(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082902
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】パーマ用ロッド
(51)【国際特許分類】
A45D 2/20 20060101AFI20230608BHJP
A45D 2/18 20060101ALI20230608BHJP
A45D 2/16 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A45D2/20
A45D2/18
A45D2/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196901
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】521530129
【氏名又は名称】株式会社GIVALE
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】出口 真一
(57)【要約】
【課題】別部材を必要とすることなく容易にワインディングを完成できるようにするとともに、耐久性を高める。
【解決手段】毛束を巻いてウェーブをつけるためのパーマ用ロッド11において、ロッド本体12の巻き始め位置に、毛束の巻き始め部位を留める溝状の始端留め部13を一体形成するとともに、ロッド本体12の巻き終わり位置に、毛束の巻き終わり部位を留める棒状の終端留め部14を一体形成する。ロッド本体12と始端留め部13と終端留め部14を含む全体を、可撓性を有する材料で形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛束を巻いてウェーブをつけるためのパーマ用ロッドであって、
ロッド本体の巻き始め位置に、毛束の巻き始め部位を留める始端留め部が一体形成されるとともに、
前記ロッド本体の巻き終わり位置に、毛束の巻き終わり部位を留める終端留め部が一体形成され、
全体が可撓性を有する材料で形成された
パーマ用ロッド。
【請求項2】
前記始端留め部が前記ロッド本体の径方向の内側に形成され、前記終端留め部が前記始端留め部よりも径方向の外側に形成された
請求項1に記載のパーマ用ロッド。
【請求項3】
前記始端留め部が前記ロッド本体の軸心方向の一端側に形成され、前記終端留め部が前記ロッド本体の軸心方向の他端側に形成された
請求項1に記載のパーマ用ロッド。
【請求項4】
前記ロッド本体が軸心方向の両端に鍔部を有し、
一方の前記鍔部の外周部から他方の前記鍔部に向けて延びる、前記終端留め部又は前記始端留め部としてのアーム部が形成された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のパーマ用ロッド。
【請求項5】
前記アーム部の長さが、前記対をなす他方の鍔部に達する長さに形成された
請求項4に記載のパーマ用ロッド。
【請求項6】
前記ロッド本体が軸心方向の両端に鍔部を有し、
一対の前記鍔部の外周部からそれぞれ他方の前記鍔部に向けて延びて相互間に隙間をあける一対のアーム部が、前記終端留め部として形成された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のパーマ用ロッド。
【請求項7】
前記終端留め部が毛束を挟み込む溝部で構成された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のパーマ用ロッド。
【請求項8】
前記溝部が複数形成された
請求項7に記載のパーマ用ロッド。
【請求項9】
前記始端留め部が、毛束を囲む毛束挿入空間を内側に有する鉤形に形成された
請求項3に記載のパーマ用ロッド。
【請求項10】
前記ロッド本体に、軸心方向と交差する方向に突出してウェーブさせる毛束を引っかける複数の突起部が形成された
請求項9に記載のパーマ用ロッド。
【請求項11】
前記ロッド本体が、前記始端留め部を基端にして延びる形状で複数形成された
請求項9または請求項10に記載のパーマ用ロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、毛束を巻いてウェーブをつけるためのパーマ用ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
パーマ用ロッドは、筒状に形成されており、軸心方向の両端には輪ゴムを止めるための凹凸を有している。
【0003】
使用に際しては、毛束を所望の態様でロッド本体に巻き付けてからラバー(輪ゴム)やピンを用いて巻付け状態を保持する。しかし、ラバーのような別の部材を必要とするので準備する部材の点数が増えるうえに、ロッドの大きさに応じて部材を選択する必要もあって、作業性がよくない。
【0004】
従来、例えば下記特許文献1に開示されたものが提案されている。これは、カーラーに別部材のピンを組み込んで、ピンで毛束を挟めるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、別部材のピンを組み付けて一体にしたものであるので、構成が複雑になり、製造コストがかかるうえに耐久性の点でも難がある。また、巻き始めを留める手段がないので、巻き始め位置を確定しにくく、この点で作業性がよくない。
【0007】
そこで、この発明は、別部材を必要とすることなく容易にワインディングを完成できるようにするとともに、耐久性を高めることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、ロッド本体の巻き始め位置に、毛束の巻き始め部位を留める始端留め部が一体形成されるとともに、前記ロッド本体の巻き終わり位置に、毛束の巻き終わり部位を留める終端留め部が一体形成され、全体が可撓性を有する材料で形成されたパーマ用ロッドである。
【0009】
この構成では、ロッド本体の始端留め部が、毛束の巻き始め部位、つまり毛束又は毛束に付したペーパーにおける巻き始め部位を例えば挟み込んだり抵抗を付与したりして固定し、巻付け作業を容易にする。また終端留め部が、毛束の巻き終わり部位、つまり毛束又は毛束に付したペーパーにおける巻き終わり部位を例えば挟み込んだり押さえ込んだりして固定し、巻き戻りを防止して毛束の巻取り状態を保持する。巻き始め時や巻取り中、巻き終わり時に、可撓性を有する全体は適宜変形して作業を容易にする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ロッド本体が始端留め部と終端留め部を有しているので、巻き始めから巻き終えて保持するまでの間に別部材を使用する必要がなく、準備を含めてパーマ施術が容易に行えるようになる。しかも、始端留め部と終端留め部はロッド本体に一体形成されているので、構成は簡素であり、耐久性が高い。そのうえ、全体が可撓性を有するので、始端留め部や終端留め部に留める作業や巻付け作業が柔軟に行えて、作業性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】他の例に係るパーマ用ロッドの斜視図と平面図と正面図。
【
図6】
図5に示したパーマ用ロッドの使用状態を示す説明図。
【
図7】
図5に示したパーマ用ロッドの使用状態を示す説明図。
【
図10】他の例に係るパーマ用ロッドの正面図と側面図。
【
図11】他の例に係るパーマ用ロッドの正面図と側面図。
【
図13】他の例に係るパーマ用ロッドの側面図と正面図。
【
図14】他の例に係るパーマ用ロッドの側面図と正面図。
【
図15】他の例に係るパーマ用ロッドの毛束を巻く部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1に、毛束を巻いてウェーブをつけるためのパーマ用ロッド11の斜視図、
図2にその正面図(a)と左側面図(b)と右側面図(c)を示す。このパーマ用ロッド11は、それ自体のみでワインディングを完成できるものであって、全体が一つの部材で構成されている。
【0014】
すなわち、パーマ用ロッド11は、毛束が巻き付けられる筒状、軸状、柱状又は棒状のロッド本体12を有し、このロッド本体12に、始端留め部13と終端留め部14が一体形成されている。
【0015】
図1に例示のパーマ用ロッド11は、ツイストパーマをかけるのに好適なものであり、ロッド本体12の長さは、巻き付ける毛束の幅より若干長い程度に設定されている。ロッド本体12は、軸方向の両端に、径方向に張り出して毛束を規制する鍔部15,16を有している。ロッド本体12の断面形状は円形であり、鍔部15,16の側面視形状も円形である。また、一対の鍔部15,16の大きさ(外径)は互いに同一である。
【0016】
ロッド本体12に形成される前述の始端留め部13は、毛束の巻き始め部位、つまり毛束や、毛束に重ねられたり毛束を挟んだりして毛束に付されたペーパーにおける巻き始め部位を留めるためものである。前述の終端留め部14は、毛束の巻き終わり部位、つまり毛束や、毛束に重ねられたり毛束を挟んだりして毛束に付されたペーパーにおける巻き終わり部位を留めて、巻き戻りを防止して毛束を巻いた状態を保持するためものである。
【0017】
これら始端留め部13と終端留め部14は、毛束やペーパーをロッド本体12に対して相対移動不可に留めるものであればよく、多様な形態が考えられる。例えば挟み込む溝や、引っかける爪、抵抗を付与する突起、毛束との絡みで頭部での姿勢を保持する棒状部分や鉤形部分などがあげられる。
【0018】
終端留め部14については、巻き取った毛束が巻き戻ることがないようにすることが必要であり、始端留め部13の構成を考慮して設計されるとよい。上述例のなかでも溝は、毛束やペーパーを挟み込んで留める構成であるので、毛束やペーパーのどの部位でも固定できるように形成することで、非常に便利に使えるものとなる。
【0019】
なお、巻き終わり部位はもちろんであるが、巻き始め部位は、毛束やペーパーの先や根元であるほか、毛束やペーパーの長手方向の中間となる場合もある。つまり、毛先巻き、根元巻き、中間巻きのいずれも可能である。
【0020】
始端留め部13はロッド本体12の巻き始め位置に形成され、終端留め部14はロッド本体12の巻き終わり位置に形成される。これら巻き始め位置と巻き終わり位置は、ロッド本体12の半径方向の一方と他方、具体的には、径方向の内側とそれよりも外側である場合と、ロッド本体12の軸心方向の一端側と他端側である場合と、これらを組み合わせた場合がある。
【0021】
図1に例示のパーマ用ロッド11は、巻き始め位置と巻き終わり位置を半径方向の一方と他方に配設している。具体的には、ロッド本体12の軸心方向の一端における鍔部15の基部を巻き始め位置又は巻き終わり位置とし、この部分にロッド本体12を他の部位よりも細くする溝部31が、始端留め部13又は終端留め部14として形成されている。
【0022】
溝部31は、全周に形成され、毛束又はペーパーを挟み込んで留めるのに必要な幅と深さに設定されている。溝部31の形状は、単なる「凹」字形であるほか、底部ほど幅を狭めたり広げたりするものなど、その他の形状であってもよい。
【0023】
一方、巻き終わり位置又は巻き始め位置は、鍔部15,16の外周部であり、アーム32が終端留め部14又は始端留め部13として形成されている。アーム32は棒状に形成されており、鍔部15,16のうち溝部31を有する側の鍔部15とは反対側の鍔部16の外周部における外周面位置より外側の部位から、対向する他方の鍔部15に向けて延びている。
【0024】
図示例のアーム32は、鍔部15,16の径方向に相当する方向を短くする偏平な断面長方形である。またアーム32の長さは、対をなす他方の鍔部15に達する長さ、より具体的には、先端面32aが鍔部15の外側面15aと面一になる長さに設定されている。
【0025】
以上のような構成のパーマ用ロッド11は、全体が可撓性を有する材料で形成されている。ここでいう可撓性は、
図2(a)に仮想線で示したように圧力を受けると変形しても元の形に戻る性質であって、元の形に戻る速度は、例えば竹のように素早いものでなくともよい。可撓性は必要であるものの、スポンジのように柔軟すぎて、毛束を巻くと著しく圧縮されてしまうような材料は不適切である。
【0026】
材料としては、合成樹脂、特に軽量である例えばポリエチレンやポリプロピレンなどが用いられるほか、耐久性・耐薬品性の点から硬度を硬めにしたシリコン樹脂などが好適に使用できる。パーマ用ロッド11は、アルカリ性と酸性のパーマ液に触れるので、構造上の点からのみではなく、素材の特性として耐薬品性を有するシリコン樹脂などを用いたい方が、耐久性を維持できるのでよい。
【0027】
なお、
図1の例では、中実である形状を示したが、ロッド本体12の軸心部分に中空部を形成したり、鍔部15,16等に切欠き部を形成したり、鍔部15,16の外側面を凹曲面状に凹ませたり、ぬすみを設けたりして軽量化をはかってもよい。
【0028】
パーマ用ロッド11は、例えば
図3や
図4に示したように使用される。
【0029】
図3の使用例は、アーム32を始端留め部13として使用し、溝部31を終端留め部14として使用する例である。
【0030】
すなわち、まず毛束21にツイストをかけて、毛束21をペーパー22で挟み込む。つぎに、アーム32の先端部と鍔部15との間からペーパー22を付した毛束21を差し入れて、根元又は長手方向途中である毛束21の巻き始め部位を始端留め部13(アーム32)の下に入れて留める(
図3(a))。このときパーマ用ロッド11は全体が変形するので一連の操作は容易である。特に、アーム32は終端留め部14を有する側の鍔部15とは反対側の鍔部16に形成しているので、巻き始め部位を留める作業は容易に行える。
【0031】
続いて毛束21とペーパー22をロッド本体12に必要長さ巻いたのち、毛束21の巻き終わり部位を終端留め部14(溝部31)に挟み込んで、毛束21の巻き戻りを防止し、巻取り状態を保持する(
図3(b))。溝部31への留めについては、無理に毛束21を挟み込むのではなく、ペーパー22を留めるほうが、毛髪をきれいに丸められるのでよい。
【0032】
毛束21を巻く長さは、ロッド本体12の1周以上の長さであるほか、1周に満たない長さであってもよい。これは、溝部31が毛束21やペーパー22の巻き終わり部位がパーマ用ロッド11との関係でどの位置あっても、毛束21やペーパー22を固定できるからである。
【0033】
このように、ロッド本体12の始端留め部13で毛束21の巻き始め部位を押さえるようにして留めたのち、毛束21を巻き、毛束21の巻き終わり部位を終端留め部14に挟み込むと、ほぼ自動的に巻取り状態が保持される。このため、他の部材を用いて留める必要はない。またパーマ用ロッド11の全体が可撓性を有しているので、留めや巻きの作業性はよく、ピンを用いる必要もないので安全性も高い。
【0034】
しかも、毛束21を巻くのに際しては、パーマ用ロッド11をあるべき位置に置いてから、それより先の部分を巻き、巻き終わり位置は溝部31からなる終端留め部14に必ず固定できるので、所望の巻き付けを実現できる。毛束21の長さが短くてもウェーブをかけることができる。
【0035】
そのうえ、他の部材が不要であるので、準備する部材の種類を低減でき、準備から施術にかかる作業の簡単化をはかれることもできる。
【0036】
また、パーマ用ロッド11は一つの部材で構成されているので、構成は簡素であり丈夫な構造とすることができる。このため、耐久性が高い。
【0037】
加えて、ロッド本体12の始端留め部13から終端留め部14までにおける毛束21を巻き付けたり引っかけたりする部分が全体として適宜の形状とになるように設計することで、様々な形のウェーブをかけることができる。
【0038】
図4の使用例は、溝部31を始端留め部13として使用し、アーム32を終端留め部14として使用する例である。
【0039】
すなわち、まず毛束21にツイストをかけて、毛束21をペーパー22で挟み込む。つぎに、アーム32の先端部と鍔部15との間からペーパー22を付した毛束21を差し入れて、毛束21の巻き始め部位を始端留め部13(溝部31)に入れて留める(
図4(a))。このときパーマ用ロッド11は全体が変形するので一連の操作は容易である。特に、アーム32は始端留め部13を有する側の鍔部15とは反対側の鍔部16に形成しているので、巻き始め部位を留める作業は容易に行える。
【0040】
続いてパーマ用ロッド11を回転して毛束21を必要長さ巻いたのち、毛束21の巻き終わり部位を終端留め部14(アーム32)で押さえ込んで、毛束21の巻き戻りを防止し、巻取り状態を保持する(
図4(b))。終端留め部14が鍔部15,16間にかけ渡されたような形状であるが、巻く動作やアーム32の下に毛束21を潜らせる操作は、パーマ用ロッド11の全体が変形するので容易に行える。
【0041】
このように、ロッド本体12の始端留め部13に毛束21の巻き始め部位を留めたのち、パーマ用ロッド11を回転して毛束21を巻き取れるので、全体の可撓性と相まって、巻取り作業は容易に行える。そして、巻取りを終えると毛束21の巻き終わり部位が終端留め部14に押さえ込まれて、ほぼ自動的に巻取り状態が保持されるので、他の部材を用いて留める必要はない。このため、作業性がよく、ピンを用いる必要もないので安全性も高い。しかも、他の部材が不要であるので、準備する部材の種類を低減でき、準備から施術にかかる作業の簡単化をはかれる。
【0042】
以下、その他の例について説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0043】
図5は、スパイラルパーマやツイストスパイラルパーマをかけるのに適したパーマ用ロッド11の斜視図(a)と、平面図(b)と、正面図(c)である。
【0044】
このパーマ用ロッド11は、ロッド本体12が毛束をスパイラル状に巻き付けられる必要な長さに形成されており、
図1の例の場合に比して長い。そしてロッド本体12の軸心方向の一方側に始端留め部13又は終端留め部14が一体形成され、他端側に終端留め部14又は始端留め部13が一体形成されている。
【0045】
始端留め部13又は終端留め部14は、軸心方向の一端部の外周面から軸心に向けて斜めに切り込む態様の溝部31で構成されている。溝部31の外周側には、溝部31に差し込まれた毛束を係止する係止爪33が存在することになる。
【0046】
係止爪33は、平面視略三角形状で先端が軸心方向に沿って軸心方向の他端側に向いており、ロッド本体12の外周面から突出している。
【0047】
終端留め部14又は始端留め部13は、軸心方向の他端部の端面から、外周方向に突出する凸部34と、凸部34の先端から軸心方向に沿って、溝部31側に延びるアーム部35で鉤形に構成されている。アーム部35とロッド本体12の外周面との間は、毛束を囲む毛束挿入空間17である。
【0048】
始端留め部13と終端留め部14が上述のような構成であるため、溝部31を始端留め部13とする場合、このパーマ用ロッド11は、始端留め部13がロッド本体12の径方向の内側に形成され、終端留め部14が始端留め部13よりも径方向外側に形成されたものであるともいえる。
【0049】
なお、係止爪33は、その外側面がロッド本体12の外周面と面一、又はそれより軸心側に位置する形態でもよい。またロッド本体12は中空構造として、外周面にも空間が露出する形状であってもよい。ロッド本体12の外周面にはすべり止めに資する凹凸が形成されてもよい。
【0050】
このような構成のパーマ用ロッド11は、例えば
図6、
図7に示したように使用される。
【0051】
図6の使用例は、毛束挿入空間17を有する鉤形の部分を始端留め部13として使用し、溝部31を終端留め部14として使用する例である。
【0052】
すなわち、始端留め部13である鉤形の部分の毛束挿入空間17にツイストをかけた毛束21の巻き始め部位を挿入してアーム部35を毛束の本来あるべき位置に留める(
図6(a))。なお、
図6においてはペーパー22の図示を省略している。
【0053】
続いて、毛束21の巻き終わり位置よりも先の部分をロッド本体12に巻き付けて、毛束21の巻き終わり部位を終端留め部14である溝部31に挟み込んで巻き戻り防止し、巻取り状態を保持する(
図6(b))。
【0054】
このパーマ用ロッド11においては、前述したパーマ用ロッド11と同様の作用を有し、効果を発揮する。ツイストをかけない毛束21のワインディングを行ってもよい。
【0055】
図7の使用例は、溝部31を始端留め部13として使用し、毛束挿入空間17を有する鉤形の部分を終端留め部14として使用する例である。
【0056】
すなわち、始端留め部13である溝部31、つまり係止爪33の下にツイストをかけた毛束21の巻き始め部位を挟み込んで係止する(
図7(a))。なお、
図7においてもペーパー22の図示を省略している。
【0057】
続いて、パーマ用ロッド11を回転しながら毛束21をスパイラル状に巻取り、毛束21の巻き終わり部位を終端留め部14のアーム部35にかけて巻き戻りを防止し、巻取り状態を保持する(
図7(b))。
【0058】
このパーマ用ロッド11においても、前述したパーマ用ロッド11と同様の作用を有し、効果を発揮する。ツイストをかけない毛束21のワインディングを行ってもよい。
【0059】
図8には、
図5と同様にスパイラル状に巻くのに適したパーマ用ロッド11の例を示している。
図8(a)のパーマ用ロッド11は、基本的に
図5のパーマ用ロッド11と同一の構成であるが、溝部31の向きが異なっている。すなわち、溝部31を構成する係止爪33が、軸心方向に対して直角の方向を向いている。
【0060】
図8(b)のパーマ用ロッド11も
図5のパーマ用ロッド11と基本的に同一の構成であるが、溝部31の構造が異なっている。この溝部31は、ロッド本体12の太さを細くする溝で構成されており、溝はロッド本体12の全周に形成されている。また、この溝部31は、ロッド本体12の軸心方向に複数並べて設けられている。図示例のロッド本体12は2個の溝部31を有している。
【0061】
これら複数の溝部31は、毛束の巻き始め部位の留めを強力に行ったり、巻取り長さを調整したりするときに有効に利用される。
【0062】
図9は、
図5に示したパーマ用ロッド11の変形例を示している。ロッド本体12の軸心方向の一端側に始端留め部13が、他端側に終端留め部14が形成された構成において、始端留め部13が毛束21を囲む毛束挿入空間17を内側に有する鉤形に形成されている。そしてロッド本体12が、始端留め部13を基端にして延びる形状で複数形成されている。
【0063】
具体的には、ロッド本体12は平行に並ぶ2本形成され、これらロッド本体12の基部は、鉤形、より詳しくは「U」字形に形成されて、ロッド本体12間には毛束挿入空間17を有している。
【0064】
終端留め部14は、各ロッド本体12の遊端部に、径を細くする溝部31で形成されている。
【0065】
このような構成のパーマ用ロッド11では、
図9に仮想線で示したように、毛束21を始端留め部13の毛束挿入空間17から引き出して、毛束21の巻き始め位置に対する位置決めをする。このあと、毛束21の巻き始め位置よりも先の部分を2本のロッド本体12に対して順に巻き付けて、毛束21の巻き終わり位置を少なくともいずれか一方の溝部31に挟み込んで固定する。
【0066】
なお、
図9においてもペーパーの図示は省略している。
【0067】
複数のロッド本体12の太さには違いをつけてもよい。ロッド本体12の軸心方向において太さに変化をつけてもよい。
【0068】
図10は、
図9のパーマ用ロッド11と同様に、
図5に示したパーマ用ロッド11の変形例を示しており、このパーマ用ロッド11は波ウェーブをかけるのに好適なものである。
図10の(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0069】
ロッド本体12はL字形に形成され、その軸心方向の一端側に始端留め部13が、他端側に終端留め部14が形成された構成において、始端留め部13が毛束21を囲む毛束挿入空間17を内側に有する鉤形に形成されている。そしてロッド本体12に、軸心方向と交差する方向に突出してウェーブさせる毛束を引っかける複数の突起部18が形成されている。
【0070】
具体的には、ロッド本体12は直線状に延びる棒状部12aの下端にそれよりも太い円柱状の屈曲部12bを有したL字形であり、棒状部12aの上端に直角に曲がるアーム部35を始端留め部13として有している。ロッド本体12の棒状部12aにおけるアーム部35から下の部分には、アーム部35の延びる方向と同じ方向に延びて屈曲部12bと並ぶ2本の突起部18が形成されている。アーム部35と突起部18の間と、突起部18同士の間と、下と突起部18と屈曲部12bとの間の隙間は波ウェーブをかけるのに適した間隔に設定される。
【0071】
突起部18は屈曲部12bと同じ断面円形であり、これら突起部18と屈曲部12bの直径は適宜設定され、図示例のようにすべて同一の大きさであるほか、大きさをそれぞれ違えてもよい。
【0072】
屈曲部12bの先端には、終端留め部14としての溝部31が形成されている。
【0073】
このような構成のパーマ用ロッド11では、
図10に仮想線で示したように、毛束21を始端留め部13の毛束挿入空間17から引き出して、毛束21の巻き始め位置に対する位置決めをする。このあと、毛束21の巻き始め位置よりも先の部分を3本の突起部18に対して順に引っかけるようにして巻いて、毛束21の巻き終わり位置を終端留め部14である溝部31に挟み込んで固定する。
【0074】
【0075】
図11は、
図10のパーマ用ロッド11の変形例を示している。
図11の(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0076】
このパーマ用ロッド11では、
図10のパーマ用ロッド11とは異なり、ロッド本体12が直線状をなす棒状部12aのみで構成されており、毛束は突起部18のみに巻かれる構成である。
【0077】
すなわち、棒状部12aに軸心方向と直交する同一方向であってアーム部35と同じ方向に延びる3本の突起部18が形成され、棒状部12aの他端に、溝部31からなる終端留め部14が形成されている。
【0078】
【0079】
すなわち、ロッド本体12の軸心方向の一端側に始端留め部13が、他端側に終端留め部14が形成された構成において、始端留め部13が毛束21を囲む毛束挿入空間17を内側に有する鉤形に形成されている。そしてロッド本体12に、径方向の外側に突出してウェーブさせる毛束を引っかける複数の突起部18が形成されている。
【0080】
具体的には、ロッド本体12は比較的太く形成した棒状であり、軸心方向の一端に、「U」字形又は鉤形に曲がるアーム部35を始端留め部13として有している。ロッド本体12のアーム部35から軸心方向の他端側にかけて、3本の突起部18が離間配置されている。3本の突起部18のうち2本は同一方向に突出しており、他の1本は反対側に向けて突出している。アーム部35と突起部18の間と突起部18同士の間の隙間はウェーブをかけるのに適した間隔に設定される。
【0081】
突起部18は略円錐形形状であり、これら突起部18の直径は適宜設定され、図示例のようにすべて同一の大きさであるほか、大きさをそれぞれ違えてもよい。また突起部18の数や配置は適宜設定され、図示例以外のものであってもよい。
【0082】
ロッド本体12の他端部には、終端留め部14としての溝部31が形成されている。
【0083】
このような構成のパーマ用ロッド11では、
図12に仮想線で示したように、毛束21を始端留め部13の毛束挿入空間17から引き出して、毛束21の巻き始め位置に対する位置決めをする。このあと、毛束21の巻き始め位置よりも先の部分をロッド本体12と3本の突起部18に対して順に引っかけるようにして巻いて、毛束21の巻き終わり位置を終端留め部14である溝部31に挟み込んで固定する。
【0084】
【0085】
このパーマ用ロッド11では、特に、斬新なウェーブを再現性よくかけることができる。
【0086】
図13のパーマ用ロッド11は、
図1に示したパーマ用ロッド11と同様にツイストパーマをかける場合に好適なものである。
図13(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0087】
このパーマ用ロッド11のロッド本体12は長さが短く設定されており、軸心方向の両端部に鍔部15,16が形成されている。一対の鍔部15,16の外周部には、それぞれ径方向に延びる始端留め部13又は終端留め部14としての複数の切り込み溝36が放射状に形成されている。
【0088】
つまり、このパーマ用ロッド11は、始端留め部13がロッド本体12の軸心方向の一端側に形成され、終端留め部14が他端側に形成された例である。またそれら始端留め部13と終端留め部14の構成は互いに同一である。
【0089】
このような構成のパーマ用ロッド11は、一方の鍔部15の始端留め部13に毛束の巻き始め部位を係止したのち、鍔部15,16同士の間に毛束を巻取り、毛束の巻き終わり部位を反対側の鍔部16の終端留め部14に係止する。始端留め部13も終端留め部14も周方向に複数存在するので、巻取り長さを細かく調整できる。
【0090】
図14のパーマ用ロッド11もツイストパーマをかける場合に好適なものである。
図14(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0091】
このパーマ用ロッド11のロッド本体12は長さが短く設定されており、軸心方向の両端部に鍔部15,16が形成されている。ロッド本体12の軸方向の中間位置には、径を小さくする始端留め部13としての挟み込み溝37が形成されている。挟み込み溝37は、毛束を押し付けると毛束が挟まれて留まるように、奥の方が幅狭となる形状である。
【0092】
そして終端留め部14は、一対の鍔部15,16の外周部に形成されている。つまり、一対の鍔部15,16の外周部からそれぞれ他方の鍔部16,15に向けて延びて相互間に隙間をあける一対のアーム部38が形成されている。
【0093】
このパーマ用ロッド11は、始端留め部13がロッド本体12の径方向の内側に形成され、終端留め部14が始端留め部13よりも径方向外側に形成された例である。
【0094】
このような構成のパーマ用ロッド11では、ロッド本体12の始端留め部13に毛束の巻き始め部位を挟み込んで留めたのち、鍔部15,16同士の間に毛束を巻取り、毛束の巻き終わり部位を鍔部15,16の外周部の終端留め部14に係止して押さえ込む。始端留め部13は留める位置を限定しないため、また終端留め部14は周方向に複数存在するので、巻取り長さを細かく調整できる。
【0095】
図14(c)は、始端留め部13の他の例を示している。すなわち、始端留め部13はロッド本体12の周面から外方に突出する複数の突起39で構成されている。突起39は毛束に接触抵抗を付与して留める。
【0096】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0097】
例えば、毛束が巻かれるロッド本体12や突起部12の断面形状は、断面のたてよこの寸法が同じ又は近似する円形に近い形状であるほか、
図15に示したように、たてaとよこbの長さの違いが大きい偏平な形状であってもよい。
図15の(a)は断面形状が長円形であり、(b)は長方形である例を示している。このような偏平な形状とするのは、毛束が巻かれる部分の全体であるほか、一部分部のみであってもよい。
【0098】
また、毛束が巻かれる突起部18などの形状は中間部の太さが両側部の太さよりも小さくなる鼓型であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
11…パーマ用ロッド
12…ロッド本体
13…始端留め部
14…終端留め部
15,16…鍔部
17…毛束挿入空間
18…突起部
21…毛束
31…溝部
32…アーム
33…係止爪
35…アーム部
36…切り込み溝
37…挟み込み溝
38…アーム部
39…突起