(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083226
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】組織識別のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20230608BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61B5/00 A
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185541
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】21212316
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ノイゲバウアー
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ・ダンマイアー
【テーマコード(参考)】
4C117
4C160
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB09
4C117XB11
4C117XE33
4C117XJ03
4C117XL01
4C160KK62
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体組織に対する外科的作用時および作用中における自動組織認識を改善する。
【解決手段】セラグノスティックシステムは、外科ステーション10と、記憶装置に大量のデータを含む記憶処理装置17とを備え、記憶装置には、患者データと、例えば電気的特徴Eおよび光学的特徴Oの形態の処置データとが組み合わされている。電気的特徴Eは、器具11に供給される電圧および電流の電気的パラメータから導き出される。光学的特徴は、組織13に作用を及ぼすと生成されるスパーク15の光から導き出される。例えばデータベース内で、電気的特徴Eと光学的特徴Oとを組み合わせることによって、器具が良性組織に作用を及ぼしているのか、悪性組織に作用を及ぼしているのかを高い信頼性をもって自動的に決定できる。電気的特徴Eおよび光学的特徴Oに加えて組織学的データがデータセットに加えられることから、機械学習によって予測精度を高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科器具(11)の電極(12)と生体組織(13)との間に生成されたスパーク(15)から発した光を受けるための受光装置(18)と、
受けた前記光の少なくとも1つの光学的特徴(O)を決定する光分析装置(19)と、
前記器具(11)の前記電極(12)に電流(i)を供給するために前記器具(11)に供給する電圧(u)を供給するためのジェネレータ(14)と、
少なくとも1つの電気的特徴(E)を決定するための検出装置(16)と、
出力装置(23)と、を少なくとも含む、
少なくとも1つの外科ステーション(10)と、
前記少なくとも1つの光学的特徴(O)に基づいて、また、前記光学的特徴(O)が組織識別には不十分である場合は追加的にまたは代替的に前記少なくとも1つの電気的特徴(E)に基づいて、組織ラベル(L)を決定し、出力するために前記組織ラベル(L)を前記出力装置(23)に送信する記憶処理装置(17)と、を備える
セラグノスティックシステム。
【請求項2】
前記光分析装置(19)は、スペクトル、スペクトルの一部、または、スペクトルもしくはスペクトルの一部から導き出されたパラメータを光学的特徴(O)として決定するスペクトル分析装置を含む
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光分析装置(19)または前記記憶処理装置(17)は、スペクトル、スペクトルの一部、または、スペクトルもしくはスペクトルの一部から導き出されたパラメータのための品質推定器(24)を含むか、または前記品質推定器(24)に接続される
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記品質推定器は、少なくとも1つのスペクトル線(O1)またはスペクトル領域(O1、O2)の信号対ノイズ距離を決定する
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記記憶処理装置(17)は、前記スペクトルが十分な品質を有していない場合、前記光学的特徴(O)をあまり考慮せず、または考慮することなく、前記電気的特徴(E)に基づいて前記組織ラベル(L)を決定する
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、組織識別子(T)を入力することができる入力装置(22、28)を備え、前記入力装置(22、28)は、前記組織識別子(T)を送信するために前記記憶処理装置(17)に接続される
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記記憶処理装置(17)は、光学的特徴(O)と電気的特徴(E)とのセットが少なくとも1つの組織ラベル(L)にそれぞれ割り当てられたデータ集合体を含む
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記組織識別子(T)は、前記少なくとも1つの入力装置(22、28)によって行われた入力に基づいて規定される
請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記記憶処理装置(17)は、前記外科ステーション(10)の一部である
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ジェネレータ(14)は、前記光学的特徴(O)に基づいた少なくとも1つの動作パラメータに関して制御される
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記ジェネレータ(14)が、前記光学的特徴(O)により信頼性のある組織識別が可能でない第1動作モード(M1)で動作する場合、前記光学的特徴に基づいて組織識別が可能である第2動作モード(M2)で少なくとも短期間動作するように構成される
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、複数の外科ステーション(10)を備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記記憶処理装置(17)の一部(26)は、データ送信装置(25)を介して前記外科ステーション(10)に接続される
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記記憶処理装置(17)は、前記外科ステーション(10)の外部に位置する入力装置(28)に接続される
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
電気外科器具(11)の電極(12)と生体組織(13)との間に生成されたスパーク(15)から発した光が受光装置(18)によって受けられ、
受けた前記光から少なくとも1つの光学的特徴(O)が光分析装置(19)によって決定され、
前記器具(11)の前記電極(12)に電流(i)を供給するために前記器具(11)に供給する電圧(u)が、ジェネレータ(14)によって供給され、
少なくとも1つの電気的特徴(E)が検出装置(16)によって決定され、
前記少なくとも1つの光学的パラメータ(O)および/または前記少なくとも1つの電気的パラメータ(E)に基づいて、組織特性(L)が決定され、前記出力装置(23)に送信される
セラグノスティック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置(治療)および組織識別(診断)のための統合治療診断システム(セラグノスティックシステム)に関する。特に、本発明は、外科的介入中に組織特徴、特にその良性または悪性を認識するためのセラグノスティックシステムに関する。さらに、本発明は、処置された組織についての情報を得るために、手術前、手術中および/または手術後のデータを評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、電極に高周波交流電圧を供給するジェネレータに接続された当該電極を有する外科器具を備える装置が知られている。電極と生体組織との間に、光を生じるスパークが保持される。この光は、受光装置によって受けられ、スペクトル分析を行う分析装置に供給される。生成されたスペクトルから、任意選択でさらにパターン認識によって、およびデータベースに記憶された光特徴との比較によって、組織が無害な良性組織であるのか、変性した悪性組織であるのかを結論付けることができる。これは、外科医に示すことができる。
【0003】
さらに、特許文献2から、極短高周波スパークによって組織をコールドアブレーションするための医療器具が知られている。スパークから生じる光は、制御信号を生成し、かつ検出されたスペクトルに基づいた組織区別を可能にするために、スペクトル分析器に供給される。
【0004】
特許文献3は、血管からプラークをアブレーションするためのカテーテルを開示している。プラークのアブレーションに用いられるスパークは、光ファイバを介してセンサに供給される光を生成する。このセンサは、プラークを生体細胞と区別するために蛍光体ラインを検出する。
【0005】
特許文献4から、複数のポイントのデータを組み合わせるネットワークが明らかである。カメラ画像および他のセンサデータ、ならびに医療処置の状況に関するデータが、データの一部である。
【0006】
特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13および特許文献14から、さらなる先行技術が明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2659846号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0213704号明細書
【特許文献3】国際公開第2011/055369号
【特許文献4】欧州特許出願公開第3319313号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10392791号明細書
【特許文献6】独国特許発明第19860689号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0326383号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第4231677号明細書
【特許文献9】国際公開第02/19243号
【特許文献10】米国特許第6026323号明細書
【特許文献11】国際公開第03/020119号
【特許文献12】欧州特許出願公開第0650694号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第102020105853号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2019/0223728号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スパークから生じる光を分析することによって組織認識を実現している間、信頼性のある組織認識を困難にする不確実性が生じる。
【0009】
本発明の目的は、生体組織に対する外科的作用時および外科的作用中における自動組織認識を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の装置および請求項15に記載の方法によって達成される。
【0011】
本発明による装置は、外科ステーションと、外科ステーションで得られたデータを処理するための記憶処理装置とを備える。記憶処理装置は、外科ステーションの一部にすることができるか、または、伝送ネットワークを介して外科ステーションに接続された、外科ステーションから遠隔に配置された別個の装置にすることができる。装置は、特に、データ伝送装置、例えばネットワークによって共通の記憶処理装置に接続されるか、または接続され得る複数の外科ステーションを備えることもできる。
【0012】
生体組織に対して外科的な方法で作用を及ぼすのに適した少なくとも1つの電気外科器具が、外科ステーションの一部である。この目的のために、器具は、少なくとも1つの電極を含む。さらに、外科的効果をもたらすのに適した電流、通常、100kHzを超える、好ましくは300kHz以上の周波数を有する高周波電流を、器具、特にその電極に供給するための少なくとも1つのジェネレータが、外科ステーションの一部である。ジェネレータによって供給され、器具の電極に供給される電圧は、通常、100ボルトを超え、数1000ボルトまでの範囲にあり、電流と同様に高周波である。高周波電圧は、異なる外科的効果を得るために選択可能に変調することができる。さらに、電力、最大電流量、変調などの他の様々なパラメータを調整することができる。異なる外科的効果をもたらすためのジェネレータのそのような事前設定は、「モード」として示される。
【0013】
さらに、電極と組織との間に生成されたスパークから発した光を受ける検出装置が、外科ステーションの一部である。この光は、同様に外科ステーションの一部であり、かつ受けた光の少なくとも1つの光学的特徴を検出する光分析装置に供給される。光学的特徴は、特に、スペクトル特徴、例えば特性スペクトル、特性スペクトルの一部、特性スペクトルの単一波長、または、スペクトルから導き出された1以上のパラメータにすることができる。外科ステーションは、さらに、電気的特徴を生成するための検出装置を含む。電気的特徴は、電流量、電流の変動、電極に印加された電圧、電圧の変動、電流および/もしくは電圧の変調、結果として生じるクレストファクタ、組織のインピーダンス、組織抵抗およびスパーク抵抗からなる直列回路のインピーダンス、電力入力、エネルギー入力、電流と電圧との位相角、または、これらのパラメータのうちの1以上から導き出された算出パラメータにすることができる。
【0014】
光学的特徴および電気的特徴は、記憶処理装置に提供される。光学的特徴から、必要に応じて追加的にまたは代替的に電気的特徴から、記憶処理装置は、利用可能なデータとの比較によって組織ラベルを決定し、その組織ラベルを外科ステーションの出力装置に示すために出力装置へ送信する。組織ラベルの決定、すなわち組織識別のために、本発明によるシステムは、主に光学的特徴を用いる。光学的特徴のみに基づいて信頼性のある組織識別が不可能である場合、システムは、追加的にまたは代替的に(二次的に)電気的特徴を用いる。その際、組織識別は、光学的特徴のみまたは電気的特徴のみを用いる場合よりも広い範囲において信頼性および利便性が著しく高い。
【0015】
組織ラベルは、スパークに接触している処置された組織が悪性組織であるのか、良性組織であるのかを示す信号である。電極が良性組織と相互作用しているのか、悪性組織と相互作用しているのかを外科医または別の処置者に示すために、出力装置は、光学、聴覚または触覚出力装置にすることができる。したがって、腫瘍切除の場合、外科医または別の処置者は、腫瘍の内部を切るのか、腫瘍の外部を切るのかの情報を得る。記憶処理装置が組織特性の光学的特徴だけでなく電気的特徴、実際、特に、スパークに密接に関係する電気的特徴も考慮していることから、先行技術から知られているように、組織区別は、より選択的かつより正確になり得る。
【0016】
光分析装置は、スペクトル、スペクトルの一部、または、スペクトルもしくはスペクトルの一部から導き出されたパラメータを光学的特徴として決定するスペクトル分析装置を含むことが好ましい。この目的のために、外科ステーションは、ローカル処理装置を含むことができる。基準スペクトルが記憶される記憶処理装置が、外科ステーションの外部に設けられる場合、光学的特徴の決定は、ローカルで行われ、スペクトル全体ではなく光学的特徴のみが、遠隔の記憶処理装置に送信される。これにより、データ伝送の労力が軽減され、ひいては、システム全体の反応速度が高まる。
【0017】
さらに、スペクトル分析装置は、生成された光学的特徴の信頼性を評価し、かつ生成された評価を光学的特徴に割り当てる品質推定器を含むことができる。品質推定器は、生成された光学的特徴を評価するための品質基準を用いる。品質基準は、光学的特徴が生成される方法に依存し得る。例えば、光学的特徴は、1以上のスペクトル線またはスペクトル領域、および、特に、バックグラウンドノイズから突出しているそれらの最大強度、すなわちピークを評価することができる。例えば、典型的なピークは、カルシウム線、マグネシウム線、亜鉛線、または、分子断片、例えばCN、N2
+、CH、CC、NHなどに基づく帯域にすることができる。そのようなスペクトル線またはピークがバックグラウンドノイズからかすかにしか突出していない場合、これらのピークに基づく生成された光学的特徴は、低品質なものにすぎない。しかしながら、探索された線がはっきりと突出している場合、光学的特徴の品質は高い。品質推定器によって提供される品質基準は、デジタル信号(有効/無効)またはさらにアナログ信号、例えば、光学的特徴の有意性の評価のために用いることができる0~1の値にすることができる。
【0018】
好ましい実施形態では、品質基準が、光学的特徴の信頼性が低いか、またはないことを示した場合、記憶処理装置は、光学的特徴をあまり考慮せず、または考慮することなく、電気的特徴に基づいて組織ラベルを規定する。その際、劣った(すなわち低い特性の)スペクトルでも、依然として組織区別は可能である。さらに、記憶処理装置は、出力された組織ラベルの信頼性が低下していることを処置者に示すために、外科ステーションに送信し、かつ外科ステーションの出力装置で出力できる警告信号を供給することができる。
【0019】
本発明によるシステムは、異なるデータを組み合わせてデータ集合体にすることができる自己学習システムとして構成することができる。例えば、処置対象の組織(例えば、筋組織、脂肪組織、肺組織や、肝臓組織、腎臓組織などの臓器組織)のタイプを記憶処理装置に入力することができる入力装置を外科ステーションに設けることができる。入力装置は、追加的に設け、患者データなどの追加データ、例えばメタデータを記録し、それを記憶処理装置に転送することができる。入力装置は、それぞれのデータを挿入またはインポートすることができるデータ用特定入力マスクを置き換えることで特定のデータを入力する。
【0020】
記憶処理装置は、さらに、手術中に生成された光学的特徴および電気的特徴を記録することができる。さらに、入力装置は、記憶処理装置に提出され、かつ光学的特徴および電気的特徴に関連している組織学的発見を入力できるように構成することができる。生じた生データセットは、次いで、さらなる使用の間に記憶処理装置によって検証することができ、最終的に、後の手術における組織識別のための参照データセットとして用いることができる。データセットは、具体的には、個々の患者に、またはさらに特定のタイプの患者もしくはクラスに提供することができる。患者またはクラスのタイプは、性別、年齢、体重、全身状態、基礎疾患、物質中毒または同様の基準によって規定することができる。
【0021】
データベースを満たすよう実験データを用いるために、外科ステーションの外部にそれぞれの入力装置を設けることもできる。例えば、体外培養された組織は、組織学的に検査することができ、また、生成された電気的特徴および光学的特徴を決定し、それによって当該特徴をデータベースに記憶するために、研究所にて電気器具を用いてテスト目的で処置することができる。
【0022】
さらに、光学的特徴に基づいた少なくとも1つの動作パラメータに関して、ジェネレータの動作を制御することが可能である。例えば、このように、電圧、電流、変調形式、変調度、パルス休止変調の場合のパルス休止比、クレストファクタ、生体組織への電力入力および/またはエネルギー入力を制御することができる。それによって、光学的特徴および電気的特徴に起因する発見の良好な信頼性が得られるように、光学的特徴ができるだけ高い品質を有するようジェネレータを制御することが特に可能である。
【0023】
また、所望の外科的効果をもたらすための外科医の要求に基づいてジェネレータを制御することも可能であり、これは、例えば第1動作モードにおけるものである。この動作モードでは、低品質でしか光学的特徴が生成されないことが起こり得る。そのため、システムは、外科医によって要求も調整もされないが光学的特徴の品質が高い第2動作モードにおいて、ジェネレータを短期間動作させることをさらに規定することができる。この動作モードへの切替えは、外科医が主観的に、自分が案内した器具の修正された挙動を認識しない、または少なくとも、自分が所望した組織への外科的効果に関する著しく修正された挙動は全く認識しないような短期間に行われることが好ましい。第2動作モードにおいて、電圧、電流、電力、クレストファクタ、波形などのような電気的パラメータは、短期間、すなわち、100ミリ秒未満、好ましくは10ミリ秒未満、さらに好ましくは1ミリ秒未満で修正することができる。その変更は、生成されたスペクトルの有意性が改善される変更であることが好ましい。ジェネレータは、周期的にまたはイベントに基づいて時々この修正を行うことができる。
【0024】
本発明によるシステムは、外科ステーションをセラグノスティッククラウドに関連付けることを可能にする。外科ステーションでは、光学的特徴は、光分析装置によって生成され、クラウドに提供される。クラウドでは、統合自己学習データ分析が行われる。したがって、外科ステーションおよび外科医の行動を監視することができ、また、動的に、最良の場合では患者特異的に、適応させることができる。また、手術ロボットを完全にまたは部分的に自動制御することができる。中央入力アノテーションシステムおよびローカル入力アノテーションシステムを、データソースとして使用することができる。クラウドベース・セラグノスティック・システムは、機械学習に基づくデータ処理部を有するクラウドベースデータ記憶装置を備える。データ記憶装置は、発光スペクトル、生体インピーダンスデータ、および/または、組織病理学的識別もしくは別の追加的識別を伴った臨床的に関連する組織からのさらなる電気的データを、ローカルデータベースまたは直接外科ステーションから定期的に受信する。さらに、OESクラウド(Optical Emission Spectroscopy cloud)は、個々のデータ、すなわち、手術の電気的データ、生体インピーダンス、発光スペクトルを手術室から受信する。RF手術を用いる手術の場合、システムは、外科カメラ、手術室ロボットなどの周辺装置、ならびに、センサ画像システム、および/または超音波光干渉断層撮影、拡散電気断層撮影、インピーダンス断層撮影、弾性撮像などのような診断撮像からのデータを、直接または手術室管理システムを介して連続的に決定する。さらに、システムは、無効のシステムデータ、特に、乱されないセラグノスティックに必要なRF手術システムデータの蓄積を識別してもよい。無効のシステムデータが頻繁にまたはより長い期間決定された場合、それぞれの警報信号が出力されてもよい。組織認識は、電気的特徴および光学的特徴に基づいた診断のための連続的なデータ入力およびその分類によって連続的に改善される。これは、機械学習アルゴリズムによって行うことができる。生成された電気的特徴および光学的特徴から、ロボット支援手術のための管理パラメータを生成し、端末装置にライブで送ることができる。さらに、記憶処理装置は、組織特徴および患者特性に関連した電気的特徴および光学的特徴のライブラリを維持することができ、進行中の介入に対してジェネレータの最適調整(RF調整)を提案することができる。したがって、オーダーメイド医療が可能である。
【0025】
本発明によるセラグノスティックシステムの詳細は、以下の図を有する図面を用いた以下の実施形態の説明から導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、単純なローカル・セラグノスティック・システムの概略図である。
【
図2】
図2は、クラウドベース・セラグノスティック・システムの概観図である。
【
図3】
図3は、光学的特徴を生成するためのスペクトルである。
【
図4】
図4は、組織特徴を決定するためのデータ集合体の図である。
【
図5】
図5は、改良されたジェネレータを有するセラグノスティックシステムの図である。
【
図6】
図6は、
図5によるジェネレータのジェネレータインパルスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、特にデータの取得および処理に関する外科ステーション10を非常に概略的な図で示す。外科ステーション10は、手術室のさらには図示されていない構成要素を含む。特に、外科ステーション10は、外科的介入中に生体組織13に作用を及ぼすための電極12を有する外科器具11を含む。器具11の電極12には、ラインを介して器具11に提供されるジェネレータ14から、処置電圧uおよび処置電流iが供給される。処置電圧uおよび処置電流iは、100kHzを超える、例えば300kHzもしくは400kHzの周波数を有する、または別の適切な周波数の高周波であることが好ましい。処置電圧uおよび処置電流iは、組織13と相互作用し、かつ組織13で凝固、切断または別の効果などの所望の外科的効果をもたらすスパーク15が電極12で生成されるように供給されることが好ましい。
【0028】
ジェネレータ14は、少なくとも1つの電気的特徴Eを決定する検出装置16を介して処置電圧uおよび処置電流iを供給する。そのような電気的特徴Eは、処置電流、処置電圧、可変処置電圧周波数の場合の処置電圧もしくは処置電流の周波数、処置電圧の変調度、処置電圧の変調形式、パルス/休止変調された処置電圧もしくは処置電流の場合のパルス/休止比、組織インピーダンス、スパークインピーダンスの非線形性、例えば実際の交流電圧の測定された直流部分から生じるスパークセンサ値、これらのパラメータの組合せ、または、これらのパラメータのうちの1以上の組合せから導き出されたパラメータにすることができる。電気的特徴Eは、また、そのようなパラメータの倍数を含むこともできる。電気的特徴Eは、記憶処理装置17に提供される。
【0029】
外科ステーション10は、さらに、スパーク15から発した光を特に受ける受光装置18を含む。受光装置18は、器具11の一部にすることができるか、または器具11とは別に実現することもできる。受光装置18は、器具11の一部にし得るか、あるいは、
図1に概略的に示したように光ファイバ20を介して受光装置18に接続し得る、光分析装置19に接続される。光分析装置19は、取り込まれたスパーク光から1以上の光学的特徴Oを決定する。
【0030】
光学的特徴は、スパーク光のスペクトル分析および/またはスペクトル分析の評価によって生成することができる。光学的特徴は、スペクトル自体、すなわち、スパーク光のスペクトルまたはそのスペクトルの一部を表す光信号またはデータにすることができる。光学的特徴Oは、例えば記憶処理装置17に提供される複数の個々の特徴O1、O2、…Onを含むことができる。また、電気的特徴Eは、複数の個々の電気的特徴E1、E2、Enを含むことができる。個々の光学的特徴O1、O2、…Onは、例えば、スパーク光のスペクトルSに生じる特定の波長λ1、λ2、…λnの強度にすることができる。個々の光学的特徴O1、O2、Onは、カルシウム、マグネシウム、亜鉛の原子輝線、またはさらに、CN、N2
+、CH、CC、NHなどのような特有の分子断片の輝線、発光帯域またはスペクトル部分のような、特有の化学元素の特定の輝線に基づくことができる。
【0031】
記憶処理装置17は、1以上の外科ステーション10から提供されたデータを順序付けられた方法で記憶する大容量記憶装置21を含む。例えば、データは、
図4に示されたような表によって整理することができる。この表には、電気的特徴Eおよび光学的特徴Oが含まれている。電気的特徴Eおよび光学的特徴Oは、異なる患者P(P
1、P
2、P
3…P
n)および異なる組織タイプT(T
1、T
2、T
3…T
n)に割り当てることができる。患者P
1~P
nは、共通の特徴、例えば、年齢、体重、体脂肪率、病状などによって分類される個々の患者または特定の患者群にすることができる。
図4による表は、そこに示されていない追加項目を含むことができる。
【0032】
図4の表によるデータセットを大容量記憶装置21内に生成するために、記憶処理装置17は、組織13に対する外科的作用中に生じる電気的特徴Eおよび光学的特徴Oと同様に疾患特性K(K
1、K
2…K
n)を患者または患者群に割り当てることができる入力部22に、接続することができる。さらに、悪性組織mが存在するのか、良性組織bが存在するのかを示すラベルLを各データセットに割り当てることができる。
図4の表に示された1行がそれぞれデータセットと見なされる。しかしながら、既に言及したように、表は、示されたものより多くの列および行を有することができ、著しくより多くのデータ、例えば、使用された器具、装置、装置の調整、処置者などを含むことができる。
【0033】
さらに、記憶処理装置17は、スパーク15が接触した組織のラベルに関して外科医に示唆するディスプレイおよび/または聴覚装置23に接続することができる。さらに、記憶処理装置17は、推定器24を含むことができるか、または推定器24に接続することができ、推定器24は、一部が光分析装置19に接続され、光学的特徴O、またはいずれの場合も光学的特徴Oの有意性を特徴付ける別の信号のどちらかを光分析装置19から受信する。推定器は、例えば、
図3から明らかなバックグラウンドノイズGと個々の光学的特徴O
1、O
2~O
nとの信号/ノイズ距離または信号/ノイズ比を特徴付けることができる。すべてのまたは個々の光学的特徴O
1~O
nをバックグラウンドノイズGと十分区別することができない場合、光学的特徴Oの信頼性は著しく低下し、ゼロまで落ち得る。
【0034】
推定器24は、それぞれの信号、
図1に示された最も単純な場合ではyes-no信号を記憶処理装置17に供給する。
【0035】
推定器はまた、信号/ノイズ比の代わりに、記録されたスペクトルの2以上の光学的特徴が互いに対して考慮された信号/信号比を規定することもできる。この比が予め規定された限界値を下回るか、もしくは上回る、または、予め規定された範囲内にある場合、スペクトルは、有効または無効と評価される。
【0036】
単純な変形例において、推定器24は、また、品質を評価するために1以上の光学的特徴の強度のみを用いることもできる。そのため、強度は、光学的特徴の最大値および規定された波長範囲内における光学的特徴の積分にすることができる。決定された値が予め規定された限界値を上回るか、もしくは下回る、または、予め規定された範囲内にある場合、スペクトルは、有効または無効と評価される。
【0037】
推定器24は、また、非生体物質との相互作用を示す特定の光学的特徴の有無を確認することもできる。特に、金属の光学的特徴は、他の外科装置、例えば金属クランプとの意図しない相互作用を特徴付け、かつこれらのスペクトルを無効と評価するために、これに適している。
【0038】
さらに、別のタイプの推定器24を使用することができる。例えば、推定器24は、検出されたスペクトルを、サンプルストックの一部である多くの異なるスペクトルと比較することができる。これは、パターンマッチング、相互相関分析、類似性分析または他の方法によって行うことができる。取り込まれたスペクトルが、提供されたサンプルスペクトルのうちのいずれにも相関性がない、または類似していない場合、推定器24は、そのスペクトルは信頼性がないと特徴付けることができる。
【0039】
また、評価の品質を高めるために、本明細書にて個別に述べてきた推定器を任意の方法で互いに組み合わせる可能性もある。
【0040】
これまで説明された外科ステーション10は、例えば、以下のように動作する。
【0041】
まず、特定の患者または患者群への患者の所属P
1またはP
2…またはP
nが記憶処理装置17に示された。この提示は、患者に取り付けられた識別子、バーコード、番号、患者カードによって、またはさらに患者識別、例えば名前の手動入力によって、入力装置22を用いて行うことができる。例えば、患者は、
図4の図の一部である患者群P
2の一部であると仮定される。これは、この患者に対して、当該患者の患者群に割り当てられたそれらのデータセットのみが考慮に値することを意味する。ここで手術が始まる場合、電気的特徴Eおよび光学的特徴Oが決定される。さらに、少なくとも選択肢として、作用を受ける組織タイプ、例えば肺組織T
1を入力しておくことができる。これは、
図4によるこの例において、最初の3つのデータセット(最初の3つの線)のみがその後の分析において考慮に値することを意味する。ここで、電気的特徴Eおよび光学的特徴Oが検出され、図示されるように実際には著しくより多くの線およびデータセットを含む
図4の表と比較される。個々の電気的特徴E
1~E
nおよび光学的特徴O
1~O
nに基づき、ここで、スパーク15が接触した組織には悪性ラベルmを付与しなければならないのか、良性ラベルbを付与しなければならないのかを、比較的高い信頼性をもって結論付けることができる。そして、対応する提示は、提示装置23によって行うことができる。
【0042】
さらに、特に大量のデータおよびデータセットを用いて、疾患K
1~K
nのような追加の制約、または追加の影響パラメータを考慮することができ、そのため、
図4によるデータセットに入力することができる。
【0043】
手術中、
図1によるシステムに組織の組織学的発見を示し、ひいては、電気的特徴Eと、光学的特徴Oと、関連付けられたラベルLとの間の関係をそれぞれ形成する追加のデータセットを生成することが可能である。その際、システムは、使用期間が長くなるにつれてより多くのことを学習することができ、その予測の精度を高めることができる。
【0044】
さらに、推定器24により、システムは、不確かな光学的特徴Oに基づく誤った提案を行わないようにすることができる。光学的特徴Oの信頼性が低下する場合、または最終的にその信頼性がない場合、システム、すなわち記憶処理装置17は、他の存在する特徴との関係における電気的特徴Eのみに基づき、いくらかの信頼性をもって有効なラベルL(すなわちmまたはb)を依然として出力することができる。
【0045】
これまで説明されたシステム10は、また、
図2による複数の外科ステーション10を備えることができ、それらの外科ステーション10は、データリモート接続部25を介して、クラウド26として示された、記憶処理装置17の中央集中部分に接続される。各外科ステーション10内に残っている記憶処理装置17の一部は、ローカル処理装置27によって実現される。現在の実施形態において、ローカル処理装置27は、また、例えば、患者、その病状、組織学的発見などに関する入力を外科ステーション10内で行うことができる入力装置28を含む。処理装置27がこれらの症状を完全にまたは部分的にクラウド26に伝える。また、処理装置27は、電気的特徴Eおよび光学的特徴Oを完全にまたは部分的にクラウド26に伝える。受信された患者特性ならびに電気的特徴Eおよび光学的特徴Oは、
図4によるデータ集合体に基づいてクラウド26内で分析され、処置された組織の良性または悪性を特徴付けるためのそれぞれのラベルが処理装置27に送り返される。結果は、光学的、聴覚的または触覚的に外科医に知らせることができる。
【0046】
図1による外科ステーション単独、または、クラウド26に接続された
図2による複数の外科ステーション10は、治療および診断をサポートするセラグノスティックシステムを規定する。
【0047】
図1または
図2による外科ステーション10は、さらに、記憶処理装置17とジェネレータ14との間にフィードバックを含むことができる。例えば、器具11から組織13への電力伝送、電圧、電流、変調形状、電圧もしくは電流の波形、または他の電気的パラメータのようなジェネレータ14の電気的パラメータは、決定された電気的特徴Eおよび/または光学的特徴Oに応じて変えることができる。例えば、これは、誤った処置を避けるか、または診断可能性を高めるためのものである。例えば、システム10は、ジェネレータ14のスイッチを切るか、または、悪性組織に接触していると決定された場合に、ジェネレータ14を別の、例えばさらに、より高い電力レベルに制御することができる。また、システム10は、光学的特徴Oの有意性が高まるように、電気的パラメータを永久に、一時的に、またはさらに非常に短い期間のみ、散発的または繰り返し修正することができる。例えば、光学的特徴Oの有意性が低い第1モードM1において、これを非常に短い期間、例えば数ミリ秒、光学的特徴Oのより高い有意性をもたらす別のモードM2に切り替えることができる。切替えは、短期間の電圧変動または変調変更によって行うことができる。この目的のために設けられたフィードバック29は、
図4によるデータセットにおいて、さらに、光学的特徴Oの信頼性を特徴付ける、電気的特徴Eおよび光学的特徴Oに関連付けられた症状Kが記憶される場合、特に有効である。
【0048】
図5は、外科ステーションのジェネレータ14の本質的な部分を示し、ジェネレータ14は、組織を特徴付ける光信号の品質を改善する。次いで、このジェネレータ14は、器具11を動作させ、器具11は、一方では、組織13に作用を及ぼすスパーク15によって外科的効果をもたらし、他方では、受光装置18およびライン20を介して光分析装置19に供給される光を生成する。
【0049】
図5によるジェネレータ14の特殊性は、ジェネレータ14が、モノポーラまたはバイポーラのRF振動を共に生成する個々のインパルスI
1、I
2、I
3、I
4、I
5、I
6…を出力することである。この目的のために、ジェネレータ14は、インパルス発生器14aと、個々のインパルスI
1~I
6それぞれをトリガするクロック信号TSを一方のインパルス発生器14aに供給するクロック14bとに分離される。他方では、クロック14bは、それぞれ生成された個々のインパルスI
1~I
6…の量を規定する振幅信号Aをインパルス発生器14aに供給する。インパルス発生器は、出力インパルスを出力するためにそれぞれ同時にまたは異なる時点でトリガされ得、かつ、クロック信号を受信して単一の出力インパルスを出力する1以上のフライバックコンバータを含むことができる。複数のフライバックコンバータによって複数の出力インパルスが同時に出力されることから、個々のフライバックコンバータの出力インパルスが加算されるため、より高い出力インパルスが生成される。
【0050】
そのため、クロック14bは、所望の外科的効果がもたらされるようにクロック信号TSおよび振幅信号Aを規定する。例えば、一定の振幅Aを有するRFインパルスシーケンスが生成される場合、クロック信号TSのシーケンスが、一定の振幅信号Aでインパルス発生器14aに供給される。しかしながら、所望の外科モードにおいて、一定振幅のインパルスを有する断続したインパルスシーケンスが必要とされる場合は、それぞれ断続したクロック信号TSのシーケンスが、一定の振幅信号Aでインパルス発生器14aに供給される。
【0051】
図5に示されたジェネレータ14の特殊性は、光分析装置19および推定器24への接続である。両者は、上に説明された原理のうちのいずれによっても動作することができる。しかしながら、推定器24は、さらに、モードカタログ記憶装置に接続され、モードカタログ記憶装置には、様々な治療法の一部である様々なインパルスシーケンスI
1…I
6…を特徴付けるモードデータセットが記憶される。特に、モードカタログ記憶装置30は、関連付けられたインパルスシーケンスが評価可能なスペクトルを提供するのにどの程度適しているかを示す識別子を、記憶されたモードデータセットごとに含む。特に、モードカタログ記憶装置には、有意性のあるスペクトルを生じるようなインパルスシーケンスI
3~I
5のデータが記憶される。例えば、外科医は、有意なスペクトルが不十分となる治療法を望む場合がある。その例において、これは、一定のインパルスI
1、I
2などのシーケンスによって示される。ここで、そのようなインパルスシーケンスの生成と、それから生じるスパーク15とにより光が出現する場合、光分析装置19によって決定されたそのスペクトルは、有意でないものとして推定器24によって分類され、このインパルスシーケンスに基づいて、信頼性のある光学組織分析を行うことはできない。しかしながら、
図5による実施形態では、モードカタログ記憶装置30が起動することによって、それぞれの信号がクロック14bに送られる。この信号は、より良好に評価することができるスペクトルを有する光出現が生じる、個々のインパルスまたは短いインパルスシーケンスI
3、I
4、I
5のどちらかに関する情報を含む。
図6には、結果として生じるインパルスシーケンスが示される。外科医によって所望されるモードでは、例えば5μsの繰り返し率で常に高い電圧インパルスI
1、I
2、I
6などのシーケンスが必要とされるが、クロック14bは、繰り返し間隔、例えば0.5秒ごとに中間インパルスシーケンスZを処置信号シーケンスI
1、I
2、I
6に挿入するよう制御される。
【0052】
中間インパルスシーケンスZは、同様のまたは異なる振幅を有し、かつ処置信号インパルスI1、I2、I6…I9と等しいまたは異なる間隔で出力される1以上のインパルスI3、I4、I5を含むことができる。中間インパルスI3~I5の数、間隔およびサイズは、最適な有意なスペクトルが生じるように規定されることが好ましい。中間インパルスシーケンスZの期間は、処置インパルスI1、I2およびI6~I9…から予想される外科的効果が修正されないか、わずかにしか修正されないか、または影響を受けないくらい短く規定されることが好ましい。
【0053】
本発明によるセラグノスティックシステムは、外科ステーション10と、適切な記憶装置に大量のデータを含む記憶処理装置17とを備え、記憶装置には、患者データと、例えば電気的特徴Eおよび光学的特徴Oの形態の処置データとが組み合わされている。電気的特徴Eは、器具11に供給される電圧および電流の電気的パラメータから導き出される。光学的特徴は、組織13に作用を及ぼすと生成されるスパーク15の光から導き出される。組織特徴、および選択肢として患者特性などの追加特徴も含むデータ集合体、例えばデータベース内で、電気的特徴Eと光学的特徴Oとを組み合わせることによって、器具が良性組織に作用を及ぼしているのか、悪性組織に作用を及ぼしているのかを高い信頼性をもって自動的に決定することができる。電気的特徴Eおよび光学的特徴Oに加えて組織学的データがデータセットに加えられることから、機械学習によって予測精度を高めることができる。好ましい実施形態では、これらのデータは、多くの外科ステーション10に接続されたクラウド26内に収集される。したがって、クラウド26内に、異なる外科ステーション10で生成されたデータを収集することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 外科ステーション
11 器具
12 電極
13 生体組織
14 ジェネレータ
14a インパルス発生器
I1、I6…I9 処置インパルス
I3…I5 中間インパルス
14b クロック
TS クロック信号
A 振幅信号
u 処置電圧
i 処置電流
15 スパーク
E 電気的特徴
16 電気的特徴Eのための検出装置
17 記憶処理装置
18 受光装置
19 光分析装置
20 光ファイバ
O 光学的特徴
P 患者識別子
T 組織識別子
21 大容量記憶装置
22 入力部
23 提示装置
24 推定器
25 データリモート接続部
26 クラウド
27 処理装置
28 入力装置
29 フィードバック
30 モードカタログ記憶装置
Z 中間インパルスシーケンス
【外国語明細書】