(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083172
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20230608BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197400
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正
【テーマコード(参考)】
2E042
2E043
【Fターム(参考)】
2E042DA01
2E043AA04
2E043CA02
2E043DB05
(57)【要約】
【課題】安定性の高い廉価な構造で、ボトムレールの昇降性能に悪影響を及ぼすことなく遮光性を向上させるガイドレールユニットを用いて、遮蔽材の開閉を案内する遮蔽装置を提供する。
【解決手段】本発明の遮蔽装置は、ガイドレールユニット8を用いて遮蔽材を昇降させるように構成され、ガイドレールユニット8は、遮蔽材(スクリーン2)の下端に設けられたボトムレール3の側端部を昇降案内するガイドレール81と、当該遮蔽材の側端部に対面する側のガイドレール81内側にガイドレール81の最上部近傍から吊下され、ボトムレール3が最下限位置から所定の下限範囲内にあるときのみガイドレール81と当該遮蔽材の側端部との間の隙間からの光漏れを抑制するよう、ボトムレール3の昇降に伴って可動するフラップ(フラップ本体85、スライド保持部86、及びヒンジ部84)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールユニットを用いて遮蔽材を昇降させる遮蔽装置であって、
前記ガイドレールユニットは、
遮蔽材の下端に設けられたボトムレールの側端部を昇降案内するガイドレールと、
前記遮蔽材の側端部に対面する側の前記ガイドレール内側に前記ガイドレールの最上部近傍から吊下され、前記ボトムレールが最下限位置から所定の下限範囲内にあるときのみ前記ガイドレールと前記遮蔽材の側端部との間の隙間からの光漏れを抑制するよう、前記ボトムレールの昇降に伴って可動するフラップと、を備えることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記ボトムレールが最下限位置から所定の下限範囲内にあるときに前記ガイドレールと前記遮蔽材の側端部との隙間からの光漏れを抑制するように前記フラップの下端を前記遮蔽材の側端部側に押圧して密着させ、前記ボトムレールが最下限位置から前記所定の下限範囲外にあるときには当該密着した状態を解除するように作動するシーソーレバーが、前記ガイドレールの下端近傍に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記フラップは、前記ガイドレールの最上部近傍で上下方向に回動可能に軸支されるヒンジ部と、前記ヒンジ部に対してスライド可動するフラップ本体と、を有し、
前記ボトムレールが最上限位置から所定の上限範囲外にあるときに、前記フラップ本体は、その自重により前記フラップ本体の上端近傍を前記遮蔽材の側端部側に密着させる方向に前記ヒンジ部に対してスライドし、
前記ボトムレールが最上限位置から前記所定の上限範囲内にあるときに、前記フラップ本体は、前記ボトムレールの側端部が前記フラップ本体の自重に逆らって前記フラップ本体の上端近傍を前記遮蔽材の側端部から離す方向に押圧し、前記ヒンジ部に対してスライドするように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記フラップは、前記ボトムレールが最下限位置から所定の下限範囲内にあるときに前記遮蔽材の側端部の略全体に対して密着した状態とする板面と、前記板面の下部に位置し前記ボトムレールの側端部の先端に密着するように凹み形状を有する下端部と、を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールを用いて遮蔽材の開閉を案内する遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み可能なスクリーン(ハニカム構造のスクリーンを含む)を遮蔽材として有するプリーツスクリーン、巻き取り可能なスクリーンを遮蔽材として有するロールスクリーン、或いは多数段のスラットを遮蔽材として有する横型ブラインド等の遮蔽装置の一種として、ガイドレールを用いて遮蔽材の開閉を案内するものがある。
【0003】
特に、略コの字断面を持つ長尺なガイドレールを用いて遮蔽材の下端に設けられたボトムレールの側端部を案内しながら遮蔽材を昇降させる遮蔽装置がある。
【0004】
例えば、
図7(a)には、従来例として、略コの字断面を持つガイドレール81Cに対して配置されるボトムレール3側端部の概略構成を平面図で示している。一般的に、空洞状のボトムレール3の長手方向の端部(側端部)には、その側端部を塞ぐボトムキャップ3aが取着されている。
【0005】
図7(a)に示す構成において、略コの字断面を持つガイドレール81Cとボトムレール3の側端部との間に空気流入する隙間が設けられている場合には、遮蔽材を閉状態にして外光を遮断するべく当該ボトムレール3を最下限に位置させても、その隙間から光漏れが生じることがある(
図7(a)に示す白抜き矢印)。
【0006】
この隙間から光漏れを防止するために、
図7(b)に示すような構成とすることが考えられる。
図7(b)には、参考例として、略コの字断面を持つガイドレール81とボトムレール3の側端部との間の隙間を常に固定的に塞ぐような遮光部材20を設けた場合の概略構成を平面図で示している。
【0007】
しかしながら、
図7(b)に示す構成において、略コの字断面を持つガイドレール81とボトムレール3の側端部との間に、当該空気流入する隙間を常に固定的に塞ぐような遮光部材20を設けてしまうと、当該ボトムレール3の開閉(昇降)動作が当該遮光部材20によって高摩擦となり、昇降性能の安定性の妨げになる。
【0008】
そこで、ガイドレールに沿って遮光部材を設けつつ、その遮光部材がボトムレールの通常の昇降動作時ではボトムレールの側端部(及び遮蔽材の側端部)に対し隙間を持って対面する遮光面を有し、ボトムレールの昇降を低摩擦で案内するとともに、このガイドレールに沿って設けられる遮光部材における遮光面は、当該ボトムレールが最下限位置まで下りた時のみ、スプリング及び磁石を使用して当該ボトムレールの側端部に対して密着し遮光する構造とする遮蔽装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、特許文献1には、ボトムレールの昇降を低摩擦で案内しつつ、当該ボトムレールが最下限位置にあるときに当該ボトムレールの側端部を安定的に遮光させるように作動する遮光部材をガイドレールに沿って設ける構成が開示されている。
【0011】
しかしながら、この特許文献1の技法では、スプリングや磁石を使用するものとなっているため、ガイドレールに沿って設ける遮光部材を遮蔽材に対しボトムレールの昇降位置によって密着・非密着とするように作動させる構造が複雑になりコストが増大するという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、安定性の高い廉価な構造で、ボトムレールの昇降性能に悪影響を及ぼすことなく遮光性を向上させるガイドレールユニットを用いて、遮蔽材の開閉を案内する遮蔽装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の遮蔽装置は、ガイドレールユニットを用いて遮蔽材を昇降させる遮蔽装置であって、前記ガイドレールユニットは、遮蔽材の下端に設けられたボトムレールの側端部を昇降案内するガイドレールと、前記遮蔽材の側端部に対面する側の前記ガイドレール内側に前記ガイドレールの最上部近傍から吊下され、前記ボトムレールが最下限位置から所定の下限範囲内にあるときのみ前記ガイドレールと前記遮蔽材の側端部との間の隙間からの光漏れを抑制するよう、前記ボトムレールの昇降に伴って可動するフラップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の遮蔽装置において、前記ボトムレールが最下限位置から所定の下限範囲内にあるときに前記ガイドレールと前記遮蔽材の側端部との隙間からの光漏れを抑制するように前記フラップの下端を前記遮蔽材の側端部側に押圧して密着させ、前記ボトムレールが最下限位置から前記所定の下限範囲外にあるときには当該密着した状態を解除するように作動するシーソーレバーが、前記ガイドレールの下端近傍に設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の遮蔽装置において、前記フラップは、前記ガイドレールの最上部近傍で上下方向に回動可能に軸支されるヒンジ部と、前記ヒンジ部に対してスライド可動するフラップ本体と、を有し、前記ボトムレールが最上限位置から所定の上限範囲外にあるときに、前記フラップ本体は、その自重により前記フラップ本体の上端近傍を前記遮蔽材の側端部側に密着させる方向に前記ヒンジ部に対してスライドし、前記ボトムレールが最上限位置から前記所定の上限範囲内にあるときに、前記フラップ本体は、前記ボトムレールの側端部が前記フラップ本体の自重に逆らって前記フラップ本体の上端近傍を前記遮蔽材の側端部から離す方向に押圧し、前記ヒンジ部に対してスライドするように構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の遮蔽装置において、前記フラップは、前記ボトムレールが最下限位置から所定の下限範囲内にあるときに前記遮蔽材の側端部の略全体に対して密着した状態とする板面と、前記板面の下部に位置し前記ボトムレールの側端部の先端に密着するように凹み形状を有する下端部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安定性の高い廉価な構造でガイドレールユニットを構成し、このガイドレールユニットを用いて遮蔽材の開閉を案内する際にボトムレールの昇降時の摩擦の影響を軽減させるとともに、ボトムレールが最下限位置にあるときのガイドレールユニットと遮蔽材との間の光の回り込みを遮断して遮光性を向上させることができる。また、好適な一態様の構成として、ボトムレールの最上限位置をガイドレールユニットによって制限させないようにすることで、ガイドレールを用いない場合と同様の開放性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す正面図であり、(b)は本発明による一実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す側面図である。
【
図2】(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニットの概略構成を示す斜視図であり、(b)は本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニットの概略構成を示す正面断面図である。
【
図3】本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図4】(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニット上部の一部構成を示す斜視図であり、(b)は本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニット下部の一部構成を示す斜視図である。
【
図5】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニットの動作を説明するための遮蔽装置の部分的な正面断面図である。
【
図6】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニットの動作を説明するための遮蔽装置の部分的な正面断面図である。
【
図7】(a)は、従来例として、略コの字断面を持つガイドレールに対して配置されるボトムレール側端部の概略構成を示す平面図であり、(b)は、参考例として、略コの字断面を持つガイドレールとボトムレールの側端部との間の隙間を常に固定的に塞ぐような遮光部材を設けた場合の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置として、ハニカム構造のスクリーンを有するプリーツスクリーン(以下、「ハニカムスクリーン」と称する。)を例に、その概略構成を説明する。尚、本願明細書中、説明の便宜上、
図1に示すように、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、ハニカムスクリーンの室内側を前側又は正面側、及び、ハニカムスクリーンの室外側を背面側又は後側として定義し、ハニカムスクリーンを正面側から見て右方を右側及び左方を左側として説明する。
【0020】
(装置構成)
図1(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置の概略構成を示す正面図であり、
図1(b)はその側面図である。本発明による一実施形態の遮蔽装置として、ハニカムスクリーンを例に、その概略構成を説明する。ただし、本発明に係る遮蔽装置は、ハニカムスクリーンとする以外にも、くの字状で折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として有するプリーツスクリーン、巻き取り可能なスクリーンを遮蔽材として有するロールスクリーン、或いは多数段のスラットを遮蔽材として有する横型ブラインド等としてもよく、略コの字断面を持つ長尺なガイドレールを用いて遮蔽材の下端に設けられたボトムレールの側端部を案内しながら遮蔽材を昇降させるものであればよい。
【0021】
図1(a),(b)に示すハニカムスクリーンは、ヘッドボックス1から折り畳み可能なハニカム断面を持つスクリーン2が遮蔽材として吊下支持され、そのスクリーン2の下端にボトムレール3が設けられている。
【0022】
ヘッドボックス1の左右両端部近傍には、ヘッドボックス1からスクリーン2の前後方向略中央部を貫通し外部から視認不能に垂下する2本の昇降コード4が設けられ、各昇降コード4の下端部はボトムレール3に取着されている。
【0023】
各昇降コード4の上端部は、ヘッドボックス1内で支持部材に回転可能に支持される巻取軸5にそれぞれ取着されている。各巻取軸5の軸中心には駆動軸6が挿通され、駆動軸6が回転すると同方向に一体となって各巻取軸5も回転するようになっている。そして、昇降コード4は、巻取軸5の回転に基づいて巻き取られ、或いは巻戻されるようになっている。
【0024】
ヘッドボックス1の右端部には、駆動軸6を回転駆動するための操作装置7が取着されている。操作装置7にはプーリー7aが回転可能に支持され、そのプーリー7aには無端状の操作コード(例えば、ボールチェーン)7bが掛装されて下方へ垂下されている。そして、操作コード7bの操作によりプーリー7aを回転させることができる。
【0025】
また、プーリー7aの回転は、ギア機構(図示略)を介してクラッチ機構7cの入力軸に伝達される。クラッチ機構7cは、その入力軸の一方向の回転のみをクラッチ機構7cの出力軸となる駆動軸6に伝達する公知の機能を備える。
【0026】
従って、操作装置7において、本例では前後に垂下する操作コード7bの手前側の引き操作を行うと、プーリー7aの回転に伴って、駆動軸6が回転されて、巻取軸5が昇降コード4の巻取り方向に回転される。
【0027】
駆動軸6は、ヘッドボックス1内のストッパー装置9に挿通されている。このストッパー装置9は、ボトムレール3の引き上げ操作の後に操作コード7bを手放したとき、駆動軸6の回転に制動力を付与してボトムレール3の自重降下を防止する公知の作用をなす。ストッパー装置9の側方に速度調整装置10が配置されている。速度調整装置10は、駆動軸6の回転速度を所定値以下に抑制して、ボトムレール3の自重降下時の下降速度を抑制する装置である。速度調整装置10は、自重降下するボトムレール3の床面に対する衝撃音を緩和できる点で好適であるが、本発明に係る遮蔽装置においては必ずしも設けなくともよい。
【0028】
ヘッドボックス1の左端部には、巻取軸5からの昇降コード4の最大巻戻し量を設定して、ボトムレール3の下限位置を設定する下限リミット装置11が配設されている。
【0029】
このように構成されたハニカムスクリーンの動作を説明する。操作コード7bの手前側の引き操作を行うと、駆動軸6が回転されて巻取軸5に昇降コード4が巻き取られ、ボトムレール3が引き上げられる。そして、ボトムレール3を所望高さまで引き上げた後、操作コード7bを手放すと、ストッパー装置9の自重降下防止動作により、ボトムレール3が所望高さに保持される。この状態から、操作コード7bの手前側の引き操作を僅かに行って手放すと、ストッパー装置9の自重降下防止動作が解除され、ボトムレール3が自重降下する。
【0030】
このようにして、
図1(a),(b)に示すハニカムスクリーンは、操作装置7により、ボトムレール3を昇降させて、スクリーン2を畳み込んで開放状態にすることやスクリーン2を展開させて遮蔽状態にする操作を行うことができる。
【0031】
尚、本例の操作装置7では、ボトムレール3の自重降下を利用してスクリーン2の開閉を行う例を説明したが、ボトムレール3の自重降下を阻止可能とするストッパー装置9や速度調整装置10を設ける代わりに、別例として、駆動軸6に対してボトムレール3の自重降下を常に抑制する制動力を付与するブレーキ装置(図示せず)を設け、プーリー7aの回転方向に応じてボトムレール3の昇降操作を行う構成としてもよい。また、更なる別例として、ボトムレール3の自重降下に逆らってボトムレール3を常に上昇させる方向に付勢するスプリングモータ等を設け、この場合にはボトムレール3の自動上昇を阻止可能とするようにストッパー装置9を設定してもよい。また、更なる別例として、駆動軸6を電動で回転させるモーター(図示せず)を設け、この場合の操作装置7は、外部装置(スイッチや端末等)からの有線又は無線の操作信号を受け付け、当該モーターの正逆回転を制御するように構成される。
【0032】
ところで、
図1(a),(b)に示すハニカムスクリーンは、スクリーン2の左右の各側端部に沿って配置されるガイドレールユニット8を備えており、ガイドレールユニット8によってスクリーン2の開閉を案内するようになっている。本発明に係るガイドレールユニット8は、略コの字断面を持つガイドレール81と、ボトムレール3の側端部のボトムキャップ3a(及びスクリーン2の側端部)との間の隙間からの光漏れをボトムレール3が最下限位置にあるときのみ抑制する機構(詳細は後述する。)と、を有している。即ち、本発明に係るガイドレールユニット8において、ガイドレール81とボトムレール3の側端部のボトムキャップ3aとの位置関係は、
図7(b)に示す参考例と同様であるが、当該隙間を常に固定的に塞ぐような
図7(b)に例示した遮光部材20を設けるのではなく、ボトムレール3が最下限位置にあるときのみ遮光性を向上させ、ボトムレール3の昇降性能に悪影響を及ぼすことがないようになっている。
以下、
図2乃至
図6を参照して、本発明に係る一実施例のガイドレールユニット8の構成及び動作について詳細に説明する。
【0033】
(ガイドレールユニットの構成)
図2(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置におけるガイドレールユニット8の概略構成を示す斜視図であり、
図2(b)はガイドレールユニット8の概略構成を示す正面断面図である。また、
図3は、ガイドレールユニット8の概略構成を示す分解斜視図であり、
図4(a)はガイドレールユニット8上部の一部構成を示す斜視図、
図4(b)はガイドレールユニット8下部の一部構成を示す斜視図である。尚、
図1に示す遮蔽装置におけるスクリーン2に対して左右両側に配置される各ガイドレールユニット8は、同一形状・同一構造を有しており、
図3では、
図1に示すスクリーン2に対して左側のガイドレールユニット8の分解斜視図を示している。
【0034】
まず、
図2及び
図3に示すように、本実施例のガイドレールユニット8は、ガイドレール81、上カバー82、下カバー83、ヒンジ部84、フラップ本体85、スライド保持部86、及びシーソーレバー87を備える。
【0035】
ガイドレール81は、略コの字断面を持ちスクリーン2の下端に設けられたボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)を昇降案内するのに十分な前後方向幅及び上下方向長さを有している。
【0036】
より具体的には、ガイドレール81は、側壁81a及び前後一対のガイド壁81bにより構成された略コの字断面の長尺な上下方向長さを有し、ボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)を前後一対のガイド壁81b間に配置させて、ボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)を昇降案内するようになっている。前後一対のガイド壁81bには、それぞれガイドレール81の内側方向に突起する1条のリブ81cが形成され、側壁81aには上端近傍中央部及び下端近傍中央部に丸孔81dが形成されており、固定ネジ(図示略)をガイドレール81の丸孔81dに貫通させて窓枠等にガイドレール81の側壁81aを固定させることができる。尚、ガイドレール81は、上下反転させても同形状となる対称性を有し、汎用性を持たせている。
【0037】
上カバー82は、ガイドレール81の上端部に固着され、ヒンジ部84の基端部84aを軸支して、ヒンジ部84の先端部84cを上下方向に所定の範囲内で回動可能とするように構成されている。
【0038】
より具体的には、上カバー82は、その本体82aの前後端部近傍から下方に突出する前後一対の板片82cが形成されており、この前後一対の板片82cがそれぞれガイドレール81における側壁81aと前後一対のガイド壁81bにおけるリブ81cとの間に嵌着されて、ガイドレール81の上端部に固着される。また、上カバー82の本体82aの左端近傍から下方に延びる丸凸板片上に丸孔82dが形成されており、上カバー82がガイドレール81の上端部に固着された状態で、固定ネジ(図示略)を上カバー82の丸孔82d及びガイドレール81の上側の丸孔81dに貫通させて、窓枠等にガイドレール81の側壁81aを固定させる際に上カバー82も固定させることができる。上カバー82の本体82aには、ヒンジ部84の基端部84aの前後にそれぞれ形成される軸部84bを軸支するための軸受部82bが形成されている。これによりヒンジ部84の基端部84aは、上カバー82に対して軸支されて、ヒンジ部84の先端部84cを上下方向に所定の範囲内で回動可能としている。
【0039】
下カバー83は、ガイドレール81の下端部に固着され、略くの字板状のシーソーレバー87の前後一対の回動軸部87cを軸支して、シーソーレバー87の二方向に延びる各板状突出部87a,87bを所定の範囲内で回動可能とするように構成されている。
【0040】
より具体的には、下カバー83は、その本体83aの上面に、上方に突起する略コの字状のリブ83bを有し、この略コの字状のリブ83bがガイドレール81の下端部内側に係合して嵌め込まれる。尚、下カバー83のリブ83bには、ガイドレール81の前後一対のガイド壁81bにおけるリブ81cと係合する丸凹部83dが形成されており、これにより位置決めされて、下カバー83はガイドレール81の下端部に固着される。また、下カバー83の本体83aの上面には、略くの字板状のシーソーレバー87の前後一対の回動軸部87cを軸支するための前後一対の軸受部83cが形成されている。そして、下カバー83に軸支されたシーソーレバー87は、二方向に延びる各板状突出部87a,87bを所定の範囲内で回動可能とするように構成されている。尚、詳細は後述するが、板状突出部87aがボトムレール3の当接によって回動するようになっているが、できる限り遮蔽性を高めるべく、ボトムレール3が最下限位置にあるとき当接して回動する板状突出部87aの回動範囲を大きくとれるように、下カバー83には板状突出部87aとの接触を回避する切り欠き83eが設けられている。
【0041】
ヒンジ部84は、その基端部84aが上カバー82に回動可能に軸支されるとともに、当該基端部84aから板状に延在しT字状の先端部84cを有している。
【0042】
より具体的には、ヒンジ部84は、ヒンジ部84の基端部84aの前後にそれぞれ軸部84bが形成されており、上述したように、この前後の軸部84bが上カバー82の軸受部82bに対して軸支されて、ヒンジ部84のT字状の先端部84cを上下方向に所定の範囲内で回動可能としている。
【0043】
フラップ本体85、スライド保持部86、及びヒンジ部84は、ボトムレール3の昇降に伴って可動する「フラップ」を構成するものとなっている。この「フラップ」は、スクリーン2の側端部に対面する側のガイドレール81内側にガイドレール81の最上部近傍から吊下され、ボトムレール3が最下限位置から所定の下限範囲内にあるときのみガイドレール81とスクリーン2の側端部との間の隙間からの光漏れを抑制するよう、ボトムレール3の昇降に伴って可動するようになっている。
【0044】
より具体的には、本実施例のフラップ本体85は、ガイドレール81の略コの字断面の内側に配置され、湾曲不能な硬質部材で構成されている。そして、ボトムレール3が最下限位置にあるときにガイドレール81の内側で垂下するスクリーン2の側端部の略全体に対して密着するのに十分な前後方向幅及び上下方向長さの板面85aを有している。また、板面85aの上部に位置するフラップ本体85の上端部85bは、板面85aに対して所定角度で傾斜した板状部位となっており、この上端部85bとスライド保持部86との間にヒンジ部84のT字状の先端部84cが面接触で挟み込まれた状態で、スライド保持部86によってフラップ本体85の上端部85bがヒンジ部84のT字状の先端部84cに対しスライド可能に保持されるようになっている。
【0045】
即ち、スライド保持部86は、その本体86aの前後端部近傍から下方に突出する前後一対の爪片86bが形成されており、ヒンジ部84のT字状の先端部84cに対しスライド可能に係合するT字溝86cを有している。そして、ヒンジ部84のT字状の先端部84cに対してフラップ本体85の上端部85bがスライド可能に保持されるように、スライド保持部86の一対の爪片86bがフラップ本体85の上端部85bの前後端部に設けられる凹部85cに対して一体となって嵌合するようになっている。
【0046】
尚、本実施例では、フラップ本体85及びスライド保持部86を別部材で構成した例を示しているが、カバー82に対し回動可能に軸支されるヒンジ部84に、板面85aに対して所定角度で傾斜した方向にスライド可能に保持される構造であればよく、種々の構成とすることができる。例えば、図示説明を省略するが、ヒンジ部84のT字状の先端部84cにスライド孔を設け、このスライド孔に係合する爪部をフラップ本体85の上端部85bの上面又は下面に設ける構成とし、スライド保持部86を省略、又は機能的にフラップ本体85の上端部85bと一体化した構成としてもよい。
【0047】
板面85aの下部に位置するフラップ本体85の下端部85dは、板面85aの厚みよりもスクリーン2の側端部からボトムキャップ3aの先端までの幅に相当する凹み形状を有し、ボトムレール3が最下限位置にあるときに板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態となるようになっており、本例では更に、ボトムレール3が最下限位置にあるときにフラップ本体85の下端部85dがボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)の先端に密着するようになっている。
【0048】
シーソーレバー87は、略くの字板状に構成され、二方向に延びる各板状突出部87a,87bの中心に前後一対の回動軸部87cを有し、この前後一対の回動軸部87cが下カバー83の前後一対の軸受部83cに対して所定の範囲内で回動可能に軸支されるようになっている。また、フラップ本体85の下端部85dの底辺は、シーソーレバー87における二方向に延びる各板状突出部87a,87bの間に位置している。そして、ボトムレール3が最下限位置から所定の下限範囲内にあるときにボトムレール3の側端部が板状突出部87aに当接した状態になる。そして、ボトムレール3が最下限位置になるまでシーソーレバー87が回動した状態になると、シーソーレバー87の板状突出部87bがフラップ本体85の下端部85dを押圧する。この押圧により、フラップ本体85の板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態となるようにヒンジ部82が回動し、フラップ本体85の下端部85dがボトムキャップ3aの先端に密着する状態となり、ガイドレール81とスクリーン2の側端部との隙間からの光漏れを抑制できるようになる。一方、ボトムレール3が最下限位置から当該所定の下限範囲外に移動したときにはボトムレール3の側端部が板状突出部87aに対して非当接の状態になる。そして、ボトムレール3の側端部が板状突出部87aに対して非当接の状態になると、フラップ本体85の自重作用でフラップ本体85の下端部85dの底辺がシーソーレバー87の板状突出部87bをガイドレール81側に押圧し、フラップ本体85の板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態を解除するようにシーソーレバー87が当該隙間からの光漏れを抑制する方向とは逆方向に回動するようになっている。
【0049】
尚、ボトムレール3が最上限位置から所定の上限範囲外にあるときには、フラップ本体85は、その自重により、フラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)をスクリーン2の側端部側に密着させる方向にヒンジ部84に対してスライドするようになっており、このため、ボトムレール3が最下限位置になるまでシーソーレバー87が回動した状態になると、シーソーレバー87の板状突出部87bがフラップ本体85の下端部85dを押圧し、フラップ本体85の板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態となる。
【0050】
一方、ボトムレール3が最上限位置から所定の上限範囲内にあるとき、ボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)がフラップ本体85の自重に逆らってフラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)をスクリーン2の側端部から離す方向に押圧するため、フラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)がスクリーン2の側端部から離す方向にヒンジ部84に対してスライドするように構成されている。このようなヒンジ部84に対するフラップ本体85のスライド機能により、ボトムレール3の最上限位置をガイドレールユニット8によって制限させないようになっており、ガイドレールを用いない場合と同様の開放性を実現できる。
【0051】
(ガイドレールユニットの動作)
以下、より詳細にガイドレールユニット8の動作について説明する。
図5(a),(b)、並びに
図6(a),(b)は、それぞれガイドレールユニット8の動作を説明するための遮蔽装置の部分的な正面断面図である。
【0052】
まず、
図5(a)には、ボトムレール8が最上限位置にあるときのガイドレールユニット8の動作状態を示している。この状態の場合、ヒンジ部84は、フラップ本体85の自重によって、フラップ本体85を下方に下げる方向にヒンジ部84の回動範囲の最大値まで回動した状態にあり、フラップ本体85はボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)に当接する一方で、ボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)がフラップ本体85の自重に逆らってフラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)をスクリーン2の側端部から離す方向に押圧するため、フラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)がスクリーン2の側端部から離す方向にヒンジ部84に対してスライドしている。従って、ボトムレール3の最上限位置をガイドレールユニット8によって制限させないようになっており、ガイドレールを用いない場合と同様の開放性を実現できる。また、この状態では、ボトムレール3の側端部が板状突出部87aに対して非当接の状態にあるため、フラップ本体85の自重作用でフラップ本体85の下端部85dの底辺がシーソーレバー87の板状突出部87bをガイドレール81側に押圧し、フラップ本体85の板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態を解除するようにシーソーレバー87が回動した状態となっている。
【0053】
次に、
図5(a)に示すボトムレール8が最上限位置にある状態からボトムレール3を更に下降させ、ボトムレール8が中間位置にあるときのガイドレールユニット8の動作状態を
図5(b)に示している。この状態の場合も、ヒンジ部84は、フラップ本体85の自重によって、フラップ本体85を下方に下げる方向にヒンジ部84の回動範囲の最大値まで回動した状態にある。ただし、ボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)がフラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)をスクリーン2の側端部から離す方向に押圧することがなくなる。このため、フラップ本体85は、その自重によってスクリーン2の側端部及びボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)に当接するようになり、フラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)がスクリーン2の側端部に密着する方向にヒンジ部84に対してスライドしている。また、この状態では、ボトムレール3の側端部が板状突出部87aに対して非当接の状態にあるため、フラップ本体85の自重作用でフラップ本体85の下端部85dの底辺がシーソーレバー87の板状突出部87bをガイドレール81側に押圧し、フラップ本体85の板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態を解除するようにシーソーレバー87が回動した状態となっている。
【0054】
次に、
図6(a)に示すボトムレール8が中間位置にある状態からボトムレール3を更に下降させ、ボトムレール3を最下限位置に位置させたときのガイドレールユニット8の動作状態を
図6(b)に示している。この状態の場合、ボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)がフラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)をスクリーン2の側端部から離す方向に押圧することがないため、フラップ本体85は、その自重によってスクリーン2の側端部及びボトムレール3の側端部(ボトムキャップ3a)に当接するようになり、フラップ本体85の上端近傍(板面85aの最上部)がスクリーン2の側端部に密着する方向にヒンジ部84に対してスライドしている。更に、ボトムレール3の側端部が板状突出部87aに対して当接した状態にあるため、シーソーレバー87の板状突出部87bがフラップ本体85の下端部85dを押圧する。この押圧により、フラップ本体85の板面85aがスクリーン2の側端部の略全体に対して密着した状態となるようにヒンジ部82が回動し、フラップ本体85の下端部85dがボトムキャップ3aの先端に密着する状態となり、ガイドレール81とスクリーン2の側端部との隙間からの光漏れを抑制できるようになる。
【0055】
この
図5乃至
図6に関して説明した一連のボトムレール3の下降動作に伴うガイドレールユニット8の動作は、ボトムレール3の上昇動作時も、
図5乃至
図6に示す動作状態と同様である。
【0056】
従って、
図1に例示する本発明に係る遮蔽装置によれば、安定性の高い廉価な構造でガイドレールユニット8を構成することができる。そして、
図1に例示する本発明に係る遮蔽装置によれば、このガイドレールユニット8を用いて遮蔽材(本例では下端にボトムレール3を有するスクリーン2)の開閉を案内する際にボトムレール3の昇降時の摩擦の影響を軽減させるとともに、ボトムレール3が最下限位置にあるときのガイドレールユニット8と遮蔽材との間の光の回り込みを遮断して遮光性を向上させることができる。また、
図1に例示する本発明に係る遮蔽装置によれば、ボトムレール3の最上限位置をガイドレールユニット8によって制限させないようにすることで、ガイドレールを用いない場合と同様の開放性を実現できる。
【0057】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、ガイドレールユニット8におけるガイドレール81を略コの字断面を持つ例を説明したが、用途によってはLの字断面としてもよい。従って、本発明は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、安定性の高い廉価な構造でガイドレールユニットを構成することができるので、ガイドレールを用いて遮蔽材の開閉を案内する遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 ヘッドボックス
2 スクリーン(遮蔽材)
3 ボトムレール
3a ボトムキャップ
8 ガイドレールユニット
81 ガイドレール
82 上カバー
83 下カバー
84 ヒンジ部
85 フラップ本体
86 スライド保持部
87 シーソーレバー