(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083196
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】衣類洗濯システム、ナノマイクロバブルイオン水を生成する装置、及び衣服を洗濯する方法
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
D06F39/08 301
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067093
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】110145317
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522152474
【氏名又は名称】英屬維京群島商智皇投資有限公司
【氏名又は名称原語表記】IDEA KING INVESTMENT LIMITED
【住所又は居所原語表記】9 F., NO. 179, SEC. 2, TIDING BLVD., NEIHU DIST., TAIPEI CITY 11493
(71)【出願人】
【識別番号】522152511
【氏名又は名称】ナノキング エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】NANOKING LTD.
【住所又は居所原語表記】TMF CHAMBERS P.O.BOX3269,APIA,SAMOA
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呂 鴻圖
(72)【発明者】
【氏名】施 徳毅
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AB03
3B166AE02
3B166AE04
3B166AE07
3B166AE12
3B166BA26
3B166BA42
3B166DA04
3B166DA40
3B166DC42
3B166DE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、衣類洗濯システム、ナノマイクロバブルイオン水を生成する装置、及び衣服を洗濯する方法に関する。
【解決手段】衣類洗濯システムは、調整ユニットと、電解ユニットと、第1の流体循環ユニットと、ナノマイクロバブル生成ユニットと、第2の流体循環ユニットと、洗浄ユニットとを備える。電解ユニットは調整ユニットと流体連通する。第1の流体循環ユニットは、調整ユニット及び電解ユニットに接続される。ナノマイクロバブル生成ユニットは調整ユニットと流体連通する。第2の流体循環ユニットは、調整ユニット及びナノマイクロバブル生成ユニットに接続される。洗浄ユニットは調整ユニットと流体連通する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部流体源に接続される調整ユニットと、
前記調整ユニットと流体連通し、内部に投入された流体を電解するように構成される電解ユニットと、
前記調整ユニット及び前記電解ユニットに接続され、前記調整ユニット内に投入された流体を前記電解ユニットに移送するとともに、前記電解ユニット内に投入された前記流体 を前記調整ユニットに移送するように構成される、第1の流体循環ユニットと、
前記調整ユニットと流体連通し、内部に投入された流体を処理して該流体にナノスケールのマイクロバブルを含ませるように構成される、ナノマイクロバブル生成ユニットと、
前記調整ユニット及び前記ナノマイクロバブル生成ユニットに接続され、前記調整ユニット内に投入された前記流体を前記ナノマイクロバブル生成ユニットに移送するとともに、前記ナノマイクロバブル生成ユニット内に投入された流体を前記調整ユニットに移送するように構成される、第2の流体循環ユニットと、
前記調整ユニットと流体連通する洗浄ユニットと、
を備える、衣類洗濯システム。
【請求項2】
前記調整ユニット内に投入された前記流体を検出し、及び/又は前記電解ユニットを監視するように構成される、検出ユニットを更に備える、請求項1に記載の衣類洗濯システム。
【請求項3】
前記調整ユニット内の水素を処理するように構成される、水素処理ユニットを更に備える、請求項1に記載の衣類洗濯システム。
【請求項4】
前記ナノマイクロバブル生成ユニットは、第2の外部流体源に接続され、前記洗浄ユニットと流体連通する、請求項1に記載の衣類洗濯システム。
【請求項5】
前記調整ユニット、前記第1の流体循環ユニット、及び前記電解ユニットは、第1の流体循環経路を共に構成し、該第1の流体循環経路は、流体が前記第1の流体循環ユニットを通して前記調整ユニットと前記電解ユニットとの間で循環することができるように構成され、前記調整ユニット、前記第2の流体循環ユニット、及び前記ナノマイクロバブル生成ユニットは、第2の流体循環経路を共に構成し、該第2の流体循環経路は、流体が前記第2の流体循環ユニットを通して前記調整ユニットと前記ナノマイクロバブル生成ユニットとの間で循環することができるように構成される、請求項1に記載の衣類洗濯システム。
【請求項6】
外部流体を受け取るように構成される第1のユニットと、
電解を行うように構成され、前記第1のユニットと流体連通する第2のユニットと、
前記流体を前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間で循環させるように構成される第3のユニットと、
ナノマイクロバブルを生成するように構成され、前記第1のユニットと流体連通する第4のユニットと、
前記流体を前記第1のユニットと前記第4のユニットとの間で循環させるように構成される第5のユニットと、
を備える、ナノマイクロバブルイオン水を生成するように構成される装置。
【請求項7】
前記第3のユニットは、電解を行うために前記第1のユニット内に投入された流体を前記第2のユニットに移送し、前記第2のユニットによって電解された前記流体を前記第1のユニットに移送するように構成され、前記第5のユニットは、ナノマイクロバブルを生成するために前記電解流体を前記第1のユニットから前記第4のユニットに移送し、ナノマイクロバブルを含む前記流体を前記第4のユニットから前記第1のユニットに移送するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第4のユニットは、
前記第4のユニットの外部からの液体と、マイクロバブルになると予め決められているガスとをボルテックス式に混合して、気液混合流体を作るように構成される、気液混合セクションと、
前記気液混合流体を回転させて加圧するように構成される、気液回転加圧セクションと、
前記加圧された気液混合流体に対して切断を行い、ナノスケールのマイクロバブルを含む流体を生成するように構成される、ナノマイクロバブル機械切断セクションと、
を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
外部からの流体を調整ユニット内に提供することと、
前記調整ユニット内の前記流体を電解のために電解ユニットに移送し、前記電解流体を前記電解ユニットから前記調整ユニットに移送する、第1の流体循環を行うことと、
前記電解流体を、該流体内に複数のナノマイクロバブルを生成するために前記調整ユニットからナノマイクロバブル生成ユニットに移送し、前記複数のナノマイクロバブルを含む前記流体を前記ナノマイクロバブル生成ユニットから前記調整ユニットに移送する、第2の流体循環を行うことと、
前記複数のナノマイクロバブルを含む前記流体を前記調整ユニットから洗浄ユニットに移送することと、
を含む、衣服を洗濯する方法。
【請求項10】
予備洗濯手順を更に含み、該予備洗濯手順は、
予備洗濯流体を前記ナノマイクロバブル生成ユニットの外部から該ナノマイクロバブル生成ユニット内に提供して、前記予備洗濯流体内に複数のナノマイクロバブルを生成することと、
前記複数のナノマイクロバブルを含む前記予備洗濯流体を前記ナノマイクロバブル生成ユニットから前記洗浄ユニットに移送することと、
を含む、請求項9に記載の衣服を洗濯する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類洗濯システム、ナノマイクロバブルイオン水を生成する装置、及び衣服を洗濯する方法に関し、特に、ナノマイクロバブルイオン水を洗濯液として使用する衣類洗濯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類は、一般的に、衣服、タオル、手袋、窓のカーテン、及び大型のカーテン等を含む、織布又は不織布を指す。衣類汚れは、発生源の違いにより、プロセス/クリーンルームにおける衣類汚れと一般家庭の衣類汚れとの2つのカテゴリーに分類することができる。プロセス又はクリーンルームにおける衣類汚れには、主に、塵及び化学物質が汚染物質として含まれる。一般家庭の衣類汚れには、一般的に、塵に加えて、タンニン(ジュース/コーヒー/ワイン)、タンパク質(体の汗/唾液/尿)、ペンのインク(ボールペン/汎用油性ペン)、油(スープ/リキッドファンデーション)等が含まれる。従来では、洗濯洗剤又は化学洗剤が主な洗浄除染材料として使用されている。長年の改良を経て、洗浄能力は非常に高い水準に達したが、以下の欠点が存在する。洗剤成分が廃水を複雑にし、環境エコロジーに良くなく、洗剤の中の界面活性剤が洗濯槽の中でスケールを生じて二次的な汚染が発生する可能性が高く、洗剤残留物により依然として人の皮膚が傷付き、アレルギー反応が起こるおそれがある。
【0003】
上記によれば、環境の保護及び人の健康維持を追求して、洗濯液又は化学洗剤を、電解水/ナノイオン水、オゾン又はナノマイクロバブル水等の技術に置き換えることよって衣類洗濯効果を実現することを含む、洗濯洗剤又は化学洗剤を使用しない衣類洗濯システム及びその方法が重要な課題となっている。
【0004】
従来の複合完全自動洗濯機は、塩化ナトリウム添加装置と電解装置とを備え、塩化ナトリウムの濃度を制御することにより、オゾン圧縮空気及び次亜塩素酸塩含有電解水を洗濯槽の中に送達し、これらを衣服と共に撹拌して、滅菌、漂白、及び除染の効果を実現する。別の従来の洗濯機は、ファインバブルを生成する装置及び制御装置を提供する。ファインバブルは主にナノマイクロバブルを含み、化学洗濯洗剤の溶解効率を促進するために使用される。
【0005】
本出願人の他の特許出願において、電解によってナノイオン水を生成する装置と、ナノマイクロバブルの製造と洗浄とを行うシステムとを開示している。しかしながら、上記の特許出願は衣類の洗濯には使用されず、ガラス、サファイア、シリコン、金属、電子部品、セラミック、及びウェハー等の無機物又はプロセス物体の洗浄に使用されるが、洗濯液又は化学洗剤を使用しない衣類洗濯用途のための技術躍進の基礎を築いている。
【発明の概要】
【0006】
幾つかの実施の形態において、本開示は、調整ユニットと、電解ユニットと、第1の流体循環ユニットと、ナノマイクロバブル生成ユニットと、第2の流体循環ユニットと、洗浄ユニットとを備える衣類洗濯システムを提供する。前記電解ユニットは前記調整ユニットと流体連通する。前記第1の流体循環ユニットは、前記調整ユニット及び前記電解ユニットに接続される。前記ナノマイクロバブル生成ユニットは前記調整ユニットと流体連通する。前記第2の流体循環ユニットは、前記調整ユニット及び前記ナノマイクロバブル生成ユニットに接続される。前記洗浄ユニットは前記調整ユニットと流体連通する。
【0007】
幾つかの実施の形態において、本開示は、外部流体を受け取るように構成される第1のユニットと、電解を行うように構成される第2のユニットと、前記流体を前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間で循環させるように構成される第3のユニットと、前記第1のユニットと流体連通し、ナノマイクロバブルを生成するように構成される第4のユニットと、前記流体を前記第1のユニットと前記第4のユニットとの間で循環させるように構成される第5のユニットとを備える、ナノマイクロバブルイオン水を生成する装置を提供する。
【0008】
幾つかの実施の形態において、本開示は、外部からの流体を調整ユニット内に提供することと、前記調整ユニット内の前記流体を電解のために電解ユニットに移送し、前記電解流体を前記電解ユニットから前記調整ユニットに移送する第1の流体循環を行うことと、前記電解流体を、該流体内に複数のナノマイクロバブルを生成するために前記調整ユニットからナノマイクロバブル生成ユニットに移送し、前記複数のナノマイクロバブルを含む前記流体を前記ナノマイクロバブル生成ユニットから前記調整ユニットに移送する第2の流体循環を行うことと、前記複数のナノマイクロバブルを含む前記流体を前記調整ユニットから洗浄ユニットに移送することと、を含む、衣服を洗濯する方法を提供する。
【0009】
下記の本開示の詳細な説明をより良く理解することができるように、上記には本開示の技術的特徴を極めて広範に要約した。本開示の特許出願の範囲を構成する他の技術的特徴を下記において説明する。本開示の分野における当業者は、本開示と同じ目的を達成するように他の構造又はプロセスを修正又は設計するために、下記に開示する構想及び具体的な実施形態を非常に容易に使用することができることを理解する。また、本開示の分野における当業者は、そのような等価な構成が、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨及び範囲から逸脱し得ないことも理解する。
【0010】
以下の実施形態及び添付の図面から本開示の態様がより良く理解されるであろう。業界標準の慣例に従い、様々な特徴が実寸大で描かれていないことに留意すべきである。実際、説明を明確にするため、様々な特徴のサイズを恣意的に拡大又は縮小している場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る衣類洗濯システムの概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るナノマイクロバブル生成ユニットの概略図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る衣服を洗濯する方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態に係る衣類予備洗濯方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態に係る衣類予備洗濯方法のフローチャートである。
【
図6A】ナノイオン水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図6B】ナノイオン水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図6C】ナノイオン水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図7A】ナノマイクロバブル水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図7B】ナノマイクロバブル水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図7C】ナノマイクロバブル水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図7D】ナノマイクロバブル水の汚れ洗浄能力の概略図である。
【
図8】本開示の水素ナノマイクロバブルシステムと従来の外部ガスナノマイクロバブルシステムとの酸化還元電位(ORP)の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の目的、特徴、及び効果を理解してもらうために、図面の記載を参照しながら具体的な実施形態を使用して本開示について下記に詳細に説明する。
【0013】
本明細書に開示する具体的な構造及び機能的詳細は、代表例にすぎず、本開示の例示的な実施形態について説明することを意図したものである。ただし、本開示は、多くの代替形態で具体的に実施してもよく、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0014】
本開示の説明において、「陰極」、「負極」、「陽極」、「正極」、「アルカリイオン」、「水酸化物イオン」等の用語によって示される電気化学及び物理学の術語は、本開示に基づいた統一的な記述であり、本開示の説明を助け、説明を簡単にするためのものにすぎず、説明の字面通りの本質的な解釈を指定する又は狭めるものではないため、本開示を限定するものとして解釈するべきではないことが理解されるべきである。加えて、「第1の」及び「第2の」という用語は、説明のために使用されるにすぎず、示される技術的特徴の相対的な重要性を示唆若しくは暗示するもの、又はその量を暗示するものとして解釈するべきではない。したがって、「第1の」及び「第2の」を定義する特徴は、1つ以上のそのような特徴を明示的又は暗示的に含み得る。本明細書の説明において、別段の指示がない限り、「複数の」は2つ以上を意味する。加えて、「含む」、「備える」及びその任意の変形は、非排他的な包含を対象とすることを意図する。
【0015】
加えて、説明の便宜のために、空間的に相対的な用語(「下方(below)」、「下(under, down)」、「上方(above)」、「上(up, over)」等)は、本開示において、図に示すように、或るアセンブリ又は構成要素と別のアセンブリ(複数のアセンブリ)又は構成要素(複数の構成要素)との間の関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示す向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することも意図している。装置は他の方向に向けることができ(90度又は他の向きに回転)、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子も、それに応じて解釈され得る。
【0016】
本明細書において使用される場合、「ほぼ(approximately)」、「実質的に(substantially)」、「本質的に(essentially)」、及び「約(about)」という用語は、小さな変動を記載及び説明するために使用される。或る事象又は状況に関連して使用される場合、これらの用語は、事象又は状況が正確に発生する事例、及び事象又は状況が極めて近似的に発生する事例を示すことができる。例えば、或る値に関連して使用される場合、上記の用語は、その値の±10%以下の変動範囲、例えば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下を伴うことができる。例えば、2つの値の差が、これらの値の平均値の±10%以下(例えば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下)であるとき、これらの値を「実質的に」同じ又は等しいとみなすことができる。例えば、「実質的に」平行は、0度に対する角度の変動範囲が±10度以下、例えば、±5度以下、±4度以下、±3度以下、±2度以下、±1度以下、±0.5度以下、±0.1度以下、±0.05度以下を伴うことができる。例えば、「実質的に」垂直は、90度に対する角度の変動範囲が±10度以下、例えば、±5度以下、±4度以下、±3度以下、±2度以下、±1度以下、±0.5度以下、±0.1度以下、±0.05度以下を伴うことができる。
【0017】
ナノマイクロバブルとは、肉眼では直接視認できないほど小さく、極めて特殊な物理的特性及び化学的特性を有する泡である。現在では、1μm未満のファインバブルがナノマイクロバブルとして定義されており、ナノマイクロバブルは、(圧力、温度、放出、蒸発、分解、様々な反応等に関して)極めて特殊な物理的特性及び化学的特性を有する。ナノマイクロバブルは、現在では、洗浄、水処理、農業/植物栽培、医療/薬品、化学、食料/飲料、化粧品、液晶/半導体/太陽電池の製造、新材料の製造等において幅広く使用されている。
【0018】
本開示は、ナノマイクロバブルイオン水を使用する衣類洗濯システム及び洗濯方法を提供する。本システム及び方法は、化学洗剤の使用が不要になるだけでなく、より特殊なことに、スケール除去システムと汚れ付き衣服の特質に関する動作パラメーターとを研究することにより、ナノイオン水の洗浄能力、ナノマイクロバブル水の洗浄能力、及び2つの洗浄能力の相互作用によって、効率的で環境にやさしい除染効果を得ることもできる。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態に係る衣類洗濯システム100の概略図である。
図1に示すように、衣類洗濯システム100は、調整ユニット1と、電解ユニット2と、ナノマイクロバブル生成ユニット3と、洗浄ユニット4と、第1の流体循環ユニット101と、第2の流体循環ユニット102とを備える。本開示の幾つかの実施形態において、調整ユニット1は、流体を外部から受け取って流体を貯留するように構成される調整槽を備える。調整ユニット1は流体入口10を有する。流体入口10は外部流体源(開示せず)に接続することができ、外部からの流体は、外部流体源から流体入口10を通して調整ユニット1に流入することができる。本開示の幾つかの実施形態において、外部流体源は水道水源を含み、外部からの流体は水道水を含む。
【0020】
電解ユニット2は、調整ユニット1と流体連通し、電解ユニット2は電解を行うように構成される。本開示の幾つかの実施形態において、電解ユニット2は、負極を備える陰極電解セル21と、正極を備える陽極電解セル22と、陰極電解セル21と陽極電解セル22との間に位置し、陰極電解セル21と陽極電解セル22と間で流体が循環することを防止するように構成される防水性イオン交換膜23とを備える。本開示の幾つかの実施形態において、陰極電解セル21は、調整ユニット1から流体を受け取り、流体に対して電解を行うように構成される。電解ユニット2によって行われる電解により、水のpH値及び酸化還元電位(ORP)が電解方式で変化し、その後、水が分解されてO2及びH2を産出する。陰極電解セル21における半反応式は、2H2O+2e-=2OH-+H2であり、式中、酸化物イオン(OH-)は、還元力を有するアルカリイオンである。したがって、陰極電解セル21は、内部に注入された水道水を電解して、水酸化物イオンを含むアルカリ電解イオン水及び水素ミクロンバブルを産出することができる。
【0021】
第1の流体循環ユニット101は、調整ユニット1及び電解ユニット2に接続される。第1の流体循環ユニット101は、調整ユニット1内に投入された流体を電解ユニット2に移送するとともに、電解ユニット2内に投入された流体を調整ユニット1に移送するように構成される。換言すれば、第1の流体循環ユニット101は、第1の流体循環ユニット101、調整ユニット1、及び電解ユニット2が共に流体循環経路を形成することができるように、流体を調整ユニット1と電解ユニット2との間で循環するように構成される。本開示の幾つかの実施形態において、第1の流体循環ユニット101は、流体を移送する動力としてポンプを使用する。
【0022】
上記によれば、水道水は、調整ユニット1の流体入口10から調整ユニット1に注入することができ、調整ユニット1への水道水の注入は、注入される水道水が目標水位に達するまで止まらない。その後、第1の流体循環ユニット101が起動し、水道水が陰極電解セル21における特定の液位に達するまで、調整ユニット1内の水道水を電解ユニット2の陰極電解セル21に引き抜き、次に、電解ユニット2が起動し、水道水に対して電解を行う。
【0023】
電解ユニット2が或る期間にわたって電解を行った後、陰極電解セル21は、注入された水道水を電解し、水酸化物イオンを含むアルカリ電解イオン水及び水素ミクロンバブルを産出する。その後、第1の流体循環ユニット101が起動し、陰極電解セル21における電解によって生成された水酸化物イオンを含むアルカリ電解イオン水及び水素ミクロンバブルを調整ユニット1に返送する。電解のために第1の流体循環ユニット101を通して調整ユニット1内の流体を電解ユニット2に移送し、次に第1の流体循環ユニット101を通して電解流体を電解ユニット2から調整ユニット1に返送する上記プロセスは、第1の流体循環である。第1の流体循環を複数回経ると、陰極電解セル21は、ナノアルカリ電解イオン水も産出する。ナノアルカリ電解イオン水は4つ~6つのH2O分子を有し、陰極電解セル21内のpH値は10~13である。
【0024】
図1を再び参照すると、ナノマイクロバブル生成ユニット3は調整ユニット1と流体連通し、ナノマイクロバブル生成ユニット3は、流体にナノサイズのマイクロバブルを生成させるように構成される。本開示の幾つかの実施形態において、ナノマイクロバブル生成ユニット3は、内部で高圧機械切断アセンブリを使用する。高圧機械切断アセンブリは、ナノマイクロバブル生成ユニット3内に注入された流体内のガス(泡)を切断して、より小さいナノサイズのマイクロバブルを作り、外部のエネルギー源なしで流体内のナノマイクロバブルを保持することができる。
【0025】
本開示の幾つかの実施形態において、ナノマイクロバブル生成ユニット3は、流体入口30を有することができる。流体入口30は外部流体源(開示せず)に接続することができ、外部からの流体は、外部流体源から流体入口30を通して調整ユニット3に流入することができる。本開示の幾つかの実施形態において、外部流体源は水道水源を含み、外部からの流体は水道水を含む。したがって、ナノマイクロバブル生成ユニット3には、流体入口30を通して注入された外部流体(例えば、水道水)を有することができ、そして、空気等の外部ガスを導入することもできるし、オゾン発生器の注入装置からオゾンを導入することもできる。次に、外部ガス及び外部流体は、ナノマイクロバブル生成ユニット3内でナノマイクロバブルを生成することができる。
【0026】
第2の流体循環ユニット102は、調整ユニット1及びナノマイクロバブル生成ユニット3に接続される。第2の流体循環ユニット102は、調整ユニット1に投入された流体をナノマイクロバブル生成ユニット3に移送するとともに、ナノマイクロバブル生成ユニット3内に投入された流体を調整ユニット1に移送するように構成される。換言すれば、第2の流体循環ユニット102は、第2の流体循環ユニット102、調整ユニット1、及びナノマイクロバブル生成ユニット3が共に流体循環経路を形成することができるように、流体を調整ユニット1とナノマイクロバブル生成ユニット3との間で循環するように構成される。本開示の幾つかの実施形態において、第2の流体循環ユニット102は、流体を移送する動力としてポンプを使用する。
【0027】
上記によれば、電解ユニット2内の電解によって生成され、調整ユニット1内に貯留されたアルカリ電解イオン水及び水素ミクロンバブルは、第2の流体循環ユニット102によって調整ユニット1からナノマイクロバブル生成ユニット3に移送することができる。ナノマイクロバブル生成ユニット3は、水素ミクロンバブルを切断して、より小さい水素ナノマイクロバブルを作り、水素ナノマイクロバブルを電解イオン水の中で維持することができる。その後、第2の流体循環ユニット102は、水素ナノマイクロバブルを含むイオン水をナノマイクロバブル生成ユニット3から調整ユニット1に移送する。ナノマイクロバブルを生成するために第2の流体循環ユニット102を通して調整ユニット1内のマイクロバブルを含む流体をナノマイクロバブル生成ユニット3に移送し、次に第2の流体循環ユニット102を通して、上記プロセスに供されてナノマイクロバブルを含む流体をナノマイクロバブル生成ユニット3から調整ユニット1に返送する上記プロセスは、第2の流体循環である。第2の流体循環を複数回経ると、調整ユニット1内の流体に含まれるナノマイクロバブルの数及び濃度は、特定の程度まで増大させることができる。
【0028】
図1を再び参照すると、洗浄ユニット4は、パイプライン13を通して調整ユニット1と流体連通し、これにより、洗浄ユニット4は、調整ユニット1から流体を受け取ることができる。本開示の幾つかの実施形態において、パイプライン13は、流体入口130と流体連通することができ、したがって、外部流体は、流体入口130を通してパイプライン13に入ることができる。本開示の幾つかの実施形態において、洗浄ユニット4は洗浄槽を備える。洗浄ユニット4は、洗濯対象の衣服を収容することができる。第2の流体循環を複数回経ると、調整ユニット1内の流体(例えば、水素ナノマイクロバブルを含むイオン水)に含まれるナノマイクロバブルの数及び濃度は、特定の程度まで増大させることができる。ナノマイクロバブルを含む流体は、調整ユニット1から洗浄ユニット4へと注入することができ、ナノマイクロバブルを含む流体を、衣服を洗濯する衣類洗濯用の洗濯液として使用することができる。加えて、洗浄ユニット4は、余分な又は使用済みの洗濯液を排出するように構成された排出パイプライン42を備える。
【0029】
本開示の幾つかの実施形態において、洗浄ユニット4は、パイプライン39を通してナノマイクロバブル生成ユニット3と流体連通することができる。したがって、洗浄ユニット4は、パイプライン39を通してナノマイクロバブル生成ユニット3から流体を受け取ることができる。換言すれば、ナノマイクロバブル生成ユニット3によって生成されたナノマイクロバブルを含む流体は、洗浄ユニット4に直接移送することができる。
【0030】
加えて、衣類洗濯システム100は、検出ユニット16と、加温ユニット17と、水素処理ユニット18とを備える。検出ユニット16は、調整ユニット1、電解ユニット2、及びナノマイクロバブル生成ユニット3に接続することができ、その主な機能は、水素ナノマイクロバブルの数、pH値、ORP、温度、導電性等を含む、調整ユニット1、電解ユニット2、及びナノマイクロバブル生成ユニット3等の装置又は槽におけるパラメーター及び値を検出することであり、これにより、調整ユニット1から引き抜かれて洗浄ユニット4に注入される洗濯液の状態及び組成が、最適化された洗濯効果を実現することができる。
【0031】
加温ユニット17は、調整ユニット1内に設置され、調整ユニット1内に投入された流体を加熱するように構成される。水素処理ユニット18も調整ユニット1内に設置される。電解ユニット2によって生成された(水素)バブルと、ナノマイクロバブル生成ユニット3を通過したがナノマイクロバブルになっていない残りの酸素とは、水素処理ユニット18を通過し、水素処理ユニット18は、余分な水素を排出することにより、水素濃度を安全なレベルに下げる。
【0032】
上記の最適化された洗濯効果を実現するために、検出ユニット16は、水素処理装置8、加温装置7、第1の流体循環ユニット101、第2の流体循環ユニット102等のための起動及び停止命令並びに制御を更に含む。制御及び命令の発出は、検出装置5によって報告及び検出されるパラメーター及び値に基づく応答である。
【0033】
制御及び命令の発出のために、検出ユニット16は、好ましくは、外部の水素ガスを使用することなく、電解ユニット2によって継続的に生成される水素マイクロバブルの数を、水素ナノマイクロバブルを生成するためのナノマイクロバブル生成ユニット3のニーズに適合することを可能にする。さらに、第1の流体循環ユニット101の引き抜きポンプは、検出ユニット16によって制御され、これにより、電解ユニット2を離れる流体は調整ユニット1に戻り、水素マイクロバブルの濃度が徐々に目標濃度まで上昇する。その後、水素マイクロバブルの濃度が上昇した流体は、第2の流体循環装置52の引き抜きポンプを使用して、調整ユニット1からナノマイクロバブル生成ユニット3へと引き抜かれ、水素ナノマイクロバブルが製造される。
【0034】
検出ユニット16は、漏れる水素ガスの量に対して安全管理及び制御を更に行う。洗濯液の循環時に、極めて少ない大きな水素バブルが陰極電解セル21又は調整ユニット1内の液面から漏れ出ることは避けられない。検出装置6は、漏れる水素の濃度を検出し、漏れる水素を更に収集し、水素処理装置によって、漏れる水素を空気又は他の不活性ガスで少なくとも500倍以上、又は0.2%未満の安全閾値まで希釈する。
【0035】
検出ユニット16は、調整ユニット1内の流体に対して温度管理及び制御も行い、パラメーター目標の温度範囲に従って温度を200℃~800℃に維持する。流体の実際の温度がパラメーター目標範囲よりも低い場合、加温装置7を使用して流体をパラメーター目標範囲まで加熱する。
【0036】
第2の流体循環を複数回経ると、調整ユニット1内の流体(例えば、水素ナノマイクロバブルを含むイオン水)に含まれるナノマイクロバブルの数及び濃度は、継続的に増加する。検出ユニット16は、調整ユニット1内のナノマイクロバブルを含む流体の検出パラメーターが全てパラメーター目標に達したことを検出すると、洗浄ユニット4に対する調整ユニット1の入力を制御することができ、これにより、ナノマイクロバブルを含む流体は、洗浄ユニットに注入され始め、注入流体が特定の液位に達したら、洗浄ステップが始まる。上記のパラメーター目標としては、少なくとも、11~13のpH値、-500mV~-900mVのORP、5mS/cm~10mS/cmの導電性、及び20℃~80℃の温度が挙げられる。
【0037】
要約すると、本開示の衣類洗濯システム100は、ナノマイクロバブルイオン水を生成する装置と、衣服を洗濯する洗浄装置とを備えるものとしてみなすことができる。ナノマイクロバブルイオン水を生成する装置には、調整ユニット1、電解ユニット2、ナノマイクロバブル生成ユニット3、第1の流体循環ユニット101、第2の流体循環ユニット102、検出ユニット16、加温ユニット17、及び水素処理ユニット18が含まれ得る。さらに、衣服を洗濯する洗浄装置には洗浄ユニット4が含まれ得る。
【0038】
図2は、本開示の一実施形態に係るナノマイクロバブル生成ユニット3の概略図である。
図2に示すように、ナノマイクロバブル生成ユニット3は、流体入口端部31と、外部ガス入口端部32と、複数の水流可変速度領域を有する気液混合セクション33と、気液回転加圧セクション34と、ナノマイクロバブル機械切断セクション35と、流体出口端部36とを備える。
【0039】
幾つかの実施形態において、流体入口端部31は、第2の流体循環ユニット102に接続される。このようにして、ナノマイクロバブル生成ユニット3は、流体入口端部31を通して、マイクロバブルを含む流体(例えば、水素ミクロンバブルを含む電解イオン水)を調整ユニット1から第2の流体循環ユニット102に導入することができる。マイクロバブルを含む流体が、流体入口端部31を通して気液混合セクション33に入ると、このセクションにおいて流体及びマイクロバブルがボルテックス式に混合された後、気液回転加圧セクション34に入る。気液回転加圧セクション34において、ボルテックス式に混合されたマイクロバブル及び流体は、機械回転によって加圧された後、ナノマイクロバブル機械切断セクション35に入る。ナノマイクロバブル機械切断セクション35において、加圧によって溶解した気液混合流体は、高速回転するナノマイクロバブル機械切断セクション35のパイプ内カッター351と共にせん断作用を生むことにより、ナノマイクロバブルが形成される。バブルの直径は、500nm未満、好ましくは、50nm~200nmである。最後に、上記プロセスを通して生成されたナノマイクロバブルを含む流体は、流体出口端部36を通してナノマイクロバブル生成ユニット3から搬出される。上記の実施形態によれば、上記の方法を使用してナノマイクロバブルが産出される場合、外部水素源等の外部からガスを導入することは不要である。加えて、電解によって生成される水素バブルの体積が相対的に小さいことから、水素ナノマイクロバブルは、比較的高い産出効率でより安全な方法で生成される。
【0040】
本開示の幾つかの実施形態において、流体入口端部31は、外部流体源に接続して、外部から流体(例えば、水道水)を受け取ることができる。流体入口端部31が外部流体をナノマイクロバブル生成ユニット3に導入するとき、外部ガス入口端部32は、外部ガスをナノマイクロバブル生成ユニット3に同時に導入することができる。外部流体及び外部ガスが気液混合セクション33に入ると、このセクションにおいて外部流体及び外部ガスがボルテックス式に混合された後、気液回転加圧セクション34に入る。気液回転加圧セクション34において、ボルテックス式に混合された気液混合流体は、機械回転によって加圧された後、ナノマイクロバブル機械切断セクション35に入る。ナノマイクロバブル機械切断セクション35において、加圧によって溶解した気液混合流体は、高速回転するナノマイクロバブル機械切断セクション35のパイプ内カッターと共にせん断作用を生むことにより、ナノマイクロバブルが形成される。バブルの直径は、500nm未満、好ましくは、50nm~200nmである。最後に、上記プロセスを通して生成されたナノマイクロバブルを含む流体は、流体出口端部36を通してナノマイクロバブル生成ユニット3から搬出される。本開示の幾つかの実施形態において、このようにして産出されたナノマイクロバブルを含む流体を予備洗濯用の洗濯液として使用することができ、衣服を正式に洗濯する前にこの流体を洗浄ユニット4に導入して、洗浄ユニット4内の衣服を予備洗濯することができる。
【0041】
泡の体積と表面積との間の関係は、以下の定式によって表すことができる。
泡の体積の式は、V=4π/3r3であり、泡の表面積の式は、A=4πr2であり、2つの式を併合するとA=3V/r、すなわち、V(total)=nA=3V(total)/rを得ることができる。
【0042】
換言すれば、総体積(Vtotal)が一定であるとき、泡の総表面積は、個々の泡の直径に反比例する。
【0043】
上記の式によれば、10ミクロンの泡と1mmの泡とを比較すると、特定の体積において、前者の比表面積は、理論上では後者の100倍であり、すなわち、気液接触面積が100倍大きく、様々な反応速度も100倍大きい。
【0044】
さらに、ストークスの定理によれば、水中の泡の上昇速度は、泡の直径の二乗に比例し、泡の直径が小さくなるほど、泡の上昇速度は遅くなる。直径1mmの泡の水中での上昇速度は6mm/分であるのに対し、直径10μmの泡の水中での上昇速度は3μm/分である。前者の上昇速度は後者の2000倍である。比表面積の増大を考慮すると、流体内のナノマイクロバブルの保持容量は、通常の空気中と比して200000(100*2000)倍増大する。
【0045】
さらに、ナノマイクロバブルの表面に対する負電荷強度は、泡のサイズに依存するのみならず、泡のガスタイプにも関係があり、水素をナノマイクロバブルガスとして使用するナノマイクロバブルの表面電荷は比較的高い。pH値を特定の値に維持する場合、水素ナノマイクロバブルは、極めて低いORPを得ることができ、洗浄能力を改善することができる。例えば、pH値が12~12.5であるとき、ナノイオン水のORPは約-50mV~-150mVであり、水素ナノマイクロバブル(ナノマイクロバブル電解イオン水)のORPは、より好ましくは、-500mV~-900mVまで低下する。
【0046】
調整ユニット1内のナノイオン水及び水素ナノマイクロバブル洗濯液の調製例については表1を参照されたい。
【0047】
【0048】
図3は、本開示の一実施形態に係る衣服を洗濯する方法5のフローチャートである。本開示の幾つかの実施形態において、衣服を洗濯する方法5は、ステップ51と、ステップ52と、ステップ53と、ステップ54と、ステップ55と、ステップ56と、ステップ57と、ステップ58と、ステップ59とを含む。
【0049】
ステップ51において、使用者は、衣類洗濯システム100の目標パラメーターを設定し、衣類洗濯システムを起動することができる。パラメーター設定及び起動後、調整ユニット1の流体入口10は、水道水を調整ユニット1に注入し、調整ユニット1内に収容される水道水が目標水体積に達したと検出ユニット16が検出するまで注入を続けることができ、その後、水道水の注入を止める制御が行われる。
【0050】
ステップ52において、第1の流体循環ユニット101が起動して、水道水が陰極電解セル21内の特定の液位に達するまで、調整ユニット1内の水道水を電解ユニット2の陰極電解セル21まで引き抜く。
【0051】
ステップ53において、電解ユニット2は電解を行い、これにより、注入した水道水は電解されて、水素ミクロンバブルと水酸化物イオンを含むアルカリ電解水とが産出される。その後、第1の流体循環ユニット101は、電解によって生成された水酸化物イオンを含むアルカリ電解水と水素ミクロンバブルとを電解ユニット2から調整ユニット1に移送する。本開示の幾つかの実施形態において、電解パラメーターは、検出ユニット16によって同時に監視され、監視される項目としては、電流、電圧、水流量、陽極電解セル22内の電解質濃度等が挙げられる。
【0052】
ステップ52及びステップ53は、上記の第1の流体循環であり、本開示の幾つかの実施形態において、ステップ52及びステップ53は、複数回繰り返すことができる。
【0053】
ステップ54において、第2の流体循環装置52が起動して、調整ユニット1から、電解ユニット2によって継続的に産出され、調整ユニット1に返送されたアルカリ電解水及び水素ミクロンバブルを引き抜き、ナノマイクロバブル生成ユニット3に注入する。
【0054】
ステップ55において、ナノマイクロバブル生成ユニット3内の高圧機械切断アセンブリが、ナノマイクロバブル生成ユニット3に注入された水素マイクロバブルを切断して、より小さい水素ナノマイクロバブルを作り、その後、第2の流体循環装置52は、ナノマイクロバブル生成ユニット3によって生成された水素ナノマイクロバブルを含む流体をナノマイクロバブル生成ユニット3から調整ユニット1に注入する。
【0055】
ステップ54及びステップ55は、上記の第2の流体循環であり、本開示の幾つかの実施形態において、ステップ54及びステップ55は、複数回繰り返すことができる。
【0056】
本開示の幾つかの実施形態において、ステップ54及び/又はステップ55において、加温装置7が起動して、パラメーター目標に従って、調整ユニット1内の流体(例えば、水素ミクロンバブルを含む電解水、又は水素ナノマイクロバブルを含む電解水)を、目標温度範囲まで加温することができる。目標温度範囲は、検出ユニット16によって監視され、好ましくは20℃~80℃である。
【0057】
本開示の幾つかの実施形態において、ステップ54及び/又はステップ55において、水素処理装置8が起動して、ナノマイクロバブル生成ユニット3によってナノマイクロバブルへと完全には変換されていない水素を、調整ユニット1において少なくとも500倍以上(又は0.2%未満の濃度まで)希釈し、安全な水準に達したら水素を調整ユニット1から排出することができる。
【0058】
ステップ56において、検出ユニット16は、調整ユニット1内に収容された水素ナノマイクロバブルを含む電解水の様々なパラメーターが、洗濯液として使用するための設定目標に達したかどうかを検出する。本開示の幾つかの実施形態において、洗濯液として使用するための設定目標としては、11~13のpH値、-500mV~-900mVのORP、5mS/cm~10mS/cmの導電性、及び20℃~80℃の温度が挙げられる。調整ユニット1内に収容された水素ナノマイクロバブルを含む電解水の様々なパラメーターが設定目標に達している場合、手順は次のステップに進む。調整ユニット1内に収容された水素ナノマイクロバブルを含む電解水の様々なパラメーターが設定目標に達していない場合、ステップ52、ステップ53、及びステップ54及び/又はステップ55を再び行う。
【0059】
ステップ57において、設定目標に達した洗濯液は、洗浄ユニット4に注入されて衣服を洗濯する。このステップにおいて、水素の含有量は0.5ppm~2ppmであり、水素ナノマイクロバブルの数は10億粒子/ml~50億粒子/mlであり、水素バブルの直径は100nm~500nmの範囲である。
【0060】
ステップ58において、洗浄ユニット4におけるパラメーターが洗浄パラメーター目標を満たすかどうかが判断される。洗浄パラメーター目標に達している場合は、手順は次のステップに進み、洗浄パラメーター目標に達していない場合は、ステップ57を再び行う。
【0061】
ステップ59において、洗浄ステップが完了した後、洗濯液は洗浄ユニット4の排出ライン42を通して排出され、その後、脱水又はすすぎ水の注入が行われる。すすぎ水は水道水であり、洗浄槽8の直接入力端部から注入されるか、又はナノマイクロバブル生成ユニット3を通過してナノマイクロバブルを含んだ後に洗浄ユニット4に注入される。しかしながら、後者はナノマイクロバブルを含むことから、直接注入された水道水よりも洗浄能力が高く、すすぎ時間が短く、すすぎ回数が少ないものであり得る。
【0062】
幾つかの異なるタイプの洗濯液を使用することによる洗浄後の検出結果の例については表2を参照されたい。
【0063】
【0064】
図3に示す衣服を洗濯する方法5を行う前に、洗浄ユニット4内に載置された洗濯対象の衣服に対して衣類予備洗濯手順を先に行ってもよい。
図4は、本開示の一実施形態に係る衣類予備洗濯方法6のフローチャートである。本開示の幾つかの実施形態において、衣類予備洗濯方法6は、ステップ61と、ステップ62と、ステップ63とを含む。
【0065】
ステップ61において、外部水道水及び外部空気又はオゾンをナノマイクロバブル生成ユニット3に注入することができる。
【0066】
ステップ62において、ナノマイクロバブル生成ユニット3が起動して、注入した水道水及び外部ガスからナノマイクロバブルを含む流体を産出する。
【0067】
ステップ63において、ナノマイクロバブル生成ユニット3によって生産されたナノマイクロバブルを有する流体を、洗浄ユニット4に注入して、洗浄ユニット4内に載置された衣服に対して予備洗濯手順を行う。
【0068】
図5は、本開示の一実施形態に係る別の衣類予備洗濯方法7のフローチャートである。本開示の幾つかの実施形態において、衣類予備洗濯方法7は、ステップ71と、ステップ72と、ステップ73と、ステップ75と、ステップ76とを含む。
【0069】
ステップ71において、外部水道水を調整ユニット1に注入することができる。
【0070】
ステップ72において、第1の流体循環ユニット101が起動して、調整ユニット1内の水道水を電解ユニット2の陰極電解セル21へと引き抜く。
【0071】
ステップ73において、電解ユニット2は電解を行い、これにより、注入した水道水は電解されて、水素ミクロンバブルと水酸化物イオンを含むアルカリ電解水とが産出される。その後、第1の流体循環ユニット101は、電解によって生成された水酸化物イオンを含むアルカリ電解水と水素ミクロンバブルとを電解ユニット2から調整ユニット1に移送する。
【0072】
ステップ74において、第2の流体循環装置52が起動して、調整ユニット1から、電解ユニット2によって継続的に産出され、調整ユニット1に返送されたアルカリ電解水及び水素ミクロンバブルを引き抜き、ナノマイクロバブル生成ユニット3に注入する。
【0073】
ステップ75において、ナノマイクロバブル生成ユニット3内の高圧機械切断アセンブリが、ナノマイクロバブル生成ユニット3に注入された水素マイクロバブルを切断して、より小さい水素ナノマイクロバブルを作る。
【0074】
ステップ76において、ナノマイクロバブル生成ユニット3によって生産されたナノマイクロバブルを有する流体を洗浄ユニット4に注入して、洗浄ユニット4内に載置された衣服に対して予備洗濯手順を行う。
【0075】
上記の予備洗濯方法6及び7は、洗浄効果を改善するとともに、洗浄時間及び洗濯液の使用量を削減する所定のステップにおいて使用することができる。
【0076】
ナノイオン水の洗浄能力に関しては、
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照すると、
図6Aにおいて汚れ81は物体(すなわち、衣類80)の表面に付着しており、ナノイオン水の微細特質によって、水酸化物イオン83は、汚れ81の表面に迅速に拡散し、高い浸透及び拡散率で汚れ81と衣類80との間の界面に浸透する(簡潔に「浸透」という)。さらに、
図6Bにおける水酸化物イオン83は汚れ81を囲み、これにより、汚れ81と衣類80との間の負電荷と、汚れ81と汚れ81との間の負電荷とが反発して離れ、汚れ81が衣類80の界面から脱着し、脱着した水酸化物イオン83が汚れ81を囲み、水中で独立して浮遊し、洗浄衣服の表面に影響を及ぼし得ない(簡潔に「剥離」という)。
図6Cにおける汚れ81は、水酸化物イオン83が汚れ81の油又はタンパク質を分解することができることから崩壊する(簡潔に「アルカリ化」という)。したがって、ナノイオンのスケール除去機能は、浸透、剥離、アルカリ化等のメカニズムが合わさることで実施される。
【0077】
水酸化物イオン又はアルカリ電解水のpH値は、電解時間に比例し、ORP及び導電性濃度に反比例する。ORPから、水酸化物イオンは還元力を有し、水酸化物イオンの還元力はORPの減少に伴って上昇することが分かる。一般的な水道水の核磁気共鳴(NMR)O17スペクトルをアルカリ電解水と比較すると、アルカリ電解水の半値幅は、一般的な水道水よりも小さい場合、これは、アルカリ電解水の水分子クラスターが一般的な水道水よりも小さいことを意味することを見出すことができる。
【0078】
ナノマイクロバブルの洗浄能力に関しては、
図7A、
図7B、
図7C、及び
図7Dを参照すると、
図7Aにおける水中のナノマイクロバブル91によって形成された気液界面は、H
+及びOH
-を受容しやすいという特性を有し、一般的に、陰イオンよりも陽イオンの方が気液界面を離れることが容易であるため、界面は負電荷であることが多い。
図7Bは、ナノマイクロバブル91が媒体の対イオン、特に高原子価の対イオンを吸着することで、安定した電気二重層構造を形成する傾向にあることを明らかにしている。
図7Cにおける負電荷のナノマイクロバブル91は、汚れ90に浸透しやすく、汚れ90は、電気二重層構造によって分解及び分離される。
図7Dにおけるナノマイクロバブル91は、例えば、水素である。ストークスの定理によれば、水中の泡の上昇速度は、泡の直径の二乗に比例する。泡の直径が小さくなるほど、泡の上昇速度は遅くなる。直径1mmの大きな泡の水中での上昇速度は6mm/分であるのに対し、直径10μmの小さな泡の水中での上昇速度は3μm/分である。小さな泡の上昇速度は大きな泡の1/2000であり、ナノマイクロバブルの上昇速度はより遅い。上昇速度が極めて遅く溶解度が高いという特質は、洗濯プロセス時にナノマイクロバブルが洗濯液内に留まる一助になり、泡の数及び泡の直径の変化及び差は容易には現れない。
図7Dに示すナノマイクロバブル91は、上昇速度が遅く、水中に存在できる時間が長い。ミクロンバブル92はナノマイクロバブル91よりも上昇が速く、水中に存在できる時間がより短い。一般的なサイズを有するバブル93は、上昇が最も速く、水中に存在できる時間が最も短い。
【0079】
図8を参照すると、本開示の一実施形態において、ナノイオン水を使用して電解ユニット2内の電解後に水素マイクロバブルを生成し、その後、ナノマイクロバブル生成ユニット3を通して水素ナノマイクロバブルを生成する事例の方が、外部水素源を使用するよりも効率的で生成速度が速い。外部水素源は、本開示における電解後に生成される水素マイクロバブルを別個に使用するのではなく、ナノマイクロバブルシステム内でバブルを生成するための主なガスとして使用されることから、空気中に漏れる水素の量が多く、比較的安全ではない。
【0080】
本開示のナノマイクロバブルシステムにおいて、循環システムが停止し、超音波装置が起動した場合、マイクロバブルは迅速に消えるものの、液相におけるナノイオン水の水素の含有量は依然として0.8ppmを上回ったままである。洗浄プロセス時、本開示のナノマイクロバブルは、十分な水準を維持し続け、検出されるORPも高い負値を示し、これは、水中のナノマイクロバブルの含有量が常に高水準に維持されることを意味する。
【0081】
幾つかの実施形態の特徴を上記に要約した。これにより、当業者は本開示の態様をより良く理解することができる。当業者は、本明細書において紹介した実施形態の同じ目的を実施し及び/又は同じ利点を実現するために他のプロセス又は構造を設計又は修正するための基礎として本開示を容易に使用することができることを理解する。また、当業者は、これらの等価な構造が本開示の趣旨及び範囲から逸脱するべきでないことを認識し、本明細書において様々な変更、置換及び修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
1 調整ユニット
2 電解ユニット
3 ナノマイクロバブル生成ユニット
4 洗浄ユニット
5 衣服を洗濯する方法
6 予備洗浄方法
7 予備洗浄方法
10 流体入口
13 パイプライン
16 検出ユニット
17 加温ユニット
18 水素処理ユニット
21 陰極電解セル
22 陽極電解セル
23 イオン交換膜
30 流体入口
31 流体入口端部
32 外部ガス入口端部
33 気液混合セクション
34 気液回転加圧セクション
35 ナノマイクロバブル機械切断セクション
36 流体出口端部
39 パイプライン
42 排出パイプライン
51 ステップ
52 ステップ
53 ステップ
54 ステップ
55 ステップ
56 ステップ
57 ステップ
58 ステップ
59 ステップ
61 ステップ
62 ステップ
63 ステップ
71 ステップ
72 ステップ
73 ステップ
74 ステップ
75 ステップ
76 ステップ
80 衣類
81 汚れ
83 水酸化物イオン
91 ナノマイクロバブル
92 ミクロンバブル
93 バブル
100 衣類洗濯システム
101 第1の流体循環ユニット
102 第2の流体循環ユニット
130 流体入口
351 カッター
【外国語明細書】