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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083118
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ガスケット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20230608BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
F25D23/02 305Z
F16J15/10 U
F16J15/10 D
F16J15/10 T
F16J15/10 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197290
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大湯 英樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 勉
(72)【発明者】
【氏名】星野 仁
(72)【発明者】
【氏名】舘野 恭也
【テーマコード(参考)】
3J040
3L102
【Fターム(参考)】
3J040AA01
3J040AA12
3J040BA03
3J040EA16
3J040EA21
3J040EA25
3J040FA06
3J040HA01
3J040HA05
3J040HA22
3L102JA01
3L102KC06
3L102KC07
3L102KC11
3L102LE03
(57)【要約】
【課題】断熱性のよいガスケットを提供する。
【解決手段】 冷蔵庫101の扉121に取り付けられ、前記扉121が閉状態のときに前記扉121と冷蔵庫本体103との間を密閉するガスケット123であって、断面視において、扉121に形成された溝125に取り付けられる根部分135と、根部分135から扉121と冷蔵庫本体103の間に沿って延在するひれ部分137と、根部分135に取り付けられる中空部133と、中空部133に隣接し、冷蔵庫本体103と接触し、マグネット132が挿入される平板袋状部分131と、が一体的に形成され、中空部133には、粒子状断熱素材が封入された樹脂製の袋139が挿入される、ガスケット123が提供される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の扉に取り付けられ、前記扉が閉状態のときに前記扉と冷蔵庫本体との間を密閉するガスケットであって、
断面視において、
前記扉に形成された溝に取り付けられる根部分と、
前記根部分から前記扉と前記冷蔵庫本体の間に沿って延在するひれ部分と、
前記根部分に取り付けられる中空部と、
前記中空部に隣接し、前記冷蔵庫本体と接触し、マグネットが挿入される平板袋状部分と、
が一体的に形成され、
前記中空部には、粒子状断熱素材が封入された樹脂製の袋が挿入される、ガスケット。
【請求項2】
前記袋が熱溶着部で仕切られた複数の断熱素材封入領域から構成されている、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記樹脂製の袋の材料は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、アクリル、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートを含む、請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記粒子状断熱素材は、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、ポリマエアロゲル、または金属エアロゲルを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項5】
後工程で熱溶着される部分がマスキングされた樹脂製シートを熱溶着して開口を有する袋を形成し、
形成された前記袋の前記開口から所定量の粒子状断熱素材を前記袋内に挿入した後、前記樹脂製シートを熱溶着して前記粒子状断熱素材が封入された断熱素材封入領域を形成することを複数回繰り返し、
所定数の前記断熱素材封入領域を形成した後、前記開口を熱溶着する、ガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫、冷凍冷蔵庫及び冷凍庫の扉と貯蔵室を密閉するガスケット並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代高性能断熱材の開発が求められている。従来、冷蔵庫の扉と貯蔵室を密閉し、庫内と外部を断熱するために冷蔵庫の扉に取り付けられるガスケットが用いられてきた。ガスケットは中空部が設けられ、その中空部に空気を入れることで断熱性能を高める。しかしながら、省エネの観点から、さらに断熱性能を高めた冷蔵庫が求められてきた。
【0003】
特許文献1では、さらにガスケットの断熱性能を高めるために、粒状の断熱材を保持する第1袋部と、中空である第2袋部と、を有するガスケットを用いることが記載されている。断熱材は、断熱ビーズと磁性粉とを含むガスケットを用い、断熱材は、ビーズが主成分であり、磁性粉の割合は1~30体積パーセントであるガスケットを用い、本体部と扉部との間にガスケットを有する断熱箱を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-205597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ガスケットは、第1の袋部が損傷したときに粒状の断熱材及び磁性粉が出てきてしまい、後始末が困難であるという課題があった。また、上記ガスケットは、第1袋部を粒状の断熱材及び磁性粉で完全に埋めないと断熱材が偏ってしまい、均一に断熱できないという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、断熱性のよいガスケットを提供することを目的とする。また本発明は、粒状の断熱材の取り扱いを容易にするガスケットを提供することを目的とする。また本発明は、均一に断熱するガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガスケットは、
冷蔵庫の扉に取り付けられ、前記扉が閉状態のときに前記扉と冷蔵庫本体との間を密閉するガスケットであって、
断面視において、
前記扉に形成された溝に取り付けられる根部分と、
前記根部分から前記扉と前記冷蔵庫本体の間に沿って延在するひれ部分と、
前記根部分に取り付けられる中空部と、
前記中空部に隣接し、前記冷蔵庫本体と接触し、マグネットが挿入される平板袋状部分と、
が一体的に形成され、
前記中空部には、粒子状断熱素材が封入された樹脂製の袋が挿入される、ガスケットである。
【0008】
本発明により、断熱性のよいガスケットを得ることができる。本発明により、粒状の断熱材の取り扱いを容易にするガスケットが得られる。
【0009】
また、本発明のガスケットは、前記袋が熱溶着部で仕切られた複数の断熱素材封入領域から構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明により、粒子状断熱素材が袋中で偏ることがなく、均一に断熱できる。
【0011】
また、本発明のガスケットは、前記樹脂製の袋の材料は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、アクリル、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明により、容易に熱溶着する熱可塑性樹脂を用いて、複数の断熱素材封入領域を形成できる。
【0013】
また、本発明のガスケットは、前記粒子状断熱素材は、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、ポリマエアロゲル、または金属エアロゲルを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明により、空気よりも断熱性のよいエアロゲルを用いることで、中空部に空気を入れるよりも断熱性を向上できる。
【0015】
本発明のガスケットの製造方法は、
後工程で熱溶着される部分がマスキングされた樹脂製シートを熱溶着して開口を有する袋を形成し、
形成された前記袋の前記開口から所定量の粒子状断熱素材を前記袋内に挿入した後、前記樹脂製シートを熱溶着して前記粒子状断熱素材が封入された断熱素材封入領域を形成することを複数回繰り返し、
所定数の前記断熱素材封入領域を形成した後、前記開口を熱溶着する、ガスケットの製造方法である。
【0016】
本発明により、特にマスキングをすることで、粒子状断熱素材が、熱溶着される部分に静電気で付着することを防ぐ。粒子状断熱素材が、熱溶着される部分に付着することを防ぐことで、その粒子の断熱性能で熱溶着される部分に熱が伝わりにくくなることを避け、熱溶着を容易にできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、断熱性のよいガスケットが提供される。本発明によれば、また粒状の断熱材の取り扱いを容易にするガスケットが提供される。また本発明によれば、均一に断熱するガスケットが提供される。また本発明によれば、粒状の断熱材を用いたガスケットを製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の概略斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫本体の概略斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の扉の概略斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の扉の概略分解斜視図であり、図4(a)はガスケットが取り外された扉を示す図であり、図4(b)はガスケットを示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫の図1のA-A断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫本体と扉とガスケットの図5の拡大断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係るガスケットの正面断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係るガスケットの側面断面図である。
図9】本発明の実施の形態に係るガスケットの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための様々な実施の形態を、図面を参照して説明する。なお以下に説明するガスケットは、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。要点の説明または理解の容易性を考慮して、異なる図面で便宜上符号を同一にして示す。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0020】
(冷蔵庫の全体構成について)
図1は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫101の概略斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫本体103の概略斜視図である。図1及び図2を参照しながら、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫101の全体構成を説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の1つの実施の形態の冷蔵庫101は、その内部に食品等の貯蔵ができる冷蔵庫本体103と扉105を備える。冷蔵庫本体103は、その前方に開口を有する。扉105は、冷蔵庫本体103の開口を開閉する。
【0022】
図2に示すように、冷蔵庫本体103は、前側の開口を除き、断熱材が配置された冷蔵庫本体103の上面部、下面部、背面部、向かって右側の側面部、向かって左側の側面部の5面を囲まれた箱形をしている。この内箱全体が貯蔵室113になる。貯蔵室113は、複数の棚115a,115b,115c,115d,115eを備える。これらの棚115a,115b,115c,115d,115eのそれぞれに、複数の食品等を貯蔵できる。そのため、貯蔵室113のスペースを有効に活用できる。
【0023】
上面部の開口側のフランジ部111a、下面部の開口側のフランジ部111b、向かって右側の側面部の開口側のフランジ部111c及び向かって左側の側面部の開口側のフランジ部111dは、四角形を形成する。扉105が冷蔵庫本体103を閉じるとき、上面部の開口側のフランジ部111a、下面部の開口側のフランジ部111b、向かって右側の側面部の開口側のフランジ部111c及び向かって左側の側面部の開口側のフランジ部111dは、後に図示するガスケット123と密着する。冷蔵庫は直方体に限られなくてもよいが、設置の安定性から直方体が好ましい。本実施の形態では、1ドアの冷蔵庫を示したが、2ドア、3ドア、4ドア、5ドアまたは6ドアの冷蔵庫でもよい。また、本実施の形態では、冷蔵庫を示したが、冷凍庫、冷凍冷蔵庫であってもよい。
【0024】
(扉とガスケットの説明)
図3は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫101の扉105の概略斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫101の扉105の概略分解斜視図であり、図4(a)はガスケット123が取り外された扉121を示す図であり、図4(b)はガスケット123を示す図である。図5は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫101の図1のA-A断面図である。図3乃至5を参照しながら、冷蔵庫101の扉121とガスケット123を説明する。
【0025】
図3に示すように、扉105は、冷蔵庫本体103の開口側の各フランジ部111a,111b,111c,111dにあわせて、略長方形状をしている。本実施の形態では長方形をしているが、冷蔵庫本体103の開口に合わせて円、楕円、正方形、その他の形状をとってもよい。
【0026】
扉105の内面は、貯蔵機能を有する棚を備えてもよい。扉105は一定の厚みを有して断熱性を備える。後述するように、ガスケット123により外気を遮断することで冷蔵庫101は保温性を備える。扉105の外面は、図1に示されるように平面とされる。
【0027】
図4に示すように、扉105は、図4(a)に示す扉外形部材121と図4(b)に示すガスケット123とに分離できる。扉外形部材121は扉の外形と機能の大半を占めるものであり、以後、区別せず扉と称呼する。
【0028】
冷蔵庫本体103の開口側のフランジ部111a,111b,111c,111dは、塗装鋼板で形成されており、扉105に付けられたガスケットと密着するための吸着部である。ガスケット123は、吸着部に対応する位置に配置される。そのため、ガスケット123は、扉121のこの4辺の吸着部に対応する全周囲にわたって設けられる。後に図示するように、扉121にはその全周囲にわたって、溝125が形成されている。ガスケット123は、扉121にガスケット123の一部である根部分135を溝125に差し込むことで取り付けられる。
【0029】
図5に示すように、扉121が冷蔵庫本体103の開口を閉じている。ガスケット123は、扉121の左右両側に、冷蔵庫本体103と扉121の間に配置されている。冷蔵庫本体103と扉121は、閉じた空間である貯蔵室113を形成する。
【0030】
扉121が閉状態であるとき、ガスケット123が、冷蔵庫本体103の庫内の空気と扉121の外の空気を遮断することで内部が密閉される。内部が密閉されることで、庫内の空気が外気と分離して冷却され、温度が下がる。
【0031】
(ガスケットの説明)
図6は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫本体103と扉121とガスケット123の図5の拡大断面図である。図6を参照して、本発明の実施の形態のガスケット123について、更に詳細に説明する。
【0032】
ガスケット123は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、などのゴム、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニルなどを用いることができる。これらの材質は、耐候性、耐薬品性などを考えて選択すればよい。
【0033】
上記材質のガスケット123は、弾性変形性を有する。すなわち、ガスケット123は、扉121を閉めたとき冷蔵庫本体103の吸着部に対応して容易に圧縮変形し、扉121を開きガスケット123が冷蔵庫本体103から離れたとき復元する。これにより、貯蔵室113内部を密閉することができる。
【0034】
図6に示すように、ガスケット123は、扉121に形成された溝125に取り付ける根部分135を備える。扉121の全周囲にわたって断面円形状の溝125が形成されており、ガスケット123の溝125に取り付ける根部分135は、溝125に密接して嵌まる胴部の先に、矢印の断面を有するストッパを有する。上記の通り、ガスケット123の弾性変形性により、ガスケット123は、扉121に圧縮して嵌めこんだ後、復元することで、取り付けることができる。
【0035】
溝125に取り付ける根部分135は、溝125に密接して嵌まる胴部により、扉121とガスケット123の間から空気が連通することを防ぐことができる。また、上述の矢印の断面を有するストッパにより、扉121を開くとき、冷蔵庫本体103とガスケット123の密着力がガスケット123と扉121の接続力に打ち勝ってガスケット123が外れることがない。
【0036】
また、ガスケット123は、根部分135から扉121と冷蔵庫本体103の間に沿って延在するひれ部分137を備える。ガスケット123は、扉121が閉じられると、ひれ部分137が弾性変形し、溝125の周囲近辺の平坦な部分と密着することで、冷蔵庫本体103と扉121をさらに密閉する。
【0037】
また、ガスケット123は、根部分135に取り付けられる中空部133を備える。中空部133は、通常、冷蔵庫101の外部と内部を断熱する機能を有する。また、中空部133は、弾性変形することにより冷蔵庫本体103の吸着部に対応して変形する。
【0038】
また、ガスケット123は、中空部133に隣接し、マグネット132が挿入される平板袋状部分131を備える。平板袋状部分131は、冷蔵庫本体103と接触する。冷蔵庫本体103は、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性体を含む部材でできているため、挿入されたマグネット132は、冷蔵庫本体103と密着する。ガスケット123は、溝125に取り付ける根部分135、ひれ部分137、中空部133及びマグネット132が挿入される平板袋状部分131が一体であるため扉121と冷蔵庫本体103を引きつけることができる。ガスケット123は、扉121が閉じているとき、マグネット132が挿入される平板袋状部分131によって、冷蔵庫本体103の吸着部と密着する。
【0039】
(粒子状断熱素材を封入したガスケットの説明)
図7は、本発明の実施の形態に係るガスケット123の正面断面図である。図8は、本発明の実施の形態に係るガスケット123の側面断面図である。図7及び8を参照して、本発明の実施の形態に係る粒子状断熱素材を封入したガスケット123を説明する。
【0040】
図7に示すように、正面の断面視において、ガスケット123は、溝125に取り付ける根部分135、ひれ部分137、中空部133及びマグネット132が挿入される平板袋状部分131が一体的に形成される。中空部133の中には、粒子状断熱素材が封入された樹脂製の袋139が挿入される。
【0041】
粒子状断熱素材は、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、ポリマエアロゲル、または金属エアロゲルなどの、空気よりも断熱性が高い素材である。また、粒子状断熱素材は、100μm程度以下の細かい粒子であることが好ましい。このような粒子は、変形しやすく、上記のようにガスケット123の弾性変形性に追随することができるためである。また、このように細かい粒子は、大きな粒子よりも断熱性に優れる。このように粒子状断熱素材を空気よりも断熱性が高い素材とすることにより、断熱性のよいガスケット123を提供できる。
【0042】
樹脂製の袋139の材料は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、アクリル、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性の樹脂から形成されることが好ましい。次に述べるように、樹脂製の袋139を熱溶着するためである。このように樹脂製の袋139に、粒子状断熱素材を封入することにより、粒状の断熱材の取り扱いを容易にするガスケット123を提供できる。
【0043】
図8に示すように、樹脂製の袋139は、溝125に取り付ける根部分135とマグネット132が挿入される平板袋状部分131の間に配置される。樹脂製の袋139は、複数の熱溶着部141で仕切られた複数の断熱素材封入領域143から構成される。複数の断熱素材封入領域143には、それぞれ所定の量の粒子状断熱素材が封入される。このようにすることで、粒子状断熱素材が、重力によって冷蔵庫101の下方にたまることがなく、均一に断熱するガスケット123を提供できる。
【0044】
(本実施の形態に係るガスケットの製造方法)
図9は、本発明の実施の形態に係るガスケットの製造方法を示す図である。図9を参照して、本発明の実施の形態に係るガスケットの製造方法を説明する。
【0045】
図9に示すように、まず、樹脂製の袋139を形成する樹脂製のシートを準備する。次に、樹脂製のシートに、後工程で熱溶着される部分にマスキングをする。粒子状断熱素材が熱溶着される部分に付くと熱溶着される部分が断熱されてしまい熱溶着の工程が困難になる。そこで、粒子状断熱素材が熱溶着される部分に静電気で付かないようにするためにマスキングを行う。
【0046】
マスキングは、界面活性剤、特にリン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤を水、エタノールまたはイソプロピルアルコールに溶解した溶液を塗布して行う。次に、マスキングした樹脂製シートを熱溶着して開口を有する袋を形成する。
【0047】
次に、形成された袋の開口から所定量の粒子状断熱素材を樹脂製の袋139内に挿入する。その後、樹脂製の袋139を複数の箇所に仕切るように樹脂製シートを熱溶着して粒子状断熱素材が封入された断熱素材封入領域143を形成することを複数回繰り返す。
【0048】
次に所定数の断熱素材封入領域143を形成した後、樹脂製の袋139の開口を熱溶着して閉じる。
【0049】
このように断熱素材封入領域143が複数形成された樹脂製の袋139は、ガスケット123の中空部の挿入される開口とは反対側の開口から引っ張って挿入される。
【0050】
本発明によれば、断熱性のよいガスケット123が提供される。また本発明によれば、粒状の断熱材の取り扱いを容易にするガスケット123が提供される。また本発明によれば、均一に断熱するガスケット123が提供される。また本発明によれば、粒状の断熱材を用いたガスケット123を製造する方法が提供される。
【0051】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により提供されたガスケット123を用いて、断熱性に優れた冷蔵庫101を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
101 冷蔵庫
103 冷蔵庫本体
105 扉
111a 上面部の開口側のフランジ部
111b 下面部の開口側のフランジ部
111c 向かって右側の側面部の開口側のフランジ部
111d 向かって左側の側面部の開口側のフランジ部
113 貯蔵室
115a 棚
115b 棚
115c 棚
115d 棚
115e 棚
121 扉
123 ガスケット
125 溝
131 平板袋状部分
132 マグネット
133 中空部
135 根部分
137 ひれ部分
139 樹脂製の袋
141 熱溶着部
143 断熱素材封入領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9