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特開2023-83089計画立案装置、計画立案方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083089
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】計画立案装置、計画立案方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230608BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197235
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉本 雅矢
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬和
(72)【発明者】
【氏名】前久 景星
(72)【発明者】
【氏名】小林 英之
(72)【発明者】
【氏名】小ケ倉 勇樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させる。
【解決手段】計画立案装置(1)は、1又は複数の原コイルの各々についての第1情報を取得する第1取得部(11)と、切り出される製品コイルについての第2情報を取得する第2取得部(12)と、1又は複数の原コイルの各々について、切断刃の通過位置、及び当該通過位置に対応する採取可能重量を算出する第1算出部(13)と、採取可能重量の合計が製品合計重量に達し、且つ製品単重毎に各製品コイルを切り出したときに各製品コイルにおける溶接回数が溶接可能回数以下となる配置順序を算出する第2算出部(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原コイルから、前記原コイルの幅方向において所定間隔の切断刃によって製品コイルを切り出す条切業務についての計画を行うための計画立案装置であって、
1又は複数の原コイルの各々についての幅、長さ、重量及び不良部分の位置を含む第1情報を取得する第1取得部と、
切り出される製品コイルについての幅、製品単重、製品合計重量、及び、前記製品コイルが前記製品単重に達するための溶接の回数の上限である溶接可能回数を含む第2情報を取得する第2取得部と、
前記1又は複数の原コイルの各々について、前記不良部分を含まないように当該原コイルから前記製品コイルを採取するための前記切断刃の通過位置、及び当該通過位置に対応する採取可能重量を算出する第1算出部と、
前記1又は複数の原コイルの一部又は全部を含む切り出し用原コイルの配置順序であって、前記採取可能重量の合計が前記製品合計重量に達し、且つ前記製品単重毎に各製品コイルを切り出したときに各製品コイルにおける溶接回数が前記溶接可能回数以下となる配置順序を算出する第2算出部と、
を備えることを特徴とする計画立案装置。
【請求項2】
前記第1算出部は、
対象となる原コイルの幅方向の少なくとも一方の端部が切り落とされる場合に当該原コイルに不良部分が含まれるとき、当該不良部分を含む切り落とし部分が当該原コイルの幅方向に切り落されることとし、
前記採取可能重量として、当該原コイルの前記端部と前記切り落とし部分とを除いた部分の重量を算出し、
前記原コイルの幅方向における、前記所定間隔の切断刃の各々の位置に対応する前記採取可能重量を比較して、当該原コイルにおいて用いられる前記採取可能重量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の計画立案装置。
【請求項3】
前記第2算出部は、
前記切り出し用原コイルの合計重量から所定重量以上の前記切り落とし部分の重量を除いた重量に対する、前記採取可能重量の合計から前記所定重量以上の前記切り落とし部分の重量を除いた重量の割合で規定される歩留が最大となる前記配置順序を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の計画立案装置。
【請求項4】
前記第2算出部は、
前記切り出し用原コイルの各々に対して前記所定間隔の切断刃が一直線に通過できるように、前記切り出し用原コイルの各々の幅方向における配置を算出する
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の計画立案装置。
【請求項5】
ユーザ操作の入力を受け付ける入力部を更に備え、
前記第2取得部は、
前記入力部を介して入力された値を、前記第2情報として取得する
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の計画立案装置。
【請求項6】
原コイルから、前記原コイルの幅方向において所定間隔の切断刃によって製品コイルを切り出す条切業務についての計画を行うための計画立案方法であって、
1又は複数の原コイルの各々についての幅、長さ、重量及び不良部分の位置を含む第1取得工程と、
切り出される製品コイルについての幅、製品単重、製品合計重量、及び、前記製品コイルが前記製品単重に達するための溶接の回数の上限である溶接可能回数を含む第2情報を取得する第2取得工程と、
前記1又は複数の原コイルの各々について、前記不良部分を含まないように当該原コイルから前記製品コイルを採取するための前記切断刃の通過位置、及び当該通過位置に対応する採取可能重量を算出する第1算出工程と、
前記1又は複数の原コイルの一部又は全部を含む切り出し用原コイルの配置順序であって、前記採取可能重量の合計が前記製品合計重量に達し、且つ前記製品単重毎に各製品コイルを切り出したときに各製品コイルにおける溶接回数が前記溶接可能回数以下となる配置順序を算出する第2算出工程と、
を含むことを特徴とする計画立案方法。
【請求項7】
請求項1に記載の計画立案装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記第1取得部、前記第2取得部、前記第1算出部および前記第2算出部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画立案装置、計画立案方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客毎に注文仕様の異なる受注生産を行う製造業において、例えば長方形板状の原コイルから出荷する製品コイル(フープ)を切り出す条切業務の計画は、製品コイルの製造コストに影響を与える重要な業務である。当該業務においては、様々な位置に不良部分を含み、サイズもさまざまである原コイルから、条切用に配置された切断刃によって、需要者から指定された寸法の長方形状の製品を切り出し可能な計画を立案することを求められる。特許文献1では、複数の母材に対して複数の注文製品を割り当てることが可能な情報処理装置が開示されている。特許文献2では、コイル組合せ問題を自動化すると共に、巻き直し設備における歩留を向上させることが可能なコイル巻き直し組合せ処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-86297号公報
【特許文献2】特開平5-023739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の条切業務に係る装置或いは方法においては、原コイルが不良部分を含む場合における対処が不十分であるという問題がある。例えば、特許文献1の発明においては、不良部分のある原コイルの取り扱いが規定されていない。また、特許文献2の発明においては、溶接回数を管理しつつ複数枚の原コイルから製品コイルを連続して同一幅で切り出す条切業務には適用できず、また、不良部分への対処が画一的であるため原コイルを有効に使うことができない。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る計画立案装置は、原コイルから、前記原コイルの幅方向において所定間隔の切断刃によって製品コイルを切り出す条切業務についての計画を行うための計画立案装置であって、1又は複数の原コイルの各々についての幅、長さ、重量及び不良部分の位置を含む第1情報を取得する第1取得部と、切り出される製品コイルについての幅、製品単重、製品合計重量、及び、前記製品コイルが前記製品単重に達するための溶接の回数の上限である溶接可能回数を含む第2情報を取得する第2取得部と、前記1又は複数の原コイルの各々について、前記不良部分を含まないように当該原コイルから前記製品コイルを採取するための前記切断刃の通過位置、及び当該通過位置に対応する採取可能重量を算出する第1算出部と、前記1又は複数の原コイルの一部又は全部を含む切り出し用原コイルの配置順序であって、前記採取可能重量の合計が前記製品合計重量に達し、且つ前記製品単重毎に各製品コイルを切り出したときに各製品コイルにおける溶接回数が前記溶接可能回数以下となる配置順序を算出する第2算出部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、切り出し用原コイルの各々から最大の採取可能重量のコイルを切り出して、溶接可能回数以下の溶接によって製品コイルを製造することが可能となる。これにより、不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させることができる。
【0008】
本開示の態様2に係る計画立案装置は、上記態様1において、前記第1算出部は、対象となる原コイルの幅方向の少なくとも一方の端部が切り落とされる場合に当該原コイルに不良部分が含まれるとき、当該不良部分を含む切り落とし部分が当該原コイルの幅方向に切り落されることとし、前記採取可能重量として、当該原コイルの前記端部と前記切り落とし部分とを除いた部分の重量を算出し、前記原コイルの幅方向における、前記所定間隔の切断刃の各々の位置に対応する前記採取可能重量を比較して、当該原コイルにおいて用いられる前記採取可能重量を算出する。
【0009】
上記の構成によれば、第1算出部は、切り落とし部分が出来るだけ生じない切断刃の通過位置と、当該通過位置に対応する採取可能重量とを算出することができる。
【0010】
本開示の態様3に係る計画立案装置は、上記態様2において、前記第2算出部は、前記切り出し用原コイルの合計重量から所定重量以上の前記切り落とし部分の重量を除いた重量に対する、前記採取可能重量の合計から前記所定重量以上の前記切り落とし部分の重量を除いた重量の割合で規定される歩留が最大となる前記配置順序を算出する。
【0011】
上記の構成によれば、例えば所定重量以上の切り落とし部分は別用途に使用可能であるものとして歩留の計算には含めないうえで、前記歩留が最大となる配置順序を算出することができる。
【0012】
本開示の態様4に係る計画立案装置は、上記態様1から3までの何れかにおいて、前記第2算出部は、前記切り出し用原コイルの各々に対して前記所定間隔の切断刃が一直線に通過できるように、前記切り出し用原コイルの各々の幅方向における配置を算出する。
【0013】
上記の構成によれば、条切を行う装置において、切り出す対象が別の原コイルとなる度に原コイル及び切断刃の配置を調整する手間を削減することが可能となる。
【0014】
本開示の態様5に係る計画立案装置は、上記態様1から4までの何れかにおいて、ユーザ操作の入力を受け付ける入力部を更に備え、前記第2取得部は、前記入力部を介して入力された値を、前記第2情報として取得する。
【0015】
上記の構成によれば、切り出される製品コイルの単重等を、ユーザが容易に任意の値に設定することができる。
【0016】
本開示の態様6に係る計画立案方法は、原コイルから、前記原コイルの幅方向において所定間隔の切断刃によって製品コイルを切り出す条切業務についての計画を行うための計画立案装置であって、1又は複数の原コイルの各々についての幅、長さ、重量及び不良部分の位置を含む第1取得工程と、切り出される製品コイルについての幅、製品単重、製品合計重量、及び、前記製品コイルが前記製品単重に達するための溶接の回数の上限である溶接可能回数を含む第2情報を取得する第2取得工程と、前記1又は複数の原コイルの各々について、前記不良部分を含まないように当該原コイルから前記製品コイルを採取するための前記切断刃の通過位置、及び当該通過位置に対応する採取可能重量を算出する第1算出工程と、前記1又は複数の原コイルの一部又は全部を含む切り出し用原コイルの配置順序であって、前記採取可能重量の合計が前記製品合計重量に達し、且つ前記製品単重毎に各製品コイルを切り出したときに各製品コイルにおける溶接回数が前記溶接可能回数以下となる配置順序を算出する第2算出工程と、を含む。
【0017】
上記の方法によれば、上述の計画立案装置と同等の効果を奏し、不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させることができる。
【0018】
本開示の態様7に係る制御プログラムは、上記態様1に記載の計画立案装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記第1取得部、前記第2取得部、前記第1算出部および前記第2算出部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムである。
【0019】
上記の構成によれば、上述の計画立案装置と同等の効果を奏し、不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】計画立案装置の構成を示すブロック図の一例である。
図2】原コイルから製品コイルを条切する条切装置の概念図の一例である。
図3】計画立案装置が実行する処理全体の流れを示すフローチャートの一例である。
図4】原コイルから不良部分を切り落とす処理の流れを示す模式図の一例である。
図5】第1算出処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図6】原コイルにおける切断刃の各通過位置、及び記憶部に記憶される評価指標の一例を示す図である。
図7】第2算出処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図8】原コイルの組み合わせ及び配置順序について説明するための模式図の一例である。
図9】原コイルの幅方向における配置の一例を示す模式図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る計画立案装置1は、圧延された鋼板の原コイルを、ユーザが要求する製品仕様に従って製品コイルに条切する計画を立案するための装置である。
【0023】
ここで、計画立案装置1の構成を説明する前に、条切について簡単に説明する。図2は、原コイルから製品コイルを条切する条切装置の概念図の一例である。図示するように、原コイル31は、条切装置3によって所定の方向に送り出され、送出方向の途中に固定された丸刃等の切断刃30で切断される。切断刃30は通常複数配置され、隣接する切断刃30はそれぞれ所定間隔で配置されている。図2の例では、7本の切断刃30が条切装置3に配置されている。前記所定間隔は、製品仕様の1つである、製品コイル32の幅に設定される。また、多くの場合、図2に例示するように、原コイル31の幅方向、即ち図2等における左右方向の少なくとも一方の端部33が切り落とされる。通常、端部33は、製品コイル32を製造する際において無駄となるロスとして扱われる。
【0024】
本開示に係る計画立案装置1は、ユーザが要求する製品仕様に沿った製品コイルを条切する条切業務に関する計画を立案する装置である。図2の条切装置3は、6枚の製品コイル32を並行して切り出す例を示しているが、計画立案装置1は、製品コイルを1枚ずつ切り出す条切装置に対応する装置であるものとして説明する。以下、計画立案装置1の構成例について説明する。
【0025】
(計画立案装置1の構成例)
図1は、本実施形態に係る計画立案装置1の構成を示すブロック図の一例である。図1に示すように、計画立案装置1は、制御部10、記憶部21及び入力部22を備えている。
【0026】
制御部10は、計画立案装置1全体を統括する制御装置であって、例えば1又は複数のプロセッサであり、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等の各種プロセッサを用いることができる。
【0027】
また、制御部10は、第1取得部11、第2取得部12、第1算出部13及び第2算出部14としても機能する。
【0028】
第1取得部11は、1又は複数の原コイルの各々についての第1情報を取得する。第1情報は、原コイルの各々に関する情報であって、原コイルの幅、長さ、重量及び不良部分の位置等を含む情報である。また、第1情報には、原コイルの密度や厚さ等が含まれていてもよい。
【0029】
第2取得部12は、原コイルから切り出される製品コイルについての第2情報を取得する。第2情報は、切り出される製品コイルに関する情報であって、製品コイルの幅、製品単重、製品合計重量、及び、溶接可能回数等を含む情報である。また、第2情報には、製品コイルの長さ等が含まれていてもよい。
【0030】
ここで、製品単重とは、製品コイルの各々が達するべき重量である。製品合計重量とは、前記1又は複数の原コイルから取得すべき全ての製品コイルの合計重量である。溶接可能回数とは、各製品コイルが製品単重に達するための溶接の回数の上限であって、製品コイル1枚につき何回までの溶接が許容されるかを示している。溶接及び溶接可能回数の詳細については後述する。
【0031】
また、第1取得部11及び第2取得部12が情報を取得する取得先は、例えば記憶部21であってもよいし、計画立案装置1と接続された外部の記憶媒体であってもよい。また、第1取得部11は、入力部22を介して入力された情報を、第1情報として取得してもよく、第2取得部12は、入力部22を介して入力された情報を、第2情報として取得してもよい。
【0032】
第1算出部13は、1又は複数の原コイルの各々について、不良部分を含まないように当該原コイルから製品コイルを採取するための所定間隔の切断刃30の通過位置、及び当該通過位置に対応する採取可能重量等を算出する。
【0033】
第2算出部14は、1又は複数の原コイルの一部又は全部を含む切り出し用原コイルの配置順序であって、採取可能重量の合計が製品合計重量に達し、且つ製品単重毎に各製品コイルを切り出したときに各製品コイルにおける溶接回数が溶接可能回数以下となる配置順序を算出する。
【0034】
ここで、切り出し用原コイルとは、用意された原コイルのうち、製品コイルの切り出しに実際に使用される原コイルを意味している。つまり、前述の1又は複数の原コイルは、1以上の切り出し用原コイルと、0以上の余りとなる原コイルとに分けられる。
【0035】
記憶部21は、各種情報を少なくとも一時的に記憶する記憶装置であって、例えば第1情報及び第2情報を記憶する。記憶部21が記憶する第1情報及び第2情報は、例えば入力部22を介して入力された情報であってもよい。また、記憶部21は、計画立案装置1と接続された外部の記憶媒体であってもよい。
【0036】
入力部22は、計画立案装置1に対するユーザ操作の入力を受け付ける。入力部22は、例えばキーボード及びマウスである。ユーザは、入力部22を介して計画立案装置1に第2情報等を入力する。なお、製品コイルの一部が既に製造されている場合、制御部10は、注文として入力された製品コイルの合計重量から、既に製造された製品コイルの合計重量を減じた値を、製品合計重量として用いてもよい。
【0037】
計画立案装置1は、出力装置と有線又は無線で情報通信可能に接続されている。出力装置は、制御部10による制御に基づいて、計画立案装置1から入力された情報を出力する。出力装置2は、一例として、モニター(ディスプレイ)、印刷装置又は投影装置等である。
【0038】
なお、計画立案装置1が備える各部は必ずしも単一の装置に組み込まれていることを要しない。例えば、1又は複数の各部が別々の装置に含まれており、通信可能に接続されていてもよく、また、1又は複数の各部がクラウド上に配置されており、通信可能に接続されていてもよい。
【0039】
(全体の処理の流れ)
続いて、計画立案装置1が実行する処理全体の流れについて説明する。図3は、前記処理全体の流れを示すフローチャートの一例である。
【0040】
まず、S11(ステップS11)において、第1取得部11は、第1情報を記憶部21から取得する処理を行う。S11は、第1取得工程に相当する。上述したように第1情報は、各々の原コイルの幅、長さ、重量、及び不良部分の位置等を含む情報である。
【0041】
次に、S12において、第2取得部12は、第2情報を記憶部21から取得する処理を行う。S12は、第2取得工程に相当する。上述したように第2情報は、原コイルから切り出すべき製品コイルの幅、製品単重、製品合計重量、及び溶接可能回数等である。
【0042】
次に、S13において、第1算出部13は、第1算出処理を行う。S13は、第1算出工程に相当する。第1算出処理の詳細については後述する。
【0043】
次に、S14において、第2算出部14は、第2算出処理を行う。S14は、第2算出工程に相当する。第2算出処理の詳細については後述する。
【0044】
次に、S15において、制御部10は、第2算出処理の処理結果を出力装置2に出力させる。ユーザは、出力装置2に出力された処理結果を見て、製品仕様に沿った製品コイルを条切するための条件を確認することができる。
【0045】
なお、制御部10が、計画立案装置1に関連付けられた条切装置に第2算出処理の処理結果を出力し、続いて条切装置が当該処理結果に基づいて条切を行う構成であってもよい。また、計画立案装置1と、前記条切装置とが、単一の条切システムに含まれる構成であってもよい。
【0046】
(第1算出処理)
続いて、前述した第1算出処理について説明する。第1算出処理は、原コイルの各々における切断刃30の通過位置、及び採取可能重量等を算出する処理である。第1算出部13は、第1算出処理に含まれる各処理において、必要に応じて第1情報及び第2情報を参照してもよい。また、第2算出部14が実行する後述の第2算出処理についても同様である。
【0047】
最初に、第1算出処理において前提となる、原コイルにおける切り落とし部分を決定する処理及び溶接について説明する。図4は、製品コイル等に使用できない不良部分を原コイルから切り落とす処理の流れを示す模式図の一例である。
【0048】
図4の原コイル401は、単一の原コイルに含まれる不良部分41の位置を示している。原コイル401に示すように、不良部分41は、原コイルの幅方向の端部33にのみ位置する場合と、中央部分に広がっている場合とがある。一例として、不良部分41の位置は、不良部分41を含む矩形の座標によって表現される。前記座標は、原コイル上における矩形の各角の位置にそれぞれ対応する複数の数値等であってもよい。
【0049】
第1算出部13は、所定間隔の切断刃30の通過位置を原コイル上において設定する。ここで、前記所定間隔は、製品コイルの幅である。切断刃30の通過位置は、原コイルの幅方向において可変である。したがって、原コイルの幅方向の両端が必ずしも切り落とされるとは限らず、一方の端部33のみが切り落とされる場合がある。また、例外として、原コイルの幅が製品コイルの幅に等しい場合、何れの端部33も切り落とされない。
【0050】
不良部分41が原コイルの端部33に位置していれば、長さ方向の全体に渡って端部33を切り落とした場合に当該不良部分41が切り落とされるが、不良部分41が中央部分に広がっている場合、原コイル402に示すように、不良部分41を含む幅方向の全体を切り落とし部分42として切り落とすことが必要となる。また、原コイルの切り落とし部分42は、端部33を切り落とす切断刃30の向きを変えて事前に切り落とされる構成であってもよいし、端部33を切り落とす切断刃30とは別の切断刃によって切り落とされる構成であってもよい。
【0051】
また、切り落とし部分42を跨ぐ分断箇所は、溶接によって接続される。また、溶接は、製品コイルの長さが原コイルの長さを超える場合、又は原コイルの終端同士を接続して製品コイルを製造する場合等にも行われる。別の側面から言えば、或る単一の製品コイルは、連続しない範囲の原コイルから製造される場合、又は複数の原コイルから製造される場合が生じ得る。多くの場合、ユーザが要求する製品仕様には、各製品コイル中における溶接回数が所定回数以下であることという要件が含まれる。これは、溶接が或る程度の時間及びエネルギーを必要とし、生産効率が低下する要因となり得ること、及び、溶接部分の外質又は内質が、仕様上わずかに変性する場合があることに由来する。なお、前記分断箇所が、最終的に製品コイルの長さ方向における端部に位置する場合は、各分断箇所を含む製品部分43が別々の製品コイルに対応するものとなるため、溶接は行われない。
【0052】
これにより、原コイルは、原コイル403に示すように不良部分41が除去された状態となる。換言すれば、製品コイルは、原コイルにおける端部33及び不良部分41を除いた範囲から採取される必要がある。また、原コイル403に示す状態の原コイルの重量が、当該原コイルにおける採取可能重量となる。換言すると、第1算出部13は、採取可能重量として、原コイルの端部33と切り落とし部分42とを除いた部分の重量を算出する。なお、採取可能重量は、例えば第1情報に含まれる情報に基づいて算出可能である。具体的には、原コイル403に示すような切り出した部分の面積(長さ×幅)と、原コイルの厚さと、密度とをかけることで算出しても良い。加えて、原コイル401に示す元の原コイルの重量に対する採取可能重量の割合が原コイル401における歩留となる。そのため、原コイルにおける切り落とし部分42の増加は、歩留が低下する要因となる。
【0053】
また、原コイル403を製造するための処理順序は、必ずしも限定されないが、例えば切り落とし部分42の切り落とし、溶接、端部33の条切の順序で実行されてもよい。
【0054】
前述したように、所定間隔の切断刃30の通過位置は、原コイルの幅方向において可変である。よって、切断刃30の通過位置によっては、不良部分41が原コイルの端部33付近に位置していたとしても、長さ方向の全体に渡って端部33を切り落とした場合に、当該不良部分41が切り落とされない場合がある。この場合、当該不良部分41を含む幅方向の全体が切り落とし部分42として設定される。別の側面から言えば、或る原コイルにおける採取可能重量、歩留、溶接箇所及び溶接回数は、切断刃30の通過位置によって変化する。第1算出部13は、原コイルの幅方向に切断刃30の通過位置を一定距離ごとにずらしながら、各通過位置について採取可能重量、歩留、溶接箇所及び溶接回数を算出し、各情報を評価指標として記憶部21に記憶する。図4を参照して説明した処理により、原コイルの端部33付近に不良部分41が位置する場合、切断刃30の通過位置をずらして不良部分41を回避することによって、無駄の無い原コイルの利用が可能となる。
【0055】
以上の前提を基に、第1算出処理の流れについて説明する。図5は、第1算出処理の流れを示すフローチャートの一例である。図5のフローチャートは、図3のS13の処理に対応する。図6は、原コイルにおける切断刃30の各通過位置、及び記憶部21に記憶される評価指標の一例を示している。
【0056】
S1301において、第1算出部13は、1又は複数の原コイルのうち、評価指標が算出されていない原コイルがまだ残っているか否かを判定する。第1算出部13は、評価指標が算出されていない原コイルがまだ残っていると判定した場合(S1301:YES)、当該原コイルを対象として、S1302の処理を行う。一方で、第1算出部13が、評価指標が算出されていない原コイルが残っていないと判定した場合(S1301:NO)、即ち1又は複数の原コイルの全てについて評価指標を算出したと判定した場合、図5のフローチャートに示す処理が終了し、続いて図3のS13の処理が実行される。
【0057】
S1302において、第1算出部13は、対象とする切断刃30の通過位置について、原コイルの切り落とし部分42の位置を算出する。図6の原コイル601~603は、原コイルにおける切断刃30の通過位置と、当該通過位置に対応する切り落とし部分42との一例を示している。また、原コイル601は、或る原コイルを対象としてS1302の処理が最初に実行されたときの切断刃30の通過位置の一例を示している。
【0058】
S1303において、第1算出部13は、算出した切り落とし部分42の位置に基づいて、対象とする切断刃30の通過位置に対応する評価指標を算出し、記憶部21に記憶する。
【0059】
図6の表604は、記憶部21に記憶された評価指標の一例を示している。表604において、「原コイル」とは、各原コイルを識別するためのIDを示している。「通過位置」は、原コイルの幅方向において、切断刃30の通過位置が、基準となる所定位置からどれだけの距離離れているのかを示している。前記所定位置は、例えば図6の各原コイルにおける左端の位置である。「歩留」及び「採取可能重量」は、前述した通りの意味合いである。
【0060】
また、表604における採取可能重量の「(2000,1000)」とは、2000kgの製品部分43と1000kgの製品部分43とが原コイルから採取可能であり、2000kgの製品部分43の長さ方向における終端部分に溶接部分が1箇所生じることを示している。また、採取可能重量の「(4500)」とは、4500kgの単一の製品部分43が原コイルから採取可能であり、溶接部分が生じないことを示している。
【0061】
表604に例示する原コイル「X0001」においては、切断刃30の通過位置が、基準となる所定位置から「0mm」である場合、歩留が「a%」となり、採取可能重量が「(2000,1000)」となる。また、図6の例において、切断刃30の通過位置「0mm」は、原コイル601に示す切断刃30の通過位置に対応する。また、原コイル「X0002」においては、切断刃30の通過位置が、基準となる所定位置から「0mm」である場合、歩留が「b%」となり、採取可能重量が「(4500)」となる。
【0062】
また、S1302及びS1303の処理は、切断刃30の通過位置を変化させて複数回実行されることとなる。第1算出部13は、既に記憶部21に記憶された歩留よりも、直近に算出した歩留が高い場合に、当該直近に算出した歩留に対応する評価指標によって、記憶部21に記憶された評価指標を更新する構成であってもよい。換言すると、記憶部21は、対象となる原コイルに関して、歩留が最大となるときの切断刃30の通過位置に対応する評価指標のみを記憶する構成であってもよい。なお、記憶部21に記憶された情報を更新する基準となる評価指標の項目は、歩留であることに限定されず、その他の項目であってもよい。
【0063】
S1304において、第1算出部13は、原コイルの幅方向において、切断刃30の通過位置を次に移動させるべき位置が残っているか否かを判定する。第1算出部13は、切断刃30の通過位置を次に移動させるべき位置が残っていると判定した場合(S1304:YES)、S1305において、切断刃30の通過位置を当該移動させるべき位置に設定して、続いてS1302からの処理を実行する。また、切断刃30の通過位置を一度に移動させる所定距離は、特定の距離に限定されず、例えば1mmから数mmであってもよいし、あるいは十数mm程度であってもよい。
【0064】
一方で第1算出部13は、切断刃30の通過位置を次に移動させるべき位置が残っていないと判定した場合(S1304:NO)、対象としている原コイルについて評価指標を算出する処理を終了し、続いてS1301の処理を実行する。ここで、S1304において「NO」の判定がなされることは、別の側面から言えば、所定距離を間隔とする全ての位置について評価指標の計算がなされたと判定されることを意味している。
【0065】
一例として、図6の原コイル602及び603は、原コイル601に示す切断刃30の通過位置を、S1305において段階的に右側に移動させた様子を示している。直近に評価指標を算出したときの切断刃30の通過位置が原コイル603に示す位置である場合、第1算出部13は、切断刃30の通過位置を次に移動させるべき位置が残っていないものとして、S1304において「NO」の判定を行う。また、切断刃30の通過位置を移動させることは、原コイル上から切り出される製品コイルの位置を移動させることであるとも言える。
【0066】
図5のフローチャートに示す処理が終了すると、全ての原コイルについて、図6の表604に例示する評価指標が記憶部21に記録された状態となる。このように、第1算出部13は、各原コイルの幅方向における、所定間隔の切断刃30の各々の位置に対応する採取可能重量を比較して、各原コイルにおいて用いられる採取可能重量を算出し、及び記憶部21に記憶する。
【0067】
なお、切り落とし部分42が大きく、所定重量以上である場合、当該切り落とし部分42が製品コイル以外の用途に転用できるものとして、第1算出部13は、当該切り落とし部分42については歩留の計算に含めない構成であってもよい。
【0068】
また、記憶部21は、歩留等が最大となるときの切断刃30の通過位置に対応する評価指標だけでなく、切断刃30の各通過位置に対応する評価指標を全て記憶する構成であってもよい。
【0069】
(第2算出処理)
続いて、前述した第2算出処理について説明する。第2算出処理は、切り出し用原コイルの配置順序を算出する処理である。図7は、第2算出処理の流れを示すフローチャートの一例である。図7のフローチャートは、図3のS14の処理に対応する。図8は、原コイルの組み合わせ及び配置順序について説明するための模式図の一例である。
【0070】
S1401において、第2算出部14は、1又は複数の原コイルのうち、切り出し用原コイルの候補となる原コイルの組み合わせが残っているか否かを判定する。このS1401からS1405までの処理は、切り出し用原コイルとなり得る原コイルの組み合わせを抽出するための処理である。S1405までの処理においては、何れの原コイルを切り出し用原コイルとして用いるかについての検討がなされるが、原コイルの組み合わせ内の配置順序については考慮されない。
【0071】
第2算出部14は、前記原コイルの組み合わせが残っていると判定した場合(S1401:YES)、S1402において、当該残りの原コイルの組み合わせを、続くS1403における判定対象として設定する。
【0072】
S1403において、第2算出部14は、設定された原コイルの組み合わせに含まれる原コイルにおける採取可能重量の合計が製品合計重量に達したか否か、換言すると前記採取可能重量の合計が製品合計重量以上であるか否かを判定する。
【0073】
図8の原コイル801は、原コイルの例を示しており、表811は、記憶部21に記憶された一部の評価指標の例を示している。原コイル801は、表811の原コイル「X0001」に対応する。第2算出部14は、前記評価指標を参照して、組み合わせに含まれる原コイルの採取可能重量の合計を算出し、前述の判定を行う。第2算出部14は、採取可能重量の合計が製品合計重量に達したと判定した場合(S1403:YES)、続いてS1404の処理を実行する。一方で、第2算出部14は、採取可能重量の合計が製品合計重量に達していないと判定した場合(S1403:NO)、続いてS1401の処理を実行し、他の原コイルの組み合わせについて判定する。
【0074】
S1404において、第2算出部14は、製品合計重量に達した原コイルの組み合わせについて、組み合わせ全体における歩留を少なくとも含む評価指標を算出し、当該原コイルの組み合わせに関連付けて記憶部21に記憶する。ここで、組み合わせ全体における歩留とは、例えば組み合わせに含まれる原コイルの歩留の平均値であってもよいし、組み合わせに含まれる原コイルの合計重量に対する、採取可能重量の合計重量の割合等であってもよい。また、第2算出部14は、評価指標の一部として、当該組み合せ全体における採取可能重量等を算出して、記憶部21に記憶してもよい。
【0075】
また、第2算出部14は、S1401において原コイルの組み合わせが残っていないと判定した場合(S1401:NO)、続いてS1405において、記憶部21に記憶した原コイルの組み合わせを、組み合わせ全体における歩留順に並び替える。
【0076】
S1406からS1409までの処理は、製品コイルについての要件を満たす原コイルの組み合わせ、即ち切り出し用原コイルと、その配置順序とを算出する処理である。
【0077】
S1406において、第2算出部14は、処理対象とする原コイルの組み合わせについて、組み合わせに含まれる原コイルの配置順序を設定する。図7に示す通り、S1406からS1409までの処理は、複数回実行され得る。S1406の処理が実行される度に、組み合わせに含まれる新たな原コイルの配置順序が設定される。また、S1406からS1408までの処理においては、組み合わせ全体における歩留が高い順に、原コイルの組み合わせが用いられる。そして、後述するS1409の処理が行われた場合に、次に歩留が高い原コイルの組み合わせが処理対象として用いられる。図8の原コイル802及び表812は、組み合わせに含まれる原コイルの配置順序の例を示している。
【0078】
S1407において、第2算出部14は、設定した原コイルの配置順序を用いて製品コイルの切り出しを行った場合に、溶接回数が溶接可能回数以下となるか否か、換言すると、原コイルの配置順序が溶接回数に関する条件を満たすか否かを判定する。
【0079】
図8の原コイル803は、原コイルから切り出される製品コイルの位置の例を示しており、表813は、各製品コイルに関する情報を示している。表813において、例えば製品番号が1の製品コイルは、製品単重が5000kgであり、且つ溶接回数が2回である。製品部分43の重量が製品単重に達した段階で製品コイルの区切りとなるが、製品コイルが複数の原コイルに跨って採取される場合、各原コイル間においても溶接が行われる。また、表813における製品単重のフィールドに示すように、各製品コイルの製品単重は、互いに異なっていてもよい。
【0080】
第2算出部14は、前記溶接回数が溶接可能回数を超えると判定した場合(S1407:NO)、S1408において、組み合わせに含まれる原コイルの別の配置順序が残っているか否かを判定する。
【0081】
第2算出部14は、組み合わせに含まれる原コイルの別の配置順序が残っていると判定した場合(S1408:YES)、続いてS1406において、当該残りの配置順序を設定する。一方で、第2算出部14は、前記別の配置順序が残っていないと判定した場合(S1408:NO)、S1409において、S1406からS1408までの処理に用いられる原コイルの組み合わせを、組み合わせ全体における歩留が次に高い組み合わせに設定する。
【0082】
ここで、S1408において「NO」と判定がなされることは、別の側面から言えば、処理対象とする原コイルの組み合わせについて、原コイルの配置順序をどのように並び替えても溶接回数に関する条件が満たされないと判定されることを意味している。また、S1409において、次に設定するべき原コイルの組み合わせが残っていない場合、第2算出部14は、溶接回数に関する条件を満たす原コイルの組み合わせ及び配置順序が存在しないものとして、図7のフローチャートに示す処理が終了する。
【0083】
また、第2算出部14は、S1407において前述の溶接回数が溶接可能回数以下となると判定した場合(S1407:YES)、設定された原コイルの組み合わせ及び配置順序が、溶接回数に関する条件を満たすものとして、続いてS1410の処理を行う。
【0084】
S1410において、第2算出部14は、設定した原コイルの組み合わせ及び配置順序を、第2算出処理の結果として決定及び出力する。
【0085】
図7のフローチャートに示す第2算出処理によれば、歩留が最大となる原コイルの組み合わせ、及び溶接回数に関する条件を満たす配置順序が算出される。
【0086】
また、第2算出部14は、切り出し用原コイルの各々に対して所定間隔の切断刃30が一直線に通過できるように、切り出し用原コイルの各々の幅方向における配置を算出してもよい。
【0087】
図9は、原コイルの幅方向における配置の一例を示す模式図の一例である。第2算出部14は、記憶部21に記憶された、各原コイルにおける切断刃30の通過位置を示す評価指標を参照して、各通過位置が一直線になるように原コイルの幅方向における配置を算出する。これにより、長さ方向の全体に渡って切り出し用原コイルの端部33を切り落とす場合に、原コイル及び切断刃30の配置を調整する手間を削減することが可能となる。
【0088】
以上、条切業務についての計画を行うための計画立案方法であって、第1取得工程、第2取得工程、第1算出工程及び第2算出工程を含む計画立案方法の一例について説明した。前記の方法によれば、不良部分を含み得る原コイルから製品コイルを切り出す条切業務において、溶接回数に関する条件を満たしたうえで、歩留をより向上させることができる。
【0089】
なお、前述したように、第1算出部13は、原コイルにおける所定重量以上の切り落とし部分については歩留の計算に含めない構成であってもよい。結果として前記構成において、第2算出部14は、切り出し用原コイルの合計重量から所定重量以上の切り落とし部分の重量を除いた重量に対する、採取可能重量の合計から所定重量以上の切り落とし部分の重量を除いた重量の割合で規定される歩留が最大となる配置順序を算出する。
【0090】
〔ソフトウェアによる実現例〕
計画立案装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に第1取得部11、第2取得部12、第1算出部13及び第2算出部14)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0091】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0092】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0093】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0094】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0095】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 計画立案装置
2 出力装置
10 制御部
11 第1取得部
12 第2取得部
13 第1算出部
14 第2算出部
21 記憶部
22 入力部
3 条切装置
30 切断刃
31、401、402、403、601、602、603、801、802、803 原コイル
32 製品コイル
33 端部
41 不良部分
42 切り落とし部分
43 製品部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9