IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083229
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】不織布含浸外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20230608BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20230608BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20230608BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20230608BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230608BHJP
   A61K 31/727 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20230608BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20230608BHJP
   A61K 35/50 20150101ALI20230608BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230608BHJP
   D06M 15/15 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/98
A61Q1/10
A61Q19/00
A61K8/84
A61K8/81
A61K31/727
A61P17/02
A61P17/16
A61P29/00
A61P9/00
A61P43/00 105
A61P37/02
A61P39/06
A61P17/18
A61P7/02
A61P43/00 121
A61K35/50
A61K9/70 401
D06M15/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187325
(22)【出願日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2021197215
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】唐仁原 亨
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真由美
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C087
4L033
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA77
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC26
4C076EE03A
4C076EE24A
4C076EE31A
4C076FF02
4C076FF36
4C076FF63
4C076FF68
4C083AA032
4C083AA071
4C083AA072
4C083AB032
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC852
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD202
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD311
4C083AD312
4C083AD352
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC14
4C083DD12
4C083EE01
4C083EE12
4C083EE13
4C083FF04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA27
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA10
4C086ZA36
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB58
4C087MA02
4C087MA32
4C087MA63
4C087NA03
4C087NA05
4C087NA10
4C087ZA08
4C087ZA36
4C087ZA54
4C087ZA89
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZB21
4C087ZC37
4L033AA02
4L033AA05
4L033AA07
4L033AB07
4L033AC10
4L033AC15
4L033CA08
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的はヘパリン類似物質の安定性に優れた不織布含浸外用組成物を提供することである。また、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、製剤安定性に優れた不織布含浸外用組成物を提供することである。
【解決手段】
ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有する外用組成物を、特定の不織布に含浸させると、ヘパリン類似物質の安定性に優れ、また、経時的な着色を抑制することを見出した、すなわち、本発明の態様は、
(a)ヘパリン類似物質、及び(b)プラセンタエキスを含有する外用組成物を不織布に含浸させてなる不織布含浸外用組成物であって、不織布がパルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質を含む、不織布含浸外用組成物、である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヘパリン類似物質、及び(b)プラセンタエキスを含有する外用組成物を不織布に含浸させてなる不織布含浸外用組成物であって、不織布がパルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質を含む、不織布含浸外用組成物。
【請求項2】
(a)ヘパリン類似物質の含有量が、不織布に含浸させる外用組成物全量に対して0.01~5w/w%である請求項1に記載の不織布含浸外用組成物。
【請求項3】
(b)プラセンタエキスの含有量が、不織布に含浸させる外用組成物全量に対して0.01~5w/w%である請求項1又は2に記載の不織布含浸外用組成物。
【請求項4】
化粧料、医薬部外品、又は医薬品である、請求項1又は2に記載の不織布含浸外用組成物。
【請求項5】
シート状である、請求項1又は2に記載の不織布含浸外用組成物。
【請求項6】
フェイシャルマスク、又は目元用シートである、請求項5に記載の不織布含浸外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布含浸外用組成物に関する。さらに詳しくは、ヘパリン類似物質及びプラセンタエキスを含有する不織布含浸外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリン類似物質は、酸性ムコ多糖類の一種であり、皮膚に対する保湿効果や抗炎症作用、血流促進、瘢痕・ケロイドの治療や予防など幅広い効果があることから医薬品や医薬部外品などの外用製剤に配合されている。従来、ヘパリン類似物質の効果を向上させる検討は種々行われており、例えば、ヘパリン類似物質にベタイン類を併用することで、ヘパリン類似物質の角質水分保持増強作用とベタイン類の保湿作用が相乗的に作用し、肌荒れに対して顕著な改善・予防効果を示すことが知られている(特許文献1)。
【0003】
ヘパリン類似物質の皮膚への有用性が示される一方で、ヘパリン類似物質を配合した水溶液や軟膏について、ヘパリン類似物質が経時的に分解し安定性が低いことが明らかになっている。従来、ヘパリン類似物質の安定性を改善する製剤技術として、ヘパリン類似物質にポリデキストロース、マンニット及びコンドロイチン硫酸などを配合する方法等が報告されている(特許文献2)。
【0004】
プラセンタエキスはブタ、ウシ、ウマ、ヒト又はヒツジなどの哺乳動物の胎盤から抽出されたエキスである。哺乳動物の胎盤組織には、胎児の成長に不可欠な栄養素であるアミノ酸、活性ペプチド、ビタミン、ミネラル、糖類、酵素、核酸などが豊富に蓄えられており、前記哺乳動物の胎盤から抽出されたエキスをプラセンタエキスという。前記プラセンタエキスには、細胞増殖作用、免疫力の向上、血圧の改善、抗酸化作用、抗炎症作用、鎮痛作用、血液凝固抑制作用などの効用があり、美白効果化粧品などの化粧品、疲労回復効果飲料などの健康補助食品、アンチエイジング薬などの医薬品などに原料として使用されている(特許文献3)。
【0005】
コスメティック分野において使用される不織布の材質はパルプ、コットン、キュプラ、レーヨン、レーヨンと合繊、パルプを組み合わせた物などが知られている。不織布と薬液を異なるコンパートメントに入れ、使用時に不織布を湿潤させるというものが知られている(非特許文献1)。
また、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを配合した化粧料として、2019年5月にアドライズ(登録商標) アクティブローションが発売されている。しかし、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを配合した不織布含浸外用組成物は知られておらず、当該成分を配合する製剤を不織布へ含浸することによる安定性への影響は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-143486号公報
【特許文献2】特開平2-282331号公報
【特許文献3】特開2011-160742号公報
【非特許文献1】機能紙研究会誌 50号 57-62 2011.10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的はヘパリン類似物質の安定性に優れた不織布含浸外用組成物を提供することである。また、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、製剤安定性に優れた不織布含浸外用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有する外用組成物を、特定の不織布に含浸させると、ヘパリン類似物質の安定性に優れることを見出した。また、経時的な着色を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)(a)ヘパリン類似物質、及び(b)プラセンタエキスを含有する外用組成物を不織布に含浸させてなる不織布含浸外用組成物であって、不織布がパルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質を含む、不織布含浸外用組成物、
(2)(a)ヘパリン類似物質の含有量が、不織布に含浸させる外用組成物全量に対して0.01~5w/w%である(1)に記載の不織布含浸外用組成物、
(3)(b)プラセンタエキスの含有量が、不織布に含浸させる外用組成物全量に対して0.01~5w/w%である(1)又は(2)に記載の不織布含浸外用組成物、
(4)化粧料、医薬部外品、又は医薬品である、(1)~(3)のいずれかに記載の不織布含浸外用組成物、
(5)シート状である、(1)~(4)のいずれかに記載の不織布含浸外用組成物、
(6)フェイシャルマスク、又は目元用シートである、(1)~(5)のいずれかに記載の不織布含浸外用組成物、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、ヘパリン類似物質の安定性に優れた不織布含浸外用組成物を提供することが可能となった。また、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、経時的着色を抑制した製剤の安定性に優れた不織布含浸外用組成物の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の不織布含浸外用組成物において用いる各成分は、通常医薬品、医薬部外品、又は化粧料に用いられる品質のものを適宜使用することができる。
【0012】
本発明のヘパリン類似物質の含有量は、不織布に含浸させる外用組成物全体に対して、0.01~5w/w%が好ましく、0.1~0.5w/w%がより好ましい。
【0013】
本発明におけるプラセンタエキスの由来としては、例えばヒト、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジなどが挙げられるが、好ましくはブタである。また、プラセンタエキスとして市販されている商品(例えばビオカタライザープラセンタAPF(SW)(M-PE-APF))を使用してもよい。本発明のプラセンタエキスの含有量は、不織布に含浸させる外用組成物全体に対して、0.01~5w/w%が好ましく、0.1~0.5w/w%がより好ましい。また、ヘパリン類似物質1質量部に対し、0.2質量部以上であることが好ましく、0.2~20質量部の範囲がより好ましい。
【0014】
また、本発明の不織布に含浸させる外用組成物は、水を含有することが好ましい。水の含有量は、不織布に含浸させる外用組成物全体に対して1~99.9w/w%が好ましく、50~98.8w/w%がより好ましい。
【0015】
本発明の不織布に含浸させる外用組成物は、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分を適宜配合することができる。例えば、pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、香料、清涼化剤(メントール、ハッカ油、カンフル等)、抗炎症剤(サリチル酸、グリチルレチン酸、アラントイン、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール等)、防腐剤(パラベン類(メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸又はその塩、フェノキシエタノール等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸、多価アルコール(グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール等)、アミノ酸(L-セリン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、グリシン等)、リピジュア、ソルビトール、マルチトール等)、粘稠剤(ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等)各種動植物(オウレン、オウバク、海藻、ボタンピ、カンゾウ、ローズマリー、セージ等)の抽出物、ビタミン類(パルミチン酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン、リボフラビン、ニコチン酸アミド等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、油性ゲル化剤(ステアリン酸イヌリン、パルミチン酸デキストリン等)等)代謝賦活剤、粘着剤、抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミンマレイン酸塩等)、局所麻酔剤(プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(γ―オリザノール、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ムコ多糖類(グルコサミン等)等が挙げられる。
これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの成分の添加量は、特に制約はなく、使用感等を考慮しながら適宜定めることができる。薬理成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0016】
本発明の不織布は、パルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質を含む不織布であり、これらはいずれも繊維である。これらのうち好ましいのは、パルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、又はポリプロピレンであり、より好ましくは、パルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエステルであり、特に好ましくはパルプ、レーヨン、コットン、又はポリエチレンテレフタレートである。本発明の不織布は、パルプ、レーヨン、コットン、リヨセル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンのいずれから選ばれる単繊維又は混合繊維が好ましい。
【0017】
本発明の不織布含浸外用組成物は化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に使用できる。
【0018】
本発明の不織布含浸外用組成物は皮膚に適用できる剤形である限り、その用途は特に制限されない。具体的には、フェイシャルマスク、目元用シート、ゲルシート、制汗シート、日焼け止めシート、化粧品落としシート等が挙げられ、好ましくはフェイシャルマスク、又は目元用シートである。
【0019】
本発明の不織布に含浸させる外用組成物の剤形は特に限定されず、好ましい剤形としては、ローション、液剤、ゲル剤、乳液などが挙げられ、透明な水溶液だけでなく半透明~白濁のローション製剤やW/O又はO/W型のエマルション製剤であってもよい。
【0020】
不織布に含浸させる外用組成物の含浸量は特に限定されないが、不織布1質量部に対して0.5~20質量部が好ましい。
【0021】
本発明の不織布含浸外用組成物は、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有する外用組成物を、常法により不織布に含浸させて製造することができる。
本発明の不織布含浸外用組成物を収容する容器は特に限定されないが、密封されていることが好ましい。好ましい容器としては、例えば、ボトル容器、アルミピロー容器などが挙げられる。ここで、密封容器に収容された不織布含浸外用組成物とは、密封容器に収容されて販売や流通がされるものである。
【実施例0022】
以下に、実施例、比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0023】
(ヘパリン類似物質の分析)
ヘパリン類似物質を含有する外用組成物中のヘパリン類似物質は、適当な溶媒で希釈して試料を作製し、当該試料を、例えば下記の条件下の液体クロマトグラフィーに付すことにより、分析することができる。試験条件は使用する機器や材料、試薬等によって、システムの再現性やピーク面積を確認し適宜調整を行ってよい。
<液体クロマトグラフィーの試験条件>
検出器:紫外吸収光度計(測定波長202nm)
ガードカラム:2mm×50mm USP L61packing カラム
カラム:2mm×250mm USP L61packing カラム
カラム温度:40℃
流速:0.22mL/min
移動相A:リン酸二水素ナトリウム0.8gを水2000mLに溶かし、リン酸を加えてpH3.0に調整する。
移動相B:リン酸二水素ナトリウム0.8g及び過塩素酸ナトリウム一水和物280gを水2000mLに溶かし、リン酸を加えてpH3.0に調整する。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比率を表1のように変えて直線濃度勾配制御
する。
【0024】
【表1】
【0025】
(シート状外用組成物の調製法)
比較例、実施例1~9
以下表2に示す処方に従い、ヘパリン類似物質、プラセンタエキスを精製水に均一に混合し、表3に示す不織布に含浸させて不織布含浸外用組成物を得た(含浸量はシートに対して約10倍)。
【0026】
(ヘパリン類似物質の安定性評価)
比較例、実施例1~9の外用組成物を不織布とともに50mLのキャップ付きスクリュー管に適量充てんし、65℃で5日間保存した。保存後の各液剤は不織布シートとともによく混合した後に、含浸させた全量の液剤を絞り出して各液剤について試験を行った。調製直後と保管後の各液剤について、超純水で同一の操作によって適当な濃度に各液剤を希釈し、上記条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行った。各々のピーク面積を測定し、以下式1を用いてヘパリン類似物質の残存率を求めた。結果を表4に示す。
【0027】
<式1>
残存率(%)=保存後のピーク面積/調製直後のピーク面積×100
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
表4の結果から明らかなように、キュプラのみの不織布の場合(比較例)、保存後にヘパリン類似物質中の成分の低下が認められたが、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンのいずれから選ばれる単繊維又は混合繊維ではヘパリン類似物質の安定性が優れていた(実施例1~9)。
【0032】
(製剤の安定性評価)
比較例、実施例1~9の外用組成物を不織布とともに50mLのキャップ付きスクリュー管に適量充てんし、65℃で2週間保存した。保存後の各液剤は不織布シートとともによく混合した後に、含浸させた全量の液剤を絞り出し各液剤について400nmでの吸光度を測定し黄変着色について評価した。結果を表5に示す。
【0033】
【表5】
【0034】
表5の結果から明らかなように、キュプラのみの不織布の場合(比較例)では、保存後に製剤の黄変着色が進み吸光度が高かったが、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリプロピレンのいずれから選ばれる単繊維又は混合繊維では吸光度が低く、黄変着色が抑制されていた(実施例1~9)。
【0035】
以上より、ヘパリン類似物質及びプラセンタエキスを含有する不織布含浸外用組成物について、ヘパリン類似物質中の成分の安定性に優れており、黄変着色の抑制を達成した。
(処方例)
【0036】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、ヘパリン類似物質の安定性に優れた不織布含浸外用組成物を提供することが可能となった。また、ヘパリン類似物質とプラセンタエキスを含有し、経時的着色を抑制した製剤の安定性に優れた不織布含浸外用組成物の提供が可能となった。また、密封された容器に収容した状態で、安定性に優れた不織布含浸外用組成物の提供が可能となった。