(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083038
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230608BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20230608BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
B60N2/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197134
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博郁
(72)【発明者】
【氏名】大坂谷 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】木下 定洋
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087BC04
3B087BD03
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】シート本体の状態を切り替える切り替え装置をシンプルな構造とすることが可能な乗り物用シートを提供する。
【解決手段】乗り物用シートは、シート本体を「通常状態」と通常状態から移動させた「移動状態」との間で切り替え可能なシートである。乗り物用シートは、通常状態のときにシート本体の移動動作をロックするロック部材と、乗り物用シートに取り付けられるレバー取り付け部材80と、レバー取り付け部材80にレバー回動軸90を介して取り付けられ、ロック部材のロック状態を解除するために動作する操作レバー60と、を備えている。レバー取り付け部材80は、レバー回動軸90の軸方向の端部に当接可能な位置に設けられ、レバー回動軸90が軸支された位置から移動することを規制する移動規制部88を有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバック及びシートクッションを有するシート本体を備え、
前記シート本体を通常状態と、前記通常状態から移動させた移動状態との間で切り替え可能な乗り物用シートであって、
前記乗り物用シートに取り付けられ、前記通常状態のときに前記シート本体の移動動作をロックするロック部材と、
前記乗り物用シートに取り付けられるレバー取り付け部材と、
前記レバー取り付け部材に設けられた軸支持部に支持されるレバー回動軸と、
前記レバー取り付け部材に前記レバー回動軸を介して取り付けられ、前記ロック部材のロック状態を解除するために動作する操作レバーと、を備え、
前記レバー取り付け部材は、前記レバー回動軸の軸方向の端部に当接可能な位置に設けられ、前記レバー回動軸の前記端部に当接することで、前記レバー回動軸が前記軸支持部によって支持された位置から移動することを規制する移動規制部を有していることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記乗り物用シートは、車体フロアに固定されるロアレールと、前記ロアレールに沿って摺動可能に取り付けられ、前記シート本体を下方から支持するアッパレールと、を備え、
前記移動状態とは、前記シート本体が前記車体フロアに対してシート前後方向の所定位置にスライド移動したスライド移動状態であって、
前記ロック部材は、前記ロアレールに対して前記アッパレールを摺動不能にロックするロック位置と、ロック解除位置との間で移動する部材であることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記レバー回動軸は、前記軸支持部の内部に挿通された状態で支持され、
前記移動規制部は、前記レバー回動軸の端面に当接することで、前記レバー回動軸の挿通方向において前記レバー回動軸が前記軸支持部から移動することを規制することを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
前記操作レバーは、前記レバー取り付け部材に対して通常位置と、前記通常位置から回動させた回動位置との間で回動可能となるように取り付けられ、
前記乗り物用シートは、前記レバー取り付け部材及び前記操作レバーの間に介在し、前記操作レバーを前記回動位置側から前記通常位置側へ付勢する付勢部材を備え、
前記付勢部材は、
前記レバー回動軸又は前記レバー回動軸の周辺に取り付けられ、
前記レバー回動軸の軸方向の両端部のうち、前記移動規制部が当接する前記端部側の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記移動規制部は、
前記レバー取り付け部材に設けられ、前記レバー回動軸の前記端部に向かって突出する板バネであって、
前記レバー回動軸を前記軸支持部から着脱可能となるように支持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記移動規制部は、
前記レバー取り付け部材から延出している第1延出部と、
前記第1延出部の延出端部から前記第1延出部の延出方向とは交差する方向に延出し、前記第1延出部の延出端部を支点として撓むように変形可能な第2延出部と、
前記第2延出部に設けられ、前記レバー回動軸の前記端部に当接する当接部と、を有し、
前記レバー回動軸の軸方向で見たときに前記第1延出部の延出端部と、前記当接部とが、前記レバー回動軸の軸心を間に挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記第1延出部は、前記第2延出部よりも幅広となるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記操作レバーは、前記レバー取り付け部材に前記レバー回動軸を介して格納可能に取り付けられ、
前記レバー取り付け部材は、
前記操作レバーを格納するための本体部と、
前記本体部の側面から前記レバー取り付け部材の幅方向に突出し、前記本体部の側面において互いに交差するように延びている第1補強部及び第2補強部と、を有し、
前記移動規制部は、前記第1補強部及び前記第2補強部が連結された部分又はその周辺部分に取り付けられていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
前記レバー回動軸は、
前記軸支持部の内部に挿通された状態で支持される軸本体部と、
前記軸本体部の軸方向の一端部に設けられ、前記軸支持部の開口部に当接する軸頭部と、を有し、
前記移動規制部は、
前記レバー回動軸の軸方向の両端部に対応する位置にそれぞれ設けられ、
前記レバー回動軸の軸方向で見たときに前記軸頭部と重なる位置に配置される一方で、前記軸本体部とは重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
前記乗り物用シートは、前記レバー取り付け部材及び前記操作レバーの間に配置され、前記レバー取り付け部材の内部に収容された状態で取り付けられるカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記レバー取り付け部材の側面に設けられた被係合部に係合する係合部を有しており、
前記移動規制部が、前記レバー取り付け部材の側面において前記被係合部とは異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を通常状態から切り替えることが可能な乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を「通常状態」と、通常状態から移動させた「移動状態」との間で切り替え可能な車両用シートが知られている。「移動状態」とは、例えば、シート本体を通常状態からシート前後方向の所定位置にスライド移動させた「スライド移動状態」や、シート本体(シートバック)を通常状態から所定位置まで後傾させた「リクライニング状態」等が挙げられる。
上記車両用シートの中には、「通常状態」のときにシート本体の移動動作をロックするロック部材と、ロック部材のロック状態を解除するために操作される操作レバーとを備えた車両用シートが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用シートでは、シート本体を「通常状態」と「リクライニング状態」との間で切り替え可能なシートである。
当該車両用シートは、シート本体の移動動作をロックするロック機構と、シート本体の肩口に取り付けられるレバー取り付け部材(ケース)と、レバー取り付け部材にレバー回動軸を介して取り付けられ、ロック機構のロック状態を解除するために回動動作する操作レバー(操作部材)と、を備えている。
レバー回動軸は、レバー取り付け部材に設けられた軸支持部内に圧入されて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような車両用シートにおいて、シート本体の状態を切り替えるための切り替え装置をよりシンプルな構造とすることが求められていた。
詳しく述べると、特許文献1の車両用シートでは、切り替え装置のレバー回動軸がレバー取り付け部材内に圧入されており、当該圧入作業を行うためには専用設備や専用工具が必要とされていた。そのため、レバー回動軸を含む各構成部品の組み付け構造をより簡素化することが求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シート本体の状態を切り替えるための切り替え装置をシンプルな構造とすることが可能な乗り物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、シート本体の状態を切り替える切り替え装置において構成部品の組み付け構造を簡素化した乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を備え、前記シート本体を通常状態と、前記通常状態から移動させた移動状態との間で切り替え可能な乗り物用シートであって、前記乗り物用シートに取り付けられ、前記通常状態のときに前記シート本体の移動動作をロックするロック部材と、前記乗り物用シートに取り付けられるレバー取り付け部材と、前記レバー取り付け部材に設けられた軸支持部に支持されるレバー回動軸と、前記レバー取り付け部材に前記レバー回動軸を介して取り付けられ、前記ロック部材のロック状態を解除するために動作する操作レバーと、を備え、前記レバー取り付け部材は、前記レバー回動軸の軸方向の端部に当接可能な位置に設けられ、前記レバー回動軸の前記端部に当接することで、前記レバー回動軸が前記軸支持部によって支持された位置から移動することを規制する移動規制部を有していること、により解決される。
上記構成により、シート本体の状態を切り替えるための切り替え装置をシンプルな構造とする乗り物用シートを実現することができる。特に、当該切り替え装置において構成部品(レバー回動軸)の組み付け構造を簡素化することができる。
詳しく述べると、レバー取り付け部材は、レバー回動軸の軸方向の端部に当接可能な位置に設けられ、レバー回動軸の端部に当接することで、レバー回動軸が軸支持部によって支持された位置から移動することを規制する移動規制部を有している。そのため、シンプルな構造によってレバー回動軸の抜け止め構造を実現することができる。例えば、従来のようにレバー回動軸をレバー取り付け部材内に圧入する作業を不要とすることができる。
【0008】
このとき、前記乗り物用シートは、車体フロアに固定されるロアレールと、前記ロアレールに沿って摺動可能に取り付けられ、前記シート本体を下方から支持するアッパレールと、を備え、前記移動状態とは、前記シート本体が前記車体フロアに対してシート前後方向の所定位置にスライド移動したスライド移動状態であって、前記ロック部材は、前記ロアレールに対して前記アッパレールを摺動不能にロックするロック位置と、ロック解除位置との間で移動する部材であると良い。
上記構成により、ロアレールとアッパレールを備えるレール装置において構成部品の組み付け構造を簡素化することができる。
【0009】
このとき、前記レバー回動軸は、前記軸支持部の内部に挿通された状態で支持され、前記移動規制部は、前記レバー回動軸の端面に当接することで、前記レバー回動軸の挿通方向において前記レバー回動軸が前記軸支持部から移動することを規制すると良い。
上記構成により、シンプルな構造でレバー回動軸を容易に組み付けることができ、また組み付け後のレバー回動軸が挿通方向において移動してしまうことを規制できる。
【0010】
このとき、前記操作レバーは、前記レバー取り付け部材に対して通常位置と、前記通常位置から回動させた回動位置との間で回動可能となるように取り付けられ、前記乗り物用シートは、前記レバー取り付け部材及び前記操作レバーの間に介在し、前記操作レバーを前記回動位置側から前記通常位置側へ付勢する付勢部材を備え、前記付勢部材は、前記レバー回動軸又は前記レバー回動軸の周辺に取り付けられ、前記レバー回動軸の軸方向の両端部のうち、前記移動規制部が当接する前記端部側の位置に配置されていると良い。
上記のように、付勢部材は、レバー回動軸の両端部のうち、移動規制部が当接する一端部側の位置に配置されている。そのため、レバー回動軸の他端部側の位置と比較して、付勢部材をより安定させて配置することができる。
【0011】
このとき、前記移動規制部は、前記レバー取り付け部材に設けられ、前記レバー回動軸の前記端部に向かって突出する板バネであって、前記レバー回動軸を前記軸支持部から着脱可能となるように支持すると良い。
上記構成により、板バネを利用したシンプルな構造によってレバー回動軸の抜け止め構造を実現することができる。
【0012】
このとき、前記移動規制部は、前記レバー取り付け部材から延出している第1延出部と、前記第1延出部の延出端部から前記第1延出部の延出方向とは交差する方向に延出し、前記第1延出部の延出端部を支点として撓むように変形可能な第2延出部と、前記第2延出部に設けられ、前記レバー回動軸の前記端部に当接する当接部と、を有し、前記レバー回動軸の軸方向で見たときに前記第1延出部の延出端部と、前記当接部とが、前記レバー回動軸の軸心を間に挟む位置に配置されていると良い。
上記構成により、レバー回動軸(レバー回動軸の端部)に対し移動規制部を撓ませ易くすることができる。そのため、レバー回動軸を組み付けるときには、移動規制部を撓ませて一時的に退避させることが容易になる。
そうすることで、レバー回動軸を容易に組み付けることができ、また組み付け後のレバー回動軸の抜け止めも防止することができる。
【0013】
このとき、前記第1延出部は、前記第2延出部よりも幅広となるように形成されていると良い。
上記構成により、移動規制部(板バネ)の基端部において剛性を高めることができる。
【0014】
このとき、前記操作レバーは、前記レバー取り付け部材に前記レバー回動軸を介して格納可能に取り付けられ、前記レバー取り付け部材は、前記操作レバーを格納するための本体部と、前記本体部の側面から前記レバー取り付け部材の幅方向に突出し、前記本体部の側面において互いに交差するように延びている第1補強部及び第2補強部と、を有し、前記移動規制部は、前記第1補強部及び前記第2補強部が連結された部分又はその周辺部分に取り付けられていると良い。
上記構成により、移動規制部が、レバー取り付け部材のうち比較的剛性が高い部分に取り付けられることになる。そのため、移動規制部(板バネ)の基端部において剛性をより高めることができる。
【0015】
このとき、前記レバー回動軸は、前記軸支持部の内部に挿通された状態で支持される軸本体部と、前記軸本体部の軸方向の一端部に設けられ、前記軸支持部の開口部に当接する軸頭部と、を有し、前記移動規制部は、前記レバー回動軸の軸方向の両端部に対応する位置にそれぞれ設けられ、前記レバー回動軸の軸方向で見たときに前記軸頭部と重なる位置に配置される一方で、前記軸本体部とは重ならない位置に配置されていると良い。
上記構成により、移動規制部は、レバー回動軸の一端部(軸頭部側の端部)に当接する一方で、レバー回動軸の他端部(軸本体部側の端部)には当接しない構成となる。
そうすることで、レバー回動軸をレバー支持部内に組み付けるときに、レバー回動軸の他端部が意図せず移動規制部に当接してしまうことを避けることができる。つまりは、レバー回動軸の組み付け構造を簡素化することができる。
【0016】
このとき、前記乗り物用シートは、前記レバー取り付け部材及び前記操作レバーの間に配置され、前記レバー取り付け部材の内部に収容された状態で取り付けられるカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記レバー取り付け部材の側面に設けられた被係合部に係合する係合部を有しており、前記移動規制部が、前記レバー取り付け部材の側面において前記被係合部とは異なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、レバー取り付け部材にカバー部材(係合部)を組み付けるときに、レバー取り付け部材に設けられた移動規制部と、係合部とが干渉してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シート本体の状態を切り替えるための切り替え装置をシンプルな構造とすることが可能な乗り物用シートを実現できる。また、当該切り替え装置において構成部品の組み付け構造を簡素化することができる。
また本発明によれば、レール装置において構成部品の組み付け構造を簡素化することができる。
また本発明によれば、シンプルな構造でレバー回動軸を容易に組み付けることができ、また組み付け後のレバー回動軸が移動してしまうことを規制できる。
また本発明によれば、付勢部材をより安定させて配置することができる。
また本発明によれば、板バネを利用したシンプルな構造によってレバー回動軸の抜け止め構造を実現できる。
また本発明によれば、移動規制部の基端部において剛性を高めることができる。
また本発明によれば、レバー取り付け部材にカバー部材(係合部)を組み付けるときに、レバー取り付け部材に設けられた移動規制部と、係合部とが干渉することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の乗り物用シートの斜視図である。
【
図2】乗り物用シートの骨格となるシートフレームの斜視図である。
【
図3A】シート本体が「通常状態」のときの乗り物用シートの側面図である。
【
図3B】操作レバー(ロック位置)の要部拡大図である。
【
図3C】ロック部材(ロック位置)の要部拡大図である。
【
図4A】シート本体が「移動状態」のときの乗り物用シートの側面図である。
【
図4B】操作レバー(ロック解除位置)の要部拡大図である。
【
図4C】ロック部材(ロック解除位置)の要部拡大図である。
【
図5A】操作レバー、カバー部材及びレバー取り付け部材の組立斜視図である。
【
図7】シート後方から見たときの組立図であって、操作レバー及び連結ワイヤの組み付け状態を示す図である。
【
図8】下方から見たときの組立図であって、レバー取り付け部材及び連結ワイヤの組み付け状態を示す図である。
【
図9A】操作レバーに連結ワイヤを組み付ける方法を説明する図である。
【
図9B】
図10Aの状態から操作レバーに連結ワイヤを組み付けた状態を示す図である。
【
図9C】
図10Bの状態からレバー取り付け部材に連結ワイヤを組み付けた状態を示す図である。
【
図11】レバー回動軸、移動規制部及び付勢部材の配置を説明する図である。
【
図12】第2実施形態の乗り物用シートの斜視図である。
【
図13】第2実施形態の操作レバー及びレバー取り付け部材の組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について
図1~
図15を参照して説明する。
本実施形態は、シート本体を「通常状態」と「移動状態」の間で切り替え可能な乗り物用シートであって、シート本体の移動動作をロックするロック部材と、レバー取り付け部材と、レバー取り付け部材にレバー回動軸を介して取り付けられ、ロック部材のロック状態を解除するために動作する操作レバーとを備えており、レバー取り付け部材は、レバー回動軸の軸方向の一端部に当接可能な位置に設けられ、レバー回動軸が軸支された位置から移動することを規制する移動規制部を有していることを主な特徴とする乗り物用シートの発明に関するものである。
なお、乗り物用シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
【0020】
<第1実施形態>
第1実施形態の乗り物用シートS1は、
図1に示すように、例えば車両の後部座席に相当するリアシートである。なお、車両前後方向に三列のシートを備える車両において二列目のミドルシートとしても利用可能である。
乗り物用シートSは、
図3A、
図4Aに示すように、シート前後方向において基準位置に位置する「通常状態(通常位置)」と、シート本体をシート前後方向の所定位置にスライド移動させた「スライド移動状態(スライド移動位置)」との間で切り替え可能なシートである。
具体的には、乗り物用シートSが
図3Aに示す「通常状態」にいるとき、シート本体の移動動作をロックするロック部材53がロック状態(ロック位置)となっている(
図3B、
図3C参照)。そして、乗員がシート本体の上端部にある操作レバー60を引っ張ると、ロック部材53のロック状態が解除され、シート本体がシート前後方向にスライド移動可能となる(
図4A~
図4C参照)。
シート本体が所定位置までスライド移動した後に、乗員が操作レバー60から手を離すと、ロック部材53がロック解除状態(ロック解除位置)からロック状態となる。そうすることで、乗り物用シートSが「通常状態」から
図4Aに示す「スライド移動状態」へ切り替わることになる。
【0021】
乗り物用シートSは、
図1、
図2に示すように、シートバック1、シートクッション2及びヘッドレスト3を有するシート本体と、シート本体を下方から支持する支持ベース30と、支持ベース30に対してシートバック1を回動可能に連結するとともに、シートバック1の回動動作をロックするリクライニング装置40と、を備えている。
また、乗り物用シートSは、車体フロアと支持ベース30の間に取り付けられ、シート本体をシート前後方向に移動可能に支持するとともに、シート本体の移動動作をロックするレール装置50をさらに備えている。
【0022】
シートバック1は、
図1に示すように、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる
図2に示すバックフレーム10にパッド部材1aを載置して表皮材1bで被覆することで構成されている。
なお、シートバック1の上面においてシート幅方向の左側部分には、操作レバー60が取り付けられている。
シートクッション2は、乗員を下方から支持する着座部であって、骨格となる
図2に示すクッションフレーム20にパッド材2aを載置して表皮材2bで被覆することで構成されている。
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のピラーにパッド部材3aを載置して表皮材3bで被覆することで構成されている。
【0023】
バックフレーム10は、
図2に示すように、矩形状の枠状体からなり、パイプ材で構成された枠状のメインフレーム11と、メインフレーム11のシート後方に取り付けられる板状のパネルフレーム12と、から主に構成されている。
メインフレーム11の下方部分の外側面には、支持ベース30と連結するための左右の連結ブラケット13が取り付けられている。
連結ブラケット13は、上下方向に延出する弓形状の板状部材からなり、連結ブラケット13の上端がバックフレーム10に取り付けられ、その下端が支持ベース30に取り付けられている。
右側の連結ブラケット13の下端部には、支持ベース30に対してバックフレーム10を回動可能に連結するリクライニング装置40(リクライニング本体41)が取り付けられている。また、左側の連結ブラケット13の下端部には、シート幅方向において支持ベース30に軸支されたバック回動軸42が取り付けられている。
【0024】
バックフレーム10の上面の左側部分には、操作レバー60及びレバー取り付け部材80を上方から取り付けるための取り付けブラケット14が固定されている。
なお、取り付けブラケット14は、バックフレーム10の上面においてシート幅方向の右側部分に固定されていても良いし、バックフレームの裏面に固定されていても良い。あるいは、取り付けブラケット14は、クッションフレーム20の前面に固定されても良い。
【0025】
クッションフレーム20は、
図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるサイドフレーム21と、各サイドフレーム21の前方部分に架設される板状のパンフレーム22(架設フレーム)と、各サイドフレーム21の後方部分を連結するパイプ状の後方連結フレーム23と、パンフレーム22及び後方連結フレーム23に掛け止めされ、シート前後方向に蛇状に延びている複数の弾性バネ24(弾性支持部材)と、から主に構成されている。
【0026】
サイドフレーム21は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
サイドフレーム21の前方部分には、レール装置50と連結するための連結リンク25が取り付けられている。また、サイドフレーム21の後方部分には、バックフレーム10と連結するためのクッション回動軸26が取り付けられている。
連結リンク25は、シート本体(シートクッション2)を車体フロア側に収納させるために回動する部材であって、クッションフレーム20とレール装置50の間に一対となって取り付けられている。
【0027】
支持ベース30は、
図2に示すように、シート本体を支持するベース部材であって、上下方向においてバックフレーム10(連結ブラケット13)とレール装置50(アッパレール52)を連結している。
詳しく述べると、支持ベース30は、シート幅方向の左右側方に配置され、アッパレール52の上面に取り付けられる略L字形状のサイドベース部31と、左右のサイドベース部31を連結するパイプ状のベース連結部32と、を備えている。
【0028】
リクライニング装置40は、
図2に示すように、シート幅方向において右側の連結ブラケット13と右側の支持ベース30(ベース連結部32)の間に配置されている。
リクライニング装置40は、バックフレーム10を回動させるときに駆動するリクライニング本体41と、バック回動軸42と、バック回動軸42を中心としてバックフレーム10を前方回転させるように付勢する渦巻きバネ43と、バックフレーム10のロック状態を解除するために操作される不図示のリクライニング操作レバーと、リクライニング操作レバー及びリクライニング本体41を連結する不図示の連結ワイヤと、から主に構成されている。
【0029】
リクライニング本体41は、公知なロック機構を有し、バックフレーム10の状態を、支持ベース30に対して固定されたロック状態と、支持ベース30に対して回動可能なロック解除状態との間で切り替えることが可能である。
バック回動軸42は、シート幅方向においてバックフレーム10側と支持ベース30側とに軸支されており、渦巻きバネ43は、その一端がバックフレーム10側に係止され、他端が支持ベース30側に係止されている。
なお、不図示の連結ワイヤは、リクライニング操作レバーの操作に牽引されてシートバック1をロック状態からロック解除状態へ切り替えるように作用する。
【0030】
上記構成において、リクライニング装置40は、バックフレーム10を起立姿勢にロックし、リクライニング操作レバーが操作されることでバックフレーム10のロック状態を解除し、渦巻きバネ43の付勢力によってバックフレーム10を前方側に回転させてクッションフレーム20とともに車体フロア側へ折り畳むことができる。
【0031】
レール装置50は、
図1-
図4Cに示すように、シート本体をシート前後方向にスライド移動可能に支持する装置であって、シート本体と車体フロアの間に配置されている。
レール装置50は、車体フロアに固定され、シート前後方向に延びる左右のロアレール51と、ロアレール51に沿って摺動可能に支持される左右のアッパレール52と、ロアレール51に対してアッパレール52を摺動不能にロックする左右のロック部材53と、ロック部材53のロック状態を解除するために操作される操作レバー60と、左右のロック部材53及び操作レバー60を連結する左右の連結ワイヤ54と、を備えている。
【0032】
ロック部材53は、
図3C、
図4Cに示すように、左右のアッパレール52の間に配置されており、ロアレール51に対してアッパレール52を摺動不能にロックするロック位置と、ロック解除位置との間で回動する部材である。
なお、左側のロック部材53が「第1ロック部材53A」に相当し、右側のロック部材53が「第2ロック部材53B」に相当する。
【0033】
ロック部材53は、ロック本体53aと、ロック本体53a及び連結ワイヤ54を連結し、連結ワイヤ54の牽引に伴って回動軸53bを中心として回動する回動レバー53cと、から主に構成されている。
なお、ロック本体53a及び回動レバー53cは、不図示のバネによってロック位置に付勢されている。
【0034】
ロック本体53aは、アッパレール52の内側面に取り付けられており、回動レバー53cの回動動作に伴ってアッパレール52に設けられた係合溝をロアレール51に設けられた係合爪から離脱させるように動作し(回動動作し)、アッパレール52のロック状態を解除することができる。
回動レバー53cは、上下方向に長尺な回転部材であって、アッパレール52の内側面に回動軸53bを介して取り付けられている。そして、連結ワイヤ54の牽引動作をロック本体53aに伝達する伝達部材として機能する。
【0035】
連結ワイヤ54は、
図4A、B、Cに示すように、操作レバー60の回動動作に牽引されて、ロック部材53をロック位置からロック解除位置へ切り替えるように作用する連結部材である。
なお、
図5A、Bに示すように、左側の連結ワイヤ54が「第1連結ワイヤ54A」に相当し、右側の連結ワイヤ54が「第2連結ワイヤ54B」に相当する。
【0036】
連結ワイヤ54は、操作レバー60に取り付けられる一端部54aと、一端部54aから下方へ延びて折り返される部分となる折り返し部と、当該折り返し部からシート前方に延びてロック部材53(回動レバー53c)に取り付けられる他端部54bと、を有している。
詳しく述べると、
図5A、Bに示すように、連結ワイヤ54の一端部54aには、操作レバー60(取り付け部62)に取り付けられるT字形状の連結具55と、レバー取り付け部材80(支持部86)に支持される支持具56と、が取り付けられている。他端部54bについても同様である。
【0037】
<<操作レバー、カバー部材及びレバー取り付け部材>>
操作レバー60は、
図3A~
図6に示すように、レール装置50のロック状態を解除するために回動操作されるレバーであって、シートバック1の上面に取り付けられている。
詳しく述べると、操作レバー60は、シートバック1の上面に設けられたカバー部材70及びレバー取り付け部材80に格納されている。そして、レバー取り付け部材80に対してレバー回動軸90を介して回動可能に取り付けられている。
操作レバー60は、シート前後方向に長尺なレバーであって、その前端部分が「基端部分」に相当し、その後端部分が「先端部分」に相当する。
【0038】
操作レバー60は、
図3Bに示す「通常位置」と、通常位置から回動させた
図4Bに示す「回動位置」との間で回動可能となるように取り付けられている。
なお、操作レバー60は、操作レバー60及びレバー取り付け部材80の間に介在する付勢バネ95によって、回動位置側から通常位置側へ付勢されている。
【0039】
操作レバー60は、
図5A、Bに示すように、操作レバー60の外面を形成し、シート前後方向に湾曲しながら延びている上壁部60aと、上壁部60aの前端部から下方へ延びている前壁部60bと、上壁部60aの左右側方部から下方へ延びており、上壁部60a及び前壁部60bに連結されている左右の側壁部60cと、左右の側壁部60cを連結するとともに、左右の側壁部60cからシート後方に向かって突出している底壁部60dと、上壁部60a及び底壁部60dそれぞれの後方部分を連結する左右の補強壁部60eと、を有している。
また、操作レバー60は、底壁部60dの左右側方部から下方へ突出している左右の第2側壁部60fをさらに有している(
図7参照)。
側壁部60cと第2側壁部60fはシート幅方向で対向する位置に配置されており、側壁部60cは第2側壁部60fよりも外側に配置されている。
【0040】
操作レバー60は、左右の側壁部60cに形成され、各側壁部60cからシート幅方向の外側に向かって突出し、レバー回動軸90を軸支する左右の軸支持部61を有している。
また、操作レバー60は、左側の側壁部60c及び第2側壁部60fにわたって形成され、第1連結ワイヤ54Aの連結具55を取り付けるための第1取り付け部62Aと、右側の側壁部60c及び第2側壁部60fにわたって形成され、第2連結ワイヤ54Bの連結具55を取り付けるための第2取り付け部62Bと、を有している。
また、操作レバー60は、上壁部60aの後端部分からシート後方に突出し、乗員が指を引っ掛けるためのレバー操作部64を有している。レバー操作部64は、カバー部材70の上面に略面一となるように形成されている。
【0041】
左右の軸支持部61は、
図5B、
図11に示すように、シート幅方向に沿ってレバー回動軸90を挿通することが可能な軸支持穴となっている。具体的には、左側の軸支持部61からレバー回動軸90を挿通させることで、左右の軸支持部61がレバー回動軸90を軸支することができる。
なお、軸支持部61は、複数の補強リブによって囲まれていると良い。例えば、補強リブは、側壁部60cから外側に向かって突出し、上壁部60a及び軸支持部61を連結していると良い。
【0042】
第1取り付け部62A(62)は、
図5B、
図7に示すように、上下方向に長尺な楕円形状の取り付け穴であって、第1連結ワイヤ54Aの連結具55を挟み込むようにして保持している。
詳しく述べると、第1取り付け部62A(62)は、側壁部60cに形成された外側貫通穴62aと、第2側壁部60fに形成された内側貫通穴62bとによって、シート前後方向及び下方から連結具55を保持している。
なお、操作レバー60は、第2側壁部60fの後端部に切り欠き形成され、第1取り付け部62Aに第1連結ワイヤ54Aを導き入れるためのワイヤ通し部63(ワイヤ通し穴)をさらに有している。
第2取り付け部62Bについても同様である。
【0043】
カバー部材70は、
図3A~
図6に示すように、操作レバー60を支持するカバープレートであって、レバー取り付け部材80の内部に収容された状態でレバー取り付け部材80に取り付けられている。
具体的には、カバー部材70は、表皮材1bの一部(表皮材1bに形成された開口穴の外周部分)をレバー取り付け部材80とで挟み込むように構成されている。そうすることで、操作レバー60周辺の外観の見栄えが良好になる。
【0044】
カバー部材70は、
図5Bに示すように、その底面が開放された箱形状を有している。
詳しく述べると、カバー部材70は、シート幅方向に所定の間隔を空けて配置された左右の側壁部70aと、左右の側壁部70aの前端部を連結する前壁部70bと、左右の側壁部70aの下端部を連結する底壁部70cと、左右の側壁部70aの上端部及び後端部からシート幅方向の外側へ張り出している左右の側方フランジ部70dと、前壁部70bの上端部からシート前方へ張り出している前方フランジ部70eと、底壁部70cの後端部から下方へ張り出している後方フランジ部70fと、から主に構成されている。
【0045】
カバー部材70の底壁部70cの前方部分には、上下方向に貫通した略矩形状のカバー開口部71が形成されている。
カバー開口部71は、底壁部70cから左右の側壁部70aの下方部分にわたって切り欠き形成された開口穴である。
上記カバー開口部71を通じて、操作レバー60の下方部分がカバー部材70を貫くように組み付けられている。また、レバー回動軸90がカバー部材70を貫くように組み付けられている。
【0046】
カバー部材70は、
図5B、
図6に示すように、左右の側壁部70aから外側に向かって突出し、レバー取り付け部材80(係合穴82)に係合する左右のカバー係合爪72を有している。
また、カバー部材70は、左右の側方フランジ部70dから下方へ突出し、レバー取り付け部材80(係合凹部83)に係合する左右のカバー係合凸部73と、底壁部70cから下方へ突出し、レバー取り付け部材80(第2係合凹部84)に係合する第2カバー係合凸部74と、を有している。
【0047】
上記構成において、
図1に示すように、操作レバー60及びカバー部材70が、シートバック1の外面から一部露出するようにしてバックフレーム10(レバー取り付け部材80)に対して組み付けられている。
そして、操作レバー60がロック位置にいるときに、シートバック1の外面と、操作レバー60の外面と、カバー部材70の外面とが略面一となっている。
そうすることで、乗り物用シートSの意匠性を損なうことなく、シートバック1の上方部分に操作レバー60をコンパクトに配置することができる。
【0048】
レバー取り付け部材80は、
図2、
図5A、B、
図6に示すように、操作レバー60を回動可能に支持する格納プレートであって、バックフレーム10の取り付けブラケット14に一部嵌め込まれて取り付けられている。
【0049】
レバー取り付け部材80は、
図5Bに示すように、その後面が開放された箱形状を有している。
詳しく述べると、レバー取り付け部材80は、シート幅方向に間隔を空けて配置された逆L字形状の左右の側壁部80aと、左右の側壁部80aの前端部を連結する前壁部80bと、左右の側壁部80aの前方部分の下端部を連結する底壁部80cと、左右の側壁部80aの後方部分の下端部を連結する第2底壁部80dと、底壁部80cの後端部及び第2底壁部の前端部を連結する後壁部80eと、を有している。
また、レバー取り付け部材80は、左右の側壁部80aの上端部及び後端部からシート幅方向の外側へ張り出している左右の側方フランジ部80fと、前壁部80bの上端部からシート前方へ張り出している前方フランジ部80gと、をさらに有している。
【0050】
レバー取り付け部材80は、
図5B、
図6に示すように、左右の側壁部80aの前方部分に形成され、レバー回動軸90を軸支する左右の軸支持部81を有している。
また、レバー取り付け部材80は、左右の側壁部70aの後方部分に形成され、カバー部材70(カバー係合爪72)に係合する左右の係合穴82を有している。
また、レバー取り付け部材80は、左右の側方フランジ部80fの上面に形成され、カバー部材70(カバー係合凸部73)に係合する左右の係合凹部83と、第2底壁部80dに形成され、カバー部材70(第2カバー係合凸部74)に係合する第2係合凹部84と、を有している。
【0051】
係合穴82は、側壁部80aにおいてシート前後方向及び上下方向に異なる位置に複数形成されている。
係合凹部83は、側方フランジ部80fにおいてシート前後方向に沿って延びるように形成されている。
第2係合凹部84は、シート幅方向に並ぶように複数形成されている。
なお、カバー係合爪72と係合穴82、カバー係合凸部73と係合凹部83、第2カバー係合凸部74と第2係合凹部84それぞれについて互いに係合可能な形状を有していれば良く、任意の係合手段によって係合させることが可能である。
【0052】
<<共通の開口部、第1支持部、第2支持部>>
レバー取り付け部材80は、
図6~
図8に示すように、後壁部80eにおいてシート前後方向に貫通した略矩形状の開口部85を有している。
開口部85は、上下方向に長尺な開口穴であって、第1連結ワイヤ54Aを第1取り付け部62Aに導き入れるとともに、第2連結ワイヤ54Bを第2取り付け部62Bに導き入れるために形成された「共通の開口部」に相当する。
【0053】
また、レバー取り付け部材80は、底壁部80cに形成され、第1連結ワイヤ54Aの支持具56を支持するための第1支持部86Aと、第2連結ワイヤ54Bの支持具56を支持するための第2支持部86Bと、第1連結ワイヤ54Aを第1支持部86Aに導き入れるとともに、第2連結ワイヤ54Bを第2支持部86Bに導き入れるために形成された共通のガイド穴87と、を有している。
【0054】
ガイド穴87は、
図8に示すように、底壁部80cの後端部から前方へ向かって切り欠くことで形成され、開口部85から第1支持部86A及び第2支持部86Bへの通路を形成している。
詳しく述べると、ガイド穴87は、開口部85から連続して開口部85よりも幅狭となるように形成される第1穴部87aと、第1穴部87aから連続して形成され、第1穴部87aから分岐して第1支持部86A及び第2支持部86Bそれぞれに向かって延びている左右の第2穴部87bと、を有している。
左右の第2穴部87bは、それぞれ操作レバー60の動作方向とは交差する方向に沿って延びている。
【0055】
第1支持部86Aは、第1連結ワイヤ54Aの支持具56を挟み込むようにして保持する支持穴である。
また、第2支持部86Bは、第2連結ワイヤ54Bの支持具56を挟み込むようにして保持する支持穴である。
第1支持部86A、第2支持部86Bは、シート幅方向に並ぶ位置に配置されており、レバー取り付け部材80において左右対称となる位置に配置されている。
【0056】
<<連結ワイヤの組み付け方法>>
次に、操作レバー60に対し連結ワイヤ54を組み付ける方法について、
図9A~
図9Cに基づいて説明する。
【0057】
図9Aは、操作レバー60、カバー部材70、レバー取り付け部材80及びレバー回動軸90が組み付けられた状態を説明する図である。カバー部材70については省略している。
図9Bは、
図9Aの状態から操作レバー60(取り付け部62)に連結ワイヤ54(連結具55)を組み付けた状態を示す図である。
図9Cは、
図9Bの状態からレバー取り付け部材80(支持部86)に連結ワイヤ54(支持具56)を取り付けた状態を示す図である。
【0058】
最初に、作業者が、操作レバー60の第1取り付け部62Aに対し第1連結ワイヤ54Aの連結具55を後方から組み付ける工程(ステップS1)を行う(
図9A参照)。
詳しく説明すると、まず、第1連結ワイヤ54Aの連結具55を、操作レバー60のうち、第1取り付け部62A及び第2取り付け部62Bの間に位置する空間Rに移動させる(ステップS1-1)。
このとき、第1連結ワイヤ54A(連結具55)は、レバー取り付け部材80の開口部85を通過することで操作レバー60に到達することができる。
また、連結具55が、操作レバー60の空間Rに設けられたガイド部材65に当接することで、シート前後方向における連結具55の位置決めがなされる。
ガイド部材65は、操作レバー60の前壁部60bに組み付けられ、シート後方に向かって突出する突出部材である。ガイド部材65は、第1取り付け部62A及び第2取り付け部62Bの間の中央位置に配置されている。
なお、ガイド部材65の変形例として、
図10に示すように、ガイド部材65が横断面略U字形状の突出部材であっても良い。すなわち、ガイド部材65が、左右の側壁部と、当該左右の側壁部を連結し、連結具55に当接する当接壁部と、から構成されていても良い。
【0059】
そして、
図9Bに示すように、第1連結ワイヤ54A及び連結具55をそのまま操作レバー60の幅方向の外側へ移動させる(ステップS1-2)。
このとき、第1連結ワイヤ54Aは、操作レバー60のワイヤ通し部63を通過するために、シート前後方向に長尺な向きで移動させる必要がある。そうすることで、第1連結ワイヤ54Aがワイヤ通し部63を通過し、かつ、連結具55が内側貫通穴62bを通過することができる。
連結具55は、側壁部60c(外側貫通穴62a)及び第2側壁部60f(内側貫通穴62b)の両方に差し込まれた状態となり、第1連結ワイヤ54Aの一端部は、側壁部60c及び第2側壁部60fの間の空間R2に位置する状態となる。
【0060】
そして、
図9Bに示すように、第1連結ワイヤ54Aの連結具55を第1取り付け部62Aに組み付ける(ステップS1-3)。
具体的には、連結具55をやや下方へ差し込ませて、連結具55を外側貫通穴62a及び内側貫通穴62bによって保持させた状態にする。
【0061】
その後、
図9Cに示すように、作業者が、レバー取り付け部材80の第1支持部86Aに対し第1連結ワイヤ54Aの支持具56を後方から組み付ける工程(ステップS2)を行う。
詳しく説明すると、まず、連結具55を支点として第1連結ワイヤ54Aを下方へ回転させて、レバー取り付け部材80(第1支持部86A)に向けて移動させる(ステップS2-1)。
このとき、支持具56は、レバー取り付け部材80の開口部85を通過することで第1支持部86Aに向かって移動することができる。
【0062】
そして、
図9Cに示すように、支持具56をガイド穴87の内部に挿入する(ステップS2-2)。
このとき、第1連結ワイヤ54Aをレバー取り付け部材80の幅方向中央位置側へ傾けることで、支持具56をガイド穴87(第1穴部87a)内に差し込むことができる。
【0063】
そして、支持具56を第1支持部86Aに組み付ける(ステップS2-3)。
具体的には、支持具56をガイド穴87(第2穴部87b)によってガイドされながら、第1支持部86A(第1支持穴)内に差し込む。そうすることで、支持具56が、第1支持部86Aによってシート前後方向で挟み込まれた状態となる。
【0064】
その後、作業者が、操作レバー60の第2取り付け部62Bに対し第2連結ワイヤ54Bの連結具55を後方から組み付ける工程(ステップS3)を行う。
そして、作業者が、レバー取り付け部材80の第2支持部86Bに対し第2連結ワイヤ54Bの支持具56を後方から組み付ける工程(ステップS4)を行う。
上記ステップS1~S4を経て、一連の作業工程を終了する。
【0065】
上記連結ワイヤ54の組み付け方法であれば、シンプルな構造で第1連結ワイヤ54A、第2連結ワイヤ54Bを容易に組み付けることができ、また第1連結ワイヤ54A、第2連結ワイヤ54Bを安定して組み付けることができる。
【0066】
そのほか、上記構成において、
図7に示すように、操作レバー60の第1取り付け部62A、第2取り付け部62Bが、開口部85幅方向において開口部85の両縁よりも内側に配置されており、かつ、開口部85の上縁よりも下方位置に配置されている。
また、第1取り付け部62A、第2取り付け部62Bが、操作レバー60において左右対称となる位置に配置されている。
そうすることで、第1連結ワイヤ54A、第2連結ワイヤ54Bを外側から開口部85を通じて目視確認し易くなる。そのため、組み付け構造をより簡素化することができる。
【0067】
上記構成において、
図7、
図8、
図9Cに示すように、第1取り付け部62Aと第1支持部86Aは、第1連結ワイヤ54A及び第2連結ワイヤ54Bの並び方向において重なる位置に配置されており、かつ、操作レバー60の動作方向において重なる位置に配置されている。
また、第2取り付け部62Bと第2支持部86Bについても、上記並び方向において重なる位置に配置されており、かつ、操作レバー60の動作方向において重なる位置に配置されている。
そのため、操作レバー60、レバー取り付け部材80及び複数の連結ワイヤ54の組み付け構造をシンプルなものにできる。また、操作レバー60による第1連結ワイヤ54A、第2連結ワイヤ54Bの操作効率を高めることもできる。
【0068】
<<移動規制部>>
レバー取り付け部材80は、
図6、
図11に示すように、左右の側壁部80aの外側面に形成され、レバー回動軸90の軸方向の一端部に当接可能な位置に設けられ、レバー回動軸90が軸支された位置から移動することを規制する左右の移動規制部88を有している。
詳しく述べると、レバー取り付け部材80は、側壁部80aの外側面から外側へ突出し、側壁部80aの外側面において互いに交差するように延びている第1補強部89A及び第2補強部89Bを有している。
そして、移動規制部88は、上下方向に延びる第1補強部89Aと、前後方向に延びる第2補強部89Bが連結された連結部89Cに一体的に取り付けられている。
なお、移動規制部88は、連結部89Cの周辺部分に取り付けられていても良い。
【0069】
移動規制部88は、連結部89Cを基端部とし、当該基端部からレバー回動軸90の端部に向かって突出する板バネであって、レバー回動軸90を着脱可能となるように支持するものである。
移動規制部88は、レバー取り付け部材80の連結部89Cから前方に向かって延出している第1延出部88aと、第1延出部88aの延出端部から第1延出部88aの延出方向とは交差する方向(上方向)に延出する第2延出部88bと、第2延出部88bからレバー回動軸90に向かって突出し、レバー回動軸90の一端部に当接する当接部88cと、を有している。
【0070】
第1延出部88aは、
図11に示すように、第2延出部88bよりも幅広となるように形成されている。
第2延出部88bは、第1延出部88aの延出端部を支点として撓むように変形可能となっている。
当接部88cは、第2延出部88bの延出端部から第2延出部88bの延出方向とは交差する方向(直交する方向)に突出し、レバー回動軸90の軸頭部92に当接している。
【0071】
レバー回動軸90は、
図11に示すように、レバー取り付け部材80(軸支持部81)の内部に挿通された状態で支持される長尺な軸本体部91と、軸本体部91の軸方向の一端部に設けられ、軸支持部81の開口部に当接する軸頭部92と、を有している。
移動規制部88(当接部88c)は、軸頭部92の端面(厳密には、端面の外周部分)に当接することで、レバー回動軸90の移動を規制している。
【0072】
上記構成において、移動規制部88は、レバー回動軸90の軸方向の両端部に対応する位置にそれぞれ設けられている。
そして、
図11に示すように、移動規制部88(当接部88c)は、レバー回動軸90の軸方向で見たときに軸頭部92と重なる位置に配置される一方で、軸本体部91とは重ならない位置に配置されている。
そのため、移動規制部88は、レバー回動軸90の一端部(軸頭部92側の端部)に当接する一方で、レバー回動軸90の他端部(軸本体部91側の端部)には当接しない構成となる。
そうすることで、レバー回動軸90をレバー取り付け部材80(軸支持部81)内に組み付けるときに、レバー回動軸90の他端部が意図せず移動規制部88に当接してしまうことを避けることができる。つまりは、レバー回動軸90の組み付け構造を簡素化することができる。
【0073】
上記構成において、
図11に示すように、移動規制部88をレバー回動軸90の軸方向で見たときに第1延出部88aの延出端部と、当接部88cとが、レバー回動軸90の軸心を間に挟む位置に配置されている。
そうすることで、レバー回動軸90の一端部に対し移動規制部88を撓ませ易くすることができる。すなわち、レバー回動軸90を組み付けるときには、移動規制部88を撓ませて一時的に退避させることが容易になる。
そのため、レバー回動軸90を容易に組み付けることができ、また組み付け後のレバー回動軸90の抜け止めも防止することができる。
【0074】
上記構成において、
図11に示すように、付勢バネ95は、レバー回動軸90に取り付けられており、レバー回動軸90の軸方向の両端部のうち、移動規制部88が当接する一端部側の位置に配置されている。
そうすることで、レバー回動軸90の他端部側の位置と比較して、付勢バネ95をより安定させて配置することができる。
なお、付勢バネ95は、レバー回動軸90の周辺位置に取り付けられていても良い。
【0075】
上記構成において、
図6に示すように、移動規制部88は、レバー取り付け部材80の外側面において複数の係合穴82とは異なる位置に配置されている。
そうすることで、レバー取り付け部材80にカバー部材70(カバー係合爪72)を組み付けるときに、移動規制部88とカバー係合爪72が干渉してしまうことを抑制することができる。
【0076】
上記構成において、
図6に示すように、第1補強部89A及び第2補強部89Bが連結されているほか、第1補強部89Aは側方フランジ部80fと連結されており、第2補強部89Bも側方フランジ部80fと連結されている。
また、第1補強部89A及び第2補強部89Bは、複数の係合穴82を囲むように配置されている。
そうすることで、レバー取り付け部材80の剛性を高めることができる。特に、係合穴82、移動規制部88の剛性を高めることができる。
【0077】
上記構成において、
図6に示すように、レバー取り付け部材80は、側壁部80aの外側面から外側へ突出し、上下方向に延びている補強リブ89D、89Eを有している。
補強リブ89D、89Eは、前後方向に間隔を空けて配置されている。補強リブ89Dは、軸支持部81と連結されており、補強リブ89Eは、第2補強部89Bと連結されている。
そうすることで、レバー取り付け部材80のうち、レバー回動軸90の周辺部分の剛性を高めることができる。
【0078】
上記構成において、
図11に示すように、第1補強部89A及び第2補強部89Bの突出量は、移動規制部88の突出量よりも大きくなっている。
そうすることで、移動規制部88の剛性を高めることができる。
【0079】
上記構成において、カバー係合爪72が係合穴82に係合したときに、カバー係合爪72の先端部が、移動規制部88よりも外側に突出している。
そうすることで、カバー部材70及びレバー取り付け部材80の組み付け剛性を高めることができる。
【0080】
上記構成において、
図11に示すように、移動規制部88は、第1補強部89A、第2補強部89Bそれぞれの延出方向に沿って延びている。言い換えれば、移動規制部88は、第1補強部89A、第2補強部89Bそれぞれに並ぶように配置されている。
また、移動規制部88の基端部は、レバー回動軸90の一端部に近接した位置に配置されている。
そうすることで、移動規制部88の剛性をより高めることができる。
【0081】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の乗り物用シートS2について、
図12、
図13に基づいて説明する。
なお、上述の乗り物用シートS1と重複する内容については説明を省略する。
乗り物用シートS2では、乗り物用シートS1と比較してカバー部材70を備えておらず、カバー部材70及びレバー取り付け部材80が一体化されたレバー取り付け部材180を備えている点が主に異なっている。
乗り物用シートS2は、シートバック102の上面に設けられたレバー取り付け部材180と、レバー取り付け部材180にレバー回動軸190を介して回動可能に取り付けられる操作レバー160と、を備えている。
【0082】
操作レバー160は、レール装置150のロック状態を解除するために操作されるレバーであって、レバー取り付け部材180に直接格納されている。
操作レバー160は、レバー回動軸190を軸支する軸支持部と、第1連結ワイヤ154Aの一端部を取り付ける第1取り付け部162Aと、第2連結ワイヤ154Bの一端部を取り付ける第2取り付け部162Bと、を有している。
【0083】
レバー取り付け部材180は、操作レバー160を回動可能に支持する格納プレートであって、バックフレーム110の取り付けブラケットに一部嵌め込まれて取り付けられている。
レバー取り付け部材180は、その底面が開放された箱形状を有している。
詳しく述べると、レバー取り付け部材180は、左右の側壁部180aと、前壁部180bと、底壁部180cと、後壁部180eと、左右の側方フランジ部180fと、前方フランジ部180gと、を有している。
【0084】
レバー取り付け部材180は、左右の側壁部180aの前方部分に形成され、レバー回動軸90を軸支する左右の軸支持部181(軸支持穴)を有している。
また、レバー取り付け部材180は、底壁部180cにおいて上下方向に貫通した略矩形状の開口部185を有している。
また、レバー取り付け部材180は、左右の側壁部180aの外側面に形成され、レバー回動軸190の軸方向の一端部に当接可能な位置に設けられ、レバー回動軸190の移動を規制する左右の移動規制部188を有している。
【0085】
上記構成において、
図13に示すように、側壁部180aが、連結ワイヤ154の一端部(連結具155)を外側から覆わないように配置されている。言い換えれば、レバー回動軸190の軸方向で見たときに、側壁部180aと、連結ワイヤ154の一端部とが重ならないように配置されている。
そうすることで、連結ワイヤ154の組み付け状態を容易に確認することができる。
【0086】
上記構成の変形例として、
図14、
図15に示すように、側壁部180aが、レバー回動軸190を外側から覆うように配置され、かつ、連結ワイヤ154の一端部(連結具155)を外側から覆うように配置されていても良い。
具体的には、レバー取り付け部材180が、側壁部180aの前方部分から下方へ垂れ下がる垂れ下げ部180hをさらに有していても良い。垂れ下げ部180hが、連結ワイヤ154の一端部を外側から覆うとともに、連結具155の位置を規制していると良い。
そうすることで、構成部品数を増やすことなく、シンプルな構成で連結ワイヤ154(連結具155)の位置を規制することができる。また、連結具155を容易に組み付けることができる。
好ましくは、垂れ下げ部180hが、屈曲形状を有し、連結具155に向かって内側へ屈曲していると良い。そうすることで、側壁部180aの肉厚を厚くすることなく、垂れ下げ部180hが連結具155を好適に位置規制できる。また、垂れ下げ部180hの剛性を向上させることもできる。
なお、
図14に示すように、レバー取り付け部材180は、左右の側壁部180aの外側面に形成され、バックフレーム110(取り付けブラケット)に設けられた被係合部に係合するフレーム係合部180iを有している。そのため、バックフレーム110に対してレバー取り付け部材180を容易に組み付けることができる。
【0087】
上記構成において、
図13に示すように、操作レバー160の一部(下端部)が、レバー取り付け部材180に形成された開口部185を通過して第1連結ワイヤ154A及び第2連結ワイヤ154Bに向かって下方へ突出している。
そうすることで、操作レバー160、レバー取り付け部材180及び複数の連結ワイヤ154をコンパクトに配置することができる。
また、操作レバー160に対し第1連結ワイヤ154A、第2連結ワイヤ154Bを組み付ける作業が容易になる。
【0088】
上記構成において、
図12に示すように、レバー取り付け部材180は、シートバック101の外面から一部露出するようにしてバックフレーム110(取り付けブラケット)に取り付けられている。
そうすることで、例えば、バックフレーム110上に取り付けられるレバー取り付け部材180と、シートバック101の外面から一部露出しているカバー材(ベゼル)とを一体化させることができる。そうすることで、構成部品数を低減することが可能となる。
【0089】
上記構成において、例えば、バックフレーム110が、第1連結ワイヤ154Aを支持する第1支持部(第1支持部86Aに相当)と、第2連結ワイヤ154Bを支持する第2支持部(第2支持部86Bに相当)と、を有していると良い。
そして、第1取り付け部162Aと第1支持部が、第1連結ワイヤ154A及び第2連結ワイヤ154Bの並び方向において重なる位置に配置され、かつ、操作レバー160の動作方向において重なる位置に配置されていると良い。
第2取り付け部162Bと第2支持部についても、上記並び方向において重なる位置に配置され、かつ、操作レバー160の動作方向において重なる位置に配置されていると良い。
そうすれば、操作レバー160、レバー取り付け部材180及び複数の連結ワイヤ154をコンパクトに配置することができる。
また、レバー取り付け部材180に対し第1連結ワイヤ154A、第2連結ワイヤ154Bを組み付ける作業が容易になる。
【0090】
<その他の別実施形態>
上記実施形態において、シート本体の「移動状態」が、「スライド移動状態」に相当するものとして説明されているが、特に限定されるものではない。
例えば、「移動状態」が、シート本体(シートバック)を所定位置まで後傾させた「リクライニング状態」に相当するものであっても良い。あるいは、シート本体を車体フロア側へ収納させた「収納状態」、シート本体(シートバック)を所定位置まで跳ね上げた「チップアップ状態」に相当するものであっても良い。
また例えば、乗り物用シートSがハイトリンク装置を備えているならば、「移動状態」とは、シート本体の高さ位置を変更させた「高さ変更状態」であっても良い。
また例えば、乗り物用シートSがオットマン装置を備えているならば、「移動状態」とは、シート本体の一部となる脚支持部材を展開させた「オットマン展開状態」であっても良い。
【0091】
上記実施形態において、
図2に示すように、乗り物用シートSが、リクライニング装置40、レール装置50を備えているが、特に限定されることなく、リクライニング装置40を不要としても良い。あるいは、レール装置50を不要としても良い。
リクライニング装置40を不要とした場合には、乗り物用シートSがレール装置50を備えていると好ましい。
レール装置50を不要とした場合には、乗り物用シートSがリクライニング装置40を備えていると好ましい。このとき、リクライニング操作レバーが「操作レバー」に相当し、リクライニング本体が「ロック部材」に相当すると良い。また、乗り物用シートSの移動状態が「リクライニング状態」に相当すると良い。
【0092】
上記実施形態において、レール装置50における左側のロック部材53が「第1ロック部材」に相当し、右側のロック部材53が「第2ロック部材」に相当するものであるが、特に限定されるものではない。
例えば、「第1ロック部材」がリクライニング装置40のリクライニング本体41に相当し、「第2ロック部材」がレール装置50のロック部材53に相当するものとしても良い。
また例えば、「第1ロック部材」がリクライニング装置40のリクライニング本体41に相当し、「第2ロック部材」が不図示のハイトリンク装置のロック部材に相当するものとしても良い。
【0093】
上記実施形態において、乗り物用シートS(レール装置50)が、複数のロック部材53、複数の連結ワイヤ54を有しているが、特に限定されるものではない。
例えば、レール装置50は、1つのロック部材53、1つの連結ワイヤ54を有しているものであっても良い。
【0094】
上記実施形態において、
図1に示すように、操作レバー60は、シートバック1の上面の左側部分に取り付けられているが、特に限定されず変更可能である。
例えば、操作レバー60が、シートバック1の上面の右側部分に取り付けられていても良いし、シートバック1の左外側面、右外側面又は後面に取り付けられていても良い。
また例えば、操作レバー60が、シートクッション2の前面、底面又は後面に取り付けられていても良い。あるいは、シートクッション2の左外側面又は右外側面に取り付けられていても良い。
【0095】
上記実施形態において、
図3A、Bに示すように、操作レバー60がシート前後方向に長尺なレバーであって、その前端部分(基端部分)においてレバー回動軸90が軸支されているが、特に限定されず変更可能である。
例えば、操作レバー60の後端部分にレバー回動軸90が軸支されていても良い。その場合には、操作レバー60の後端部分が「基端部分」に相当し、その前端部分が「先端部分」に相当することになる。
また例えば、操作レバー60がシート幅方向に長尺なレバーであって、そのシート幅方向の一端部分においてシート前後方向に長尺なレバー回動軸90が軸支されていても良い。その場合には、操作レバー60の一端部分が「基端部分」に相当し、その他端部分が「先端部分」に相当することになる。
【0096】
上記実施形態において、
図11に示すように、移動規制部88は、レバー取り付け部材80に一体的に形成された可撓性を有する板バネであるが、特に限定されず変更可能である。
例えば、移動規制部88が、レバー取り付け部材80に別途取り付けられ、ヒンジ機構を有するヒンジ部材であっても良い。当該構成であっても、移動規制部88が、レバー回動軸90を着脱可能に支持することができる。
また例えば、移動規制部88が、スライド機構を有する部材であっても良い。当該構成であっても、移動規制部88が、レバー回動軸90を着脱可能に支持することができる。
【0097】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、特に限定されることなく、二輪車用の二輪シート、電車やバス等の車両用シート、飛行機や船等の乗り物用シートのほか、作業用の事務イス、車イス、ショッピングカートの子供用イス等の種々のシートに対して利用することができる。
【0098】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0099】
S、S2 乗り物用シート
Sa シートフレーム
1、101 シートバック
1a、2a、3a パッド部材
1b、2b、3b 表皮材
2、102 シートクッション
3 ヘッドレスト
10、110 バックフレーム
11 メインフレーム
12 パネルフレーム
13 連結ブラケット
14 取り付けブラケット
20 クッションフレーム
21 サイドフレーム
22 パンフレーム
23 後方連結フレーム
24 弾性バネ
25 連結リンク
26 クッション回動軸
30 支持ベース
31 サイドベース部
32 ベース連結部
40 リクライニング装置
41 リクライニング本体
42 バック回動軸
43 渦巻きバネ
50、150 レール装置
51 ロアレール
52 アッパレール
53 ロック部材
53A 第1ロック部材
53B 第2ロック部材
53a ロック本体
53b 回動軸
53c 回動レバー
54、154 連結ワイヤ(連結部材)
54A、154A 第1連結ワイヤ
54B、154B 第2連結ワイヤ
54a 一端部
54b 他端部
55、155 連結具
56 支持具
60、160 操作レバー(レール操作レバー)
60a 上壁部
60b 前壁部
60c 側壁部
60d 底壁部
60e 補強壁部
60f 第2側壁部
61、161 軸支持部
62、162 取り付け部
62A、162A 第1取り付け部
62B、162B 第2取り付け部
62a 外側貫通穴
62b 内側貫通穴
63 ワイヤ通し部
64 レバー操作部
65 ガイド部材
70 カバー部材
70a 側壁部
70b 前壁部
70c 底壁部
70d 側方フランジ部
70e 前方フランジ部
70f 後方フランジ部
71 カバー開口部
72 カバー係合爪(係合部)
73 カバー係合凸部
74 第2カバー係合凸部
80、180 レバー取り付け部材
80a、180a 側壁部
80b、180b 前壁部
80c、180c 底壁部
80d 第2底壁部
80e、180e 後壁部
80f、180f 側方フランジ部
80g、180g 前方フランジ部
180h 垂れ下げ部
180i フレーム係合部
81、181 軸支持部
82 係合穴(被係合部)
83 係合凹部
84 第2係合凹部
85、185 開口部
86 支持部
86A 第1支持部
86B 第2支持部
87 ガイド穴(ガイド部)
87a 第1穴部
87b 第2穴部
88、188 移動規制部
88a 第1延出部
88b 第2延出部
88c 当接部
89A 第1補強部
89B 第2補強部
89C 連結部
89D、89E 補強部
90、190 レバー回動軸
91 軸本体部
92 軸頭部
95 付勢バネ(付勢部材)
R、R2 空間