IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本信号株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-清掃装置 図1
  • 特開-清掃装置 図2
  • 特開-清掃装置 図3
  • 特開-清掃装置 図4
  • 特開-清掃装置 図5
  • 特開-清掃装置 図6
  • 特開-清掃装置 図7
  • 特開-清掃装置 図8
  • 特開-清掃装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083102
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197264
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴則
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
(72)【発明者】
【氏名】北川 朝靖
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA00
3B057DE01
(57)【要約】
【課題】汚れていないときの清掃対象物の情報を記憶しなくても、その清掃対象物の汚れ度合いを判定する清掃装置を提供する。
【解決手段】比較部111は、供給された前画像データ、及び後画像データのそれぞれが示す画像を比較し、その比較量を算出する。判定部112は、メモリ12に記憶されている変換表121を参照して、算出された比較量を汚れ量に変換し、その汚れ量の区分から清掃対象物の汚れ度合いを判定する。決定部113は、メモリ12に記憶されているコースDB122を参照して、判定された汚れ度合いに応じた清掃コースを決定する。指示部114は、決定された清掃コースに沿って清掃装置1を移動させるように、移動部17に指示する。また、指示部114は、決定された清掃コースにおいて定められた清掃条件で清掃対象物を清掃するように、清掃部18に指示する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の清掃の前後の清掃対象物を撮影し、清掃前の前記清掃対象物を撮影した画像と清掃後の前記清掃対象物を撮影した画像との比較に基づき前記清掃対象物の汚れ度合いを判定する清掃装置。
【請求項2】
判定した前記清掃対象物の汚れ度合いに応じて前記清掃対象物を清掃するための移動経路及び移動速度の少なくとも一方を決定する
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
判定した前記清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、前記清掃対象物を清掃するための移動経路を密にする
請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
判定した前記清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、前記清掃対象物を清掃するための移動速度を遅くする
請求項2又は3に記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃対象物の汚れ度合いに応じて清掃のコース(清掃コースという)を設定する清掃ロボットが開発されている。
【0003】
特許文献1は、清掃対象物となる清掃エリアのうち少なくとも未清掃エリアのゴミ量の多少を把握するためのゴミ量情報を取得し、このゴミ量情報に基づきゴミ量が多いときほど清掃のオーバラップ量を大きくするようにゴミ量の多少に応じて走行経路を決定して、その走行経路で走行するように走行駆動部を制御する清掃ロボット、を開示している。
【0004】
特許文献2は、事前に入力されたプログラムに従って自律的に走行し自動で作業する自律走行作業を実行可能な自律走行作業装置であって、2つ以上の走行経路の何れかからなるプランが存在する場合に、自律走行作業の開始時に、それら2つ以上のプランから所定の推奨条件に合致した推奨プランを判定し、その推奨プランを報知する自律走行作業装置、を開示している。
【0005】
特許文献3は、第1ロボットから画像情報を取得して、その画像情報に基づいて床の汚れ及びその位置情報を検出し、検出した床の汚れを清掃する清掃ロボットを第2ロボットとして決定し、さらに、この清掃ロボットが行うべき清掃方法を決定し、清掃ロボットに対し、この位置情報、及び清掃方法を指示する情報処理装置、を開示している。
【0006】
特許文献4は、掃除対象の寸法情報に基づいて、この掃除対象において掃除する範囲を特定する掃除システム、を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-353014号公報
【特許文献2】特開2018-139720号公報
【特許文献3】WO19/171917号公報
【特許文献4】特開2014-14456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、汚れていないときの清掃対象物の画像等の情報を基準として、現在の汚れ度合いを判断する場合、清掃ロボットはその基準となる情報を記憶していなければならない。
【0009】
本発明の目的の一つは、汚れていないときの清掃対象物の情報を記憶しなくても、その清掃対象物の汚れ度合いを判定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定量の清掃の前後の清掃対象物を撮影し、清掃前の前記清掃対象物を撮影した画像と清掃後の前記清掃対象物を撮影した画像との比較に基づき前記清掃対象物の汚れ度合いを判定する清掃装置、を第1の態様として提供する。
【0011】
第1の態様の清掃装置によれば、汚れていないときの清掃対象物の情報を記憶しなくても、その清掃対象物の汚れ度合いを判定することができる。
【0012】
第1の態様の清掃装置において、判定した前記清掃対象物の汚れ度合いに応じて前記清掃対象物を清掃するための移動経路及び移動速度の少なくとも一方を決定する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0013】
第2の態様の清掃装置によれば、判定した清掃対象物の汚れ度合いに応じて移動経路及び移動速度の少なくとも一方が決定される。
【0014】
第2の態様の清掃装置において、判定した前記清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、前記清掃対象物を清掃するための移動経路を密にする、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0015】
第3の態様の清掃装置によれば、清掃対象物は、汚れ度合いが大きいと清掃される回数が増える。
【0016】
第2又は第3の態様の清掃装置において、判定した前記清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、前記清掃対象物を清掃するための移動速度を遅くする、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0017】
第4の態様の清掃装置によれば、清掃対象物は、汚れ度合いが大きいと清掃される時間が増える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】清掃装置1の構成の例を示す図。
図2】清掃装置1の外観の例を示す概略図。
図3】変換表121の例を示す図。
図4】変換式によって表される画像比較量と汚れ量との関係の例を示す図。
図5】コースDB122の例を示す図。
図6】清掃コースの例を示す図。
図7】履歴DB123の例を示す図。
図8】清掃装置1の機能的構成の例を示す図。
図9】清掃装置1の動作の流れの例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
<清掃装置の構成>
図1は、清掃装置1の構成の例を示す図である。また、図2は、清掃装置1の外観の例を示す概略図である。
【0020】
図1に示す清掃装置1は、プロセッサ11、メモリ12、操作部14、表示部15、撮影部16、移動部17、及び清掃部18を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。なお、清掃装置1は、有線又は無線により他の装置と通信可能に接続するための通信部を有してもよい。
【0021】
図1に示すプロセッサ11は、メモリ12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読出して実行することにより清掃装置1の各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0022】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、タッチパネル等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。この操作は、例えば、操作ボタンに対する押下、タッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0023】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、清掃装置1は、操作部14及び表示部15のいずれか、又は両方を有しなくてもよい。清掃装置1は、例えば、図示しない通信部を介して外部の装置から操作され、又は外部の装置に情報を提示してもよい。
【0024】
清掃部18は、清掃対象物を清掃する構成である。例えば、図2に示す清掃部18は、洗浄液を収容するタンクと、このタンクから洗浄液を排出させるパイプとを有する。なお、清掃部18は、タンクからパイプを通して洗浄液を吸い出すポンプを有してもよい。また、清掃部18のパイプは、洗浄液の排出量を調整する電磁弁を有してもよい。このポンプ、及び電磁弁は、例えば、プロセッサ11により制御される。
【0025】
また、この清掃部18は、パイプから排出される洗浄液を洗浄対象に分散させるとともに、この洗浄液が分散された洗浄対象の表面を摩擦洗浄するブラシと、このブラシを回転駆動させるモータとを有する。図2に示す清掃装置1において、清掃部18の清掃対象物は床面Gである。清掃部18のブラシを駆動するモータは、例えば、プロセッサ11により制御される。
【0026】
なお、清掃部18の清掃対象物は、床面Gに限られない。例えば、清掃部18は、壁面、又は天井面等を清掃対象物としてもよい。
【0027】
移動部17は、清掃装置1を移動させる構成である。例えば、図2に示す移動部17は、床面Gに接地する複数のタイヤを有し、図示しないモータによりこのタイヤを回転させることにより、清掃部18の清掃対象物である床面Gの上を矢印D方向に移動させる。移動部17のタイヤを駆動するモータは、例えば、プロセッサ11により制御される。なお、移動部17が有する少なくともいずれか一つのタイヤは、図1に示すプロセッサ11の制御の下で移動方向を変更する操舵機能を有する。
【0028】
撮影部16は、清掃対象物を撮影する構成である。例えば、図2に示す撮影部16は、光学系と、撮像素子とを有するデジタルスチルカメラである。この光学系は、例えば、清掃対象物から届く光を集めるレンズ、ミラー等である。また、この撮像素子は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等である。この撮像素子は、光学系が集めた光に応じた画像を示す画像データを生成する。なお、撮影部16は、清掃対象物に外部からの光が届かないように遮断する遮光部材と、清掃対象物を照射するLED(light emitting diode)等の照射装置とを有してもよい。
【0029】
撮影部16は、移動部17により移動する清掃部18が所定量の清掃を行う前後で清掃対象物を撮影する。例えば、図2に示す清掃装置1において、撮影部16は、前カメラ161と後カメラ162とを有する。前カメラ161は、清掃装置1が移動する矢印D方向における前方に取り付けられている。これにより前カメラ161は、床面Gのうち、清掃部18が清掃する直前の領域を撮影する。後カメラ162は、清掃装置1が移動する矢印D方向における後方に取り付けられている。これにより後カメラ162は、床面Gのうち、清掃部18が清掃した直後の領域を撮影する。
【0030】
なお、図2に示す清掃装置1は、底面と円筒状の側面とを含み、上面が開口している筐体10を有する。この筐体10の開口した上面には、蓋部が蝶番等により開閉可能に取り付けられている。この蓋部は、操作部14を内蔵する。また、この筐体10の底面には、移動部17のタイヤと、清掃部18のブラシとが取り付けられている。筐体10の内部には、上述した清掃部18のタンク、パイプ等が収容されている。
【0031】
図1に示すメモリ12は、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0032】
また、メモリ12は、変換表121、コースDB122、及び履歴DB123を記憶する。
【0033】
図3は、変換表121の例を示す図である。変換表121は、清掃前後に撮影された清掃対象物の画像を比較した量から、その清掃対象物の汚れの量を推算するための情報を記憶する表である。図3に示す変換表121は、種別の欄、種別名の欄、画像比較量の欄、及び変換式の欄を有する。
【0034】
変換表121における種別の欄は、清掃対象物の種別を識別するための種別IDを記憶する欄である。
【0035】
種別名の欄は、種別IDで識別される清掃対象物の種別の名称を記憶する欄である。種別名の欄は、例えば、大理石、御影石、リノリウム、ビニル等、清掃対象物である床面Gの材質名が記憶される。
【0036】
画像比較量の欄は、所定量の清掃がされる前後にそれぞれ清掃対象物を撮影した画像を比較して特定される量(画像比較量という)の種類を記憶する欄である。この画像比較量は、清掃対象物の汚れ量の推算に用いる独立変数として用いられる。画像比較量は、例えば、輝度差、明度差である。また、画像比較量は、例えば、所定のアルゴリズムで検出される輪郭の単位面積あたりの長さであってもよい。また、画像比較量は、清掃の前後に撮影された画像の各画素値の差による統計量であってもよい。この統計量は、例えば、分散、標準偏差、中央値と相加平均値との差、最大値と最小値との差等である。
【0037】
変換式の欄は、画像比較量を独立変数として汚れ量を推算する数式を記憶する欄である。この数式は、蓄積されたデータから最小二乗法等によって導かれる近似式等である。図4は、変換式によって表される画像比較量と汚れ量との関係の例を示す図である。図4に示す横軸は画像比較量であり、縦軸は汚れ量である。図4に示す変換式に応じた曲線によって、画像比較量から清掃対象物の汚れ量が推算される。
【0038】
汚れ量は、例えば、汚れの量に応じた無次元数、百分率等によって示される。汚れ量は、複数の汚れ度合いに区分されている。清掃装置1のプロセッサ11は、推算した汚れ量を区分して、対応する汚れ度合いを判定する。例えば、三段階に区分されている場合、汚れ度合いは「大」、「中」、「小」の3種類である。
【0039】
図5は、コースDB122の例を示す図である。コースDB122は、推算された汚れ量から判定される汚れ度合いに対応する清掃コースを記憶するデータベースである。図5に示すコースDB122は、コースIDの欄、コース名の欄、汚れ度合いの欄、速度の欄、経路情報の欄、及び清掃条件の欄を有する。
【0040】
コースDB122におけるコースIDの欄は、清掃コースを識別する識別情報であるコースIDを記憶する欄である。
【0041】
コース名の欄は、対応するコースIDで識別される清掃コースの名称を記憶する欄である。例えば、コースID「C01」に対応するコース名は、「密」である。
【0042】
汚れ度合いの欄は、対応するコースIDで識別される清掃コースが適用されるときの汚れ度合いを記憶する欄である。プロセッサ11は、所定量の清掃の前後に撮影した清掃対象物の画像を比較して汚れ量を推算し、その汚れ量から汚れ度合いを判定すると、コースDB122を参照して判定したその汚れ度合いに対応する清掃コースを選択する。
【0043】
速度の欄は、対応するコースIDで識別される清掃コースで採用される移動速度を記憶する欄である。プロセッサ11は、清掃コースを決定すると、移動部17を制御して、その清掃コースに対応付けられた速度で清掃装置1を移動させる。例えば、コースID「C01」に対応する速度は、「低速」である。
【0044】
経路情報の欄は、対応するコースIDで識別される清掃コースで採用される移動経路を記憶する欄である。
【0045】
清掃装置1は、例えば、矩形の床面Gの一辺に沿った方向(以下、主走査方向という)へ移動しながらその床面Gを清掃する。そして、清掃装置1は、壁面に突き当たると、床面Gの他辺に沿った方向(以下、副走査方向という)に決められた距離だけ移動し、上述した主走査方向の反対方向に沿って移動しながら床面Gを清掃する。すなわち、清掃装置1は、矩形の床面Gの主走査方向に往復移動するとともに、端に到達する度に副走査方向に所定距離だけ移動する。
【0046】
図6は、清掃コースの例を示す図である。例えば、図6(a)に示す清掃コースは、コース名「密」の清掃コースである。この清掃コースは、比較的、移動経路が密集しているコースである。例えば、図6(a)に示す通り、この清掃コースは、床面Gを副走査方向に8回移動する移動経路を有する。
【0047】
また、図6(b)に示す清掃コースは、コース名「標準」の清掃コースである。この清掃コースは、移動経路の密集の程度が標準のコースである。例えば、図6(b)に示す通り、この清掃コースは、床面Gを副走査方向に6回移動する移動経路を有する。
【0048】
図6(c)に示す清掃コースは、コース名「粗」の清掃コースである。この清掃コースは、比較的、移動経路どうしの間隔が開いている粗いコースである。例えば、図6(c)に示す通り、この清掃コースは、床面Gを副走査方向に3回移動する移動経路を有する。
【0049】
図5に示すコースDB122において、清掃条件の欄は、対応するコースIDで識別される清掃コースで採用される清掃の条件を記憶する欄である。この清掃の条件は、例えば、単位時間あたりの洗浄液の供給量、ブラシの回転速度等である。
【0050】
図7は、履歴DB123の例を示す図である。履歴DB123は、清掃対象物を清掃した日時とその汚れ度合いとの組を記憶するデータベースである。図7に示す履歴DB123は、部屋IDリスト1231と、履歴表1232とを有する。
【0051】
部屋IDリスト1231は、清掃対象物である床面Gを有する部屋を識別する部屋IDを列挙したリストである。部屋IDリスト1231に列挙された部屋IDには、それぞれ一つずつ履歴表1232が対応付けて記憶されている。
【0052】
履歴DB123の履歴表1232は、対応する部屋IDにおける清掃の日時とその際の清掃対象物の汚れ度合いとを対応付けて履歴として記憶する表である。図7に示す履歴表1232は、日時の欄、汚れ度合いの欄、及び清掃条件の欄を有する。
【0053】
履歴表1232における日時の欄は、履歴表1232に対応付けられた部屋IDにおいて、清掃対象物である床面Gを清掃した日時の情報を記憶する。
【0054】
汚れ度合いの欄は、履歴表1232に対応付けられた部屋IDの床面Gを対応する日時に清掃した際に、その床面Gについて判定された汚れ度合いを記憶する。
【0055】
清掃条件の欄は、履歴表1232に対応付けられた部屋IDの床面Gを、対応する日時に清掃した際の清掃条件を記憶する。
【0056】
<清掃装置の機能的構成>
図8は、清掃装置1の機能的構成の例を示す図である。清掃装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより、比較部111、判定部112、決定部113、及び指示部114として機能する。
【0057】
撮影部16は、前カメラ161(図1参照)によって、所定量の清掃が行われる前の清掃対象物を撮影する。そして、撮影部16は、この前カメラ161の撮影により得られた画像を示す画像データ(前画像データという)をプロセッサ11に供給する。
【0058】
また、撮影部16は、後カメラ162(図1参照)によって、所定量の清掃が行われる後の清掃対象物を撮影する。そして、撮影部16は、この後カメラ162の撮影により得られた画像を示す画像データ(後画像データという)をプロセッサ11に供給する。
【0059】
比較部111は、供給された前画像データ、及び後画像データのそれぞれが示す画像を比較し、その比較量(つまり、画像比較量)を算出する。
【0060】
判定部112は、メモリ12に記憶されている変換表121を参照して、算出された画像比較量を汚れ量に変換し、その汚れ量の区分から清掃対象物の汚れ度合いを判定する。
【0061】
決定部113は、メモリ12に記憶されているコースDB122を参照して、判定された汚れ度合いに応じた清掃コースを決定する。また、決定部113は、清掃が行われる度に、その清掃の結果を履歴DB123に記憶する。
【0062】
さらに、図8に示す決定部113は、履歴DB123を参照して、清掃対象物を次に清掃するべきタイミングまでの周期を決定する。この周期は、例えば、履歴DB123に記憶された二回の隣接する清掃の日時の間隔と、そのそれぞれの清掃で判定された汚れ度合いの差と、を集計して求められる。例えば、決定部113は、連続する二回の清掃の間隔を説明変数とし、それら二回の清掃の開始時における汚れ度合いの差を目的変数とする多変量解析の結果を用いて、次に清掃をするべきタイミングまでの周期を決定すればよい。
【0063】
指示部114は、決定された清掃コースに沿って清掃装置1を移動させるように、移動部17に指示する。また、指示部114は、決定された清掃コースにおいて定められた清掃条件で清掃対象物を清掃するように、清掃部18に指示する。
【0064】
なお、指示部114は、決定された周期に応じて次に清掃対象物を清掃するべきタイミングを特定し、そのタイミングに至ったときに、清掃を開始するように移動部17及び清掃部18に指示してもよい。
【0065】
<清掃装置の動作>
図9は、清掃装置1の動作の流れの例を示すフロー図である。清掃装置1のプロセッサ11は、例えば、操作部14が清掃を開始する旨の操作を受付けたとき、又は、前回の清掃から決められた周期が経過したとき等、所定の条件を満たすと図9に示す動作を開始する。このとき、清掃装置1は、清掃対象物である床面Gの材質の情報、及びその床面Gを有する部屋を識別する部屋ID等を、利用者の操作、又は予め記憶された情報等により特定してもよい。
【0066】
プロセッサ11は、撮影部16の前カメラ161を制御して、清掃対象物である床面Gのうち、所定量の清掃が行われる前の領域を撮影する(ステップS101)。前カメラ161は、前画像データを生成してプロセッサ11に供給する。
【0067】
次に、プロセッサ11は、床面Gであって前カメラ161が撮影した領域の上に清掃部18が位置するように移動部17を制御して清掃装置1を移動させる。そして、プロセッサ11は、その領域に対して所定量の清掃を行う(ステップS102)。この所定量は、例えば、洗浄液の量、ブラシの回転速度、及び回転時間等により予め定められている。
【0068】
所定量の清掃が終了すると、プロセッサ11は、移動部17を制御して清掃装置1を移動させ、撮影部16を制御して、その清掃がされた領域を後カメラ162に撮影させる(ステップS103)。後カメラ162は、後画像データを生成してプロセッサ11に供給する。
【0069】
プロセッサ11は、撮影部16から供給された前画像データ、及び後画像データのそれぞれによって示される画像を比較する(ステップS104)。すなわち、プロセッサ11は、清掃対象物の清掃前後の状態が示された2つの画像を比較する。
【0070】
そして、プロセッサ11は、画像比較量を算出し、変換表121を参照して、その画像比較量を汚れ量に変換する。プロセッサ11は、画像比較量を変換して得られた汚れ量に応じて清掃対象物の汚れ度合いを判定する(ステップS105)。
【0071】
すなわち、このプロセッサ11を有する清掃装置1は、所定量の清掃の前後の清掃対象物を撮影し、清掃前のこの清掃対象物を撮影した画像と清掃後のこの清掃対象物を撮影した画像との比較に基づきこの清掃対象物の汚れ度合いを判定する清掃装置の例である。
【0072】
汚れ度合いを判定すると、プロセッサ11は、コースDB122を参照して、その汚れ度合いに応じた清掃コースを決定する(ステップS106)。
【0073】
例えば、図5に示すコースDB122を参照する場合、プロセッサ11は、汚れ度合いが「中」であればコース名「標準」の清掃コースを決定する。そして、プロセッサ11は、汚れ度合いが「中」よりも大きい「大」のときには、コース名「標準」の清掃コースよりも移動経路が密な清掃コース、すなわち、コース名「密」の清掃コースを決定する。
【0074】
一方、プロセッサ11は、汚れ度合いが「中」よりも小さい「小」のときには、コース名「標準」の清掃コースよりも移動経路が粗い清掃コース、すなわち、コース名「粗」の清掃コースを決定する。
【0075】
つまり、このプロセッサ11は、判定した清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、この清掃対象物を清掃するための移動経路を密にする清掃装置の例である。
【0076】
また、例えば、図5に示すコースDB122を参照する場合、プロセッサ11は、汚れ度合いが「中」よりも大きい「大」のときには、コース名「標準」の清掃コースよりも移動速度が遅い清掃コース、すなわち、「低速」で移動する清掃コースを決定する。
【0077】
一方、プロセッサ11は、汚れ度合いが「中」よりも小さい「小」のときには、コース名「標準」の清掃コースよりも移動速度が速い清掃コース、すなわち、「高速」で移動する清掃コースを決定する。
【0078】
つまり、このプロセッサ11を有する清掃装置1は、判定した清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、この清掃対象物を清掃するための移動速度を遅くする清掃装置の例である。
【0079】
そして、プロセッサ11は、決定した清掃コースにより清掃対象物を清掃するように移動部17、及び清掃部18に指示する(ステップS107)。また、プロセッサ11は、清掃の日時、及び清掃対象物の汚れ度合い、汚れ量等をメモリ12の履歴DB123に記憶する(ステップS108)。
【0080】
プロセッサ11は、指示した清掃が終了したか否かを判定する(ステップS109)。指示した清掃が終了していない、と判定する場合(ステップS109;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。なお、このときプロセッサ11は、処理をステップS107に戻してもよい。
【0081】
一方、指示した清掃が終了した、と判定する場合(ステップS109;YES)、プロセッサ11は、メモリ12の履歴DB123に記憶された情報に基いて、次に清掃を行うべきタイミングまでの期間、つまり、清掃の周期を決定し(ステップS110)、処理を終了する。
【0082】
以上に説明した動作をすることにより、清掃装置1は、汚れていないときの清掃対象物の清掃の程度を標準、又は基準とする清掃の程度として記憶しなくても、所定量の清掃の直前と直後とに、清掃対象物を撮影することによって、その清掃対象物の汚れ度合いを判定することができる。
【0083】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0084】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0085】
<1>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、CPUであったが、他の構成であってもよい。例えば、プロセッサ11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、FPGAを含んでもよい。また、このプロセッサ11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は他のプログラマブル論理デバイスを有し、これらによって制御を行ってもよい。また、このプロセッサ11は、GPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。
【0086】
<2>
上述した実施形態において、清掃装置1のプロセッサ11は、清掃対象物の汚れ度合いを判定すると、その汚れ度合いに応じて、その清掃対象物を清掃するための移動経路、及び移動速度の両方を決定していたが、これらのいずれか一方を決定してもよい。この場合、このプロセッサ11は、判定した清掃対象物の汚れ度合いに応じてこの清掃対象物を清掃するための移動経路及び移動速度の少なくとも一方を決定する清掃装置の例である。
【0087】
<3>
上述したプロセッサ11によって実行されるプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【0088】
<4>
上述した実施形態において、清掃装置1のプロセッサ11は、判定した清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、その清掃対象物を清掃するための移動経路を密にしていたが、汚れ度合いと移動経路の粗密とを関連付けなくてもよい。
【0089】
また、プロセッサ11は、判定した清掃対象物の汚れ度合いが大きい程、その清掃対象物を清掃するための移動速度を遅くしていたが、汚れ度合いと移動速度とを関連付けなくてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…清掃装置、10…筐体、11…プロセッサ、111…比較部、112…判定部、113…決定部、114…指示部、12…メモリ、121…変換表、122…コースDB、123…履歴DB、1231…部屋IDリスト、1232…履歴表、14…操作部、15…表示部、16…撮影部、161…前カメラ、162…後カメラ、17…移動部、18…清掃部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9