(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023082987
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】半導体装置および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/467 20060101AFI20230608BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20230608BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01L23/46 D
H01L23/36 A
H05K7/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197051
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 諒
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA09
5E322DA03
5E322EA11
5E322FA01
5F136CB07
5F136CB08
5F136CB11
5F136DA27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体素子の冷却効率を向上する半導体装置及び電力変換装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、半導体素子11と、第1導電部材21及び第2導電部材22と、樹脂30と、冷媒通路40とを備える。第1導電部材21及び第2導電部材22は、半導体素子11に接合される。樹脂30は、半導体素子11及び第1導電部材21及び第2導電部材22の一部を封止する。冷媒通路40は、樹脂30の内部において第1導電部材21及び第2導電部材22を冷却する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子に接合された導電部材と、
前記半導体素子および前記導電部材の一部を封止する樹脂と、
前記樹脂の内部において前記導電部材を冷却する冷却部と
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記冷却部は、前記導電部材の内部に設けられ、絶縁冷媒を通過させる冷媒通路である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電部材は、前記樹脂の一つの側面から突出する突出部を有し、
前記冷媒通路は、2つ以上の開口を備え、前記2つ以上の開口が前記突出部に配置される、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電部材は、
前記樹脂の一つの側面から突出する第1突出部と、
前記樹脂の他の側面から突出する第2突出部と
を有し、
前記冷媒通路は、2つの開口を備え、前記2つの開口のうち一方の開口が前記第1突出部に配置され、他方の開口が前記第2突出部に配置される、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記導電部材を備え、
複数の前記導電部材は、
前記半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、
前記半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第2導電部材と
を含み、
前記冷媒通路は、前記第1導電部材および前記第2導電部材の少なくとも一方の内部に設けられる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
複数の前記半導体素子および複数の前記導電部材を備え、
複数の前記半導体素子は、第1半導体素子および第2半導体素子を含み、
複数の前記導電部材は、
前記第1半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、
前記第1半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合されるとともに、前記第2半導体素子の第1面に接合された第2導電部材と、
前記第2半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第3導電部材と
を含み、
前記冷媒通路は、前記第1導電部材および前記第3導電部材の各々、および前記第2導電部材の少なくとも一方の内部に設けられる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記冷却部は、前記導電部材に接合され、絶縁冷媒を通過させる冷媒配管である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記冷媒配管は、両端が前記樹脂の一つの側面から突出する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記冷媒配管は、一端が前記樹脂の一つの側面から突出し、他端が前記樹脂の他の側面から突出する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
複数の前記導電部材を備え、
複数の前記導電部材は、
前記半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、
前記半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第2導電部材と
を含み、
前記冷媒配管は、前記第1導電部材および前記第2導電部材の少なくとも一方に設けられる、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項11】
複数の前記半導体素子および複数の前記導電部材を備え、
複数の前記半導体素子は、
第1半導体素子および第2半導体素子を含み、
複数の前記導電部材は、
前記第1半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、
前記第1半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合されるとともに、前記第2半導体素子の第1面に接合された第2導電部材と、
前記第2半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第3導電部材と
を含み、
前記冷媒配管は、前記第1導電部材および前記第3導電部材の各々に設けられる、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記導電部材は、平面視で前記半導体素子と重なる領域に形成され、前記導電部材の幅方向に延びる貫通孔を有し、
前記冷却部は、
前記貫通孔の一方の開口に対して絶縁冷媒を供給する冷媒供給配管と、
前記貫通孔の他方の開口から絶縁冷媒を排出する冷媒排出配管と
を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記導電部材は、複数の前記貫通孔を有し、
前記冷媒供給配管は、各前記貫通孔の一方の開口に対して絶縁冷媒を供給し、
前記冷媒排出配管は、各前記貫通孔の他方の開口から絶縁冷媒を排出する、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
複数の前記半導体素子および複数の前記導電部材を備え、
複数の前記半導体素子は、
第1半導体素子および第2半導体素子を含み、
複数の前記導電部材は、
前記第1半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、
前記第1半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合されるとともに、前記第2半導体素子の第1面に接合された第2導電部材と、
前記第2半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第3導電部材と
を含み、
前記貫通孔は、前記第1導電部材および前記第3導電部材の各々、および前記第2導電部材の少なくとも一方に形成される、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体素子は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタまたはパワーMOSFETである、請求項1から14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の半導体装置を備える、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子を備える半導体装置が知られている。このような半導体装置は、例えば、半導体素子が回路基板上に実装され、この回路基板がベース板に接合されて構成される。
【0003】
IGBT等の半導体素子は、動作時の発熱量が比較的に大きい。これに対し、液冷式の冷却部材をベース板に固定し、冷却部材内の冷媒によって半導体素子を冷却する半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体素子の冷却効率を向上することが望まれている。
【0006】
本開示は、半導体素子の冷却効率を向上することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子に接合された導電部材と、前記半導体素子および前記導電部材の一部を封止する樹脂と、前記樹脂の内部において前記導電部材を冷却する冷却部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の変形例1に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の変形例2に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の変形例1に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の変形例2に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図14A】
図14Aは、第4実施形態に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図14B】
図14Bは、第4実施形態に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図14C】
図14Cは、第4実施形態に係る半導体装置の平断面を示す模式図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図16】
図16は、第6実施形態に係る半導体装置の縦断面を示す模式図である。
【
図17】
図17は、半導体装置が適用されたモータシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する半導体装置および電力変換装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0011】
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子を備える半導体装置が知られている。このような半導体装置は、例えば、半導体素子が回路基板上に実装され、この回路基板がベース板に接合されて構成される。
【0012】
IGBT等の半導体素子は、動作時の発熱量が比較的に大きい。これに対し、液冷式の冷却部材をベース板に固定し、冷却部材内の冷媒によって半導体素子を冷却する半導体装置が提案されている。
【0013】
しかしながら、液冷式の冷却部材をベース板に固定した半導体装置においては、半導体素子を十分に冷却することが困難であるという問題がある。すなわち、液冷式の冷却部材をベース板に固定した半導体装置は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造であるため、半導体素子と冷却部材内の冷媒との間に位置する複数の部材が半導体素子から冷媒への熱伝達を阻害することがある。例えば、半導体素子と冷却部材内の冷媒との間には、半導体素子と回路基板とを接合する接合材、回路基板、回路基板とベース板とを接合する接合材およびベース板が位置するため、半導体素子から冷媒への熱伝達が阻害される。半導体素子から冷媒への熱伝達が阻害されることにより、半導体素子で発生した熱が冷媒に十分に吸収されず、結果として、半導体素子の冷却効率が低下するおそれがあった。
【0014】
そこで、半導体素子の冷却効率を向上することが望まれている。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、半導体素子11と、ダイオード12と、第1導電部材21と、第2導電部材22とを有する。半導体素子11、ダイオード12、第1導電部材21の一部および第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30としては、例えばエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0016】
以下においては、第1導電部材21が接合される半導体素子11の一方の面側を下方とし、第2導電部材22が接合される半導体素子11の他方の面側を上方として説明する。ただし、半導体装置1は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられても良い。
【0017】
半導体素子11は、例えば、IGBTである。ダイオード12は、例えば、還流ダイオード(FWD:Free Wheeling Diode)等である。なお、半導体素子11は、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やGTO(Gate Turn-Off)サイリスタ等であっても良い。また、ここでは、ダイオード12と半導体素子11とを区別しているが、ダイオード12も半導体素子の一種である。
【0018】
第1導電部材21は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、半導体素子11およびダイオード12に接合される。第1導電部材21は、導電性の接合材111によって半導体素子11の下面11aに接合されるとともに、導電性の接合材121によってダイオード12の下面12aに接合される。半導体素子11およびダイオード12との接合部位を含む第1導電部材21の一部は、封止樹脂30によって半導体素子11およびダイオード12とともに封止されている。第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから外方に突出して突出部21aを形成する。突出部21aには、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子211が設けられる。
【0019】
第2導電部材22は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、半導体素子11およびダイオード12に接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材112によって半導体素子11の上面11bに接合されるとともに、導電性の接合材122によってダイオード12の上面12bに接合される。半導体素子11およびダイオード12との接合部位を含む第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって半導体素子11およびダイオード12とともに封止されている。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから外方に突出して突出部22aを形成する。突出部22aには、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子221が設けられる。
【0020】
第1導電部材21および第2導電部材22の各々の内部には、絶縁冷媒(以下適宜「冷媒」とも呼ぶ。)を通過させる冷媒通路40が設けられる。絶縁冷媒としては、短絡の発生を抑制する観点から、例えば、フッ素系不活性液体または油等の絶縁性液体を用いることができる。以下においては、第1導電部材21の内部に設けられた冷媒通路40を「冷媒通路40-1」と記載し、第2導電部材22の内部に設けられた冷媒通路40を「冷媒通路40-2」と記載する。また、冷媒通路40-1および冷媒通路40-2を区別しない場合にはこれらを纏めて「冷媒通路40」と記載する。冷媒通路40は、冷却部の一例である。第1導電部材21は、冷媒通路40-1を通過する冷媒によって冷却され、第2導電部材22は、冷媒通路40-2を通過する冷媒によって冷却される。
【0021】
このように、第1導電部材21および第2導電部材22が冷媒通路40内の冷媒によって冷却されることにより、第1導電部材21および第2導電部材22に接合された半導体素子11およびダイオード12が冷却される。半導体装置1は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、半導体素子11およびダイオード12と冷媒通路40内の冷媒との間に位置する部材の数が少ない。このため、半導体素子11およびダイオード12から冷媒への熱伝達が促進される。したがって、第1実施形態によれば、半導体素子11およびダイオード12で発生する熱を冷媒へ円滑に吸収させることができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。また、第1導電部材21の一部および第2導電部材22の一部が封止樹脂30によって被覆されていることにより、第1導電部材21および第2導電部材22が外部環境に直接曝されることを抑制することができる。したがって、第1実施形態によれば、半導体素子11およびダイオード12で発生する熱が冷媒へ伝達される際に、外部環境に起因する冷媒の温度上昇を抑制することができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。
【0022】
次に、第1導電部材21の内部に形成された冷媒通路40-1の構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図2においては、
図1のII-II線における断面が示されている。また、
図2においては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。
【0023】
図2に示すように、封止樹脂30は、平面視で四角形状に形成されており、第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する突出部21aを有する。
【0024】
冷媒通路40-1は、第1導電部材21の内部にU字状に形成される。冷媒通路40-1の両方の開口41a、41bは、第1導電部材21の突出部21aに配置される。冷媒通路40-1の一方の開口41aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒通路40-1の他方の開口41bは、冷媒が流出する流出口となる。冷媒通路40-1の両方の開口41a、41bを第1導電部材21の突出部21aに配置することにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の一つの側面30a側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0025】
冷媒通路40-1の一方の開口41aには、絶縁性材料により形成された入口配管411が接続される。冷媒通路40-1の他方の開口41bには、絶縁性材料により形成された出口配管412が接続される。入口配管411および出口配管412は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管411および出口配管412を介して冷媒通路40-1に冷媒が循環供給されることにより、第1導電部材21が冷却される。
【0026】
冷媒通路40-1の平面視で半導体素子11およびダイオード12と重なる領域には、他の領域よりも幅が広い幅広部41cが形成される。冷媒通路40-1に幅広部41cを形成することにより、半導体素子11およびダイオード12から冷媒通路40-1内の冷媒への熱伝達を円滑化させることができる。これにより、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率をより向上することができる。
【0027】
なお、第2導電部材22の内部に形成された冷媒通路40-2の構成は、冷媒通路40-1の構成と基本的には同様である。冷媒通路40-2は、両方の開口42a、42bが第2導電部材22の突出部22a(
図1参照)に配置される。冷媒通路40-2の両方の開口42a、42bを第2導電部材22の突出部22aに配置することにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の側面30b側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0028】
冷媒通路40-2の一方の開口42aには、絶縁性材料により形成された入口配管421(
図1参照)が接続される。冷媒通路40-2の他方の開口42bには、絶縁性材料により形成された出口配管422(
図1参照)が接続される。入口配管421および出口配管422は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管421および出口配管422を介して冷媒通路40-2に冷媒が循環供給されることにより、第2導電部材22が冷却される。
【0029】
(第1実施形態の各種変形例)
次に、第1実施形態に係る半導体装置1の各種変形例について、
図3および
図4を参照しながら説明する。なお、以下に示す各種変形例では、第1実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略することがある。
【0030】
図3は、第1実施形態の変形例1に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図3においては、
図1のII-II線における断面が示されている。また、
図3においては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。
図3に示すように、第1実施形態の変形例1では、第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する突出部21aと、封止樹脂30の側面30aと隣接する側面30cから突出する突出部21bとを有する。突出部21aは、第1突出部の一例であり、突出部21bは、第2突出部の一例である。
【0031】
冷媒通路40-1は、第1導電部材21の内部にL字状に形成される。冷媒通路40-1の一方の開口41aは、第1導電部材21の突出部21aに配置され、冷媒通路40-1の他方の開口41bは、第1導電部材21の突出部21bに配置される。冷媒通路40-1の一方の開口41aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒通路40-1の他方の開口41bは、冷媒が流出する流出口となる。冷媒通路40-1の一方の開口41aを突出部21aに配置し且つ他方の開口41bを突出部21bに配置することにより、冷媒の流入口および流出口が封止樹脂30の側面30a及び側面30cに分散され、冷媒の流通経路の自由度を向上することができる。
【0032】
なお、第2導電部材22の内部に形成された冷媒通路40-2の構成は、
図3に示した冷媒通路40-1の構成と同様であっても良い。
【0033】
また、変形例1では、第1導電部材21の突出部21bが封止樹脂30の側面30aと隣接する側面30cから突出する場合を例に示したが、開示技術はこれに限られない。例えば、第1導電部材21の突出部21bは、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから突出しても良い。かかる場合、一方の開口41aおよび他方の開口41bがお互いに対向する側面に配置されることにより、冷媒通路40-1は、第1導電部材21の内部に直線状に形成されても良い。
【0034】
図4は、第1実施形態の変形例2に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図4に示すように、第1実施形態の変形例2では、冷媒通路40は、第1導電部材21および第2導電部材22の一方の内部に設けられる。すなわち、第1導電部材21の内部に冷媒通路40-1が設けられ、第2導電部材22の内部に冷媒通路40-2(
図1参照)が設けられていない。
【0035】
これにより、変形例2では、簡易な構成で半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。
【0036】
また、変形例2に示したように、第2導電部材22の突出部22aに外部接続端子221(
図1参照)が設けられなくても良い。すなわち、第2導電部材22の突出部22aが、外部接続端子として用いられても良い。これにより、変形例2では、部品の数を削減することができることから、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態における冷却部のバリエーションに関する。
【0038】
図5は、第2実施形態に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図5に示すように、第2実施形態に係る半導体装置1は、半導体素子11と、ダイオード12と、第1導電部材21と、第2導電部材22とを有する。半導体素子11、ダイオード12、第1導電部材21の一部および第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30としては、例えばエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0039】
以下においては、第1導電部材21が接合される半導体素子11の一方の面側を下方とし、第2導電部材22が接合される半導体素子11の他方の面側を上方として説明する。ただし、半導体装置1は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられても良い。
【0040】
半導体素子11は、例えば、IGBTである。ダイオード12は、例えば、FWD等である。なお、半導体素子11は、パワーMOSFETやGTOサイリスタ等であっても良い。また、ここでは、ダイオード12と半導体素子11とを区別しているが、ダイオード12も半導体素子の一種である。
【0041】
第1導電部材21は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、半導体素子11およびダイオード12に接合される。第1導電部材21は、導電性の接合材111によって半導体素子11の下面11aに接合されるとともに、導電性の接合材121によってダイオード12の下面12aに接合される。半導体素子11およびダイオード12との接合部位を含む第1導電部材21の一部は、封止樹脂30によって半導体素子11およびダイオード12とともに封止されている。第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから外方に突出して突出部21aを形成する。突出部21aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0042】
第2導電部材22は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、半導体素子11およびダイオード12に接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材112によって半導体素子11の上面11bに接合されるとともに、導電性の接合材122によってダイオード12の上面12bに接合される。半導体素子11およびダイオード12との接合部位を含む第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって半導体素子11およびダイオード12とともに封止されている。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから外方に突出して突出部22aを形成する。突出部22aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0043】
第1導電部材21および第2導電部材22の各々には、絶縁冷媒(以下適宜「冷媒」とも呼ぶ。)を通過させる冷媒配管50が設けられる。絶縁冷媒としては、短絡の発生を抑制する観点から、例えば、フッ素系不活性液体または油等の絶縁性液体を用いることができる。以下においては、第1導電部材21に設けられた冷媒配管50を「冷媒配管50-1」と記載し、第2導電部材22に設けられた冷媒配管50を「冷媒配管50-2」と記載する。また、冷媒配管50-1および冷媒配管50-2を区別しない場合にはこれらを纏めて「冷媒配管50」と記載する。冷媒配管50は、冷却部の一例である。冷媒配管50-1は、導電性の接合材113によって第1導電部材21に接合され、冷媒配管50-2は、導電性の接合材114によって第2導電部材22に接合される。第1導電部材21は、冷媒配管50-1を通過する冷媒によって冷却され、第2導電部材22は、冷媒配管50-2を通過する冷媒によって冷却される。
【0044】
このように、第1導電部材21および第2導電部材22が冷媒配管50内の冷媒によって冷却されることにより、第1導電部材21および第2導電部材22に接合された半導体素子11およびダイオード12が冷却される。半導体装置1は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、半導体素子11およびダイオード12と冷媒配管50内の冷媒との間に位置する部材の数が少ない。このため、半導体素子11およびダイオード12から冷媒への熱伝達が促進される。したがって、第2実施形態によれば、半導体素子11およびダイオード12で発生する熱を冷媒へ円滑に吸収させることができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。また、第1導電部材21の一部および第2導電部材22の一部が封止樹脂30によって被覆されていることにより、第1導電部材21および第2導電部材22が外部環境に直接曝されることを抑制することができる。したがって、第2実施形態によれば、半導体素子11およびダイオード12で発生する熱が冷媒へ伝達される際に、外部環境に起因する冷媒の温度上昇を抑制することができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。
【0045】
次に、第1導電部材21に接合された冷媒配管50-1の構成について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図6においては、
図5のVI-VI線における断面が示されている。また、
図6においては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。
【0046】
冷媒配管50-1は、封止樹脂30の内部にU字状に形成される。冷媒配管50-1の両方の端部51a、51bは、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する。冷媒配管50-1の両方の端部51aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒配管50-1の他方の端部51bは、冷媒が流出する流出口となる。冷媒配管50-1の両方の端部51a、51bを封止樹脂30の一つの側面30aから突出させることにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の一つの側面30a側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0047】
冷媒配管50-1の一方の端部51aには、絶縁性材料により形成された入口配管511が接続される。冷媒配管50-1の他方の端部51bには、絶縁性材料により形成された出口配管512が接続される。入口配管511および出口配管512は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管511および出口配管512を介して冷媒配管50-1に冷媒が循環供給されることにより、第1導電部材21が冷却される。
【0048】
冷媒配管50-1の平面視で半導体素子11およびダイオード12と重なる領域には、他の領域よりも幅が広い幅広部51cが形成される。冷媒配管50-1に幅広部51cを形成することにより、半導体素子11およびダイオード12から冷媒配管50-1内の冷媒への熱伝達を円滑化させることができる。これにより、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率をより向上することができる。
【0049】
なお、第2導電部材22に接合された冷媒配管50-2の構成は、冷媒配管50-1の構成と基本的には同様である。冷媒配管50-2は、両方の端部52a、52b(
図5参照)が封止樹脂30の側面30bから突出する。冷媒配管50-2の両方の端部52a、52bを封止樹脂30の側面30bから突出させることにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の側面30b側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0050】
冷媒配管50-2の一方の端部52aには、絶縁性材料により形成された入口配管521(
図5参照)が接続される。冷媒配管50-2の他方の端部52bには、絶縁性材料により形成された出口配管522(
図5参照)が接続される。入口配管521および出口配管522は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管521および出口配管522を介して冷媒配管50-2に冷媒が循環供給されることにより、第2導電部材22が冷却される。
【0051】
(第2実施形態の各種変形例)
次に、第2実施形態に係る半導体装置1の各種変形例について、
図7および
図8を参照しながら説明する。なお、以下に示す各種変形例では、第1実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略することがある。
【0052】
図7は、第2実施形態の変形例1に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図7においては、
図5のVI-VI線における断面が示されている。また、
図7においては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。
図7に示すように、第2実施形態の変形例1では、冷媒配管50-1は、封止樹脂30の内部にL字状に形成される。冷媒配管50-1の一方の端部51aは、封止樹脂30の一つの側面30aから突出し、冷媒配管50-1の他方の端部51bは、封止樹脂30の側面30aと隣接する側面30cから突出する。冷媒配管50-1の一方の端部51aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒配管50-1の他方の端部51bは、冷媒が流出する流出口となる。
【0053】
このように、変形例1では、冷媒配管50-1の一方の端部51aを封止樹脂30の側面30aから突出させ且つ冷媒配管50-1の他方の端部51bを封止樹脂30の側面30cから突出させることにより、冷媒の流通経路の自由度を向上することができる。
【0054】
なお、第2導電部材22に接合された冷媒配管50-2の構成は、
図7に示した冷媒配管50-1の構成と同様であっても良い。
【0055】
また、変形例1では、冷媒配管50-1の他方の端部51bが封止樹脂30の側面30aと隣接する側面30cから突出する場合を例に示したが、開示技術はこれに限られない。例えば、冷媒配管50-1の他方の端部51bは、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから突出しても良い。かかる場合、冷媒配管50-1は、封止樹脂30の内部に直線状に形成されても良い。
【0056】
図8は、第2実施形態の変形例2に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図8に示すように、第2実施形態の変形例2では、冷媒配管50は、第1導電部材21および第2導電部材22の一方に設けられる。すなわち、第1導電部材21に導電性の接合材113を介して冷媒配管50-1が接合され、第2導電部材22に冷媒配管50-2(
図5参照)が接合されていない。
【0057】
これにより、変形例2では、簡易な構成で半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態における冷却部のバリエーションに関する。
【0059】
図9は、第3実施形態に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図10は、第3実施形態に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図10においては、
図9のX-X線における断面が示されている。また、
図10においては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。
【0060】
図9および
図10に示すように、第3実施形態に係る半導体装置1は、半導体素子11と、ダイオード12と、第1導電部材21と、第2導電部材22とを有する。半導体素子11、ダイオード12、第1導電部材21の一部および第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30としては、例えばエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0061】
以下においては、第1導電部材21が接合される半導体素子11の一方の面側を下方とし、第2導電部材22が接合される半導体素子11の他方の面側を上方として説明する。ただし、半導体装置1は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられても良い。
【0062】
半導体素子11は、例えば、IGBTである。ダイオード12は、例えば、FWD等である。なお、半導体素子11は、パワーMOSFETやGTOサイリスタ等であっても良い。また、ここでは、ダイオード12と半導体素子11とを区別しているが、ダイオード12も半導体素子の一種である。
【0063】
第1導電部材21は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、半導体素子11およびダイオード12に接合される。第1導電部材21は、導電性の接合材111によって半導体素子11の下面11aに接合されるとともに、導電性の接合材121によってダイオード12の下面12aに接合される。半導体素子11およびダイオード12との接合部位を含む第1導電部材21の一部は、封止樹脂30によって半導体素子11およびダイオード12とともに封止されている。第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから外方に突出して突出部21aを形成する。突出部21aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0064】
第2導電部材22は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、半導体素子11およびダイオード12に接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材112によって半導体素子11の上面11bに接合されるとともに、導電性の接合材122によってダイオード12の上面12bに接合される。半導体素子11およびダイオード12との接合部位を含む第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって半導体素子11およびダイオード12とともに封止されている。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから外方に突出して突出部22aを形成する。突出部22aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0065】
第1導電部材21および第2導電部材22の各々の平面視で半導体素子11およびダイオード12と重なる領域には、第1導電部材21の幅方向に延びる貫通孔60が設けられる。以下においては、第1導電部材21に設けられた貫通孔60を「貫通孔60-1」と記載し、第2導電部材22に設けられた貫通孔60を「貫通孔60-2」と記載する。また、貫通孔60-1および貫通孔60-2を区別しない場合にはこれらを纏めて「貫通孔60」と記載する。
【0066】
貫通孔60-1の一方の開口61aは、冷媒が流入する流入口となり、貫通孔60-1の他方の開口61bは、冷媒が流出する流出口となる。貫通孔60-1の一方の開口61aには、貫通孔60-1の一方の開口61aに対して絶縁冷媒(以下適宜「冷媒」とも呼ぶ。)を供給する冷媒供給配管71が接続される。貫通孔60-1の一方の開口61aと冷媒供給配管71との接続は、例えば、はんだ接合、焼結またはレーザ加工等の既知の手法により実現される。貫通孔60-1の他方の開口61bには、貫通孔60-1の他方の開口61bから絶縁冷媒を排出する冷媒排出配管72が接続される。貫通孔60-1の他方の開口61bと冷媒排出配管72との接続は、例えば、はんだ接合、焼結またはレーザ加工等の既知の手法により実現される。
【0067】
冷媒供給配管71および冷媒排出配管72は、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する。冷媒供給配管71は、絶縁性材料により形成された入口配管611に接続され、冷媒排出配管72は、絶縁性材料により形成された出口配管612に接続される。入口配管611および出口配管612は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管611、冷媒供給配管71、冷媒排出配管72および出口配管612を介して貫通孔60-1に冷媒が循環供給されることにより、第1導電部材21が冷却される。冷媒供給配管71および冷媒排出配管72は、冷却部の一例である。
【0068】
なお、第2導電部材22に設けられた貫通孔60-2の構成は、貫通孔60-1の構成と基本的には同様である。貫通孔60-2には、貫通孔60-1と同様に、冷媒供給配管および冷媒排出配管が接続され、これら冷媒供給配管および冷媒排出配管は、絶縁性材料により形成された入口配管および出口配管によって最終的に冷媒循環ユニットに接続されている。そして、冷媒循環ユニットから貫通孔60-2に冷媒が循環供給されることにより、第2導電部材22が冷却される。
【0069】
このように、第1導電部材21および第2導電部材22が貫通孔60内の冷媒によって冷却されることにより、第1導電部材21および第2導電部材22に接合された半導体素子11およびダイオード12が冷却される。半導体装置1は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、半導体素子11およびダイオード12と貫通孔60内の冷媒との間に位置する部材の数が少ない。このため、半導体素子11およびダイオード12から冷媒への熱伝達が促進される。したがって、第3実施形態によれば、半導体素子11およびダイオード12で発生する熱を冷媒へ円滑に吸収させることができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。また、第1導電部材21の一部および第2導電部材22の一部が封止樹脂30によって被覆されていることにより、第1導電部材21および第2導電部材22が外部環境に直接曝されることを抑制することができる。したがって、第3実施形態によれば、半導体素子11およびダイオード12で発生する熱が冷媒へ伝達される際に、外部環境に起因する冷媒の温度上昇を抑制することができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率を向上することができる。
【0070】
(第3実施形態の変形例)
次に、第3実施形態に係る半導体装置1の変形例について、
図11および
図12を参照しながら説明する。なお、以下に示す変形例では、第3実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略することがある。
【0071】
図11は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図12は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図12においては、
図11のXII-XII線における断面が示されている。また、
図12においては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。
【0072】
図11および
図12に示すように、第3実施形態の変形例では、第1導電部材21および第2導電部材22の各々に複数の貫通孔60が設けられる。ここで、第2導電部材22に設けられた複数の貫通孔60-2の構成は、第1導電部材21に設けられた複数の貫通孔60-1の構成と同様であるので、その説明を省略する。冷媒供給配管71は、各貫通孔60-1の一方の開口61aに対して絶縁冷媒(以下適宜「冷媒」とも呼ぶ。)を供給する。冷媒排出配管72は、各貫通孔60-1の他方の開口61bから絶縁冷媒を排出する。これにより、冷媒供給配管71および冷媒排出配管72は、複数の貫通孔60に冷媒を循環させることができる。
【0073】
これにより、変形例では、第1導電部材21に一つの貫通孔60が設けられる場合と比べて、第1導電部材21と冷媒との接触面積を増大させることができることから、半導体素子11およびダイオード12の冷却効率をより向上することができる。
【0074】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図13に示すように、第4実施形態に係る半導体装置1は、いわゆる2in1型の半導体モジュールである。半導体装置1は、第1半導体素子11Aと、第1ダイオード12Aと、第2半導体素子11Bと、第2ダイオード12Bとを有する。また、半導体装置1は、第1導電部材21と、第2導電部材22と、第3導電部材23とを有する。第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11B、第2ダイオード12B、第1導電部材21の一部、第2導電部材22の一部および第3導電部材23の一部は、封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30としては、例えばエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0075】
以下においては、第1導電部材21が接合される第1半導体素子11Aの一方の面側を下方とし、第2導電部材22が接合される第1半導体素子11Aの他方の面側を上方として説明する。ただし、半導体装置1は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられても良い。
【0076】
第1半導体素子11Aおよび第2半導体素子11Bは、例えば、IGBTである。第1ダイオード12Aおよび第2ダイオード12Bは、例えば、FWD等である。第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aの組みと、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの組みとは、封止樹脂30の内部において上下方向に間隔を空けて配置される。なお、第1半導体素子11Aおよび第2半導体素子11Bは、パワーMOSFETやGTOサイリスタ等であっても良い。また、ここでは、第1ダイオード12Aと第1半導体素子11Aとを区別しているが、第1ダイオード12Aも半導体素子の一種である。また、第2ダイオード12Bと第2半導体素子11Bとを区別しているが、第2ダイオード12Bも半導体素子の一種である。
【0077】
第1導電部材21は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aに接合される。第1導電部材21は、導電性の接合材111によって第1半導体素子11Aの下面11Aaに接合されるとともに、導電性の接合材121によって第1ダイオード12Aの下面12Aaに接合される。第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aとの接合部位を含む第1導電部材21の一部は、封止樹脂30によって第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aとともに封止されている。第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから外方に突出して突出部21aを形成する。突出部21aには、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子211が設けられる。
【0078】
第2導電部材22は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bに接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材112によって第1半導体素子11Aの上面11Abに接合されるとともに、導電性の接合材122によって第1ダイオード12Aの上面12Abに接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材115によって第2半導体素子11Bの下面11Baに接合されるとともに、導電性の接合材125によって第2ダイオード12Bの下面12Baに接合される。第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとの接合部位を含む第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとともに封止されている。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから外方に突出して突出部22aを形成する。突出部22aには、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子221が設けられる。
【0079】
第3導電部材23は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bに接合される。第3導電部材23は、導電性の接合材116によって第2半導体素子11Bの上面11Bbに接合されるとともに、導電性の接合材126によって第2ダイオード12Bの上面12Bbに接合される。第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとの接合部位を含む第3導電部材23の一部は、封止樹脂30によって第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとともに封止されている。第3導電部材23は、封止樹脂30の側面30aから外方に突出して突出部23aを形成する。突出部23aには、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子231が設けられる。
【0080】
第1導電部材21、第2導電部材22および第3導電部材23の各々の内部には、絶縁冷媒(以下適宜「冷媒」とも呼ぶ。)を通過させる冷媒通路40が設けられる。絶縁冷媒としては、例えば、フッ素系不活性液体または油等の絶縁性液体を用いることができる。以下においては、第1導電部材21の内部に設けられた冷媒通路40を「冷媒通路40-1」と記載し、第2導電部材22の内部に設けられた冷媒通路40を「冷媒通路40-2」と記載し、第3導電部材23の内部に設けられた冷媒通路40を「冷媒通路40-3」と記載する。また、冷媒通路40-1、冷媒通路40-2および冷媒通路40-3を区別しない場合にはこれらを纏めて「冷媒通路40」と記載する。冷媒通路40は、冷却部の一例である。第1導電部材21は、冷媒通路40-1を通過する冷媒によって冷却され、第2導電部材22は、冷媒通路40-2を通過する冷媒によって冷却され、第3導電部材23は、冷媒通路40-3を通過する冷媒によって冷却される。
【0081】
このように、第1導電部材21および第2導電部材22が冷媒通路40内の冷媒によって冷却されることにより、第1導電部材21および第2導電部材22に接合された第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aが冷却される。第2導電部材22および第3導電部材23が冷媒通路40内の冷媒によって冷却されることにより、第2導電部材22および第3導電部材23に接合された第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bが冷却される。半導体装置1は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、第1半導体素子11A(第2半導体素子11B)および第1ダイオード12A(第2ダイオード12B)と冷媒通路40内の冷媒との間に位置する部材の数が少ない。このため、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bから冷媒への熱伝達が促進される。したがって、第4実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bで発生する熱を冷媒へ円滑に吸収させることができる。結果として、第4実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率を向上することができる。また、第1導電部材21の一部、第2導電部材22の一部および第3導電部材23の一部が封止樹脂30によって被覆されていることにより、第1導電部材21、第2導電部材22および第3導電部材23が外部環境に直接曝されることを抑制することができる。したがって、第4実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bで発生する熱が冷媒へ伝達される際に、外部環境に起因する冷媒の温度上昇を抑制することができる。結果として、第4実施形態によれば、2in1型の半導体モジュールにおいて、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率を向上することができる。
【0082】
次に、第1導電部材21、第2導電部材22および第3導電部材23の各々の内部に形成された冷媒通路40(冷媒通路40-1~40-3)の構成について、
図14を参照しながら説明する。
図14A~
図14Cは、第4実施形態に係る半導体装置1の平断面を示す模式図である。
図14Aにおいては、
図13のXIVA-XIVA線における断面が示されている。
図14Bにおいては、
図13のXIVB-XIVB線における断面が示されている。
図14Cにおいては、
図13のXIVC-XIVC線における断面が示されている。また、
図14A~
図14Cにおいては、冷媒の流れを破線の矢印で示している。上述の通り、第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する突出部21aを有する。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから突出する突出部22aを有する。第3導電部材23は、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する突出部23aを有する。
【0083】
冷媒通路40-1は、
図14Aに示すように、第1導電部材21の内部にU字状に形成される。冷媒通路40-1の両方の開口41a、41bは、第1導電部材21の突出部21aに配置される。冷媒通路40-1の一方の開口41aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒通路40-1の他方の開口41bは、冷媒が流出する流出口となる。冷媒通路40-1の両方の開口41a、41bを第1導電部材21の突出部21aに配置することにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の一つの側面30a側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0084】
冷媒通路40-1の一方の開口41aには、絶縁性材料により形成された入口配管411が接続される。冷媒通路40-1の他方の開口41bには、絶縁性材料により形成された出口配管412が接続される。入口配管411および出口配管412は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管411および出口配管412を介して冷媒通路40-1に冷媒が循環供給されることにより、第1導電部材21が冷却される。
【0085】
冷媒通路40-1の平面視で第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aと重なる領域には、他の領域よりも幅が広い幅広部41cが形成される。冷媒通路40-1に幅広部41cを形成することにより、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aから冷媒通路40-1内の冷媒への熱伝達を円滑化させることができる。これにより、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aの冷却効率をより向上することができる。
【0086】
冷媒通路40-2は、
図14Bに示すように、第2導電部材22の内部にU字状に形成される。冷媒通路40-2の両方の開口42a、42bは、第2導電部材22の突出部22aに配置される。冷媒通路40-2の一方の開口42aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒通路40-2の他方の開口42bは、冷媒が流出する流出口となる。冷媒通路40-2の両方の開口42a、42bを第2導電部材22の突出部22aに配置することにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の一つの側面30b側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0087】
冷媒通路40-2の一方の開口42aには、絶縁性材料により形成された入口配管421が接続される。冷媒通路40-2の他方の開口42bには、絶縁性材料により形成された出口配管422が接続される。入口配管421および出口配管422は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管421および出口配管422を介して冷媒通路40-2に冷媒が循環供給されることにより、第2導電部材22が冷却される。
【0088】
冷媒通路40-2の平面視で第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bと重なる領域には、他の領域よりも幅が広い幅広部42cが形成される。冷媒通路40-2に幅広部42cを形成することにより、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bから冷媒通路40-2内の冷媒への熱伝達を円滑化させることができる。これにより、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率をより向上することができる。
【0089】
冷媒通路40-3は、
図14Cに示すように、第3導電部材23の内部にU字状に形成される。冷媒通路40-3の両方の開口43a、43bは、第3導電部材23の突出部23aに配置される。冷媒通路40-3の一方の開口43aは、冷媒が流入する流入口となり、冷媒通路40-3の他方の開口43bは、冷媒が流出する流出口となる。冷媒通路40-3の両方の開口43a、43bを第3導電部材23の突出部23aに配置することにより、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂30の一つの側面30a側に集約することができ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0090】
冷媒通路40-3の一方の開口43aには、絶縁性材料により形成された入口配管431が接続される。冷媒通路40-3の他方の開口43bには、絶縁性材料により形成された出口配管432が接続される。入口配管431および出口配管432は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管431および出口配管432を介して冷媒通路40-3に冷媒が循環供給されることにより、第3導電部材23が冷却される。
【0091】
冷媒通路40-3の平面視で第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bと重なる領域には、他の領域よりも幅が広い幅広部43cが形成される。冷媒通路40-3に幅広部43cを形成することにより、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bから冷媒通路40-3内の冷媒への熱伝達を円滑化させることができる。これにより、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率をより向上することができる。
【0092】
冷媒通路40の流入口および流出口が配置された突出部21a~23aは、
図14A~
図14Cに示すように、平面視で互いにずれた位置に配置される。これにより、冷媒通路40の流入口および流出口に対して入口配管411および出口配管412等の配管を接続する際の作業性を向上することができる。
【0093】
(第5実施形態)
第5実施形態は、第4実施形態における冷却部のバリエーションに関する。
【0094】
図15は、第5実施形態に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図15に示すように、第5実施形態に係る半導体装置1は、いわゆる2in1型の半導体モジュールである。半導体装置1は、第1半導体素子11Aと、第1ダイオード12Aと、第2半導体素子11Bと、第2ダイオード12Bとを有する。また、半導体装置1は、第1導電部材21と、第2導電部材22と、第3導電部材23とを有する。第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11B、第2ダイオード12B、第1導電部材21の一部、第2導電部材22の一部および第3導電部材23の一部は、封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30としては、例えばエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0095】
以下においては、第1導電部材21が接合される第1半導体素子11Aの一方の面側を下方とし、第2導電部材22が接合される第1半導体素子11Aの他方の面側を上方として説明する。ただし、半導体装置1は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられても良い。
【0096】
第1半導体素子11Aおよび第2半導体素子11Bは、例えば、IGBTである。第1ダイオード12Aおよび第2ダイオード12Bは、例えば、FWD等である。第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aの組みと、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの組みとは、封止樹脂30の内部において上下方向に間隔を空けて配置される。なお、第1半導体素子11Aおよび第2半導体素子11Bは、パワーMOSFETやGTOサイリスタ等であっても良い。また、ここでは、第1ダイオード12Aと第1半導体素子11Aとを区別しているが、第1ダイオード12Aも半導体素子の一種である。また、第2ダイオード12Bと第2半導体素子11Bとを区別しているが、第2ダイオード12Bも半導体素子の一種である。
【0097】
第1導電部材21は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aに接合される。第1導電部材21は、導電性の接合材111によって第1半導体素子11Aの下面11Aaに接合されるとともに、導電性の接合材121によって第1ダイオード12Aの下面12Aaに接合される。第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aとの接合部位を含む第1導電部材21の一部は、封止樹脂30によって第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aとともに封止されている。第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから外方に突出して突出部21aを形成する。突出部21aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子211として利用することができる。
【0098】
第2導電部材22は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bに接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材112によって第1半導体素子11Aの上面11Abに接合されるとともに、導電性の接合材122によって第1ダイオード12Aの上面12Abに接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材115によって第2半導体素子11Bの下面11Baに接合されるとともに、導電性の接合材125によって第2ダイオード12Bの下面12Baに接合される。第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとの接合部位を含む第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとともに封止されている。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから外方に突出して突出部22aを形成する。突出部22aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0099】
第3導電部材23は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bに接合される。第3導電部材23は、導電性の接合材116によって第2半導体素子11Bの上面11Bbに接合されるとともに、導電性の接合材126によって第2ダイオード12Bの上面12Bbに接合される。第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとの接合部位を含む第3導電部材23の一部は、封止樹脂30によって第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとともに封止されている。第3導電部材23は、封止樹脂30の側面30aから外方に突出して突出部23aを形成する。突出部23aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0100】
第1導電部材21および第3導電部材23の各々には、絶縁冷媒(以下適宜「冷媒」とも呼ぶ。)を通過させる冷媒配管50が設けられる。絶縁冷媒としては、短絡の発生を抑制する観点から、例えば、フッ素系不活性液体または油等の絶縁性液体を用いることができる。以下においては、第1導電部材21に設けられた冷媒配管50を「冷媒配管50-1」と記載し、第3導電部材23に設けられた冷媒配管50を「冷媒配管50-3」と記載する。また、冷媒配管50-1および冷媒配管50-3を区別しない場合にはこれらを纏めて「冷媒配管50」と記載する。冷媒配管50は、冷却部の一例である。冷媒配管50-1は、導電性の接合材113によって第1導電部材21に接合され、冷媒配管50-3は、導電性の接合材133によって第3導電部材23に接合される。第1導電部材21は、冷媒配管50-1を通過する冷媒によって冷却され、第3導電部材23は、冷媒配管50-3を通過する冷媒によって冷却される。
【0101】
このように、第1導電部材21が冷媒配管50内の冷媒によって冷却されることにより、第1導電部材21に接合された第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aが冷却される。第3導電部材23が冷媒配管50内の冷媒によって冷却されることにより、第3導電部材23に接合された第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bが冷却される。半導体装置1は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、第1半導体素子11A(第2半導体素子11B)および第1ダイオード12A(第2ダイオード12B)と冷媒配管50内の冷媒との間に位置する部材の数が少ない。このため、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bから冷媒への熱伝達が促進される。したがって、第5実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bで発生する熱を冷媒へ円滑に吸収させることができる。結果として、第5実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率を向上することができる。また、第1導電部材21の一部および第3導電部材23の一部が封止樹脂30によって被覆されていることにより、第1導電部材21および第3導電部材23が外部環境に直接曝されることを抑制することができる。したがって、第5実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bで発生する熱が冷媒へ伝達される際に、外部環境に起因する冷媒の温度上昇を抑制することができる。結果として、第5実施形態によれば、2in1型の半導体モジュールにおいて、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率を向上することができる。
【0102】
(第6実施形態)
第6実施形態は、第4実施形態における冷却部のバリエーションに関する。
【0103】
図16は、第6実施形態に係る半導体装置1の縦断面を示す模式図である。
図16に示すように、第6実施形態に係る半導体装置1は、いわゆる2in1型の半導体モジュールである。半導体装置1は、第1半導体素子11Aと、第1ダイオード12Aと、第2半導体素子11Bと、第2ダイオード12Bとを有する。また、半導体装置1は、第1導電部材21と、第2導電部材22と、第3導電部材23とを有する。第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11B、第2ダイオード12B、第1導電部材21の一部、第2導電部材22の一部および第3導電部材23の一部は、封止樹脂30によって被覆されている。封止樹脂30としては、例えばエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0104】
以下においては、第1導電部材21が接合される第1半導体素子11Aの一方の面側を下方とし、第2導電部材22が接合される第1半導体素子11Aの他方の面側を上方として説明する。ただし、半導体装置1は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられても良い。
【0105】
第1半導体素子11Aおよび第2半導体素子11Bは、例えば、IGBTである。第1ダイオード12Aおよび第2ダイオード12Bは、例えば、FWD等である。第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aの組みと、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの組みとは、封止樹脂30の内部において上下方向に間隔を空けて配置される。なお、第1半導体素子11Aおよび第2半導体素子11Bは、パワーMOSFETやGTOサイリスタ等であっても良い。また、ここでは、第1ダイオード12Aと第1半導体素子11Aとを区別しているが、第1ダイオード12Aも半導体素子の一種である。また、第2ダイオード12Bと第2半導体素子11Bとを区別しているが、第2ダイオード12Bも半導体素子の一種である。
【0106】
第1導電部材21は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aに接合される。第1導電部材21は、導電性の接合材111によって第1半導体素子11Aの下面11Aaに接合されるとともに、導電性の接合材121によって第1ダイオード12Aの下面12Aaに接合される。第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aとの接合部位を含む第1導電部材21の一部は、封止樹脂30によって第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aとともに封止されている。第1導電部材21は、封止樹脂30の一つの側面30aから外方に突出して突出部21aを形成する。突出部21aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0107】
第2導電部材22は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bに接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材112によって第1半導体素子11Aの上面11Abに接合されるとともに、導電性の接合材122によって第1ダイオード12Aの上面12Abに接合される。第2導電部材22は、導電性の接合材115によって第2半導体素子11Bの下面11Baに接合されるとともに、導電性の接合材125によって第2ダイオード12Bの下面12Baに接合される。第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとの接合部位を含む第2導電部材22の一部は、封止樹脂30によって第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとともに封止されている。第2導電部材22は、封止樹脂30の側面30aとは反対側の側面30bから外方に突出して突出部22aを形成する。突出部22aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0108】
第3導電部材23は、例えば銅等の金属製の板状部材であり、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bに接合される。第3導電部材23は、導電性の接合材116によって第2半導体素子11Bの上面11Bbに接合されるとともに、導電性の接合材126によって第2ダイオード12Bの上面12Bbに接合される。第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとの接合部位を含む第3導電部材23の一部は、封止樹脂30によって第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bとともに封止されている。第3導電部材23は、封止樹脂30の側面30aから外方に突出して突出部23aを形成する。突出部23aは、例えば配線や外部部品等に接続可能な外部接続端子として利用することができる。
【0109】
第1導電部材21、第2導電部材22および第3導電部材23の各々の平面視で第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bと重なる領域には、第1導電部材21の幅方向に延びる貫通孔60が設けられる。以下においては、第1導電部材21に設けられた貫通孔60を「貫通孔60-1」と記載し、第2導電部材22に設けられた貫通孔60を「貫通孔60-2」と記載し、第3導電部材23に設けられた貫通孔60を「貫通孔60-3」と記載する。また、貫通孔60-1、貫通孔60-2および貫通孔60-3を区別しない場合にはこれらを纏めて「貫通孔60」と記載する。
【0110】
貫通孔60-1の一方の開口61a(
図10参照)は、冷媒が流入する流入口となり、貫通孔60-1の他方の開口61b(
図10参照)は、冷媒が流出する流出口となる。貫通孔60-1の一方の開口61aには、貫通孔60-1の一方の開口61aに対して冷媒を供給する冷媒供給配管71(
図10参照)が接続される。貫通孔60-1の一方の開口61aと冷媒供給配管71との接続は、例えば、はんだ接合、焼結またはレーザ加工等の既知の手法により実現される。貫通孔60-1の他方の開口61bには、貫通孔60-1の他方の開口61bから冷媒を排出する冷媒排出配管72(
図10参照)が接続される。貫通孔60-1の他方の開口61bと冷媒排出配管72との接続は、例えば、はんだ接合、焼結またはレーザ加工等の既知の手法により実現される。
【0111】
冷媒供給配管71および冷媒排出配管72(
図10参照)は、封止樹脂30の一つの側面30aから突出する。冷媒供給配管71は、絶縁性材料により形成された入口配管611(
図10参照)に接続され、冷媒排出配管72は、絶縁性材料により形成された出口配管612(
図10参照)に接続される。入口配管611および出口配管612は、図示しない冷媒循環ユニットに接続されている。冷媒循環ユニットから入口配管611、冷媒供給配管71、冷媒排出配管72および出口配管612を介して貫通孔60-1に冷媒が循環供給されることにより、第1導電部材21が冷却される。冷媒供給配管71および冷媒排出配管72は、冷却部の一例である。
【0112】
なお、第2導電部材22に設けられた貫通孔60-2および第3導電部材23に設けられた貫通孔60-3の構成は、貫通孔60-1の構成と基本的には同様である。貫通孔60-2には、貫通孔60-1と同様に、冷媒供給配管および冷媒排出配管が接続され、これら冷媒供給配管および冷媒排出配管は、絶縁性材料により形成された入口配管および出口配管によって最終的に冷媒循環ユニットに接続されている。そして、冷媒循環ユニットから貫通孔60-2に冷媒が循環供給されることにより、第2導電部材22が冷却される。また、貫通孔60-3には、貫通孔60-1と同様に、冷媒供給配管および冷媒排出配管が接続され、これら冷媒供給配管および冷媒排出配管は、絶縁性材料により形成された入口配管および出口配管によって最終的に冷媒循環ユニットに接続されている。そして、冷媒循環ユニットから貫通孔60-3に冷媒が循環供給されることにより、第3導電部材23が冷却される。
【0113】
このように、第1導電部材21および第2導電部材22が貫通孔60内の冷媒によって冷却されることにより、第1導電部材21および第2導電部材22に接合された第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aが冷却される。第2導電部材22および第3導電部材23が貫通孔60内の冷媒によって冷却されることにより、第2導電部材22および第3導電部材23に接合された第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bが冷却される。半導体装置1は、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、第1半導体素子11A(第2半導体素子11B)および第1ダイオード12A(第2ダイオード12B)と貫通孔60内の冷媒との間に位置する部材の数が少ない。このため、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bから冷媒への熱伝達が促進される。したがって、第6実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bで発生する熱を冷媒へ円滑に吸収させることができる。結果として、第6実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率を向上することができる。また、第1導電部材21の一部、第2導電部材22の一部および第3導電部材23の一部が封止樹脂30によって被覆されていることにより、第1導電部材21、第2導電部材22および第3導電部材23が外部環境に直接曝されることを抑制することができる。したがって、第6実施形態によれば、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bで発生する熱が冷媒へ伝達される際に、外部環境に起因する冷媒の温度上昇を抑制することができる。結果として、第6実施形態によれば、2in1型の半導体モジュールにおいて、第1半導体素子11A、第1ダイオード12A、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの冷却効率を向上することができる。
【0114】
(その他の変形例)
上述した第1実施形態および第4実施形態では、冷媒通路40が2つの開口(例えば、開口41a、41b)を備える場合の例について説明したが、冷媒通路40が備える開口の数は、2つに限られない。すなわち、冷媒通路40は、2つ以上の開口を備えても良い。この場合、冷媒通路40が備える2つ以上の開口のうち少なくとも一つの開口が冷媒の流入口となり、他の少なくとも一つの開口が冷媒の流出口となっても良い。
【0115】
また、上述した第4~第6実施形態では、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aの組みと、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの組みとが上下方向に間隔を空けて配置される場合の例について説明したが、開示技術はこれに限られない。例えば、第1半導体素子11Aおよび第1ダイオード12Aの組みと、第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bの組みとが同一の高さ位置に配置されても良い。この場合、第2導電部材22に第1導電部材21の高さ位置まで斜め下方に延びる延伸部を設け、かかる延伸部に第2半導体素子11Bおよび第2ダイオード12Bを接合すれば良い。
【0116】
(応用例)
上述した各実施形態および変形例に係る半導体装置1は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載されるモータシステムに適用されても良い。
【0117】
図17は、半導体装置1が適用されたモータシステム100の構成を示す図である。
図17に示すように、モータシステム100は、モータ110と、電源120と、電力変換装置130とを備える。
【0118】
モータ110は、負荷の一例である。モータ110は、三相モータであり、U相端子110U、V相端子110VおよびW相端子110Wを有する。モータ110には、U相端子110U、V相端子110VおよびW相端子110Wに対して、回転軸を回転させるような3相の駆動電圧が印加される。
【0119】
電源120は、直流電力を発生する。電源120は、正側端子120Pおよび負側端子120Nを有する。電源120は、正側端子120Pから正側の電源電圧を出力する。電源120は、負側端子120Nから負側の電源電圧または0Vを出力する。
【0120】
電力変換装置130は、電源120から直流電力を受け取って、電力変換を行い、負荷であるモータ110へ交流電力を供給する。すなわち、電力変換装置130は、電源120から受け取った直流電力を3相の交流電力に変換し、3相の交流電圧をモータ110に供給する。
【0121】
また、電力変換装置130の内部には、直流電力を交流電力に変換するためのスイッチング動作を行う複数のスイッチング回路131が搭載される。このスイッチング回路131に、上述した各実施形態および変形例に係る半導体装置1が適用され得る。すなわち、電力変換装置130は、スイッチング回路131として半導体装置1を備えても良い。
【0122】
なお、電力変換装置130は、モータ110に限らず、如何なる負荷に電力を供給しても良い。例えば、電力変換装置130は、3相以外のモータに電力を供給しても良い。
【0123】
上述してきたように、実施形態に係る半導体装置(例えば、半導体装置1)は、半導体素子(例えば、半導体素子11、第1半導体素子11A、第2半導体素子11B)と、導電部材(例えば、第1導電部材21、第2導電部材22、第3導電部材23)と、樹脂(例えば、封止樹脂30)と、冷却部とを備える。導電部材は、半導体素子に接合される。樹脂は、半導体素子および導電部材の一部を封止する。冷却部は、樹脂の内部において導電部材を冷却する。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、半導体素子の冷却効率を向上することができる。また、実施形態に係る半導体装置によれば、半導体素子を高効率で冷却することができることから、半導体素子の動作の安定化、半導体素子の長寿命化および半導体素子の電力効率の向上を実現することができる。また、実施形態に係る半導体装置によれば、半導体素子、回路基板、ベース板および冷却部材を積層した構造と比べて、部材の数を削減することができることから、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0124】
冷却部は、導電部材の内部に設けられ、絶縁冷媒を通過させる冷媒通路(例えば、冷媒通路40)であっても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0125】
導電部材は、樹脂の一つの側面(例えば、側面30a、30b)から突出する突出部(例えば、突出部21a、22a、23a)を有しても良い。冷媒通路は、2つ以上の開口(例えば、開口41a、41b、開口42a、42b、開口43a、43b)を備え、2つ以上の開口が突出部に配置されても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂の一つの側面側に集約することができ、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0126】
導電部材は、樹脂の一つの側面(例えば、側面30a)から突出する第1突出部(例えば、突出部21a)と、樹脂の他の側面(例えば、側面30c)から突出する第2突出部(例えば、突出部21b)とを有しても良い。冷媒通路は、2つの開口を備え、2つの開口のうち一方の開口(例えば、開口41a)が第1突出部に配置され、他方の開口(例えば、開口41b)が第2突出部に配置されても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、冷媒の流入口および流出口が封止樹脂の2つの側面に分散され、冷媒の流通経路の自由度を向上することができる。
【0127】
実施形態に係る半導体装置は、複数の導電部材を備えても良い。複数の導電部材は、半導体素子の第1面(例えば、下面11a、11Aa)に接合された第1導電部材(例えば、第1導電部材21)と、半導体素子の第1面とは反対側の第2面(例えば、上面11b、11Ab)に接合された第2導電部材(例えば、第2導電部材22)とを含んでも良い。冷媒通路は、第1導電部材および第2導電部材の少なくとも一方の内部に設けられても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、第1導電部材および第2導電部材が接合される半導体素子の両面または一方の面側から半導体素子を高効率に冷却することができる。
【0128】
実施形態に係る半導体装置は、複数の半導体素子および複数の導電部材を備えても良い。複数の半導体素子は、第1半導体素子(例えば、第1半導体素子11A)および第2半導体素子(例えば、第2半導体素子11B)を含んでも良い。複数の導電部材は、第1半導体素子の第1面(例えば、下面11Aa)に接合された第1導電部材(例えば、第1導電部材21)と、第1半導体素子の第1面とは反対側の第2面(例えば、上面11Ab)に接合されるとともに、第2半導体素子の第1面(例えば、下面11Ba)に接合された第2導電部材(例えば、第2導電部材22)と、第2半導体素子の第1面とは反対側の第2面(例えば、上面11Bb)に接合された第3導電部材(例えば、第3導電部材23)とを含んでも良い。冷媒通路は、第1導電部材および第3導電部材の各々、および第2導電部材の少なくとも一方の内部に設けられても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、第1導電部材および第2導電部材が接合される第1半導体素子の両面または一方の面側から第1半導体素子を高効率に冷却することができる。また、実施形態に係る半導体装置によれば、第2導電部材および第3導電部材が接合される第2半導体素子の両面または一方の面側から第2半導体素子を高効率に冷却することができる。すなわち、実施形態に係る半導体装置によれば、2in1型の半導体モジュールにおいて、第1半導体素子および第2半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0129】
冷却部は、導電部材に接合され、絶縁冷媒を通過させる冷媒配管(例えば、冷媒配管50)であっても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0130】
冷媒配管は、両端(例えば、端部51a、51b、端部52a、52b)が樹脂の一つの側面(例えば、側面30a、30b)から突出しても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、冷媒の流入口および流出口を封止樹脂の一つの側面側に集約することができ、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0131】
冷媒配管は、一端(例えば、端部51a)が樹脂の一つの側面(例えば、側面30a)から突出し、他端(例えば、端部51b)が樹脂の他の側面(例えば、側面30c)から突出しても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、冷媒の流入口および流出口が封止樹脂の2つの側面に分散され、冷媒の流通経路の自由度を向上することができる。
【0132】
実施形態に係る半導体装置は、複数の導電部材を備えても良い。複数の導電部材は、半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第2導電部材とを含んでも良い。冷媒配管は、第1導電部材および第2導電部材の少なくとも一方に設けられても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、第1導電部材および第2導電部材が接合される半導体素子の両面または一方の面側から半導体素子を高効率に冷却することができる。
【0133】
実施形態に係る半導体装置は、複数の半導体素子および複数の導電部材を備えても良い。複数の半導体素子は、第1半導体素子および第2半導体素子を含んでも良い。複数の導電部材は、第1半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、第1半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合されるとともに、第2半導体素子の第1面に接合された第2導電部材と、第2半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第3導電部材とを含んでも良い。冷媒配管は、第1導電部材および第3導電部材の各々に設けられても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、第1導電部材が接合される第1半導体素子の一方の面側から第1半導体素子を高効率に冷却することができる。また、実施形態に係る半導体装置によれば、第3導電部材が接合される第2半導体素子の一方の面側から第2半導体素子を高効率に冷却することができる。すなわち、実施形態に係る半導体装置によれば、2in1型の半導体モジュールにおいて、第1半導体素子および第2半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0134】
導電部材は、平面視で半導体素子と重なる領域に形成され、導電部材の幅方向に延びる貫通孔(例えば、貫通孔60)を有しても良い。冷却部は、貫通孔の一方の開口(例えば、開口61a)に対して絶縁冷媒を供給する冷媒供給配管(例えば、冷媒供給配管71)と、貫通孔の他方の開口(例えば、開口61b)から絶縁冷媒を排出する冷媒排出配管(例えば、冷媒排出配管72)とを有しても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0135】
導電部材は、複数の貫通孔を有しても良い。冷媒供給配管は、各貫通孔の一方の開口に対して絶縁冷媒を供給しても良い。冷媒排出配管は、各貫通孔の他方の開口から絶縁冷媒を排出しても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、導電部材と冷媒との接触面積を増大させることができることから、半導体素子の冷却効率をより向上することができる。
【0136】
実施形態に係る半導体装置は、複数の半導体素子および複数の導電部材を備えても良い。複数の半導体素子は、第1半導体素子および第2半導体素子を含んでも良い。複数の導電部材は、第1半導体素子の第1面に接合された第1導電部材と、第1半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合されるとともに、第2半導体素子の第1面に接合された第2導電部材と、第2半導体素子の第1面とは反対側の第2面に接合された第3導電部材とを含んでも良い。貫通孔は、第1導電部材および前記第3導電部材の各々、および第2導電部材の少なくとも一方に形成されても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、第1導電部材および第2導電部材が接合される第1半導体素子の両面または一方の面側から第1半導体素子を高効率に冷却することができる。また、実施形態に係る半導体装置によれば、第2導電部材および第3導電部材が接合される第2半導体素子の両面または一方の面側から第2半導体素子を高効率に冷却することができる。すなわち、実施形態に係る半導体装置によれば、2in1型の半導体モジュールにおいて、第1半導体素子および第2半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0137】
半導体素子は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであっても良い。これにより、実施形態に係る半導体装置によれば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの冷却効率を向上することができる。
【0138】
半導体素子の材料は、シリコンまたはシリコンカーバイドまたはガリウムナイトライドであっても良い。
【0139】
実施形態に係る電力変換装置(例えば、電力変換装置130)は、半導体装置(例えば、半導体装置1)を備えても良い。これにより、実施形態に係る電力変換装置によれば、半導体素子の冷却効率を向上することができる。
【0140】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されても良い。
【符号の説明】
【0141】
1 半導体装置
11 半導体素子
11a 下面
11b 上面
11A 第1半導体素子
11Aa 下面
11Ab 上面
11B 第2半導体素子
11Ba 下面
11Bb 上面
12 ダイオード
12a 下面
12b 上面
12A 第1ダイオード
12Aa 下面
12Ab 上面
12B 第2ダイオード
12Ba 下面
12Bb 上面
21 第1導電部材
21a、21b 突出部
22 第2導電部材
22a 突出部
23 第3導電部材
23a 突出部
30 封止樹脂
30a~30c 側面
40、40-1~40-3 冷媒通路
41a、41b 開口
41c 幅広部
42a、42b 開口
42c 幅広部
43a、43b 開口
43c 幅広部
50、50-1、50-2 冷媒配管
51a、51b 端部
51c 幅広部
52a、52b 端部
60 貫通孔
61a、61b 開口
71 冷媒供給配管
72 冷媒排出配管
130 電力変換装置