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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083173
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/326 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
E06B9/326
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197401
(22)【出願日】2021-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】阿坂 翼
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA04
2E043BB13
2E043BB15
2E043BC03
2E043BD01
2E043DA06
(57)【要約】
【課題】有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる際の操作性、及び安全性を向上させた遮蔽装置を提供する。
【解決手段】本発明の遮蔽装置は、遮蔽材(下端にボトムレール4を有するスラット3等)を吊下するためのヘッドボックス1と、操作コード(直引き操作用の昇降コード2、或いは昇降用駆動軸16の回転操作用の操作コード20)をヘッドボックス1から導出し当該遮蔽材を開閉操作するための操作装置6と、を備える。操作装置6は、下端につまみ7が取着された当該操作コードを引き操作可能に挿通する中空状の操作棒63と、操作棒63に沿ってスライド可動し当該操作コードを屈曲案内するコード案内可動部64と、を有する。コード案内可動部64は、当該操作コードの非引き操作時では当該遮蔽材の開閉状態に関わらず、常につまみ7を操作棒63の下端に位置させるようスライド可動するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置であって、
遮蔽材を吊下するためのヘッドボックスと、前記操作コードを前記ヘッドボックスから導出し前記遮蔽材を開閉操作するための操作装置と、を備え、
前記操作装置は、
下端につまみが取着された前記操作コードを引き操作可能に挿通する中空状の操作棒と、
前記操作棒に沿ってスライド可動し前記操作コードを屈曲案内するコード案内可動部と、を有し、
前記コード案内可動部は、前記操作コードの非引き操作時では前記遮蔽材の開閉状態に関わらず、常に前記つまみを前記操作棒の下端に位置させるようスライド可動することを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記コード案内可動部は、前記ヘッドボックスから導出された前記操作コードについて屈曲案内する第1の屈曲案内手段を有し、
前記操作装置は、前記操作棒の上部に固定配置される第2の屈曲案内手段を有し、
前記ヘッドボックスから導出された前記操作コードは、前記コード案内可動部における前記第1の屈曲案内手段で屈曲案内されてから、前記操作棒の上部に固定配置される前記第2の屈曲案内手段により屈曲案内した上で前記操作棒内に挿通され、前記操作棒下端側に位置する前記つまみに取着されていることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記コード案内可動部は、錘部材として機能し、前記コード案内可動部自体の重さが、前記遮蔽材の下端に設けられるボトムレールの重さより軽く、且つ前記つまみよりも重く設定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記コード案内可動部のスライド可動が前記操作棒上の所定のスライド可動域内で収まるように、前記操作コードの長さが設定されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記コード案内可動部は、前記操作棒に対して相対的に軸回転不能に可動係合するスライド機構を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置の一種として、遮蔽材を開閉させるための昇降コードを直引き可能に外部導出し有端状(非ループ状)の操作コードとして利用する遮蔽装置がある。典型的には、遮蔽材下端のボトムレールに一端を取着した昇降コードをヘッドボックス内で案内して操作コードとして利用できるようにヘッドボックスから外部導出して、ヘッドボックスから吊下される操作棒内に挿通し、その操作コードとして機能する昇降コードの他端に取着したつまみを操作棒下端側に位置させる構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような遮蔽装置では、当該つまみの引き操作で遮蔽材を上昇させて昇降コード(又は操作コード)の一方向の移動に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置の作動で遮蔽材を所望の開閉状態とすることができる。また、当該つまみの僅かな引き操作で当該ストッパー装置の作動によるロックを解除して遮蔽材を自重降下させることができる。尚、遮蔽材をスラットとする遮蔽装置の一種である横型ブラインドにおいて、この操作棒は、スラットの回動操作に利用できるようになっている。
【0003】
また、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置の一種として、遮蔽材を開閉させるための昇降コードを巻き取り、或いは巻き戻す巻取ドラムをヘッドボックス内に設け、その巻取ドラムの中心軸に回転軸(昇降用駆動軸)を挿通し、この昇降用駆動軸に対して回転伝達する引出コード巻取ドラム(操作プーリー)に、遮蔽材を開閉操作するための引出コード(操作コード)の一端を取着して巻取可能とし、ヘッドボックスから吊下される操作棒内に当該操作コードを挿通し、当該操作コードの他端に取着したつまみを操作棒下端側に位置させる構造のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。このような遮蔽装置でも、当該つまみの引き操作で遮蔽材を上昇させて昇降用駆動軸の一方向の回転に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置の作動で遮蔽材を所望の開閉状態とすることができる。また、当該つまみの僅かな引き操作で当該ストッパー装置の作動によるロックを解除して遮蔽材を自重降下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6895738号公報
【特許文献2】特開平08-232559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来から、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置において、操作コードを挿通する操作棒下端側に位置させたつまみの引き操作で操作コードを移動させ、遮蔽材を昇降させる構造のものが知られている。
【0006】
このような従来の遮蔽装置において、つまみの引き操作で遮蔽材の開操作(例えば、スラット等の遮蔽材の畳み込み操作)を行って遮蔽材を所望の開閉状態としてからつまみを手放すと、操作棒下端側から引き出された操作コードが操作棒下端側から垂れ下がる。このため、その操作棒下端側から垂れ下がる操作コードについては、通常、操作棒等に設けたフック等に手動で掛装してループ状に巻き付けることが多い。しかしながら、その垂れ下がる操作コードを操作棒等に設けたフック等に巻き付ける作業や、再び遮蔽材の開閉操作を行うときはその巻き付けを解く作業が必要になり、操作性が悪化するという問題がある。また、その垂れ下がる操作コードをフック等に掛装することなく放置してしまうことも考えられ、この場合には大人の足や幼児等が引っかかったり、絡みついたりするおそれがあるため、安全性の問題もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる際の操作性、及び安全性を向上させた遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遮蔽装置は、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置であって、遮蔽材を吊下するためのヘッドボックスと、前記操作コードを前記ヘッドボックスから導出し前記遮蔽材を開閉操作するための操作装置と、を備え、前記操作装置は、下端につまみが取着された前記操作コードを引き操作可能に挿通する中空状の操作棒と、前記操作棒に沿ってスライド可動し前記操作コードを屈曲案内するコード案内可動部と、を有し、前記コード案内可動部は、前記操作コードの非引き操作時では前記遮蔽材の開閉状態に関わらず、常に前記つまみを前記操作棒の下端に位置させるようスライド可動することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の遮蔽装置において、前記コード案内可動部は、前記ヘッドボックスから導出された前記操作コードについて屈曲案内する第1の屈曲案内手段を有し、前記操作装置は、前記操作棒の上部に固定配置される第2の屈曲案内手段を有し、前記ヘッドボックスから導出された前記操作コードは、前記コード案内可動部における前記第1の屈曲案内手段で屈曲案内されてから、前記操作棒の上部に固定配置される前記第2の屈曲案内手段により屈曲案内した上で前記操作棒内に挿通され、前記操作棒下端側に位置する前記つまみに取着されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の遮蔽装置において、前記コード案内可動部は、錘部材として機能し、前記コード案内可動部自体の重さが、前記遮蔽材の下端に設けられるボトムレールの重さより軽く、且つ前記つまみよりも重く設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の遮蔽装置において、前記コード案内可動部のスライド可動が前記操作棒上の所定のスライド可動域内で収まるように、前記操作コードの長さが設定されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の遮蔽装置において、前記コード案内可動部は、前記操作棒対して相対的に軸回転不能に可動係合するスライド機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置において、その操作性、及び安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による第1実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
図2】(a)乃至(c)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置における操作装置の部分的な概略構成を示す斜視図である。
図3】(a)乃至(c)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置における操作装置の動作を説明するための断面正面図である。
図4】本発明による第2実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドを説明する。尚、本願明細書中、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、及び、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義して説明する。また、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0016】
〔第1実施形態〕
(遮蔽装置)
図1は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。ただし、本発明に係る遮蔽装置は、横型ブラインドとする以外にも、くの字状又はハニカム状で折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として有するプリーツスクリーン、巻き取り可能なスクリーンを遮蔽材として有するロールスクリーン、或いは折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として有するローマンシェード等としてもよく、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置であればよい。
【0017】
図1に示す本実施形態の横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両側近傍及びその中央から吊下するラダーコード12を介して多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード12の下端にボトムレール4が吊下支持されている。
【0018】
ヘッドボックス1内には、ラダーコード12を吊下するチルトドラム13が配設され、チルトドラム13の軸中心には、チルトドラム13を回転させてスラット3を回動させるためのチルト用駆動軸14が相対回転不能に挿通されている。
【0019】
また、ヘッドボックス1内には、本実施形態の操作装置6(詳細は後述する。)における操作棒63の軸回転操作でチルト用駆動軸14を回転させるように伝達するギア機構5が設けられている。そして、ギア機構5には、スラット3のチルト動作の非操作時にチルト用駆動軸14の回転状態を保持するようチルト用駆動軸14に対して所定の制動力を付所するブレーキ装置(図示略)が設けられている。尚、ギア機構5は、チルト用駆動軸14の軸回転を、スラット3の回動動作として全閉・逆全閉の状態に対応する所定回転範囲内に制限する構造を有するものとしてもよく、この場合には、操作棒63の軸回転もこれに合わせて制限される。また、本例では、操作棒63下端外周面上に、その軸回転操作を軽負荷で行えるようにするためのグリップ65が固着されているが、このグリップ65の設置は省略してもよい。従って、操作棒63の軸回転操作で、スラット3を所望の角度にチルトさせることができる。
【0020】
また、ヘッドボックス1から、本例ではヘッドボックス1の左右両側近傍のラダーコード12に併設して複数の昇降コード2が垂下され、各昇降コード2の一端にボトムレール4が取着されている。各昇降コード2の他端は、ヘッドボックス1内で案内されストッパー装置11、及び速度調整装置10を経て、ヘッドボックス1から外部導出され、本実施形態の操作装置6(詳細は後述する。)における中空状の操作棒支持部61へと案内される。操作棒支持部61はヘッドボックス1から吊下され、各昇降コード2の他端が中空状の操作棒支持部61内に挿通された後、中空状の連結部62、及び可動式のコード案内可動部64を経て、中空状の操作棒63内に挿通され、操作棒63下端側に位置するつまみ7に取着される。
【0021】
即ち、図1に示す本実施形態の横型ブラインドは、スラット3及びボトムレール4を昇降させるための昇降コード2を、直引き可能にヘッドボックス1から外部導出し有端状(非ループ状)の操作コードとして利用するものとなっている。つまり、昇降コード2の他端に取着したつまみ7の引き操作でスラット3を畳み込みながらボトムレール4を上昇させることができる。ストッパー装置11は、昇降コード2の一方向の移動に対して制動力を付与してロックさせるように作動する装置であり、ストッパー装置11の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。また、当該つまみ7の僅かな引き操作でストッパー装置11の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。また、速度調整装置10は、ボトムレール4の自重降下時に、昇降コード2の移動を所定の速度以下に制限する装置であり、この速度調整装置10の設置自体は省略してもよい。
【0022】
このような操作棒63の軸回転操作でスラット3を回動させるチルト操作、及びつまみ7の引き操作による遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)の開閉操作を可能とする機能自体は、従来の有端状の操作コード(例えば直引き操作可能とする昇降コード)を用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置と同様である。しかしながら、本実施形態の遮蔽装置(本例では横型ブラインド)における操作装置6では、つまみ7の引き操作で遮蔽材の開操作(本例ではスラット3の畳み込み操作)を行って遮蔽材を所望の開閉状態としてからつまみ7を手放しても、操作棒63の下端側から引き出された操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)が操作棒63の下端側から垂れ下がった状態のままにはならず、自動的、且つ機構的に、つまみ7が操作棒63の下端に復帰するようになっている。
【0023】
以下、より具体的に、本実施形態の操作装置6の構成及び動作について説明する。
【0024】
(操作装置の構成)
図2(a)乃至(c)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置における操作装置6の部分的な概略構成を示す斜視図である。本実施形態の操作装置6は、操作棒支持部61、連結部62、コード案内可動部64、及び操作棒63を備える。
【0025】
まず、図2(a)を参照して、操作装置6を構成する操作棒支持部61、連結部62、操作棒63、及びコード案内可動部64の構造について説明する。
【0026】
操作棒支持部61は、所定長さを有する六角棒状の外形を有し、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)を挿通可能な空洞部61aが形成されている。操作棒支持部61の上端は、連結機構(図示略)を介してヘッドボックス1内のギア機構5へと連結され、操作棒支持部61が軸回転すればギア機構5を介してチルト用駆動軸14が回転するようになっている。
【0027】
連結部62は、操作棒支持部61の下端及び操作棒63の上端をそれぞれ所定の間隔を空けて連結するようになっており、操作棒63が軸回転すれば連結部62が一体となって軸回転し、併せて操作棒支持部61も一体となって軸回転する。このため、操作棒63の軸回転操作で、ギア機構5を介してチルト用駆動軸14を回転させることができる。
【0028】
また、連結部62は、所定長さを有する略筒状の外形を有し、操作棒支持部61の下端を固着する部位62aと操作棒63の上端を固着する部位62iとの間に、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)を挿通可能な空洞部62bが形成され、尚且つその筒状の外形を成す壁部の一部には、空洞部62bと連通する開口部62cが形成されている。開口部62cの軸方向両側には、連結部62の略筒状の外形を成す壁部から突出し全体で略凸形状を成す一対の突出壁62dが形成されている。一対の突出壁62d間の上部側には棒体状のコード案内バー62e及び滑車62fがそれぞれ上下方向に軸支されている。一対の突出壁62d間の下部側は、その内側に、後述する可動式のコード案内可動部64の上側に形成され二股状に延びる一対の滑車支持体64aをほぼ収容可能とする収容部62hが形成されている。尚、一対の滑車支持体64aの上端間には滑車64bが軸支されている。また、連結部62の空洞部62b内には、滑車62gが軸支されている。この滑車62gは、滑車62fより下方に位置し、尚且つ収容部62hの上端部により下方に位置している。
【0029】
図2(a)では、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが、連結部62の収容部62hに収容されていない状態を図示しており、この場合には、一対の滑車支持体64aの上端間に軸支される滑車64bが、上下方向において滑車62gより下方に位置している。ただし、図2(c)を参照して後述するが、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hにほぼ収容される位置までコード案内可動部64が可動した状態では、この一対の滑車支持体64aの上端間に軸支される滑車64bが、上下方向において滑車62fと滑車62gとの間に位置するようになる。
【0030】
操作棒63は、所定長さを有する六角棒状の外形を有し、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)を挿通可能な空洞部63aが形成されている。操作棒63の上端は、上述したように連結部62の部位62iに固着される。操作棒63の下端は開放しており、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)を引き出すことができるようになっている。そして、連結部62によって、操作棒支持部61の下端及び操作棒63の上端がそれぞれ所定の間隔を空けて連結されているため、操作棒63が軸回転すれば連結部62が一体となって軸回転し、併せて操作棒支持部61も一体となって軸回転する。このため、操作棒63の軸回転操作で、ギア機構5を介してチルト用駆動軸14を回転させることができる。尚、本例では、操作棒63の外形、及び操作棒支持部61の外形は、意匠性の観点からいずれも同一形状(本例では六角棒状)としているが、それぞれ別形状とすることも可能である。
【0031】
コード案内可動部64は、その上側に二股状に延びる一対の滑車支持体64aが形成されており、この一対の滑車支持体64aの上端間には滑車64bが軸支されている。コード案内可動部64の一対の滑車支持体64aより下側の箱状内部には錘64dが収容されており、このためコード案内可動部64自体が錘部材として機能する。尚、コード案内可動部64自体の重さは、ボトムレール4の重さより軽く設定されているが、つまみ7よりも重く設定されている。また、コード案内可動部64の一対の滑車支持体64aより下側には、操作棒63対して相対的に軸回転不能に可動係合する略環状のスライド機構64cが設けられており、コード案内可動部64全体が、操作棒63に対して上下方向にスライド可動するようになっている。
【0032】
このように構成されている本実施形態の操作装置6において、図2(b)に示すように、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2であり、説明の便宜上、1本線の昇降コード2を図示している。)の他端が、操作棒支持部61の空洞部61aへと挿通された後、連結部62の空洞部62bを経て開口部62cから一旦外部に導出され、一対の突出壁62d間に設けられるコード案内バー62eと滑車62fとの間に挿通された後、コード案内可動部64の滑車64b(第1の屈曲案内手段)によって屈曲案内されてから、再び連結部62の開口部62cを経て空洞部62bへと挿通され、更に操作棒63の上部に固定配置される連結部62の滑車62g(第2の屈曲案内手段)によって屈曲案内された上で、操作棒63の空洞部63aに挿通され、最終的には操作棒63下端側に位置するつまみ7に取着される(図1参照)。
【0033】
尚、棒体状のコード案内バー62eとする代わりに滑車としてもよい。或いは逆に、滑車62f,62g,64bを棒体状のコード案内バーとしてもよい。更に、コード案内バー62e、及び滑車62fは、操作コードの案内を円滑化する上で好適であるが、省略してもよい。
【0034】
図2(b)から理解されるように、コード案内可動部64自体が錘部材として機能し、つまみ7よりも重く設定されているため、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)全体が、常に弛みが生じないようになる。このため、つまみ7の引き操作で遮蔽材の開操作(本例ではスラット3の畳み込み操作)を行ってストッパー装置11を作動させて遮蔽材を所望の開閉状態としてからつまみ7を手放しても、操作棒63の下端側から引き出された操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)が操作棒63の下端側から垂れ下がった状態のままにはならず、コード案内可動部64が操作棒63に沿って下方にスライド可動し、自動的、且つ機構的に、つまみ7が操作棒63の下端に復帰する。
【0035】
一方、当該つまみ7の僅かな引き操作でストッパー装置11の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させると、コード案内可動部64自体の重さは、ボトムレール4の重さより軽く設定されているため、コード案内可動部64が操作棒63に沿って上方にスライド可動する。本例では、ボトムレール4が最下限位置にあるときに、つまみ7が操作棒63の下端に位置するように操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の長さが設定されている。従って、ボトムレール4が最下限位置にあるときには、図2(c)に示すように、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hにほぼ収容される位置までコード案内可動部64が可動した状態になる(図1参照)。
【0036】
ただし、ボトムレール4が最下限位置にあるときでも、つまみ7が操作棒63の下端に位置するよりも長く操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の長さを設定してもよい。この場合でも、コード案内可動部64自体が錘部材として機能し、つまみ7よりも重く設定されているため、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)全体が、常に弛みが生じないように作動し、つまみ7が操作棒63の下端に位置するようになる。換言すれば、操作棒63の下端から引き出される操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の最大長さは、ボトムレール4が最上限位置にあるときに対応しているが、つまみ7の掴持による操作コードの非引き操作時に、遮蔽材の開閉状態に関わらず、つまみ7が操作棒63の下端に常に位置するように構成するには、コード案内可動部64のスライド可動が操作棒63上の所定のスライド可動域内で収まるように、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の長さを設定すればよい。
【0037】
しかしながら、ボトムレール4が最下限位置にあるときでも、つまみ7が操作棒63の下端に位置するよりも長く操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の長さを設定した場合には、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hに必ずしも収容される位置までコード案内可動部64が可動しない状態となる。このことから、ボトムレール4が最下限位置にあるときの意匠性の観点からは、本実施形態のように、ボトムレール4が最下限位置にあるときに、つまみ7が操作棒63の下端に位置し、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hに収容される位置となるように操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の長さを設定するのが好ましい。
【0038】
(操作装置の動作)
以下、より具体的に、本発明による第1実施形態の遮蔽装置における操作装置6の動作について、図3を参照して説明する。図3(a)乃至(c)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置における操作装置6の動作を説明するための断面正面図である。
【0039】
まず、図3(a)には、本実施形態の操作装置6における操作棒63の下端から、つまみ7を把持して、操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の引き出し操作を行って、スラット3を畳み込みながらボトムレール4を上昇させる様子を示している。この場合、コード案内可動部64がスライド可動域の上限位置(本例ではコード案内可動部64が連結部62に当接する位置)まで操作棒63の長手方向に沿って上方にスライド可動した状態になる。
【0040】
図3(a)に示す操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)の引き出し操作を、例えばボトムレール4が最上限位置になるまで行ってから、つまみ7を手放すと、図3(b)に示すように、ストッパー装置11が作動してスラット3が全て畳み込まれた状態で保持され、コード案内可動部64が、その自重により操作棒63の長手方向に沿って下方にスライド可動する。
【0041】
最終的には、図3(c)に示すように、コード案内可動部64がスライド可動域の下限位置(つまみ7が操作棒63の下端に復帰する位置であり、本例ではコード案内可動部64がグリップ65の上端に当接する位置)まで操作棒63の長手方向に沿って下方にスライド可動した状態になる。
【0042】
従って、本実施形態の遮蔽装置(本例では横型ブラインド)における操作装置6では、つまみ7の引き操作で遮蔽材の開操作(本例ではスラット3の畳み込み操作)を行って遮蔽材を所望の開閉状態としてからつまみ7を手放しても、操作棒63の下端側から引き出された操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)が操作棒63の下端側から垂れ下がった状態のままにはならず、自動的、且つ機構的に、つまみ7が操作棒63の下端に復帰するようになる。
【0043】
このため、第1実施形態の遮蔽装置は、有端状の操作コード(本例では直引き操作可能とする昇降コード2)を用いて遮蔽材を開閉させる際の操作性、及び安全性を向上させることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
(遮蔽装置)
上述した第1実施形態では、遮蔽材を開閉させるための昇降コード2を直引き可能に外部導出し有端状(非ループ状)の操作コードとして利用する遮蔽装置について、本発明に係る操作装置6を適用する例を説明したが、第2実施形態として説明するように、昇降コード2を直引きする形態以外に、昇降コード2とは別に遮蔽材を開閉操作するための操作コードを設けた遮蔽装置にも本発明に係る操作装置6を適用することができる。
【0045】
図4は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。尚、図4において、第1実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0046】
図4に示す第2実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両側近傍及びその中央から吊下するラダーコード12を介して多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード12の下端にボトムレール4が吊下支持されている。
【0047】
ヘッドボックス1内には、ラダーコード12を吊下するチルトドラム13が配設され、チルトドラム13の軸中心には、チルトドラム13を回転させてスラット3を回動させるためのチルト用駆動軸14が相対回転不能に挿通されている。
【0048】
また、ヘッドボックス1内には、第1実施形態と同様に、図2に示す構造を有する操作装置6における操作棒63の軸回転操作でチルト用駆動軸14を回転させるように伝達するギア機構5(図4では図示略)が設けられている。そして、ギア機構5(図4では図示略)には、第1実施形態と同様に、スラット3のチルト動作の非操作時にチルト用駆動軸14の回転状態を保持するようチルト用駆動軸14に対して所定の制動力を付所するブレーキ装置(図示略)が設けられている。
【0049】
また、ヘッドボックス1から、本例ではヘッドボックス1の左右両側近傍のラダーコード12に併設して複数の昇降コード2が垂下され、各昇降コード2の下端にボトムレール4が取着されている。各昇降コード2の上端は、ヘッドボックス1内にそれぞれ配設される巻取ドラム18に取着され、各巻取ドラム18によって各昇降コード2を巻き取り、或いは巻き戻すことによってスラット3を畳み込み、或いは展開させるようにボトムレール4を昇降させることができる。巻取ドラム18の中心軸には昇降用駆動軸16が挿通されている。そして、この昇降用駆動軸16に対して回転伝達する操作プーリー15がヘッドボックス1内に設けられ、操作プーリー15には遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)を開閉操作するための操作コード20の一端が巻き取り可能に取着されている。従って、操作プーリー15を回転させると、昇降用駆動軸16が回転し、各巻取ドラム18によって各昇降コード2を巻き取り、或いは巻き戻すことによってボトムレール4を昇降させることができる。
【0050】
また、ヘッドボックス1内には、昇降用駆動軸16の一方向の回転に対して制動力を付与してロックする所定のストッパー装置17が設けられている。
【0051】
操作プーリー15に対して巻き取り可能に一端を取着された操作コード20の他端は、第1実施形態と同様に、ヘッドボックス1から外部導出され、図2に示す構造を有する操作装置6における中空状の操作棒支持部61へと案内される。操作棒支持部61はヘッドボックス1から吊下され、操作コード20の他端が中空状の操作棒支持部61内に挿通された後、中空状の連結部62、及び可動式のコード案内可動部64を経て、中空状の操作棒63内に挿通され、操作棒63下端側に位置するつまみ7に取着される。
【0052】
そして、操作コード20の他端に取着したつまみ7の引き操作で操作プーリー15を回転させることができ、これによりスラット3を畳み込みながらボトムレール4を上昇させることができる。また、ストッパー装置17の作動でボトムレール4を所望位置に位置させてスラット3を所望の開閉状態とすることができる。更に、当該つまみ7の僅かな引き操作でストッパー装置17の作動によるロックを解除してスラット3及びボトムレール4を自重降下させることができる。ボトムレール4の自重降下に伴って昇降用駆動軸16が回転すると、操作プーリー15に操作コード20が巻き取られるようになっている。
【0053】
このような操作棒63の軸回転操作でスラット3を回動させるチルト操作、及びつまみ7の引き操作による遮蔽材(本例では下端にボトムレール4を有するスラット3)の開閉操作を可能とする機能自体は、従来の有端状の操作コードを用いて昇降用駆動軸16を回転させ遮蔽材を開閉させる遮蔽装置と同様である。しかしながら、本実施形態の遮蔽装置(本例では横型ブラインド)における操作装置6は、第1実施形態において説明したように、つまみ7の引き操作で遮蔽材の開操作(本例ではスラット3の畳み込み操作)を行って遮蔽材を所望の開閉状態としてからつまみ7を手放しても、操作棒63の下端側から引き出された操作コード20が操作棒63の下端側から垂れ下がった状態のままにはならず、自動的、且つ機構的に、つまみ7が操作棒63の下端に復帰する。尚、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、コード案内可動部64自体の重さは、ボトムレール4の重さより軽く設定されているが、つまみ7よりも重く設定されている。
【0054】
即ち、本例においても、コード案内可動部64は、操作コード20の非引き操作時では遮蔽材の開閉状態に関わらず、常につまみ7を操作棒63の下端に位置させるようスライド可動する。換言すれば、コード案内可動部64のスライド可動が操作棒63上の所定のスライド可動域内で収まるように、操作コード20の長さが設定されている。好適には、ボトムレール4が最下限位置にあるときに、つまみ7が操作棒63の下端に位置し、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hに収容される位置となるように操作コード20の長さが設定する。従って、ボトムレール4が最下限位置にあるときには、上述した図2(c)に示して例と同様に、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hにほぼ収容される位置までコード案内可動部64が可動した状態になる(図4参照)。
【0055】
ただし、ボトムレール4が最下限位置にあるときでも、つまみ7が操作棒63の下端に位置するよりも長く操作コード20の長さを設定してもよい。この場合でも、コード案内可動部64自体が錘部材として機能し、つまみ7よりも重く設定されているため、操作コード20全体が、常に弛みが生じないように作動し、つまみ7が操作棒63の下端に位置するようになる。
【0056】
しかしながら、本実施形態においても、ボトムレール4が最下限位置にあるときでも、つまみ7が操作棒63の下端に位置するよりも長く操作コード20の長さを設定した場合には、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hに必ずしも収容される位置までコード案内可動部64が可動しない状態となる。このことから、ボトムレール4が最下限位置にあるときの意匠性の観点からは、本実施形態のように、ボトムレール4が最下限位置にあるときに、つまみ7が操作棒63の下端に位置し、可動式のコード案内可動部64における一対の滑車支持体64aが連結部62の収容部62hに収容される位置となるように操作コード20の長さを設定するのが好ましい。
【0057】
以上のように構成された第2実施形態の遮蔽装置においても、第1実施形態と同様に、有端状の操作コード20を用いて遮蔽材を開閉させる際の操作性、及び安全性を向上させることができる。
【0058】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した各実施形態では、ボトムレール4の自重降下を利用して遮蔽材(スラット3等)の開閉を行う例を説明したが、別例として、ボトムレール4の自重降下に逆らってボトムレール4を常に上昇させる方向に付勢するスプリングモータ等を設け、この場合にはボトムレール4の自動上昇を阻止可能とするようにストッパー装置11,17を設定し、操作コードの引き操作で遮蔽材の下降操作を行うものとしてもよい。従って、本発明は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる際の操作性、及び安全性を向上させることができるので、有端状の操作コードを用いて遮蔽材を開閉させる遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 ヘッドボックス
2 昇降コード
3 スラット(遮蔽材)
4 ボトムレール
6 操作装置
7 つまみ
11 ストッパー装置
15 操作プーリー
16 昇降用駆動軸
17 ストッパー装置
18 巻取ドラム
61 操作棒支持部
62 連結部
62e コード案内バー
62f,62g 滑車
63 操作棒
64 コード案内可動部
64b 滑車
64d 錘
65 グリップ
図1
図2
図3
図4