(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083239
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】自転車や車両用のフレーム強化アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B62K 19/02 20060101AFI20230608BHJP
B62K 19/06 20060101ALI20230608BHJP
B62K 19/08 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
B62K19/02
B62K19/06
B62K19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022189661
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】63/285,498
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521201849
【氏名又は名称】アラ オヘニアン
【氏名又は名称原語表記】Ara Ohanian
【住所又は居所原語表記】3515 Pleasantdale Road, Unit 249, Doraville, Georgia
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】アラ オヘニアン
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BC05
3D212BD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自転車や車両のフレームなどの中空フレームで、強度(剛性)が強化された自転車のフレームや車両のフレームを提供する。
【解決手段】ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各々が中空であり、中空のヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各々、またはフレーム全体の中空の内部にフレーム強化アセンブリを取り付けることが可能である。このフレーム強化アセンブリは、ほぼ互いに直交するように適合された複数のリブ構造を含む。複数のリブ構造が中空の内部に形成され、中空ヘッドチューブ、ボトムブラケット、シートチューブ部分のそれぞれの中空の内部に剛性を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントタイヤを係合するヘッドチューブ部分と、リアタイヤを係合するボトムブラケッ
ト部分と、自転車や車両のライダーのシートを支えるシートチューブ部分とを有する自転
車または車両のフレーム用のフレーム強化アセンブリであって、ヘッドチューブ部、ボト
ムブラケット部、シートチューブ部の内部が中空であるほか、以下を特徴とするもの。
中空のヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各々の中空の内部に
剛性を与えるために中空の内部複数のリブ構造を形成してあるもので、その複数のリブ構
造が互いに関連して配置されており、さらにそのリブ構造が複合材料から構成されるもの
。
【請求項2】
請求項1のフレーム強化アセンブリで、複数のリブ構造が、フレームの中空の内部の内壁
に鍛造、型打ち、溶接、はんだ付け、超音波溶接、接着(resined)、樹脂加工、または3
Dプリントのいずれかで形成されることを特徴とするもの。
【請求項3】
請求項1のフレーム強化アセンブリで、複数のリブが以下から構成されるもの。
第1のセットのリブ構造
第2のセットのリブ構造
リブ構造の第1のセットと第2のセットは、互いに実質的に垂直にかつ交差するように配置
されるもの。
【請求項4】
請求項3のフレーム強化アセンブリで、前記第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造
からなり、前記の第2のセットのリブ構造は、複数の垂直リブ構造からなることを特徴と
するもの。
【請求項5】
請求項1のフレーム強化アセンブリで、前記ヘッドチューブ部、前記ボトムブラケット部
、前記シートチューブ部のうちの少なくとも2つまたは3つの部分のいずれかが結合される
ように構成された結合の接合点をさらに備えているもので、その結合の接合点が中空であ
り、それによって前記複数のリブ構造が設置されることを特徴とするもの。
【請求項6】
請求項5のフレーム強化アセンブリで、複数のリブ構造が以下から構成されるもの。
第1のセットのリブ構造と第2のセットのリブ構造があり、第1のセットと第2のセットは、
互いに実質的に垂直にかつ交差するように設置されるもの
前記第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造からなり、前記第2のセットのリブ構造
は複数の垂直リブ構造からなることを特徴とするもの。
【請求項7】
請求項1のフレーム強化アセンブリで、複合材料が、炭素繊維、アルミニウム、ガラス繊
維、繊維、金属、またはそれらの組み合わせから構成されるもの。
【請求項8】
請求項1のフレーム強化アセンブリで、前記複合材料がサンドイッチ構造であり、厚いコ
アに硬いスキンを取り付けることによって製造されることを特徴とするもの。
【請求項9】
請求項8のフレーム強化アセンブリで、前記複合材料に存在する厚いコアの構造のセルは
、六角形のセル、三角のセル、またはそれらの組み合わせのうちの1つからなることを特
徴とするもの。
【請求項10】
自転車または車両用の強化フレームで以下から構成されるもの。
フロントフォークおよび車輪と係合するためのヘッドチューブ部
ボトムブラケットとリアフォークとホイールとを係合させるためのボトムブラケット部
自転車または車両のライダーの座席を支持するためのシートチューブ部
この時、ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各々が中空であり
、中空のヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各内部の中空に対
してフレーム補強アセンブリの取り付けを可能であるもので、フレーム補強アセンブリは
、以下から構成されるもの。
前記中空の内部に沿って配置された複数のリブ構造を備えたもので、複数のリブ構造は複
合材料で形成され、中空ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各
々の中空の内部に剛性を与えるもの
【請求項11】
請求項10の自転車や車両のフレーム強化アセンブリで、前記複数のリブ構造がフレームの
中空の内部の内壁に鍛造、型打ち、溶接、はんだ付け、超音波溶接、接着、樹脂加工、3D
プリントのいずれかで形成されることを特徴とするもの。
【請求項12】
請求項10の自転車や車両の強化フレームで、複数のリブ構造が以下から構成されるもの
第1のリブ構造のセット
第2のリブ構造
第1セットと第2セットのリブ構造が、互いに実質的に垂直にかつ交差するように設置され
るもの。
第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造から構成され、第2のセットのリブ構造は複
数の垂直リブ構造から構成される。
【請求項13】
請求項12の自転車や車両の強化フレームで、ヘッドチューブ部分、ボトムブラケット部分
、シートチューブ部分の2つまたは3つの部分の少なくともいずれかが結合されるように構
成される接合部を備えたもの。この時接合部は中空であり、複数のリブ構造が配置される
。
【請求項14】
請求項13の自転車や車両の強化フレームで、複数のリブ構造が以下から構成されるもの
第1のリブ構造のセットと第2のリブ構造のセットから構成され、その第1セットと第2セッ
トのリブ構造が、互いに実質的に垂直にかつ交差するように設置されるもの。
第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造から構成され、第2のセットのリブ構造は複
数の垂直リブ構造から構成される。
【請求項15】
請求項10の自転車や車両の強化フレームで、素材が以下のいずれか一つ以上から構成され
るもの。
炭素繊維、アルミニウム、ガラス繊維、任意の繊維、任意の金属など、またその組み合わ
せであるもの
当該材料がサンドイッチ構造になっているもの。この時このサンドイッチ構造は、厚いコ
ア部に硬いスキンを取り付ける構造である。さらに厚いコアの構造のセルが六角形のセル
、三角のセル、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つから構成されることを特徴とす
るもの。
【請求項16】
自転車や車両のフレーム補強アセンブリを製造するための方法であって、以下からなるも
の。
自転車や車両のヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各々は、内
部が中空になっている。このフレーム強化アセンブリは中空内部に複数のリブ構造を含み
、これにより前記の中空ヘッドチューブ部、前記ボトムブラケット部、前記シートチュー
ブ部の各々の中空の内部に剛性を与えることを特徴とする。
【請求項17】
請求項16の手法で、複数のリブ構造が以下から構成されるもの。
第1のリブ構造のセットと第2のリブ構造のセットで、その中空の内部にリブ構造を形成す
るもの。この時以下を備えることを特徴とする
第1セットと第2セットのリブ構造が、互いに実質的に垂直にかつ交差するように設置され
るもの。
第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造から構成され、第2のセットのリブ構造は複
数の垂直リブ構造から構成されるもの。
【請求項18】
請求項16の手法で、ヘッドチューブ部分、ボトムブラケット部分、シートチューブ部分が
結合されるように構成された接合部を含むもの。この時接合部も中空であり、その内部に
複数のリブ構造を形成する。
複数のリブ構造を接合部の壁に設置するものであり、リブ構造は第1のリブ構造のセット
と第2のリブ構造のセットから構成され、その第1セットと第2セットのリブ構造が、互い
に実質的に垂直にかつ交差するように設置されるもの。
第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造から構成され、第2のセットのリブ構造は複
数の垂直リブ構造から構成される。
【請求項19】
請求項16の手法で、以下のいずれかによって中空の複数のリブ構造を形成するもの。
中空の内部に複数のリブ構造を鍛造すること
中空の内部に複数のリブ構造をプレス加工すること
中空の内部に複数のリブ構造を溶接すること
中空の内部に複数のリブ構造をはんだ付けすること
中空の内部の複数のリブ構造を超音波で溶接すること
中空の内部に複数のリブ構造を接着すること
中空の内部に複数のリブ構造を樹脂化すること
中空の内部に複数のリブ構造を3Dプリントすること。
【請求項20】
請求項16の手法で、素材が以下のいずれかで構成されるもの
炭素繊維、アルミニウム、ガラス繊維、任意の繊維、任意の金属など、またその組み合わ
せであるもの
当該材料がサンドイッチ構造になっているもの。この時このサンドイッチ構造は、厚いコ
ア部に硬いスキンを取り付ける構造である。さらに厚いコアの構造のセルが六角形のセル
、三角のセル、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つから構成されることを特徴とす
るもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、自転車や車両のフレーム用の補強されたアセンブリに関するものである。より
詳細に言えば、自転車や車両のフレームなどの中空フレームで、強度(剛性)が強化され
た自転車のフレームや車両のフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
オートバイ、自動車、自転車などの車両は、一般的に移動手段としてだけでなく、スポー
ツなどのアクティビティとしても利用されている。しかしながら、自転車や自動車の開発
能力を向上させるために、様々な機能が開発・製造されている。
しかし、優れた材料の開発に伴い、自転車や車両のフレームの強度や軽量化に対する要求
も高くなることがある。例えば、車両の強度や剛性を高めるために、斬新で際立った特徴
を持つ車両のフレームが必要とされる場合がある。例えば、従来の通勤・通学用の自転車
は重いが価格の安いフレームを使用しているため、激しいペダリングでたわみやすいもの
の、通勤には適している。一方でスポーツ自転車のフレームは、アルミニウム、チタン、
カーボンファイバーなどの軽くて高価な素材を使用しており、剛性を重視して設計され、
激しいペダリングによるたわみにより、パワーが失われることを減らしている
そのため、自転車や車両のフレームを強化することにより、特に負荷の重い応力の領域に
おいて、フレームのねじれやたわみによって生じるペダリング力の無駄を低減する自転車
や車両用のフレームと、フレームを強化するアセンブリがあれば望ましい。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
先行技術に固有の前述の欠点に鑑みて、本発明の目的は、自転車や車両のフレームの強化
したフレームアセンブリを提供するとともに、先行技術のすべての利点を含みつつ、先行
技術に固有の欠点を克服することである。
また、本発明の目的は、自転車のフレームの剛性を高めることで、フレームのねじれによ
るペダリング力の無駄を低減することである。
また、本発明の目的は、より多くのペダリングの力をドライブトレイン(駆動列)に伝達
することである。
た、本発明の他の目的は、軽量で剛性が高く、耐久性に優れた自転車用フレームを実現す
ることである。
上記目的に鑑み、本発明の実施形態ではフレーム強化アセンブリが提供される。フレーム
強化アセンブリや車両フレームは、フロントタイヤを係合するためのヘッドチューブ部と
、リアタイヤを係合するためのボトムブラケット部と、自転車や車両のライダーのシート
を支えるシートチューブ部とを含む。さらに、ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、
シートチューブ部の各々は、内部が中空になっている。このフレーム強化アセンブリは中
空内部に複数のリブ構造を含み、これにより前記の中空ヘッドチューブ部、前記ボトムブ
ラケット部、前記シートチューブ部の各々の中空の内部に剛性を与えることを特徴とする
。
ある実施形態では、複数のリブ構造が互いに直交しているものがある。
またある実施形態では、リブ構造が複数存在し、リブ構造の第1のセットとリブ構造の第2
のセットを備えていて、そのリブ構造の第1のセットとリブ構造の第2のセットが互いに実
質的に垂直かつ交差して配置されるように設置されるものもある。さらに、第1のセット
のリブ構造は複数の水平リブ構造から構成され、第2のセットのリブ構造は複数の垂直リ
ブ構造から構成される。
ある実施形態では、この複数のリブ構造は、フレームの内部の中空の内壁に、鍛造、刻印
、溶接、はんだ付け、超音波溶接、接着(resined)、樹脂接合、3Dプリントのうちの1つ
である。
さらに、ある実施形態では、ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部
などの2つまたは3つの部の少なくともいずれかが接合部で結合されるように構成されてお
り、これを接合の接合点(注:原文はjoiningjunction)と呼ぶことができる。また、接
合の接合点は複数のリブ構造で説明したように中空でも構わない。
ある実施形態では、複数のリブ構造は材料の組み合わせ(複合材料)で作られており、炭
素繊維、アルミニウム、ガラス繊維、繊維、金属、もしくはそれらの組み合わせから構成
される。
ある実施形態では、複合材料はサンドイッチ構造になっている。このサンドイッチ構造は
、厚いコア部に硬いスキンを取り付ける構造である。複合材料の厚いコアの構造のセルは
、六角形のセル、三角のセル、もしくはそれらの組み合わせのうちの1つから構成される
。
別の実施形態では、本発明は、強化された自転車または車両のフレームを提供する。この
強化された自転車または車両のフレームは、フロントタイヤを係合するためのヘッドチュ
ーブ部と、リアタイヤを係合するためのボトムブラケット部と、自転車や車両のライダー
のシートを支えるためのシートチューブ部が含まれる。さらに、ヘッドチューブ部、ボト
ムブラケット部、シートチューブ部の各々は内部が中空であり、この中空のヘッドチュー
ブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の内部の中空に沿って、複数のリブ構造を
含むフレーム強化アセンブリを設置することできる。この複数のリブ構造は、複合材料で
あることを特徴とする。
さらに別の実施形態では、自転車や車両用のフレーム強化アセンブリを製造するための方
法を提供する。この手法には自転車や車両の中空のヘッドチューブ部、ボトムブラケット
部、シートチューブ部の各々の中空の内部に剛性を与えるために、中空の内部に複数のリ
ブ構造を形成する工程を含む。複数のリブ構造は互いにほぼ直交している。複数のリブ構
造は、複合材料で製造できる。
この手法は、前ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部の各々が結合
されるように構成される接合の接合点を含むものであり、この接合の接合点も中空である
。この中空の内部に複数のリブ構造を形成する手法は以下を含む。内部の中空内に設置す
るリブ構造は、第1のセットと第2のセットを備えていて、そのリブ構造の第1のセットと
リブ構造の第2のセットが互いに実質的に垂直かつ交差して配置されるように設置される
ものもある。さらに、第1のセットのリブ構造は複数の水平リブ構造から構成され、第2の
セットのリブ構造は複数の垂直リブ構造から構成される。
様々な形態がある実施形態の1つでは、中空の内部に複数のリブ構造を形成することは以
下の方法を含む。中空の内部に複数のリブ構造を鍛造する、中空の内部に複数のリブ構造
をプレスする、中空の内部に複数のリブ構造を溶接する、中空の内部に複数のリブ構造を
はんだ付けする、中空の内部に複数のリブ構造を超音波溶接する、中空の内部に複数のリ
ブ構造を接着する、中空の内部に複数のリブ構造を再形成する、中空の内部に複数のリブ
構造を3Dプリントすることのうちの1つを含む。
これらは本開示で紹介する他の実施形態と共に、本開示を特徴付ける新規性の様々な特徴
と相まって、本書に添付された特許請求の範囲において具体的に指摘されるものであり、
本開示の一部を構成するものである。本開示、その動作上の利点、およびその使用によっ
て達成される所定の目的についてより良く理解していただくために、本開示の例示的な実
施形態が例示されている添付の図面および記述事項を参照していただきたい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図の簡単な説明
本開示の利点及び特徴は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、よ
り良く理解されると考える。
【
図1】
図1は、本明細書で開示する本発明の実施形態における自転車のフレームのストレスポイントを示す透視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態における計算流体力学ストレステストの透視図であり、自転車のフレームのストレスポイントを示している。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態における、フレーム強化アセンブリを有するボトムブラケットの外観を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態における、垂直リブと水平リブを有するフレーム強化アセンブリを備えたボトムブラケットの断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態における、垂直リブと水平リブを有するフレーム強化アセンブリを備えたボトムブラケットの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態における、フレーム強化アセンブリを備えたボトムブラケットの断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態における、フレーム強化アセンブリを有するヘッドチューブの断面図である
【
図8】
図8Aは本発明の実施形態における、複合材料の組立図を示している。
【
図9】
図8Bは複合材料の分解図を示している。同じ参照数字は、図面を通じて同様の部を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細
本明細書に詳細に記載された例示的な実施形態は、実装においては多くのバリエーション
が加えられている。本開示は、強化された自転車用フレームを提供するものである。しか
し、ここで開示するものだけに限定されず、同種の様々なバリエーションをカバーしてい
ることを強調しておきたい。同じようなもので、様々な省略や置き換えたものが想定され
るが、本開示の精神または範囲から逸脱しない範囲で、適用または実施において本発明の
範囲に含む意図であることをご理解いただきたい。
本明細書において、用語「a」および「an」は、量の限定を意味するものではなく、対象
が少なくとも1つ存在していることを意味する。
「有する」、「含む」、「備える」などの言葉は、その部が存在していることを意味する
。
【0006】
本発明は、自転車や車両のフレーム用の強化アセンブリを開示するものである。自転車や
車両のフレームは、フロントタイヤを係合するためのヘッドチューブ部、リアタイヤを係
合するためのボトムブラケット部、自転車や車両のライダーのシートを支えためのシート
チューブ部を含む。さらに、ヘッドチューブ部、ボトムブラケット部、シートチューブ部
の各々は、内部が中空になっている。このフレーム強化アセンブリは中空内部に複数のリ
ブ構造を含み、これにより前記の中空ヘッドチューブ部、前記ボトムブラケット部、前記
シートチューブ部の各々の中空の内部に剛性を与えることを特徴とする。この複数のリブ
構造は、互いに垂直に設置され、また複合材料で作成される。
さらにここでは自転車や車両のフレーム用の強化アセンブリ108を製造する手法を開示す
るものである。この手法には自転車や車両の中空のヘッドチューブ部、ボトムブラケット
部、シートチューブ部の各々の中空の内部に剛性を与えるために、中空の内部に複数のリ
ブ構造を形成する工程を含む。複数のリブ構造は互いにほぼ直交している。複数のリブ構
造は、複合材料で製造できる。様々な形態がある実施形態の1つでは、中空の内部に複数
のリブ構造を形成することは以下の方法を含む。中空の内部に複数のリブ構造を鍛造する
、中空の内部に複数のリブ構造をプレスする、中空の内部に複数のリブ構造を溶接する、
中空の内部に複数のリブ構造をはんだ付けする、中空の内部に複数のリブ構造を超音波溶
接する、中空の内部に複数のリブ構造を接着する、中空の内部に複数のリブ構造を再形成
する、中空の内部に複数のリブ構造を3Dプリントすることのうちの1つを含む。
【0007】
次に、
図1~
図7を参照しつつ、'100'として示す強化自転車フレームまたは強化車両フレ
ームについて説明する。また
図4~
図7に具体的に示すように、'108'として示す強化自転
車フレーム用または強化車両フレーム100用のフレーム強化アセンブリについて説明する
。
図1では強化自転車フレーム100を示しており、また本明細書で説明されている。しかし
ながら、特許の範囲を逸脱することがない範囲において自転車用の強化フレームに関して
の説明や実施形態は、車両用の強化フレームにも適用されるものである。ここでの強化フ
レームやフレーム強化アセンブリに関しての説明は、自転車用フレームと車両用フレーム
の両方に及ぶと考えていただきたい。
図1で示す通り、強化自転車フレーム100は、自転車200と組み合わされる。強化自転車フ
レーム100(以下、「フレーム100」または「強化フレーム100」などとも称する)は、ヘ
ッドチューブ部102、ボトムブラケット部104、シートチューブ部106を含んでいる。図に
示すように、ヘッドチューブ部102は、自転車200のフロントフォークとホイールアセンブ
リ202と係合するように設置されている。さらに、ボトムブラケット部104は、自転車のボ
トムブラケットとリアフォーク204と係合するように設置されている。さらに、シートチ
ューブ部106は、自転車200のシート214、または、ここでは図示していないが、ライダー
を支える車両シートと系合するように設置される。
【0008】
図1で示すように、強化された自転車フレーム100の最もストレスのかかるポイントは、
ヘッドチューブ部102、ボトムブラケット部104、シートチューブ部106である。また
図2で
は、自転車フレームのストレスポイントを示す数値流体力学(CFD)テストを示している
。
図2に示すように、最も応力がかかる部は、3つの部すべてである。すなわちヘッドチュ
ーブ部102、ボトムブラケット部104、シートチューブ部106のチューブ102a、104a、106a
が接合されている接合の接合点300である。さらに、応力のエリアは、ヘッドチューブ部1
02とボトムブラケット部104のチューブ102a、104aの接合点302、ボトムブラケット部104
とシートチューブ部106のチューブ104a、106aの接合点304が含まれる。
さらに、強化自転車フレーム100は、ヘッドチューブ部102内に設置され得るフロントフォ
ークステアラーチューブ202aなどの複数の部品で構成することもできる。さらにボトムブ
ラケット部104は、クランクセット部材208に繋げてクランクセット部材を自由に回転させ
ることができるようにすることもできる。ボトムブラケット部104は、後輪213と係合する
ように設置することもできる。またボトムブラケット部104は、クランクセット部材208を
取り付けるスピンドル212と、クランクセット部材208とスピンドル212を回転させるベア
リングで構成することもできる。クランクセット部材208は、クランクセット208aとペダ
ル208bが取り付けられる部である。ボトムブラケット部104はベアリング(図示せず)を
含むこともできる。ベアリングはボトムブラケット部のシェル104の内部に設置されてい
るものであり、自転車フレーム100の一部であるとともに、シートチューブ部106、ダウン
チューブ208c、およびクランクセット部材208を結合するものでもある。シートチューブ
部106は、自転車ライダーのシート214を支えるように設置することもできる。シートチュ
ーブ部106は、サドル214bに設置される自転車のシートポスト214aを収容するのに役立つ
。サドル214bの高さは、クイックリリースレバー(図示せず)を使ってシートポスト214a
とシートチューブ214cとの間の距離を調整することにより、調整することができる。なお
、シートポスト214aは一定の長さまで挿入することができ、その長さはシートポスト214a
の最小挿入マークによって示すことができる。また、自転車の基本の骨格は、三角形フレ
ーム、後三角形フレームなどから構成できる。三角形の芯(コア)を持つ自転車は、チタ
ン、アルミニウム、炭素繊維チューブ、任意の金属などの、高強度で軽量な金属で構成す
ることができる。
ある実施形態では、強化自転車フレーム100の自転車の基本骨格は、大きなアルミニウム
チューブで作られている。ある実施形態では、後三角形フレームの、特にシートチューブ
部106とクランクセット部材208はカーボンファイバーチューブで作られている。車輪が自
転車フレーム100にクランプされると金属がより堅牢であることから、多くの実施形態で
はヘッドチューブ部102、ボトムブラケット部104、シートチューブ部106は金属で作られ
ている。ヘッドチューブ部102は、フロントフォークステアラーチューブ202aとフロント
ホイール202bと係合するように構成することもできる。
【0009】
図4~
図7で示すように、ヘッドチューブ部102、ボトムブラケット部104、シートチューブ
部106は、フレーム強化アセンブリ108を設置するために内部が中空114である。
フレーム強化アセンブリ108は、中空のヘッドチューブ部102、ボトムブラケット部104、
シートチューブ部106のそれぞれの中空の内部114に剛性を与えるために、中空の内部114
内に設置した複数のリブ構造110、112を含む。
複数のリブ構造110、112は、力(複数可)の方向を向いて整列する強化リブでも良い。サ
イクリングでは、サイクリングシューズがクリートでペダルに固定されているため、ペダ
ルに複数の方向から力が加わる。これにより、ライダーはクランクを中心にどこからでも
ペダルにペダリングの力を加えることができる。しかし主な大きな力は下向きと上向きで
あり、この2つの力の方向は約20度異なる。ある実施形態では、複数のリブ構造110、112
は、互いに垂直であり、複合材料で作られている。
図4及び
図5で示すように、複数のリブ
構造110,112は、リブ構造110の第1のセット、リブ構造112の第2のセットを含む。この第
1のセット110と第2のセット112は、互いに実質的に垂直かつ交差するように設置できる。
ある実施形態では、リブ構造の第1のセット110は複数の水平リブ構造を含み、第2のセッ
ト112は、複数の垂直リブ構造を構成する。さらに
図4と
図5で示すようにこの水平および
垂直リブ構造は特定のパターンで設置される。図の通り複数の垂直リブ構造の各垂直のリ
ブ構造は、複数の水平リブ構造の各水平リブ構造から上方及び下方に、隣接する垂直リブ
構造から間隔を置いて設置されている。このように中空内部114において複数の縦リブ構
造および複数の横リブ構造を設置することにより、自転車用フレーム100に剛性を与えて
いる。
【0010】
ある実施形態では、中空の内部114全体に沿って設置するものもあり、あるいは、別の実
施形態では、接合の接合点300、302、304に沿って設置するものもある。
ある実施形態では、複数の垂直リブ構造112は複合材料で作ることもできる。複合材料は
、炭素繊維、アルミニウム、ガラス繊維、任意の繊維、任意の金属等から構成できる。丈
夫な複合材料が望ましいが、高価である。特定の要因が一定であれば、フレーム強化アセ
ンブリ108による内側の強化によりペダリング効率を向上させることができる。複数の嵩
上げ材を用いてもよいが、強化自転車フレーム100を重くする可能性がある。カーボンフ
ァイバーを含むすべての新素材を使うことで、より良いデザインの強化自転車フレーム10
0が実現可能である。なお、フレーム強化アセンブリ108による内側強化により、既に存在
する自転車フレーム100がさらに優れたものとなり得る。製造プロセスでは、フレーム強
化アセンブリ108は、強化自転車フレーム100の中に統合することができる。フレーム強化
アセンブリ108は、既存の自転車に設置することができる。製造上は、複数のリブ構造110
,112は、鍛造、プレス、溶接、はんだ付け、超音波溶接、接着(レジン)、樹脂、3Dプ
リントなどの方法で中空の内部114またはフレームの内壁114aに形成する場合がある
図8A及び
図8Bで示すように、ある実施形態では複合材料400はサンドイッチ構造410を構成
している。
図8Aは、複合材料400を組立てた図であり、
図8Bは複合材料400の分解斜視図で
ある。ここで示す通りサンドイッチ構造は、例えば複数のリブ110、112を形成するために
利用可能なトライセルまたはヘクスセルの「サンドイッチ構造」410である。サンドイッ
チ構造410は、低剛性、低密度の内核402を2つの剛性のスキン404、406で囲んで構成する
ことができる。またサンドイッチ構造410は、厚いコア402に硬いスキン404、406を取り付
けることによって構成することもできる。この時、剛性スキン404、406は、カーボンファ
イバーまたは航空宇宙グレードのアルミニウムから作ることもできる。このサンドイッチ
構造410は、外部から加えられる曲げモーメントを均衡させることができる。本発明の実
施形態において、複合材料400に存在する厚いコア402の構造のセルは、六角形セル、三角
セル、正方形セル、強化六角セル、長方形セル、フレックスコアセルなどを含むが、これ
らに限定されるものではない。
【0011】
別の実施形態では、
図4、5、7で示すボトムブラケット部104や、
図6に見られるようなヘ
ッドチューブ部102は、激しい走行中に自転車フレームの最も応力がかかる部分であるの
で、これらの部分には高いレベルの強度が要求される。
図6で示す通りヘッドチューブ部
分102は、矩形形状の複合材料を含むことができる。別の実施形態では、ヘッドチューブ
部分102は六角形状の複合材料で構成される。自転車のライダーはこのねじれの力を使っ
て、自分を前に押し出している。
【0012】
本開示の特定の実施形態に関するこれまでの説明は、例示および説明の目的で行ったもの
である。ここでは網羅的であることや、正確な形態に限定することを意図しておらず、多
くの修正形や変形が可能であることは明らかである。ここで紹介した実施形態は、本開示
の原理およびその実用化を最もよく説明し、それによって当業者が、企図される特定の用
途に適するように様々な修正を加えて本開示および様々な実施形態を最もよく利用できる
ようにするために選択および説明されたものである。同様なもので、様々な省略や置き換
えたものが想定されるが、本開示の精神または範囲から逸脱しない範囲で、適用または実
施において本発明の範囲に含む意図であることをご理解いただきたい。
【外国語明細書】