(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083099
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197258
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴山 元規
(72)【発明者】
【氏名】糸原 啓太
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA14
5H730AS01
5H730AS02
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
5H730FV02
(57)【要約】
【課題】部品の特性にばらつきがある場合でも高効率化を図ることができるスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】スイッチング電源装置(1A)の制御部(CNT1)は、第1スイッチ(SW1)をオン、第2スイッチ(SW2)をオフにする第1状態と、第1スイッチをオフ、第2スイッチをオンにする第2状態と、第1,2スイッチをオフにする第3状態と、第3状態よりも第1,2スイッチの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、を有する。前記制御部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、第1,2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、前記デッドタイム期間の長さを調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を出力電圧に降圧するよう構成されるスイッチング電源装置であって、
第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチと、
第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い低電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン/オフを制御するよう構成される制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1スイッチをオン状態にし、前記第2スイッチをオフ状態にする第1状態と、
前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする第2状態と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にする第3状態と、
前記第3状態よりも前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、
を有し、
前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、
前記デッドタイム期間の長さを調整する、スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、前記第4状態、及び前記デッドタイム期間を、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、前記第4状態、及び前記デッドタイム期間の順で繰り返す、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、前記第4状態、及び前記デッドタイム期間を、固定周期で繰り返す、請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記デッドタイム期間の終了時点で前記インダクタを流れる電流が負であれば次の前記デッドタイム期間の長さを長くし、前記デッドタイム期間の終了時点で前記インダクタを流れる電流が正であれば次の前記デッドタイム期間の長さを短くする、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記デッドタイム期間の終了時点で前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノード電圧が所定値より小さければ次の前記デッドタイム期間の長さを長くし、前記デッドタイム期間の終了時点で前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノード電圧が前記所定値より大きければ次の前記デッドタイム期間の長さを短くする、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記インダクタを流れる電流のゼロクロス点において前記第1状態を開始する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする、請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記第2スイッチに並列接続可能に構成され、前記第2スイッチよりもオン抵抗及び容量の少なくとも一方が小さい第3スイッチを備え、
前記制御部は、前記第3スイッチのオン/オフを制御するよう構成され、
前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする、請求項1~7のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成される第3スイッチと、
第1端が前記第3スイッチの第2端に接続され、第2端が前記低電圧の印加端に接続可能に構成される容量と、
を備え、
前記制御部は、前記第3スイッチのオン/オフを制御するよう構成され、
前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする、請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
前記容量に並列接続可能に構成される第4スイッチを備え、
前記制御部は、前記第4スイッチのオン/オフを制御するよう構成され、
前記制御部は、前記第3スイッチのオン/オフと前記第4スイッチのオン/オフとを相補的に制御する、請求項9に記載のスイッチング電源装置。
【請求項11】
第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が可変電圧の印加端に接続可能に構成される容量を備え、
前記制御部は、前記可変電圧を制御するよう構成され、
前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記可変電圧の制御により前記容量の第1端と第2端との間に電位差を生じさせる、請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項12】
前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させる、請求項1~11のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項13】
第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチのオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い低電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチのオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置であって、
前記第1スイッチをオン状態にし、前記第2スイッチをオフ状態にする第1状態と、
前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする第2状態と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にする第3状態と、
前記第3状態よりも前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、
を有し、
前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、
前記デッドタイム期間の長さを調整する、スイッチ制御装置。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置又は請求項13に記載のスイッチ制御装置を備える、車載機器。
【請求項15】
請求項14に記載の車載機器と、
前記車載機器に電力を供給するバッテリと、
を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、入力電圧を出力電圧に降圧するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軽負荷時の効率が高いスイッチング電源装置として、オン時間固定制御方式のスイッチング電源装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オン時間固定制御方式のスイッチング電源装置は、負荷の状態に応じてスイッチング周波数が可変するという特徴を有する。スイッチング周波数が変動すると、ノイズの周波数も変動するので、固定周波数のノイズを抑制するノイズ抑制手段(例えばフィルタ回路など)の効果が減少してしまうことがある。したがって、ノイズが問題となる環境下で使用されるスイッチング電源装置のスイッチング周波数は極力固定であることが望ましい。
【0005】
また、部品の特性にばらつきがある場合でもスイッチング電源装置は高効率を維持できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されているスイッチング電源装置は、入力電圧を出力電圧に降圧するよう構成されるスイッチング電源装置である。前記スイッチング電源装置は、第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い低電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン/オフを制御するよう構成される制御部と、を備える。前記制御部は、前記第1スイッチをオン状態にし、前記第2スイッチをオフ状態にする第1状態と、前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする第2状態と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にする第3状態と、前記第3状態よりも前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、を有する。前記制御部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、前記デッドタイム期間の長さを調整する。
【0007】
本明細書中に開示されている一の態様に係るスイッチ制御装置は、第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタの第1端に接続可能に構成される第1スイッチのオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い低電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチのオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置である。前記スイッチ制御装置は、前記第1スイッチをオン状態にし、前記第2スイッチをオフ状態にする第1状態と、前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする第2状態と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にする第3状態と、前記第3状態よりも前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、を有する。前記スイッチ制御装置は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、前記デッドタイム期間の長さを調整する。
【0008】
本明細書中に開示されている一の態様に係る車載機器は、上記構成のスイッチング電源装置又は上記構成のスイッチ制御装置を備える。
【0009】
本明細書中に開示されている一の態様に係る車両は、上記構成の車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本明細書中に開示されている一の態様に係る発明によれば、部品の特性にばらつきがある場合でも高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、第4実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係るスイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、第5実施形態に係る制御部の第1構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、第5実施形態に係る制御部の第2構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、第5実施形態に係る制御部の第3構成例を示す図である。
【
図15】
図15は、第6実施形態に係る制御部の第1構成例を示す図である。
【
図17】
図17は、第6実施形態に係る制御部の第2構成例を示す図である。
【
図19】
図19は、第7実施形態に係る設定回路の第1構成例を示す図である。
【
図21】
図21は、第7実施形態に係る設定回路の第2構成例を示す図である。
【
図23】
図23は、第8実施形態に係る制御部の第1構成例を示す図である。
【
図25】
図25は、第8実施形態に係る制御部の第2構成例を示す図である。
【
図27】
図27は、第8実施形態に係る制御部の第3構成例を示す図である。
【
図29】
図29は、第9実施形態に係る制御部の第1構成例を示す図である。
【
図31】
図31は、第9実施形態に係る制御部の第2構成例を示す図である。
【
図33】
図33は、第9実施形態に係る制御部の第3構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、MOSトランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなるトランジスタをいう。つまり、MOSトランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0013】
本明細書において、基準電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0014】
本明細書において、定電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0015】
本明細書において、定電流とは、理想的な状態において一定である電流を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電流である。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。第1実施形態に係るスイッチング電源装置1A(以下、「スイッチング電源装置1A」という)は、入力電圧VINを出力電圧VOUTに降圧するスイッチング電源装置であって、制御部CNT1と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力帰還部FB1と、を備える。スイッチング電源装置1Aは、軽負荷時に電流連続モードで動作する構成であってもよく、逆流防止機能を有し軽負荷時に電流不連続モードで動作する構成であってもよい。
【0017】
制御部CNT1は、出力帰還部FB1の出力に基づき、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン/オフを制御する。言い換えると、制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン/オフを制御するスイッチ制御装置である。
【0018】
第1スイッチSW1は、第1端が入力電圧VINの印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタL1の第1端に接続可能に構成される。第1スイッチSW1は、入力電圧VINの印加端からインダクタL1に至る電流経路を導通/遮断する。第1スイッチSW1としては、例えばPチャネル型MOSトランジスタ、Nチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。例えば第1スイッチSW1にNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合、入力電圧VINより大きい電圧を生成するためにブートストラップ回路等をスイッチング電源装置1Aに設けるようにすればよい。
【0019】
第2スイッチSW2は、第1端がインダクタL1の第1端及び第1スイッチSW1の第2端に接続可能に構成され、第2端がグランド電位の印加端に接続可能に構成される。第2スイッチSW2は、グランド電位の印加端からインダクタL1に至る電流経路を導通/遮断する。第2スイッチSW2としては、例えばNチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。
【0020】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のスイッチングによって、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードにパルス状のスイッチ電圧VSWが生成される。インダクタL1及び出力コンデンサC1は、パルス状のスイッチ電圧VSWを平滑化して出力電圧VOUTを生成し、その出力電圧VOUTを出力電圧VOUTの印加端に供給する。出力電圧VOUTの印加端には負荷LD1が接続され、負荷LD1に出力電圧VOUTが供給される。
【0021】
出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTに応じた帰還信号を生成して出力する。出力帰還部FB1としては、例えば出力電圧VOUTを抵抗分圧して帰還信号を生成する抵抗分圧回路等を用いることができる。また例えば、出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTを取得し、出力電圧VOUTそのものを帰還信号として出力する構成であってもよい。なお、出力帰還部FB1は、出力電圧VOUTに応じた帰還信号に加えて、インダクタL1を流れる電流(以下、「インダクタ電流IL」という)に応じた帰還信号も生成して出力する構成であってもよい。出力帰還部FB1がインダクタ電流ILに応じた帰還信号も生成することで、電流モード制御が可能になる。
【0022】
図2は、スイッチング電源装置1Aの動作を示すタイミングチャートである。制御部CNT1は、出力帰還部FB1から出力される帰還信号に応じて第1状態ST1の長さを設定する。負荷LD1が軽負荷であるほど第1状態ST1の長さは短くなる。
【0023】
第1状態ST1において、制御部CNT1は、第1スイッチSW1をオン状態にし、第2スイッチSW2をオフ状態にする。第1状態ST1において、スイッチ電圧VSWは、入力電圧VINに第1スイッチSW1のボディダイオードの順方向電圧を加えた値になった後、入力電圧VINと略同一の値になる。第1状態ST1において、インダクタ電流ILは時間経過とともに増加する。
【0024】
第1状態ST1が終了すると、制御部CNT1は、制御の状態を第1状態ST1から第2状態ST2に切り替える。
【0025】
第2状態ST2において、制御部CNT1は、第1スイッチSW1をオフ状態にし、第2スイッチSW2をオン状態にする。第2状態ST2において、スイッチ電圧VSWは、グランド電位GNDと略同一の値になる。第2状態ST2において、インダクタ電流ILは時間経過とともに減少する。
【0026】
インダクタ電流ILが所定値まで減少すると、制御部CNT1は、第2状態ST2を終了し、制御の状態を第2状態ST2から第3状態ST3に切り替える。インダクタ電流ILが所定値まで減少したか否かを判定する判定部(不図示)は、制御部CNT1とは別個に設けられてもよく、制御部CNT1に内蔵されてもよい。なお、本実施形態では、上記の所定値を零としている。
【0027】
第3状態ST3において、制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にする。第3状態ST3において、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードはハイインピーダンス状態になり、スイッチ電圧VSWは、出力電圧VOUTと略同一の値になる。第2状態ST2において、インダクタ電流ILは零になる。
【0028】
周期信号S1は、固定周期Tfixでパルスが発生する信号である。周期信号S1は、制御部CNT1の内部で生成される信号でもよく、制御部CNT1の外部で生成されて制御部CNT1によって取得される信号でもよい。
【0029】
周期信号S1のパルスが立ち上がると、制御部CNT1は、第3状態ST3を終了し、制御の状態を第3状態ST3から第4状態ST4に切り替える。
【0030】
第4状態ST4において、制御部CNT1は、第1スイッチSW1をオフ状態にし、第2スイッチSW2をオン状態にする。第4状態ST4において、スイッチ電圧VSWは、グランド電位GNDと略同一の値になる。第4状態ST4において、インダクタ電流ILは出力電圧VOUTの印加端から第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードに向かって流れ、電流量は時間経過ともに増加する。第4状態ST4において、インダクタ電流ILは回生する。インダクタ電流ILの回生エネルギーが第4状態ST4から第1状態ST1に切り替わったときに開放されることにより、第4状態ST4から第1状態ST1に切り替わったときにスイッチ電圧VSWが急峻に上昇する。
【0031】
周期信号S1のパルスが立ち下がると、制御部CNT1は、第4状態ST4を終了し、制御の状態を第4状態ST4から第1状態ST1に切り替える。
【0032】
制御部CNT1は、固定周期Tfixで第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。なお、第1状態ST1と第2状態ST2との間、第4状態ST4と第1状態ST1との間それぞれに、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の双方がオフ状態になるデッドタイム期間を設けることが望ましい。第1状態ST1と第2状態ST2との間、第4状態ST4と第1状態ST1との間それぞれにデッドタイム期間を設ける場合、固定周期Tfixは、第1状態ST1、第1状態ST1と第2状態ST2との間に設けられるデッドタイム期間、第2状態ST2、第3状態ST3、第4状態ST4、及び第4状態ST4と第1状態ST1との間に設けられるデッドタイム期間を合計した期間と一致する。
【0033】
スイッチング電源装置1Aは、固定周期Tfixで動作し第3状態ST3において損失が生じない構成であるので、スイッチング周波数を変動させることなく高効率化を図ることができる。負荷LD1が軽負荷であるときには第1状態ST1の長さが短くなり第3状態ST3の長さが長くなるので、スイッチング電源装置1Aは、負荷LD1が軽負荷であるときの効率を大幅に向上させることができる。
【0034】
本実施形態の変形例として、第2スイッチSW2は、第2端が入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の低電圧の印加端に接続可能に構成されてもよい。
【0035】
<第2実施形態>
第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
図3は、第2実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。第2実施形態に係るスイッチング電源装置1B(以下、「スイッチング電源装置1B」という)は、スイッチング電源装置1AにスイッチSW3を追加した構成である。
【0036】
スイッチSW3はスイッチSW2に並列接続される。すなわち、スイッチSW3の第1端はスイッチSW2の第1端に接続され、スイッチSW3の第2端はスイッチSW2の第2端に接続される。第3スイッチSW3としては、例えばNチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン/オフに加えて第3スイッチSW3のオン/オフも制御する。
【0037】
スイッチSW3は、スイッチSW2よりもオン抵抗(オン状態での第1端と第2端との間の抵抗)及び容量(第1端と第2端との間の寄生容量)の少なくとも一方が小さい。
【0038】
図4は、スイッチング電源装置1Bの動作を示すタイミングチャートである。スイッチング電源装置1Bの動作は、第4状態ST4において制御部CNT1が第2スイッチSW2をオフ状態にする点で、スイッチング電源装置1Aの動作と異なっている。
【0039】
第4状態ST4において、制御部CNT1は、第2スイッチSW2の代わりに、第3スイッチSW3をオン状態にする。上述した通りスイッチSW3はスイッチSW2よりもオン抵抗及び容量の少なくとも一方が小さいので、スイッチング電源装置1Bはスイッチング電源装置1Aよりも第4状態ST4における損失を小さくすることができる。
【0040】
一方、第1状態ST1、第2状態ST2、及び第3状態ST3において、制御部CNT1は、第3スイッチSW3をオフ状態にする。
【0041】
スイッチング電源装置1Bは、固定周期Tfixで動作し第3状態ST3において損失が生じない構成であるので、スイッチング周波数を変動させることなく高効率化を図ることができる。負荷LD1が軽負荷であるときには第1状態ST1の長さが短くなり第3状態ST3の長さが長くなるので、スイッチング電源装置1Bは、負荷LD1が軽負荷であるときの効率を大幅に向上させることができる。
【0042】
本実施形態の変形例として、第4状態ST4において、制御部CNT1は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の両方をオン状態にしてもよい。
【0043】
また本実施形態の変形例として、第2スイッチSW2の第2端及び第3スイッチSW3の第2端は、入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の低電圧の印加端に接続可能に構成されてもよい。
【0044】
<第3実施形態>
第3実施形態において、第2実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
図5は、第3実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。第3実施形態に係るスイッチング電源装置1C(以下、「スイッチング電源装置1C」という)は、スイッチング電源装置1AにスイッチSW3、容量C2、及びスイッチSW4を追加した構成である。
【0045】
スイッチSW3の第1端は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードに接続される。スイッチSW3の第2端は、容量C2の第1端及び第4スイッチSW4の第1端に接続される。容量C2の第2端及び第4スイッチSW4の第2端はグランド電位に接続される。第3スイッチSW3としては、例えばNチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。第4スイッチSW4としては、例えばNチャネル型MOSトランジスタ等を用いることができる。制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオン/オフに加えて第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4のオン/オフも制御する。
【0046】
スイッチSW3は、スイッチSW2よりもオン抵抗(オン状態での第1端と第2端との間の抵抗)及び容量(第1端と第2端との間の寄生容量)の少なくとも一方が小さい。なお、本実施形態とは異なり、スイッチSW3は、スイッチSW2に対してオン抵抗及び容量が同程度であってもよい。
【0047】
スイッチSW4は、容量C2を放電するためのスイッチである。スイッチSW4がオン状態になると、容量C2の両端が短絡して容量C2が放電する。
【0048】
図6は、スイッチング電源装置1Cの動作を示すタイミングチャートである。スイッチング電源装置1Cの動作はスイッチング電源装置1Bの動作と基本的に同じである。スイッチング電源装置1Cでは、制御部CNT1による第4スイッチSW4のオン/オフ制御が追加されている。制御部CNT1は、第3スイッチSW3のオン/オフと第4スイッチSW4のオン/オフとを相補的に制御する。すなわち、制御部CNT1は、第1状態ST1、第2状態ST2、及び第3状態ST3において第4スイッチSW4をオン状態にし、第4状態ST4において第4スイッチSW4をオフ状態にする。
【0049】
スイッチング電源装置1Cでは、第4状態ST4において、スイッチ電圧SWが、入力電圧VINを、第1スイッチSW1の第1端と第2端との間の寄生容量と、第3スイッチSW3の第1端と第2端との間の寄生容量及び容量C2と、で容量分割した電圧となる。これにより、容量C2の静電容量値によって、第4状態ST4におけるスイッチ電圧SWの値を調整することができる。つまり、容量C2の静電容量値によって、第4状態ST4から第1状態ST1に切り替わったときのスイッチ電圧VSWの立ち上がり具合を調整することができる。
【0050】
例えば、制御部CNT1を半導体集積回路装置に含め、容量C2を当該半導体集積回路装置の外付け部品とすることで、第4状態ST4におけるスイッチ電圧SWの値を調整することが容易になる。
【0051】
スイッチング電源装置1Cは、固定周期Tfixで動作し第3状態ST3において損失が生じない構成であるので、スイッチング周波数を変動させることなく高効率化を図ることができる。負荷LD1が軽負荷であるときには第1状態ST1の長さが短くなり第3状態ST3の長さが長くなるので、スイッチング電源装置1Cは、負荷LD1が軽負荷であるときの効率を大幅に向上させることができる。
【0052】
また本実施形態の変形例として、第2スイッチSW2の第2端、容量C2の第2端、及び第4スイッチSW4の第2端は、入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の低電圧の印加端に接続可能に構成されてもよい。
【0053】
<第4実施形態>
第4実施形態において、第3実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
図7は、第4実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図である。第4実施形態に係るスイッチング電源装置1D(以下、「スイッチング電源装置1D」という)は、スイッチング電源装置1Aに容量C2を追加した構成である。
【0054】
容量C2の第1端は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードに接続される。制御部CNT1は、スイッチSW3の第2端に印加する電圧VAを制御する。例えば、制御部CNT1は、第3状態ST3において電圧VAをHIGHレベル(例えば出力電圧VOUTと同じ値)にし、第1状態ST1、第2状態ST2、及び第4状態ST4において電圧VAをLOWレベル(例えばグランド電位GND)にする。
【0055】
第4状態ST4における電圧VAの値を調整することで、第4状態ST4から第1状態ST1に切り替わったときのスイッチ電圧VSWの立ち上がり具合を調整することができる。
【0056】
スイッチング電源装置1Dは、固定周期Tfixで動作し第3状態ST3において損失が生じない構成であるので、スイッチング周波数を変動させることなく高効率化を図ることができる。負荷LD1が軽負荷であるときには第1状態ST1の長さが短くなり第3状態ST3の長さが長くなるので、スイッチング電源装置1Dは、負荷LD1が軽負荷であるときの効率を大幅に向上させることができる。
【0057】
また本実施形態の変形例として、第2スイッチSW2の第2端は、入力電圧VINよりも低く且つグランド電位以外の低電圧の印加端に接続可能に構成されてもよい。
【0058】
<第5実施形態>
上述した第1~第4実施形態に係るスイッチング電源装置の各制御部CNT1は、負荷LD1が軽負荷であるほど第1状態ST1の長さを短くしている。つまり、第1~第4実施形態に係るスイッチング電源装置では、負荷LD1が軽負荷であるほどスイッチSW1を制御するための制御信号のパルス幅が細くなり、当該制御信号の生成が困難になる。
【0059】
第5実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1~第4実施形態に係るスイッチング電源装置の上記課題を解決することができるスイッチング電源装置である。
【0060】
第5実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。したがって、第5実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0061】
第5実施形態に係る制御部CNT1は、負荷LD1が第1範囲(通常負荷状態)であるときに固定周期で第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。したがって、第5実施形態に係るスイッチング電源装置は、負荷LD1が第1範囲であるときにスイッチング周波数を固定することができる。
【0062】
第5実施形態に係る制御部CNT1は、負荷LD1が第1範囲より軽負荷である第2範囲(軽負荷状態)であるときに負荷LD1が軽いほど周期を長くして第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。したがって、第5実施形態に係るスイッチング電源装置は、負荷LD1が第2範囲であるときにスイッチSW1を制御するための制御信号のパルス幅が細くなることを抑制する。つまり、第5実施形態に係るスイッチング電源装置では、負荷LD1が軽負荷状態であっても正常なスイッチング制御が容易になる。
【0063】
第5実施形態に係る制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にするデッドタイム期間DTを第4状態ST4と第1状態ST1との間に設けている。そして、第5実施形態に係る制御部CNT1は、部品のばらつきが無い場合にインダクタ電流ILのゼロクロス点において第1状態STを開始するように、デッドタイム期間DTの長さ及び第4状態ST4の長さそれぞれを固定値に設定する。これにより、第5実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1スイッチSW1がターンオンするときの損失を低減することができるため、より一層高効率化を図ることができる。
【0064】
<<第5実施形態に係る制御部の第1構成例>>
図9は、第5実施形態に係る制御部CNT1の第1構成例を示す図である。
図10は、
図9に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0065】
図9に示す制御部CNT1は、エラーアンプ1と、PWM(Pulse Width Modulation)コンパレータ2と、ANDゲート3と、ラッチ回路4と、ドライバ5と、PFM(Pulse Frequency Modulation)コンパレータ6と、セレクタ7と、遅延回路8と、ゼロクロス点検出回路9と、ラッチ回路10と、を備える。なお、
図9に示す構成では、ラッチ回路4の一例としてRSフリップフロップが用いられ、ラッチ回路10の一例としてDフリップフロップが用いられている。そのため、以下の説明では、ラッチ回路4をRSフリップフロップ4として説明し、ラッチ回路10をDフリップフロップ10として説明する。
【0066】
エラーアンプ1は、出力帰還部FB1から出力される帰還信号VFBと基準電圧VREFとの差に応じたエラー信号VERRを出力する。
【0067】
PWMコンパレータ2は、エラー信号VERRとランプ電圧VRAMPとの比較結果であるPWM信号VPWMを出力する。
【0068】
ANDゲート3は、PWM信号VPWMと遅延信号ONDLYとの論理積であるリセット信号RSTを出力する。遅延信号ONDLYについて後述する。
【0069】
RSフリップフロップ4は、セット端子(S端子)に供給される信号をRSフリップフロップ4の内部で遅延させて遅延信号LON2DLYを生成する。RSフリップフロップ4は、遅延信号LON2DLYでセットされリセット信号RSTでリセットされるオン時間設定電圧VONを生成して出力する。
【0070】
ドライバ5は、オン時間設定電圧VONに基づき第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。
【0071】
PFMコンパレータ6は、出力帰還部FB1から出力される帰還信号VFBと基準電圧VPFMREFとの差に応じた信号VPFMOUTを出力する。信号VPFMOUTでは、出力電圧VOUTが一定値未満になったときにパルスが発生する。
【0072】
セレクタ7は、周期信号S1と信号VPFMOUTとのいずれかを選択してRSフリップフロップ4のセット端子(S端子)に供給する。セレクタ7は、軽負荷モード信号LCMMODEがローレベルであるときに周期信号S1を選択する。セレクタ7は、軽負荷モード信号LCMMODEがハイレベルであるときに信号VPFMOUTを選択する。軽負荷モード信号LCMMODEについては後述する。
【0073】
遅延回路8は、オン時間設定電圧VONを第1所定時間遅延させた遅延信号ONDLYを生成する。遅延回路8は、オン時間設定電圧VONを第2所定時間遅延させた遅延信号LCMDLYを生成する。第2所定時間は、第1所定時間より長い。
【0074】
ゼロクロス点検出回路9は、インダクタ電流ILのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点検出信号ZXを出力する。ゼロクロス点検出回路9から出力されるゼロクロス点検出信号ZXは、インダクタ電流ILが正から減少してゼロクロス点に達したときにハイレベルになる。
【0075】
Dフリップフロップ10は、ゼロクロス点検出信号ZXに同期して遅延信号LCMDLYを保持し、保持した遅延信号LCMDLYの反転信号を出力する。Dフリップフロップ10が保持した遅延信号LCMDLYの反転信号は、上述した軽負荷モード信号LCMMODEである。
【0076】
図9に示す制御部CNT1は、第1状態ST1の開始時点からインダクタ電流ILのゼロクロス点を検出するまでの時間が一定値(第2所定時間)未満であるとき負荷LD1が軽負荷状態であると判定する。
【0077】
図9に示す制御部CNT1は、遅延信号ONDLYを用いて、負荷LD1が軽負荷状態であるときに第1状態ST1の最小時間(第1所定時間)を設定する。これにより、第1状態ST1の長さが短くなり過ぎることがないため、正常なスイッチング制御がより一層容易になる。
【0078】
<<第5実施形態に係る制御部の第2構成例>>
図11は、第5実施形態に係る制御部の第2構成例を示す図である。
図12は、
図11に示す制御部の動作を示すタイミングチャートである。なお、本構成例において第1構成例と同様の部分については適宜説明を省略する。
【0079】
図11に示す制御部CNT1は、エラーアンプ1と、PWMコンパレータ2と、RSフリップフロップ4と、ドライバ5と、PFMコンパレータ6と、セレクタ7と、を備える。
【0080】
本構成例では、PWM信号VPWMがリセット信号RSTとなる。
【0081】
セレクタ7は、信号VPFMOUTがローレベルであるときに周期信号S1を選択する。セレクタ7は、信号VPFMOUTがハイレベルであるときに信号VPFMOUTを選択する。
【0082】
図11に示す制御部CNT1は、エラー信号VERRが基準電圧VPFMREFを超えているとき負荷LD1が軽負荷状態であると判定する。
【0083】
<<第5実施形態に係る制御部の第3構成例>>
図13は、第5実施形態に係る制御部の第3構成例を示す図である。
図14は、
図13に示す制御部の動作を示すタイミングチャートである。なお、本構成例において第2構成例と同様の部分については適宜説明を省略する。
【0084】
図13に示す制御部CNT1は、
図11に示す制御部CNT1に対して、ANDゲート3及び遅延回路8が追加されている。
【0085】
ANDゲート3及び遅延回路8は、遅延回路8が遅延信号ONDLYのみを生成する点を除いて第1構成例と同様である。
【0086】
図13に示す制御部CNT1は、エラー信号VERRが基準電圧VPFMREFを超えているとき負荷LD1が軽負荷状態であると判定する。
【0087】
図13に示す制御部CNT1は、遅延信号ONDLYを用いて、負荷LD1が軽負荷状態であるときに第1状態ST1の最小時間(第1所定時間)を設定する。これにより、第1状態ST1の長さが短くなり過ぎることがないため、正常なスイッチング制御がより一層容易になる。
【0088】
<<第5実施形態の変形例>>
第5実施形態に係るスイッチング電源装置は、上述した通り第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。しかしながら、第2~第4実施形態に係るスイッチング電源装置に対しても同様の改良を実施することができる。また、第5実施形態に係るスイッチング電源装置に対して、第1~第4実施形態において説明した変形例と同様の変形を実施することもできる。
【0089】
<第6実施形態>
上述した第1~第5実施形態に係るスイッチング電源装置の各制御部CNT1は、負荷LD1が重負荷であるほど第1状態ST1の長さを長くしている。つまり、第1~第5実施形態に係るスイッチング電源装置では、負荷LD1が重負荷であるほどスイッチSW1を制御するための制御信号のパルス幅が太くなり、固定周期Tfix内での制御が困難になる。
【0090】
第6実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1~第5実施形態に係るスイッチング電源装置の上記課題を解決することができるスイッチング電源装置である。
【0091】
第6実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。したがって、第6実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0092】
第6実施形態に係る制御部CNT1は、周期信号S1に基づく固定周期で第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。したがって、第6実施形態に係るスイッチング電源装置は、周期信号S1に同期してスイッチング周波数を固定することができる。
【0093】
第6実施形態に係る制御部CNT1は、インダクタ電流ILのゼロクロス点を検出するまで周期信号S1をマスクする。したがって、第6実施形態に係る制御部CNT1は、負荷LD1が通常負荷状態よりも重負荷である重負荷状態であるときに、周期信号S1に同期せずに動作する。これにより、第6実施形態に係るスイッチング電源装置では、負荷LD1が重負荷状態であっても正常なスイッチング制御が容易になる。
【0094】
第6実施形態に係る制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にするデッドタイム期間DTを第4状態ST4と第1状態ST1との間に設けている。そして、第6実施形態に係る制御部CNT1は、部品のばらつきが無い場合にインダクタ電流ILのゼロクロス点において第1状態STを開始するように、デッドタイム期間DTの長さ及び第4状態ST4の長さそれぞれを固定値に設定する。これにより、第6実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1スイッチSW1がターンオンするときの損失を低減することができるため、より一層高効率化を図ることができる。
【0095】
<<第6実施形態に係る制御部の第1構成例>>
図15は、第6実施形態に係る制御部CNT1の第1構成例を示す図である。
図16は、
図15に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0096】
図15に示す制御部CNT1は、エラーアンプ21と、PWMコンパレータ22と、ANDゲート23と、ラッチ回路24と、ドライバ25と、ラッチ回路26と、ANDゲート27と、遅延回路28と、ゼロクロス点検出回路29と、ラッチ回路30と、NOTゲート31と、を備える。なお、
図15に示す構成では、ラッチ回路24の一例としてRSフリップフロップが用いられ、ラッチ回路26及び30それぞれの一例としてDフリップフロップが用いられている。そのため、以下の説明では、ラッチ回路24をRSフリップフロップ24として説明し、ラッチ回路26をDフリップフロップ26として説明し、ラッチ回路30をDフリップフロップ30として説明する。
【0097】
エラーアンプ21は、出力帰還部FB1から出力される帰還信号VFBと基準電圧VREFとの差に応じたエラー信号VERRを出力する。
【0098】
PWMコンパレータ22は、エラー信号VERRとランプ電圧VRAMPとの比較結果であるPWM信号VPWMを出力する。
【0099】
ANDゲート23は、PWM信号VPWMと遅延信号ONDLYとの論理積であるリセット信号RSTを出力する。遅延信号ONDLYについて後述する。
【0100】
RSフリップフロップ24は、セット端子(S端子)に供給される信号をRSフリップフロップ4の内部で遅延させて遅延信号LON2DLYを生成する。RSフリップフロップ4は、遅延信号LON2DLYでセットされリセット信号RSTでリセットされるオン時間設定電圧VONを生成して出力する。
【0101】
ドライバ25は、オン時間設定電圧VONに基づき第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。
【0102】
Dフリップフロップ26は、D端子に供給される電圧VCCを周期信号S1に同期して保持する。Dフリップフロップ26のD端子に供給される電圧VCCの値は、ANDゲート27においてハイレベルの信号として処理される値に設定される。Dフリップフロップ26は、NOTゲート31から出力されるオン時間設定電圧VONの論理反転信号によってクリアされる。
【0103】
ANDゲート27は、Dフリップフロップ26の出力と、Dフリップフロップ30の出力との論理積をRSフリップフロップ24のセット端子(S端子)に供給する。
【0104】
遅延回路28は、オン時間設定電圧VONを所定時間遅延させた遅延信号ONDLYを生成する。
【0105】
ゼロクロス点検出回路29は、インダクタ電流ILのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点検出信号ZXを出力する。ゼロクロス点検出回路29から出力されるゼロクロス点検出信号ZXは、インダクタ電流ILが正から減少してゼロクロス点に達したときにハイレベルになる。
【0106】
Dフリップフロップ30は、D端子に供給される電圧VCCをゼロクロス点検出信号ZXに同期して保持する。Dフリップフロップ26のD端子に供給される電圧VCCの値は、ANDゲート27においてハイレベルの信号として処理される値に設定される。Dフリップフロップ30は、NOTゲート31から出力されるオン時間設定電圧VONの論理反転信号によってクリアされる。
【0107】
NOTゲート31は、オン時間設定電圧VONの論理反転信号をDフリップフロップ26及び30の各クリア端子に供給する。
【0108】
図15に示す制御部CNT1は、周期信号S1のパルス発生よりも後にインダクタ電流ILのゼロクロス点が検出された場合に、インダクタ電流ILのゼロクロス点が検出された時点で第4状態ST1を開始する。これにより、周期信号S1のパルス発生よりも後にインダクタ電流ILのゼロクロス点が検出された場合すなわち重負荷の場合に、負荷の大きさに応じてスイッチング周波数を変化させることができる。つまり、重負荷における負荷応答性を良好にすることができる。
【0109】
<<第6実施形態に係る制御部の第2構成例>>
図17は、第6実施形態に係る制御部の第2構成例を示す図である。
図18は、
図17に示す制御部の動作を示すタイミングチャートである。なお、本構成例において第1構成例と同様の部分については適宜説明を省略する。
【0110】
図17に示す制御部CNT1は、
図15に示す制御部CNT1からDフリップフロップ26を取り除いた構成である。
図17に示す制御部CNT1では、ANDゲート27は、周期信号S1と、Dフリップフロップ30の出力との論理積をRSフリップフロップ24のセット端子(S端子)に供給する。
【0111】
図17に示す制御部CNT1は、周期信号S1のパルス発生よりも後にインダクタ電流ILのゼロクロス点が検出された場合に、インダクタ電流ILのゼロクロス点が検出された時点よりも後の周期信号S1の次のパルス発生時点で第4状態ST4を開始する。これにより、周期信号S1のパルス発生よりも後にインダクタ電流ILのゼロクロス点が検出された場合すなわち重負荷の場合に、スイッチング周波数を周期信号S1の周波数の倍数で変化させることができる。つまり、スイッチング周波数を離散的かつ限定的にすることができる。
【0112】
<<第6実施形態の変形例>>
第6実施形態に係るスイッチング電源装置は、上述した通り第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。しかしながら、第2~第5実施形態に係るスイッチング電源装置に対しても同様の改良を実施することができる。また、第6実施形態に係るスイッチング電源装置に対して、第1~第5実施形態において説明した変形例と同様の変形を実施することもできる。
【0113】
<第7実施形態>
上述した第1~第6実施形態に係るスイッチング電源装置の各制御部CNT1は、第4状態ST4の長さを一定にしている。そのため、第1~第6実施形態に係るスイッチング電源装置では、入力電圧VINが変動すると、第4状態ST4において蓄えられるインダクタ電流ILの回生エネルギーがスイッチSW1のソフトスイッチングに対して適切な量でなくなる。つまり、第1~第6実施形態に係るスイッチング電源装置では、入力電圧VINが変動すると、効率が低下する。
【0114】
第7実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1~第6実施形態に係るスイッチング電源装置の上記課題を解決することができるスイッチング電源装置である。
【0115】
第7実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。したがって、第7実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0116】
第7実施形態に係る制御部CNT1は、固定周期で第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。したがって、第7実施形態に係るスイッチング電源装置は、スイッチング周波数を固定することができる。
【0117】
第7実施形態に係る制御部CNT1は、入力電圧VINが大きいほど第4状態ST4の長さを長くする。これにより、後述するデッドタイム期間DTの終了時点においてスイッチ電圧VSWが入力電圧VINより大きくなり、電流がインダクタL1から第1スイッチSW1の寄生ダイオードを介して入力電圧VINの印加端に流れることを防止可能となる。したがって、第7実施形態に係るスイッチング電源装置は、入力電圧VINの値にかかわらず高効率化を図ることができる。
【0118】
第7実施形態に係る制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にするデッドタイム期間DTを第4状態ST4と第1状態ST1との間に設けている。そして、第7実施形態に係る制御部CNT1は、部品のばらつきが無い場合にインダクタ電流ILのゼロクロス点において第1状態STを開始するように、デッドタイム期間DTの長さを固定値に設定し、入力電圧VINが一定値であるときの第4状態ST4の長さを固定値に設定する。これにより、第7実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1スイッチSW1がターンオンするときの損失を低減することができるため、より一層高効率化を図ることができる。
【0119】
<<第7実施形態に係る制御部の第1構成例>>
図19は、第7実施形態に係る設定回路の第1構成例を示す図である。
図20は、
図19に示す設定回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0120】
第7実施形態に係る制御部CNT1の第1構成例は、
図19に示す設定回路を備える。
図19に示す設定回路は、電流源41と、キャパシタ42と、短絡スイッチ43と、電圧源44と、コンパレータ45と、を備える。
【0121】
電流源41は、入力電圧VINに反比例する電流を出力する。
【0122】
キャパシタ42は、電流源41によって充電される。キャパシタ42の充電中、キャパシタ42の充電電圧VCAPは、入力電圧VINに反比例する傾きで上昇する。
【0123】
短絡スイッチ43は、キャパシタ42の充電電圧VCAPが定電圧VCを超えるとオンになり、キャパシタ42の両端を短絡させてキャパシタ42を放電させる。
【0124】
電圧源44は、定電圧VCを出力する。
【0125】
コンパレータ45は、キャパシタの充電電圧VCAPと定電圧VCとの比較結果である電圧VST4を出力する。第7実施形態に係る制御部CNT1の第1構成例は、電圧VST4がハイレベルである期間を第4状態とする。
【0126】
<<第7実施形態に係る制御部の第2構成例>>
図21は、第7実施形態に係る設定回路の第2構成例を示す図である。
図22は、
図21に示す設定回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0127】
第7実施形態に係る制御部CNT1の第2構成例は、
図21に示す設定回路を備える。
図21に示す設定回路は、電流源41と、キャパシタ42と、短絡スイッチ43と、電圧源44と、コンパレータ45と、を備える。
【0128】
電流源41は、定電流を出力する。
【0129】
キャパシタ42は、電流源41によって充電される。キャパシタ42の充電中、キャパシタ42の充電電圧VCAPは、一定の傾きで上昇する。
【0130】
短絡スイッチ43は、キャパシタ42の充電電圧VCAPが可変電圧VVを超えるとオンになり、キャパシタ42の両端を短絡させてキャパシタ42を放電させる。
【0131】
電圧源44は、入力電圧VINに比例する可変電圧VVを出力する。
【0132】
コンパレータ45は、キャパシタの充電電圧VCAPと可変電圧VVとの比較結果である電圧VST4を出力する。第7実施形態に係る制御部CNT1の第2構成例は、電圧VST4がハイレベルである期間を第4状態とする。
【0133】
<<第7実施形態の変形例>>
第7実施形態に係るスイッチング電源装置は、上述した通り第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。しかしながら、第2~第6実施形態に係るスイッチング電源装置に対しても同様の改良を実施することができる。また、第7実施形態に係るスイッチング電源装置に対して、第1~第6実施形態において説明した変形例と同様の変形を実施することもできる。
【0134】
<第8実施形態>
上述した第5~第8実施形態に係るスイッチング電源装置の各制御部CNT1は、デッドタイム期間DTの長さを固定値に設定している。第5~第7実施形態に係るスイッチング電源装置では、部品のばらつきによってデッドタイム期間DTの長さが適切な長さから外れ、スイッチSW1がターンオンしたときの損失が大きくなって効率が低下するおそれがある。
【0135】
第8実施形態に係るスイッチング電源装置は、第5~第7実施形態に係るスイッチング電源装置の上記課題を解決することができるスイッチング電源装置である。
【0136】
第8実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。したがって、第8実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0137】
第8実施形態に係る制御部CNT1は、固定周期で第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。したがって、第8実施形態に係るスイッチング電源装置は、スイッチング周波数を固定することができる。
【0138】
第8実施形態に係る制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にするデッドタイム期間DTを第4状態ST4と第1状態ST1との間に設けている。そして、第8実施形態に係る制御部CNT1は、第4状態ST4の長さを固定値に設定する。また、第8実施形態に係る制御部CNT1は、デッドタイム期間の長さを調整する。これにより、第8実施形態に係るスイッチング電源装置は、部品の特性にばらつきがある場合でも第1スイッチSW1がターンオンするときの損失を低減することができる。したがって、第8実施形態に係るスイッチング電源装置は、部品の特性にばらつきがある場合でもより一層高効率化を図ることができる。
【0139】
<<第8実施形態に係る制御部の第1構成例>>
図23は、第8実施形態に係る制御部CNT1の第1構成例を示す図である。
図24は、
図23に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0140】
図23に示す制御部CNT1は、ラッチ回路51と、遅延回路52と、ゼロカレントスイッチ遅延回路53と、ドライバ54と、ゼロクロス点検出回路55と、ラッチ回路56と、アップダウンカウンタ57と、を備える。なお、
図23に示す構成では、ラッチ回路51の一例としてRSフリップフロップが用いられ、ラッチ回路56の一例としてDフリップフロップが用いられている。そのため、以下の説明では、ラッチ回路51をRSフリップフロップ51として説明し、ラッチ回路56をDフリップフロップ56として説明する。
【0141】
RSフリップフロップ51は、セット端子(S端子)に供給されるセット信号SETでセットされ、リセット端子(R端子)に供給されるリセット信号RSTでリセットされる信号LON2を生成して出力する。本構成例では、セット信号SETとして周期信号S1が用いられ、リセット信号RSTとして
図9に示す例と同様の手法によって生成されるPWM信号VPWMが用いられる。
【0142】
遅延回路52は、信号LON2の立ち上がりエッジを所定時間遅延させ信号LON2の立ち下がりエッジを遅延させない遅延信号LON2DLYを生成する。上記の所定時間は、第4状態ST4の長さになる。
【0143】
ゼロカレントスイッチ遅延回路53は、遅延信号LON2DLYを可変時間遅延させたオン時間設定電圧VONを生成する。上記の可変時間は、デッドタイム期間DTの長さになる。上記の可変時間は、アップダウンカウンタ57のカウント値が大きいほど長くなる。
【0144】
ドライバ54は、オン時間設定電圧VONに基づき第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。
【0145】
ゼロクロス点検出回路55は、インダクタ電流ILのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点検出信号ZXを出力する。ゼロクロス点検出回路55から出力されるゼロクロス点検出信号ZXは、インダクタ電流ILが負であるときにハイレベルになり、インダクタ電流ILが負でないときにローレベルになる。
【0146】
Dフリップフロップ56は、オン時間設定電圧VONに同期してゼロクロス点検出信号ZXを保持し、保持したゼロクロス点検出信号ZXの反転信号を出力する。Dフリップフロップ56が保持したゼロクロス点検出信号ZXの反転信号は、信号ZCSCALである。Dフリップフロップ56のクリア端子に遅延信号LON2DLYが供給される。遅延信号LON2DLYがローレベルのときにDフリップフロップ56はクリアされ、遅延信号LON2DLYがハイレベルのときにDフリップフロップ56はクリアされない。
【0147】
アップダウンカウンタ57は、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジにおいて信号ZCSCALがハイレベルであればカウント値を1つデクリメントし、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジにおいて信号ZCSCALがローレベルであればカウント値を1つインクリメントする。
【0148】
図23に示す制御部CNT1は、デッドタイム期間DTの終了時点でインダクタ電流ILが負であれば次のデッドタイム期間DTの長さを長くし、デッドタイム期間DTの終了時点でインダクタ電流ILが正であれば次のデッドタイム期間DTの長さを短くする。したがって、
図23に示す制御部CNT1は、第1スイッチSW1がターンオンするタイミングを、インダクタ電流ILのゼロクロス点に近づけることができる。
【0149】
<<第8実施形態に係る制御部の第2構成例>>
図25は、第8実施形態に係る制御部CNT1の第2構成例を示す図である。
図26は、
図25に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。なお、本構成例において第1構成例と同様の部分については適宜説明を省略する。
【0150】
図25に示す制御部CNT1は、
図23に示す制御部CNT1からゼロクロス点検出回路55を取り除き、電圧源58及びコンパレータ59を追加し、信号ZCSCALをDフリップフロップ56が保持したゼロクロス点検出信号ZXとした構成である。
図25に示す制御部CNT1では、コンパレータ59は、スイッチ電圧VSWと電圧源58から出力される基準電圧VREF0との比較結果をDフリップフロップ56のD端子に供給する。
【0151】
図25に示す制御部CNT1は、デッドタイム期間DTの終了時点でスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF0より小さければ次のデッドタイム期間DTの長さを長くし、デッドタイム期間DTの終了時点でスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF0より大きければ次のデッドタイム期間DTの長さを短くする。したがって、
図25に示す制御部CNT1は、第1スイッチSW1がターンオンするタイミングを、インダクタ電流ILのゼロクロス点に近づけることができる。
【0152】
<<第8実施形態に係る制御部の第3構成例>>
図27は、第8実施形態に係る制御部CNT1の第3構成例を示す図である。
図28は、
図27に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0153】
図27に示す制御部CNT1は、ラッチ回路51と、遅延回路52と、ドライバ54と、ゼロクロス点検出回路60と、NOTゲート61と、ラッチ回路62と、ANDゲート63と、を備える。なお、
図27に示す構成では、ラッチ回路51の一例としてRSフリップフロップが用いられ、ラッチ回路62の一例としてDフリップフロップが用いられている。そのため、以下の説明では、ラッチ回路51をRSフリップフロップ51として説明し、ラッチ回路62をDフリップフロップ62として説明する。
【0154】
RSフリップフロップ51は、セット端子(S端子)に供給されるセット信号SETでセットされ、リセット端子(R端子)に供給されるリセット信号RSTでリセットされる信号LON2を生成して出力する。本構成例では、セット信号SETとして周期信号S1が用いられ、リセット信号RSTとして
図9に示す例と同様の手法によって生成されるPWM信号VPWMが用いられる。
【0155】
遅延回路52は、信号LON2を所定時間遅延させた遅延信号LON2DLYを生成する。上記の所定時間は、第4状態ST4の長さになる。
【0156】
ゼロクロス点検出回路60は、インダクタ電流ILのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点検出信号ZXを出力する。ゼロクロス点検出回路60から出力されるゼロクロス点検出信号ZXは、インダクタ電流ILが負であるときにハイレベルになり、インダクタ電流ILが負でないときにローレベルになる。
【0157】
NOTゲート61は、ゼロクロス点検出回路60から出力されるゼロクロス点検出信号ZXを反転させる。Dフリップフロップ62は、D端子に供給される電圧VCCをゼロクロス点検出信号ZXの反転信号に同期して保持し、保持した電圧VCCを出力する。Dフリップフロップ62のD端子に供給される電圧VCCの値は、ANDゲート63においてハイレベルの信号として処理される値に設定される。
【0158】
ANDゲート63は、遅延信号LON2DLYとDフリップフロップ62の出力との論理積であるオン時間設定電圧VONを生成する。
【0159】
ドライバ54は、オン時間設定電圧VONに基づき第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。
【0160】
図27に示す制御部CNT1は、インダクタ電流ILのゼロクロス点において第1状態ST1を開始する。したがって、
図27に示す制御部CNT1は、第1スイッチSW1がターンオンするタイミングを、インダクタ電流ILのゼロクロス点に略一致させることができる。
【0161】
<<第8実施形態の変形例>>
第8実施形態に係るスイッチング電源装置は、上述した通り第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。しかしながら、第2~第7実施形態に係るスイッチング電源装置に対しても同様の改良を実施することができる。また、第8実施形態に係るスイッチング電源装置に対して、第1~第7実施形態において説明した変形例と同様の変形を実施することもできる。
【0162】
<第9実施形態>
上述した第5、第6、及び第8実施形態に係るスイッチング電源装置の各制御部CNT1は、第4状態ST4の長さを固定値に設定している。また、上述した第7実施形態に係るスイッチング電源装置の各制御部CNT1では、入力電圧VINが変動しなければ第4状態ST4の長さは一定である。このため、第5~第8実施形態に係るスイッチング電源装置では、部品のばらつきによって第4状態ST4の長さが適切な長さから外れ、スイッチSW1がターンオンしたときの損失が大きくなって効率が低下するおそれがある。特に、第4状態ST4の長さが長すぎて第4状態ST4においてインダクタL1に蓄えられる回生エネルギーが過大になると、デッドタイム期間DTの終了時点でのスイッチ電圧VSWが入力電圧VINより大きくなる。このようにデッドタイム期間DTの終了時点でのスイッチ電圧VSWが入力電圧VINより大きくなると、電流がインダクタL1から第1スイッチSW1の寄生ダイオードを介して入力電圧VINの印加端に流れて効率が低下する。
【0163】
第9実施形態に係るスイッチング電源装置は、第5~第8実施形態に係るスイッチング電源装置の上記課題を解決することができるスイッチング電源装置である。
【0164】
第9実施形態に係るスイッチング電源装置は、第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。したがって、第9実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0165】
第9実施形態に係る制御部CNT1は、固定周期で第1状態ST1、第2状態ST2、第3状態ST3、及び第4状態ST4を繰り返す。したがって、第9実施形態に係るスイッチング電源装置は、スイッチング周波数を固定することができる。
【0166】
第9実施形態に係る制御部CNT1は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にするデッドタイム期間DTを第4状態ST4と第1状態ST1との間に設けている。そして、第9実施形態に係る制御部CNT1は、デッドタイム期間DTの長さを固定値に設定する。また、第9実施形態に係る制御部CNT1は、第4状態の長さを調整する。これにより、第9実施形態に係るスイッチング電源装置は、部品の特性にばらつきがある場合でも第1スイッチSW1がターンオンするときの損失を低減することができる。したがって、第9実施形態に係るスイッチング電源装置は、部品の特性にばらつきがある場合でもより一層高効率化を図ることができる。
【0167】
<<第9実施形態に係る制御部の第1構成例>>
図29は、第9実施形態に係る制御部CNT1の第1構成例を示す図である。
図30は、
図29に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0168】
図29に示す制御部CNT1は、ラッチ回路71と、遅延回路72と、ゼロカレントスイッチ遅延回路73と、ドライバ74と、電圧源75と、コンパレータ76と、ラッチ回路77と、アップダウンカウンタ78と、を備える。なお、
図29に示す構成では、ラッチ回路71の一例としてRSフリップフロップが用いられ、ラッチ回路77の一例としてDフリップフロップが用いられている。そのため、以下の説明では、ラッチ回路71をRSフリップフロップ71として説明し、ラッチ回路77をDフリップフロップ77として説明する。
【0169】
RSフリップフロップ71は、セット端子(S端子)に供給されるセット信号SETでセットされ、リセット端子(R端子)に供給されるリセット信号RSTでリセットされる信号LON2を生成して出力する。本構成例では、セット信号SETとして周期信号S1が用いられ、リセット信号RSTとして
図9に示す例と同様の手法によって生成されるPWM信号VPWMが用いられる。
【0170】
遅延回路72は、信号LON2を可変時間遅延させた遅延信号LON2DLYを生成する。上記の可変時間は、第4状態ST4の長さになる。上記の可変時間は、アップダウンカウンタ78のカウント値が大きいほど長くなる。
【0171】
ゼロカレントスイッチ遅延回路73は、遅延信号LON2DLYを所定時間遅延させたオン時間設定電圧VONを生成する。上記の所定時間は、デッドタイム期間DTの長さになる。
【0172】
ドライバ74は、オン時間設定電圧VONに基づき第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。
【0173】
電圧源75は、基準電圧VREF1を出力する。
【0174】
コンパレータ76は、スイッチ電圧VSWと基準電圧VREF1との比較結果をDフリップフロップ77のD端子に供給する。
【0175】
Dフリップフロップ77は、オン時間設定電圧VONに同期してコンパレータ76の比較結果を保持し、保持したコンパレータ76の比較結果を出力する。Dフリップフロップ77が保持したコンパレータ76の比較結果は、信号TchCALである。Dフリップフロップ77のクリア端子に遅延信号LON2DLYが供給される。遅延信号LON2DLYがローレベルのときにDフリップフロップ77はクリアされ、遅延信号LON2DLYがハイレベルのときにDフリップフロップ77はクリアされない。
【0176】
アップダウンカウンタ78は、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジにおいて信号TchCALがハイレベルであればカウント値を1つデクリメントし、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジにおいて信号TchCALがローレベルであればカウント値を1つインクリメントする。
【0177】
図29に示す制御部CNT1は、デッドタイム期間DTの終了時点でスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF1より小さければ第4状態ST4の長さを長くし、デッドタイム期間DTの終了時点でスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF1より大きければ第4状態ST4の長さを短くする。したがって、
図29に示す制御部CNT1は、第1スイッチがターンオンするタイミングでのスイッチ電圧VSWを基準電圧VREF1に近づけることができる。
【0178】
<<第9実施形態に係る制御部の第2構成例>>
図31は、第9実施形態に係る制御部CNT1の第2構成例を示す図である。
図32は、
図31に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0179】
図31に示す制御部CNT1は、
図29に示す制御部CNT1に対して、ゼロクロス点検出回路79及びNOTゲート80を追加した構成である。
【0180】
ゼロクロス点検出回路79は、インダクタ電流ILのゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点検出信号ZXを出力する。ゼロクロス点検出回路79から出力されるゼロクロス点検出信号ZXは、インダクタ電流ILが負であるときにハイレベルになり、インダクタ電流ILが負でないときにローレベルになる。NOTゲート80は、ゼロクロス点検出信号ZXを反転させる。
【0181】
Dフリップフロップ77は、ゼロクロス点検出信号ZXの反転に同期してコンパレータ76の比較結果を保持し、保持したコンパレータ76の比較結果を出力する。
【0182】
アップダウンカウンタ78は、インダクタ電流ILのゼロクロス点において信号TchCALがハイレベルであればカウント値を1つデクリメントし、インダクタ電流ILのゼロクロス点において信号TchCALがローレベルであればカウント値を1つインクリメントする。
【0183】
図31に示す制御部CNT1は、インダクタ電流ILのゼロクロス点においてスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF1より小さければ第4状態ST4の長さを長くし、インダクタ電流ILのゼロクロス点においてスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF1より大きければ第4状態ST4の長さを短くする。したがって、
図31に示す制御部CNT1は、第1スイッチがターンオンするタイミングでのスイッチ電圧VSWを基準電圧VREF1に近づけることができる。
【0184】
<<第9実施形態に係る制御部の第3構成例>>
図33は、第9実施形態に係る制御部CNT1の第3構成例を示す図である。
図34は、
図33に示す制御部CNT1の動作を示すタイミングチャートである。
【0185】
図33に示す制御部CNT1は、
図31に示す制御部CNT1に、電圧源81と、コンパレータ82と、ラッチ回路83と、EXORゲート84と、ANDゲート85と、を追加した構成である。なお、
図33に示す構成では、ラッチ回路83の一例としてDフリップフロップが用いられている。そのため、以下の説明では、ラッチ回路83をDフリップフロップ83として説明する。
【0186】
電圧源81は、基準電圧VREF2を出力する。基準電圧VREF2は、基準電圧VREF1より大きい。
【0187】
コンパレータ82は、スイッチ電圧VSWと基準電圧VREF2との比較結果をDフリップフロップ83のD端子に供給する。
【0188】
Dフリップフロップ83は、オン時間設定電圧VONに同期してコンパレータ82の比較結果を保持し、保持したコンパレータ82の比較結果を出力する。Dフリップフロップ83のクリア端子に遅延信号LON2DLYが供給される。遅延信号LON2DLYがローレベルのときにDフリップフロップ83はクリアされ、遅延信号LON2DLYがハイレベルのときにDフリップフロップ83はクリアされない。
【0189】
EXORゲート84は、Dフリップフロップ77の出力とDフリップフロップ83の出力との排他的論理和の反転信号である信号ACTIVEを生成してアップダウンカウンタ78に出力する。
【0190】
ANDゲート85は、Dフリップフロップ77の出力とDフリップフロップ83の出力との論理積である信号DOWNを生成してアップダウンカウンタ78に出力する。
【0191】
アップダウンカウンタ78は、信号ACTIVEがローレベルであるときにカウント動作を行わない。また、アップダウンカウンタ78は、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジにおいて、信号ACTIVEがハイレベルであって、信号DOWNがハイレベルであるときにカウント値を1つデクリメントする。また、アップダウンカウンタ78は、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジにおいて、信号ACTIVEがハイレベルであって、信号DOWNがローレベルであるときにカウント値を1つインクリメントする。なお、
図34にてアップダウンカウンタ78がカウント値を1つインクリメントしているタイミングでは、一見信号DOWNがハイレベルであるかのように見える。しかしながら、オン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジから僅かに遅れて第1スイッチSW1がターンオンするので、スイッチ電圧VSWはオン時間設定電圧VONの立ち上がりエッジから僅かに遅れて急峻に上昇する。したがって、
図34にてアップダウンカウンタ78がカウント値を1つインクリメントしているタイミングでは、スイッチ電圧VSWはまだ基準電圧VREF1未満であって、信号DOWNはローレベルである。
【0192】
図33に示す制御部CNT1は、デッドタイム期間DTの終了時点でスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF1より小さければ第4状態ST4の長さを長くし、デッドタイム期間DTの終了時点でスイッチ電圧VSWが基準電圧VREF2より大きければ第4状態ST4の長さを短くする。したがって、
図33に示す制御部CNT1は、第1スイッチがターンオンするタイミングでのスイッチ電圧VSWを基準電圧VREF1以上基準電圧VREF2以下の範囲に近づけることができる。
【0193】
<<第9実施形態の変形例>>
第9実施形態に係るスイッチング電源装置は、上述した通り第1実施形態に係るスイッチング電源装置を改良したスイッチング電源装置である。しかしながら、第2~第8実施形態に係るスイッチング電源装置に対しても同様の改良を実施することができる。また、第9実施形態に係るスイッチング電源装置に対して、第1~第8実施形態において説明した変形例と同様の変形を実施することもできる。
【0194】
<用途>
次に、先に説明したスイッチング電源装置1の用途例について説明する。
図35は、車載機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、車載機器X11~X17と、これらの車載機器X11~X17に電力を供給するバッテリ(不図示)と、を搭載している。
【0195】
先に説明した第1~第9に係るスイッチング電源装置のいずれかが車両Xに搭載される場合、AMラジオ放送の受信に悪影響が出ないようにAM帯域の輻射ノイズを抑えることが求められる。したがって、少なくとも負荷LD1が通常負荷状態であるときに、スイッチング制御回路1が、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させることが望ましい。すなわち、スイッチング制御回路1が、スイッチ電圧VSWの周波数(スイッチング周波数)を1.8MHz以上2.1MHz以下にすることが望ましい。スイッチング周波数が1.8MHz未満になると、AM帯域の輻射ノイズが増加し、スイッチング周波数が2.1MHzより大きくなると、スイッチング損失が許容範囲を超えるからである。
【0196】
車載機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0197】
車載機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0198】
車載機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0199】
車載機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power Steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0200】
車載機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0201】
車載機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動シート、及び、エアコンなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0202】
車載機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[Electronic Toll Collection System]など、ユーザの任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0203】
なお、先に説明した第1~第9に係るスイッチング電源装置はそれぞれ、車載機器X11~X17のいずれにも組み込むことが可能である。
【0204】
<留意点>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0205】
例えば、固定周期Tfixの設定値は変更可能であってもよい。周期信号S1の周期を変更することで、固定周期Tfixの設定値を変更することができる。
【0206】
以上説明した一の態様に係るスイッチング電源装置(1A~1D)は、入力電圧を出力電圧に降圧するよう構成されるスイッチング電源装置であって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタ(L1)の第1端に接続可能に構成される第1スイッチ(SW1)と、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い低電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチ(SW2)と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン/オフを制御するよう構成される制御部(CNT1)と、を備え、前記制御部は、前記第1スイッチをオン状態にし、前記第2スイッチをオフ状態にする第1状態と、前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする第2状態と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にする第3状態と、前記第3状態よりも前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、を有し、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、前記デッドタイム期間の長さを調整する構成(第1の構成)である。
【0207】
上記第1の構成であるスイッチング電源装置は、部品の特性にばらつきがある場合でも高効率化を図ることができる。
【0208】
上記第1の構成であるスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、前記第4状態、及び前記デッドタイム期間を、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、前記第4状態、及び前記デッドタイム期間の順で繰り返す構成(第2の構成)であってもよい。
【0209】
上記第2の構成であるスイッチング電源装置は、第1スイッチがターンオンするときの損失を抑えることができる。
【0210】
上記第1又は第2の構成であるスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、前記第4状態、及び前記デッドタイム期間を、固定周期で繰り返す構成(第3の構成)であってもよい。
【0211】
上記第3の構成であるスイッチング電源装置は、スイッチング周波数の変動を抑制することができる。
【0212】
上記第1~第3いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記デッドタイム期間の終了時点で前記インダクタを流れる電流が負であれば次の前記デッドタイム期間の長さを長くし、前記デッドタイム期間の終了時点で前記インダクタを流れる電流が正であれば次の前記デッドタイム期間の長さを短くする構成(第4の構成)であってもよい。
【0213】
上記第4の構成であるスイッチング電源装置は、第1スイッチがターンオンするタイミングを、インダクタを流れる電流のゼロクロス点に近づけることができる。
【0214】
上記第1~第3いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記デッドタイム期間の終了時点で前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノード電圧が所定値より小さければ次の前記デッドタイム期間の長さを長くし、前記デッドタイム期間の終了時点で前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノード電圧が前記所定値より大きければ次の前記デッドタイム期間の長さを短くする構成(第5の構成)であってもよい。
【0215】
上記第5の構成であるスイッチング電源装置は、第1スイッチがターンオンするタイミングを、インダクタを流れる電流のゼロクロス点に近づけることができる。
【0216】
上記第1~第3いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記インダクタを流れる電流のゼロクロス点において前記第1状態を開始する構成(第6の構成)であってもよい。
【0217】
上記第6の構成であるスイッチング電源装置は、第1スイッチがターンオンするタイミングを、インダクタを流れる電流のゼロクロス点に略一致させることができる。
【0218】
上記第1~第6いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする構成(第7の構成)であってもよい。
【0219】
上記第7の構成であるスイッチング電源装置は、簡単な制御で第4状態を実現することができる。
【0220】
上記第1~第7いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、前記第2スイッチに並列接続可能に構成され、前記第2スイッチよりもオン抵抗及び容量の少なくとも一方が小さい第3スイッチ(SW3)を備え、前記制御部は、前記第3スイッチのオン/オフを制御するよう構成され、前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする構成(第8の構成)であってもよい。
【0221】
上記第8の構成であるスイッチング電源装置は、第4状態における損失を小さくすることができる。
【0222】
上記第1~第6いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成される第3スイッチ(SW3)と、第1端が前記第3スイッチの第2端に接続され、第2端が前記低電圧の印加端に接続可能に構成される容量(C2)と、を備え、前記制御部は、前記第3スイッチのオン/オフを制御するよう構成され、前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第3スイッチをオン状態にする構成(第9の構成)であってもよい。
【0223】
上記第9の構成であるスイッチング電源装置は、容量の静電容量値を調整することで、第4状態が終了した直後における第1スイッチと第2スイッチとの接続ノード電圧の立ち上がり具合を調整することができる。
【0224】
上記第9の構成であるスイッチング電源装置において、前記容量に並列接続可能に構成される第4スイッチ(SW4)を備え、前記制御部は、前記第4スイッチのオン/オフを制御するよう構成され、前記制御部は、前記第3スイッチのオン/オフと前記第4スイッチのオン/オフとを相補的に制御する構成(第10の構成)であってもよい。
【0225】
上記第10の構成であるスイッチング電源装置は、容量の放電を適切に行うことができる。
【0226】
上記第1~第6いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が可変電圧の印加端に接続可能に構成される容量(C2)を備え、前記制御部は、前記可変電圧を制御するよう構成され、前記制御部は、前記第4状態において前記第1スイッチをオフ状態にし、前記可変電圧の制御により前記容量の第1端と第2端との間に電位差を生じさせる構成(第11の構成)であってもよい。
【0227】
上記第11の構成であるスイッチング電源装置は、第4状態における可変電圧の値を調整することで、第4状態が終了した直後における第1スイッチと第2スイッチとの接続ノード電圧の立ち上がり具合を調整することができる。
【0228】
上記第1~第11いずれかの構成であるスイッチング電源装置において、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードに、1.8MHz以上2.1MHz以下の電圧を発生させる構成(第12の構成)であってもよい。
【0229】
上記第12の構成であるスイッチング電源装置は、AM帯域の輻射ノイズを抑制できる。また、上記第12の構成であるスイッチング電源装置は、スイッチング損失を許容範囲に収めることができる。
【0230】
以上説明した一の態様に係るスイッチ制御装置(CNT1)は、第1端が入力電圧の印加端に接続可能に構成され、第2端がインダクタ(L1)の第1端に接続可能に構成される第1スイッチ(SW1)のオン/オフと、第1端が前記インダクタの第1端及び前記第1スイッチの第2端に接続可能に構成され、第2端が前記入力電圧よりも低い低電圧の印加端に接続可能に構成される第2スイッチ(SW2)のオン/オフと、を制御するスイッチ制御装置であって、前記第1スイッチをオン状態にし、前記第2スイッチをオフ状態にする第1状態と、前記第1スイッチをオフ状態にし、前記第2スイッチをオン状態にする第2状態と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にする第3状態と、前記第3状態よりも前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続ノードの電圧を低くする第4状態と、を有し、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態、及び前記第4状態を繰り返し、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にするデッドタイム期間を前記第4状態と前記第1状態との間に設け、前記デッドタイム期間の長さを調整する構成(第13の構成)である。
【0231】
上記第13の構成であるスイッチ制御装置は、部品の特性にばらつきがある場合でも高効率化を図ることができる。
【0232】
以上説明した一の態様に係る車載機器(X11~X17)は、上記第1~第12いずれかの構成のスイッチング電源装置又は上記第13の構成のスイッチ制御装置を備える構成(第14の構成)である。
【0233】
上記第14の構成である車載機器に設けられるスイッチング電源装置又はスイッチ制御装置は、部品の特性にばらつきがある場合でも高効率化を図ることができる。
【0234】
以上説明した一の態様に係る車両(X)は、上記第14の構成の車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリと、を備える構成(第15の構成)である。
【0235】
上記第15の構成である車両に設けられるスイッチング電源装置又はスイッチ制御装置は、部品の特性にばらつきがある場合でも高効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0236】
1、21 エラーアンプ
2、22 PWMコンパレータ
3、23、27、63、82、85 ANDゲート
4、24、51、71 ラッチ回路
5、25、54、74 ドライバ
6 PFMコンパレータ
7 セレクタ
8、28、52、72 遅延回路
9、29、55、60、79 ゼロクロス点検出回路
10、26、30、56、62、77、83 ラッチ回路
31、61、80 NOTゲート
41 電流源
42 キャパシタ
43 短絡スイッチ
44、58、75、80、81 電圧源
45、59、76、82 コンパレータ
53、73 ゼロカレントスイッチ遅延回路
57、78 アップダウンカウンタ
84 EXORゲート
1A~1D 第1~第4実施形態に係るスイッチング電源装置
C1 出力コンデンサ
C2 容量
CNT1 制御部
FB1 出力帰還部
L1 インダクタ
LD1 負荷
SW1~SW4 第1~第4スイッチ
X 車両
X11~X17 車載機器