠隔操作を継続することが困難になるおそれがある。
【0006】
本開示の1つの目的は、移動体が行う通信の通信品質が低下した場合であっても、遠隔オペレータが移動体の遠隔操作を可能な限り継続することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点は、遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作を制御する遠隔操作システムに関連する。
遠隔操作システムは、1又は複数のプロセッサを備える。
1又は複数のプロセッサは、
遠隔操作時に移動体が行う通信の通信品質を取得する処理と、
通信品質が第1閾値以上である場合、移動体に搭載された第1カメラによって撮影される第1画像を遠隔オペレータに提示する処理と、
通信品質が第1閾値を下回った場合、遠隔オペレータに提示する画像を切り替える画像切り替え処理と
を実行するように構成される。
画像切り替え処理は、
移動体の位置及び進行方向を示す移動体情報を取得する処理と、
移動体とは異なる物体に設置された代替カメラの位置及び視野を示す代替カメラ情報を取得する処理と、
移動体情報と代替カメラ情報に基づいて、移動体とその周囲を少なくとも撮影可能な代替カメラを第2カメラとして選択する処理と、
第2カメラによって撮影される第2画像を遠隔オペレータに提示する処理と
を含む。
【0008】
第2の観点は、遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作を制御する遠隔操作制御方法に関連する。
遠隔操作制御方法は、
遠隔操作時に移動体が行う通信の通信品質を取得する処理と、
通信品質が第1閾値以上である場合、移動体に搭載された第1カメラによって撮影される第1画像を遠隔オペレータに提示する処理と、
通信品質が第1閾値を下回った場合、遠隔オペレータに提示する画像を切り替える画像切り替え処理と
を含む。
画像切り替え処理は、
移動体の位置及び進行方向を示す移動体情報を取得する処理と、
移動体とは異なる物体に設置された代替カメラの位置及び視野を示す代替カメラ情報を取得する処理と、
移動体情報と代替カメラ情報に基づいて、移動体とその周囲を少なくとも撮影可能な代替カメラを第2カメラとして選択する処理と、
第2カメラによって撮影される第2画像を遠隔オペレータに提示する処理と
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、移動体が行う通信の通信品質を考慮して、必要に応じて画像切り替え処理が行われる。より詳細には、通信品質が第1閾値を下回った場合、移動体に搭載された第1カメラの代わりに、移動体とその周囲を撮像可能な第2カメラが選択される。そして、その第2カメラによって撮影される第2画像が、第1画像の代わりに遠隔オペレータに提示される。これにより、遠隔オペレータは、移動体の遠隔操作を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態に係る遠隔操作システムの構成例を示す概略図である。
図2】本開示の実施の形態に係る通信品質が正常である場合の遠隔操作システムによる処理を説明するための概念図である。
図3】本開示の実施の形態に係る通信品質が異常である場合の遠隔操作システムによる処理を説明するための概念図である。
図4】本開示の実施の形態に係る画像切り替え処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。
図5】本開示の実施の形態に係る画像切り替え処理に関連する処理を要約的に示すフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態に係るカメラ優先度を考慮した画像切り替え処理を説明するための概念図である。
図7】本開示の実施の形態に係るカメラ優先度の一例を説明するための概念図である。
図8】本開示の実施の形態に係るカメラ優先度の他の例を説明するための概念図である。
図9】本開示の実施の形態に係る画像切り替え処理及び画像送信抑制処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。
図10】本開示の実施の形態に係る画像送信抑制処理の例を説明するための概念図である。
図11】本開示の実施の形態に係る画像切り替え処理及び走行制限処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。
図12】本開示の実施の形態に係る走行制限処理の例を説明するための概念図である。
図13】本開示の実施の形態に係る車両の構成例を示すブロック図である。
図14】本開示の実施の形態に係る遠隔オペレータ端末の構成例を示すブロック図である。
図15】本開示の実施の形態に係る管理装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0012】
1.遠隔操作システムの概要
移動体の遠隔操作(遠隔運転)について考える。遠隔操作の対象である移動体としては、車両、ロボット、飛翔体、等が例示される。車両は、自動運転車両であってもよいし、ドライバが運転する車両であってもよい。ロボットとしては、物流ロボット、作業ロボット、等が例示される。飛翔体としては、飛行機、ドローン、等が例示される。
【0013】
一例として、以下の説明においては、遠隔操作の対象である移動体が車両である場合について考える。一般化する場合には、以下の説明における「車両」を「移動体」で読み替えるものとする。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る遠隔操作システム1の構成例を示す概略図である。遠隔操作システム1は、車両100、遠隔オペレータ端末200、及び管理装置300を含んでいる。車両100は、遠隔操作の対象である。遠隔オペレータ端末200は、遠隔オペレータOが車両100を遠隔操作する際に使用する端末装置である。遠隔オペレータ端末200を遠隔操作HMI(Human Machine Interface)と言うこともできる。管理装置300は、遠隔操作システム1の管理を行う。遠隔操作システム1の管理は、例えば、遠隔操作が必要な車両100に対して遠隔オペレータOを割り当てることを含む。管理装置300は、通信ネットワークを介して車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信可能である。典型的には、管理装置300は、クラウド上の管理サーバである。管理サーバは、分散処理を行う複数のサーバにより構成されていてもよい。
【0015】
車両100には、カメラCを含む各種センサが搭載されている。カメラCは、車両100の周囲の状況を撮像し、車両100の周囲の状況を示す画像IMGを取得する。車両情報VCLは、各種センサにより得られる情報であり、カメラCにより得られる画像IMGを含む。車両100は、管理装置300を介して、車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。つまり、車両100は、車両情報VCLを管理装置300に送信し、管理装置300は、受け取った車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に転送する。
【0016】
遠隔オペレータ端末200は、車両100から送信された車両情報VCLを受け取る。遠隔オペレータ端末200は、車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。具体的には、遠隔オペレータ端末200は、表示装置を備えており、画像IMG等を表示装置に表示する。遠隔オペレータOは、表示された情報をみて、車両100の周囲の状況を認識し、車両100の遠隔操作を行う。遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔操作に関する情報である。例えば、遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる操作量を含む。遠隔オペレータ端末200は、管理装置300を介して、遠隔操作情報OPEを車両100に送信する。つまり、遠隔オペレータ端末200は、遠隔操作情報OPEを管理装置300に送信し、管理装置300は、受け取った遠隔操作情報OPEを車両100に転送する。
【0017】
車両100は、遠隔オペレータ端末200から送信された遠隔操作情報OPEを受け取る。車両100は、受け取った遠隔操作情報OPEに従って車両走行制御を行う。このようにして、車両100の遠隔操作が実現される。
【0018】
2.画像切り替え処理
2-1.概要
遠隔操作の最中に車両100が行う通信の通信品質について考える。通信品質としては、通信速度(通信帯域)、通信遅延、RTT(Round Trip Time)、受信信号強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator)、等が例示される。通信速度は、スループットであってもよい。実世界では、通信品質は、場所、時間、環境、等の要因により変動する。
【0019】
図2は、通信品質が正常である場合の遠隔操作システム1による処理を説明するための概念図である。以下の説明では、便宜上、車両100に搭載されているカメラCを「第1カメラC1」と呼び、第1カメラC1によって撮影される画像IMGを「第1画像IMG-1」と呼ぶ。車両100は、第1カメラC1によって得られる第1画像IMG-1を含む車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。通信品質が正常である場合、第1画像IMG-1は正常に遠隔オペレータ端末200に伝送される。遠隔オペレータ端末200は、車両100から受信した第1画像IMG-1を遠隔オペレータOに提示する。遠隔オペレータOは、第1画像IMG-1を見ながら、車両100を精度良く遠隔操作することができる。
【0020】
次に、通信品質が異常である場合について考える。ここで、「通信品質が異常である」とは、「通信品質が第1閾値TH1未満であること」を意味する。例えば、第1閾値TH1は、通信途絶が発生する可能性がある程度に低い通信品質である。このような通信品質の低下は、車両100から遠隔オペレータ端末200への第1画像IMG-1の伝送に支障を来す。仮に通信途絶が発生すると、遠隔オペレータ端末200に第1画像IMG-1が届かなくなる。このように、通信品質が低下すると、遠隔オペレータOが車両100の遠隔操作を継続することが困難になるおそれがある。通信品質が低下した場合であっても、遠隔オペレータOが車両100の遠隔操作を可能な限り継続することができる技術が望まれる。
【0021】
図3は、通信品質が異常である場合の遠隔操作システム1による処理を説明するための概念図である。通信品質の異常が検知された場合、本実施の形態に係る遠隔操作システム1は、遠隔オペレータOに提示する画像IMGを第1画像IMG-1ではない別のものに切り替える。この処理を、以下、「画像切り替え処理」と呼ぶ。
【0022】
より詳細には、画像切り替え処理では「代替カメラCS」が用いられる。代替カメラCSは、第1カメラC1とは異なるカメラであり、遠隔操作の対象である車両100とは異なる物体に設置されている。例えば、代替カメラCSは、車両100の周囲の他車両(例:後続車両)に搭載されているカメラである。他の例として、代替カメラCSは、静止物に設置された固定カメラ(監視カメラ、ネットワークカメラ)であってもよい。代替カメラCSによって撮影される画像を、以下、「代替画像IMG-S」と呼ぶ。また、以下の説明では、1以上の代替カメラCSの各々を、添え字i(iは1以上の整数)を用いて「代替カメラCS-i」と呼ぶ場合もある。代替画像IMG-Siは、代替カメラCS-iによって撮影される画像である。
【0023】
管理装置300は、代替カメラCS-iと通信を行い、代替画像IMG-Siを受信する。また、管理装置300は、代替カメラCS-iの位置及び視野を示す代替カメラ情報SUB-iを取得する。代替カメラCS-iが固定カメラ(監視カメラ、ネットワークカメラ)である場合、その代替カメラ情報SUB-iは既知情報として与えられる。代替カメラCS-iが他車両に搭載されているカメラである場合、その代替カメラ情報SUB-iは当該他車両から得られる。更に、管理装置300は、車両100の位置と進行方向を少なくとも含む車両情報VCLを、車両100から取得する。
【0024】
管理装置300は、車両情報VCLと代替カメラ情報SUB-iに基づいて、車両100とその周囲を少なくとも撮影可能な代替カメラCS-iを、「第2カメラC2」として選択する。選択された第2カメラC2によって撮影される代替画像IMG-Sを、以下、「第2画像IMG-2」と呼ぶ。第2画像IMG-2は、on-viewでもよいしtop-viewでもよい。
【0025】
そして、管理装置300は、第1画像IMG-1の代わりに第2画像IMG-2を遠隔オペレータ端末200に送信する。遠隔オペレータ端末200は、第1画像IMG-1の代わりに第2画像IMG-2を遠隔オペレータOに提示する。遠隔オペレータOは、第2画像IMG-2を見ることによって、車両100の遠隔操作をある程度継続することが可能となる。例えば、遠隔オペレータOは、第2画像IMG-2を見ながら車両100を安全に停止させることが可能となる。このことは、遠隔操作の安全確保の観点から好ましい。
【0026】
2-2.機能構成例
図4は、本実施の形態に係る画像切り替え処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。遠隔操作システム1は、通信品質取得部10、判定部20、画像選択部30、及び画像提示部40を含んでいる。
【0027】
通信品質取得部10は、遠隔操作時に車両100が行う通信の通信品質を取得する。この通信品質取得部10は、車両100に含まれていてもよいし、車両100の通信相手である管理装置300に含まれていてもよい。通信品質としては、通信速度、通信遅延、RTT、RSSI、等が例示される。通信速度は、スループットであってもよい。例えば、通信品質取得部10は、通信相手から受信するデータの受信状態に基づいて、通信速度、通信遅延、RSSI、等の通信品質を測定することができる。他の例として、通信品質取得部10は、通信相手に送信したデータと通信相手からのフィードバックに基づいて、通信速度、通信遅延、RTT、等の通信品質を測定することができる。尚、通信品質の測定方法としては様々なものが提案されており、本実施の形態ではその推定方法は特に限定されない。
【0028】
判定部20は、通信品質取得部10から通信品質の情報を受け取る。この判定部20は、車両100に含まれていてもよいし、管理装置300に含まれていてもよい。判定部20は、通信品質が第1閾値TH1以上であるか否かを判定する。そして、判定部20は、判定結果を示す画像切り替えフラグFLGXを出力する。通信品質が第1閾値TH1未満である場合、画像切り替えフラグFLGXは、画像切り替え処理が必要であることを示す。
【0029】
画像選択部30は、管理装置300に含まれている。画像選択部30は、判定部20から画像切り替えフラグFLGXを受け取る。また、画像選択部30は、遠隔操作の対象である車両100から第1画像IMG-1及び車両情報VCLを受け取る。車両情報VCLは、車両100の位置及び進行方向を少なくとも含む。更に、画像選択部30は、代替カメラCS-iから代替画像IMG-Siを受け取る。更に、画像選択部30は、代替カメラCS-iの位置及び視野を示す代替カメラ情報SUB-iを取得する。代替カメラCS-iが固定カメラである場合、その代替カメラ情報SUB-iは既知情報として与えられる。代替カメラCS-iが他車両に搭載されているカメラである場合、その代替カメラ情報SUB-iは当該他車両から得られる。
【0030】
画像切り替えフラグFLGXが通信品質が第1閾値TH1以上であること、すなわち、画像切り替え処理が不要であることを示す場合、画像選択部30は、第1画像IMG-1を選択する。画像選択部30は、選択した第1画像IMG-1を画像提示部40に出力する。
【0031】
一方、画像切り替えフラグFLGXが通信品質が第1閾値TH1未満であること、すなわち、画像切り替え処理が必要であることを示す場合、画像選択部30は、第2カメラC2を選択する。
【0032】
より詳細には、画像選択部30は、第2カメラ選択部32を含んでいる。第2カメラ選択部32は、車両情報VCLと代替カメラ情報SUB-iに基づいて、車両100とその周囲を少なくとも撮影可能な代替カメラCS-iを第2カメラC2として選択する。複数の第2カメラC2が選択されてもよい。第2カメラC2を選択する際に、車両100が置かれた状況に応じた優先度が考慮されてもよい(後述のセクション3参照)。
【0033】
画像選択部30は、選択した第2カメラC2によって撮影される代替画像IMG-Sを第2画像IMG-2として選択する。そして、画像選択部30は、選択した第2画像IMG-2を画像提示部40に出力する。
【0034】
画像提示部40は、遠隔オペレータ端末200に含まれている。画像提示部40は、画像選択部30によって選択された第1画像IMG-1あるいは第2画像IMG-2を受け取る。そして、画像提示部40は、受け取った第1画像IMG-1あるいは第2画像IMG-2を遠隔オペレータOに提示する。
【0035】
2-3.処理フロー
図5は、本実施の形態に係る画像切り替え処理に関連する処理を要約的に示すフローチャートである。
【0036】
ステップS10において、遠隔操作システム1は、遠隔操作時に車両100が行う通信の通信品質を取得する。
【0037】
ステップS20において、遠隔操作システム1は、通信品質が第1閾値TH1以上であるか否かを判定する。通信品質が第1閾値TH1以上である場合(ステップS20;Yes)、処理は、ステップS31に進む。一方、通信品質が第1閾値TH1未満である場合(ステップS20;No)、処理は、ステップS32に進む。
【0038】
ステップS31において、遠隔操作システム1は、遠隔操作の対象である車両100に搭載された第1カメラC1によって撮影される第1画像IMG-1を選択する。その後、処理は、ステップS40に進む。
【0039】
ステップS32において、遠隔操作システム1は、車両情報VCLと代替カメラ情報SUB-iに基づいて、車両100とその周囲を少なくとも撮影可能な代替カメラCS-iを第2カメラC2として選択する。
【0040】
ステップS33において、遠隔操作システム1は、第2カメラC2によって撮影される代替画像IMG-Sを第2画像IMG-2として選択する。
【0041】
ステップS40において、遠隔操作システム1は、選択された第1画像IMG-1あるいは第2画像IMG-2を遠隔オペレータOに提示する。
【0042】
2-4.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、車両100が行う通信の通信品質を考慮して、必要に応じて画像切り替え処理が行われる。より詳細には、通信品質が第1閾値TH1を下回った場合、車両100に搭載された第1カメラC1の代わりに、車両100とその周囲を撮像可能な第2カメラC2が選択される。そして、その第2カメラC2によって撮影される第2画像IMG-2が、第1画像IMG-1の代わりに遠隔オペレータOに提示される。これにより、遠隔オペレータOは、車両100の遠隔操作を継続することが可能となる。例えば、遠隔オペレータOは、第2画像IMG-2を見ながら車両100を安全に停止させることが可能となる。このことは、遠隔操作の安全確保の観点から好ましい。
【0043】
3.カメラ優先度を考慮した画像切り替え処理
第2カメラC2の候補が複数存在する可能性もある。その場合、カメラ優先度を考慮して、複数の候補の中から第2カメラC2が選択されてもよい。
【0044】
図6は、カメラ優先度を考慮した画像切り替え処理を説明するための概念図である。第2カメラ選択部32は、第2カメラC2の優先度の設定ポリシーを示す優先度ポリシー情報POLを保持している。第2カメラC2の候補が複数存在する場合、第2カメラ選択部32は、優先度ポリシー情報POLに基づいて、複数の候補の中から優先度に従って第2カメラC2を選択する。
【0045】
図7は、カメラ優先度の一例を説明するための概念図である。遠隔操作の対象である車両100は、走行車線L1に存在している。代替カメラCS-1は、車両100の後ろを走行する後続車両に搭載されている移動カメラ(後続カメラ)である。代替カメラCS-2は、車両100の前方の走行車線L1の路側に設置されている固定カメラである。代替カメラCS-3は、車両100の前方の対向車線L2の路側に設置されている固定カメラである。代替カメラCS-4は、対向車線L2を走行する対向車両に搭載されている移動カメラである。代替カメラCS-5は、車両100の後方の対向車線L2の路側に設置されている固定カメラである。
【0046】
図7に示される例では、代替カメラCS-1、CS-2、CS-3、CS-4、CS-5の順番で優先度が高い。すなわち、後続車両に搭載されている代替カメラCS-1(後続カメラ)の優先度が最も高い。代替カメラCS-1(後続カメラ)の優先度は、車両100の周辺の固定カメラである代替カメラCS-2、CS-3、CS-5の優先度よりも高い。これは、代替カメラCS-1(後続カメラ)の場合、車両100に搭載されている第1カメラC1と同様の視野が得られるからである。
【0047】
走行車線L1と対向車線L2を比較した場合、走行車線L1側の優先度は、対向車線L2側の優先度よりも高い。例えば、走行車線L1の路側に設置された代替カメラCS-2の優先度は、対向車線L2の路側に設置された代替カメラCS-3、CS-5の優先度よりも高い。これは、走行車線L1側の代替カメラCSによって撮影される代替画像IMG-Sの方が、車両100やその周囲の状況をより詳しく表しているからである。
【0048】
車両100の前方側と後方側を比較した場合、前方側の優先度は、後方側の優先度よりも高い。例えば、前方側の代替カメラCS-3、CS-4の優先度は、後方側の代替カメラCS-5の優先度よりも高い。これは、車両100の前方側の代替画像IMG-Sの方が、車両100の遠隔操作において有用だからである。
【0049】
図8は、カメラ優先度の他の例を説明するための概念図である。遠隔操作の対象である車両100は、交差点において左折しており、走行車線L1から走行車線L2に移動する。代替カメラCS-1は、車両100の後ろを走行する後続車両に搭載されている移動カメラ(後続カメラ)である。代替カメラCS-2は、車両100の前方の走行車線L2の路側に設置されている固定カメラである。代替カメラCS-3は、車両100の前方の対向車線L3の路側に設置されている固定カメラである。代替カメラCS-4、CS-5は、車両100の後方の対向車線L4の路側に設置されている固定カメラである。
【0050】
図8に示される例では、代替カメラCS-1、CS-2、CS-3、CS-4、CS-5の順番で優先度が高い。すなわち、後続車両に搭載されている代替カメラCS-1(後続カメラ)の優先度が最も高い。代替カメラCS-1(後続カメラ)の優先度は、車両100の周辺の固定カメラである代替カメラCS-2~CS-5の優先度よりも高い。
【0051】
また、車両100が左折する場合、車両100から見て左側に存在する代替カメラCS-2、CS-3の優先度は、車両100から見て右側に存在する代替カメラCS-4、CS-5の優先度よりも高い。これは、車両100の進行方向側の代替画像IMGの方が、車両100の遠隔操作において有用だからである。
【0052】
一般化すると次の通りである。車両100は第1方向に曲がる。第2カメラC2の複数の候補は、車両100から見て第1方向の側に存在する第1代替カメラと、車両100から見て第1方向と逆の第2方向の側に存在する第2代替カメラとを含む。この場合、第1代替カメラの優先度は、第2代替カメラの優先度よりも高い。
【0053】
上述の通り、車両情報VCLは、車両100の位置と進行方向を示している。代替カメラ情報SUB-iは、代替カメラCS-iの位置及び視野を示している。また、第2カメラ選択部32は、地図情報を保持している。第2カメラ選択部32は、地図情報、車両情報VCL及び代替カメラ情報SUB-iに基づいて、車両100と代替カメラCS-iとの位置関係や、車両100の挙動を把握することができる。優先度ポリシー情報POLは、そのような位置関係や挙動に応じた優先度設定を与える。第2カメラ選択部32は、そのような位置関係や挙動と優先度ポリシー情報POLに基づいて、第2カメラC2の複数の候補の優先度を取得することができる。そして、第2カメラ選択部32は、優先度に従って、複数の候補の中から第2カメラC2を選択する。優先度順に複数の第2カメラC2が選択されてもよい。
【0054】
このように、車両100と代替カメラCS-iとの位置関係や車両100の挙動によって、第2カメラC2の候補の優先度が決まる。そのような優先度を考慮することによって、車両100の置かれた状況に適した第2カメラC2を選択することが可能となる。これにより、第2カメラC2によって撮影される第2画像IMG-2を用いた遠隔操作の精度が向上する。
【0055】
4.画像送信抑制処理
通信品質が低下した場合、車両100からの第1画像IMG-1の送信を抑制することによって、送信データ量を減らし、通信をなるべく継続させることが考えられる。このような処理を、以下、「画像送信抑制処理」と呼ぶ。
【0056】
図9は、本実施の形態に係る画像切り替え処理及び画像送信抑制処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。遠隔操作システム1は、上述の機能ブロックに加えて、画像送信抑制部50を更に含んでいる。画像送信抑制部50は、車両100に含まれており、必要に応じて画像送信抑制処理を行う。
【0057】
より詳細には、判定部20は、通信品質に基づいて、画像送信抑制処理が必要か否かを判定する。判定部20は、その判定結果を示す画像送信抑制フラグFLGYを出力する。画像送信抑制部50は、画像送信抑制フラグFLGYを受け取り、その画像送信抑制フラグFLGYの内容に応じて画像送信抑制処理を行うか否かを判断する。
【0058】
図10は、画像送信抑制処理の例を説明するための概念図である。通信品質に関する第2閾値TH2は、第1閾値TH1よりも高い(TH2>TH1)。通信品質が第2閾値TH2以上である場合、通信状態は良好あるいは普通であり、判定部20は画像送信抑制処理は不要であると判定する。
【0059】
一方、通信品質が第2閾値TH2未満である場合、通信状態は不良であり、判定部20は画像送信抑制処理が必要であると判定する。この場合、画像送信抑制部50は、画像送信抑制処理を行う、すなわち、車両100からの第1画像IMG-1の送信を抑制する。例えば、画像送信抑制部50は、第1画像IMG-1の解像度(画素数)をデフォルト値よりも低い値に設定する。例えば、解像度が1080pから360pに低下すると、送信データ量は約1/9となる。他の例として、車両100に複数の第1カメラC1が搭載されている場合、画像送信抑制部50は、一部の第1カメラC1(例:前方カメラ)によって撮影される第1画像IMG-1だけを選択的に送信してもよい。
【0060】
また、通信品質が第1閾値TH1を下回った場合、上述の「画像切り替え処理」が行われる。画像切り替え処理が行われる場合、第1画像IMG-1は選択されないため、画像送信抑制部50は、車両100からの第1画像IMG-1の送信を停止してもよい。すなわち、画像送信抑制部50は、画像切り替え処理と連動して、車両100からの第1画像IMG-1の送信を停止してもよい。
【0061】
このように、通信品質が低下した場合、車両100からの第1画像IMG-1の送信が抑制される。これにより、送信データ量を減らし、重要な情報の通信をなるべく確保することが可能となる。例えば、第1画像IMG-1以外の車両情報VCLの伝送をなるべく確保することが可能となる。また、遠隔オペレータ端末200から車両100への遠隔操作情報OPEの伝送をなるべく確保することが可能となる。
【0062】
5.走行制限処理
画像切り替え処理が行われる場合、遠隔オペレータOは、本来の第1画像IMG-1の代わりに第2画像IMG-2を見て、遠隔操作を行う。このとき、遠隔操作の安全性の観点から、車両100の走行を制限することが好ましい。車両100の走行を制限するとは、車両100の走行パラメータの上限値をデフォルト値よりも低く設定することを意味する。走行パラメータは、速度、操舵角、及び操舵速度のうち少なくとも一つを含む。このように車両100の走行を制限する処理を、以下、「走行制限処理」と呼ぶ。
【0063】
図11は、本実施の形態に係る画像切り替え処理及び走行制限処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。遠隔操作システム1は、上述の機能ブロックに加えて、走行制限部60を更に含んでいる。走行制限部60は、車両100、遠隔オペレータ端末200、及び管理装置300のいずれに含まれていてもよい。走行制限部60は、必要に応じて走行制限処理を行う。
【0064】
より詳細には、判定部20は、通信品質に基づいて、走行制限処理が必要か否かを判定する。判定部20は、その判定結果を示す走行制限フラグFLGZを出力する。走行制限部60は、走行制限フラグFLGZを受け取り、その走行制限フラグFLGZの内容に応じて走行制限処理を行うか否かを判断する。
【0065】
図12は、走行制限処理の例を説明するための概念図である。通信品質が第1閾値TH1を下回った場合、上述の「画像切り替え処理」が行われる。少なくとも画像切り替え処理が行われる場合、判定部20は、走行制限処理が必要であると判定する。この場合、走行制限部60は、走行制限処理を行う。すなわち、走行制限部60は、画像切り替え処理と連動して走行制限処理を実行する。
【0066】
走行制限処理において、走行制限部60は、車両100を操作するための操作量の上限値をデフォルト値よりも低く設定する。また、走行制限部60は、遠隔オペレータOによる操作量を含む遠隔操作情報OPEを受け取る。遠隔操作情報OPEに含まれる操作量が上限値を超えている場合、走行制限部60は、操作量を上限値以下に制限(修正)する。そして、走行制限部60は、操作量が制限された遠隔操作情報OPEを出力する。車両100は、操作量が制限された遠隔操作情報OPEに従って車両走行制御を行う。これにより、車両100の走行が制限される。その結果、車両100の遠隔操作の安全性が確保される。
【0067】
このように、「車両100を操作するための操作量を制限すること」は、「車両100の走行を制限すること」と等価である。また、「車両100を操作するための操作量の上限値をデフォルト値よりも低く設定すること」は、「車両100の走行パラメータ(例:速度、操舵角、操舵速度)の上限値をデフォルト値よりも低く設定すること」と等価である。走行制限部60は、操作量を通して走行制限処理を行っていると言える。
【0068】
通信品質が第2閾値TH2未満である場合にも、判定部20は、走行制限処理が必要であると判定してもよい。通信品質が低下するにつれて制限を強くしてもよい。制限をより強くするとは、操作量(すなわち走行パラメータ)の上限値をより低下させることを意味する。通信品質が低下するほど上限値が低下する(制限が強くなる)ため、車両100の遠隔操作の安全性がより適切に確保される。
【0069】
通信品質が第2閾値TH2以上である場合、判定部20は、走行制限処理は不要であると判定する。
【0070】
図11に示されるように、遠隔操作システム1は、更に通知部70を含んでいてもよい。通知部70は、遠隔オペレータ端末200に含まれている。通知部70は、走行制限フラグFLGZを受け取る。走行制限処理が実行されている間、通知部70は、車両100の走行が制限されていることを遠隔オペレータOに通知する。通知は、視覚を通して行われてもよいし、聴覚を通して行われてもよい。例えば、通知部70は、表示装置に通知(例:「車速制限中:上限車速=**km/h」)を表示する。他の例として、通知部70は、スピーカーを通して通知を音声で出力する。これにより、遠隔オペレータOが走行制限処理に対して違和感を感じることが防止される。
【0071】
尚、セクション4で説明された画像送信抑制処理と、セクション5で説明された走行制限処理との組み合わせも可能である。
【0072】
6.車両の例
6-1.構成例
図13は、車両100の構成例を示すブロック図である。車両100は、通信装置110、センサ群120、走行装置130、及び制御装置150を備えている。
【0073】
通信装置110は、車両100の外部と通信を行う。例えば、通信装置110は、遠隔オペレータ端末200や管理装置300と通信を行う。
【0074】
センサ群120は、認識センサ、車両状態センサ、位置センサ、等を含んでいる。認識センサは、車両100の周辺の状況を認識(検出)する。認識センサとしては、カメラC、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダ、等が例示される。車両状態センサは、車両100の状態を検出する。車両状態センサは、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、等を含んでいる。位置センサは、車両100の位置及び方位を検出する。例えば、位置センサは、GNSS(Global Navigation Satellite System)を含んでいる。
【0075】
走行装置130は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、等が例示される。制動装置は、制動力を発生させる。
【0076】
制御装置150は、車両100を制御するコンピュータである。制御装置150は、1又は複数のプロセッサ160(以下、単にプロセッサ160と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置170(以下、単に記憶装置170と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ160は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ160は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置170は、プロセッサ160による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置170としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。制御装置150は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)を含んでいてもよい。
【0077】
車両制御プログラムPROG1は、プロセッサ160によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ160が車両制御プログラムPROG1を実行することにより、制御装置150の機能が実現される。車両制御プログラムPROG1は、記憶装置170に格納される。あるいは、車両制御プログラムPROG1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0078】
6-2.運転環境情報
制御装置150は、センサ群120を用いて、車両100の運転環境を示す運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVは、記憶装置170に格納される。
【0079】
運転環境情報ENVは、認識センサによる認識結果を示す周辺状況情報を含む。例えば、周辺状況情報は、カメラCによって撮像される画像IMGを含む。周辺状況情報は、車両100の周辺の物体に関する物体情報を含んでいてもよい。車両100の周辺の物体としては、歩行者、他車両(先行車両、駐車車両、等)、白線、信号、標識、路側構造物、等が例示される。物体情報は、車両100に対する物体の相対位置及び相対速度を示す。
【0080】
また、運転環境情報ENVは、車両状態センサによって検出される車両状態を示す車両状態情報を含む。
【0081】
更に、運転環境情報ENVは、車両100の位置及び方位を示す車両位置情報を含む。車両位置情報は、位置センサにより得られる。地図情報と周辺状況情報(物体情報)を用いた自己位置推定処理(Localization)により、高精度な車両位置情報が取得されてもよい。
【0082】
6-3.車両走行制御
制御装置150は、車両100の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、駆動制御、及び制動制御を含む。制御装置150は、走行装置130(操舵装置、駆動装置、及び制動装置)を制御することによって車両走行制御を実行する。
【0083】
制御装置150は、運転環境情報ENVに基づいて自動運転制御を行ってもよい。より詳細には、制御装置150は、運転環境情報ENVに基づいて、車両100の走行プランを生成する。更に、制御装置150は、運転環境情報ENVに基づいて、車両100が走行プランに従って走行するために必要な目標トラジェクトリを生成する。目標トラジェクトリは、目標位置及び目標速度を含んでいる。そして、制御装置150は、車両100が目標トラジェクトリに追従するように車両走行制御を行う。
【0084】
6-4.遠隔操作に関連する処理
以下、車両100の遠隔操作が行われる場合について説明する。制御装置150は、通信装置110を介して、遠隔オペレータ端末200と通信を行う。
【0085】
制御装置150は、車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。車両情報VCLは、遠隔オペレータOによる遠隔操作に必要な情報であり、上述の運転環境情報ENVの少なくとも一部を含んでいる。例えば、車両情報VCLは、周辺状況情報(特に画像IMG)を含んでいる。車両情報VCLは、更に、車両状態情報や車両位置情報を含んでいてもよい。
【0086】
また、制御装置150は、遠隔操作情報OPEを遠隔オペレータ端末200から受信する。遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔操作に関する情報である。例えば、遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる操作量を含む。制御装置150は、受信した遠隔操作情報OPEに従って車両走行制御を行う。
【0087】
更に、制御装置150は、上述の通信品質取得部10及び判定部20の機能を備えていてもよい。この場合、制御装置150は、判定部20による判定結果を示すフラグ情報(FLGX、FLGY、FLGZ)を必要に応じて遠隔オペレータ端末200や管理装置300に送信する。
【0088】
更に、制御装置150は、上述の画像送信抑制部50の機能を備えていてもよい。制御装置150は、画像送信抑制フラグFLGYに基づいて画像送信抑制処理を行う。
【0089】
更に、制御装置150は、上述の走行制限部60の機能を備えていてもよい。制御装置150は、遠隔オペレータ端末200から受信した遠隔操作情報OPEを取得する。そして、制御装置150は、走行制限フラグFLGZと遠隔操作情報OPEに基づいて、操作量を制限する。
【0090】
7.遠隔オペレータ端末の例
図14は、遠隔オペレータ端末200の構成例を示すブロック図である。遠隔オペレータ端末200は、通信装置210、出力装置220、入力装置230、及び制御装置250を含んでいる。
【0091】
通信装置210は、車両100及び管理装置300と通信を行う。
【0092】
出力装置220は、各種情報を出力する。例えば、出力装置220は、表示装置を含んでいる。表示装置は、各種情報を表示することにより、各種情報を遠隔オペレータOに提示する。他の例として、出力装置220は、スピーカを含んでいてもよい。出力装置220は、画像提示部40や通知部70の機能を備えている。
【0093】
入力装置230は、遠隔オペレータOからの入力を受け付ける。例えば、入力装置230は、遠隔オペレータOが車両100を遠隔操作する際に操作する遠隔操作部材を含む。遠隔操作部材は、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、等を含んでいる。
【0094】
制御装置250は、遠隔オペレータ端末200を制御する。制御装置250は、1又は複数のプロセッサ260(以下、単にプロセッサ260と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置270(以下、単に記憶装置270と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ260は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ260は、CPUを含んでいる。記憶装置270は、プロセッサ260による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置270としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。
【0095】
遠隔操作プログラムPROG2は、プロセッサ260によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ260が遠隔操作プログラムPROG2を実行することにより、制御装置250の機能が実現される。遠隔操作プログラムPROG2は、記憶装置270に格納される。あるいは、遠隔操作プログラムPROG2は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。遠隔操作プログラムPROG2は、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0096】
制御装置250は、通信装置210を介して、車両100と通信を行う。制御装置250は、車両100から送信される車両情報VCLを受信する。制御装置250は、画像情報を含む車両情報VCLを表示装置に表示することによって、車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。遠隔オペレータOは、表示装置に表示される車両情報VCLに基づいて、車両100の状態や周囲の状況を認識することができる。
【0097】
遠隔オペレータOは、入力装置230の遠隔操作部材を操作する。遠隔操作部材の操作量は、遠隔操作部材に設置されたセンサにより検出される。制御装置250は、遠隔オペレータOによる遠隔操作部材の操作量を反映した遠隔操作情報OPEを生成する。そして、制御装置250は、その遠隔操作情報OPEを通信装置210を介して車両100に送信する。
【0098】
更に、制御装置250は、上述の走行制限部60の機能を備えていてもよい。制御装置250は、走行制限フラグFLGZと遠隔操作情報OPEに基づいて、操作量を制限する。そして、制御装置250は、操作量が制限された遠隔操作情報OPEを車両100に送信する。
【0099】
8.管理装置の例
図15は、管理装置300の構成例を示すブロック図である。管理装置300は、通信装置310及び制御装置350を含んでいる。
【0100】
通信装置310は、車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信を行う。
【0101】
制御装置350は、管理装置300を制御する。制御装置350は、1又は複数のプロセッサ360(以下、単にプロセッサ360と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置370(以下、単に記憶装置370と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ360は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ360は、CPUを含んでいる。記憶装置370は、プロセッサ360による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置370としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。
【0102】
管理プログラムPROG3は、プロセッサ360によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ360が管理プログラムPROG3を実行することにより、制御装置350の機能が実現される。管理プログラムPROG3は、記憶装置370に格納される。あるいは、管理プログラムPROG3は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。管理プログラムPROG3は、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0103】
制御装置350は、通信装置310を介して、車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信を行う。制御装置350は、車両100から送信される車両情報VCLを受信する。そして、制御装置350は、受信した車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。また、制御装置350は、遠隔オペレータ端末200から送信される遠隔操作情報OPEを受信する。そして、制御装置350は、受信した遠隔操作情報OPEを車両100に送信する。
【0104】
更に、制御装置350は、上述の通信品質取得部10及び判定部20の機能を備えていてもよい。この場合、制御装置350は、判定部20による判定結果を示すフラグ情報(FLGX、FLGY、FLGZ)を必要に応じて車両100や遠隔オペレータ端末200に送信する。
【0105】
更に、制御装置350は、上述の画像選択部30の機能を備えている。制御装置350は、車両100や代替カメラCSと通信を行い、必要な情報を受け取る。制御装置350は、画像切り替えフラグFLGXに基づいて、第1画像IMG-1あるいは第2画像IMG-2を選択する。そして、制御装置350は、選択した第1画像IMG-1あるいは第2画像IMG-2を遠隔オペレータ端末200に送信する。
【0106】
更に、制御装置350は、上述の走行制限部60の機能を備えていてもよい。制御装置350は、遠隔オペレータ端末200から受信した遠隔操作情報OPEを取得する。更に、制御装置350は、走行制限フラグFLGZと遠隔操作情報OPEに基づいて、操作量を制限する。そして、制御装置350は、操作量が制限された遠隔操作情報OPEを車両100に送信する。
【符号の説明】
【0107】
1 遠隔操作システム
10 通信品質取得部
20 判定部
30 画像選択部
32 第2カメラ選択部
40 画像提示部
50 画像送信抑制部
60 走行制限部
70 通知部
100 車両
200 遠隔オペレータ端末
300 管理装置
C カメラ
C1 第1カメラ
C2 第2カメラ
CS 代替カメラ
FLGX 画像切り替えフラグ
FLGY 画像送信抑制フラグ
FLGZ 走行制限フラグ
IMG 画像
IMG-1 第1画像
IMG-2 第2画像
IMG-S 代替画像
OPE 遠隔操作情報
POL 優先度ポリシー情報
SUB 代替カメラ情報
VCL 車両情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15