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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083216
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156640
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0171809
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジュン イル
(72)【発明者】
【氏名】カン、スン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン、スン ジョー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン ウク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC06
5E001AC07
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE16
5E082EE17
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層型電子部品に関する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、上記第3面上に配置され、上記第1内部電極層と連結される第1外部電極と、上記第4面上に配置され、上記第2内部電極層と連結される第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極層は、第1内部電極と、上記第1内部電極の上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1段差補償部と、上記第1内部電極と上記第1段差補償部との間に配置され、且つ上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1中間電極と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、
前記第3面上に配置され、前記第1内部電極層と連結される第1外部電極と、
前記第4面上に配置され、前記第2内部電極層と連結される第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極層は、第1内部電極と、前記第1内部電極の前記第3方向の両端、前記第3面及び前記第4面から離隔して配置される第1段差補償部と、前記第1内部電極と前記第1段差補償部との間に配置され、且つ前記第3面及び前記第4面から離隔して配置される第1中間電極と、を含み、
前記第2内部電極層は、第2内部電極と、前記第2内部電極の前記第3方向の両端、前記第3面及び前記第4面から離隔して配置される第2段差補償部と、前記第2内部電極と前記第2段差補償部との間に配置され、且つ前記第3面及び前記第4面から離隔して配置される第2中間電極と、を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1中間電極及び前記第2中間電極の前記第3方向の長さをD2、前記第1段差補償部及び前記第2段差補償部の前記第3方向の長さをD4としたときに、0.1≦D2/D4≦0.3を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2内部電極と第1及び第2中間電極が前記第3方向に離隔した長さをD1、前記第1中間電極及び前記第2中間電極と第1及び第2段差補償部が前記第3方向に離隔した長さをD3としたときに、10μm≦D1≦20μm及び10μm≦D3≦20μmを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1段差補償部及び前記第2段差補償部は、前記第5面及び前記第6面から離隔して配置されるボディ部と、前記ボディ部から延びて前記第5面または前記第6面と接するリード部と、を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記リード部は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極から離隔して配置される、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1及び第2内部電極層の厚さが650nm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記誘電体層の厚さが1.5μm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、
前記第3面上に配置され、前記第1内部電極層と連結される第1外部電極と、
前記第4面上に配置され、前記第2内部電極層と連結される第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極層は、第1内部電極と、前記第1内部電極の前記第3方向の両端、前記第3面及び前記第4面から離隔して配置される第1段差補償部と、を含み、
前記第2内部電極層は、第2内部電極と、前記第2内部電極の前記第3方向の両端、前記第3面及び前記第4面から離隔して配置される第2段差補償部と、を含み、
前記第1段差補償部及び前記第2段差補償部は、前記第5及び第6面のうち少なくとも何れか一面と接するように配置される、積層型電子部品。
【請求項9】
前記本体は、前記誘電体層を挟んで配置される前記第1及び第2内部電極を含み、容量が形成される容量形成部と、前記容量形成部の前記第3方向の両面に配置されたマージン部と、を含み、
前記第1及び第2内部電極と第1及び第2段差補償部が前記第3方向に離隔した距離をD5、前記マージン部の前記第3方向の長さをD6としたときに、0.1≦D5/D6≦0.3を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1段差補償部及び前記第2段差補償部は、前記第5面及び前記第6面から離隔して配置されるボディ部と、前記ボディ部から延びて前記第5面または前記第6面と接するリード部と、を含む、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記リード部は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極から離隔して配置される、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記リード部の前記第2方向の大きさは、前記ボディ部の前記第2方向の大きさより小さい、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第1及び第2内部電極層の厚さが650nm以上である、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記誘電体層の厚さが1.5μm以上である、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1内部電極層は、前記第1内部電極と前記第1段差補償部との間に2以上の中間電極をさらに含み、前記第2内部電極層は、前記第2内部電極と前記第2段差補償部との間に2以上の中間電極をさらに含む、請求項8に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の1つである積層セラミックキャパシターは、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP、Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、携帯情報端末(PDA、Personal Digital Assistants)、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たす。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシターは、高容量が保障され、実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。
【0004】
一方、近年、電装部品に対する業界の関心が高くなっており、積層セラミックキャパシターにおいても、自動車もしくはインフォテインメントシステムに用いられるために、高信頼性及び高強度特性が求められている。
【0005】
特に、積層セラミックキャパシターに対して、苛酷な環境での強度と耐湿特性が求められており、耐湿信頼性及び強度を向上させるための内部及び外部構造などにおいて、改善が必要とされているのが実情である。
【0006】
従来、高い信頼性を確保するために、厚い厚さを有する内部電極及び誘電体層を多量積層する試みがあった。この場合、積層度が高くなることにより、積層セラミックキャパシターを製造する過程で圧着によりカバー部の反りが生じたり、内部電極及びマージン部の段差により接合力が減少する恐れがある。これは、焼成時にデラミネーションが発生する頻度を増加させるため、却って高い信頼性を確保しにくいという問題を引き起こす恐れがある。
【0007】
一方、従来は、上記の問題を解決するために、内部電極を印刷した後に誘電体マージンを再印刷する方法が導入されていたが、パターン間の整列及び精度を制御しにくいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な目的の1つは、カバー部の反りや内部電極及びマージン部の段差により積層型電子部品の接合力が減少するという問題を解決することにある。
【0009】
本発明の様々な目的の1つは、上記接合力の減少により耐湿信頼性が減少し、クラックが発生する問題を解決することにある。
【0010】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、上記第3面上に配置され、上記第1内部電極層と連結される第1外部電極と、上記第4面上に配置され、上記第2内部電極層と連結される第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極層は、第1内部電極と、上記第1内部電極の上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1段差補償部と、上記第1内部電極と上記第1段差補償部との間に配置され、且つ上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1中間電極と、を含み、上記第2内部電極層は、第2内部電極と、上記第2内部電極の上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第2段差補償部と、上記第2内部電極と上記第2段差補償部との間に配置され、且つ上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第2中間電極と、を含むことができる。
【0012】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、上記第3面上に配置され、上記第1内部電極層と連結される第1外部電極と、上記第4面上に配置され、上記第2内部電極層と連結される第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極層は、第1内部電極と、上記第1内部電極の上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1段差補償部と、を含み、上記第2内部電極層は、第2内部電極と、上記第2内部電極の上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第2段差補償部と、を含み、上記第1及び第2段差補償部は、上記第5及び第6面のうち少なくとも何れか一面と接するように配置されることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一効果は、カバー部の反りや内部電極及びマージン部の段差を最小化することである。
【0014】
本発明の様々な効果の一効果は、積層型電子部品のカバーの反りや内部電極及びマージン部の段差によるデラミネーションの発生を抑えることである。
【0015】
本発明の様々な効果の一効果は、積層型電子部品のカバーの反りや内部電極及びマージン部の段差を抑え、耐湿信頼性を向上させることである。
【0016】
本発明の多様で且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のI-I'に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を示す斜視図である。
図4図3のII-II'に沿った断面図である。
図5図4のP1領域の拡大図である。
図6】本発明の一実施形態による積層型電子部品の第1内部電極層(a)と第2内部電極層(b)をそれぞれ示した平面図である。
図7図3の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図9図8のIII-III'に沿った断面図である。
図10】本発明の他の実施形態による積層型電子部品の本体を示す斜視図である。
図11図10のIV-IV'に沿った断面図である。
図12図10のP2領域の拡大図である。
図13】本発明の他の実施形態による積層型電子部品の第1内部電極層(a)と第2内部電極層(b)をそれぞれ示した平面図である。
図14図10の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0019】
明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0020】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品100を概略的に示す斜視図である。
【0023】
図2図1のI-I'に沿った断面図である。
【0024】
図3は本発明の一実施形態による積層型電子部品100の本体110を示す斜視図である。
【0025】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1及び第2内部電極層121、122を含み、第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を有する本体110と、上記第3面3上に配置され、上記第1内部電極層121と連結される第1外部電極131と、上記第4面4上に配置され、上記第2内部電極層122と連結される第2外部電極132と、を含むことができる。
【0026】
本発明の一実施形態による積層型電子部品において、「長さ方向」は図1の「L」方向、「幅方向」は「W」方向、「厚さ方向」は「T」方向と定義する。ここで、「厚さ方向」は、誘電体層を積み上げる方向、すなわち、「積層方向」と同一の概念として用いることができる。
【0027】
一方、図面に表示されたT、L、及びWはそれぞれ、本体の第1方向の長さ(T)、本体の第2方向の長さ(L)、及び本体の第3方向の長さ(W)を表すことができる。
【0028】
本発明の一実施形態において、本体110の形状は特に制限されないが、図示されたように、六面体形状であることができる。
【0029】
上記本体110は、第1方向に対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4と、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0030】
上記第1面1及び第2面2は、第1方向であるセラミック本体110の厚さ方向に向かい合う面と、上記第3面3及び第4面4は、第2方向である長さ方向に向かい合う面と定義されることができ、上記第5面5及び第6面6は、第3方向である幅方向に向かい合う面と定義されることができる。
【0031】
本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0032】
上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O、またはBa(Ti1-yZr)Oなどが挙げられる。
【0033】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0034】
一方、誘電体層111の厚さtdは、特に限定する必要はない。但し、一般に、誘電体層111の厚さtdが1.5μm以上である場合には、内部電極層との段差がさらに増加し、信頼性が低下する恐れがある。
【0035】
本発明の一実施形態によると、誘電体層111の厚さtdが1.5μm以上である場合にも、デラミネーションの発生を抑えることができ、優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0036】
したがって、誘電体層111の厚さが1.5μm以上である場合に、本発明による信頼性向上効果及びデラミネーション発生抑制効果がより顕著になることができる。
【0037】
上記誘電体層111の厚さtdは、上記第1内部電極層121と第2内部電極層122との間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0038】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、1つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acだけでなく、マージン部を含む領域でも指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0039】
上記本体110の内部に形成された複数の第1及び第2内部電極層121、122は、第1及び第2内部電極121a、122aを含むことができる。
【0040】
上記第1及び第2内部電極121a、122aは、本体110の第3面3または第4面4に一端が露出することができる。
【0041】
上記内部電極121a、122aは、互いに異なる極性を有する第1内部電極121a及び第2内部電極122aを一対とすることができる。
【0042】
第1内部電極121aの一端は第3面3に露出し、第2内部電極122aの一端は第4面4に露出することができる。
【0043】
上記第1内部電極121a及び第2内部電極122aの一端と他端は、第4面4及び第3面3から一定間隔を置いて形成されることができる。
【0044】
上記本体110の第3面3及び第4面4上には第1及び第2外部電極131、132が形成され、上記内部電極121a、122aと電気的に連結されることができる。
【0045】
したがって、第1及び第2外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121a、122aを介して第1及び第2内部電極層121、122と電気的に連結されることができる。
【0046】
すなわち、第1外部電極131は、上記本体の第3面3上に配置されて上記第1内部電極層121と連結され、第2外部電極132は、上記本体の第4面4上に配置されて上記第2内部電極層122と連結されることができる。
【0047】
内部電極層121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができる。
【0048】
内部電極層121、122は第1及び第2内部電極層121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極層121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4でそれぞれ第1及び第2外部電極と接触することができる。
【0049】
図1及び図2を参照すると、第1内部電極層121は、第4面4から離隔して第3面3で第1外部電極と接触し、第2内部電極層122は第3面3から離隔して第4面4で第2外部電極と接触することができる。
【0050】
したがって、第1内部電極層121が第2外部電極132から離隔し、第2内部電極層122が第1外部電極131から離隔することで、静電容量を形成することができる。
【0051】
この時、第1及び第2内部電極層121、122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0052】
図7図3の本体110を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0053】
図7を参照すると、本体110は、第1内部電極層121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極層122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成することで形成することができる。
【0054】
内部電極層121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0055】
また、内部電極層121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して内部電極を形成することができ、内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0056】
従来、高い信頼性を確保するために、厚い厚さを有する内部電極及び誘電体層を多量積層する試みがあった。この場合、内部電極と誘電体層を積層して積層度を高める過程で、内部電極と誘電体層との段差が大きくなる現象が発生する可能性がある。
【0057】
内部電極及び誘電体層を積層して圧着工程を行う場合、誘電体層のカバー部は内部電極が積層された方向に引っ張られるため、内部電極とマージン部が接する面が開く現象が発生する可能性がある。
【0058】
その後、積層された誘電体層と内部電極を焼成する場合、既に引っ張られたカバー部がさらに強く引っ張られ、これにより、内部電極とマージン部が接する面のデラミネーションの発生頻度と大きさがさらに大きくなる恐れがある。
【0059】
かかるデラミネーションは、積層型電子部品の製造または使用過程でクラックにつながって不良率を増加させ、水分浸透の経路となるため、耐湿信頼性の低下を引き起こす恐れがある。
【0060】
図4図3のII-II'に沿った断面図であり、図5図4のP1領域の拡大図である。
【0061】
図4及び図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の上記第1内部電極層121は、上記第1内部電極121aの第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1段差補償部121bと、上記第1内部電極121aと上記第1段差補償部121bとの間に配置され、且つ上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1中間電極121cと、を含み、上記第2内部電極層122は、第2内部電極122aの上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第2段差補償部122bと、上記第2内部電極122aと上記第2段差補償部122bとの間に配置され、且つ上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第2中間電極122cと、を含むことができる。
【0062】
段差補償部121b、122bは、内部電極121a、122aから離隔して配置されるため、内部電極121a、122aと電気的に絶縁されており、第3面及び第4面から離隔して配置されるため、外部電極131、132とも電気的に絶縁されていることができる。
【0063】
したがって、段差補償部121b、122bは、積層型電子部品の静電容量の形成に寄与しない。
【0064】
但し、段差補償部は、内部電極121a、122aが配置されていない誘電体層上に配置されるため、内部電極121a、122aによる段差を減少させ、内部電極とマージン部の界面で発生するデラミネーションやクラックを防止することができる。
【0065】
これにより、積層型電子部品100の高温加速及び耐湿負荷の信頼性劣化を防止することができる。
【0066】
内部電極層121、122に含まれる内部電極121a、122a、段差補償部121b、122b、及び中間電極121c、122cは、導電性金属を含むことができる。
【0067】
導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0068】
一方、内部電極121a、122a、段差補償部121b、122b、及び中間電極121c、122cに含まれる導電性金属は、それぞれ同一の組成を有してもよいが、これに制限されず、互いに異なる組成の導電性金属を含んでもよい。
【0069】
内部電極層121、122において、内部電極121a、122aの第3方向の両端から離隔して配置される段差補償部121b、122b、及び内部電極121a、122aと段差補償部121b、122bとの間に配置される中間電極121c、122cは、誘電体層を印刷した後に内部電極121a、122aを印刷する過程で、内部電極121a、122aの第3方向の両端にさらに中間電極121c、122c及び段差補償部121b、122bを印刷することで形成されることができる。すなわち、内部電極121a、122a、中間電極121c、122c、及び段差補償部121b、122bは同時に形成されることができる。
【0070】
従来は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるべき箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成した後、内部電極層121、122による段差を抑えるために、積層後、内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に幅方向に積層し、マージン部114、115を形成する試みがあった。
【0071】
しかし、一実施形態による積層型電子部品は、セラミックグリーンシート上のマージン部が形成されるべき箇所に、スクリーンまたはパターンが印刷された銅板を配置した後、導電性ペーストをスクリーンまたはグラビア印刷することで、上記内部電極121a、122a、段差補償部121b、122b、及び中間電極121c、122cを含む第1及び第2内部電極層121、122が形成されることができる。したがって、さらなる切断及び印刷工程がなくても、マージン部が形成されるべき箇所に段差補償部121b、122b及び中間電極121c、122cを形成することで、デラミネーションの発生を抑え、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0072】
図5図4のP1領域の拡大図である。
【0073】
図5を参照すると、上記第1及び第2中間電極の上記第3方向の長さをD2、上記第1及び第2段差補償部の上記第3方向の長さをD4としたときに、D2/D4が5%(0.05)未満である場合には、マージン部と内部電極が接する面で発生したクラックの伝播を防止することが困難であるため、耐湿信頼性が不良であり、デラミネーションの発生頻度を低減することが困難である恐れがある。
【0074】
また、D2/D4が40%(0.4)を超える場合には、誘電体層111が接する面積が小さいため、耐湿信頼性が向上せず、デラミネーションの発生頻度を低減することが困難である恐れがある。
【0075】
一実施形態による積層型電子部品によると、0.05≦D2/D4≦0.4を満たすことで、耐湿信頼性を向上させ、デラミネーションの発生を低減することができ、より好ましくは、0.1≦D2/D4≦0.3を満たすことで、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができる。
【0076】
一方、上記第1及び第2内部電極と第1及び第2中間電極が上記第3方向に離隔した長さをD1、上記第1及び第2中間電極と第1及び第2段差補償部が上記第3方向に離隔した長さをD3としたときに、D1及びD3が6μm未満である場合に、内部電極と中間電極との間の間隔及び中間電極と段差補償部との間の間隔が不十分であるため、耐湿信頼性が不良であり、デラミネーションの発生頻度を低減することができない。
【0077】
また、D1及びD3が20μmを超える場合には、誘電体層の間の接着力が不十分であるため、デラミネーションの発生を低減することができない。
【0078】
一実施形態によると、10μm≦D1≦20μmを満たし、且つ10μm≦D3≦20μmを満たすことで、内部電極と中間電極との間の間隔及び中間電極と段差補償部との間の間隔が十分であって優れた耐湿信頼性を確保することができ、中間電極と段差補償部がマージン部に十分な割合で配置され、デラミネーションの発生を抑えることができる。
【0079】
第1及び第2内部電極層121、122の厚さteは、特に限定する必要はない。但し、内部電極層121、122の厚さが650nm以上である場合には、誘電体層との段差がさらに増加して耐湿信頼性が低下し、デラミネーションの発生頻度が高くなる恐れがある。
【0080】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2内部電極層121、122の厚さが650nm以上である場合にも、デラミネーションの発生を抑えることができ、優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0081】
したがって、第1及び第2内部電極層121、122の厚さが650nm以上である場合に、本発明による信頼性向上効果及びデラミネーション発生抑制効果がより顕著になることができる。
【0082】
内部電極層121、122の厚さteは、平均厚さを意味し得る。
【0083】
内部電極層121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向の断面を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、1つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acだけでなく、マージン部を含む領域でも指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0084】
図6は本発明の一実施形態による積層型電子部品100の第1内部電極層(a)と第2内部電極層(b)をそれぞれ示した平面図である。
【0085】
図6を参照すると、一実施形態による積層型電子部品の上記第1及び第2段差補償部121b、122bは、第5面5及び第6面6のうち少なくとも何れか一面と接するように配置されることができる。具体的に、段差補償部121b、122bは、第5面5及び第6面6から離隔して配置されるボディ部121b-1、122b-1と、上記ボディ部121b-1、122b-1から延びて第5面5または第6面6と接するリード部121b-2、122b-2と、を含むことができる。これにより、外部湿気に対して、ボディ部121b-1、122b-1よりもリード部121b-2、122b-2が先に酸化するようにすることで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0086】
一方、第1及び第2外部電極131、132が第5面及び第6面上にも延びて配置される場合、段差補償部121b、122bと外部電極131、132が接触してショートが発生する恐れがある。
【0087】
一実施形態において、リード部121b-2、122b-2は、第1及び第2外部電極131、132から離隔して配置されることで、段差補償部121b、122bが外部電極131、132と接触してショートが発生する現象を防止することができる。具体的に、リード部121b-2、122b-2が第3及び第4面3、4から離隔した距離は、ボディ部121b-1、122b-1が第3及び第4面から離隔した距離より大きいことができる。
【0088】
リード部121b-2、122b-2を外部電極131、132から離隔して配置させるために、上記ボディ部121b-1、122b-1を第3~第6面3、4、5、6から離隔して配置することができる。この時、ボディ部121b-1、122b-1が第3~第6面から離隔した距離は10μm以上であることができるが、これに制限されるものではなく、外部電極131、132とのショートを防止するとともに、段差を十分に補償できる程度の距離であれば十分である。
【0089】
一実施形態において、上記リード部121b-2、122b-2の第2方向の大きさは、上記ボディ部121b-1、122b-1の第2方向の大きさより小さいことができる。これにより、段差補償部121b、122bが第5及び第6面まで延びて配置される外部電極131、132と接してショートが発生する可能性をさらに低くすることができる。
【0090】
この時、ボディ部121b-1、122b-1の第2方向の一端からリード部121b-2、122b-2の一端までの距離は、積層型電子部品100の第2方向の大きさに比べて20%~25%であることができるが、これに制限されず、外部電極131、132とのショートを防止するとともに、段差を十分に補償できる程度の距離であれば十分である。
【0091】
図4を参照すると、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121a及び第2内部電極122aを含み、容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の両面に配置されるカバー部112、113と、を含むことができる。
【0092】
また、上記容量形成部Acは、キャパシターの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121a、122aを繰り返し積層することで形成されることができる。
【0093】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の一面に配置される上部カバー部112と、上記容量形成部Acの第1方向の他面に配置される下部カバー部113と、を含むことができる。
【0094】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0095】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。
【0096】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0097】
図4を参照すると、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0098】
マージン部114、115は、上記容量形成部Acの第3方向の一面に配置されたマージン部114と、第3方向の他面に配置されたマージン部115と、を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記本体110の幅方向(第3方向)の両面に配置されることができる。
【0099】
マージン部114、115は、図4に図示されたように、上記本体110を第1及び第3方向(幅-厚さ)に切断した断面において、第1及び第2内部電極121a、122aの両端と本体110の境界面の間の領域を意味し得る。
【0100】
マージン部114、115は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0101】
一方、第1及び第2内部電極層121、122が上記段差補償部121b、122b及び上記中間電極121c、122cを含むため、上記段差補償部121b、122b及び上記中間電極121c、122cは、マージン部114、115に含まれることができる。
【0102】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上記第1内部電極層121と連結された第1外部電極131と、上記第2内部電極層122と連結された第2外部電極132と、を含むことができる。
【0103】
上記第1及び第2外部電極131、132は、静電容量の形成のために上記第1及び第2内部電極層121、122と連結されることができ、上記第2外部電極132は、上記第1外部電極131と異なる電位に連結されることができる。
【0104】
上記第1及び第2外部電極131、132は、上記本体110の第2方向である長さ方向の第3面3及び第4面4上にそれぞれ配置され、且つ上記本体110の第1方向である厚さ方向の第1面1及び第2面2に延びて配置されることができる。また、上記本体110の第3方向である幅方向の第5面5及び第6面6上にも延びて配置されることができる。
【0105】
上記外部電極131、132は、上記セラミック本体110の外側に配置され、上記内部電極層121、122と連結される第1及び第2電極層131a、132aと、上記第1及び第2電極層131a、132a上にそれぞれ配置された第1及び第2伝導性樹脂層131b、132bと、を含むことができる。
【0106】
具体的に、上記第1外部電極131は、上記セラミック本体110の第2方向である長さ方向の第3面3に配置され、上記第1内部電極層121と電気的に連結される第1電極層131aと、上記第1電極層131a上に配置された第1伝導性樹脂層131bと、を含むことができる。
【0107】
また、上記第2外部電極132は、上記セラミック本体110の第2方向である長さ方向の第4面4に配置され、上記第2内部電極層122と電気的に連結される第2電極層132aと、上記第2電極層132a上に配置された第2伝導性樹脂層132bと、を含むことができる。
【0108】
上記第1及び第2電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0109】
上記第1及び第2電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上であることができる。
【0110】
上記第1及び第2電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して準備された導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0111】
上記第1及び第2伝導性樹脂層131b、132bはそれぞれ第1及び第2電極層131a、132a上に形成され、第1及び第2電極層131a、132aを完全に覆う形態で形成されることができる。
【0112】
上記第1及び第2伝導性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作製できるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0113】
上記第1及び第2伝導性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1及び第2電極層131a、132aと電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。
【0114】
上記第1及び第2電極層131a、132aと第1及び第2伝導性樹脂層131b、132bは、上記セラミック本体110の第1面1及び第2面2に延びて配置されることができる。
【0115】
以下では、本発明の他の実施形態による積層型電子部品200について詳細に説明するが、本発明の一実施形態による積層型電子部品と重複される説明は省略する。
【0116】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品200によると、誘電体層211、及び上記誘電体層211を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極層221、222を含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面5、6を有する本体210と、上記第3面上に配置され、上記第1内部電極層221と連結される第1外部電極231と、上記第4面上に配置され、上記第2内部電極層222と連結される第2外部電極232と、を含み、上記第1内部電極層221は、第1内部電極221aと、上記第1内部電極221aの上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第1段差補償部221bと、を含み、上記第2内部電極層222は、第2内部電極222aと、上記第2内部電極222aの上記第3方向の両端、上記第3面及び上記第4面から離隔して配置される第2段差補償部222bと、を含み、上記第1及び第2段差補償部221b、222bは、上記第5及び第6面のうち少なくとも何れか一面と接するように配置されることができる。
【0117】
図8は本発明の他の実施形態による積層型電子部品200を概略的に示す斜視図である。
【0118】
図9図8のIII-III'に沿った断面図である。
【0119】
図10は本発明の他の実施形態による積層型電子部品200の本体210を示す斜視図である。
【0120】
図8から図10を参照すると、本発明の他の実施形態による積層型電子部品200は、誘電体層211、及び上記誘電体層211を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1及び第2内部電極層221、222を含み、第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結されて第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に対向する第5面5及び第6面6を有する本体210と、上記第3面3上に配置され、上記第1内部電極層221と連結される第1外部電極231と、上記第4面4上に配置され、上記第2内部電極層222と連結される第2外部電極232と、を含むことができる。
【0121】
図11を参照すると、上記本体210は、第1方向に対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4と、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0122】
上記第1面1及び第2面2は、第1方向であるセラミック本体210の厚さ方向に向かい合う面と、上記第3面3及び第4面4は、第2方向である長さ方向に向かい合う面と定義されることができ、上記第5面5及び第6面6は、第3方向である幅方向に向かい合う面と定義されることができる。
【0123】
本体210を成す複数の誘電体層211は焼成された状態であって、隣接する誘電体層211の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0124】
上記誘電体層211を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O3、またはBa(Ti1-yZr)Oなどが挙げられる。
【0125】
上記誘電体層211を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0126】
一方、誘電体層211の厚さtd'は、特に限定する必要はない。但し、誘電体層211の厚さtd'が1.5μm以上である場合には、内部電極層との段差がさらに増加し、信頼性が低下する恐れがある。
【0127】
本発明の他の実施形態によると、誘電体層211の厚さtd'が1.5μm以上である場合にも、デラミネーションの発生を抑えることができ、優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0128】
したがって、誘電体層211の厚さが1.5μm以上である場合に、本発明による信頼性向上効果及びデラミネーション発生抑制効果がより顕著になることができる。
【0129】
上記誘電体層211の厚さtd'は、上記第1内部電極層221と第2内部電極層222との間に配置される誘電体層211の平均厚さを意味し得る。
【0130】
誘電体層211の平均厚さは、本体210の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、1つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Ac'だけでなく、マージン部を含む領域でも指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0131】
上記本体210の内部に形成された複数の第1及び第2内部電極層221、222は、第1及び第2内部電極221a、222aを含むことができる。
【0132】
上記第1及び第2内部電極221a、222aは、本体210の第3面3または第4面4に一端が露出することができる。
【0133】
上記内部電極221a、222aは、互いに異なる極性を有する第1内部電極221a及び第2内部電極222aを一対とすることができる。
【0134】
第1内部電極221aの一端は第3面3に露出し、第2内部電極222aの一端は第4面4に露出することができる。
【0135】
上記第1内部電極層221及び第2内部電極層222の一端と他端は、第4面4及び第3面3から一定間隔を置いて形成されることができる。
【0136】
上記本体210の第3面3及び第4面4上には第1及び第2外部電極231、232が形成され、上記内部電極221a、222aと電気的に連結されることができる。
【0137】
したがって、第1及び第2外部電極231、232は、第1及び第2内部電極221a、222aを介して第1及び第2内部電極層121、122と電気的に連結されることができる。
【0138】
すなわち、第1外部電極231は、上記本体の第3面3上に配置されて上記第1内部電極層221と連結され、第2外部電極232は、上記本体の第4面4上に配置されて上記第2内部電極層222と連結されることができる。
【0139】
内部電極層221、222は、誘電体層211と交互に配置されることができる。
【0140】
内部電極層221、222は第1及び第2内部電極層221、222を含むことができる。第1及び第2内部電極層221、222は、本体210を構成する誘電体層211を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体210の第3及び第4面3、4でそれぞれ第1及び第2外部電極と接触することができる。
【0141】
図8及び図9を参照すると、第1内部電極層221は、第4面4から離隔して第3面3で第1外部電極231と接触し、第2内部電極層222は、第3面3から離隔して第4面4で第2外部電極232と接触することができる。
【0142】
したがって、第1内部電極層221が第2外部電極232から離隔し、第2内部電極層222が第1外部電極231から離隔することで、静電容量を形成することができる。
【0143】
この時、第1及び第2内部電極層221、222は、その間に配置された誘電体層211により互いに電気的に分離されることができる。
【0144】
図14図10の本体210を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0145】
図14を参照すると、本体210は、第1内部電極層221が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極層222が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成することで形成することができる。
【0146】
内部電極層221、222に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0147】
また、内部電極層221、222は、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して内部電極を形成することができ、内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0148】
図11図10のIV-IV'に沿った断面図であり、図12図11のP2領域の拡大図である。
【0149】
図11及び図12を参照すると、本発明の他の実施形態による積層型電子部品200の上記第1内部電極層221は、第1内部電極221aと、上記第1内部電極221aの上記第3方向の両端、第3面及び第4面から離隔して配置される第1段差補償部221bと、を含み、上記第2内部電極層222は、第2内部電極222aと、上記第2内部電極222aの上記第3方向の両端、第3面及び第4面から離隔して配置される第2段差補償部222bと、を含むことができる。
【0150】
これにより、マージン部に電極を配置することで、積層及び圧着工程の間の段差変形によるカバー部の反り現象を最小化し、マージン部と内部電極が接する面に隙間が生じることを最小化することができる。
【0151】
また、マージン部と内部電極が接する面のデラミネーションが形成されることを抑えることができるため、積層型電子部品200の信頼性を向上させることができる。
【0152】
内部電極層221、222に含まれる内部電極221a、222a及び段差補償部221b、222bは、導電性金属を含むことができる。
【0153】
導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0154】
一方、内部電極221a、222a及び段差補償部221b、222bに含まれる導電性金属は、それぞれ同一の組成を有してもよいが、これに制限されず、互いに異なる組成の導電性金属を含んでもよい。
【0155】
段差補償部221b、222bは、セラミックグリーンシート上のマージン部が形成されるべき箇所に、スクリーンまたはパターンが印刷された銅板を配置した後、導電性ペーストをスクリーンまたはグラビア印刷することで形成されることができる。
【0156】
これにより、上記内部電極221a、222a及び段差補償部221b、222bを含む第1及び第2内部電極層221、222が形成されることができる。
【0157】
したがって、さらなる切断及び印刷工程がなくても、デラミネーションの発生を抑え、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0158】
従来、高い信頼性を確保するために、厚い厚さを有する内部電極及び誘電体層を多量積層する試みがあった。この場合、内部電極と誘電体層を積層して積層度を高める過程で、内部電極と誘電体層との段差が大きくなる現象が発生する可能性がある。
【0159】
内部電極及び誘電体層を積層して圧着工程を行う場合、誘電体層のカバー部は内部電極が積層された方向に引っ張られるため、内部電極とマージン部が接する面が開く現象が発生する可能性がある。
【0160】
その後、積層された誘電体層と内部電極を焼成する場合、既に引っ張られたカバー部がさらに強く引っ張られ、これにより、内部電極とマージン部が接する面のデラミネーションの発生頻度と大きさがさらに大きくなる恐れがある。
【0161】
かかるデラミネーションは、積層型電子部品の製造または使用過程でクラックにつながって不良率を増加させ、水分浸透の経路となるため、耐湿信頼性の低下を引き起こす恐れがある。
【0162】
また、図11を参照すると、上記本体210は、上記本体210の内部に配置され、誘電体層211を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極221a及び第2内部電極222aを含み、容量が形成される容量形成部Ac'と、上記容量形成部Ac'の第1方向の両面に配置されるカバー部212、213と、を含むことができる。
【0163】
また、上記容量形成部Ac'は、キャパシターの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層211を挟んで複数の第1及び第2内部電極221a、222aを繰り返し積層することで形成されることができる。
【0164】
カバー部212、213は、上記容量形成部Ac'の第1方向の一面に配置される上部カバー部212と、上記容量形成部Ac'の第1方向の他面に配置される下部カバー部213と、を含むことができる。
【0165】
上記上部カバー部212及び下部カバー部213は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Ac'の上下面にそれぞれ厚さ方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0166】
上記上部カバー部212及び下部カバー部213は、内部電極を含まず、誘電体層211と同一の材料を含むことができる。
【0167】
すなわち、上記上部カバー部212及び下部カバー部213はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0168】
上記容量形成部Ac'の側面にはマージン部214、215が配置されることができる。
【0169】
マージン部214、215は、上記容量形成部Ac'の第3方向の一面に配置されたマージン部214と、第3方向の他面に配置されたマージン部215と、を含むことができる。すなわち、マージン部214、215は、上記本体210の幅方向(第3方向)の両面に配置されることができる。
【0170】
マージン部214、215は、図11に図示されたように、上記本体210を第1及び第3方向(幅-厚さ)に切断した断面において、第1及び第2内部電極221a、222aの両端と本体210の境界面の間の領域を意味し得る。
【0171】
マージン部214、215は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0172】
一方、第1及び第2内部電極層221、222が上記段差補償部221b、222bを含むため、この上記段差補償部221b、222bは上記マージン部214、215に含まれることができる。
【0173】
第1及び第2内部電極層221、222の厚さte'は、特に限定する必要はない。但し、内部電極層221、222の厚さが650nm以上である場合には、誘電体層との段差がさらに増加して耐湿信頼性が低下し、デラミネーションの発生頻度が高くなる恐れがある。
【0174】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2内部電極層221、222の厚さが650nm以上である場合にも、デラミネーションの発生を抑えることができ、優れた耐湿信頼性を確保することができる。
【0175】
したがって、第1及び第2内部電極層221、222の厚さが650nm以上である場合に、本発明による信頼性向上効果及びデラミネーション発生抑制効果がより顕著になることができる。
【0176】
内部電極層221、222の厚さte'は、平均厚さを意味し得る。
【0177】
内部電極層221、222の平均厚さは、本体210の長さ及び厚さ方向の断面を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、1つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Ac'だけでなく、マージン部を含む領域でも指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0178】
図12を参照すると、上記第1及び第2内部電極221a、222aと第1及び第2段差補償部221b、222bが上記第3方向に離隔した距離をD5、上記マージン部214、215の上記第3方向の長さをD6としたときに、D5/D6が5%(0.05)未満である場合に、マージン部214、215と内部電極221a、222aが接する面で発生したクラックの伝播を防止することが困難であるため、耐湿信頼性が不良であり、デラミネーションの発生頻度を低減することが困難である恐れがある。
【0179】
また、D5/D6が40%(0.4)を超える場合には、誘電体層211が接する面積が小さいため、耐湿信頼性が向上せず、デラミネーションの発生頻度を低減することが困難である恐れがある。
【0180】
一実施形態による積層型電子部品は、0.05≦D5/D6≦0.4を満たすことで、耐湿信頼性を向上させ、デラミネーションの発生を低減することができ、より好ましくは、0.1≦D5/D6≦0.3を満たすことで、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができる。
【0181】
図13は本発明の他の実施形態による積層型電子部品200の第1内部電極層(a)と第2内部電極層(b)をそれぞれ示した平面図である。
【0182】
図13を参照すると、積層型電子部品200の第1及び第2段差補償部221b、222bは、上記第5面5及び第6面6のうち少なくとも何れか一面と接するように配置されることができる。具体的に、段差補償部221b、222bは、第5面5及び第6面6から離隔して配置されるボディ部221b-1、222b-1と、上記ボディ部221b-1、222b-1から延びて第5面5または第6面6と接するリード部221b-2、222b-2と、を含むことができる。これにより、外部湿気に対して、ボディ部221b-1、222b-1よりもリード部221b-2、222b-2が先に酸化するようにすることで、積層型電子部品200の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0183】
一方、第1及び第2外部電極231、232が第5面及び第6面上にも延びて配置される場合、段差補償部221b、222bと外部電極231、232が接触してショートが発生する恐れがある。
【0184】
一実施形態において、リード部221b-2、222b-2は、第1及び第2外部電極231、232から離隔して配置されることで、段差補償部221b、222bが外部電極231、232と接触してショートが発生する現象を防止することができる。具体的に、リード部221b-2、222b-2が第3及び第4面3、4から離隔した距離は、ボディ部221b-1、222b-1が第3及び第4面から離隔した距離より大きいことができる。
【0185】
リード部221b-2、222b-2を外部電極231、232から離隔して配置させるために、上記ボディ部221b-1、222b-1を第3~第6面3、4、5、6から離隔して配置することができる。この時、ボディ部221b-1、222b-1が第3~第6面から離隔した距離は、10μm以上であることができるが、これに制限されるものではなく、外部電極231、232とのショートを防止するとともに、段差を十分に補償できる程度の距離であれば十分である。
【0186】
一実施形態において、上記リード部221b-2、222b-2の第2方向の大きさは、上記ボディ部221b-1、222b-1の第2方向の大きさより小さいことができる。これにより、段差補償部221b、222bが第5及び第6面まで延びて配置される外部電極231、232と接してショートが発生する可能性をさらに低くすることができる。
【0187】
この時、ボディ部221b-1、222b-1の第2方向の一端からリード部221b-2、222b-2の一端までの距離は、積層型電子部品200の第2方向の大きさに比べて20%~25%であることができるが、これに制限されず、外部電極231、232とのショートを防止するとともに、段差を十分に補償できる程度の距離であれば十分である。
【0188】
一実施形態によると、上記第1内部電極層221は、上記第1内部電極221aと上記第1段差補償部221bとの間に2以上の中間電極をさらに含み、上記第2内部電極層222は、上記第2内部電極222aと上記第2段差補償部222bとの間に2以上の中間電極をさらに含むことで、内部電極221a、222a及びマージン部214、215の段差をさらに減少し、積層型電子部品の耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0189】
上記外部電極231、232は、上記セラミック本体210の外側に配置され、上記内部電極層221、222と連結される第1及び第2電極層231a、232aと、上記第1及び第2電極層231a、232a上にそれぞれ配置された第1及び第2伝導性樹脂層231b、232bと、を含むことができる。
【0190】
具体的に、上記第1外部電極231は、上記セラミック本体210の第2方向である長さ方向の第3面3に配置され、上記第1内部電極層221と連結される第1電極層231aと、上記第1電極層231a上に配置された第1伝導性樹脂層231bと、を含むことができる。
【0191】
また、上記第2外部電極232は、上記セラミック本体210の第2方向である長さ方向の第4面4に配置され、上記第2内部電極層222と連結される第2電極層232aと、上記第2電極層232a上に配置された第2伝導性樹脂層232bと、を含むことができる。
【0192】
上記第1及び第2電極層231a、232aは、導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0193】
上記第1及び第2電極層231a、232aに用いられる導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上であることができる。
【0194】
上記第1及び第2電極層231a、232aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して準備された導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0195】
上記第1及び第2伝導性樹脂層231b、232bはそれぞれ第1及び第2電極層231a、232a上に形成され、第1及び第2電極層231a、232aを完全に覆う形態で形成されることができる。
【0196】
上記第1及び第2伝導性樹脂層231b、232bに含まれるベース樹脂は接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作製できるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0197】
上記第1及び第2伝導性樹脂層231b、232bに含まれる導電性金属は、第1及び第2電極層231a、232aと電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。
【0198】
(実施例)
下記表1~3には、D1、D2、D3、D4、D5、D6の値を調節して耐湿信頼性を評価し、デラミネーションが形成された頻度の結果を比較して記載した。
【0199】
上記耐湿信頼性試験は、定格電圧が50Vである400個のサンプルのうち、85℃、相対湿度85%下で100VのDC電圧を印加し、24時間内に絶縁抵抗が10Ω以下に低下したサンプルを不良品と判定し、不良品の個数が2個以下である場合をOK、そうではない場合をNGと評価した。
【0200】
上記デラミネーションが形成された頻度は、積層型電子部品100個のサンプルを幅-厚さ方向にモールディングした後、長さ方向の1/3~1/2まで研磨してから、光学顕微鏡により、マージン部と内部電極の境界にデラミネーションが形成されたサンプルの個数を測定し、3%以下のサンプルでデラミネーションが発見された場合を不良品と判定し、3個以下の不良品が発生した場合をOK、そうではない場合をNGと評価した。
【0201】
一方、D1、D2、D3、D4、D5、D6は、段差補償部のリード部が形成されている本体の幅及び厚さ方向の断面を、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。
【0202】
より具体的に、本体の長さをL、本体の厚さをTとしたときに、本体の長さ方向のL/2-0.2L~L/2+0.2Lの地点まで研磨した後、本体の厚さ方向のT/2-0.1T~T/2+0.1T領域から選択した任意の5個の内部電極層で測定した平均値であることができる。
【0203】
【表1】
*:比較例
【0204】
表1を参照すると、試験番号1*は、D1及びD3が4μmの場合であり、内部電極と中間電極との間の間隔及び中間電極と段差補償部との間の間隔が不十分であるため、耐湿信頼性が不良であり、デラミネーションの発生頻度が低減できないことが確認できる。
【0205】
試験番号2、3は、D1及びD3がそれぞれ6μm、8μmを満たす場合であり、内部電極と中間電極との間の間隔及び中間電極と段差補償部との間の間隔が十分であって、耐湿信頼性を向上させることができ、デラミネーションの発生を低減できることが確認できる。
【0206】
試験番号4~9は、10μm≦D1≦20μmを満たし、10μm≦D3≦20μmを満たす場合であり、内部電極と中間電極との間の間隔及び中間電極と段差補償部との間の間隔が十分であって優れた耐湿信頼性を確保することができ、中間電極と段差補償部がマージン部に十分な割合で配置され、デラミネーションの発生を抑えることができることが確認できる。
【0207】
試験番号10*、11*は、D1及びD3がそれぞれ22μm、24μmを満たす場合であり、誘電体層の間の接着力が不十分であるため、デラミネーションの発生が低減できないことが確認できる。
【0208】
したがって、一実施形態によると、6μm≦D1≦20μmを満たし、6μm≦D3≦20μmを満たすことで、耐湿信頼性を向上させることができ、デラミネーションの発生を低減することができる。より好ましくは、10μm≦D1≦20μmを満たし、10μm≦D3≦20μmを満たすことで、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができる。
【0209】
【表2】
*:比較例
【0210】
表2を参照すると、試験番号1*は、D2/D4が0.01の場合であり、耐湿信頼性が不良であり、デラミネーションの発生頻度が低減できないことが確認できる。
【0211】
試験番号2は、D2/D4が0.05の場合であり、耐湿信頼性を向上させることができ、デラミネーションの発生を低減できることが確認できる。
【0212】
試験番号3~7はD2/D4が0.1~0.3を満たす場合であり、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができることが確認できる。
【0213】
試験番号8及び9は、D2/D4がそれぞれ0.35、0.40の場合であり、耐湿信頼性が向上し、デラミネーションの発生も抑えることができることが確認できる。
【0214】
試験番号10*は、D2/D4が0.45の場合であり、耐湿信頼性が向上せず、デラミネーションの発生も抑えることができないことが確認できる。
【0215】
したがって、一実施形態によると、0.05≦D2/D4≦0.4を満たすことで、耐湿信頼性を向上させることができ、デラミネーションの発生を低減することができる。より好ましくは、0.1≦D2/D4≦0.3を満たすことで、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができる。
【0216】
【表3】
*:比較例
【0217】
表3を参照すると、試験番号1*は、D5/D6が0.01の場合であり、耐湿信頼性が不良であり、デラミネーションの発生頻度が低減できないことが確認できる。
【0218】
試験番号2は、D5/D6が0.05の場合であり、耐湿信頼性を向上させることができ、デラミネーションの発生を低減できることが確認できる。
【0219】
試験番号3~7は、D5/D6が0.1~0.3を満たす場合であり、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができることが確認できる。
【0220】
試験番号8及び9は、D5/D6がそれぞれ0.35、0.40の場合であり、耐湿信頼性が向上し、デラミネーションの発生も抑えることができることが確認できる。
【0221】
試験番号10*は、D5/D6が0.45の場合であり、耐湿信頼性が向上せず、デラミネーションの発生も抑えることができないことが確認できる。
【0222】
したがって、一実施形態によると、0.05≦D5/D6≦0.4を満たすことで、耐湿信頼性を向上させることができ、デラミネーションの発生を低減することができる。より好ましくは、0.1≦D5/D6≦0.3を満たすことで、優れた耐湿信頼性を確保するとともに、デラミネーションの発生を抑えることができる。
【0223】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態及び添付図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定しようとする。よって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者による多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0224】
100、200 積層型電子部品
110、210 本体
111、211 誘電体層
112、113、212、213 カバー部
114、115、214、215 マージン部
121、122、221、222 第1及び第2内部電極層
121a、122a、221a、222a 第1及び第2内部電極
121b、122b、221b、222b 第1及び第2段差補償部
121b-1、122b-1、221b-1、222b-1 ボディ部
121b-2、122b-2、221b-2、222b-2 リード部
121c、122c 第1及び第2中間電極
131、132、231、232 第1及び第2外部電極
131a、132a 第1及び第2電極層
131b、132b 第1及び第2伝導性樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14