(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008316
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】空気調和装置用の架台及びそれを備えた空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/03 20190101AFI20230112BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
F24F1/03
B62B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111780
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】504027657
【氏名又は名称】株式会社イーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】永江 公二
(72)【発明者】
【氏名】関矢 遼一
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和哉
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA13
3D050AA31
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050HH01
(57)【要約】
【課題】利用側ユニット及び熱源側ユニットが一体的に載置され、軽量で生産性に優れ、安全な吊り上げ作業を効率良く実行することができる移動式の空気調和装置用の架台及びそれを備えた空気調和装置を提供する。
【解決手段】利用側ユニット10と熱源側ユニット20が一体的に載置される移動式の空気調和装置用の架台30であって、下部を構成する基台31の四隅に4つの車輪34が取り付けられており、4つの車輪34の近傍に、吊り上げ用のバンドを通すためのバンドスペース46が形成されている。バンドスペース46に吊り上げ用のバンドを通すことで、空気調和装置の吊り上げが可能となる。よって、架台30にシャックルピン取り付け孔を設ける必要がなく、架台の板厚を薄くすることができ、製造コストを削減して生産性を向上させることができる。また、安全な吊り上げ作業を効率良く実行できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、が載置される移動式の空気調和装置用の架台であって、
下部を構成する基台の四隅に4つの車輪が取り付けられており、
前記基台には、4つの前記車輪の近傍に、吊り上げ用のバンドを通すためのバンドスペースが形成されていることを特徴とする空気調和装置用の架台。
【請求項2】
前記バンドスペースは、前記基台の下部を切り欠いて折り曲げることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置用の架台。
【請求項3】
前記基台の下部の外周一辺を構成する支持部材は、板材から形成されており、
前記支持部材は、前記車輪が取り付けられる支持板部と、前記支持板部の外辺側を上方に向かって曲折することによって形成された外板部と、前記支持板部の内辺側を下方に向かって曲折することによって形成された内板部と、を有し、
前記バンドスペースは、前記内板部を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置用の架台。
【請求項4】
前記支持部材は、前記外板部の上辺側を内側に向かって曲折することによって形成された上板部と、前記内板部の下辺側を内側に向かって曲折することによって形成された下板部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の空気調和装置用の架台。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の空気調和装置用の架台と、
前記架台の上に載置された前記利用側ユニットと、
前記架台の上に載置され冷媒配管を介して前記利用側ユニットに接続された前記熱源側ユニットと、を具備することを特徴とする空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用側ユニット及び熱源側ユニットを一体化した空気調和装置に用いられる移動式の架台及びそれを備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機等を有する熱源側ユニットと、を備え、利用側ユニットと熱源側ユニットを配管接続して冷房等の空調運転を行う空気調和装置が開示されている。
【0003】
また、通常の空気調和装置を設置することが難しい大規模空間、例えば、工場、作業場、倉庫、体育館等を冷房または暖房するために用いられる空気調和装置として、利用側ユニット及び熱源側ユニットを一体的に備え、スポット空調を行うものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献2には、利用側ユニット及び熱源側ユニットが一つの架台上に配置された空気調和装置が開示されている。利用側ユニット及び熱源側ユニットは、それぞれ吹出口が外向きに、吸込口が内向きになるように背中合わせに配置されると共に、利用側ユニットと熱源側ユニットの間には吸込空間が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-200103号公報
【特許文献2】特開2011-94879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の利用側ユニット及び熱源側ユニットを一体的に備えた移動可能な空気調和装置は、搬送時等において、高い位置に吊り上げられることがある。しかしながら、上記した従来技術では、空調調和装置を安全に吊り上げる構造について改善すべき点があった。
【0007】
具体的には、従来技術の利用側ユニット及び熱源側ユニットを一体的に備えた空気調和装置では、架台の下方に吊り上げ用のバンド等を掛けて空気調和装置を持ち上げると、バンド等が滑って空気調和装置が落下する危険性がある。
【0008】
そこで、従来、空気調和装置を高い位置に吊り上げる際に、吊り上げ用のバンド等の滑りを防止するため、架台の基台にバンド等を固定するための複数個のシャックルピンを設けることが知られている。
【0009】
即ち、複数個のシャックルピンが架台のに取り付けられ、これらのシャックルピンに吊り上げ用のバンド等が固定され、バンド等がクレーン等の吊り上げ機械に連結され、空気調和装置の吊り上げが行われる。
【0010】
このようにシャックルピンを用いて空気調和装置を吊り上げる構成では、シャックルピンが必要であると共に、架台の基台にはシャックルピンを固定するための十分な強度を有する固定孔が形成されている必要がある。即ち、吊り上げ時に架台が変形しないように、吊り上げ荷重に耐え得る板厚の厚い高強度な基台が用いられている。
【0011】
そのため、厚い板材等から形成される架台、及び複数個のシャックルピンを必要とする従来技術の空気調和装置は、生産コストが高く不経済であった。また、搬送時には、シャックルピンの取り付け及び取り外しの作業が必要になり、作業性が良くない。また、強度を確保するために厚い板材等が用いられることによって、架台の重量が増し、更にシャックルピンも取り付けられることにより、空気調和装置が重たくなり、搬送作業が難しくなるという問題点もある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量で生産性に優れ、空気調和装置の安全な吊り上げ作業を効率良く実行することがでる空気調和装置用の架台及びそれを備えた空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の空気調和装置用の架台は、利用側熱交換器及び利用側ファンを有する利用側ユニットと、熱源側熱交換器、熱源側ファン及び圧縮機を有する熱源側ユニットと、が載置される移動式の空気調和装置用の架台であって、下部を構成する基台の四隅に4つの車輪が取り付けられており、前記基台には、4つの前記車輪の近傍に、吊り上げ用のバンドを通すためのバンドスペースが形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の空気調和装置は、上記の空気調和装置用の架台と、前記架台の上に載置された前記利用側ユニットと、前記架台の上に載置され冷媒配管を介して前記利用側ユニットに接続された前記熱源側ユニットと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空気調和装置用の架台によれば、利用側ユニットと熱源側ユニットが一体的に載置される移動式の空気調和装置用の架台であって、下部を構成する基台の四隅に4つの車輪が取り付けられており、基台には、4つの車輪の近傍に、吊り上げ用のバンドを通すためのバンドスペースが形成されている。これにより、架台の4つの車輪近傍に設けられたバンドスペースに吊り上げ用のバンドを通すことで、空気調和装置の吊り上げが可能となる。よって、従来技術のように架台にシャックルピンを取り付ける必要がないので、架台にシャックルピン取り付け孔を設ける必要がなく、架台の板厚を薄くすることができる。よって、シャックルピンが不要になると共に、架台の製造コストを削減することができ、空気調和装置の生産性を向上させることができる。また、作業者は、シャックルピンを使用せずに、安全な吊り上げ作業を効率良く実行することがでる。
【0016】
また、本発明の空気調和装置の架台によれば、前記バンドスペースは、前記基台の下部を切り欠いて折り曲げることによって形成されても良い。これにより、バンドを保持するための部材を追加することなく、簡素な構造でバンドの滑りを防止できる安全な吊り上げ作業が可能となる。
【0017】
また、本発明の空気調和装置の架台によれば、前記基台の下部の外周一辺を構成する支持部材は、板材から形成されており、前記支持部材は、前記車輪が取り付けられる支持板部と、前記支持板部の外辺側を上方に向かって曲折することによって形成された外板部と、前記支持板部の内辺側を下方に向かって曲折することによって形成された内板部と、を有し、前記バンドスペースは、前記内板部を切り欠いて形成されても良い。このような構成により、利用側ユニット及び熱源側ユニットの荷重に耐え得る安全な強度を確保しつつ架台の板厚を薄くして空気調和装置の軽量化を図ることができる。よって、生産性が向上すると共に、吊り上げ作業や搬送作業の作業性も向上する。
【0018】
また、本発明の空気調和装置の架台によれば、前記支持部材は、前記外板部の上辺側を内側に向かって曲折することによって形成された上板部と、前記内板部の下辺側を内側に向かって曲折することによって形成された下板部と、を有しても良い。これにより、架台の強度を確保しつつ更なる軽量化が可能となる。
【0019】
また、本発明の空気調和装置によれば、上記本発明の空気調和装置用の架台と、前記架台の上に載置された前記利用側ユニットと、前記架台の上に載置され冷媒配管を介して前記利用側ユニットに接続された熱源側ユニットと、を具備する。これにより、軽量で生産性に優れ、安全且つ容易に吊り上げることができる空気調和装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気調和装置の架台の要部拡大透視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気調和装置の架台の支持部材の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空気調和装置の吊り上げ時におけるバンドの取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置用の架台及びそれを備えた空気調和装置を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、移動可能なスポット空調用の装置であり、空気調和装置用の架台30の上に載置された利用側ユニット10と熱源側ユニット20とを有する。空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20を一体化した移動可能な強力スポットエアコンである。
【0023】
利用側ユニット10は、主として利用側の空気を冷却または加熱して供給する装置である。利用側ユニット10は、一般的なパッケージエアコンの室内ユニットに相当する構成を有する。
【0024】
具体的には、利用側ユニット10は、金属板材等から形成された略箱状の筐体であるハウジング11を有し、ハウジング11の内部に冷凍サイクルを構成する部品である利用側熱交換器12と利用側ファン13が設けられている。
【0025】
熱源側ユニット20は、主として排気側の空気に対して放熱または吸熱する装置である。熱源側ユニット20は、一般的なパッケージエアコンの室外ユニットに相当する構成を有する。
【0026】
具体的には、熱源側ユニット20は、金属板材等から形成された略箱状の筐体であるハウジング21を有し、ハウジング21の内部に冷凍サイクルを構成する部品である熱源側熱交換器22と熱源側ファン23が設けられている。
【0027】
利用側ユニット10のハウジング11は、熱源側ユニット20のハウジング21と略同じ屋外設置仕様であり、利用側ユニット10は、対候性や防水性において熱源側ユニット20と略同等な仕様で作られている。なお、ハウジング11とハウジング21の大きさや形状は同一でなくても良い。また、利用側熱交換器12と熱源側熱交換器22も、大きさや形状が異なるものを採用することができる。
【0028】
利用側ユニット10の利用側熱交換器12は、冷媒配管28を介して熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に接続されている。詳しくは、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22は、低圧の冷媒を圧縮して高圧にする図示しない圧縮機、高圧の冷媒を膨張させて低圧にする図示しない膨張弁、冷媒配管28及びその他の図示しない冷媒配管等を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成している。冷凍サイクルで用いられる冷媒としては、例えば、HFC冷媒等が採用される。
【0029】
利用側ユニット10のハウジング11には、熱源側ユニット20につながる冷媒配管28が挿通される配管取出口17が形成されている。配管取出口17は、例えば、ノックアウトホールである。配管取出口17は、冷媒配管28が挿通された状態で配管取出口閉塞板29によって閉塞されている。
【0030】
熱源側ユニット20のハウジング21には、利用側ユニット10につながる冷媒配管28が挿通される配管取出口27が形成されている。配管取出口27は、例えば、ノックアウトホールである。配管取出口27は、冷媒配管28が挿通された状態で配管取出口閉塞板29によって閉塞されている。
【0031】
利用側ユニット10のハウジング11には、空気を吸引する開口部である吸込口15と、空気を吹き出す開口部である吹出口16が形成されている。吸込口15には、周囲から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う利用側熱交換器12が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、周囲から吸い込まれた空気は、利用側熱交換器12内で蒸発する冷媒によって冷却される。
【0032】
吹出口16には、利用側熱交換器12と熱交換したハウジング11内の空気を外側に吹き出す利用側ファン13が設けられている。利用側ファン13は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0033】
本実施形態に係る空気調和装置1では、特に強力な利用側ファン13が装着されている。具体的には、利用側ファン13は、送風能力が熱源側ファン23よりも大きく設置されており、例えば、吹出口16から風速5m/sで空気を吹き出す強力な送風能力を有している。これにより、工場等の大規模作業場において直進性の強い爆風を遠くまで届けることができ、作業する空間を狙ってその作業空間のみを効率良く冷房または暖房することができる。
【0034】
また、吹出口16には、利用側ファン13によって送られる空気の流れ方向を調整するための風向ガイド14が設けられている。風向ガイド14は、利用側ファン13の外周を囲む、例えば、略円筒状の形態を成す外周部を有する。
【0035】
風向ガイド14の外周部に囲まれた内部は空気が流れる吹出口16につながる開口となっている。風向ガイド14の内部には空気の流れを調整する図示しない可変式の風向調整板が設けられている。このような構成により、利用側熱交換器12で冷却または加熱された空気を、それを必要とする作業空間に向けて効率良く流すことができる。
【0036】
熱源側ユニット20のハウジング21には、空気を吸引する開口部である吸込口25と、空気を吹き出す開口部である吹出口26が形成されている。吸込口25には、周囲から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う熱源側熱交換器22が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、熱源側熱交換器22内の冷媒は、吸込口25から流入する空気によって冷却され凝縮する。換言すれば、吸込口25から吸い込まれた空気は、熱源側熱交換器22内の冷媒と熱交換して加熱される。
【0037】
吹出口26には、熱源側熱交換器22と熱交換したハウジング21内の空気を外側に吹き出す熱源側ファン23が設けられている。熱源側ファン23は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0038】
また、吹出口26には、熱源側ファン23によって送られる空気の吹き出し方向を調整するための風向ガイド24が設けられている。風向ガイド24は、熱源側ファン23の外周を囲むような、例えば、略四角形状の形態を成す外枠部を有し、金属板材料や樹脂製板材料等から形成されている。
【0039】
架台30は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支える台である。架台30は、例えば、鋼板、山形鋼、溝形鋼、その他の鋼材等から形成されている。架台30の下部には、外周が上面視で略矩形枠状の形態を成す基台31が形成されている。利用側ユニット10及び熱源側ユニット20は、基台31の上部に固定されている。
【0040】
架台30には、利用側ユニット10を設置する利用側ユニット設置台32が形成されている。利用側ユニット設置台32は、利用側ユニット10の底部を熱源側ユニット20の底部よりも高い位置で支持できるよう、基台31の上部から上方に突出するよう形成されている。
【0041】
基台31の上部に利用側ユニット設置台32が設けられることにより、利用側ユニット10は高い位置に固定される。このように利用側ユニット10が高い位置に設けられることにより、利用側ユニット10の吹出口16の位置が高くなり、空調用の冷風や温風を作業空間に対して広く効率的に吹き流すことができる。
【0042】
利用側ユニット設置台32の上部には、ドレンパン33が設けられている。ドレンパン33は、利用側ユニット10の利用側熱交換器12に付着して滴下する水分を受け止めて図示しない配水管に排水するための部材である。ドレンパン33が設けられることにより、利用側ユニット10の利用側熱交換器12から滴下する水分を集めて好適に排水することができ、作業空間に水分が飛散することを防止することができる。
【0043】
基台31の下部の四隅近傍には、架台30の前後左右に位置する4つの車輪34が設けられている。車輪34は、例えば、ゴム車輪等を有するキャスタであり、一方の端辺側の車輪34が所定の一方向に向かって移動可能な固定車、他方の端辺側の車輪34が方向変更可能な自在車であっても良い。車輪34が設けられることにより、架台30は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支持した状態で移動可能に構成される。
【0044】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが空気を吸引する吸込口15と吸込口25を対向させるように架台30上に設けられている。即ち、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、利用側熱交換器12側と熱源側熱交換器22側が対向するよう背中合わせに配設されている。
【0045】
換言すれば、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが逆方向に空気を吹き出すよう、利用側ユニット10の吹出口16と熱源側ユニット20の吹出口26が外向きになるよう配設されている。
【0046】
上記のように、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が、吸込口15と吸込口25を内向きに対向させて、逆方向に空気を吹き出すよう吹出口16と吹出口26が逆方向を向くよう配設されることにより、大規模工場や物流倉庫等に対する効率的な空気調和が実現する。
【0047】
即ち、冷却または加熱された空気を利用側ユニット10の吹出口16から空調対象の作業領域に効率良く強力に吹き付けることができる。そして、利用側ユニット10の吹出口16に対して反対側を向く熱源側ユニット20の吹出口26から、空調用の排熱空気を、空気調和を必要とする空間から離れた空間に吐き出すことができる。
【0048】
本実施形態に係る空気調和装置1では、架台30の4つの車輪34の近傍に、空気調和装置1を吊り上げる際に吊り上げ用のバンド48(
図4参照)を通すためのバンドスペース46が設けられている。
【0049】
図2は、空気調和装置1の架台30の要部拡大透視図である。
図2に示すように、バンドスペース46は、架台30の基台31の4つの車輪34の近傍、具体的には、4つの車輪34の内側に設けられている。バンドスペース46は、基台31の支持部材40の下部の内側を切り欠き、その切欠き部分近傍を下方に折り曲げることによって形成されている。
【0050】
図3(A)及び
図3(B)は、架台30の支持部材40の概略形態を示す断面図である。
図2及び
図3(A)を参照して、基台31の下部の外周一辺を構成する支持部材40は、例えば、亜鉛メッキ鋼板等の板材から形成されている。具体的には、支持部材40は、空気調和装置1の前後方向に延在する略水平に配置された支持板部41を有し、支持板部41の下面には、車輪34が取り付けられている。
【0051】
支持板部41の外辺側には、支持板部41の外辺近傍を上方に向かって略90度、即ち略垂直に、曲折することによって形成された外板部42が設けられている。支持板部41の内辺側には、支持板部41の内辺近傍を下方に向かって略90度、即ち略垂直に、曲折することによって形成された内板部43が設けられている。
【0052】
即ち、支持部材40は、横断面略Z字状の形態を成すよう曲折されている。これにより、軽量で十分な強度を有する支持板部41が得られる。また、前述のとおり、空気調和装置1は、架台30にシャックルピン取り付け孔を設ける必要はないので、支持部材40の板厚を薄くすることができる。
【0053】
このような構成により、利用側ユニット10(
図1参照)及び熱源側ユニット20(
図1参照)の荷重に耐え得る十分な強度を確保しつつ、支持部材40の板厚を薄くして空気調和装置1を軽量化することができる。よって、生産性が向上すると共に、吊り上げ作業や搬送作業の作業性も向上する。
【0054】
図2を参照して、バンドスペース46は、支持部材40の内板部43を切り欠くことにより形成されている。詳しくは、支持部材40の製造工程において、支持部材40となる板材にバンドスペース46となる切り欠きが形成される。そして、切り欠きが形成された板材がプレス加工等によって曲折されることにより内板部43が形成され、バンド48(
図4参照)を安全に保持するためのバンドスペース46が形成される。
【0055】
また、
図2及び
図3(B)を参照して、支持部材40は、外板部42の上辺側を内側に向かって略90度、即ち略水平に、曲折することによって形成された上板部44を有する。また、支持部材40は、内板部43の下辺側を内側に向かって略90度、即ち略水平に、曲折することによって形成された下板部45を有しても良い。このような構成により、十分な強度を確保しつつ、支持部材40の板厚を薄くして架台30の更なる軽量化を図ることができる。
【0056】
図4は、空気調和装置1の吊り上げ時におけるバンド48の取り付け状態を示す図である。
図4に示すように、架台30の車輪34の近傍に設けられた4つのバンドスペース46にバンド48を通すことによって、空気調和装置1を架台30ごと吊り上げことができる。
【0057】
前述のとおり、バンドスペース46は、基台31の支持部材40の内板部43(
図2参照)に切り欠きとして形成されている。そのため、内板部43によってバンド48の滑りが抑えられる。即ち、バンドスペース46に取り付けられたバンド48は、内板部43に抑えられ、空気調和装置1の前後方向の内側に滑ることがない。よって、バンド48の滑りがない安全な吊り上げ作業が行われる。
【0058】
このように、4つのバンドスペース46に吊り上げ用のバンド48を通すことで、空気調和装置1の安全な吊り上げが可能となり、従来技術のように架台30にシャックルピンを取り付ける必要がない。そのため、シャックルピンが不要になると共に、シャックルピンを取り付ける孔が不要になるので架台30の製造コストを削減することができ、空気調和装置1の生産性を向上させることができる。
【0059】
また、作業者は、シャックルピンを使用せずに、4つのバンドスペース46を利用して吊り上げ用のバンド48を取り付けることによって、空気調和装置1を吊り上げることができる。即ち、作業者は、安全な吊り上げ作業を効率良く実行することがでる。
【0060】
以上説明の如く、本実施形態に係る空気調和装置用の架台30及びそれを備えた空気調和装置1は、軽量で生産性に優れ、安全且つ容易に吊り上げ移動させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 空気調和装置
10 利用側ユニット
11 ハウジング
12 利用側熱交換器
13 利用側ファン
14 風向ガイド
15 吸込口
16 吹出口
17 配管取出口
20 熱源側ユニット
21 ハウジング
22 熱源側熱交換器
23 熱源側ファン
24 風向ガイド
25 吸込口
26 吹出口
27 配管取出口
28 冷媒配管
29 配管取出口閉塞板
30 架台
31 基台
32 利用側ユニット設置台
33 ドレンパン
34 車輪
40 支持部材
41 支持板部
42 外板部
43 内板部
44 上板部
45 下板部
46 バンドスペース
48 バンド