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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008322
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20230112BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230112BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230112BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230112BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230112BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230112BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230112BHJP
   C11D 1/18 20060101ALI20230112BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20230112BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230112BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A61K8/46
A61Q5/02
A61K8/60
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/37
A61K8/92
C11D1/18
C11D1/68
C11D3/37
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111791
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】上條 洋士
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB34
4C083CC23
4C083CC38
4C083EE06
4C083EE28
4H003AB23
4H003AB27
4H003AC05
4H003AD03
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003EB03
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB42
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA21
(57)【要約】
【課題】毛髪に対するコンディショニング効果に優れながら、安定性及び透明性に優れる洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】提供される洗浄剤組成物は、
成分(A):タウリン系界面活性剤、及び糖系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
成分(B):カチオン性ポリマー、及び
成分(C):油性成分
を含有する。
成分(A)のうち、含有率の最も大きな成分(A)が有する最長のアルキル基の炭素数は11未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):タウリン系界面活性剤、及び糖系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
成分(B):カチオン性ポリマー、及び
成分(C):油性成分
を含有し、
前記成分(A)のうち、含有率の最も大きな前記成分(A)が有する最長のアルキル基の炭素数が11未満である、
洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記成分(A)が、N-アシルメチルタウリン、N-アシルメチルタウリン塩、及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(B)が、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、及びポリクオタニウム-52から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分(C)が、植物性油脂、エトキシル化油、及びカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
毛髪用である、請求項1~4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、カラーリングや紫外線、ヘアドライヤーの熱等の様々な刺激により、ダメージを受けうる。ダメージを受けた毛髪では、キューティクルの剥離が生じる等によって、パサつきや乾燥、絡まりが生じやすい。特許文献1~3には、毛髪を整えるコンディショニング効果を洗髪時に得ることを目的とした洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-235507号公報
【特許文献2】特開2009-221120号公報
【特許文献3】特表2020-537642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、洗浄剤組成物について、機能だけではなく、使用により感じる心地よさがますます重要視されるようになってきている。例えば、コンディショニング効果においては、すすぎ時等の濡れた状態での毛髪の感触のよさと、乾燥後の潤い感や柔らかさといった、毛髪の内部までケア(補修)されていることを感じられる効果とが求められている。また、洗浄剤組成物の透明感や、ボトルを浴室に置いた状態で使い切るまでに透明感が失われにくいこと(安定性)も、心地よさに大きく影響する。しかし、本発明者らの検討によれば、毛髪に対するコンディショニング効果に優れながら、安定性及び透明性に優れる洗浄剤組成物とすることは難しい。例えば、コンディショニング効果を得るために油性成分を配合した場合には、白濁が生じたり、安定性が損なわれたりしやすい。また、コンディショニング効果と、安定性及び透明性とを両立させる観点からは、特許文献1~3の洗浄剤組成物は、未だ不十分である。
【0005】
本発明は、毛髪に対するコンディショニング効果に優れながら、安定性及び透明性に優れる洗浄剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
成分(A):タウリン系界面活性剤、及び糖系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
成分(B):カチオン性ポリマー、及び
成分(C):油性成分
を含有し、
前記成分(A)のうち、含有率の最も大きな前記成分(A)が有する最長のアルキル基の炭素数が11未満である、
洗浄剤組成物、
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、毛髪に対するコンディショニング効果に優れながら、安定性及び透明性に優れる洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[洗浄剤組成物]
本実施形態の洗浄剤組成物は、以下の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する。
(A)タウリン系界面活性剤、及び糖系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
(B)カチオン性ポリマー
(C)油性成分
【0009】
(成分(A))
成分(A)は、タウリン系界面活性剤、及び糖系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。ただし、成分(A)のうち、洗浄剤組成物における含有率の最も大きな成分(A)が有する最長のアルキル基(以下、成分(A)が有する最長のアルキル基を、「アルキル基R」と記載する)の炭素数は、11未満である。本実施形態の洗浄剤組成物において、成分(A)は、洗浄成分として機能すると共に、洗浄剤組成物としての安定性及び透明性に寄与しうる。また、成分(A)は、成分(B),(C)と協働して、コンディショニング効果(特に、乾燥後の潤い感)に寄与しうる。
【0010】
アルキル基Rの炭素数は、6~10であってもよく、7~10、更には8~9であってもよい。アルキル基Rは、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であってもよい。アルキル基Rは、典型的には、直鎖状である。アルキル基Rは、成分(A)が有する唯一のアルキル基であってもよい。成分(A)は、アルキル基Rと、他のアルキル基(例えばメチル基)とを有していてもよい。
【0011】
洗浄剤組成物における成分(A)の含有率は、例えば0.08重量%以上であり、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、更には0.9重量%以上であってもよい。成分(A)の含有率の上限は、例えば10重量%以下であり、10重量%未満、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.5重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2.3重量%以下、2重量%以下、1.8重量%以下、更には1.5重量%以下であってもよい。なお、2種以上の成分(A)が洗浄剤組成物に含まれる場合、各成分(A)の含有率の合計を成分(A)の含有率とする。成分(B),(C)についても同様である。
【0012】
タウリン系界面活性剤は、通常、アニオン性である。糖系界面活性剤は、ノニオン性であってもよい。
【0013】
成分(A)は、タウリン系界面活性剤であってもよい。タウリン系界面活性剤は、毛髪に対するコンディショニング効果に優れながら、安定性及び透明性に優れる洗浄剤組成物を得るのに、特に適している。
【0014】
タウリン系界面活性剤の例は、N-アシルタウリン及びその塩、N-アシルメチルタウリン及びその塩、並びにN-アシルタウリンタウリン及びその塩である。タウリン系界面活性剤の好ましい例は、N-アシルメチルタウリン及びその塩である。なお、N-アシルタウリンのようなアシル基(RCO-)を有する成分(A)において、アシル基としての炭素数は、通常、12未満である。アシル基の炭素数は、例えば、7~11であり、8~11、更には9~10であってもよい。
【0015】
N-アシルメチルタウリン及びその塩の例は、エナントイルメチルタウリン及びその塩、カプリロイルメチルタウリン及びその塩、ペラルゴニルメチルタウリン及びその塩、並びにカプロイルメチルタウリン及びその塩であり、好ましくは、カプロイルメチルタウリン及びその塩である。各塩の例は、ナトリウム塩、及びカリウム塩であり、好ましくは、ナトリウム塩である。
【0016】
糖系界面活性剤の例は、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、ショ糖脂肪酸エステル類、及びグルコシド脂肪酸エステル類である。糖系界面活性剤の好ましい例は、アルキルグルコシドである。
【0017】
アルキルグルコシドの例は、ヘキシルグルコシド、ヘプチルグルコシド、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド、及びデシルグルコシドであり、好ましくは、デシルグルコシドである。
【0018】
成分(A)は、N-アシルメチルタウリン、N-アシルメチルタウリン塩、及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種であってもよく、N-アシルメチルタウリン、及びN-アシルメチルタウリン塩から選ばれる少なくとも1種であってもよく、N-アシルメチルタウリン塩であってもよい。
【0019】
成分(A)は、上記例に限定されない。
【0020】
本実施形態の洗浄剤組成物は、1種又は2種以上の成分(A)を含有してもよい。
【0021】
(成分(B))
成分(B)は、カチオン性ポリマーである。本実施形態の洗浄剤組成物において、成分(B)は、成分(A),(C)と協働して、コンディショニング効果(特に、乾燥後の潤い感、及び乾燥後の柔らかさ)に寄与しうる。
【0022】
洗浄剤組成物における成分(B)の含有率は、例えば0.1重量%以上であり、0.1重量%超、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.3重量%超、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.5重量%超、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、更には4.5重量%以上であってもよい。成分(B)の含有率の上限は、例えば10重量%以下であり、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6.5重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.5重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、更には2重量%以下であってもよい。
【0023】
成分(B)の例は、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミドコポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリル酸コポリマー、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコールコポリマー、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライドコポリマー、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、及びアジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミンコポリマーである。
【0024】
成分(B)は、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、及びポリクオタニウム-52から選ばれる少なくとも1種であってもよい。成分(B)は、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、及びポリクオタニウム-52から選ばれる少なくとも1種であってもよく、ポリクオタニウム-49、及びポリクオタニウム-52から選ばれる少なくとも1種であってもよく、ポリクオタニウム-52であってもよい。ポリクオタニウム-52は、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコールコポリマーである。
【0025】
成分(B)は、上記例に限定されない。
【0026】
本実施形態の洗浄剤組成物は、1種又は2種以上の成分(B)を含有してもよい。2種以上の成分(B)を含有する場合、ポリクオタニウム-52を含有することが好ましい。
【0027】
(成分(C))
成分(C)は、油性成分である。本実施形態の洗浄剤組成物において、成分(C)は、成分(A),(B)と協働して、コンディショニング効果(特に、すすぎ時の指通り、すすぎ時のしっとり感、及び乾燥後の潤い感)に寄与しうる。
【0028】
洗浄剤組成物における成分(C)の含有率は、例えば0.01重量%以上であり、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、更には4.5重量%以上であってもよい。成分(C)の含有率の上限は、例えば10重量%以下であり、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.5重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、更には1.5重量%以下であってもよい。
【0029】
成分(C)の例は、植物性油脂、ラノリン類、リン脂質類及びその誘導体、ステロール類、ステロールエステル類、エトキシル化油、カルボン酸エステル類、並びにアルキルエーテル類である。成分(C)は、植物性油脂、エトキシル化油、及びカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種であってもよく、カルボン酸エステル類であってもよい。カルボン酸エステル類の例は、モノアルコールカルボン酸エステル類、ヒドロキシ酸エステル類、及び多価アルコール脂肪酸エステル類であり、好ましい例は、ヒドロキシ酸エステル類である。ヒドロキシ酸エステル類は、成分(A),(B)と協働したときのコンディショニング効果の向上に特に適している。
【0030】
植物性油脂の例は、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミア種子油、ヘーゼルナッツ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、及びホホバ油である。
【0031】
エトキシル化油の例は、エトキシル化されたグリセロール脂肪酸エステルである。エトキシル化されたグリセロール脂肪酸エステルの例は、オリーブ油PEG-10グリセリド、アボカド油PEG-11グリセリド、カカオ脂PEG-11グリセリド、ヒマワリ油PEG-13グリセリド、イソステアリン酸PEG-15グリセリル、PEG-54水添ヒマシ油、PEG-7水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、ホホバ油エトキシレート(ホホバ脂肪酸PEG-26、PEG-26ホホバアルコール)、ヤシ油脂肪酸グリセレス-5、ヤシ油脂肪酸PEG-9グリセリド、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、パーム核油PEG-45グリセリド、PEG-35ヒマシ油、オリーブ油PEG-7エステル、オリーブ油PEG-10グリセリド、ヒマワリ油PEG-13グリセリド、PEG-7水添ヒマシ油、水添パーム核油グリセリドPEG-6エステル、コーン油PEG-20グリセリド、オレイン酸ヤシ脂肪酸PEG-18グリセリル、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、コーン油PEG-60グリセリド、PEG-54水添ヒマシ油、パーム核油PEG-45グリセリド、ヤシ油脂肪酸PEG-80グリセリル、アーモンド油脂肪酸PEG-60グリセリド、月見草油PEG-60グリセリド、水添パーム油脂肪酸PEG-200グリセリル、及びイソステアリン酸PEG-90グリセリルである。
【0032】
ヒドロキシ酸エステル類の例は、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、及びγ-エルカラクトンであり、好ましくは、リンゴ酸ジイソステアリルである。
【0033】
成分(C)は、上記例に限定されない。
【0034】
本実施形態の洗浄剤組成物は、1種又は2種以上の成分(C)を含有してもよい。2種以上の成分(C)を含有する場合、ヒドロキシ酸エステル類、特にリンゴ酸ジイソステアリル、を含有することが好ましい。
【0035】
本実施形態の洗浄剤組成物は、本発明の効果が得られる限り、成分(A)~(C)以外の他の成分を含有してもよい。他の成分は、好ましくは、化粧料、医薬部外品、又は外用医薬品等に一般的に使用される成分である。他の成分の例は、成分(A)以外の界面活性剤(D)、溶媒、多価アルコール、高級アルコール、高級脂肪酸類、シリコーン化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗炎症剤、金属封鎖剤、増粘剤、保湿剤、pH調整剤、無機塩類、着色剤、抗菌・殺菌剤、及び香料である。2種以上の他の成分が含まれていてもよい。
【0036】
界面活性剤(D)は、例えば、洗浄成分として機能しうる。
【0037】
界面活性剤(D)は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤のいずれでもあってもよいが、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
【0038】
本実施形態の洗浄剤組成物は、カチオン性界面活性剤を実質的に含有しなくてもよい。本明細書において、実質的に含有しないとは、含有率が1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、更には0.01重量%未満であることを意味する。
【0039】
アニオン性である界面活性剤(D)の例は、アミノ酸系界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤、コハク酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、及び硫酸エステル系界面活性剤である。
【0040】
アミノ酸系界面活性剤の例は、グルタミン酸系界面活性剤、アラニン系界面活性剤、アスパラギン酸系界面活性剤、及びグリシン系界面活性剤である。グルタミン酸系界面活性剤の例は、アシルグルタミン酸塩である。アラニン系界面活性剤の例は、アシルアラニン塩、及びアシルメチルアラニン塩である。アスパラギン酸系界面活性剤の例は、アシルアスパラギン酸塩である。グリシン系界面活性剤の例は、アシルグリシン塩、及びアシルサルコシン塩である。各塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩である。
【0041】
カルボン酸系界面活性剤の例は、アルキルエーテルカルボン酸塩である。
【0042】
コハク酸系界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンスルホコハク酸モノアルキルエーテルエステル塩等のポリオキシエチレンスルホコハク酸塩である。
【0043】
スルホン酸系界面活性剤の例は、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム塩等のα-オレフィンスルホン酸塩である。
【0044】
硫酸エステル系界面活性剤の例は、アルキル硫酸エステル塩、及びアルキルエーテル硫酸エステル塩である。アルキルエーテル硫酸エステル塩は、ラウレス硫酸ナトリウムであってもよい。
【0045】
両性である界面活性剤(D)の例は、ベタイン系界面活性剤、スルタイン(スルホベタイン)系界面活性剤、ヒドロキシスルタイン系界面活性剤、及びイミダゾリン系界面活性剤である。ベタイン系界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミノベタイン、及びアルキルアミドベタインである。スルタイン系界面活性剤の例は、アルキルスルタインである。ヒドロキシスルタイン系界面活性剤の例は、アルキルヒドロキシスルタインである。両性である界面活性剤(D)のより具体的な例は、アルキル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドアルキル酢酸ベタイン、アルキルスルホベタイン、脂肪酸アミドアルキルスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、脂肪酸アミドアルキルアミンオキシド、及びイミダゾリン型ベタインである。
【0046】
両性である界面活性剤(D)の更に具体的な例は、ラウリルベタイン、ココベタイン、ステアリルベタイン、オレイルベタイン、ココヘキサデシルジメチルベタイン、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及びラウラミドプロピルヒドロキシスルタインである。両性である界面活性剤(D)は、コカミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、及びラウラミドプロピルヒドロキシスルタインから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0047】
ノニオン性である界面活性剤(D)の例は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルエーテルアミン、及び脂肪酸アルカノールアミドである。ノニオン性である界面活性剤(D)は、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0048】
脂肪酸アルカノールアミドの例は、ヤシ油脂肪酸アルカノールアミドである。ヤシ油脂肪酸アルカノールアミドの例は、コカミドメチルMEA、コカミドMEA、コカミドDEA、及びコカミドMIPAであり、好ましい例は、コカミドメチルMEA、コカミドMEA、及びコカミドDEAであり、より好ましい例は、コカミドメチルMEAである。
【0049】
ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルの例は、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステルである。
【0050】
界面活性剤(D)は、上記例に限定されない。
【0051】
本実施形態の洗浄剤組成物における界面活性剤(D)の含有率は、例えば0.1~25重量%である。含有率の下限は、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、7重量%以上、更には10重量%以上であってもよい。含有率の上限は、22重量%以下、20重量%以下、18重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、更には14重量%以下であってもよい。
【0052】
本実施形態の洗浄剤組成物は、界面活性剤(D)を1種又は2種以上含有してもよい。本実施形態の洗浄剤組成物の一例は、界面活性剤(D)として、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤を含有する。
【0053】
溶媒の例は、水(精製水)、及びエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールである。多価アルコールの例は、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、及び1,2-ペンタンジオールである。高級アルコールの例は、セタノール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールである。高級脂肪酸類の例は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、及びイソパルミチン酸である。増粘剤の例は、カルボキシビニルポリマー、及び(ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸エチルトリモニウムクロリド)コポリマーである。pH調整剤の例は、クエン酸、乳酸、及びこれらの塩、並びに炭酸水素ナトリウムである。無機塩類の例は、塩化ナトリウム、及び塩化マグネシウムである。着色剤の例は、橙205、赤201等の各種の着色剤である。抗菌・殺菌剤の例は、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、パラオキシ安息香酸エステル、及びフェノキシエタノールである。
【0054】
本実施形態の洗浄剤組成物は、シリコーン化合物を実質的に含有しなくてもよく、換言すれば、ノンシリコーンの組成物であってもよい。
【0055】
本実施形態の洗浄剤組成物は、典型的には、毛髪用である。毛髪には、人以外の動物の毛が含まれる。本実施形態の洗浄剤組成物は、例えば、シャンプー組成物に使用できる。シャンプー組成物は、通常、毛髪に付着させて泡立てることで使用できる。ただし、本実施形態の洗浄剤組成物の用途は、上記例に限定されない。
【0056】
本実施形態の洗浄剤組成物は、様々な剤型として調製可能である。剤型の例は、ローション状、クリーム状、ゲル状、泡状、ミスト状、及びスプレー状である。泡状(ムース状)の剤型に調製する場合には、噴射剤を配合してもよい。噴射剤の例は、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、ヘキサン、及び炭酸ガスである。
【実施例0057】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0058】
[洗浄剤組成物の評価法]
実施例及び比較例で作製した洗浄剤組成物は、以下のように評価した。
【0059】
(透明性)
洗浄剤組成物の透明性は、波長580nmの光の透過率により評価した。透過率は、光路長10mmのガラスセルを用いて分光光度計(島津製作所製、紫外可視分光光度計UV-1850)により測定した吸光度から算出した。透過率が90%以上である場合をきわめて良好(◎)、70%以上90%未満である場合を良好(〇)、35%以上70%未満である場合を可(△)、35%未満である場合を不可(×)とした。
【0060】
(安定性)
評価対象の洗浄剤組成物90gを、内容積100mLの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)製容器に充填した後、40℃の恒温槽で180日間保管した。保管中及び保管後の洗浄剤組成物について、分離が生じていないか、及び濁りの程度(濁度)に変化がないかを目視により確認した。確認は、容器に充填したまま実施した。180日経過後の時点において分離及び濁度の変化が確認できない場合をきわめて良好(◎)、180日経過後の時点において分離は確認できないが、濁度には変化が見られる場合を良好(〇)、90日の経過後に分離が確認された場合を不十分(△)、90日の経過前に分離が確認された場合を不可(×)とした。
【0061】
(コンディショニング効果)
コンディショニング効果は、以下のように評価した。
【0062】
1.評価用毛束の準備
株式会社ユーカリジャパン製人毛黒髪(YK-1B# 10’’)をブリーチ剤(タカラベルモント社製、エドル ブリーチ)によりブリーチ処理した後、水洗し、乾燥させて、評価用毛束を準備した。
【0063】
2.評価
準備した評価用毛束を、十分に濡らした後、各実施例及び比較例の洗浄剤組成物によりシャンプーした。すすぎ時の指通りの感触と、すすぎ時に感じる、水分や油分を毛髪が吸っているようなしっとりとしている感触とを、それぞれ、「すすぎ時の指通り」及び「すすぎ時のしっとり感」として官能評価した。また、シャンプー後の評価用毛束について、水気を切った後、以下の表1に示す組成で調製した毛髪化粧料を全体に塗布して再度水洗し、ドライヤーを用いて乾燥させた。乾燥後の毛束に感じられる、毛髪が内側から潤いで満たされた感触及び柔らかさの感触を、それぞれ、「乾燥後の潤い感」及び「乾燥後の柔らかさ」として官能評価した。官能評価は、10名のパネラーにより実施した。各評価項目における判断基準は、次のとおりである。
【0064】
<すすぎ時の指通り>
すすぎ時の指通りが良いと評価したパネラーの人数が8名以上であった場合をきわめて良好(◎)、6~7名であった場合を良好(○)、4~5名であった場合を不十分(△)、3名以下であった場合を不可(×)とした。
【0065】
<すすぎ時のしっとり感>
水分や油分を毛髪が吸っているようなしっとりとした感触があると評価したパネラーの人数が8名以上であった場合をきわめて良好(◎)、6~7名であった場合を良好(○)、4~5名であった場合を不十分(△)、3名以下であった場合を不可(×)とした。
【0066】
<乾燥後の潤い感>
毛髪の内部から潤いで満たされているような感触があると評価したパネラーの人数が8名以上であった場合をきわめて良好(◎)、6~7名であった場合を良好(○)、4~5名であった場合を不十分(△)、3名以下であった場合を不可(×)とした。
【0067】
<乾燥後の柔らかさ>
柔らかさを感じると評価したパネラーの人数が8名以上であった場合をきわめて良好(◎)、6~7名であった場合を良好(○)、4~5名であった場合を不十分(△)、3名以下であった場合を不可(×)とした。
【0068】
【表1】
【0069】
以下の表2A,表2B,表2C及び表3に示す組成を有する洗浄剤組成物を、各成分を混合することで作製した。各表の「成分」の欄におけるA~Cの表記は、それぞれ、成分(A)~(C)に対応する。また、各表における成分の含有率の単位は重量%であり、空欄は当該成分を含有しないことを意味している。
【0070】
【表2A】
【0071】
【表2B】
【0072】
【表2C】
【0073】
【表3】
【0074】
表2A,表2B,表2C及び表3に示すように、実施例の洗浄剤組成物は、比較例に比べて、毛髪に対するコンディショニング効果に優れながら、安定性及び透明性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の洗浄剤組成物は、シャンプーをはじめとする各種の商品に使用できる。