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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008314
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0323 20190101AFI20230112BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20230112BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
F24F1/0323
F24F1/02 411D
F24F13/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111774
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】504027657
【氏名又は名称】株式会社イーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】永江 公二
(72)【発明者】
【氏名】関矢 遼一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和哉
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BE05
3L051BE07
3L051BJ10
(57)【要約】
【課題】利用側ユニットと熱源側ユニットの共通化によって生産性に優れると共に、高性能で省エネルギー性に優れた空気調和装置を提供する。
【解決手段】利用側ハウジング11内に利用側熱交換器12及び利用側ファン13が設けられた利用側ユニット10と、熱源側ハウジング内に熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機が設けられた熱源側ユニットと、を具備し、利用側ユニット及び熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置であって、利用側ユニットは熱源側ユニットと同じ屋外設置仕様に形成され、利用側熱交換器は、利用側ハウジング内の、熱源側ハウジングにおいては圧縮機が設置される空間を利用するよう設けられている。これにより、部品の共通化により空気調和装置の生産性が向上すると共に、利用側熱交換器の熱交換性能を向上させることができ、優れた空調能力を発揮する空気調和装置が得られる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用側ハウジング内に利用側熱交換器及び利用側ファンが設けられた利用側ユニットと、
熱源側ハウジング内に熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機が設けられた熱源側ユニットと、を具備し、
前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置であって、
前記利用側ユニットは、前記利用側ハウジング、前記利用側熱交換器及び前記利用側ファンが前記熱源側ユニットと同じ屋外設置仕様に配置され、
前記利用側熱交換器は、前記利用側ハウジング内であって前記熱源側ハウジングにおいては前記圧縮機が設置される空間を利用するよう設けられていることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記利用側熱交換器は、前記利用側ハウジング内の背面部から両側面部に跨って配置されるようU字型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記利用側熱交換器は、前記利用側ハウジング内の背面部から両側面部に跨って前面部に沿うようC字型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記利用側ハウジングの前面下部には、配管取出口が形成される着脱自在なサービスカバーが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用側ユニットと熱源側ユニットを配管接続して冷房等の空調運転を行う空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機等を有する熱源側ユニットと、を備え、利用側ユニットと熱源側ユニットを配管接続して冷房等の空調運転を行う空気調和装置が開示されている。
【0003】
また、通常の空気調和装置を設置することが難しい大規模空間、例えば、工場、作業場、倉庫、体育館等を冷房または暖房するために用いられる空気調和装置として、利用側ユニット及び熱源側ユニットを一体的に備え、スポット空調を行うものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献2には、利用側ユニット及び熱源側ユニットが一つの架台上に配置された空気調和装置が開示されている。利用側ユニット及び熱源側ユニットは、それぞれ吹出口が外向きに、吸込口が内向きになるように背中合わせに配置されると共に、利用側ユニットと熱源側ユニットの間には吸込空間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-200103号公報
【特許文献2】特開2011-94879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の空気調和装置において、利用側ユニットの仕様を、熱源側ユニットの仕様に合わせることによって、利用側ユニット及び熱源側ユニットの共通化を図ることが考えられる。即ち、利用側ユニット及び熱源側ユニットの部品の共通化を図ることにより、空気調和装置のコストを低減することができ生産性が向上する。また、利用側ユニットの仕様を、屋外に設置されることが多い熱源側ユニットの仕様に合わせることによって、利用側ユニットは、優れた対候性及び防水性が得られる。
【0007】
しかしながら、上記した従来技術では、利用側ユニット及び熱源側ユニットのハウジングを同じ仕様にすると、利用側ユニットのハウジング内では、圧縮機等を収納する機械室が不要になることから、この部分がデッドスペースになるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用側ユニットと熱源側ユニットの共通化により生産性に優れると共に、高性能で省エネルギー性に優れた空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の空気調和装置は、利用側ハウジング内に利用側熱交換器及び利用側ファンが設けられた利用側ユニットと、熱源側ハウジング内に熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機が設けられた熱源側ユニットと、を具備し、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置であって、前記利用側ユニットは、前記利用側ハウジング、前記利用側熱交換器及び前記利用側ファンが前記熱源側ユニットと同じ屋外設置仕様に配置され、前記利用側熱交換器は、前記利用側ハウジング内の前記熱源側ハウジングにおいては前記圧縮機が設置される空間を利用するよう設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気調和装置によれば、利用側ハウジング内に利用側熱交換器及び利用側ファンが設けられた利用側ユニットと、熱源側ハウジング内に熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機が設けられた熱源側ユニットと、を具備し、利用側ユニット及び熱源側ユニットを配管接続して空調運転を行う空気調和装置であって、利用側ユニットは、利用側ハウジング、利用側熱交換器及び利用側ファンが熱源側ユニットと同じ屋外設置仕様に配置されている。これにより、利用側ユニットと熱源側ユニットの部品の共通化を図り、空気調和装置の生産性を向上させて経済性を高めることができると共に、利用側ユニットの対候性を高めて利用側熱交換器の洗浄性を高めることができる。そして、利用側熱交換器は、利用側ハウジング内であって熱源側ハウジングにおいては圧縮機が設置される空間を利用するよう設けられている。このような構成により、利用側熱交換器の熱交換性能を向上させることができ、優れた空調能力を発揮する省エネルギー性に優れた空気調和装置が得られる。
【0011】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側熱交換器は、前記利用側ハウジング内の背面部から両側面部に跨って配置されるようU字型に形成されても良い。このような構成により、利用側ハウジング内のスペースを無駄なく活用して、利用側熱交換器の熱交換面積を大きくすることができる。これにより、空調性能を高めることができる。
【0012】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側熱交換器は、前記利用側ハウジング内の背面部から両側面部に跨って前面部に沿うようC字型に形成されても良い。このような構成により、利用側熱交換器の熱交換面積を更に大きくすることができ、空調性能を更に高めることができる。
【0013】
また、本発明の空気調和装置によれば、前記利用側ハウジングの前面下部には、配管取出口が形成される着脱自在なサービスカバーが設けられても良い。これにより、利用側熱交換器の熱交換面積を大きくして空気調和装置の空調性能を向上させることができると共に、利用側ユニットの配管接続を利用側ハウジングの前面側にて簡単に行うことができる。また、サービスカバーを開けて利用側ユニットの制御部品等の点検を容易に行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和装置の熱源側ユニットの平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和装置の利用側ユニットの平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和装置の利用側ユニットの正面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る空気調和装置の利用側ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、空調運転を行う装置であり、架台40の上に載置された利用側ユニット10と熱源側ユニット20とを有する。空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20を一体化した移動可能な強力スポットエアコンである。
【0016】
利用側ユニット10は、主として利用側の空気を冷却または加熱して供給する装置である。利用側ユニット10は、一般的なパッケージエアコンの室内ユニットに相当する構成を有する。
【0017】
具体的には、利用側ユニット10は、金属板材等から形成された略箱状の筐体である利用側ハウジングとしてのハウジング11を有する。ハウジング11の内部には、冷凍サイクルを構成する部品である利用側熱交換器12と利用側ファン13が設けられている。この利用側ファン13はプロペラファンであり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0018】
熱源側ユニット20は、主として排気側の空気に対して放熱または吸熱する装置である。熱源側ユニット20は、一般的なパッケージエアコンの室外ユニットに相当する構成を有する。
【0019】
具体的には、熱源側ユニット20は、金属板材等から形成された略箱状の筐体である熱源側ハウジングとしてのハウジング21を有する。ハウジング21の内部には、冷凍サイクルを構成する部品である熱源側熱交換器22と熱源側ファン23が設けられている。この熱源側ファン23もプロペラファンであり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0020】
利用側ユニット10は、熱源側ユニット20と略同じ屋外設置仕様である。即ち、利用側ユニット10は、ハウジング11、利用側熱交換器12及び利用側ファン13が熱源側ユニット20と略同じ屋外設置仕様に配置されている。利用側ユニット10は、対候性や防水性において熱源側ユニット20と略同等な仕様で形成されている。
【0021】
このような構成により、利用側ユニット10と熱源側ユニット20の部品の共通化を図り、空気調和装置1の生産性を向上させることができる。また、利用側ユニット10が屋外設置仕様に形成され、対候性及び防水性が向上することにより、利用側熱交換器12の洗浄性能が高められる。
【0022】
利用側ユニット10の利用側熱交換器12は、冷媒配管28を介して熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に連結されている。詳しくは、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22は、低圧の冷媒を圧縮して高圧にする図示しない圧縮機、高圧の冷媒を膨張させて低圧にする図示しない膨張弁、冷媒配管28及びその他の図示しない冷媒配管等を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成している。冷凍サイクルで用いられる冷媒としては、例えば、HFC冷媒等が採用される。
【0023】
利用側ユニット10のハウジング11には、空気を吸引する開口部である吸込口15と、空気を吹き出す開口部である吹出口16が形成されている。吸込口15には、外部から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う利用側熱交換器12が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、外部から吸い込まれた空気は、利用側熱交換器12内で蒸発する冷媒によって冷却される。
【0024】
吹出口16には、利用側熱交換器12と熱交換したハウジング11内の空気を外側に吹き出す利用側ファン13が設けられている。利用側ファン13は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0025】
本実施形態に係る空気調和装置1では、特に強力な利用側ファン13が装着されている。具体的には、利用側ファン13は、例えば、吹出口16から風速5m/sで空気を吹き出す強力な送風能力を有している。これにより、工場等の大規模作業場において直進性の強い爆風を遠くまで届けることができ、作業する空間を狙ってその作業空間のみを効率良く冷房または暖房することができる。
【0026】
また、吹出口16には、利用側ファン13によって送られる空気の流れ方向を調整するための風向ガイド14が設けられている。風向ガイド14は、利用側ファン13の外周を囲む、例えば、略円筒状の形態を成す外周部を有する。風向ガイド14の外周部に囲まれた内部は空気が流れる吹出口16につながる開口となっており、そこには空気の流れを調整する図示しない可変式の風向調整板が設けられている。
【0027】
このような構成により、周囲の空気と温度差が十分に大きくなるように、利用側熱交換器12で冷却または加熱された空気を、それを必要とする作業空間に向けて効率良く流すことができる。
【0028】
利用側ユニット10のハウジング11の前面には、熱源側ユニット20につながる冷媒配管28が挿通される配管取出口17が設けられている。配管取出口17は、例えば、ノックアウトホールである。
【0029】
熱源側ユニット20のハウジング21には、空気を吸引する開口部である吸込口25と、空気を吹き出す開口部である吹出口26が形成されている。吸込口25には、周囲から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う熱源側熱交換器22が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、熱源側熱交換器22内の冷媒は、吸込口25から流入する空気によって冷却され凝縮する。換言すれば、吸込口25から吸い込まれた空気は、熱源側熱交換器22内の冷媒と熱交換して加熱される。
【0030】
吹出口26には、熱源側熱交換器22と熱交換したハウジング21内の空気を外側に吹き出す熱源側ファン23が設けられている。熱源側ファン23は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0031】
また、吹出口26には、熱源側ファン23によって送られる空気の吹き出し方向を調整するための風向ガイド24が設けられている。風向ガイド24は、熱源側ファン23の外周を囲むような、例えば、略四角形状の形態を成す外枠部を有し、金属板材料や樹脂製板材料等から形成されている。
【0032】
熱源側ユニット20のハウジング21には、利用側ユニット10につながる冷媒配管28が挿通される配管取出口27が形成されている。配管取出口27は、例えば、ノックアウトホールである。
【0033】
架台40は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支える台である。架台40は、例えば、山形鋼、溝形鋼、その他の鋼材等から形成されている。架台40の下部には、外周が上面視で略矩形枠状の形態を成す基台41が形成されている。熱源側ユニット20は、基台41の上部に固定されている。
【0034】
架台40には、利用側ユニット10を設置する利用側ユニット設置台42が形成されている。利用側ユニット設置台42は、利用側ユニット10の底部を熱源側ユニット20の底部よりも高い位置で支持できるよう、基台41の上部から上方に突出するよう形成されている。
【0035】
基台41の上部に利用側ユニット設置台42が設けられることにより、利用側ユニット10は高い位置に固定される。このように利用側ユニット10が高い位置に設けられることにより、利用側ユニット10の吹出口16の位置が高くなり、空調用の冷風や温風を作業空間に対して広く効率的に吹き流すことができる。
【0036】
利用側ユニット設置台42の上部には、ドレンパン43が設けられている。ドレンパン43は、利用側ユニット10の利用側熱交換器12に付着して滴下する水分を受け止めて図示しない配水管に排水するための部材である。ドレンパン43が設けられることにより、利用側ユニット10の利用側熱交換器12から滴下する水分を集めて好適に排水することができ、作業空間に水分が飛散することを防止することができる。
【0037】
基台41の下部の角部近傍には、車輪44が設けられている。車輪44は、例えば、ゴム車輪等を有するキャスタであり、一方の端辺側が所定の一方向に向かって移動可能な固定車、他方の端辺側が方向変更可能な自在車であっても良い。車輪44が設けられることにより、架台40は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支持した状態で移動可能に構成される。
【0038】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが空気を吸引する吸込口15と吸込口25を対向させるように架台40上に設けられている。即ち、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、利用側熱交換器12側と熱源側熱交換器22側が対向するよう背中合わせに配設されている。
【0039】
換言すれば、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが逆方向に空気を吹き出すよう、利用側ユニット10の吹出口16と熱源側ユニット20の吹出口26が外向きになるよう配設されている。
【0040】
上記のように、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が、吸込口15と吸込口25を対向させて、逆方向に空気を吹き出すよう吹出口16と吹出口26が逆方向を向くよう配設されることにより、大規模工場や物流倉庫等に対する効率的な空気調和が実現する。
【0041】
即ち、冷却または加熱された空気を利用側ユニット10の吹出口16から空調対象の作業領域に効率良く強力に吹き付けることができる。そして、利用側ユニット10の吹出口16に対して反対側を向く熱源側ユニット20の吹出口26から、空調用の排熱空気を、空気調和を必要とする空間から離れた空間に吹き出すことができる。
【0042】
図2は、熱源側ユニット20の平面図であり、熱源側熱交換器22の設置状態を示している。図2において、上方側が熱源側ユニット20のハウジング21の背面部であり、下方側がハウジング21の正面部、即ち吹出口26側、である。
【0043】
図2に示すように、熱源側ユニット20のハウジング21内に設けられた熱源側熱交換器22は、上面視略L字型に形成されている。具体的には、熱源側熱交換器22は、ハウジング21内の背面部から左側面部に亘って設けられている。即ち、熱交換用の空気を吸い込む吸込口25は、ハウジング21の背面から左側面に亘って形成されている。
【0044】
ハウジング21の右側面近傍には、図示しない圧縮機及び制御装置等が配設される機械室31が設けられている。機械室31は、仕切り壁30によって、吸込口25と吹出口26の間の空気流路29から仕切られている。よって、吸込口25から流入する空調用の空気は、熱源側熱交換器22で冷媒と熱交換した後、機械室31を通過せずに空気流路29を流れて、吹出口26から空調対象空間に吹き出される。
【0045】
図3は、利用側ユニット10の平面図であり、利用側熱交換器12の設置状態を示している。図3において、上方側が利用側ユニット10のハウジング11の背面部であり、下方側がハウジング11の正面部、即ち吹出口16側、である。
【0046】
図3を参照して、利用側熱交換器12は、利用側ユニット10のハウジング11内の、図2に示す機械室31に相当する空間を利用するよう配置されている。即ち、図2に示す熱源側ユニット20のハウジング21において圧縮機が設置される空間である機械室31は、図3に示す利用側ユニット10のハウジング11においては、利用側熱交換器12が延長配置される空間となる。
【0047】
図3に示す利用側ユニット10のハウジング11内には、図2に示す熱源側ユニット20のように、ハウジング21内に仕切り壁30で区画され、圧縮機等を搭載する機械室31を設ける必要がない。そこで、利用側熱交換器12の熱交換面積を大きくするよう、機械室31に相当するスペースも利用側熱交換器12を設置するスペースとして利用できるよう構成されている。
【0048】
このような構成により、利用側熱交換器12の熱交換面積を大きくして、利用側熱交換器12の熱交換性能を向上させることができる。よって、空気調和装置1の空調性能を向上させることができる。
【0049】
具体的には、利用側熱交換器12は、上面視略U字型に曲折されており、ハウジング11の背面部から両側面部に跨って配置されている。即ち、図2に示すように、熱源側ユニット20のハウジング21内に設けられた熱源側熱交換器22は上面視略L字型であるのに対して、図3に示すように、利用側ユニット10のハウジング11内に設けられた利用側熱交換器12は上面視略U字型である。そして、利用側熱交換器12は、利用側ユニット10のハウジング11内の背面部から両側面部に跨って配置されている。
【0050】
このような構成により、利用側ユニット10のハウジング11内のスペースを無駄なく活用して、利用側熱交換器12の熱交換面積を大きくすることができる。これにより、空気調和装置1の空調性能を高めることができ、優れた空調能力を発揮する省エネルギー性に優れた空気調和装置1が得られる。
【0051】
図4は、利用側ユニット10の正面図である。
図4に示すように、利用側ユニット10のハウジング11の前面下部には、サービスカバー18が着脱自在に設けられている。サービスカバー18には、熱源側ユニット20(図1参照)につながる冷媒配管28(図1参照)が挿通される配管取出口17が設けられている。配管取出口17は、前述のとおり、例えばノックアウトホールである。
【0052】
このように、配管取出口17が形成されたサービスカバー18が利用側ユニット10のハウジング11の前面下部に設けられることにより、図3に示すように、上面視略U字型に形成された利用側熱交換器12を、ハウジング11の両側面部の略全面を覆うよう設けることができる。つまり、利用側熱交換器12を大きく形成することができる。これにより、利用側熱交換器12の熱交換面積を大きくして空気調和装置1の空調性能を向上させることができる。
【0053】
また、図4に示すように、利用側ユニット10のハウジング11の前面下部にサービスカバー18が設けられることにより、利用側ユニット10の配管接続をハウジング11の前面側にて容易に行うことができる。また、サービスカバー18を開けることにより、利用側ユニット10の制御部品等の点検を容易に行うこともできる。このように、空気調和装置1の設置作業性及び点検作業性を向上させることができる。
【0054】
次に、図5を参照して、実施形態を変形した例として、空気調和装置1の利用側熱交換器112について詳細に説明する。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図5は、本発明の他の実施形態に係る空気調和装置1の利用側ユニット110の平面図であり、利用側熱交換器112の設置状態を示している。
図5を参照して、利用側熱交換器112は、左右両端近傍が更に延長するよう形成されている。具体的には、利用側熱交換器112は、左右両端近傍が、吹出口16側に向かって曲折され、ハウジング11内をハウジング11の前面に沿って延在するよう形成されている。
【0056】
換言すれば、利用側熱交換器112は、上面視略C字型に曲折されており、ハウジング11の背面部から両側面部に跨って更に前面部に沿って配置されている。即ち、ハウジング11内に空調用の空気を吸い込む吸込口15も、ハウジング11の背面部から両側面部に跨って形成され、更に前面部にも形成されている。
【0057】
このような構成により、利用側熱交換器112の熱交換面積を更に大きくして、熱交換効率を向上させることができる。これにより、優れた空調性能を発揮する省エネルギーな空気調和装置1が得られる。
【0058】
なお、図5においては、利用側熱交換器112は、左右両側の端部近傍がハウジング11の前面に沿うよう形成されているが、利用側熱交換器112の端部近傍は、左右何れか一方のみがハウジング11の前面に沿うよう曲折されても良い。
【0059】
また、上面視略C字型に形成された利用側熱交換器112が設けられる構成において、図4を参照して、配管取出口17が形成されたサービスカバー18は、風向ガイド14の下方に設けられても良い。
【0060】
以上説明の如く、本実施形態に係る空気調和装置1では、利用側ユニット10、110と熱源側ユニット20とを配管接続して空調運転を行う空気調和装置1において、利用側ユニット10、110のハウジング11を熱源側ユニット20のハウジング21と略同じ屋外設置仕様とし、利用側ユニット10、110が熱源側ユニット20と略同等な仕様で作られている。
【0061】
よって、空気調和装置1は、利用側ユニット10、110と熱源側ユニット20の共通化を図ることができ、経済性に優れている。また、利用側ユニット10は、熱源側ユニット20と略同等の対候性や防水性を有することになり、洗浄性に優れ、工場等の厳しい環境下においても使用が可能である。
【0062】
空気調和装置1のように、利用側ユニット10、110と熱源側ユニット20の仕様を共通化するものでは、熱源側ユニット20のハウジング21の機械室31に相当する部分のスペースを利用して利用側熱交換器12、112の熱交換面積を大きくすることが可能である。即ち、利用側ユニット10、110のハウジング11内のスペースを有効活用して、利用側熱交換器12、112の熱交換性能を高めることができる。
【0063】
また、空気調和装置1では、利用側ユニット10、110と熱源側ユニット20との仕様の共通化が図られ、且つ、利用側熱交換器12、112が略U字型または略C字型に形成されている。そして、利用側熱交換器12、112は、利用側ユニット10のハウジング11内の背面部から両側面部に跨って、更には前面部に沿うように、配置されている。これにより、利用側熱交換器12の熱交換面積が大きくなり、利用側熱交換器12、112の熱交換面積が増大した分だけ空調能力を高めることができる。また、空調能力を好適に調整して圧縮機の回転数を下げることにより、省エネルギーに貢献することも可能である。
【0064】
以上、本実施形態では、利用側ユニット10、110のハウジング11を熱源側ユニット20のハウジング21と略同じ室外設置仕様としたが、ハウジング11とハウジング21の大きさや形状は同一でなくても良い。即ち、利用側熱交換器12、112と熱源側熱交換器22は同一の大きさではなく、ハウジング11とハウジング21は、大きさが異なるものでも良い。
【0065】
例えば、省エネルギーの観点から、熱源側熱交換器22の熱交換効率を高めるために、熱源側熱交換器22の送風面積が大きくなるような構成でも良い。即ち、熱源側熱交換器22の風路面積が利用側熱交換器12、112の風路面積よりも大きくても良い。例えば、熱源側熱交換器22の高さ方向の寸法は、利用側熱交換器12、112の高さ方向の寸法よりも大きくても良い。
【0066】
また、熱源側ファン23は、利用側ファン13よりも多く設けられても良い。例えば、2個の熱源側ファン23が設けられても良い。このような構成によっても、好適な冷風を吹き出すことが可能な省エネルギー性に優れた空気調和装置1が得られる。
【0067】
また、上述の実施形態に係る空気調和装置1は利用側ユニット10と熱源側ユニット20が共通の架台40の上に載置され一体化された移動可能な構成であったが、空気調和装置1の構成はこれに限定されるものではない。空気調和装置1は、利用側ユニット10、110と熱源側ユニット20がそれぞれ別の位置に設置される構成でも良い。
【0068】
利用側ユニット10、110と熱源側ユニット20が一体化されず、離れた別の位置に設置される構成であっても、利用側ユニット10、110を熱源側ユニット20と略同等の屋外設置仕様とし、且つ、利用側熱交換器12、112を略U字型または略C字型に形成することができる。
【0069】
これにより、利用側ユニット10と熱源側ユニット20を別の位置に設置する構成においても、部品の共通化による低コスト化によって生産性が高められ、且つ、空調性能及び省エネルギー性能を向上させることができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 空気調和装置
10、110 利用側ユニット
11 ハウジング
12、112 利用側熱交換器
13 利用側ファン
14 風向ガイド
15 吸込口
16 吹出口
17 配管取出口
18 サービスカバー
20 熱源側ユニット
21 ハウジング
22 熱源側熱交換器
23 熱源側ファン
24 風向ガイド
25 吸込口
26 吹出口
27 配管取出口
28 冷媒配管
29 空気流路
30 仕切り壁
31 機械室
40 架台
41 基台
42 室内ユニット設置台
43 ドレンパン
44 車輪
図1
図2
図3
図4
図5