IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

特開2023-83071電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械
<>
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図1
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図2
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図3
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図4
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図5
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図6
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図7
  • 特開-電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083071
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
E02F9/16 Z
E02F9/16 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197189
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 伸広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕介
(72)【発明者】
【氏名】的野 晶高
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祐介
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EA02
2D015EC01
(57)【要約】
【課題】本発明は、建設機械に搭載する電子装置の排熱性を確保した電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電子装置支持構造は、建設機械の操縦室2に備えられたシートの後方において下方構造物との間に空間を有するように配置され、電子装置を収容している筐体21を備え、筐体21は、筐体21の1つ以上の側壁部29、及び筐体21の下壁部22が、通気口43及びファン42から各々選択される何れか一方をそれぞれ有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の操縦室に備えられたシートの後方において下方構造物との間に空間を有するように配置され、電子装置を収容している筐体を備え、
前記筐体は、前記筐体の1つ以上の側壁部、及び前記筐体の下壁部が、通気口及びファンから各々選択される何れか一方をそれぞれ有している電子装置支持構造。
【請求項2】
建設機械の操縦室に備えられたシートの後方に配置されている筐体を備え、
前記筐体内には、電子装置をそれぞれ含む第1電子装置群及び第2電子装置群が水平方向に間隙を有して配置され、
前記筐体の何れかの壁部の前記間隙が面する部位に、通気口及びファンの何れか一方、及び前記筐体の前記第1電子装置群が隣接する第1壁部、及び前記第2電子装置群が隣接する第2壁部のそれぞれに何れか他方が設けられている電子装置支持構造。
【請求項3】
前記筐体内には、第1電子装置群及び第2電子装置群が前記操縦室の水平方向に間隙を有して配置され、
前記筐体の何れかの壁部の前記間隙が面する部位に、通気口及びファンの何れか一方、及び前記筐体の前記第1電子装置群が隣接する第1壁部、及び前記第2電子装置群が隣接する第2壁部のそれぞれに何れか他方が設けられている、請求項1に記載の電子装置支持構造。
【請求項4】
前記通気口は、前記第1壁部及び前記第2壁部にそれぞれ設けられており、
前記ファンは、前記間隙が面する部位を含む壁部の中央領域に1つ設けられている、請求項2又は3に記載の電子装置支持構造。
【請求項5】
前記筐体は、前記筐体内にエアが流れる経路を画定して前記通気口に導く気流調整部材を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の電子装置支持構造。
【請求項6】
前記筐体は、前記筐体の前壁部に開閉可能な開閉部を有している、請求項1~5の何れか一項に記載の電子装置支持構造。
【請求項7】
前記筐体は、前記筐体の上面又は下面に段差を有している、請求項1~6の何れか一項に記載の電子装置支持構造。
【請求項8】
前記筐体は、前記電子装置が搭載される載置部を前記筐体内に備える、請求項1~7の何れか一項に記載の電子装置支持構造。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の電子装置支持構造を備える建設機械であって、
前記電子装置は遠隔操作用電子装置である、建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置を建設機械に支持する電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に示されているように、建設機械等の車両を遠隔操作する遠隔操作装置に関する発明がなされている。このような遠隔操作では、オペレータは建設機械から送信される建設機械の周囲の映像を見ながら遠隔操作を行う。遠隔操作される建設機械と、オペレータが操作する遠隔操作装置との間は、建設機械の周囲の映像、建設機械の作動状況データ、遠隔操作装置からの操作信号等のデータが無線通信により互いに送受信されて、建設機械が遠隔操作される。
【0003】
遠隔操作される建設機械には、遠隔操作通信用の電子装置が装着される。特許文献2に示される建設機械においては、電子装置の搭載後においても操縦者が実際に建設機械に搭乗して操縦することを考慮し、操縦者の操縦の邪魔にならないように、電子装置を運転シートの後方に後付けしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-150931号公報
【特許文献2】特開2020-084651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運転室のシートとシートの後方の壁部との間の空間は非常に限られた空間であり、作動中の電子装置が発する熱の排熱性を確保して搭載することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、建設機械に搭載する電子装置の排熱性を確保した電子装置支持構造、及びその電子装置支持構造を備える建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子装置支持構造は、建設機械の操縦室に備えられたシートの後方において下方構造物との間に空間を有するように配置され、電子装置を収容している筐体を備え、筐体は、筐体の1つ以上の側壁部、及び筐体の下壁部が、通気口及びファンから各々選択される何れか一方をそれぞれ有している。
【0008】
本発明の電子装置支持構造は、電子装置を収容する筐体は、下方構造物との間に空間を有するように配置され、筐体は、筐体の1つ以上の側壁部、及び筐体の下壁部が、通気口及びファンから各々選択される何れか一方をそれぞれ有している。そのため、下壁部と下方構造物との間に空間があるため、下壁部に設けられた通気口又はファンを通るエアが下壁部と対面する下方構造物により邪魔されず、筐体の内部と外部との間で、少ない流体抵抗で効率よく通気することができる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、電子装置が発する熱の排熱性を確保することができる。
【0009】
本発明の電子装置支持構造は、建設機械の操縦室に備えられたシートの後方に配置されている筐体を備え、筐体内には、第1電子装置群及び第2電子装置群が水平方向に間隙を有して配置され、筐体の何れかの壁部の間隙が面する部位に、通気口及びファンの何れか一方、及び筐体の第1電子装置群が隣接する第1壁部、及び前記第2電子装置群が隣接する第2壁部のそれぞれに何れか他方が設けられている。
【0010】
本発明の電子装置支持構造は、第1電子装置群及び第2電子装置群が水平方向に間隙を有して配置され、筐体の何れかの壁部の間隙が面する部位に、通気口及びファンの何れか一方が設けられている。そのため、本発明の電子装置支持構造は、筐体の内部と外部との間で、少ない流体抵抗で効率よく通気することができる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、電子装置が発する熱の排熱性を確保することができる。
【0011】
本発明の電子装置支持構造の筐体内には、第1電子装置群及び第2電子装置群が水平方向に間隙を有して配置され、筐体の何れかの壁部の間隙が面する部位に、通気口及びファンの何れか一方、及び筐体の第1電子装置群が隣接する第1壁部、及び前記第2電子装置群が隣接する第2壁部のそれぞれに何れか他方が設けられている。
【0012】
本発明の電子装置支持構造は、第1電子装置群及び第2電子装置群が水平方向に間隙を有して配置され、筐体の何れかの壁部の間隙が面する部位に、通気口及びファンの何れか一方が設けられている。したがって、本発明の電子装置支持構造は、筐体の内部と外部との間で、少ない流体抵抗で効率よく通気することができる。
【0013】
本発明の電子装置支持構造の通気口は、左壁部及び右壁部にそれぞれ設けられており、ファンは、間隙が面する部位を含む壁部の中央領域に1つ設けられている。
【0014】
本発明の電子装置支持構造では、ファンと通気口とは、互いの面が角度を有する異なる壁部にそれぞれ設けられている。そのため、ファンと通気口との何れか一方から排出された高温のエアが他方から再度吸入されて冷却効率が低下する可能性が低減できる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、電子装置を効率的に冷却することができる。
【0015】
本発明の電子装置支持構造の筐体は、筐体内にエアが流れる経路を画定して通気口に導く気流調整部材を有している。
【0016】
本発明の電子装置支持構造の筐体が気流調整部材を有しているため、筐体内において効率的にエアを流すことができる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、電子装置を効率的に冷却することができる。
【0017】
本発明の電子装置支持構造の筐体は、前壁部に開閉可能な開閉部を有している。
【0018】
本発明の電子装置支持構造における筐体の前壁部が有する開閉部は、筐体を取付けたままの状態で開閉できる。それにより、メンテナンス作業者は筐体を建設機械から外さずに筐体の内部を視認し、電子機器の状態を確認することができる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、容易に電子機器のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
本発明の電子装置支持構造の筐体は、筐体の上面又は下面に段差を有している。
【0020】
本発明の電子装置支持構造の筐体は、筐体の上面又は下面に段差を有している。そのため、筐体は筐体の上下寸法の外寸、及び内寸がそれぞれ異なる部分を有している。そのため、大きい電子機器は筐体内の大きい内寸の部分に収容することができる。また、外寸が小さい部分を設けることにより、内寸が大きい部分を有しながらも筐体が占めるスペースを最小限にすることができる。
【0021】
本発明の電子装置支持構造の筐体は、電子装置が搭載される載置部を筐体内に備えている。
【0022】
本発明の電子装置支持構造の筐体は、載置部を筐体内に備えている。そのため、本発明の電子装置支持構造は、大きさが異なる複数の電子機器を筐体内のスペースに適切な間隔で固定でき、筐体内を効率よく流れるエア流路を確保することができる。
【0023】
本発明の建設機械は、上記に記載された電子装置支持構造を備える建設機械であり、上記電子装置は遠隔操作用電子装置である。
【0024】
本発明の建設機械は、遠隔操作用電子装置の取り付けに際し、上記電子装置支持構造により、排熱性を確保しながら遠隔操作用電子装置を取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態に係る操縦室の斜視図である。
図2図1の操縦室の左側面図である。
図3図1の操縦室の上面図である。
図4】本発明の実施の形態の電子装置収容モジュールの前面図である。
図5図4の電子装置収容モジュールが有する筐体の斜視図である。
図6図4の電子装置収容モジュールが有する固定要素の斜視図である。
図7図4の気流調整部材を示すA部の部分拡大図である。
図8図4の筐体の前壁部が省略された状態を示した前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照しながら、本発明に係る電子装置支持構造、及び電子装置支持構造を備える建設機械の実施の形態を説明する。建設機械は、遠隔操作用の電子装置が備えられており、実機に人が搭乗せずにオペレータにより遠隔にて操作が可能である。建設機械は、遠隔操作支援サーバ、及び遠隔操作装置と相互にネットワーク通信可能に構成されている。なお、遠隔操作支援サーバ、及びオペレータが操作する遠隔操作装置については、その構成も含めて図示を省略する。
【0027】
遠隔操作支援サーバは、建設機械と遠隔操作装置との間に接続されており、建設機械を遠隔操作するための演算処理を行う装置である。遠隔操作支援サーバは、演算処理装置、及びデータベースを含む記憶装置を備えている。演算処理装置は、記憶装置から必要なデータ、及びソフトウェアを読み取り、当該データを対象として、当該ソフトウェアにしたがって演算処理を実行する。
【0028】
遠隔操作装置は、オペレータが搭乗して建設機械を遠隔操作する装置である。遠隔操作装置は、遠隔制御装置、遠隔入力インターフェース、及び遠隔出力インターフェースを備えている。遠隔制御装置は、演算処理装置、及び記憶装置を備えており、遠隔操作装置における操作入力、及び建設機械からの映像を含む信号出力に関する演算処理を実行する。遠隔入力インターフェースは、オペレータが操作する遠隔操作機構を備えている。遠隔出力インターフェースは、オペレータが認識する遠隔画像出力装置、及び遠隔音響出力装置、並びにデータを送受信する遠隔無線通信機器を備えている。オペレータは、遠隔操作装置から出力される建設機械の周囲の画像、及び音を認識しながら、遠隔操作機構に設けられている各種レバーを操作して、建設機械を遠隔操作する。
【0029】
図1図3を参照して、建設機械のキャブ1を説明する。建設機械の全体は図示しないが、シート後方にシート後方空間が設けられているキャブを備えた建設機械であれば、建設機械の種類を問わず本発明が適用可能である。建設機械は、例えばクローラショベルが挙げられる。又は、クレーン、油圧ブレーカ、ニブラー、解体機等の各種建設機械に適用可能である。建設機械は、クローラ式の下部走行体、及び下部走行体上に旋回可能に搭載されている上部旋回体を備えている。上部旋回体の前方中央部には、ブーム、アーム、及びバケット等を含む作業機構が設けられている。また、上部旋回体の前方左側部には、キャブ1が設けられている。建設機械は、遠隔操作用の電子装置が備えられて遠隔操作できる状態で、操縦者が搭乗して操縦することが可能に構成されている。なお、以下の説明において、各部材等の前後、左右、及び上下方向は、操縦室2の各方向と同じ向きを示すものとする。
【0030】
図1は、キャブ1の左側部が省略された操縦室2を示す斜視図である。図2は、図1の操縦室2の左側面図である。図3は、図1の操縦室2の屋根が省略された状態の上面図である。
【0031】
キャブ1は、上部旋回体のフレーム上に配置されている。キャブ1は複数の板状部材が組み合わされて、全体として箱状に形成されている。キャブ1は、床部3、操縦室前部4、操縦室後部5、操縦室左側部6、操縦室右側部7、及び屋根部8を有している。操縦室左側部6には、操縦者が建設機械に乗降するために、図示しないドアが設けられている。図1は、操縦室2内を理解しやすいように、キャブ1の操縦室左側部6が省略されている。また、操縦室前部4、操縦室後部5、操縦室左側部6、及び操縦室右側部7のそれぞれには、窓9が1つ以上設けられている。操縦室後部5に設けられている窓9は、操縦室2の後方を視認する他に、非常時、例えば建設機械が横転した時に操縦室2から操縦者が脱出するための緊急脱出口を兼ねている。
【0032】
キャブ1にはシート11が設けられており、キャブ1の左右方向で略中央、前後方向で若干後ろ寄りに配置されている。シート11は、遠隔操作可能に構成されている建設機械において、操縦者が搭乗して建設機械を操縦する場合に利用される。シート11は、座部12、背もたれ部13、座部12の左右にそれぞれ設けられているアームレスト14、14を有している。背もたれ部13は、座部12と連結されている背もたれ部13の下端部を中心に、座部12に対し直立状態から前後にそれぞれ所定範囲で角度調整可能である。例えば、背もたれ部13は、操縦者運転しやすいような姿勢をとるために、直立状態から後ろ側に倒すことができる。また、背もたれ部13はシート11の後方の機器、又は構造物のメンテナンス、及び脱着がやりやすいように、直立状態から前側に倒すことができる。
【0033】
左右アームレスト14、14の前側には、それぞれ操作レバー15、15が設けられている。操作レバー15、15により、建設機械の各種操作、例えば上部旋回体の旋回操作、ブーム操作、アーム操作、バケット操作等が行われる。また、シート11の前方に、左右それぞれのクローラに対応した走行レバー16が配置されている。操縦者が建設機械
に搭乗する場合は、これらの操作装置を操作して建設機械を操縦する。
【0034】
シート11と、シート11の後方に配置されている後方構造物との間に、シート後方空間17が形成されている。シート11の後方に配置されている後方構造物とは、例えばキャブ1の内外壁を構成している操縦室後部5である。又は、建設機械によっては、操縦室後部5の他にシート11の後方に壁状の構造物が配置されている場合は、その構造物は後方構造物となり得る。後方構造物とは、シート11との間、かつ後述する下方構造物の上方にシート後方空間17を形成し得るものである。シート後方空間17には、建設機械の遠隔操作を行うための電子装置を収容している電子装置収容モジュール20が設けられている。
【0035】
シート後方空間17には、床部3の上に、構造物19が配置されている。また、構造物19の上には、ヒューズボックス18が配置されている。下方構造物は、ヒューズボックス18、構造物19、床部3等が含まれる。下方構造物は、シート後方空間17に設置される筐体21の下方に位置する構造物であり、筐体21がそれらの上に空間を有して支持される対象物である。筐体21は、その上面が窓9の下端部の高さと同じか、低くなるように支持されている。
【0036】
図4図6を参照して、電子装置収容モジュール20を説明する。図4は、電子装置収容モジュール20の前面図である。図5は、電子装置収容モジュール20が有する筐体21の斜視図である。なお、図5では、筐体21の上面と前面、及び収容されている電子装置が省略されて示されている。図6は、電子装置収容モジュール20が有する固定要素50の斜視図である。
【0037】
電子装置収容モジュール20は、シート11と後方構造物との間のシート後方空間17において、電子装置を収容する筐体21、及び筐体21の下方に存在する下方構造物との間に空間を有して支持するための固定要素50を備えている。
【0038】
筐体21は複数の板状部材により箱状に形成されている部材であり、筐体21の内部と外部を当該板状部材により仕切ることにより筐体21の内部に粉塵等が侵入しないようにするために設けられる。筐体21は、下壁部22、上壁部23、及び複数の側壁部29により、略直方体形状に形成されており、側壁部29は、第1壁部、第2壁部、第3壁部、及び第4壁部を有している。筐体21は、シート後方空間17において、筐体21の長手方向を操縦室2の左右方向に沿って配置されている。筐体21は、筐体21の下側、及び後ろ側に固定要素50が接続されている。また、筐体21は、筐体21の上側に操縦室2の前方を撮像する撮像装置10が配置されている。
【0039】
筐体21は、筐体21の下側を画定している下壁部22、上側及び前側を画定している上前壁部28、後ろ側を画定している後壁部24、左側を画定している左壁部25、及び右側を画定している右壁部26を有している。前述した第1壁部から第4壁部は、前後左右の各側壁部29の何れかに対応する。例えば、第1壁部は左壁部25、第2壁部は右壁部26、第3壁部は上前壁部28の前壁部27、及び第4壁部は後壁部24である。又は、第1壁部は左壁部25、第2壁部は前壁部27、第3壁部は右壁部26、及び第4壁部は後壁部24であってもよい。又は、第1壁部は左壁部25、第2壁部は後壁部24、第3壁部は右壁部26、及び第4壁部は前壁部27であってもよい。
【0040】
図4図5を参照して、下壁部22を説明する。下壁部22の下面の左端部と右端部とには、固定要素50の上端がそれぞれ固定されている。下壁部22は下壁部22の左端部と右端部との間の中央領域の左側に段差部31が設けられている。下壁部22は、段差部31を境にして、右側に上板部32、及び左側に下板部33を有している。上板部32、及び下板部33は、それぞれ板状の部材である。上板部32、及び下板部33は互いの上面及び下面を平行にして、上板部32は下板部33に対し高い位置に設けられている。上記構造により、下壁部22の下面(筐体21の外側)、及び上面(筐体21の内面側)は、それぞれ段差を有している。
【0041】
下壁部22の上板部32が下板部33に比べて高く形成されているため、下壁部22が下板部33のみにより形成されている場合に比べて、筐体21の上板部32によって下壁部22をかさ上げして生じた部分に、筐体21の下壁部22のかさ上げ容積分の空間が設けられている。筐体21の下側には、建設機械のヒューズボックス18が設けられている。周知のとおり、ヒューズの点検、及び交換がメンテナンス作業として行われる。本発明の電子装置支持構造は、メンテナンス作業者が筐体21の下側に容易に手を入れることが可能な構造とすることができる。よって、本発明の電子装置支持構造は、高いメンテナンス性を確保することができる。
【0042】
下壁部22の下板部33が上板部32に比べて低く形成されているため、筐体21の内部側の下壁部22の上面の一部の高さを上板部32に比べて低く形成でき、その分、筐体21の内部空間を大きくすることができる。また、筐体21の内部の上下寸法を大きくすることができるので、筐体21の内部空間の上下方向に広い部分における電子装置のレイアウトの自由度を高めることができる。例えば、比較的高さ寸法が大きいPCの収容寸法を確保できるとともに、必要に応じて取り付けるPCの脱着を容易にすることができる。また、筐体21内部に配置されている電子装置のメンテナンスを、より容易にすることができる。よって、本発明の電子装置支持構造は、筐体21の内部空間の電子装置のレイアウトの自由度を高めることができ、高いメンテナンス性を確保することができる。
【0043】
下壁部22は、下壁部22の左端部と右端部との間の中央領域、かつ上板部32の左端部にエアを送風するファン42が1つ設けられている。ファン42は、筐体21の外部である上板部32の下側の空間のエアを筐体21の内部に吸気する。ファン42には、フィルタが設けられている。なお、ファン42が有するモータの回転方向を変え、筐体21内部のエアを、筐体21の外部である上板部32の下側の空間に排気する構成とすることもできる。
【0044】
図1及び図4を参照して、上前壁部28を説明する。上前壁部28は、上壁部23、及び前壁部27を有している。上壁部23、及び前壁部27は、筐体21の上部(上面)、及び前部(前面)をそれぞれ画定している部材である。上壁部23、前壁部27は、それぞれ個々に形成され得るが、本実施の形態では、上壁部23、及び前壁部27の端部同士が接続され、上前壁部28として一体的に形成されている。上前壁部28の上には、撮像装置10が設置されている。撮像装置10は操縦室2内から操縦室2の前方を撮像する。撮像装置10が撮像する画像は、遠隔操作装置に送信される。オペレータは、遠隔操作装置が受信して表示した画像を視認しながら、建設機械の遠隔操作を行う。そのため、オペレータが前方を視認しやすいように、撮像装置10は撮像装置10のレンズの高さが着座した操縦者の目の高さとほぼ同じになるように上壁部23の上、かつ中央に設置されている。
【0045】
前壁部27は、前壁部27において、上半分に設けられている第1前壁部35、及び下半分に設けられている第2前壁部36を有している。第1前壁部35、及び第2前壁部36は、それぞれの左右寸法が同じであり、また筐体21の左右寸法に略等しい長辺を有する長方形状の板状部材で形成されている。第1前壁部35、及び第2前壁部36は、両者の外面同士が所定の角度をもった状態で、上壁部23の前方の長辺と第1前壁部35の上側の長辺とが接続され、その状態で筐体21に取付けられている。
【0046】
一体的に形成されている上前壁部28は、上前壁部28の左端、及び右端にそれぞれ複数が設けられている図示しない固定孔とボルトとにより、左壁部25、及び右壁部26に固定されている。上前壁部28は、ボルトを緩めて筐体21から取り外すことができる。筐体21の上側、及び前側を閉塞している上前壁部28は、一体的に形成されているため、1つの部材である上前壁部28のみを取り外すことで、筐体21の上側と前側とを一度に開けることができる。したがって、筐体21の内部を容易に視認し、メンテナンスすることができる。
【0047】
上前壁部28は、第2前壁部36の外面が垂直よりやや上向きに向いた状態で筐体21に取付けられている。上壁部23と第1前壁部35とがなす所定の角度の範囲は、100°~140°であり、例えば120°である。また、第1前壁部35と第2前壁部36とがなす所定の角度の範囲は、130°~170°であり、例えば150°である。上記各所定の角度は、シート11の背もたれ部13の形状、及び大きさ、シート後方空間17の形状、及び大きさ等により、適宜決定される。第1前壁部35が鉛直線に対し角度を持った傾斜面に形成されていることで、シート11の背もたれ部13を後方に倒した時に、第1前壁部35が傾斜面に形成されていない場合に比べ、背もたれ部13が筐体21に干渉せずに倒れる角度を大きくすることができる。そのため、建設機械に搭乗する操縦者は、背もたれ部13の角度を最適な操縦姿勢に調整することができる。
【0048】
第1前壁部35には、開閉部37が設けられている。開閉部37は、第1前壁部35の一部を容易に開口状態にする部材である。開閉部37は、蝶番38と、蝶番38により開閉自在に保持されている開閉板39とを有している。蝶番38は、点検口41が設けられた第1前壁部35の点検口41の左側の隣接部位に固定されている。メンテナンス作業者は、開閉板39を開くことで、筐体21内部の点検口41付近に配置されている電子装置の信号送受信状態を示すランプ類等を容易に視認することができる。したがって、開閉部37が設けられていることで、筐体21のメンテナンス作業を容易にすることができる。
【0049】
図4図5を参照して、左壁部25、及び右壁部26を次に説明する。筐体21の左側、及び右側にそれぞれ配置されている左壁部25、及び右壁部26は、筐体21の左右方向中心に対し、互いに対称に形成されている。両者は、下壁部22、上前壁部28、後壁部24の各左側端部、又は各右側端部と、それぞれ図示しない固定部材で固定されている。左壁部25、及び右壁部26には、左壁部25、及び右壁部26の下端領域、かつ前後方向の中央領域に、それぞれ通気口43が有する開口部が設けられている。通気口43の開口部は、前後方向に細長い長方形状の孔であり、前後方向長さは、左壁部25、及び右壁部26の約1/3に形成されている。
【0050】
図7を参照しながら、筐体21が備え、左壁部25、及び右壁部26の各内面に、それぞれ設けられている気流調整部材45を説明する。図7は、図4のA部を拡大した部分拡大図である。通気口43は開口部であり、左壁部25、及び右壁部26に設けられている。また、気流調整部材45は通気口43を覆うように左壁部25、及び右壁部26の各内面に設けられている。気流調整部材45は、通気口43を通って筐体21の外部から内部に入り込む粉塵、異物等の侵入を低減し、通気口43へエアが効率よく流れるようにする部材である。気流調整部材45は、板部材を折り曲げ加工して形成された断面U字形状の部材である。気流調整部材45は、左壁部25、及び右壁部26の各内面にそれぞれ固定され、断面U字形状の気流調整部材45と、左壁部25、又は右壁部26の各内面とで、上下方向にエアが流れるエア流路を形成している。
【0051】
気流調整部材45の内側の前後方向寸法は、通気口43の前後方向寸法以上となるように形成されている。気流調整部材45の内側の前後方向寸法は、通気口43の前後方向寸法の1倍~2倍であり、例えば同じ寸法である。気流調整部材45の上下方向寸法は、通気口43の上下方向寸法の2倍~4倍であり、例えば3倍である。したがって、気流調整部材45は、左壁部25、及び右壁部26の各内面において、通気口43の全体を覆っている。
【0052】
気流調整部材45は、上方部46、中間部47、及び下方部48を有しており、一体的に形成されている。上方部46は、上部が開口されて筐体21の内部に連通している部材である。中間部47は、上方部46と接続しており、筐体21の内部と連通せず、左壁部25、及び右壁部26の各内面とで流路を形成している。下方部48は、中間部47と接続され、下部が開口されて筐体21の内部に連通している部材である。また、下方部48は、筐体21の側面視で、左壁部25、及び右壁部26の内面の、通気口43と少なくとも一部が重なった位置にそれぞれ設けられており、下方部48の内側のエア流路は、通気口43を介して筐体21の外部と連通している。
【0053】
図5を参照して、後壁部24を説明する。後壁部24は、筐体21の後面を閉塞している部材である。後壁部24の後面には、遠隔操作用の2つのコントローラ89、89がそれぞれ後壁部24と接して横並びで固定されている。なお、コントローラ89が別の部位に配置され、後壁部24に後述する筐体固定部材が直接固定されていてもよい。
【0054】
図4、及び図6を参照して、固定要素50を説明する。固定要素50は、筐体21を後方構造物である操縦室後部5に固定し筐体21を側面から保持する筐体固定部51、及び筐体21を下側から保持する脚部65を有している。
【0055】
筐体固定部51は、第1部材52、第2部材53、及び第3部材54を有している。第1部材52は、筐体21の後壁部24に固定されているコントローラ89、89のそれぞれの後面に密着して固定されて、後方構造物である操縦室後部5に固定される第2部材53、及び第3部材54が接続される部材である。第1部材52は板状部材から形成された長方形状の部材であり、第1部材52の長辺及び短辺の各寸法は、後壁部24の長辺及び短辺の各寸法とほぼ同じである。第1部材52は、第1部材52の上端部、及び下端部に隣接して、ねじ孔が水平方向一列にそれぞれ4つずつ設けられており、ボルトにより後壁部24と固定される。第1部材52の上端部は、第1部材52の面に対して直角に折り返されており、第1部材水平部55が形成されている。なお、コントローラ89、89は、筐体21と接して配置されている必要はないため、コントローラ89、89は筐体21から離れた部位に固定されていてもよい。その場合、第1部材52は、後壁部24に直接固定される。
【0056】
第2部材53は、第1部材52と後方構造物である操縦室後部5とを第1部材52の上側で連結している部材である。第2部材53の左右方向寸法は第1部材52の左右方向寸法とほぼ同じであり、第2部材53は長方形の板状部材の長手方向を左右方向になるように配置され、左右方向に平行な折れ線にて折り曲げ加工されて形成されている。第2部材53は、第2部材水平部56、第2部材傾斜部57、及び第2部材垂直部58を、筐体21側から操縦室後部5側に向かってその順序で有している。第2部材水平部56は、第1部材水平部55と互いの面を接して取り付けられており、両者に設けられた複数のボルト孔にてボルトナットで固定されている。第2部材垂直部58は、複数のボルト孔が設けられており、後方構造物である操縦室後部5にボルトナットで固定されている。第2部材傾斜部57は、第2部材水平部56と、第2部材垂直部58との間で両者を連結している。
【0057】
第3部材54は、第1部材52と後方構造物である操縦室後部5とを第1部材52の下側で連結している部材である。第3部材54は長方形の板状部材の長手方向を左右方向になるように配置され、左右方向に平行な折れ線にて折り曲げ加工されて形成されている。第3部材54は、第3部材前面部61、図示されない第3部材中間部62、及び第3部材後面部63を、筐体21側から操縦室後部5側に向かってその順序で有している。第3部材前面部61の左右方向寸法は、第1部材52の左右方向寸法とほぼ同じである。第3部材前面部61は、第1部材52の下端部に、第1部材52と互いの面を接して取り付けられており、両者に設けられた複数のボルト孔にてボルトナットで固定されている。なお、図4及び図6の他に、図2には第3部材前面部61、第3部材中間部62、及び第3部材後面部63が示されている。
【0058】
第3部材後面部63は、複数のボルト孔が設けられており、後方構造物である操縦室後部5にボルトナットで固定されている。第3部材中間部62は、第3部材前面部61と、第3部材後面部63との間で両者を連結している。第3部材中間部62、及び第3部材後面部63の左右方向寸法は、第1部材52の左右方向寸法の約半分であり、第3部材前面部61から第3部材中間部62の接続部で幅方向寸法が滑らかに変化して形成されて接続されている。第3部材中間部62、及び第3部材後面部63は、第3部材中間部62、及び第3部材後面部63のそれぞれの右端の左右方向位置を、第1部材52の右端の左右方向位置と略合わせて配置されている。
【0059】
なお、上記説明において、第3部材中間部62、及び第3部材後面部63の左右方向寸法は、操縦室後部5の固定部位の大きさの制約上から筐体21の左右方向寸法の約半分に形成されているが、適宜変更してもよい。両者の左右方向寸法は、より大きく形成してもよく、例えば、両者の左右方向寸法を第1部材52の左右方向寸法とほぼ同じ寸法に形成してもよい。その場合、重量物である筐体21を後方構造物である操縦室後部5に、より確実に固定できるので、建設機械の作業中に筐体21に繰り返し振動が加わっても、より確実に筐体21の固定状態を維持することができる。
【0060】
図4、及び図6を参照して、脚部65を説明する。脚部65は筐体21が下方構造物との間に空間を有するように筐体21の下側を支えている部材である。脚部65は、筐体21の下面に接続されている第4部材72、第4部材72と筐体固定部51とを接続している第5部材73、第4部材72の下面に接続されている第6部材74、及び第6部材74に上端が接続されて筐体21を所定の高さに保持する第7部材75を有している。
【0061】
第4部材72は、第4部材水平部80、第4部材水平部80の両端部にそれぞれ設けられている第4部材垂直部81、第4部材垂直部81の第4部材水平部80と反対側の端部にそれぞれ設けられている第4部材固定部82を有している。第4部材水平部80は前後寸法が一定、かつ左右寸法は筐体21の左右寸法と略同じ大きさの板状部材である。2つの第4部材垂直部81は同じ大きさ、同じ形状である。第4部材垂直部81は左右方向に平行な側面視において、約45°で交差した略L字形状の部材である。それぞれの第4部材垂直部81の下端部は第4部材水平部80の両端部に固定されている。第4部材垂直部81の上端部には、それぞれ第4部材固定部82が接続されている。第4部材固定部82は、第4部材垂直部81に対して直角方向に延びており、水平な平面部分を形成している。第4部材固定部82はボルト等の固定部材が設けられており、下壁部22の左右方向両端部の下面にそれぞれ接続されている。
【0062】
筐体21の下側には、筐体21の下面に隣接して空間101が設けられている。筐体21の下側には、第4部材72が筐体21の下側の空間101を囲うように設けられている。空間101の水平方向の面積は、筐体21の下面の水平方向の面積とほぼ同じの面積である。筐体21の下側に空間101が設けられていることで、下壁部22に設けられているファン42に隣接する部材はない。そのため、ファン42による筐体21への吸気、又は筐体21からの排気が他の部材に邪魔されずに効率よく行うことができる。また、図2に示されているように、筐体21の空間101を隔てた下側には、建設機械が備えるヒューズボックス18が配置されている。筐体21の下側に空間101が形成されていることで、作業者がヒューズボックス18のメンテナンスを容易に行うことができる。空間101は、ファン42が位置する筐体21の下面の中央領域を含んでいる。また、空間101の水平方向の面積は、筐体21の下面の水平方向の面積の少なくとも半分以上である。
【0063】
第5部材73は、第4部材72と筐体固定部51とを接続する板状部材である。第5部材73は、第5部材73の一方端が両方の第4部材垂直部81にそれぞれ接続されており、他方端が筐体固定部51の下端部の第3部材54の左端部及び右端部にそれぞれ接続されている。
【0064】
第6部材74は、第4部材72の下面に固定されて第7部材75を保持している部材である。第6部材74は略長方形状の板状部材であり、両方の長辺の端部はそれぞれ直角に折り曲げられて形成されている。第6部材74の折り曲げられた一方の端部は第4部材72の下面に接続されており、第6部材74は第4部材72に対して垂直に固定されている。
【0065】
第7部材75は第6部材74に固定されて筐体21を所定の高さに保持する部材である。第7部材75は断面の外形が円形で中実の長手部材が2本組み合わされて構成されている。第7部材75は、第7部材上部76、第7部材中間部77、第7部材下部78、及び連結部79を有している。
【0066】
第7部材75は2本の同じ部材が組み合わせられて構成されている。第7部材上部76、及び第7部材下部78は、略直線状に形成されている。両者をつなぐ第7部材中間部77は、前面視で略U字形状に形成されている。第7部材中間部77の上端部周辺は、側面視において、第7部材下部78側から後方に90°曲げられ、第7部材中間部77の上端部が上方を向くように再度上方に曲げられている。第7部材75の2本の部材は、両者の第7部材中間部77のU字形状の凸部が互いに接近するように組み合わされ、連結部79がその部分を連結している。第7部材下部78のそれぞれの下端部には板状の固定部が設けられており、床部3にボルトで固定されている。なお、第7部材75は中実の部材に替えて、中空の円管部材でもよい。この場合、中実に比べて加工が容易であり、軽量化、及び低コスト化することができる。
【0067】
図5、及び図8を参照して、筐体21内の構造を説明する。筐体21は、筐体21に収容する電子装置を効率よく収容できるように、筐体21の内部に載置部88、及び固定板87を備えている。載置部88は、電子装置を支持する部材であり、第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、及び第3支持部材84、84を有している。固定板87は、載置部88の一端部を支持して固定している板状の部材である。固定板87は、第2支持部材86、86のそれぞれの一方端を固定している。固定板87は、略長方形状の板状部材であり、下壁部22の上側部32上に垂直に取り付けられている。固定板87は、左壁部25から筐体21の左右方向寸法の約2/3~3/4の位置に左壁部25と平行に設けられている。
【0068】
第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、及び第3支持部材84、84は、筐体21内において電子装置を支持している長手部材である。第1支持部材85、85、及び第2支持部材86、86は、例えば、断面L字形状の長手のアングル材であり、長手の板状部材が長手方向に平行な1本の折れ線で直角に折り曲げられて形成されている。第1支持部材85、85、及び第2支持部材86、86は、同じ部材がそれぞれ必要な長さに形成されている。第3支持部材84、84は、例えば、断面がU字形状又はC字形状の長手のチャンネル材であり、長手の板状部材が長手方向に平行な2本の折れ線で両端部が折り曲げられて形成されている。
【0069】
第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、及び第3支持部材84、84は、それぞれが有する平板部分の全長に渡り一定間隔で、電子装置の固定用ボルト孔である丸孔が設けられている。第1支持部材85、85、及び第2支持部材86、86は、断面L字形状を構成しており、筐体21内で水平にして配置されている平板部分の全長に渡って丸穴を有している。また、第3支持部材84、84は、断面がU字形状又はC字形状のチャンネル材の溝底を構成しており、筐体21内で水平にして配置されている平板部分の全長に渡って丸孔が設けられている。第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、及び第3支持部材84、84が、それぞれ固定用ボルト孔である複数の丸孔をほぼ全長に渡って有していることで、電子装置の取り付け個所を選択でき、かつ容易に取付けられる。その結果、電子装置を筐体21内のエアが効率的に流れる流路を形成するような配置にすることができる。なお、固定用ボルト孔は丸穴の替わりに長孔でもよい。固定用ボルト孔が長孔の場合は、電子装置の取り付け位置の微調整が容易にできるので、丸穴に比べ、より取り付け自由度を増すことができる。
【0070】
2本の第1支持部材85、85は、左壁部25、及び右壁部26の対向する面の間において、互いに平行、かつ同じ高さで差し渡されて、各々の一方の平面部を水平にした状態で固定されている。2本の第1支持部材85、85が固定されている高さは、下壁部22の上側部32と上壁部23との間の上側から約1/5~約1/4の高さである。2本の第1支持部材85、85は、両者の間隔をできるだけとるように、後ろ側の第1支持部材85は後壁部24にほぼ接する位置、前側の第1支持部材85は左壁部25、及び右壁部26の前端側に隣接する位置に、それぞれ固定されている。
【0071】
2本の第2支持部材86、86は、固定板87、及び左壁部25の対向する面の間において、互いに平行、かつ同じ高さで差し渡されて、各々の一方の平面部を水平にした状態で固定されている。2本の第2支持部材86、86が固定されている高さは、2本の第1支持部材85、85より低い位置であり、下壁部22の上側部32と上壁部23との間の約1/2~約1/3の高さである。2本の第2支持部材86、86は、両者間の間隔をできるだけとれるように、後ろ側の第2支持部材86は後壁部24にほぼ接する位置、前側の第2支持部材86は固定板87、及び右壁部26の前端側に隣接する位置に、それぞれ固定されている。
【0072】
2本の第3支持部材84、84は、それぞれ下壁部22の上側部32上の前端、及び後端において、右壁部26と段差部31との間全体に渡って、左右方向に平行に固定されている。第3支持部材84、84は、U字形状又はC字形状の開口部分を下側にし、丸孔が設けられている平面部を上側にして固定されている。なお、第3支持部材84、84は、下壁部22上の他の位置、例えば下側部33上に固定されていてもよく、上記位置の第3支持部材84、84の他に、追加されて設けられていてもよい。
【0073】
第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、及び第3支持部材84、84は、筐体21の内部において、高さ方向で異なる電子装置の搭載位置である、上段、中段、及び下段を構成している。筐体21は、筐体21の左側部(左壁部25側)に上段、中段、及び下段をそれぞれ有し、中央部にファン42の直上の間隙102以外の上段、及び中段をそれぞれ有し、右側部(右壁部26側)に上段、及び下段をそれぞれ有している。上段、中段、及び下段は、例えば次のような電子装置の配置とすることができる。上段は、小型の電子装置を搭載する。中段は、ファン42の直上の間隙102を確保しながら、電子装置を搭載する。下段は、配置する電子機器の中で比較的大きな電子機器を搭載する。上記配置方法は、ファン42の直上の間隙102を確保でき、比較的大きく重い電子装置を下壁部22上に確実に固定でき、また比較的小型の電子装置を脱着しやすい筐体21の上段、及び中段に固定できる。さらに、上記配置方法は、上段、及び中段において電子装置同士の間に間隙を確保してエアが流れる流路を形成できる。なお、搭載する電子装置の種類、及び数に応じて、第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、及び第3支持部材84、84の本数、上下方向位置、及び前後方向の各固定位置は適宜変更可能である。
【0074】
図8を参照しながら、筐体21内の電子装置の配置を説明する。右壁部26の内側には、右壁部26と間隙をあけて第2電子装置群99が配置されている。前記間隙は、気流調整部材45で画定される空間部分も含んでいる。第2電子装置群99は、例えばスイッチングハブ90、90である。右壁部26と固定板87との間には、スイッチングハブ90、90が長手方向を前後方向に沿って、かつ両者を平行にして配置されている。スイッチングハブ90、90は、下壁部22の上側部32に取付けられている2本の第3支持部材84、84上に差し渡って取り付けられている支持板83の上に固定されている。支持板83は、2本の第3支持部材84、84への固定用のボルト穴である丸穴、及びスイッチングハブ90、90の固定用のボルト穴である丸穴が設けられており、図示されない固定部材で第3支持部材84、84上に固定されている。また、スイッチングハブ90、90は、図示されない固定部材で支持板83に固定されている。スイッチングハブ90、90が長手方向を前後方向に沿った向きに配置され、スイッチングハブ90、90の前面が筐体21の前壁部27側に位置している。そのため、前壁部27に設けられている開閉板39を開けた時に、スイッチングハブ90、90の作動ランプ類が視認できるので、スイッチングハブ90、90の作動状況を容易に把握することができる。第2電子装置群99に含まれる電子装置は、複数ではなく1つの場合も含み、本明細書における第2電子装置群99とは、1つ以上の電子装置を表すものとする。なお、第2電子装置群99に含まれる電子装置は、単品では耐環境性(排熱、防塵)を満たさない電子機器が含まれる。
【0075】
筐体21内の左壁部25の内側、かつ第2支持部材86、86上には、左壁部25と間隔をあけて、第1電子装置群98が配置されている。前記間隙は、気流調整部材45で画定される空間部分も含んでいる。第1電子装置群98は、例えばエンコーダ91である。第1電子装置群98に含まれる電子装置は、複数ではなく1つの場合も含み、本明細書における第1電子装置群98とは、1つ以上の電子装置を表すものとする。なお、第1電子装置群98に含まれる電子装置は、単品では耐環境性(排熱、防塵)を満たさない電子機器が含まれる。
【0076】
また、第1電子装置群98の別な例として、PC92が筐体21内に搭載され得る。図8には、筐体21に搭載されるPC92が破線で示されている。PC92は筐体21内の何れの場所に搭載されていてもよいが、PC92は、筐体21内の上下方向寸法が大きく形成されている筐体21の右側部の、下壁部22の下側部33の上に載せられると設置しやすい。PC92は、下側部33上の左壁部25に隣接した位置に、左壁部25と間隔をあけて、2本の第2支持部材86、86の間に挟まれるようにして配置される。PC92がその位置に搭載される場合は、エンコーダ91は、上記と異なる位置に固定される。第2電子装置群99は、左壁部25に隣接して配置されている電子装置、例えばエンコーダ91、又はPC92である。
【0077】
右壁部26に隣接した第1支持部材85、85には、右壁部26と間隔をあけて、LANリレー93が第1支持部材85、85の上側に固定されている。また、固定板87に隣接した第2支持部材86、86には、固定板87と若干の間隔をあけて、第2支持部材86、86の上側に音声エンコーダ95、第2支持部材86、86の下側にビデオエンコーダ96が固定されている。第1支持部材85、85には、筐体21の左右方向の略中央に、固定板87と間隔をあけて、アンプ94が第1支持部材85、85の下側に固定されている。
【0078】
各電子装置は、必要に応じて支持板83のような板状の長手部材を介して第1支持部材85、85、第2支持部材86、86、又は第3支持部材84、84に固定されている。下壁部22の下側部33の前側には、コネクタ97が配置されている。図8では、配線類は省略されているが、筐体21内の電子装置は、コネクタ97を介して筐体21外と電気的に接続されている。
【0079】
図8を参照して、筐体21内の電子装置を冷却するエアの流れの一例を説明する。図8には、主要なエアの流れ、すなわちエア流路が矢印で示されている。下壁部22の中央領域であり、下壁部22の上側部32の筐体21の中央寄りの位置にはファン42が固定されている。また、左壁部25、及び右壁部26には、通気口43が設けられている。ファン42の回転方向は、下壁部22の空間101から筐体21の内部にエアを取り入れるように設定されている。それにより、ファン42はシート11と、後方構造物とにより挟まれた、粉塵が比較的入りにくい空間から取り入れることができる。したがって、ファン42は、粉塵が比較的少ないエアを筐体21の内部に取り入れることができる。なお、ファン42の回転方向は上記と逆回転でも可能であり、ファン42の回転方向は筐体21の内部から外部へエアを排出するように設定することができる。
【0080】
ファン42から取り入れられたエアは、ファン42の直上の間隙102を通り、ファン42の直上のビデオエンコーダ96、音声エンコーダ95、及びアンプ94の前後左右の間隙を通って上方に流れる。また、エアの一部は、筐体21の前面部27に沿って筐体21の右方向に流れ、スイッチングハブ90、90の前面を通りながら上方に移動する。また、エアの一部は、筐体21の前面部27に沿って筐体21の左方向に流れ、エンコーダ91、又はPC92の前面、及び後面を通りながら上方に移動する。上方に移動したエアは、左方向、又は右方向に流れながら接触するLANリレー93を冷却し、筐体21の左壁部25、又は右壁部26に到達する。その後は、それぞれの気流調整部材45を通り、通気口43から排出される。
【0081】
すなわち、下壁部22に設置されたファン42を通って筐体21内に入ったエアが間隙102を通り、筐体21の左右方向の中央部から左壁部25、及び右壁部26に向けて両方向に分かれて流れるエア流路が形成されている。気流調整部材45と、左壁部25又は右壁部26との間のそれぞれの空間は、エア流路の一部を形成している。筐体21内に設けられている電子装置は、エアが流れる経路中に配置されている。第1電子装置群98は左壁部25周辺に配置されており、ファン42から左壁部25へと流れるエア流路の経路中に配置されている。また、第2電子装置群99は右壁部26周辺に配置されており、ファン42から右壁部26へと流れるエア流路の経路中に配置されている。これにより、特に発熱量が大きい電子装置を離間して分散配置するとともに、それぞれを別なエア流路中に配置することで効率よく冷却することができる。
【0082】
上記に説明した実施の形態によれば、第1電子装置群98および第2電子装置群99を収容する筐体21の内部と外部との間で、少ない流体抵抗で効率よく通気することができる。したがって、単品では耐環境性(排熱、防塵)を満たさない電子機器を配置することにより、電子機器に耐環境性(排熱、防塵)を満たさせることができる。
【0083】
上記に説明した実施の形態について、その一部を以下の変形例に置き換えることができる。
【0084】
筐体21は、略直方体形状であり、筐体21の長手方向を操縦室2の左右方向に沿って形成されている構成を説明した。これに替えて、筐体21は、筐体21の長手方向を操縦室2の前後方向に沿って形成されていてもよい。また、筐体21は、前後寸法と左右寸法が略同じ略立方体形状であってもよい。上記に記載した筐体21が略直方体形状で長手方向が左右方向の場合、略直方体形状で長手方向が前後方向の場合、及び略立方体形状の何れの筐体形状においても、第1電子装置群98、及び第2電子装置群99は、左右方向に沿って配置される他、前後方向に沿って配置されていてもよい。又は、両者が互いに前後方向及び左右方向の両方でずれて配置、すなわち両者を通る直線が前後方向及び左右方向の何れでもないような配置でもよい。例えば、筐体21内を上面視で見た場合、第1電子装置群98が左前に配置され、第2電子装置群99が右後ろに配置されていてもよい。又は、第1電子装置群98が左後ろに配置され、第2電子装置群99が右前に配置されていてもよい。
【0085】
筐体21は、下壁部22にファン42を有し、左壁部25、及び右壁部26に通気口43を有する構成を説明した。又は、ファン42は、下壁部22、左壁部25、右壁部26、後壁部24、上壁部23、及び前壁部27の何れか1つ以上に配置されていてもよい。この場合、ファン42は、壁部の筐体21内に形成されている間隙102に接する部位に設けられる。このため、筐体21の内部と外部との間で効率的に通気ができる。又、通気口43は、ファン42が配置されていない壁部であって、下壁部22、左壁部25、右壁部26、後壁部24、上壁部23、及び前壁部27の何れか1つ以上に配置されていてもよい。上記のファン42と通気口43との配置のバリエーションは、1つ前の段落で説明した各筐体形状の何れの場合にも適用できる。通気口43は、少なくとも第1電子装置群98、及び第2電子装置群99が隣接する部位の側壁部29に配置されていることが好ましい。
【0086】
又、何れの場合においてもファン42と通気口43とは、両者を入れ替えた配置としてもよい。例えば、下壁部22に通気口43を有し、左壁部25、及び右壁部26にファン42を有する構成としてもよい。又は、下壁部22にファン42及び通気口43の何れか一方を配置し、側壁部29の少なくとも1つにファン42及び通気口43の何れか他方を配置してもよい。又は、ファン42と通気口43との何れか一方のみが筐体21に設けられていてもよい。すなわち、ファン42と通気口43との何れか一方のみが、下壁部22、左壁部25、右壁部26、前壁部27、後壁部24、及び上壁部23の何れか1つ以上に配置されていてもよい。筐体21に通気口43のみが設けられている場合は、ファン42は筐体21の内部、例えば間隙102の上部、前部、左側部、右側部、及び後部の何れかの部位に図示しない固定部材で支持されて設けられていてもよい。その場合においても、ファン42と通気口43とによりエア流路が形成され、電子装置はエア流路中に配置される。
【0087】
下壁部22に配置されるファン42又は通気口43の下壁部22における位置は、下壁部22の中央領域以外でもよい。ファン42又は通気口43の下壁部22における位置は、例えば、下壁部22の中央領域と第1電子装置群98が配置される左壁部25又は第2電子装置群99が配置される右壁部26との中間部分でもよい。又は、ファン42又は通気口43の下壁部22における位置は、第1電子装置群98が配置される左壁部25に対し反対側の右壁部26周辺でもよく、第2電子装置群99が配置される右壁部26に対し反対側の左壁部25周辺でもよい。また、第1電子装置群98が配置される左壁部25又は第2電子装置群99が配置される右壁部26に隣接した位置でもよい。第1電子装置群98及び第2電子装置群99が、ファン42と通気口43とにより形成されるエア流路の経路中に配置されることが好ましい。
【0088】
上記実施の形態において、筐体21は、第1電子装置群98、及び第2電子装置群99を有している。この構成を何れか一方のみ、すなわち単一の電子装置群が設けられている構成としてもよい。すなわち、筐体21は、第1電子装置群98のみが設けられていてもよい。又は、筐体21は、第2電子装置群99のみが設けられていてもよい。この場合、エア流路は、筐体21の中央部から左右両方向に分かれて複数形成されていなくてもよく、少なくとも1つ形成されていればよい。筐体21に設けられている単一の電子装置群は、ファン42と通気口43との間に形成される1つのエア流路中に配置される。例えば、下壁部22にファン42、側壁部29の何れか1つ以上に通気口43、及びファン42の直上の間隙102と側壁部29の通気口43との間に電子装置群が、それぞれ設けられていてもよい。又は、下壁部22にファン42、上壁部23に通気口43、及び上壁部23に隣接して電子装置群が、それぞれ設けられていてもよい。この場合、エア流路は、下壁部22のファン42、及び上壁部23の通気口43の間の上下方向に沿って形成され、電子装置群は、上下方向のエア流路の経路中に配置される。
【0089】
例えば、下壁部22にファン42及び通気口43の何れか一方を配置し、第1電子装置群98が配置された左壁部25、及び第2電子装置群99が配置された右壁部26の何れか一方に、ファン42及び通気口43の何れか他方を配置してもよい。ファン42、及び通気口43の何れか一方は、下壁部22、左壁部25、右壁部26、後壁部24、上壁部23、及び前壁部27の何れか1つ以上に配置され、ファン42、及び通気口43の何れか他方は、ファン42が配置されない下壁部22、左壁部25、右壁部26、後壁部24、上壁部23、及び前壁部27の何れか1つ以上に配置されていてもよい。そのように配置されたファン42、及び通気口43は、少なくとも1つのエア流路を形成し、エア流路中に配置された電子装置はエアにより冷却される。また、上記に説明した、筐体21にファン42、及び通気口43がそれぞれ設けられる場合に替えて、筐体21には、通気口43のみが複数設けられていてもよい。
【0090】
上記実施の形態において、筐体21は、筐体21の上壁部23、及び前壁部27が、上前壁部28として一体的に形成されている。上前壁部28に替えて、上壁部23と前壁部27とは、一体的ではなくそれぞれ個々に形成されていてもよい。すなわち、筐体21は、筐体21の上側を画定し単独で形成されている上壁部23、及び筐体21の前側を画定し互いに接続されて一体的に形成されている第1前壁部35と第2前壁部36とを有する前壁部27を有するように構成されていてもよい。そのため、前後方向長に比較的余裕がないシート後方空間17において、メンテナンス作業者は、上側からの作業のみで筐体21の上側を閉塞している上壁部23を上方に取り外すことができる。したがって、前後方向長に余裕がないシート後方空間17において、メンテナンス作業者は、容易に筐体21の内部を視認したり、メンテナンスしたりすることができる。
【0091】
上記実施の形態において、第1前壁部35は、蝶番38と、開閉板39とを有する開閉部37が設けられている。蝶番38を有する回転式の開閉部37に替えて、開閉板が第1前壁部35の面上をスライドして動く開閉部を備えるようにしてもよい。したがって、前後方向長に比較的余裕がないシート後方空間17において、メンテナンス作業者は、開閉板39を回転させるためにシート11をあまり前に倒さずに、容易に開閉部を開いて、筐体21内を視認することができる。
【0092】
上記実施の形態において、筐体21は、筐体21の後面側で筐体固定部51により操縦室後部5に固定されている。これに替えて、筐体21は、筐体21の前面側で筐体固定部51によりシート11に固定されていてもよい。筐体21の前面側での固定方法について、筐体21は、例えばシート11の後面に筐体固定部51を介して固定されていてもよい。又は、筐体21は、操縦室2の操縦室左側部6と、操縦室右側部7との間に差し渡して取付けられる固定具を追加し、その固定具に筐体固定部51を介して、又は筐体21が前記固定具に直接固定されてもよい。
【0093】
上記のとおり、本発明の電子装置支持構造は、シート11の後方において下方構造物との間に空間を有するように配置され、電子装置を収容している筐体21を備え、筐体21は、筐体21の側壁部の少なくとも1つに通気口及びファンの何れか一方、及び筐体21の下壁部に通気口及びファンの何れか他方を有している。そのため、本発明の電子装置支持構造は、下壁部と下方構造物との間に空間があるので、下壁部に設けられた通気口又はファンを通るエアが下壁部と対面する下方構造物により邪魔されず、筐体21の内部と外部との間で、少ない流体抵抗でエアが効率よく通気することができる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、電子装置が発する熱の排熱性を確保することができる。
【0094】
また、本発明の電子装置支持構造は、建設機械の操縦室2に備えられたシートの後方に配置されている筐体21を備え、筐体21内には、第1電子装置群98及び第2電子装置群99が水平方向に間隙を有して配置され、筐体21の何れかの壁部の間隙が面する部位に、通気口43及びファン42の何れか一方、及び筐体21の第1電子装置群98が隣接する第1壁部、及び第2電子装置群99が隣接する第2壁部のそれぞれに何れか他方が設けられている。そのため、本発明の電子装置支持構造は、筐体21の内部と外部との間で、少ない流体抵抗でエアが効率よく通気することができる。したがって、本発明の電子装置支持構造は、電子装置が発する熱の排熱性を確保することができる。
【符号の説明】
【0095】
2 操縦室、11 シート、19 構造物(下方構造物)、21 筐体、22 下壁部、29 側壁部、31 段差、42 ファン、43 通気口、45 気流調整部材、
37 開閉部、88 載置部、98 第1電子装置群、 99 第2電子装置群、101 空間、102 間隙。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8