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特開2023-82923作業支援システム、作業対象特定装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082923
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業対象特定装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20230608BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196938
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】使い勝手を向上させることのできる作業支援システム、作業対象特定装置および方法を提供すること。
【解決手段】作業者の作業を支援する作業支援システム7は、作業者U1により使用される作業対象特定装置1と、作業者の作業を支援する作業支援者U2により使用される作業支援装置2であって、作業対象特定装置と通信可能に接続される作業支援装置と、を備え、作業対象特定装置は、対象装置を含む作業空間の3次元空間データ52を取得し、対象装置を撮影した2次元画像データ51を3次元空間データ中の対象装置に対応付けて所定の画像データを作成し、作成された所定の画像データを作業支援装置へ出力し、作業支援装置は、作業対象特定装置から受信した所定の画像データを表示し、作業支援者から入力される情報を作業対象特定装置へ送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の作業を支援する作業支援システムであって、
作業者により使用される作業対象特定装置と、
作業者の作業を支援する作業支援者により使用される作業支援装置であって、前記作業対象特定装置と通信可能に接続される作業支援装置と、を備え、
前記作業対象特定装置は、対象装置を含む作業空間の3次元空間データを取得し、前記対象装置を撮影した2次元画像データを前記3次元空間データ中の前記対象装置に対応付けて所定の画像データを作成し、前記作成された所定の画像データを前記作業支援装置へ出力し、
前記作業支援装置は、前記作業対象特定装置から受信した前記所定の画像データを表示し、前記作業支援者から入力される情報を前記作業対象特定装置へ送信する
作業支援システム。
【請求項2】
前記作業対象特定装置は、前記作業空間の前記対象装置へ作業者を誘導する誘導情報を含む支援コンテンツデータを作成して作業者へ提供する
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記誘導情報は、作業者が前記対象装置の前で、前記対象装置を特定する特定情報を前記作業対象特定装置へ入力することを要求する情報である
請求項2に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記支援コンテンツデータは、前記対象装置についての作業指示を記載した作業指示マニュアルデータに基づいて作成される
請求項2に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記作業対象特定装置は、前記作業空間を撮影した2次元画像データを解析することにより、前記対象装置の候補を抽出して作業者へ提示する
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記対象装置の候補が複数存在する場合、前記作業者に提示された前記複数の対象装置の候補の中から前記対象装置を作業者に選択させる
請求項5に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記作業対象特定装置は、前記対象装置の作業についての評価を取得して、作業履歴と共に保存する
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項8】
前記作業対象特定装置と前記作業支援装置とは直接的に接続される
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項9】
作業対象の装置を特定する作業対象特定装置であって、
対象装置を含む作業空間の3次元空間データを3次元空間データ取得部から取得し、
前記対象装置の2次元画像データを2次元画像データ取得部から取得し、
前記対象装置の2次元画像データを前記3次元空間データ中の前記対象装置に対応付けて所定の画像データを作成し、
前記作成された所定の画像データを作業支援装置へ送信し、
前記作業支援装置から前記所定の画像データに基づく支援情報を受信する
作業対象特定装置。
【請求項10】
作業対象の装置を特定する作業対象特定方法であって、
対象装置を含む作業空間の3次元空間データを3次元空間データ取得部から取得し、
前記対象装置の2次元画像データを2次元画像データ取得部から取得し、
前記対象装置の2次元画像データを前記3次元空間データ中の前記対象装置に対応付けて所定の画像データを作成し、
前記作成された所定の画像データを作業支援装置へ送信し、
前記作業支援装置から前記所定の画像データに基づく支援情報を受信する
作業対象特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業対象特定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、発電所、サーバルームなどの各種施設には、配電盤、制御盤、サーバなど多種多様の装置が設置されている。これらの装置を保守点検する際、作業者は、作業指示書に記載された内容にしたがって保守点検作業をする。作業者の経験が少なく1人での作業が難しい場合、熟練者がその場で指導しながら、保守点検作業を進めることがある。しかし、熟練者が複数の未熟な作業者を指導する必要がある場合、未熟な作業者と一緒に現場へ同行するのは、時間的な制約があって難しい。
【0003】
そこで、熟練作業者が遠隔地から現地の作業者を支援する技術が知られている(特許文献1)。従来技術では、例えば、現地作業者がウェアラブルデバイスを装着し、ウェアラブルデバイスで撮像した画像を連続的に遠隔の熟練者へ送信する。遠隔の熟練者側の機器は、現地のウエアラブルデバイスから受信した画像を一つにつなげた現地画像を作り出して表示する。熟練者は、一つにつなげられた画像上で作業対象箇所を選択する。作業者のウェアラブルデバイスには、熟練者が遠隔地から指定した作業対象箇所の画像付近へ移動するように通知される。
【0004】
他の従来技術では、あらかじめ作業現場の特徴点を点群として取得して登録しておく。作業者が作業を行う場合、作業者の使用する装置は、登録時の座標を元に点群の位置合わせを行って、作業対象箇所を3次元的に示す(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-181751号公報
【特許文献2】特開2019-159668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、作業現場を2次元画像だけで再現するため、熟練作業者がその2次元画像を見て作業対象の位置を直観的に把握するのが難しい。特許文献1の技術では、特に奥行きの把握が困難となるため、棚や配管、装置類が複雑に入り組んだ場所で作業対象の特定するのが難しい。
【0007】
特許文献2の技術では、作業開始前に、作業現場の3次元空間を点群データとして取得し、3次元マップに割り付けるなどの処理が必要となる。したがって、新たな作業現場に速やかに対応することができず、使い勝手が悪い。さらに、作業現場の状況が変化すると、取得済みの点群データをそのまま利用することができなくなるため、作業現場の状況変化に速やかに対応できない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、使い勝手を向上させることのできる作業支援システム、作業対象特定装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う作業支援システムは、作業者の作業を支援する作業支援システムであって、作業者により使用される作業対象特定装置と、作業者の作業を支援する作業支援者により使用される作業支援装置であって、作業対象特定装置と通信可能に接続される作業支援装置と、を備え、作業対象特定装置は、対象装置を含む作業空間の3次元空間データを取得し、対象装置を撮影した2次元画像データを3次元空間データ中の対象装置に対応付けて所定の画像データを作成し、作成された所定の画像データを作業支援装置へ出力し、作業支援装置は、作業対象特定装置から受信した所定の画像データを表示し、作業支援者から入力される情報を作業対象特定装置へ送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業現場の対象装置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】作業支援システムの全体概要図。
図2】作業対象特定装置のブロック図。
図3】作業対象特定装置の構成図。
図4】作業支援装置の構成図。
図5】支援コンテンツの生成方法を示す説明図。
図6】作業対象特定処理のフローチャート。
図7】作業支援処理のフローチャート。
図8】支援コンテンツの例を示す説明図。
図9】物体認識結果の画面を示す説明図。
図10】候補が複数検出された場合の画面を示す説明図。
図11】対象装置の2次元画像データを3次元空間データ内の対象装置に対応付けた画面の例を示す説明図。
図12】作業支援装置の画面内で作業対象特定装置から取得所定の画像データを操作する様子を示す説明図。
図13】作業支援装置の処理を示すフローチャート。
図14】第2実施例に係り、作業を評価する処理のフローチャート。
図15】第3実施例に係り、作業支援システムの全体概要図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、作業の対象装置を作業現場で特定する作業支援システムについて説明する。本実施形態に係る作業支援システム4は、作業者U1による作業対象装置についての作業状況を、離れた場所にいる作業支援者が直感的に理解できるようにする。作業者支援者が遠隔から把握する作業状況には、あらかじめ指定された対象装置について作業者が作業を行おうとしているかの位置確認も含まれる。
【0013】
本実施形態に係る作業支援システム7は、図1図11を参照して説明するように、3次元空間データを作成する空間把握プログラム(空間把握部111)と、作業指示マニュアルを管理する作業指示マニュアル管理データベース122と、作業指示マニュアル140を解析する作業指示マニュアル解析プログラム(作業指示マニュアル解析部112)と、解析された作業指示マニュアルに基づき、作業指示の支援コンテンツ150を表示する支援コンテンツ制御プログラム(支援コンテンツ制御部114)と、作業状況を撮像する撮像部(2Dカメラ131)と、撮像結果に含まれる物体を認識する物体認識プログラム(物体認識部113)と、作業指示および物体認識処理結果を表示し、作成された3次元空間データにより作業現場の空間データを作成し、作業指示マニュアルに含まれる作業対象装置4の識別情報をもとに、作業対象装置の候補を表示し、表示された候補の中から選択された作業対象装置の場所を3次元空間データに対応づける部位判定プログラム(部位判定部115)を持つ。以下、作業対象装置4を対象装置4とも呼ぶ。
【0014】
本実施形態の作業支援システム7によれば、事前に作業現場WSで3次元空間のデータを収集をする必要はなく、作業現場WSが動的に変わったとしても、作業者U1の対象装置4の3次元的な位置を遠隔の支援者U2(監督者)が容易に把握できる。
【0015】
本実施形態では、後述のように、作業指示マニュアル140に含まれる対象装置4の識別情報候補が複数ある場合、物体認識プログラムは、対象装置を選択させるメッセージを表示させる。物体認識プログラムは、識別情報候補が一つの場合、作業者U1に確認のみを促すことができる。
【0016】
物体認識プログラムが対象装置4を特定できなかった場合は、対象装置4を特定するための情報の入力を作業者U1に要求することもできる。
【0017】
物体認識プログラムは、作業者U1から入力された音声または撮影画像を解析することにより、認識対象の対象装置4の情報を作業対象特定装置1の出力部134に表示させることができる。
【実施例0018】
図1図13を用いて第1実施例を説明する。実施例1では、作業者U1が対象装置4の設置して作業場所WSに到着し、作業を行う部位を特定した後、遠隔の作業支援者U2が特定部位を二重確認する例を説明する。以下、作業支援者U2を熟練者U2と呼ぶことがある。
【0019】
本実施例における作業は、装置4に対する手作業を含む作業を意味する。例えば、本実施例における作業は、部品の点検、部品の交換、ソフトウェアのアップデートなどの保守作業である。本実施例の作業支援システム7は、例えば、工場、発電所、商業施設、ホテル、空港などの種々の作業現場WSに設けられた種々の装置4に適用可能である。種々の装置4には、例えば、空調機、複写機、サーバ、ネットワーク装置、モータ、制御盤、配電盤、工作機械などがある。以下、サーバの保守作業を一例にあげて説明する。
【0020】
図1は、作業支援システム7の全体概要図である。図2は、作業対象特定装置1のブロック図である。
【0021】
作業支援システム7は、例えば、少なくとも一つの作業対象特定装置1と、少なくとも一つの作業支援装置2とを備える。作業対象特定装置1と作業支援装置2とは、通信ネットワークCN1,CN2を介して双方向通信可能に接続されている。
【0022】
作業対象特定装置1と作業支援装置2の間に作業支援管理装置3を設けてもよい。作業支援管理装置3は、作業対象特定装置1から3次元空間データおよび2次元画像データなどの情報を取得し、それら取得した情報の解析結果または処理結果を作業支援装置2へ送信することができる。作業支援管理装置3は、図2で述べる作業対象特定装置1の機能を持つことができる。作業支援管理装置3は、いわゆるオンプレミスのサーバとして作業支援センタSS内に設置されてもよい。作業支援管理装置3は、いわゆるクラウドサービスとして通信ネットワーク上に設けられてもよい。
【0023】
なお、後述する他の実施例のように、作業対象特定装置1と作業支援管理装置3とを直接的に接続することもできる。この場合、作業対象特定装置1の持つ機能の少なくとも一部を作業支援装置2に設け、作業対象特定装置1から作業支援装置2へ2次元画像データおよび3次元空間データだけを送信する構成としてもよい。
【0024】
作業対象特定装置1と作業支援装置2は一対一で接続されてもよいし、一対多、多対一、多対多のいずれかで接続されてもよい。一つの作業支援装置2が一つの作業対象特定装置1に接続されて、一人の熟練者U2が一人の作業者U1を指導監督してもよい。一つの作業支援装置2が複数の作業対象特定装置1に接続されて、一人の熟練者U2が複数の作業者U1を指導監督してもよい。複数の作業支援装置2が一つの作業対象特定装置1に接続されて、複数の熟練者U2が一人の作業者U1を指導監督してもよい。複数の作業支援装置2が複数の作業対象特定装置1に接続されて、複数の熟練者U2が複数の作業者U1をグループで管理し、指導監督してもよい。すなわち、複数の熟練者U2からなるグループが、複数の作業者U1からなるグループを遠隔から指導監督することもできる。
【0025】
作業者U1は、作業現場WSに到着すると、作業現場WSに設けられている種々の装置類の中から作業対象の装置4を発見し、対象装置4について所定の作業を実施する。作業者U1は、作業対象特定装置1を使用することにより、作業現場WSで対象装置4を発見し、対象装置4を含む3次元空間データに対象装置4を撮影した2次元画像データを対応付けて所定の画像データを生成し、生成された所定の画像データを作業支援装置2へ送信する。
【0026】
作業対象特定装置1は、例えば、タブレット型コンピュータ、スマートホン、眼鏡型ウェアラブル端末などのように構成される。すなわち、作業対象特定装置1は、演算機能、通信機能、メモリ機能、2次元画像を撮影する機能、3次元空間データを取得する機能を備える装置であって、持ち運び可能であればよく、名称は問わない。
【0027】
作業支援センタSSには、作業支援装置2が設けられている。作業支援装置2は、作業現場WSの作業対象特定装置1から所定の画像データを受信すると、その所定の画像データをモニタディスプレイに表示する。作業支援者U2は、作業支援装置2に表示された所定の画像5を見ることにより、作業者U1が目的の対象装置4の場所へたどり着いたことを確認することができる。作業支援装置2に表示される画像5は、所定の画像データから作成されて表示されるものである。画像5では、対象装置4に対応する2次元画像データ51と、対象装置4の周辺に存在する装置40の一部の2次元画像データ(ここでは不図示)と、対象装置4を含む周辺の3次元空間データ52とが対応付けられている。3次元空間データ52に2次元画像データ51が対応付けられているため、作業支援者U2は、3次元空間データ52を回転操作するなどして、複数の角度から対象装置4の2次元画像データを確認することができる。
【0028】
図2を用いて、作業対象特定装置1の動作を説明する。図2に示す作業対象特定装置1は、眼鏡型のウェアラブル端末として構成されている。作業者U1は、作業現場WSに到着すると、「3次元空間データ取得部」としての3次元センサ132により、周囲の空間をスキャンしてスキャンデータ(点群データ)を取得する。空間把握部111は、3次元センサ132により取得されたデータから、スキャンされた空間を把握する。空間把握部111がスキャンされた空間を把握するとは、スキャンされた空間の構造を示すデータを得ることである。
【0029】
作業者U1は、対象装置4を見つけると、対象装置4を「2次元画像データ取得部」としての2Dカメラ131で撮影する。物体認識部113は、撮影された対象装置4を認識する。物体認識部113は、例えば、対象装置4に印刷または貼付された製品名および/または機種名などの装置識別情報と作業指示マニュアルに記載の装置識別情報とを比較することにより、2次元画像データに映っている物体が対象装置4であるか判定する。
【0030】
部位判定部115は、作業者U1が作業しようとする、または作業中の、装置または装置の一部を判定する機能を持つ。換言すれば、部位判定部115は、作業者U1が作業する箇所などの作業位置を特定する。部位判定部115は、認識された対象装置4の2次元画像データを対象装置4の周辺構成40の3次元空間データに対応付けることにより、「所定の画像データ」としての合成画像データを生成する。部位判定部115は、生成された合成画像データを作業支援装置2へ送信する。
【0031】
作業支援装置2は、作業対象特定装置1から合成画像データを受信すると、モニタディスプレイに合成画像5を表示する。合成画像5は、対象装置4に対応する2次元画像51と対象装置4の周囲の構成40に対応する3次元画像52とを含む。例えば、対象装置4がサーバの場合、周辺構成40はラックなどである。作業支援者U2が、3次元画像52(3次元空間データ)を操作して回転などさせることで、2次元画像51も一緒に回転させながら確認することができる。
【0032】
図3を用いて、作業対象特定装置1の構成を説明する。作業対象特定装置1は、作業者U1が保守作業を行うときに使用する装置であり、作業対象装置4を特定し、作業手順を確認し、作業結果を登録する機能を有する。なお、本明細書にいう保守作業には、点検作業なども含まれる。
【0033】
作業対象特定装置1は、上述の通り例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、ヘッドマウントディスプレイなどのコンピュータ装置であって、液晶ディスプレイなどの表示器、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチペン、タッチセンサー、音声認識、視線認識、手認識などの入力機器を備えている。
【0034】
作業対象特定装置1は、例えば、制御部100、主記憶部110、補助記憶部120、2Dカメラ131、3Dセンサ132、入力部133、出力部134、その他センサ135、電源供給部136、通信部137を備えている。これら電子回路100,110,120,131-137はバス101によって接続されている。
【0035】
制御部100は、作業対象特定装置1の動作を制御する。制御部100は、例えば、マイクロプロセッサ、キャッシュメモリ、グラフィック処理プロセッサ(graphics processing unit; GPU)などを備える。制御部100は、主記憶部110に記憶されたコンピュータプログラム111-115を読み出して実行する。
【0036】
主記憶部110は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などから構成され、主記憶部110は、空間把握部111,作業指示マニュアル解析部112、物体認識部113、支援コンテンツ制御部114、部位判定部115といったコンピュータプログラムを記憶する。これらコンピュータプログラム111-115は、補助記憶部120から主記憶部110へ読み出されて展開されてもよい。
【0037】
補助記憶部120は、作業対象特定装置1に内蔵される記録媒体や、取り外し可能な外部記録媒体や光ディスクなどから構成される。補助記憶部120は、空間情報管理データベース121、作業指示マニュアル管理データベース122、支援コンテンツ管理データベース123、物体認識管理データベース124といった各種データを記憶する。これらデータベース121-124は、コンピュータプログラム111-115によって適宜利用され、更新される。
【0038】
2Dカメラ131は、例えば光学レンズと撮像素子、信号処理回路などを備えており、作業者U1の操作により対象装置4またはその部品を撮影する。撮影された2次元画像データは物体認識管理データベース124に記憶される。
【0039】
3Dセンサ132は、例えばToF (Time of Flight)センサまたはステレオカメラなどであり、3次元空間データを取得する。3Dセンサ132の取得した3次元空間データは、空間情報管理データベース121に記憶される。
【0040】
入力部133は、作業者U1が作業対象特定装置1へ情報を入力する装置である。入力部133には、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、タッチペン、タッチセンサ、マイクロフォン、音声認識装置、視線認識装置、手の動作を認識する装置、あるいはこれらの組合せを用いることができる。
【0041】
出力部134は、作業対象特定装置1から作業者U1へ情報を出力する装置である。出力部134には、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ(有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)などの表示装置、スピーカー、プリンタ、あるいはこれらの組合せを用いることができる。
【0042】
出力部134としてのディスプレイには、例えば、作業指示内容、作業対象装置4の場所などが表示される。作業支援者U2からの指示は、文字としてディスプレイに表示させてもよいし、音声としてスピーカーから出力させてもよい。作業指示内容、作業対象装置4の場所、作業支援者U2からの助言などをプリンタで印刷してもよい。プリンタは作業対象特定装置1に内蔵されてもよいし、無線または有線の通信ネットワークで接続されてもよい。
【0043】
その他センサ135は、例えば、照度センサ、加速度センサ、地磁気センサ、圧力センサ、温度センサあるいはこれらの組合せである。その他センサ135は、作業対象特定装置1を使用する作業者U1の動作に応じた結果をセンシングする。その他センサ135は、作業対象特定装置1に内蔵されている必要はなく、作業対象特定装置1と無線または有線の通信ネットワークで接続されてもよい。例えば、作業者U1が身につけている腕時計型端末にその他センサ135を設け、検出されセンシングデータを眼鏡型端末として構成される作業対象特定装置1へ送信してもよい。その他センサ135は、例えば、脈拍センサ、血圧センサなどのバイタルサインを検出するセンサを含んでもよい。作業者U1のバイタルサインと作業内容とを作業支援装置2へ送信することにより、作業支援者U2は、作業者U1の状況をより適切に把握できる。
【0044】
電源供給部136は、作業対象特定装置1の各部のうち電源の必要な箇所へ電源を供給する装置である。電源供給部136は、例えばバッテリ、交直変換アダプタ、充電回路等から構成される。電源供給部136は、無線給電装置(図示せず)から無線で電力を得る構成でもよい。
【0045】
通信部137は、通信ネットワークCN1,2を介して作業支援装置2と通信を行う装置である。
【0046】
図4を用いて、作業支援装置2の概略構成を説明する。図4に示すように、作業支援装置2は、例えば、制御部200、主記憶部210、補助記憶部220、入力部231、出力部232、電源供給部233、通信部234を備えている。これら電子回路200,210,220,231-234はバス201によって接続されている。
【0047】
制御部200は、作業支援装置2の動作を制御する。制御部200は、主記憶部210に記憶されたコンピュータプログラム211,212を読み出して実行する。
【0048】
主記憶部210は、空間把握部211および作業対象特定部212といったコンピュータプログラムを記憶する。これらコンピュータプログラム212,212は、補助記憶部220から主記憶部210へ読み出されて展開されてもよい。補助記憶部220は、空間情報管理データベース221を記憶する。電源供給部233は、電源を必要とする各部へ電源を供給する。通信部234は、通信ネットワークCN1,CN2を介して作業対象特定装置1と通信する。
【0049】
図5を用いて、作業指示マニュアル140から支援コンテンツ150を生成する方法の例を説明する。作業指示マニュアル140は、対象装置4の種類ごとに用意されており、対象装置4の保守作業の手順が記載されている。作業指示マニュアル140は、テキストデータおよび静止画像データから構成されてもよいし、少なくとも一部が動画像データまたは音声データとして構成されてもよい。
【0050】
作業指示マニュアル解析部112は、対象装置4を特定する情報が入力されると、その特定された対象装置4の作業指示マニュアル140を作業指示マニュアル管理データベース122から取得する。対象装置4を特定する情報は、作業者U1または作業支援者U2のいずれかが手動で入力してもよいし、図示せぬ保守計画管理システムなどから自動的に入力されてもよい対象装置4を特定する情報には、例えば、型式、機種名、製造番号などがある。作業者U1が対象装置4を特定する情報を手動で入力した場合、作業者U1を監督する作業支援者U2が、入力された対象装置4を特定する情報が正しいかを検査してもよい。
【0051】
作業指示マニュアル解析部112は、対象装置4を特定する情報に基づいて、その対象装置4に対応する支援コンテンツ150を支援コンテンツ管理データベース123から取得する。作業指示マニュアル解析部112が、対象装置4を特定する情報に基づいて支援コンテンツ150を生成してもよい。
【0052】
生成された支援コンテンツ150は、出力部134に出力される。支援コンテンツ制御部114は、支援コンテンツ150の表示内容を制御する。支援コンテンツ150の例は図8で後述する。
【0053】
図6図7のフローを用いて、作業対象を特定する処理を説明する。図6のフローでは、作業者U1が作業現場WSにおいて、作業指示を確認しながら作業対象装置4を特定する方法を説明する。図6は、作業対象特定装置1の動作を説明するフローであり、図7は作業支援処理の全体フローである。図7では、作業者U1の動作を点線のブロックで示している。
【0054】
作業対象特定処理が開始されると(S10)、まず最初に空間把握部111は、3Dセンサ132により、作業者U1周辺の点群データを取得し、周辺の空間データを作成する(S11)。作業者U1が入力部133から本処理の開始を指示すると、本処理が開始される。作業対象特定装置1がGPSなどの位置センサを利用できる場合、作業対象特定装置1が所定の場所に到達したときに、自動的に本処理を開始させてもよい。
【0055】
作業指示マニュアル解析部112は作業指示マニュアル管理データベース122に格納されている作業指示マニュアル140を取得し(図7のS12-1)、支援コンテンツ制御部114は出力部134に作業指示コンテンツ150を表示させる(S12-2)。図6のステップS12は、図7に示すステップS12-1およびステップS12-2に分けることができる。
【0056】
図8は、作業を支援するコンテンツ150の例を示す。ここでは、部品交換作業を行うための対象装置4を特定する手順を示す。図8では図示を省略するが、対象装置4の特定が完了すると、対象装置4の取り出し、対象装置4の分解、所定の部品の交換といった一連の作業についての指示が支援コンテンツ150に表示される。
【0057】
作業指示マニュアル解析部112は、作業者U1に対して、対象装置4の前で機種名を確認するように指示する(手順1)。この例では、対象装置4の機種名は「TMA-5000」である。機種名は、対象装置4の正面に表示されているとは限らない。対象装置4の側面、背面、底面あるいは上面に表示される場合もある。したがって、2Dカメラ131で作業現場WS内を一通り見渡して撮影しただけでは、対象装置4を発見できない可能性がある。そこで、本実施例では、作業者U1が対象装置4と思われる装置の前へ移動するように、作業者U1の行動を誘導する。支援コンテンツ150には、対象装置4の機種名が表示される(1501)。
【0058】
作業者U1は、対象装置4と思われる装置の前に着くと、その機種名を読み上げる(手順2)。作業指示マニュアル解析部112は、入力部133に含まれるマイクロフォンを介して、作業者U1の読み上げる機種名を取得し、取得した音声データをテキストに変換して記憶する(S13)。
【0059】
なお、本実施例では、入力部133のマイクロフォンを使用して、作業者U1が目の前の装置の特定情報(機種名、型式名、装置番号など)を読み上げることで、作業者U1が対象装置4を発見したことを判断する。これに代えて、2Dカメラ131で作業者U1の目の前の対象装置4を撮像し、撮像結果の中に含まれる特定情報を文字認識することにより、作業者U1が対象装置4を発見し、その前にいると判断してもよい。これにより、作業者U1の読み上げミスを防止できるため、より円滑かつ正確に対象装置4の発見を検出することができる。
【0060】
フローの続きを説明する。作業指示マニュアル解析部112は、物体認識部113を起動させ、「TMA-5000」に相当する機器を物体認識する(S14)。詳しくは、作業者U1の目前にある被写体(対象装置4と思われる物)を2Dカメラ131で撮影し、撮影された2次元画像データを物体認識部113により認識処理する。
【0061】
物体認識部113は、物体認識結果を出力部134に重畳表示する(S15)。作業対象特定装置1がタブレットの場合、AR(Augmented Reality)により作業者U1がタブレットを対象装置4へ向けることでタブレットの画面上に見える対象装置に機器候補を表示する。
【0062】
作業対象特定装置1がHMD(Head Mounted Display)である場合、作業者U1の見る風景には、ARまたはMR(Mixed Reality)により、対象装置4の候補が重ねて表示される(S15)。物体認識結果が一つの場合(S16:YES)、S17に進む。
【0063】
図9は、対象装置4の候補を認識した結果を示す確認画面151である。画面151には、対象装置4の周辺の構成1511も表示されている。作業者U1が物体認識結果を確認したら「はい」ボタン1512が選択される(S17:YES)。これに対し、作業者U1により「いいえ」ボタン1513が選択された場合は(S17:NO)、ステップS16へ戻る。
【0064】
物体認識結果が複数の場合(S16:NO)、作業指示マニュアル解析部112は、どれが正しい対象装置4であるかを作業者U1に選択させる(S18)。図10は、複数の対象装置の候補4(1)-4(3)の中から一つの装置を確認する画面である。
【0065】
図10では、2Dカメラ131により撮影された画像から認識された対象装置の候補4(1)-4(3)が表示されている。作業者U1は、入力部133を通じて、候補4(1)-4(3)の中から適切と考えられる候補を一つ指定する(S18)。
【0066】
作業対象特定装置1がタブレットの場合、作業者U1は、タッチパネル上で適切と考える候補をタッチする。作業対象特定装置1がHMDの場合、作業者U1は、視線を動かしたり、手や指を動かしたりすることで、適切と考える候補を選択する。
【0067】
部位判定部115は、ステップS11で取得した3次元空間データとステップS17またはステップS18のいずれかで選択された対象装置4の情報とを対応付け、対象装置4を含む周辺を2Dカメラ131で撮影し、撮影された2次元画像データをステップS11で取得された3次元空間データに貼り付ける(S19)。
【0068】
図11は、選択された対象装置4の周辺の2次元画像データ51を3次元空間データ52に貼り付けた例である。図11は、図13のフローで使用される。ここで、2次元画像データを3次元空間データに貼り付けるとは、3次元空間データ52における所定の位置で2次元画像データが表示されるように対応付けることを意味する。図12は、作業支援装置2において、作業支援者U2が、所定の画像データ(2次元画像データと3次元空間データとを合成した画像データ)を操作する様子を示す説明図である。操作とは、画像を回転させて向きを変えたりすることを意味する。図11図12については、さらに後述する。
【0069】
ToFセンサデータ、あるいはステレオカメラなどの3Dセンサ132で3次元空間データ52を得る場合、3Dセンサ132で撮影された複数の画像データをつなげることにより3次元空間データ52を取得する。このため、3次元空間データ52は、例えば、測定時の手振れ、ToFセンサの値のゆらぎなどにより、図11に示すように、ゆがんだり欠けたりして不鮮明であることが一般的である。したがって、熟練者の作業支援者U2は、3次元空間データ52だけでは、作業対象の装置4がどこにあるのか正確に判断するのが難しい場合がある。
【0070】
そこで、本実施例では、3次元空間データ52に2Dカメラ131で撮影された2次元画像データ51を重ねて表示させる。これにより、作業支援者U2は、対象装置4が作業現場WSのどこにあるかを鮮明に確認することができる。
【0071】
作業対象特定装置1は、3次元空間データ52に2次元画像データ51が重畳された所定の画像データ(合成画像データとも呼ぶ)を作業支援装置2へ送信する(S20)。作業支援装置2は、合成画像データを取得すると、出力部232に表示させる。作業支援者U2は、合成画像データを見て、作業者U1が正しい対象装置4にたどり着いて、作業を開始しようとしていることを目視確認することができる。そして、作業支援者U2は、入力部231に含まれるマイクロフォンを介して、作業現場WSに居る作業者U1に対し、作業を支援するための助言を与えることができる。
【0072】
図13を用いて、作業支援者U2が合成画像データを元に、作業者U1が特定した対象装置4を確認する処理を説明する。本処理は、例えば、作業支援者U2が作業支援装置2を起動させると開始する。あるいは、作業対象特定装置1からデータを受信したときに本処理が自動的に開始されてもよい。
【0073】
作業支援装置2の空間把握部211は、通信部234を介して、作業対象特定装置1から受信された合成画像データを取得する(S31)。合成画像データは、通信部234により作業対象特定装置1から受信された合成画像データは、空間情報管理データベース221に格納されている。
【0074】
作業対象特定部212は、取得された合成画像データを元に、作業場所を確認するための画面5を表示する(S32)。図11図12は、作業支援装置2の出力部232に表示される画面例である。
【0075】
画面5は、入力部231からの操作入力を通じて、例えばyaw, pitch, rollの複数の方向に任意の角度で回転させることができる。さらに、画像5は、前後左右に拡大または縮小させて表示させることもできる。画面5に、回転や拡大縮小などの操作用ボタンを表示し、タッチパネル、キーボード、マウスなどを使って操作できるようにしてもよい。
【0076】
図11では、作業者U1の指定した作業対象装置4の周辺に解像度の高い2次元画像データが重なって表示されている。高解像度の2次元画像データ51のうち、作業対象装置4に相当する部分は、他の装置と区別できるように色分け表示されている。作業支援者U2は、画像5を任意の位置、角度で表示させることにより、奥行なども含めた位置関係を容易に確認することができる。
【0077】
図12は、図11に表示されている装置等を接地面と垂直方向に対して90度回転させた例を示す。作業支援者U2は、2Dカメラ131で撮影された正面以外の角度から、対象装置4の周辺構成40における位置関係を確認できる。
【0078】
このように構成される本実施例の作業支援システム7によれば、作業前に作業現場WSの3次元空間データをあらかじめ取得して3次元空間の地図を作っておく必要がなく、作業の都度必要な範囲で3次元空間データを取得するため、使い勝手がよい。さらに、新規の作業現場WSで作業をする場合および既存の作業現場WSの一部が変更された場合でも、本実施例の作業支援システム7は対応することができる。
【0079】
すなわち、本実施例の作業支援システム7は、作業現場WSに置かれている装置や物の配置が動的に変わったとしても、対象装置4を含む二次元画像データを3次元空間データへ3次元的にマッピングすることができる。したがって、作業者U1と作業支援者U2とが、3次元的なマッピング結果を共有することにより、作業支援者U2は、作業者U1がどの装置に対して作業を開始しようとしているか、あるいは、作業をしているか、を直観的に理解できる。したがって、作業支援者U2は、作業者U1の選んだ装置が正しい装置であるかの確認と、その対象装置4に対する作業に関する助言などとを、作業対象特定装置1を通じて作業者U1に与えることができる。
【実施例0080】
図14を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の実施例は、第1実施例の変形例に該当するため、第1実施例との相違を中心に説明する。本実施例の作業支援システムは、作業者U1による作業を評価し、保存する。
【0081】
図14は、採点処理のフローを示す。本処理は、作業対象特定装置1または作業支援装置2または作業支援管理装置3のいずれかで実行することができる。または、作業対象特定装置1での採点結果と作業支援装置2での採点結果とを作業支援管理装置3で管理してもよい。ここでは、作業対象特定装置1が採点処理を実行するものとして説明する。
【0082】
作業対象特定装置1は、作業者U1による作業が終了したか判定する(S40)。作業が終了していない場合(S40:NO)、作業者U1の作業単位毎に作業支援者U2による採点を取得し、記憶する(S41)。すなわち、作業者U1が対象装置4のラックからの取り出し、対象装置4の天板の取り外し、対象装置4内の部品の交換といった作業単位毎に、作業支援者U2は、作業者U1の作業を採点し、入力部231へ入力する。入力された採点結果は、作業対象特定装置1へ送信されて記憶される(S41)。作業の終了は、作業が終了した旨の情報が作業者U1によって入力部133へ入力されることで検出することができる。作業者U1は、出力部134の出力する画面上で作業終了ボタン(不図示)を操作してもよし、「A製品のファン交換作業終了」のように音声またはテキストで作業終了を入力してもよい。
【0083】
作業対象特定装置1は、作業者U1による作業が終了すると(S40:YES)、作業者U1による自己採点を取得する(S42)。自己採点は、作業者U1の作業全体について行われる。これに代えて、作業者U1は作業中に、または作業終了後に、作業単位毎に自己採点してもよい。例えば「装置4の取り外し完了。100点」、「ファン交換作業完了。90点」のように、作業単位毎に自己採点の結果を作業者U1が入力部133へ入力してもよい。
【0084】
作業対象特定装置1は、作業支援者U2による採点と作業者U1による自己採点とを集権する(S43)。作業対象特定装置1は、採点集計に基づいて、作業者U1の作業を評価し、補助記憶部120へ保存する(S44)。作業対象特定装置1は、作業中に2Dカメラ131で撮影された画像データを補助記憶部120へ保存すると共に(S45)、合成画像データも補助記憶部120へ保存する(S46)。
【0085】
作業対象特定装置1は、作業支援者U2による採点と作業者U1による自己採点との集計結果に基づいて、例えば、作業者U1の作業をランク分けしたり、点数化したりして評価することができる。その評価結果と作業現場WSでの作業の少なくとも一部を撮影した2次元画像データと合成画像データとを対応付けて、作業履歴管理データベース(不図示)へ記録させる。作業履歴管理データベースは、作業指示マニュアル管理データベース122の中に設けることもできる。
【0086】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、作業者U1の作業内容を採点して履歴として保存することができるため、作業者U1の勤務評価などに利用することができるほか、作業指示マニュアル140の改良にも役立てることができる。例えば、多くの作業者U1にとって評価の低い作業項目がある場合、対象装置4の設計に改善の余地があるか、あるいは作業指示マニュアル140の記載に改善の余地があると判断することができる。
【実施例0087】
図15を用いて第3実施例を説明する。本実施例の作業支援システム7Aは、作業対象特定装置1と作業支援装置2が直接的に接続されており、作業支援管理装置3は設けられていない。このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
【0089】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組合せることができる。
【符号の説明】
【0090】
1:作業対象特定装置、2:作業支援装置、3:作業支援管理装置、4:作業対象装置、5:作業支援装置で表示される画像、7:作業支援システム、111:空間把握部、112:作業指示マニュアル解析部、113物体認識部、114:支援コンテンツ制御部、115:部位判定部、131:2Dカメラ、132:3Dセンサ、133:入力部、133:出力部、211:空間把握部、212:作業対象特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15