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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083192
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20230608BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20230608BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20230608BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20230608BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
F25B1/00 399C
F25B39/02 Z
F25B47/02 570K
F25B47/02 570M
F25B49/02 520C
F25B49/02 520M
F28D7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017326
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2021197336
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】関 和芳
(72)【発明者】
【氏名】加賀 進一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
(57)【要約】
【課題】一次冷媒が流通する熱交換部を冷却空間に配置することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】圧縮機CMの作動により一次冷媒を強制循環する一次回路34と、二次冷媒を自然循環する二次回路44と、一次回路34を構成する一次冷媒経路36を流通する一次冷媒および二次回路44を構成する二次冷媒経路46を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換部HEと、二次回路44の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却部EPと、を備え、空気の流通が許容される開放空間20に、一次回路34を配置すると共に、当該開放空間20から区画した冷却空間28に、冷却部EPを配置するよう構成する。そして、一次回路34を構成する一次冷媒経路36が冷却空間28に露出しないように当該冷却空間28に熱交換部HEを配置するようにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の作動により一次冷媒を強制循環する一次回路と、二次冷媒を自然循環する二次回路と、前記一次回路を構成する一次冷媒経路を流通する一次冷媒および前記二次回路を構成する二次冷媒経路を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換部と、前記二次回路の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却部と、を備え、空気の流通が許容される開放空間に、前記一次回路を配置すると共に、当該開放空間から区画した冷却空間に、前記冷却部を配置するよう構成された冷却装置において、
前記一次回路を構成する一次冷媒経路が前記冷却空間に露出しないように当該冷却空間に前記熱交換部を配置するようにした
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記一次冷媒経路を形成する第1の配管が前記二次冷媒経路を構成する第2の配管の内部を挿通するよう前記熱交換部が構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記一次冷媒経路を形成する配管は、外側管と、前記外側管の内部に挿通された内側管と、前記外側管および前記内側管の間の空間部に繋がる側管と、を備えて、
前記内側管の内部を前記一次冷媒または二次冷媒が流通するよう構成されると共に、前記側管の出口から漏出した一次冷媒または二次冷媒を冷媒検出手段で検出可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記一次冷媒経路を形成する配管は、外側管と、前記外側管の内部に挿通された内側管と、を備えて、
前記内側管の内部を前記一次冷媒が流通するよう構成されると共に、前記外側管と前記内側管との間の空間に充填されている流体の圧力を圧力検出手段で検出可能に構成したことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記熱交換部を前記冷却空間に複数備えると共に、当該複数の熱交換部の前記一次冷媒経路が相互に連通して一次冷媒が流通する連続した経路を形成するよう構成されて、各熱交換部で熱交換して液化した二次冷媒により、各熱交換部に対応して設けた冷却部を冷却するよう構成したことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記二次回路は、前記各冷却部において液化した二次冷媒が流入する配管と、気化した二次冷媒が環流する配管とが前記複数の熱交換部において異なる熱交換部に繋がるよう設けられていることを特徴とする請求項5記載の冷却装置。
【請求項7】
前記熱交換部として第1の熱交換部と第2の熱交換部を少なくとも備えると共に、
当該第1の熱交換部および第2の熱交換部の夫々を、前記一次冷媒経路を形成する第1の配管が前記二次冷媒経路を構成する複数の第2の配管の内部を挿通するよう構成されて、前記第1の熱交換部および前記第2の熱交換部における前記一次冷媒経路が当該複数の第2の配管の内部で一次冷媒が流通する連続した経路を形成するよう構成され、
前記複数の第2の配管の継ぎ目の外側に、継ぎ目を跨ぐように連結管が設けられて、当該連結管と各両第2の配管との間を封止するよう構成されると共に、
前記第2の配管の内部で当該第2の配管と前記第1の配管との間が封止されており、前記第1の熱交換部および前記第2の熱交換部の二次冷媒経路が当該第1の配管と第2の配管の間に分離した経路として形成されていることを特徴とする請求項5または6記載の冷却装置。
【請求項8】
前記連結管は、前記二次冷媒経路に連通する分岐管を備えており、当該分岐管が前記冷却部に接続されていることを特徴とする請求項7記載の冷却装置。
【請求項9】
熱交換部における前記二次冷媒経路を、水平面に対して傾斜して配置すると共に、前記二次回路において前記冷却部から前記熱交換部に二次冷媒が環流する配管を、当該二次冷媒経路における傾斜上端側に繋がるよう設けたことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記二次回路において前記冷却部から前記熱交換部に二次冷媒が環流する配管に、上下方向に蛇行する蛇行部を設けたことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記二次回路において前記冷却部から前記熱交換部に二次冷媒が環流する配管に逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記熱交換部を形成する配管を前記冷却空間に露出するよう配置されて、当該冷却空間の空気との間で当該熱交換部が熱交換し得るよう構成されていることを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記冷却室の温度を検出する第1の温度検出手段を備え、
冷却運転時に基準時間が経過するまでに前記第1の温度検出手段の検出温度が所定の温度に達しない場合に、制御手段が報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記冷却室の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記冷却部の温度を検出する第2の温度検出手段と、を備え、
冷却運転を行う間および除霜運転後の予備冷却運転の間の少なくとも一方の運転を行う間に、前記第1の温度検出手段の検出温度と、前記第2の温度検出手段の検出温度とに基づいて、制御手段が報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項15】
前記制御手段は、冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段の検出温度と、前記第1の温度検出手段の検出温度との温度差が基準温度差に満たない状態となった場合、または当該温度差が基準温度差に満たない状態が所定時間継続した場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを特徴とする請求項14記載の冷却装置。
【請求項16】
前記制御手段は、冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段の検出温度と、前記第1の温度検出手段の検出温度との温度差を所定の判定時間に亘って累積した累積値が基準値を超えた場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを特徴とする請求項14または15記載の冷却装置。
【請求項17】
前記制御手段は、除霜運転後の予備冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段が検出する検出温度の単位時間の温度低下率が基準値に満たない場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを特徴とする請求項14~16の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項18】
前記制御手段は、除霜運転後の予備冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段が検出する検出温度が前記第1の温度検出手段が検出する検出温度以下とならない場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを特徴とする請求項14~17の何れか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、更に詳細には、一次冷媒を機械的に強制循環する一次回路と二次冷媒を自然循環する二次回路と、一次冷媒および二次冷媒の熱交換を行なう熱交換部とを備える冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば冷蔵庫等の貯蔵設備や空調設備等に用いられる冷却装置として、一次冷媒を機械的に強制循環させる一次回路と、二次冷媒が自然循環する二次回路とを備え、一次冷媒と二次冷媒との間で熱交換して二次回路内に温度勾配を設けることで冷媒に密度差を形成し、密度の不均一によって重力の作用下に生じる自然対流を利用して熱伝達を行なうサーモサイフォンと呼ばれる熱輸送機構が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。このような冷却装置の概略構成は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器と、熱交換器に設けられて液相一次冷媒を気化する一次熱交換部とを配管で接続するようにして一次回路を構成すると共に、熱交換器に設けられて気相二次冷媒を液化する二次熱交換部と、液相二次冷媒を気化する冷却器とを別の配管で接続するようにして二次回路を構成して、熱交換器において一次冷媒と二次冷媒とが熱交換することで、最終的に二次回路の冷却器を冷却するようになっている。そして、このような冷却装置の一次冷媒には、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素(HC系)またはアンモニアなどが採用されると共に、二次冷媒には、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用されており、自然冷媒の利用によった環境負荷の削減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-48484号公報
【特許文献3】特開2001-118134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一次冷媒として炭化水素やアンモニアなどを利用する場合は、経年劣化や何らかの外的要因により冷媒が循環する配管が損傷して一次冷媒が漏出する可能性があることから、圧縮機が配置される機械室に一次冷媒が流通する熱交換器が配置されている。しかしながら、熱交換器を断熱材で囲うなどして熱交換効率の低下を防止する必要があり、メンテナンス作業時の作業性の低下を招いたり、コストが嵩む要因となっていた。
【0005】
一方で、一次冷媒の漏出を検出するガスセンサや、一次冷媒の漏出時に熱交換器への一次冷媒の供給を遮断するように一次回路に遮断弁を設けることにより、冷却器が配置される冷却空間内に熱交換器を配置することも可能になる。しかしながら、ガスセンサの検出精度が低く、漏出した一次冷媒以外のガスに反応する難点があり、またガスセンサに霜が付着して検出不能になる恐れがあり、冷却空間内に熱交換器を配置することは現実的に困難であった。また、高価なガスセンサや遮断弁を採用する必要があることから、コストの抑制には繋がりにくい問題も指摘される。
【0006】
そこで、本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題を好適に解決するべく提案されたものであって、一次冷媒が流通する熱交換部を冷却空間に配置することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の発明は、
圧縮機(CM)の作動により一次冷媒を強制循環する一次回路(34)と、二次冷媒を自然循環する二次回路と、前記一次回路(34)を構成する一次冷媒経路を流通する一次冷媒および前記二次回路を構成する二次冷媒経路を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換部と、前記二次回路の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却部と、を備え、空気の流通が許容される開放空間(20)に、前記一次回路(34)を配置すると共に、当該開放空間(20)から区画した冷却空間に、前記冷却部を配置するよう構成された冷却装置において、
前記一次回路(34)を構成する一次冷媒経路が前記冷却空間に露出しないように当該冷却空間に前記熱交換部を配置するようにしたことを要旨としている。
この発明によれば、一次回路を構成する一次冷媒経路が冷却空間に露出しないように当該冷却空間に熱交換部が配置されているから、一次冷媒経路を流通する一次冷媒が冷却空間に漏出するのを効果的に防ぐことができ、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)や毒性が指摘されるアンモニアを一次冷媒に採用しつつ、冷却空間に熱交換部を配置することができる。また、一次冷媒の漏れを検出するために、ガスセンサや一次冷媒の漏出時に熱交換部への一次冷媒の供給を遮断する遮断弁などの検知精度に課題のある装置構成を設ける必要が無いから、冷却装置の信頼性を高めることができる。
【0008】
第2の発明は、
前記一次冷媒経路を形成する配管が前記二次冷媒経路を構成する配管の内部を挿通するよう前記熱交換部が構成されていることを特徴とすることを要旨とする。
この発明によれば、一次冷媒経路を形成する配管に腐食等に起因して孔空き(孔食)が発生したとしても、一次冷媒経路を形成する配管から漏出した一次冷媒を、二次冷媒経路を構成する配管の内部に留まらせることができ、冷却空間に一次冷媒が直接漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。
【0009】
第3の発明は、
前記一次冷媒経路を形成する配管は、外側管と、前記外側管の内部に挿通された内側管と、前記外側管および前記内側管の間の空間に繋がる側管と、を備えて、
前記内側管の内部を前記一次冷媒または二次冷媒が流通するよう構成されると共に、前記側管の出口から漏出した一次冷媒または二次冷媒を冷媒検出手段で検出可能に構成したことを要旨とする。
この発明によれば、冷媒(一次冷媒または二次冷媒)の漏れを冷媒検出手段により検出することで、冷媒の漏れがある状態か否かを早期に発見して、冷媒の漏れがある異常な状態で冷却装置が運転されるのを防止することができる。
【0010】
第4の発明は、
前記一次冷媒経路を形成する配管は、外側管と、前記外側管の内部に挿通された内側管と、を備えて、
前記内側管の内部を前記一次冷媒が流通するよう構成されると共に、前記外側管と前記内側管との間の空間に充填されている流体の圧力を圧力検出手段で検出可能に構成したことを要旨とする。
この発明によれば、冷媒(二次冷媒)の漏れを圧力検出手段により検出することで、冷媒の漏れがある状態か否かを早期に発見して、冷媒の漏れがある異常な状態で冷却装置が運転されるのを防止することができる。
【0011】
第5の発明は、
前記熱交換部を前記冷却空間に複数備えると共に、当該複数の熱交換部の前記一次冷媒経路が相互に連通して一次冷媒が流通する連続した経路を形成するよう構成されて、各熱交換部で熱交換して液化した二次冷媒により、各熱交換部に対応して設けた冷却部を冷却するよう構成したことを要旨とする。
この発明によれば、二次冷媒経路が冷却部毎に分割されることで、1つの冷却部当りの冷媒循環量が少なくなり管路抵抗も減少するので、二次冷媒の自然循環に必要な高低差を小さくすることが可能になる。また、狭小な容積の冷却空間に熱交換部と冷却部とを配置した場合であっても、熱交換部と冷却部との高低差を確保することができ、冷却能力の向上を図り得る
【0012】
第6の発明は、
前記二次回路は、前記各冷却部において液化した二次冷媒が流入する配管と、気化した二次冷媒が環流する配管とが前記複数の熱交換部において異なる熱交換部に繋がるよう設けられていることを特徴とすることを要旨とする。
この発明によれば、冷却装置の全体で1つの二次回路を形成することで、二次回路への二次冷媒の充填作業を一度で完了することができ、作業効率の効率化を図ることができる。また、熱交換部毎に熱負荷のばらつきが生じた状況になった場合でも、二次回路でのサーモサイフォンの自己調整作用によって二次冷媒の循環量が時間の経過と共に均一化して、冷却運転の安定化を図り得る。
【0013】
第7の発明は、
前記熱交換部として第1の熱交換部と第2の熱交換部を少なくとも備えると共に、
当該第1の熱交換部および第2の熱交換部の夫々を、前記一次冷媒経路を形成する第1の配管が前記二次冷媒経路を構成する複数の第2の配管の内部を挿通するよう構成されて、前記第1の熱交換部および前記第2の熱交換部における前記一次冷媒経路が当該複数の第2の配管の内部で一次冷媒が流通する連続した経路を形成するよう構成され、
前記複数の第2の配管の継ぎ目の外側に、継ぎ目を跨ぐように連結管が設けられて、当該連結管と各両第2の配管との間を封止するよう構成されると共に、
前記第2の配管の内部で当該第2の配管と前記第1の配管との間が封止されており、前記第1の熱交換部および前記第2の熱交換部の二次冷媒経路が当該第1の配管と第2の配管の間に分離した経路として形成されていることを要旨とする。
このように、
【0014】
第8の発明は、
前記連結管は、前記二次冷媒経路に連通する分岐管を備えており、当該分岐管が前記冷却部に接続されていることを要旨とする。
このように、
【0015】
第9の発明は、
熱交換部における前記二次冷媒経路を、水平面に対して傾斜して配置すると共に、前記二次回路において前記冷却部から前記熱交換部に二次冷媒が環流する配管を、当該二次冷媒経路における傾斜上端側に繋がるよう設けたことを要旨とする。
この発明によれば、冷却部から熱交換部に二次冷媒を環流させる配管に、熱交換部で液化した液相二次冷媒が逆流するのを防止でき、二次回路内で二次冷媒を一定方向に安定して自然循環させることができる。
【0016】
第10の発明は、
前記二次回路において前記冷却部から前記熱交換部に二次冷媒が環流する配管に、上下方向に蛇行する蛇行部(152)を設けたことを要旨とする。
この発明によれば、二次回路内で二次冷媒を一定方向に安定して自然循環させることができる。
【0017】
第11の発明は、
前記二次回路において前記冷却部から前記熱交換部に二次冷媒が環流する配管に逆止弁(154)を設けたことを要旨とする。
この発明によれば、二次回路内で二次冷媒を一定方向に安定して自然循環させることができる。
【0018】
第12の発明は、
前記熱交換部を形成する配管を前記冷却空間に露出するよう配置されて、当該冷却空間の空気との間で当該熱交換部が熱交換し得るよう構成されていることを要旨とする。
このように、熱交換部を形成する配管を冷却空間に露出させることで、熱交換部および冷却部の夫々で冷却空間を冷却することができ、冷却効率を向上し得ると共に、省エネ性能を高めることができる。
【0019】
第13の発明は、
前記冷却室の温度を検出する第1の温度検出手段を備え、
冷却運転時に基準時間が経過するまでに前記第1の温度検出手段の検出温度が所定の温度に達しない場合に、制御手段が報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを要旨とする。
このように、冷却運転時に基準時間が経過するまでに冷却室の温度が所定の温度に達しない場合(低下しない場合)に、冷媒漏れ異常を識別できるから、冷却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。
【0020】
第14の発明は、
前記冷却室の温度を検出する第1の温度検出手段と、
前記冷却部の温度を検出する第2の温度検出手段と、を備え、
冷却運転を行う間および除霜運転後の予備冷却運転の間の少なくとも一方の運転を行う間に、前記第1の温度検出手段の検出温度と、前記第2の温度検出手段の検出温度とに基づいて、制御手段が報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを要旨とする。
このように、冷却室の温度と、冷却部の温度とに基づいて冷媒漏れ異常を識別して冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止しつつ、正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。
【0021】
第15の発明は、
前記制御手段は、冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段の検出温度と、前記第1の温度検出手段の検出温度との温度差が基準温度差に満たない状態となった場合、または当該温度差が基準温度差に満たない状態が所定時間継続した場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを要旨とする。
このように、冷却室の温度と、冷却部の温度とに基づいて冷媒漏れ異常を識別して冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止しつつ、正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。
【0022】
第16の発明は、
前記制御手段は、冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段の検出温度と、前記第1の温度検出手段の検出温度との温度差を所定の判定時間に亘って累積した累積値が基準値を超えた場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを要旨とする。
このように、冷却室の温度と、冷却部の温度とに基づいて冷媒漏れ異常を識別して冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止しつつ、正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。また一時的に正常な状態になった場合でも、累積値により判別することでより正確に冷媒漏れ異常を判別することが可能になる。
【0023】
第17の発明は、
前記制御手段は、除霜運転後の予備冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段が検出する検出温度の単位時間の温度低下率が基準値に満たない場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを要旨とする。
このように、除霜運転から冷却運転に切り替わった後の早いタイミングで冷媒漏れ異常を識別することができ、冷媒漏れ異常で運転が継続されるのを防ぐことができる。
【0024】
第18の発明は、
前記制御手段は、除霜運転後の予備冷却運転を行う間に、前記第2の温度検出手段が検出する検出温度が前記第1の温度検出手段が検出する検出温度以下とならない場合に、報知手段を制御して冷媒漏れを報知するよう構成されていることを要旨とする。
このように、除霜運転から冷却運転に切り替わった後の早いタイミングで冷媒漏れ異常を識別することができ、冷媒漏れ異常で運転が継続されるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る冷却装置によれば、熱交換部における一次冷媒経路からの一次冷媒の漏出を防止して、熱交換部を冷却空間に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係る冷却装置により冷却される冷蔵庫を示す側断面図である。
図2】実施形態1の冷蔵庫における機械室を示す平面図である。
図3】実施形態1の熱交換部を一部破断して示す側面図である。
図4】実施形態1に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、(a)は二重管部を径方向に破断した断面図であり、(b)は二重管部を長手方向に破断した断面図を一部破断して示す側面図である。
図5】実施形態1に係る熱交換部に圧力検出センサを取り付けた状態を示す概略図である。
図6】熱交換部に繋がる接続管と、蒸発器の液配管(ガス配管)との接合状態を示す概略図である。
図7】実施形態1に係る熱交換部の外管(内管)の断面図であって、(a)は外管(内管)をクラッド管で形成した状態の断面図であり、(b)は外管(内管)を形成する外側の金属管層と内側の金属配管管との間に空間を形成した状態を示す側面図である。
図8】実施形態1に係る熱交換部の外管(内管)と冷媒検出センサとの関係を示す断面図である。
図9】実施形態2に係る冷却装置を示す概略図である。
図10】実施形態3に係る冷却装置を示す概略図である。
図11】実施形態3に係る冷却装置を示す概略図である。
図12】実施形態4に係る冷却装置を示す概略図である。
図13】実施形態4に係る冷却装置を示す概略図である。
図14】実施形態4に係る冷却装置を示す概略図である。
図15】実施形態5に係る冷却装置により冷却される冷蔵庫の要部を示す側断面図である。
図16】実施形態6に係る冷却装置により冷却される冷蔵庫の要部を示す側断面図である。
図17】実施形態7に係る冷却装置を示す概略図である。
図18】実施形態7に係る第1および第2熱交換部の二重管部を連結する接続構造を示す概略図であって、(a)は、第1および第2熱交換部の二重管部が連結された状態を示し、(b)は、連結管を固定する前の状態を示ししている。
図19】実施形態7に係る第1および第2熱交換部の二重管部を連結する接続構造の別例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明に係る冷却装置の好適な実施形態に関し、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を多量に収納し得る大型の冷蔵庫に設けられる冷却装置を例に挙げて説明する。
【0028】
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1に係る冷蔵庫10は、収納室(閉鎖空間)14を内部画成した断熱構造の箱体12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18により外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設される。また箱体12の前部には、断熱扉22が図示しないヒンジにより回動可能に配設され、断熱扉22を開放することで開口部12aを介して収納室14に対する物品の出し入れが許容されると共に、断熱扉22を閉成することで収納室14を密閉し得るようになっている。
【0029】
前記キャビネット16の内部には、収納室14を冷却するための冷却装置32の一部および該冷却装置32を制御する制御装置Cが配設される機械室(開放空間)20が画成される(図2参照)。機械室20の底部には、箱体12の天板12bに載置されて、該機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24が設置されている。そして、キャビネット16の外壁をなす金属パネル18には、機械室20に連通する空気流通孔(図示せず)が適宜部位に開設され、この空気流通孔を介して機械室20内の雰囲気と外気とが入替わるようになっている。なお、キャビネット16は、冷蔵庫10の天井となる金属パネル18が設けられず、機械室20の上方が開放されている。
【0030】
前記収納室14の上部には、箱体12における天板12bの下面から所定間隔離間して冷却ダクト26が配設され、この冷却ダクト26と、箱体12の天板12bに開設した開口12cを介して収納室14側に臨む台板24との間に冷却室(冷却空間)28が画成される。この冷却室28は、冷却ダクト26の底部前側に形成した吸込口26aおよび後側に形成した冷気吹出口26bを介して収納室14に連通して、閉鎖空間としての収納室14の一部を構成している。吸込口26aには送風ファン30が配設され、該送風ファン30を駆動することで、吸込口26aから収納室14の空気を冷却室28に取込み、冷気吹出口26bから冷却室28の冷気が収納室14に送出される。天板12bの切欠口12cは、台板24で気密的に塞がれて、収納室14(冷却室28)と機械室20とは、台板24で区切られて互いに独立した空間となっている(図1参照)。
【0031】
図3に示すように、冷却装置32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次回路34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次回路(冷媒回路)44との2系統の回路を、熱交換部HEを介して熱交換するように接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。熱交換部HEは、一次回路34を構成する一次冷媒経路36と、この一次冷媒経路36と別系統に形成されて、二次回路44を構成する二次冷媒経路46とが設けられており、前記台板24の下面側に位置するよう冷却室28内に配置されている(図3参照)。すなわち、一次回路34および二次回路44は、熱交換可能な独立した冷媒循環経路を形成しており、熱交換部HEにおいて、一次回路34の一次冷媒と二次回路44の二次冷媒との間で熱交換が行われるようになっている。ここで、一次回路34を循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)の冷媒またはアンモニアなどが採用される。また、二次回路44を循環する二次冷媒としては、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が好適に採用される。
【0032】
前記一次回路34は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる減圧手段としての膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化する熱交換部HEの一次冷媒経路36とを冷媒配管38で接続して構成される(図3参照)。ここで、圧縮機CMは、冷却装置32の冷却運転時に連続駆動され、冷却装置32の停止時に停止される。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。ここで、凝縮器CDは、キャビネット16の前面をなす金属パネル(フロントパネル)18に近接して機械室20の前側に配置され、該凝縮器CDの後側に凝縮器ファンFMが配置される。また圧縮機CMは、凝縮器ファンFMの後側に配置される(図2参照)。このように機械室20では、凝縮器CD,凝縮器ファンFMおよび圧縮機CMが、機械室20において凝縮器ファン(送風手段)FMにより送出される空気の流通方向に沿って一直線上に並んで配設される。すなわち、凝縮器ファンFMの駆動によりフロントパネル18とキャビネット16との間に設けた空気流通孔(図示せず)から外気が機械室20に取込まれ、この外気が機械室20の前側から後側に流通して凝縮器CDおよび圧縮機CMと熱交換するようになっている。
【0033】
前記一次回路34では、圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、熱交換部HEの一次冷媒経路36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次冷媒経路36において所要の冷却を行なうようになっている(図3参照)。なお、前述した制御装置Cは、機械室20において凝縮器ファンFMによる空気の流れを阻害しない位置(機械室20の側部)で台板24上に配設されている。
【0034】
前記二次回路44は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化する熱交換部HEの二次冷媒経路46と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する蒸発器EPとを備えている(図3参照)。また二次回路44は、二次冷媒経路46と蒸発器EPとを液配管48およびガス配管50を介して接続するよう構成されており、二次冷媒経路46から液配管48を介して重力の作用下に液相二次冷媒を蒸発器EPへ供給し、蒸発器EPから二次冷媒経路46へガス配管50を介して気相二次冷媒を還流させるようになっている。すなわち、液配管48は、液相二次冷媒を熱交換部HEから蒸発器EPへ導入する導入経路を形成し、ガス配管50は、気相二次冷媒を蒸発器EPから熱交換部HEへ環流させる環流経路を形成している。このように、この実施形態では、液配管48およびガス配管50は、蒸発器EPを形成する蒸発管52と連続した配管として形成されている。ここで、蒸発器EPは、機械室20の下方に位置する冷却室28に、前記熱交換部HEの下方に位置するよう配置されており、熱交換部HEの二次冷媒経路46から液相二次冷媒が重力の作用下に流下し得るようになっている。
【0035】
前記蒸発器EPは、管路を蛇行させた蒸発管52と、この蒸発管52に設けられたフィン53とから構成されている。蒸発管52は、液配管48の下端に接続する流入端が、蒸発器EPの下部に配置されると共に、ガス配管50の下端に接続する蒸発管52の流出端が、蒸発器EPの上部に配置され、蒸発管52の流入端が流出端より下方に位置するように構成される(図3参照)。また蒸発管52の管路は、流入端と流出端との上下位置の間で延在して、蒸発管52に流入した液相二次冷媒を、該液相二次冷媒の蒸発による作用下に管路に沿って流出端側まで拡散させるように導くようになっている。
【0036】
次に、実施形態1の熱交換部HEについて具体的に説明する。図3図4に示すように、熱交換部HEは、外管102と、外管102の内側に空間をあけるようにして内管104が挿通された二重管部100を備えており、内管104の内側の空間を一次冷媒が流通すると共に、外管102と内管104との間の空間を二次冷媒が流通するよう構成されている。すなわち、内管104の内側に一次冷媒経路36が形成されると共に、外管102と内管104との間に二次冷媒経路46が形成されている。なお、外管102および内管104は熱伝導性に優れた金属材料で形成されている。
【0037】
ここで、熱交換部HEの二重管部100は、管路が蛇行するよう形成されていると共に、冷却室28から機械室20に至るように二重管部100の両端部が台板24を貫通して機械室20に露出するよう構成されている(図3参照)。ここで、機械室20側に貫通した二重管部100の両端部は、外管102の端部から内管104が延出しており、外管102から延出する内管104の一方に、膨張弁EVに接続する流入側の冷媒配管38が接続されると共に、外管102から延出する内管104の他方に、圧縮機CMに接続する流出側の冷媒配管38が接続されて、一次回路34を形成するようになっている。
【0038】
また、熱交換部HEの二重管部100には、熱交換部HEの下方に位置する蒸発器EPに向けて延在する接続管108が二次冷媒経路46に連通するよう2箇所に設けられており、一方の接続管108に蒸発器EPに設けた液配管48の上端が接続すると共に、一方の接続管108に蒸発器EPに設けたガス配管50の上端が接続するよう構成されて、二次回路44を形成するようになっている。ここで、接続管108としては3方向分岐のT型の継手などを好適に採用できる。なお二重管100と液配管48やガス配管50との接続状態の概略は図9に図示してある(接続管108の図示は省略)。
【0039】
ここで、前記接続管108において液配管48やガス配管50を接続する開口端には、図6に示すように、スリーブ状の大径管部108aを有しており、液配管48およびガス配管50を大径管部108aに差し込むようにして接続管108に接続するようになっている。このとき、液配管48およびガス配管50は、対応する接続管108の大径管部108aに、規定の差込長さTで差し込んだもとで溶接やシール材により接合するようになっている。ここで、接続管108の大径管部108aに対する液配管48やガス配管50の差込長さTは、6mm以上の長さを確保することが好ましく、これにより結合継目からの二次冷媒の漏出を効果的に防止することができる。このように、熱交換部HEと蒸発器EPとは、液配管48およびガス配管50により繋がってユニット化した状態で冷却室28に配置されている。
【0040】
ここで、図3に示すように、熱交換部HEの内管104と一次回路34を形成する前記冷媒配管38とは、機械室20に接続部位106が位置するようにして接続されている。この内管104と冷媒配管38とは、溶接により接続するようにしてもよく、継手などを利用して接続することもできる。この実施形態1では接続部位106において溶接により内管104と冷媒配管38とを接続してある。このように、ユニット化した熱交換部HEおよび蒸発器EPは、接続部位106において内管104と冷媒配管38との接続を解除したもとで、台板24に対して二重管部100の両端部を台板24から引き抜くようにして下方に移動させることで、熱交換部HEや蒸発器EPを分解することなく一次回路34から一体的に分離して取り外し得るようになっている。
【0041】
また、熱交換部HEの二重管部100の管路は、ガス配管50との接続側から液配管48の接続側に向けて下方傾斜するようになっており、熱交換部HEにおいて冷却されて液化した液相二次冷媒が、その自重により液配管48側に自然に流れるようになっている。また、熱交換部HEは、二次冷媒経路46を流通する二次冷媒の流通方向と一次冷媒経路36を流通する一次冷媒の流通方向とが反対向きの対向流になるよう構成される。
【0042】
熱交換部HEは、図3に示すように、冷却室28内に位置する二重管部100が断熱材110で覆われており、蒸発器EPでの二次冷媒の気化に伴う冷却室28の冷却により熱交換部HEを流通する二次冷媒が冷却されて液化しないようになっている。ここで、断熱材110としては特に限定されるものではなく、ポリウレタン発泡体など従来公知の断熱素材を採用することができる。
【0043】
また、熱交換部HEの二重管部100には、図5に示すように、外管102と内管104との間の二次冷媒経路46を流通する流体(二次冷媒)の圧力を検出する圧力検知センサ(圧力検出部)112が設けられている。具体的には、外管102に形成した孔部102aに、圧力検知センサ112に繋がる圧力伝送管112aが接続されており、二次冷媒経路46に充填された流体の圧力を圧力検知センサ112で検知可能に構成されている。この圧力センサ112は、前記制御装置Cに電気的に接続されており、圧力検知センサ112の検出圧力が所定の閾値以下となった場合に制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成されている。すなわち、腐食等により外管102に孔あき(孔食)が生じて二次冷媒が外部に漏出した場合に、圧力検知センサ112で圧力低下を検出することで冷媒漏れ異常として判断するようになっている。また、一次冷媒経路36に充填される一次冷媒と、二次冷媒経路46に充填される二次冷媒とは、異なった充填圧力で各冷媒経路36,46に充填されている。具体的には、一次冷媒よりも二次冷媒の方が高い充填圧力で充填されており、腐食等により内管104に孔あき(孔食)が生じた場合には、二次冷媒の一次冷媒経路36側への漏出に伴う圧力低下を圧力検知センサ112で検出することで冷媒漏れ異常として判断するようになっている。
【0044】
すなわち、二次冷媒経路46に充填された流体の圧力を圧力検知センサ112で検出することにより、外管102および内管104の両方の孔あき(孔食)による異常を検出することができるようになっている。そして、前記制御装置Cは、圧力検知センサ112の検出圧力が所定の閾値以下となった場合に、冷蔵庫10に備えられている図示しない報知手段により冷媒漏れ異常を報知するよう構成されている。ここで、冷媒漏れ異常の報知方法としては特に限定されるものではなく、例えば表示パネルに警告表示を表示したり、スピーカから警報音を出力するなどにより実行することができる。
【0045】
また、熱交換部HEの外管102および内管104は、図7(a)に示すように、管の外周を同一金属または異種金属で形成した管で接合したクラッド管と称される二重管構造を採用することができる。なお、外管102および内管104の一方のみを二重管にするようにしてもよい。このようなクラッド管を熱交換部HEの外管102および内管104に採用することにより、外側或いは内側の管層114,116に腐食等が生じた場合でも、その腐食が他方の管層114,116まで進行するのを抑制でき、外管102および内管104の孔あき(孔食)など不具合を効果的に抑制することができる。ここで、外側の金属管層114および内側の金属管層116は、0.1mm以上の厚みで形成することが孔あき(孔食)を効果的に防止する観点から好ましい。
【0046】
また外側の金属管層114および内側の金属管層116を形成する金属材は特に限定されるものではないが、外側の金属管層114および内側の金属管層116の夫々をアルミ材で形成することで、冷却装置32を形成する際に利用される従来の製造設備をそのまま利用することができ、生産性に極めて優れる利点がある。また、外側の金属管層114をアルミ材で形成し、内側の金属管層116を銅で形成することで、アルミ材の加工に従来の製造設備を利用して生産性を維持しつつ、熱伝導率に優れた銅によって熱伝導効果の向上が期待でき、熱交換部HEにおける熱交換効率を向上させ得る利点がある。
【0047】
また、前述のように熱交換部HEの外管102および内管104に二重管構造を採用する場合に、図7(b)に示すように、外側の金属管層114と内側の金属管層116との間に空気層118を有するよう構成して、内側の金属管層116の中を対応する一次冷媒や二次冷媒が流通するようにしてもよい。このように外側の金属管層114と内側の金属管層116の間に空気層118を有する二重管を採用することで、流通する冷媒の漏出をより効果的に防止することができる。
【0048】
更に、外側の金属管層114と内側の金属管層116との間に空気層118を有する二重管構造を採用する場合に、内側の金属管層116の中を流通する冷媒(一次冷媒または二次冷媒)の漏出を冷媒検出センサ(冷媒検出手段)120で検出可能に構成することが可能である。具体的には、図8に示すように、外側の金属管層114に形成した孔部114aに両端部が開口する側管122を取り付けて前記空気層118に連通するよう構成すると共に、この側管122の外側の開口端部の近傍に冷媒検出センサ120を配置することで実現できる。ここで、冷媒検出センサ120としては、検出対象の冷媒(一次冷媒または二次冷媒)を検出可能なセンサであれば従来公知のセンサを採用可能である。そして、この冷媒検出センサ120は、前記制御装置Cに電気的に接続されており、冷媒検知センサ120が所定の閾値以下となった場合に制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成されている。すなわち、腐食等により内側の金属管層116に孔あき(孔食)が生じて、内側の金属管層116の中を流通する冷媒(一次冷媒または二次冷媒)が前記空気層118に漏出した場合には、漏出した冷媒が側管122を介して冷媒検知センサ120まで導かれることで冷媒漏れ異常として判断するようになっている。ここで、冷媒検知センサ120で検出した冷媒漏れ異常の報知方法としては特に限定されるものではなく、例えば表示パネルに警告表示を表示したり、スピーカから警報音を出力するなどにより実行することができる。また、冷却装置32は、冷媒検出センサ120および側管122の外側の開口端部を囲むように隔壁124が設けられており、冷媒検出センサ120の設置箇所周辺の雑ガスを冷媒検出センサ120が検出して冷媒漏れ異常と判断されないようにしてある。
【0049】
また、外側の金属管層114と内側の金属管層116の間の空間にブライン(冷媒)を充填するようにしてもよい。ここで、ブラインとしては、顕熱の熱容量によって熱を移動させる熱媒体であり、比熱が大きく、熱伝導率に優れ、不活性で腐食がないものを採用することができ、例えば塩化カルシウム水溶液やエチレングリコール水溶液、アルコールなどを採用することができ、特には電熱性に優れたエチレングリコール水溶液が好適である。このように、外側の金属管層114と内側の金属管層116の間の空間に熱伝導率に優れたブラインを充填することで、熱伝導効果の向上が期待でき、熱交換部HEにおける熱交換効率を向上させ得る利点がある。
【0050】
また、外側の金属管層114と内側の金属管層116の間の空間部118に二酸化炭素を充填することもできるようにしてもよい。このように、外側の金属管層114と内側の金属管層116の間の空間部118に熱伝導率に優れた二酸化炭素を充填した場合も、熱伝導効果の向上が期待でき、熱交換部HEにおける熱交換効率を向上させ得る利点がある。また、二酸化炭素を充填した場合は、外側の金属管層114と内側の金属管層116の間の空間部118で二酸化炭素の凝縮と気化が行われることにより、二重管構造の断面においてヒートパイプの働きをする。このため、一次冷媒が流通する内管104に二重管構造を採用することで、内管104の内側の空間に充填した二酸化炭素のヒートパイプの作用も相俟って、当該内管104を流通する一次冷媒と、内管104の外側を流通する二次冷媒との間の熱交換効率を高めることができる。
【0051】
(実施形態1の作用)
次に、本実施形態1に係る冷却装置32の作用について説明する。冷却装置32では、冷却運転を開始すると、一次回路34および二次回路44の夫々で冷媒の循環が開始される。先ず、一次回路34について説明すると、圧縮機CMおよび凝縮器ファンFMが駆動され、圧縮機CMで気相一次冷媒が圧縮されて、この一次冷媒を冷媒配管38を介して凝縮器CDに供給して、凝縮器ファンFMによる強制冷却により凝縮液化することで液相とする。液相一次冷媒は、膨張弁EVで減圧され、熱交換部HEの一次冷媒経路36において二次冷媒経路46を流通する二次冷媒から熱を奪って(吸熱)一挙に膨張気化する。このように一次回路34は、熱交換部HEにおいて、一次冷媒経路36により二次冷媒経路46を強制冷却するように機能している。そして、一次冷媒経路36で気化した気相一次冷媒は、冷媒配管38を経て圧縮機CMに帰還する強制循環サイクルを繰返す。
【0052】
前記二次回路44では、二次冷媒経路46が一次冷媒経路36により冷却されているから、二次冷媒経路46で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加することから、重力の作用下に二次冷媒経路46に沿って液相二次冷媒が流下する。二次回路44では、二次冷媒経路46を備える熱交換部HEの下方に蒸発器EPを配置することで、二次冷媒経路46と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、液相二次冷媒を、二次冷媒経路46の下部に接続した液配管48を介して、蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの蒸発管52を流通する過程で該蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って気化して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管50を介して蒸発器EPから二次冷媒経路46へ還流し、二次回路44ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0053】
前記送風ファン30により吸込口26aから冷却室28に吸引された収納室14の空気を、冷却された蒸発器EPに吹付けることで、蒸発器EPと熱交換した空気が冷気となる。そして冷気を、冷却室28から冷気吹出口26bを介して収納室14に送出することで、収納室14が冷却される。冷気は、収納室14の内部を循環して、吸込口26aを介して再び冷却室28内に戻るサイクルを反復する。
【0054】
ここで、実施形態1の冷却装置32は、一次回路34を構成する一次冷媒経路36が前記冷却室28に露出しないように当該冷却室28に前記熱交換部HEが配置されている。このため、一次冷媒経路36を流通する一次冷媒が冷却室28に漏出するのを効果的に防ぐことができ、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)や、毒性が指摘されるアンモニアを一次冷媒に採用しつつ、冷却室28に熱交換部HEを配置することができる。
【0055】
特に、この実施形態のように、外管102と、外管102の内側に空間をあけるようにして内管104が挿通された二重管部100を熱交換部HEに備えるように構成し、内管104の内側の空間を一次冷媒が流通すると共に、外管102と内管104との間の空間を二次冷媒が流通することで、腐食等が生じて内管104に孔空き(孔食)が発生したとしても、内管104から漏出した一次冷媒を外管102の内部に留まらせることができ、冷却室28に一次冷媒が直接漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。また、熱交換部HEにおいて冷却室28内に位置する二重管部100を断熱材110で覆うようにすることで、熱交換部HEを流通する冷媒(一次冷媒および二次冷媒)の冷却室28への漏れを抑制することができる。すなわち、より高い安全基準を満たした冷却装置32を実現することができる。
【0056】
また、一次冷媒の漏れを検出するために、ガスセンサや一次冷媒の漏出時に熱交換器110への一次冷媒の供給を遮断する遮断弁などの検知精度に課題のある装置構成を設ける必要が無いから、冷却装置の信頼性を高めることができる。また、高価なガスセンサや遮断弁を必要としないことにより、製品の製造コストを低廉に抑制することができる利点がある。
【0057】
更に、熱交換部HEに設けた二重管部100に冷媒を流通させるようにした場合でも、冷媒(一次冷媒または二次冷媒)の漏れを圧力検出センサ112や冷媒検出センサ120により検出するようにすることで、冷媒の漏れがある状態での冷却装置32の運転を早期に停止して速やかに復旧させることができる。更に、冷媒検出センサ120を設ける場合に、当該冷媒検出センサ120や側管122の外側の開口端部を囲むように隔壁124を設けることにより、冷媒検出センサ120の設置箇所周辺の雑ガスの影響を抑制して冷媒の漏れを正確に検出することが可能になる。
【0058】
また、熱交換部HEは、当該熱交換部HEの内管104と一次回路34を形成する前記冷媒配管38とを機械室20に位置させた接続部位106で接続するようにしたから、当該接続部位106において内管104と冷媒配管38の接続を解除することで、ユニット化した熱交換部HEおよび蒸発器EPを分解することなく一次回路34から一体的に分離して取り外すことができる。このように、熱交換部HEおよび蒸発器EPをユニット化した状態のまま取り外しできるから、メンテナンス性の向上を図り得る利点がある。
【0059】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る冷却装置130について説明する。但し、実施形態2に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
実施形態2の冷却装置130は、図9に示すように、複数の熱交換部HEを備え、当該複数の熱交換部HEの一次冷媒経路36が相互に連通するように構成されている。すなわち、複数の熱交換部HEの一次冷媒経路36を連通することにより、全体で1つの連続した一次冷媒経路が複数の熱交換部HEに跨がるようになっている。なお、この実施形態2の冷却装置130は、3つの熱交換部HEの一次冷媒経路36を相互に連通するように構成してあるが、2または4以上の熱交換部HEの一次冷媒経路36を相互に連通するようにしてもよいことは当然である。また、実施形態2の冷却装置130が備える3つの熱交換部HEを便宜的に第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3として区別して説明する場合もある。
【0061】
具体的に、図9に示すように、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3における二重管部100の両端部が台板24を貫通して機械室20に露出するよう構成されている。第1の熱交換部HE1において機械室20側に貫通した二重管部100の内管104の一方に膨張弁EVに接続する流入側の冷媒配管38が接続されており、当該第1の熱交換部HE1の内管104の他方に、第2の熱交換部HE2において機械室20側に貫通した二重管部100の内管104の一方が接続している。そして、第2の熱交換部HE2の内管104の他方に、第3の熱交換部HE3において機械室20側に貫通した二重管部100の内管104の一方が接続しており、当該第1の熱交換部HE1の内管104の他方に、圧縮機CMに接続する流出側の冷媒配管38が接続されて、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3の一次冷媒経路36が連続した一次回路34を形成するようになっている。なお、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3の各配管は、実施形態1における接続部位106での接続構造と同様に、溶接や継手などを利用して接続することができる。
【0062】
また、実施形態2の冷却装置130は、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3毎に独立した蒸発器EPが接続するよう構成されている。具体的には、この実施形態2の冷却装置130では、3つの熱交換部HEに合わせて3つの独立した蒸発器EPを備えるよう構成してある。なお、実施形態2の冷却装置130が備える3つの蒸発器EPを便宜的に第1~第3蒸発器EP1,EP2,EP3として区別する場合がある。すなわち、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3で熱交換して液化した二次冷媒により、各熱交換部HE1,HE2,HE3に対応して設けた第1~第3蒸発器EP1,EP2,EP3を冷却するよう構成されている。
【0063】
ところで、実施形態1のように、熱交換部HEと蒸発器EPとを冷却室28に配置する構成を採用した場合、従来の熱交換部HEを機械室20側に配置する構成と比べて、熱交換部HEと蒸発器EPとの高低差を確保し難くなる。このため、自然循環する液相二次冷媒の蒸発器EPへの冷媒押し込み作用が低下し、二次冷媒を蒸発器EPに十分に圧送できなくなって冷却能力が低下することが考えられる。
【0064】
これに対して、実施形態2の冷却装置130では、二次冷媒経路46が蒸発器EP1,EP2,EP3毎に分割されることで、1つの蒸発器EP1,EP2,EP3当りの冷媒量を少なくすることができる。これにより、蒸発器EP1,EP2,EP3における二次冷媒の自然循環に必要な高低差を小さくすることが可能になる。また、容積の狭小な冷却室28に熱交換部HEと蒸発器EPとを配置した場合でも、熱交換部HEと蒸発器EPとの高低差が不充分で冷媒の押し込み作用が弱くても冷媒循環量が少なく管路抵抗が小さいので自然循環させることができ、冷却能力の低下を防止できる。また、配管径を細くすることができるから、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3の加工性が高まり、生産性の向上を図ることが可能になる利点がある。
【0065】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る冷却装置140について説明する。但し、実施形態3に係る冷却装置140は、実施形態2で説明した冷却装置130と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、実施形態3に係る冷却装置140において、実施形態2と同様に熱交換部HEおよび蒸発器EPを夫々3つ備えた構成に基づいて説明するが、2または4以上の熱交換部HEおよび蒸発器EPを備えた構成とすることも可能である。
【0066】
ここで、実施形態2の冷却装置130では、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3毎に独立して第1~第3蒸発器EP1,EP2,EP3を設け、蒸発器EP1,EP2,EP3毎に二次回路44が独立するようにしたが、実施形態3の冷却装置140では、各蒸発器EP1,EP2,EP3において液化した二次冷媒が流入する液配管48と、気化した二次冷媒が環流するガス配管とが、前記複数の熱交換部HE1,HE2,HE3において異なる熱交換部HE1,HE2,HE3に繋がるよう設けられており、全体で1つの二次回路44を形成するよう構成されている。
【0067】
具体的に、図10の例では、第1蒸発器EP1に接続する液配管48が第1熱交換部HE1に接続すると共に、第1蒸発器EP1に接続するガス配管50が第3熱交換部HE3に接続し、第1熱交換部HE1で液化した二次冷媒により第1蒸発器EP1を冷却した後に、二次冷媒が第3熱交換部HE3に環流するようになっている。また、第2蒸発器EP2に接続する液配管48が第2熱交換部HE2に接続すると共に、第2蒸発器EP2に接続するガス配管50が第1熱交換部HE1に接続し、第2熱交換部HE2で液化した二次冷媒により第2蒸発器EP2を冷却した後に、二次冷媒が第1熱交換部HE1に環流するようになっている。そして、第3蒸発器EP3に接続する液配管48が第3熱交換部HE3に接続すると共に、第3蒸発器EP3に接続するガス配管50が第2熱交換部HE2に接続し、第3熱交換部HE3で液化した二次冷媒により第3蒸発器EP3を冷却した後に、二次冷媒が第2熱交換部HE2に環流するようになっている。
【0068】
また、図11の例では、第1蒸発器EP1に接続する液配管48が第1熱交換部HE1に接続すると共に、第1蒸発器EP1に接続するガス配管50が第2熱交換部HE2に接続し、第1熱交換部HE1で液化した二次冷媒により第1蒸発器EP1を冷却した後に、二次冷媒が第2熱交換部HE2に環流するようになっている。また、第2蒸発器EP2に接続する液配管48が第2熱交換部HE2に接続すると共に、第2蒸発器EP2に接続するガス配管50が第3熱交換部HE3に接続し、第2熱交換部HE2で液化した二次冷媒により第2蒸発器EP2を冷却した後に、二次冷媒が第3熱交換部HE3に環流するようになっている。そして、第3蒸発器EP3に接続する液配管48が第3熱交換部HE3に接続すると共に、第3蒸発器EP3に接続するガス配管50が第1熱交換部HE1に接続し、第3熱交換部HE3で液化した二次冷媒により第3蒸発器EP3を冷却した後に、二次冷媒が第1熱交換部HE1に環流するようになっている。
【0069】
実施形態3の冷却装置140のように、冷却装置140の全体で1つの二次回路44を形成するようにすることで、二次回路44への二次冷媒の充填作業を一度で完了することができ、作業効率の効率化を図ることができる。また、熱交換部HE毎に熱負荷のばらつきが生じた状況になった場合でも、サーモサイフォンの自己調整作用によって二次冷媒の循環量が時間の経過と共に次第に均一化され、冷却運転の安定化や効率化に寄与する利点がある。
【0070】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る冷却装置150について説明する。但し、実施形態4に係る冷却装置150は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0071】
ここで、実施形態1に係る冷却装置32は、二次回路44が自然循環サイクルであることから、二次冷媒の密度と重力の作用によって循環方向が決まる。そこで、実施形態4に係る冷却装置150は、狭小に形成される冷却室28に熱交換部HEおよび蒸発器EPを配置する構成にあって、蒸発器EPから熱交換部HEに環流して熱交換部HEとの熱交換により液化した液相二次冷媒が、ガス配管50を介して蒸発器EPに逆流するのを防止する構造に関するものである。
【0072】
この実施形態4に係る冷却装置150では、蒸発器EPから熱交換部HEに二次冷媒が環流するガス配管50を、熱交換部HEに設けた二次冷媒経路46の傾斜上端側に繋がるよう設けられている。より具体的には、図12に示すように、ガス配管50は、熱交換部HEにおける一次冷媒経路36よりも上流側に接続するよう構成されており、一次冷媒経路36を流通する一次冷媒との熱交換により液化した二次冷媒が重力によりガス配管50側に流れないように構成される。言い換えると、熱交換部HEにおいて二次冷媒経路46の気相二次冷媒の流入口は、一次冷媒経路36を流通する一次冷媒との熱交換により液化した二次冷媒が滴下しない位置に開口するよう設けられている。
【0073】
このように、蒸発器EPから熱交換部HEに環流して熱交換部HEとの熱交換により液化した液相二次冷媒が、ガス配管50を介して蒸発器EPに逆流するのを防止することで、二次回路44内で二次冷媒を一定方向に安定して自然循環させることができ、蒸発器EPの冷却効率を高めることができる。
【0074】
また、図13に示すように、蒸発器EPから熱交換部HEに二次冷媒が環流するガス配管50を、上下に折り返すように蛇行部152を設けるようにしてもよい。このようにガス配管50に蛇行部152を設けることで、熱交換部HEにおける熱交換により液化した二次冷媒がガス配管50に流入した場合であっても、当該蛇行部152に液相二次冷媒を留まらせて蒸発器EPまで逆流するのを効果的に防止できる。
【0075】
更に、図14に示すように、蒸発器EPから熱交換部HEに二次冷媒が環流するガス配管50に逆止弁154を設けるようにしてもよい。このようにガス配管50に蛇行部152を設けることで、熱交換部HEにおける熱交換により液化した二次冷媒がガス配管50に流入した場合であっても、当該蛇行部152に液相二次冷媒を留まらせて蒸発器EPまで逆流するのを効果的に防止できる。
【0076】
このように、ガス配管50に蛇行部152や逆止弁154を設け、蒸発器EPから熱交換部HEに環流して熱交換部HEとの熱交換により液化した液相二次冷媒が、ガス配管50を介して蒸発器EPに逆流するのを防止することで、二次回路44内で二次冷媒を一定方向に安定して自然循環させることができ、蒸発器EPの冷却効率を高めることができる。また、ガス配管50に蛇行部152や逆止弁154を設ける構成では、狭小な冷却室28に熱交換部HEおよび蒸発器EPを配置して配管経路が制約される状況においても、ガス配管50を介した蒸発器EPへの二次冷媒の逆流をより確実に防止することができ、蒸発器EPの冷却効率をより確実に維持することができる利点がある。
【0077】
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る冷却装置160について説明する。但し、実施形態5に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
実施形態5の冷却装置160は、図15に示すように、前記冷却室28の温度を検出する温度検出手段(第1の温度検出手段)162が設けられている。この第1の温度検出手段162は、前記制御装置Cに電気的に接続されており、冷却装置160の冷却運転時に予め定めた基準時間が経過するまでの間に、当該第1の温度検出手段162が検出する検出温度が予め設定した基準温度に達しない場合に制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成されている。
【0079】
ここで、冷却装置170は、冷却運転を実行して冷却室28を冷却した際に、冷却室28内の空気に含まれる水蒸気などが氷結して蒸発器EPの表面や冷却室28の内面に霜として付着することにより、冷却能力の低下を招くことが知られている。このため、制御装置Cが所定の制御条件の下で定期的に冷却運転から除霜運転に切り替えて、圧縮機CMや凝縮器ファンFM、送風ファン30などを停止すると共に、図示しないヒータにより蒸発器EPを加温して除霜し、除霜運転の終了に伴って冷却運転を再開するようになっている。なお、除霜運転は、蒸発器EPの温度を検出する温度検出手段(図示せず)が検出する検出温度が所定の除霜完了温度になることで終了するようにすることができる。ここで、除霜運転の終了時点では蒸発器EPが高温になっていることから、除霜運転の終了後には圧縮機CMと凝縮器ファンFMを予備冷却時間の間動作させる予備冷却運転を行い、予備冷却時間が経過した後に、圧縮機CM、凝縮器ファンFMおよび送風ファン30の夫々を所定の制御条件でON-OFF制御する冷却運転に移行して、冷却室28内の温度を設定した一定の温度域に保持するようになっている。
【0080】
ここで、冷却装置160の熱交換部HEは、実施形態1において説明したように、冷却室28内に位置する二重管部100が断熱材110で覆われている。このため、腐食等により外管102に孔あき(孔食)が生じて二次冷媒が外部に漏出した場合には、一次冷媒経路36を流通する一次冷媒による冷却能力を維持しているとしても、冷却室28を冷却する冷却能力はほぼ喪失した状態となる。
【0081】
すなわち、前述のように、冷却装置160の冷却運転時に予め定めた基準時間が経過するまでの間に、当該第1の温度検出手段162が検出する検出温度が予め設定した基準温度に達しない場合(基準温度まで低下しない場合)に制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断することで、冷却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。ここで、基準時間や基準温度の設定値としては、適宜に決定することが可能であるが、基準時間としては、例えば、送風ファン30の運転を停止する予備冷却時間(例えば冷却運転の開始から5分)とすることができるが、その他の任意の時間を設定することできる。このように、基準時間を予備冷却時間とすることで、外的な要因に左右されることなく冷媒漏れ異常を正確に検知することができる。また冷却装置160は、二次冷媒が漏出した場合に、冷却室28を冷却する冷却能力がほぼ喪失した状態となることから、前記基準温度としては、前記除霜終了温度(例えば13℃)とすることができ、またその他の任意の温度に設定することもできる。基準時間や基準温度をこのような設定値とすることで、冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止しつつ、正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。
【0082】
また、前記制御装置Cは、冷却装置160の冷却運転時に予め定めた基準時間が経過するまでの間に、第1の温度検出手段162の検出温度が予め設定した基準温度に達しない場合に、冷蔵庫10に備えられている図示しない報知手段により冷媒漏れ異常を報知するよう構成されている。ここで、冷媒漏れ異常の報知方法としては特に限定されるものではなく、例えば表示パネルに警告表示を表示したり、スピーカから警報音を出力するなどにより実行することができる。
【0083】
(実施形態6)
次に、実施形態6に係る冷却装置170について説明する。但し、実施形態6に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
実施形態6の冷却装置170は、図16に示すように、熱交換部HEを形成している配管(すなわち二重管部100)が前記冷却室28に露出するよう配置されている。すなわち、実施形態6の冷却装置170では断熱材110が省略されており、冷却室28内に配置されている熱交換部HE(二重管部100)および蒸発器EPの夫々が冷却室28内の空気と熱交換して冷却するよう構成されている。すなわち、実施形態6の冷却装置170では、熱交換部HEおよび蒸発器EPの双方により冷却室28内を冷却することにより、冷却効率を向上すると共に、省エネ性能を高めるよう構成されている。
【0085】
また、図16に示すように、実施形態6の冷却装置170では、前述した実施形態5の冷却装置160と同様に前記冷却室28の温度を検出する温度検出手段(第1の温度検出手段)162が設けられていると共に、蒸発器EPの温度を検出する第2の温度検出手段172が設けられており、第1の温度検出手段162および第2の温度検出手段172夫々が前記制御装置Cに電気的に接続されている。すなわち、実施形態5で説明した除霜運転は、第2の温度検出手段172が所定の除霜完了温度を検出することで、除霜運転から冷却運転に切り替えるよう構成されている。
【0086】
ここで、冷却装置170の熱交換部HEは、実施形態1において説明したように、一次回路34を構成する一次冷媒経路36と、二次回路44を構成する二次冷媒経路46とが設けられており、腐食等により外管102に孔あき(孔食)が生じて二次冷媒が外部に漏出した場合であっても、熱交換部HE(二重管部100)の一次冷媒経路36を流通する一次冷媒により冷却室28を冷却する一定の冷却能力を有している。このため、冷蔵庫10の設置環境の環境温度が低い場合や収納室14を冷却する設定温度が高い場合などのように、冷却装置170に求められる冷却能力が低い条件で冷却運転するような場合には、二次冷媒が外部に漏出した冷媒漏れ異常の状態であっても、冷却速度は低下するものの、冷却ができてしまう状況が生じかねない。
【0087】
そこで、実施形態6における冷却装置170の制御装置Cは、冷却運転を行う際に、前記第1の温度検出手段162の検出温度と、前記第2の温度検出手段172の検出温度とに基づいて、冷媒漏れ異常と判別可能に構成されている。より具体的には、前記制御装置Cは、冷却運転を行っている間に継続して冷媒漏れ異常を判別する処理と、除霜運転から冷却運転に切り替わった際の一定期間に冷媒漏れ異常を判別する処理とを実行可能に構成されている。
【0088】
冷却運転を行っている間に継続して冷媒漏れ異常を判別する処理としては、前記制御手段Cは、前記第2の温度検出手段172の検出温度T2と、前記第1の温度検出手段の検出温度T1との温度差TA(TA=T2-T1)が基準温度差T’に満たない状態(T’>TA)となった場合に、当該制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成することができる。
【0089】
ここで、前述したように、腐食等により外管102に孔あき(孔食)が生じて二次冷媒が外部に漏出した場合であっても、熱交換部HEの一次冷媒経路36を流通する一次冷媒により冷却室28を冷却する一定の能力を有するものの、二次冷媒の漏出に伴い熱交換部HEにより蒸発器EPが冷却されなくなることにより、蒸発器EPの冷却作用自体は喪失する。このため、正常に冷却運転が行われている状態では、蒸発器EPの温度(第2の温度検出手段172の検出温度T2)は冷却室28の温度第1の温度検出手段の検出温度T1より低温が保たれている一方で、二次冷媒の漏出に伴って、蒸発器EPの温度と冷却室28の温度とは次第に均衡するように温度差が小さくなり、冷却能力が著しく低下する。
【0090】
すなわち、前述のように、前記第2の温度検出手段172の検出温度T2と、前記第1の温度検出手段の検出温度T1との温度差TA(TA=T2-T1)が基準温度差T’に満たない状態(T’<TA)となった場合に、制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断することで、冷却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。ここで、基準温度差T’の設定値としては、適宜に決定することが可能であるが、基準温度差T’としては、例えば、2℃とすることができる。基準温度差T’をこのような設定値とすることで、設置環境に応じた冷却能力の差異による誤検出を防ぎつつ、冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止し、正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。
【0091】
ここで、第2の温度検出手段172の検出温度T2と、前記第1の温度検出手段の検出温度T1との温度差TA(TA=T2-T1)が基準温度差T’に満たない状態(T’>TA)が所定の異常判定時間TMに亘って継続した場合に、当該制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成するようにしてもよい。この場合も同様に、冷却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。ここで、異常判定時間TMの設定値としては、適宜に決定することが可能であるが、例えば異常判定時間TMとしては15分とすることができる。異常判定時間TMをこのような設定値とすることで、設置環境に応じた冷却能力の差異による誤検出を防ぐことができると共に、冷媒漏れ異常が生じていない状態で何らかの外的な要因により一時的に温度差TAが基準温度差T’に満たない状態(T’>TA)を冷媒も令嬢として判別するのを防止しつつ、冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止し、正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。
【0092】
また、前記第2の温度検出手段172の検出温度T2と、前記第1の温度検出手段162の検出温度T1との温度差TAを所定の判定時間TXに亘って累積した累積値が基準値を超えた場合に、制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成することも可能である。このように、判定時間TXの間の温度差TAの累積値を判断の基準とすることで、冷媒漏れ異常が生じていない状態で何らかの要因により判定時間TXの間に温度差TAが基準温度差T’を超えた正常な状態(T’≦TA)が一時的に発生した場合でも、冷媒漏れ異常を判別することができ、冷媒漏れ異常での運転が継続されるのを防止しつつ、累積値により判別することで正常な運転状態とより正確に区別することが可能になる。
【0093】
また、除霜運転から冷却運転に切り替わった際の一定期間に冷媒漏れ異常を判別する処理として、例えば、前記制御装置Cは、除霜運転後の予備冷却運転の間に、前記第2の温度検出手段172が検出する検出温度T2の単位時間の温度低下率が基準値に満たない場合に、制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成することも可能である。除霜運転の終了時点では蒸発器EPが高温になっていることから、予備冷却運転の間の温度低下率が基準値に満たない場合には、予備冷却運転の終了時に蒸発器EPが冷却運転に適した温度まで低下しない可能性がある。このため、予備冷却運転の間の温度低下率が基準値に満たない場合に、冷媒漏れ異常と判断することにより却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。この場合も同様に、冷却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。
【0094】
また、除霜運転から冷却運転に切り替わった際の一定期間に冷媒漏れ異常を判別する処理として、例えば、前記制御装置Cは、除霜運転後の予備冷却運転の間に、前記第2の温度検出手段172が検出する検出温度T2が記第1の温度検出手段162が検出する検出温度以下とならない場合に、制御装置Cが冷媒漏れ異常と判断するよう構成することも可能である。予備冷却運転では冷却室28を冷却可能な温度まで蒸発器EPを継続して冷却することから、予備冷却運転の間に蒸発器EPの温度(検出温度T2)が冷却室28の温度(検出温度T1)以下とならない場合には、冷却運転に適した温度となっていない。このため、第2の温度検出手段172が検出する検出温度T2が記第1の温度検出手段162が検出する検出温度以下とならない場合に、冷媒漏れ異常と判断することにより却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。この場合も同様に、冷却能力が低下した状態で運転が継続されるのを防止することが可能になる。
【0095】
また、前記制御装置Cは、前記第2の温度検出手段172の検出温度T2と、前記第1の温度検出手段の検出温度T1との温度差TA(TA=T2-T1)が基準温度差T’に満たない状態(T’>TA)となった場合、または当該温度差TAが基準温度差T’に満たない状態(T’>TA)が所定の異常判定時間に亘って継続した場合、或いは、前記第2の温度検出手段172の検出温度T2と、前記第1の温度検出手段162の検出温度T1との温度差TAを所定の判定時間TXに亘って累積した累積値が基準値を超えた場合に、冷蔵庫10に備えられている図示しない報知手段により冷媒漏れ異常を報知するよう構成されている。ここで、冷媒漏れ異常の報知方法としては特に限定されるものではなく、例えば表示パネルに警告表示を表示したり、スピーカから警報音を出力するなどにより実行することができる。
【0096】
(実施形態7)
次に、実施形態7に係る冷却装置180について説明する。但し、実施形態7に係る冷却装置は、実施形態2または実施形態3で説明した冷却装置130,140と同様に、複数の熱交換部HEを備え、当該複数の熱交換部HE1,HE2,HE3の一次冷媒経路36が相互に連通するように構成されると共に、複数の熱交換部HE1,HE2,HE3毎に対応して熱交換する複数のするように蒸発器EP1,EP2,EP3を備えたものである。また、複数の蒸発器EP1,EP2,EP3は、実施形態2のように複数の熱交換部HE毎に独立して設けたものであってもよく、実施形態3のように複数の蒸発器EP1,EP2,EP3が全体で1つの二次回路44を形成するものであってもよい。なお、実施形態7に係る冷却装置180において、実施形態3と同様に熱交換部HE1,HE2,HE3および蒸発器EP1,EP2,EP3を夫々3つ備えた構成に基づいて説明するが、2または4以上の熱交換部および蒸発器を備えた構成とすることも可能である。
【0097】
実施例7の冷却装置180は、図17に示すように、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3における二重管部100の内管104が冷却室28内で連通するよう構成されると共に、当該二重管部100の内部で第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3毎の二次冷媒経路46が区画されるよう構成されている。なお、図17では、第1熱交換部HE1の二次冷媒経路に符号461を付し、第2熱交換部HE2の二次冷媒経路に符号462を付し、第3熱交換部HE3の二次冷媒経路に符号463を付して便宜的に区別してある。
【0098】
ここで、第1~第2熱交換部HE1,HE2における二重管部100の接続構造について、図18を用いて説明する。なお、詳細な説明は省略するが、第2~第3熱交換部HE2,HE3における二重管部100の接続構造も同様である。図18(a)に示すように、第1の熱交換部HE1および第2の熱交換部HE2において前記一次冷媒経路36を形成する内管(第1の配管)104を、二次冷媒経路46を構成する複数の外管(第2の配管)102の内部を挿通するよう構成する。ここで、第1の熱交換部HE1および第2の熱交換部HE2における一次冷媒経路36を形成する内管104は、一方の内管104の端部に設けられたスリーブ状の大径管部104aに、他方の内管104を差し込んだもとで溶接などにより連通するように連結されている。ここで、内管104同士の接続は、図6において説明した接続管108と、液配管48やガス配管50との接続と同様に、大径管部104aに対する内管104の差込長さは6mm以上の長さを確保することが好ましく、これにより結合継目からの一次冷媒の漏出を効果的に防止することができる。なお、図18(a)における符号181は、第1の熱交換部HE1および第2の熱交換部HE2の内管104を溶接などにより形成された接続部位を示しており、溶接などにより連結した内管104を2つの外管102に挿通してある。更に、複数の外管102の何れか1つに対して、連結した内管104が溶接などにより形成された接続部位182で固定されている。なお、第1の熱交換部HE1および第2の熱交換部HE2における一次冷媒経路36を形成する内管104は、連続した1つの配管であっても良い。
【0099】
更に、外管102の外側には、図18(b)に示すように、当該外管102の延在方向にスライド移動可能に連結管183が外挿されており、外管102の継ぎ目を跨ぐように連結管183を位置付けた状態で、継ぎ目を跨ぐようにした両外管102と、連結管183との間を溶接などにより形成された接続部位184で固定するよう構成されている図18(a)。ここで、外管102と内管104とを固定する溶接などにより形成された接続部位182は、当該内管104の全周に亘って設けられて、内管104の内部で当該内管104と外管102との間が封止されて、第1の熱交換部HE1および第2の熱交換部HE2の二次冷媒経路46が内管104と外管102の間に分離した経路として形成されている。また同様に、両外管102と、連結管183とを固定する溶接などにより形成された接続部位184は、連結管183の全周に亘って設けられて、継ぎ目を跨ぐ両外管102と連結管183との間からの二次冷媒の漏出を防ぐよう封止してある。
【0100】
このように第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3における二重管部100を連結することで、冷却室28から機械室20に至るように二重管部100の端部を機械室20に取り回すことなく二重管部100の内管104を冷却室28内で連通させて、一次冷媒経路36が冷却室28に露出しないように当該冷却室28に第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3を配置することができる。すなわち、腐食等が生じて内管104に孔空き(孔食)が発生したとしても、内管104から漏出した一次冷媒を外管102の内部に留まらせることができ、冷却室28に一次冷媒が直接漏れ出すことを効果的に防ぐことが可能になる。
【0101】
更に、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3の二重管部100を機械室20に取り回す必要がないから、配管長さを短くして構造を簡略化し得ると共に、管路抵抗を抑制して二次冷媒を効率良く自然循環させて冷却の量の向上を図り得る。
【0102】
また、二重管部100の内部で第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3毎の二次冷媒経路46を区画することができるから、実施形態3と同様に1つの蒸発器EP1,EP2,EP3当りの冷媒量を少なくすることができ、蒸発器EP1,EP2,EP3における二次冷媒の自然循環に必要な高低差を小さくすることが可能になるなどの利点がある。
【0103】
ここで、前述した実施形態7では、第1~第3熱交換部HE1,HE2,HE3の二重管部100の外管104の継ぎ目を、直管状の連結管183により連結するようにしたが、図19に示すように、二次冷媒経路46に連通する分岐管185aを備えたT字状に形成した3方向分岐のT型の連結管185を用いて外管104の継ぎ目を連結し、当該T字状の連結管185の分岐管185aを対応する蒸発器EP1,EP2,EP3に接続することができる。このように、外管104の継ぎ目を連結する連結管185に、前述した蒸発器EP1,EP2,EP3に接続する接続管108としての機能を備えるようにすることで、部品数を抑制して製造工数の簡略化を図り得ると共に、コスト削減を図ることができる。なお、図19では、第1の熱交換部HE1および第2の熱交換部HE2における一次冷媒経路36を形成する内管104を連続した1つの配管として形成した状態を示してあるが、前述のように、溶接などにより連通するように連結するようにしてもよい。
【0104】
(変更例)
本発明に係る冷却装置としては、前述した各実施形態に示すものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。また、各実施形態の構成は、適宜に組み合わせて適用し得るものである。
【0105】
(1) 冷却室28に位置する熱交換部HEの二重管部100を断熱材110で覆うようにしたが、当該断熱材110を省略するようにしてもよい。
(2) 圧力検出センサ112および冷媒検出センサ120により熱交換部HEにおける冷媒の漏れを検出するよう構成したが、圧力検出センサ112および冷媒検出センサ120の一方または両方を省略することもできる。また、圧力検出センサ112や冷媒検出センサ120の配置位置は任意に変更することができ、圧力検出センサ112を冷却室28に配置したり、冷媒検出センサ120を機械室20側に配置するようにしてもよい。
(3) 熱交換部HEの二重管部100を構成する外管102や内管104は二重管構造である必要はなく、単層の配管を外管102や内管104に採用することもできる。
(4) 冷却装置32を冷蔵庫10に採用する場合を例にして説明したが、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫、その他空調機器等にも適用可能である。
(5) 収納室14を内部画成した断熱構造の箱体12の上部側に機械室14が配置された縦型の冷蔵庫10を例に説明したが、収納室(閉鎖空間)14の下部側に機械室14が配置されたタイプの縦型の冷蔵庫などであってもよく、また収納室(閉鎖空間)14の側部側に機械室14が配置された横型の冷蔵庫などに対しても、本発明を好適に採用することができる。
(6) また、収納室14の上部側に画成した冷却室28に熱交換部HEや蒸発器EPを配置するようにしたが、当該冷却室28を収納室14の下部側や側部側に画成して熱交換部HEや蒸発器EPを配置するようにしてもよい。
(7) 熱交換部HEの下方に位置するよう蒸発器EPを収納室14内に配置したが、当該蒸発器EPを熱交換部HEの上方或いは側方に位置するよう配置するようにしてもよい。
(8) 機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24により、機械室20と収納室14との間で空気の流通がないように収納室14と機械室20とを区切る構成であるが、機械室20と収納室14とを箱体の天板で区切る構成であってもよい。
(9) 一次回路34の減圧手段として膨張弁EVを用いたが、キャピラリーチューブやその他の手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0106】
20 機械室(開放空間),28 冷却室(冷却空間)34 一次回路,36 一次冷媒経路, 44 二次回路,102 外管(一次冷媒経路を形成する配管)
104 内管(二次冷媒経路を構成する配管),114 外側の金属管層(外側管)
116 内側の金属管層(内側管),118 空間層,122 側管
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