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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082908
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】2液噴射容器及び2液噴射製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/68 20060101AFI20230608BHJP
   B65D 83/54 20060101ALI20230608BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20230608BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20230608BHJP
   B05B 7/24 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
B65D83/68
B65D83/54
B65D81/32 U
B05B9/04
B05B7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196912
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】村上 知子
【テーマコード(参考)】
3E013
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E013AB03
3E013AB05
3E013AB07
3E013AB08
3E013AC01
3E013AD02
3E013AE02
3E013AF05
3E013AF34
3E014PA01
3E014PA03
3E014PB03
3E014PB04
3E014PB05
3E014PB07
3E014PB08
3E014PC02
3E014PC08
3E014PD01
3E014PE08
3E014PE09
3E014PF10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB13Y
4F033QB17
4F033QB18
4F033QD02
4F033QF02X
4F033RA02
4F033RB04
4F033RB05
4F033RC08
4F033RC16
(57)【要約】
【課題】2つの内容物が噴射されたことを確実に把握するための2液噴射容器及び2液噴射製品を提供する。
【解決手段】第1内容物C1を充填する第1容器20と、第2内容物C2を充填する第2容器30と、第1容器20の第1バルブ22と第2容器30の第2バルブ32とを一緒に開閉する噴射部材40とを備え、噴射部材40が、第1バルブ22から第1噴射孔71までの第1噴射通路R1と、第2バルブ32から第2噴射孔72までの第2噴射通路R2と、第1内容物C1が噴射されているときには第2噴射通路R2を塞ぎ、第1内容物C1の噴射が完了した後に第2噴射通路R2を開放する時差噴射手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物を吐出する第1バルブと、
第2内容物を吐出する第2バルブと、
第1バルブと第2バルブとを一緒に開閉できるように連結する噴射部材と、を備え、
噴射部材が、
第1バルブから第1噴射孔までの第1噴射通路と、
第2バルブから第2噴射孔までの第2噴射通路と、
第1内容物が噴射されているときには第2噴射通路を塞ぎ、第1内容物の噴射が完了した後に第2噴射通路を開放する時差噴射手段と、を備えている、
2液噴射容器。
【請求項2】
時差噴射手段が、第1バルブの開閉に連動して第2噴射通路を閉開する弁である、請求項1記載の2液噴射容器。
【請求項3】
時差噴射手段が、第1噴射通路内の圧力が下がることにより第2噴射通路を開放する弁である、請求項1記載の2液噴射容器。
【請求項4】
第1バルブが定量バルブである、請求項1~3のいずれかに記載の2液噴射容器。
【請求項5】
上記請求項1~4のいずれかに記載の2液噴射容器に、第1内容物と第2内容物とを充填した、2液噴射製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの内容物を噴射するための2液噴射容器及び2液噴射製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2本のエアゾール容器と、2本のエアゾール容器に跨るスパウト部材とを備えた2液吐出装置が開示されている。この2液吐出装置では、スパウト部材を押し下げることで、2つのエアゾールバルブを同時に開放し、2つの内容物を同時に吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-82012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同時に吐出される2つの内容物の外観が互いに類似している場合、内容物がそれぞれきちんと吐出されているか見極めることが難しい。特に内容物を霧状に噴射する場合は極めて困難である。そのため、内容物として、2つの内容物を反応させることで効果を発揮する2液反応型の内容物を用いる場合には、設計通りの効果を得られるか判断できないことがある。
【0005】
本発明は、2つの内容物が噴射されたことを確実に把握することができる2液噴射容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の2液噴射容器は、第1内容物C1を吐出する第1バルブ22、22A、22Bと、第2内容物C2を吐出する第2バルブ32、32Aと、第1バルブ22、22A、22Bと第2バルブ32、32Aとを一緒に開閉できるように連結する噴射部材40、40A、40Bと、を備え、噴射部材40、40A、40Bが、第1バルブ22、22A、22Bから第1噴射孔71までの第1噴射通路R1と、第2バルブ32、32Aから第2噴射孔72までの第2噴射通路R2と、第1内容物C1が噴射されているときには第2噴射通路R2を塞ぎ、第1内容物C1の噴射が完了した後に第2噴射通路R2を開放する時差噴射手段と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
上記2液噴射容器においては、時差噴射手段が、第1バルブ22、22Aの開閉に連動して第2噴射通路R2を閉開する弁V1であることが好ましい。
【0008】
または、時差噴射手段が、第1噴射通路R1内の圧力が下がることにより第2噴射通路R2を開放する弁V2であることが好ましい。
【0009】
また、第1バルブ22A、22Bが定量バルブであることが好ましい。
【0010】
本発明の2液噴射製品1は、上記いずれかの2液噴射容器10、10A、10B、10Cに、第1内容物C1と第2内容物C2とを充填していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の2液噴射容器及び2液噴射製品は、第1内容物が噴射されているときには第2噴射通路を塞ぎ、第1内容物の噴射が完了した後に第2噴射通路を開放する時差噴射手段を備えているため、2つの内容物が噴射されたことを確実に把握することができる。
【0012】
時差噴射手段が、第1バルブの開閉に連動して第2噴射通路を閉開する弁である場合、第1バルブと第2バルブとが閉じられた後で、第2バルブから弁までに貯留された量の第2内容物を噴射することができる。
【0013】
時差噴射手段が、第1噴射通路内の圧力が下がることにより第2噴射通路を開放する弁である場合、第1内容物の噴射が完了した後で自動的に第2内容物を噴射することができる。
【0014】
第1バルブが定量バルブである場合、第1内容物を所定量噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る2液噴射製品を示す断面図である。
図2】噴射部材を示す斜視図である。
図3】時差噴射の仕組みを表す断面図である。
図4】本発明の異なる実施形態に係る2液噴射製品を示す断面図である。
図5】時差噴射の仕組みを表す断面図である。
図6】本発明のさらに異なる実施形態に係る2液噴射製品を示す断面図である。
図7】時差噴射の仕組みを示す断面図である。
図8】本発明のさらに異なる実施形態に係る2液噴射製品を示す断面図である。
図9】時差噴射の仕組みを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係る2液噴射容器10について図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、2液噴射容器10は、第1容器20と、第2容器30と、噴射操作を行うための噴射部材40とを備えている。この2液噴射容器10は、第1容器20に第1内容物C1を充填し、第2容器30に第2内容物C2を充填することで2液噴射製品1になる。以下、各部材について詳細に説明する。
【0017】
第1容器20は、上端に開口21aを有する容器本体21と、容器本体21の開口21aを塞ぐ第1バルブ22とを備えている。
【0018】
容器本体21は、例えばアルミニウム等の金属製であって、底部21bと、底部21bの外周端から立ち上がる胴部21cと、胴部21cの上端から徐々に縮径しながら上方に延びる肩部21dと、肩部21dの上端から上方に延びる首部21eとを備えている。首部21eは上下方向の略中間に括れ部21fを有している。この括れ部21fは第1バルブ22をカシメ固定する際に利用される。開口21aは首部21eの上端に設けられている。
【0019】
第1バルブ22は、側面にステム孔24aを有する有底筒状のステム24と、ステム24を上下動可能に収容するハウジング25と、ステム24を常時上方(外側)に付勢する弾性体(バネ)26と、略ドーナッツ状であって、ステム24が押し下げられる(押し込まれる)前は内周面でステム孔24aを塞ぎ、ステム24が押し下げられた(押し込まれた)ときには内周側が撓んでステム孔24aを開放するステムラバー27と、ハウジング25を容器本体21に固定するマウンティングカップ28と、ハウジング25内に第1内容物C1を吸い上げるためのチューブ29とを備えた、所謂エアゾールバルブである。ステム24を押し下げている(押し込んでいる)間、常にステム孔24aが開放されるため、連続バルブと言うこともできる。マウンティングカップ28は、上端に底を有する略カップ状であって、ステム24の一部はこの底から上方に突出している。また、マウンティングカップ28は、容器本体21の首部21eに外嵌された状態で縮径方向にカシメられ、容器本体21に固定されている。
【0020】
上記構成の第1容器20は密閉状態であり、第1バルブ22を介してのみ第1内容物C1を吐出することができる。第2容器30も第1容器20と同一の構成である。そのため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。ただし、第2容器30のバルブは第2バルブ32とする。
【0021】
第1容器20と第2容器30とは、肩カバー50によって互いに連結され、相互の位置関係が固定されている。肩カバー50は、マウンティングカップ28にそれぞれ外嵌固定される2つの固定筒50aと、固定筒50a同士を横方向で連結する連結部50bと、連結部50bから上方に突出する2つのガイド筒50cとを備えている。ガイド筒50cは、噴射部材40の外周に位置し、噴射部材40の上下移動をガイドする。
【0022】
第1容器20に充填された第1内容物C1は、2種類の内容物を反応させることで効果を発揮する2液反応型の内容物の第1剤(原液)と、この第1剤を噴射するための噴射剤とを含んでおり、液相と気相とに分かれている。チューブ29は液相内で開口しており、主として液相が噴射される。2液反応型の内容物としては、例えば2液式温感製剤、2液式発熱製剤、2液式冷却製剤、2液式ゲル化剤、2液式被膜形成剤、2液式接着剤、2液式染毛剤、2液式パーマ剤等があげられる。噴射剤は、液化ガス、圧縮ガスおよびこれらの混合ガスである。液化ガスとしては、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィン等が挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素等が挙げられ、25℃における圧力が0.2~1.0MPa未満となるように充填される。
【0023】
第2容器30に充填された第2内容物C2は、2液反応型の内容物の第2剤(原液)と、この第2剤を噴射するための噴射剤とを含んでおり、液相と気相とに分かれている。噴射剤は、第1容器20に充填されたものと同じ種類のものを充填することが好ましいが、異なる種類のものを充填してもよい。
【0024】
また、第1内容物C1と第2内容物C2は、前記2液反応型以外にも少なくとも2つの効果を発揮させる内容物でもよく、例えば殺虫剤と消臭芳香剤、日焼け止めと制汗剤、日焼け止めと害虫忌避剤、手指消毒剤と保湿剤、ファンデーションと制汗剤、化粧コート剤と制汗剤等があげられる。また、第1内容物C1と第2内容物C2は噴射形態を変えることができ、例えば霧状と泡状、霧状とクリーム状、霧状とゲル状、クリーム状とゲル状、泡状とクリーム状等があげられる。
【0025】
噴射部材40は、第1バルブ22のステム24と第2バルブ32のステム24とに跨って取り付けられている。そのため、噴射部材40を押し下げることで、第1バルブ22のステム24と第2バルブ32のステム24とを一緒に押し下げる(押し込む)ことができ、第1バルブ22と第2バルブ32とを一緒に開くことができる。また、第1バルブ22と第2バルブ32との開状態を維持することができる。また、押し下げを止めることで、第1バルブ22のステム24と第2バルブ32のステム24とを一緒に押し下げられる前の元の位置に戻し、第1バルブ22と第2バルブ32とを一緒に閉じることができる。換言すれば、一方のバルブを開こうとすれば他方のバルブも一緒に開くことができ、一方のバルブを閉じようとすれば他方のバルブも一緒に閉じることができる。すなわち、噴射部材40は、第1バルブ22と第2バルブ32とを一緒に開閉できるように連結している。
【0026】
この噴射部材40は、第1バルブ22のステム24に接続する第1接続口61aと、第1内容物C1を噴射する第1噴射孔71と、第1バルブ22から第1噴射孔71までを連通する第1噴射通路R1と、第2バルブ32のステム24に接続する第2接続口81と、第2内容物C2を噴射する第2噴射孔72と、第2バルブ32から第2噴射孔72までを連通する第2噴射通路R2と、第1内容物C1が噴射されているときには第2噴射通路R2を塞ぎ、第1内容物C1の噴射が完了した後に第2噴射通路R2を開放する時差噴射手段と、を備えている。
【0027】
第1噴射通路R1と第2噴射通路R2とは互いに交わることは無く、互いに独立している。従って、噴射部材40内で第1内容物C1と第2内容物C2とが混ざり合うことは無い。
【0028】
時差噴射手段は、第1バルブ22の開閉に連動して第2噴射通路R2を閉開する弁V1である。具体的に、弁V1は、第2噴射通路R2に設けられ、噴射部材40を押し下げることで閉じられ、噴射部材40の押し下げを止めて噴射部材40が元の位置に戻ると開く仕組みになっている。
【0029】
そのため、図3のS1に示すように、噴射部材40を押し下げると、第1バルブ22と第2バルブ32とが開放され、第1内容物C1は第1噴射孔71から噴射されるが、第2噴射通路R2は閉じられ(すなわち弁V1が作動し)、第2内容物C2は第2噴射孔72にまで到達しない。第2バルブ32から吐出された第2内容物C2は、弁V1の上流側に設けられた貯留室Sに貯まる。噴射部材40の押し下げを止めると、図3のS2に示すように、弾性体26によってステム24が元の位置に戻り、第1バルブ22と第2バルブ32とが閉じる。これにより第1内容物C1の噴射は止まる(噴射が完了する)。一方で、弁V1が開放されるため、第2バルブ32から弁V1の間に貯留されていた第2内容物C2が、第2噴射孔72から噴射される。そのため、第1内容物C1と第2内容物C2がそれぞれ正常に噴射されたかどうかを確認しやすい。
【0030】
上記構成の噴射部材40は、本体60と、噴射ノズル70と、ステム装着部材80とを備えている。第1噴射通路R1は、本体60と、噴射ノズル70とを通り、第2噴射通路R2は、本体60と、噴射ノズル70と、ステム装着部材80とを通っている。
【0031】
本体60は、第1接続口61aと第1噴射通路R1の一部(本体60側)とが設けられた第1通路部材61と、第2噴射通路R2の一部(本体60側)が設けられた第2通路部材62とを備えている。
【0032】
図2に示すように、第1通路部材61の外観は略円柱状である。第1通路部材61の下部には、図1に示すように、第1接続口61aが設けられ、その第1接続口61aと連通するようにして第1噴射通路R1の一部が設けられている。第1噴射通路R1の一部は、第1接続口61aから上方に向かって延びた後、第2通路部材62に向かって横方向に延びている。
【0033】
第2通路部材62の外観も略円柱状である。第2通路部材62の下部には、ステム装着部材80に上下方向に摺動可能に外嵌する下筒部63が設けられている。この下筒部63の内部空間が貯留室Sの大部分を構成する。下筒部63の上部(下流側)には、第2内容物C2を下流側に流すための導出孔64が設けられている。この導出孔64は、下筒部63から上方に向かって延びた後、第1通路部材61に向かって横方向に延びている。導出孔64の上流端部の外周には、本体60を押し下げたときにステム装着部材80(後述する閉鎖凸部84)と当接して、下筒部63と導出孔64との連通を遮断する閉鎖凹部65が設けられている。要は、閉鎖凹部65と閉鎖凸部84とによって弁V1が構成されている。
【0034】
噴射ノズル70は、第1噴射通路R1の一部(噴射ノズル70側)と、この部分と連通する第1噴射孔71と、第2噴射通路R2の一部(噴射ノズル70側)と、この部分と連通する第2噴射孔72とを備えている。そして、第1通路部材61の本体60側と噴射ノズル70側とが連通するように、また、下筒部63と導出孔64とによって構成されている第2通路部材62の本体60側と噴射ノズル70側とが連通するようにして、第1通路部材61と第2通路部材62とに固定されている。
【0035】
ステム装着部材80は、第2接続口81と、第2接続口81の上方(下流側)を塞ぐ略ドーム状の蓋部82と、蓋部82に設けられ、第2接続口81からの第2内容物C2を第2通路部材62の下筒部63内に導入するための導入孔82aと、下筒部63の内面と摺動可能に当接するフランジ部83とを備えている。閉鎖凸部84は、蓋部82の上面に設けられている。導入孔82aは、蓋部82の側面に設けられており、閉鎖凹部65と閉鎖凸部84とが当接しても閉じられることは無く、常に第2接続口81と下筒部63内とを連通している。貯留室Sは、閉鎖凹部65と閉鎖凸部84とが当接したときに形成される(図3のS1参照)。この貯留室Sは、ステム孔24aから閉鎖凹部65までに形成される密閉空間によって構成される。従って、第2内容物C2は、常に貯留室Sに貯留された量が噴射される。また、閉鎖凹部65と閉鎖凸部84が当接して第2噴射通路R2が寸断されてから、はじめて第2バルブ32のステム24を押し下げる(開放する)ことができる構成とされているため、第1内容物C1と第2内容物C2とが同時に噴射されることは無く、第1内容物C1と第2内容物C2とを順番に噴射させることができる。
【0036】
図4は、本発明の異なる実施形態に係る2液噴射容器10Aである。図に示すように、この2液噴射容器10Aでは、第1容器20の第1バルブ22Aが連続バルブではなく定量バルブとされている。そのため、噴射部材40を押し下げ続けても、第1内容物C1は、第1バルブ22Aに予め貯留されている量が噴射されるだけである(図5のS1参照)。第1内容物C1の噴射が完了した後で噴射部材40の押し下げを止めると、図5のS2に示すように、弁V1が開放され、第2内容物C2が噴射される。第2内容物C2も、貯留室Sに貯留されている量が噴射されるだけである。そのため、第1内容物C1と第2内容物C2とを常に所定の比率で噴射することができる。
【0037】
第1バルブ22Aは、ステム24の下部に設けられ、ハウジング25の底25aに設けられた孔25a1を挿通する栓部91と、ハウジング25の底25aよりも下方(上流側)に設けられたシール材92とを備えている。シール材92の中心には、第1容器20内とハウジング25内とを連通するシール孔92aが設けられており、ステム24を押し下げる前は、このシール孔92aを通じて第1内容物C1がハウジング25内に流れ込む。ただ、ステム24が押し下げられるとシール孔92aに栓部91が嵌合し閉じられる(図5のS1参照)。シール孔92aが閉じられることで、ハウジング25内に貯留室Sが形成される。当然、第1内容物C1のハウジング25内への供給は止まる。ステム24の押し下げを止めて、ステム24が上方へ移動すると、栓部91によるシール孔92aの閉塞が解除され、再びハウジング25内に第1内容物C1が流れ込む(図5のS2参照)。
【0038】
この第1バルブ22Aは、シール材92とチューブ29とをハウジング25に固定する略筒状の固定部材93を備えている。他の構成については、図1の2液噴射容器10と同一であるため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0039】
図6は、本発明のさらに異なる実施形態に係る2液噴射容器10Bである。図に示すように、この2液噴射容器10Bでは、時差噴射手段として、第1噴射通路R1内の圧力が下がることにより第2噴射通路R2を開放する弁(ピストン弁)V2が設けられている。
【0040】
このピストン弁V2は、噴射部材40Aの本体60と噴射ノズル70との間に設けられた空間に摺動可能に収容されている。そして、一方の噴射通路側(例えば第1噴射通路R1側)に移動すれば、一方の噴射通路(第1噴射通路R1)を閉じ、他方の噴射通路(第2噴射通路R2)を開放する。両方の噴射通路R1、R2を同時に閉じたり、同時に開放したりすることはない。要は切替弁である。このピストン弁V2は、第1噴射通路R1からの圧力と付勢部材(バネ)94からの付勢力とを一方側(例えば左側)から受け、第2噴射通路R2からの圧力を反対側(右側)から受ける。なお、第1噴射通路R1と第2噴射通路R2とは、ピストン弁V2によって隔てられており、常に互いの独立状態は維持される。
【0041】
上記構成のピストン弁V2を備えた噴射部材40Aを押し下げると、図7のS1に示すように、第1バルブ22Bと第2バルブ32とが開放され、噴射部材40内に流れ込んだ第1内容物C1と第2内容物C2がピストン弁V2を押し合う。ただ、ピストン弁V2は常に付勢部材94によって付勢されているため、ピストン弁V2は第2噴射通路R2を閉じる位置に留まる。そのため、第1内容物C1は第1噴射孔71から噴射されるが、第2内容物C2は第2噴射孔72には到達しない。第1内容物C1をある程度噴射すると、定量バルブである第1バルブ22B内の第1内容物C1の残量が少なくなり、第1噴射通路R1内の圧力が下がる。やがて、第2内容物C2の圧力が、第1噴射通路R1内の圧力と付勢部材94による付勢力の合力を上回り、ピストン弁V2が移動する(図7のS2参照)。ピストン弁V2が移動することで、第1噴射通路R1が閉じられ、第1内容物C1の噴射が完了する一方、第2噴射通路R2が開放され、第2内容物C2が第2噴射孔72から噴射される。要は、自動的に第1内容物C1の噴射状態から第2内容物C2の噴射状態へと切り替わる。噴射部材40Aの押し下げを止めると、ステム24が押し下げられる前の元の位置に戻り、第1バルブ22Bと第2バルブ32とが閉じられ、付勢部材94による付勢力が第2噴射通路R2内の圧力を上回った段階で、ピストン弁V2によって再び第2噴射通路R2が閉じられ、第2内容物C2の噴射が止まる。
【0042】
定量バルブである図6の第1バルブ22Bは、同じく定量バルブである図4の第1バルブ22Aに比べて、ハウジング25の下部が径外方向に拡径されている。また、ハウジング25に底が無く、ハウジング25に内嵌された略カップ状の固定部材93によってハウジング25の下方が閉じられている。シール材92は筒状であって、シール孔92aをステム24の栓部91に向けた状態で固定部材93に固定されている。栓部91は、ステム24を押し下げる前はシール孔92aに嵌合しておらず、従って、第1内容物C1はシール孔92aを介してハウジング25内に流れ込む。ステム24が押し下げられると、図7のS1に示すように、栓部91がシール孔92aに嵌合し閉じられる。シール孔92aが閉じられることで、ハウジング25内に貯留室Sが形成される。当然、第1内容物C1のハウジング25内への供給は止まる。ステム24の押し下げを止めて、ステム24が上方へ移動すると、栓部91によるシール孔92aの閉塞が解除され、再びハウジング25内に第1内容物C1が流れ込む。
【0043】
なお、第1バルブ22Bは、必ずしも定量バルブである必要は無い。定量バルブでない場合は、噴射部材40を押し下げている間、第1内容物C1が噴射され続け、第2内容物C2は噴射されない。噴射部材40Aの押し下げを止め、第1バルブ22Bと第2バルブ32とが閉じると、まず、第1噴射通路R1内に残っている第1内容物C1が噴射される。噴射により第1噴射通路R1内の圧力が下がると、第2噴射通路R2内に残っている第2内容物C2の圧力によって、ピストン弁V2が移動し、第2噴射通路R2が開放され、第2噴射通路R2内に残っている第2内容物C2が噴射される。
【0044】
上記の他、容器本体21の胴部21cが大径とされ、容器本体21とマウンティングカップ28との接合部にビードが形成されていること、噴射部材40Aがステム装着部材80を備えず、第2バルブ32のステム24が直接、本体60に接続されていることを除いて、図4の2液噴射容器10Aと同様であるため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0045】
図8は、本発明のさらに異なる実施形態に係る2液噴射容器10Cである。図に示すように、この2液噴射容器10Cでは、噴射部材40Bを介して第1容器20Aと第2容器30Aとを上下方向に連結している。
【0046】
下側に位置する第1容器20Aは、チューブ29を省略しつつ、容器本体21の軸方向長さを短くした他は、図4の第1容器20と同じである。すなわち、第1バルブ22Aは定量バルブであって、ステム24を押し込んでいる間は、ハウジング25内の第1内容物C1が吐出される一方で、シール孔92aが栓部91によって塞がれ、容器本体21からハウジング25内への第1内容物C1の供給が止まっている。ステム24の押し込みを止めて、ステム24が元の位置に戻ることで、ステム24からの第1内容物C1の吐出が止まる一方で、栓部91によるシール孔92aの閉塞が解除され、ハウジング25内に第1内容物C1が供給されるようになっている(図9参照)。
【0047】
上側に位置する第2容器30Aは、チューブ29を省略しつつ、容器本体21の軸方向長さを短くした他に、第2バルブ32Aが倒立状態での液相の吐出に適した構成とされている点で、図1図4の第2容器30とは異なっている。具体的には、ハウジング25の側面に液相導入孔25bが設けられており、第2容器30Aが倒立状態とされることで第2バルブ32A側に溜まる第2内容物C2の液相を、主として液相導入孔25bを通じて吐出できるようになっている。
【0048】
第1容器20Aと第2容器30Aとの間に位置する噴射部材40Bは、第1接続口61aと第2接続口81とが上下方向に並んでいる他は、図1図4の噴射部材40と同じである。すなわち、第2容器30A側(上側)に、閉鎖凹部65と閉鎖凸部84とからなる弁V1を備えており、第2バルブ32Aのステム24を押し込もうとすれば弁V1が閉じて貯留室Sが形成され、この貯留室Sに第2容器30Aから第2内容物C2が供給され、ステム24の押し込みを止める(手を離す)と、弁V1が開いて貯留室Sから第2内容物C2が外部に噴射されるようになっている(図9参照)。なお、詳しくは後述するが、図1図4図6の噴射部材40、40Aとは異なり、この噴射部材40Bは直接操作されるものでは無い。
【0049】
符号95は、第1容器20Aと第2容器30Aと噴射部材40Bとを収容するホルダーである。ホルダー95は、略円柱状の胴部95aと、胴部95aの下端を閉じる底部95bとを備えている。胴部95aの上は開口している。また、胴部95aの上端は、キャップ96を装着するためのキャップ装着部95cになっている。また、胴部95aの側面には、吐出部材40Bの噴射ノズル70を外部に突出させるためのスリット95dが設けられている。スリット95dは上下方向に延びている。また、その下端は噴射ノズル70よりも下に位置しており、噴射ノズル70の下方への移動を許容している。胴部95aの高さは、第1容器20Aを下にした状態で第1容器20Aと第2容器30Aと噴射部材40Bとを収容したときに、第2容器30Aの底部21bが胴部95aから上に突出する高さとすることが好ましい。底部95bには、容器20A、30Aを交換する際に、第1容器30Aの底部21bを押すことができるように貫通孔95eが設けられている。
【0050】
上記構成の2液噴射容器10Cを使用するには、図9のS1に示すように、キャップ96をホルダー95から取り外して第2容器30Aの底部21bを露出させ、この露出した底部21bを下に押し込む。押し込む力は、第2容器30Aから噴射部材40Bを介して第1容器20Aにも伝わる。要は、噴射部材40Bが、第1バルブ22Aと第2バルブ32Aとを一緒に開閉できるように連結しているため、第2バルブ32Aのステム24と、第1バルブ22Aのステム24とが押し込まれ、第1バルブ22Aと第2バルブ32Aの両方が開放される。開放により、第1内容物C1は外部に噴射されるが、第2容器30Aの底部21bを下に押しこむ(第1バルブ22Aが開く)ことに連動して閉じる弁V1によって第2噴射通路R2が閉じられているため、第2内容物C2は噴射されない。
【0051】
第1バルブ22Aの貯留室Sが空となり、第1内容物C1の噴射が完了した段階で、第2容器30Aの底部21bから手を離して押し込みを止めると、図9のS2に示すように、ステム24が元の位置に戻って第1バルブ22Aと第2バルブ32Aの両方が閉じる。また、第2容器30Aの底部21bの押しこみを止める(第1バルブ22Aが閉じる)ことに連動して弁V1が開き、貯留されていた第2内容物C2が外部に噴射される。このように、この2液噴射容器10Cでも時差噴射をすることができる。なお、弁V1を開く力は、貯留室Sに貯留された第2内容物C2の圧力によって得られる。ただ別途、弁V1を開く側に付勢する部材を設けてもよい。
【0052】
他の構成については、図4の2液噴射容器10Aと同様であるため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0053】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば図6の2液噴射容器10Bにおいて、第2バルブ32を定量バルブとしてもよい。この場合、第1内容物C1と第2内容物C2とを常に所定の比率で噴射させることができる。また、第1容器20、20Aと第2容器30、30Aのいずれも二重容器を用いることができる。さらに、各2液噴射容器10、10A、10Bは、2つの容器(第1容器20と第2容器30)を用いていたが、2つのバルブを有する1つの容器を用いてもよい。この場合、1つの容器内に2つの部屋や内袋を設けて内容物同士が混ざらないように、また、2つのバルブからそれぞれ別の内容物が吐出されるようにする。
【符号の説明】
【0054】
1 2液噴射製品
10、10A、10B、10C 2液噴射容器
20、20A 第1容器
21 容器本体
21a 開口
21b 底部
21c 胴部
21d 肩部
21e 首部
21f 括れ部
22、22A、22B 第1バルブ
24 ステム
24a ステム孔
25 ハウジング
25a 底
25a1 底の孔
25b 液相導入孔
26 弾性体
27 ステムラバー
28 マウンティングカップ
29 チューブ
30、30A 第2容器
32、32A 第2バルブ
40、40A、40B 噴射部材
50 肩カバー
50a 固定筒
50b 連結部
50c ガイド筒
60 本体
61 第1通路部材
61a 第1接続口
62 第2通路部材
63 下筒部
64 導出孔
65 閉鎖凹部
70 噴射ノズル
71 第1噴射孔
72 第2噴射孔
80 ステム装着部材
81 第2接続口
82 蓋部
82a 導入孔
83 フランジ部
84 閉鎖凸部
91 栓部
92 シール材
92a シール孔
93 固定部材
94 付勢部材
95 ホルダー
95a 胴部
95b 底部
95c キャップ装着部
95d スリット
95e 貫通孔
96 キャップ
C1 第1内容物
C2 第2内容物
R1 第1噴射通路
R2 第2噴射通路
S 貯留室
V1 弁
V2 ピストン弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9