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特開2023-83248レーザ変調を制御する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083248
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】レーザ変調を制御する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20230608BHJP
   H04B 10/564 20130101ALN20230608BHJP
【FI】
H01S5/042 630
H04B10/564
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191955
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】2117528.6
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519006089
【氏名又は名称】ハイライト セミコンダクター リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HILIGHT SEMICONDUCTOR LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム・レッドマン-ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・クーエ
(72)【発明者】
【氏名】コリン・ウィットフィールド
【テーマコード(参考)】
5F173
5K102
【Fターム(参考)】
5F173SE01
5F173SF03
5F173SF13
5F173SF34
5F173SF43
5K102AA51
5K102AA65
5K102AH01
5K102AH26
5K102MA01
5K102MB02
5K102MC11
5K102MD01
5K102MD03
5K102MH02
5K102MH13
5K102MH22
5K102PB01
5K102PH31
5K102RD05
5K102RD26
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーザ変調を制御するシステム及び方法。
【解決手段】通信システムであって、システムは、レーザダイオードに結合された駆動回路であって、駆動回路は、動作フェーズの前の始動フェーズにて、レーザダイオードに第1の駆動電流と、第2の駆動電流とを印加するように構成され、第1の駆動電流及び上記第2の駆動電流は異なる駆動回路と、レーザダイオードの端子に結合された補償電流源であって、始動フェーズの間、レーザダイオードに接続されたインピーダンスを流れる電流を実質的に一定のレベルに維持するように構成される補償電流源と、光センサと、第1の駆動電流の値と、第2の駆動電流の値と、光センサで検出される第1のセンサ出力と、第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力値とを使用して、駆動回路類の制御値を提供し、動作フェーズの間にレーザダイオードの動作電流を制御するように構成されるコントローラとを備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が少なくとも1つのバーストにおいて送信される通信システム用のシステムであって、該システムは、
レーザダイオードに結合された駆動回路類であって、該駆動回路類は、動作フェーズの前の始動フェーズにおいて、前記レーザダイオードが、第1の光出力及び第2の異なる光出力をそれぞれ提供するように構成されるように、前記レーザダイオードを流れる第1の駆動電流と、その後に第2の駆動電流とを印加するように構成され、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は異なる、駆動回路類と、
前記レーザダイオードの端子に更に結合された補償電流源であって、該補償電流源は、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流に関連した電流であって、前記レーザダイオードを流れないように更に構成された電流を提供するように構成されるとともに、前記始動フェーズの間、前記レーザダイオードに接続された少なくとも1つのインピーダンスを流れる組み合わされた電流を実質的に一定のレベルに維持するように構成される、補償電流源と、
前記レーザダイオードの前記第1の光出力に対応する第1のセンサ出力と、前記第2の光出力に対応する第2のセンサ出力とを提供するように構成される光センサと、
前記第1の駆動電流の値と、前記第2の駆動電流の値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力値とを使用して、前記駆動回路類の制御値を提供し、前記情報が前記少なくとも1つのバーストにおいて送信される前記動作フェーズの間に前記レーザダイオードの動作電流を制御するように構成されるコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記動作電流は、平均電流及び変調電流を含み、前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力と、前記少なくとも1つの供給される入力とを使用して、平均電流値及び変調制御値を求め、前記平均電流値及び前記変調制御値に応じた制御値を提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのインピーダンスは、前記レーザダイオードとシステム電源との間に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レーザダイオードと前記システム電源との間に接続された前記少なくとも1つのインピーダンスは、少なくとも1つのインダクタンスを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値、前記第2の駆動電流の前記値を使用して、前記レーザダイオードと前記電源との間に接続された前記インピーダンスを通過する全電流が、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流の供給中に実質的に一定を維持するような補償電流の第1の値及び補償電流の第2の値をそれぞれ求めるように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記駆動回路類は、前記レーザダイオードに印加される平均電流と、前記レーザダイオードに印加される変調電流とを前記制御値に基づいて提供するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作電流は、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに印加される最大動作電流及び最小動作電流を含み、前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、前記少なくとも1つの供給される入力とを使用して、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに印加される最小動作電流値と、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに印加される最大動作電流値とを求め、該最大動作電流値及び該最小動作電流値に応じた制御値を提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記駆動回路類は、前記レーザダイオードに印加される前記最大動作電流値及び前記最小動作電流値を前記制御値に基づいて提供するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記最小動作電流値はデータ「0」に使用され、前記最大動作電流値はデータ「1」に使用される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記動作電流は、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに印加されるバイアス電流及び変調電流を含み、前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力値とを使用して、バイアス電流値及び変調制御値を求め、該バイアス電流値及び該変調制御値に応じた制御値を適用するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記駆動回路類は、前記レーザダイオードに印加される前記バイアス電流と、前記レーザダイオードに印加される前記変調電流とを前記制御値に基づいて提供するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、単一のバーストのタイミング内で印加される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、それぞれのバーストのタイミング内で印加される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記光センサはフォトダイオードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記光センサは、前記フォトダイオードの出力をデジタル値に変換して、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力を提供するように構成されるアナログ/デジタル変換器を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
インピーダンスが、前記少なくとも1つのインダクタンスに接続されていない前記レーザダイオードの端子に接続される、請求項4に記載のシステム。
【請求項17】
前記光センサからの出力と、1つ以上の記憶された基準値とを使用して、前記始動フェーズ後の前記レーザダイオードの挙動の変化を補償するように構成されるフィードバックループを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記駆動回路類は、電流が前記レーザダイオードに印加されていないときに、前記光センサのそれぞれの出力が前記第1のセンサ出力値及び前記第2のセンサ出力値を補正するために使用されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の駆動電流値及び前記第2の駆動電流値は、実質的に線形の動作領域内で前記レーザダイオードを動作させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも1つのバーストを使用する通信の方法であって、
始動フェーズにおいて、レーザダイオードに、レーザダイオードを流れる第1の駆動電流と、その後に第2の異なる駆動電流とを印加することであって、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、前記レーザダイオードがそれぞれ第1の光出力及び第2の異なる光出力を提供するように構成される電流であることと、
前記レーザダイオードの前記第1の光出力に対応する第1のセンサ出力と、前記第2の光出力に対応する第2のセンサ出力とを提供することと、
前記第1の駆動電流の値と、前記第2の駆動電流の値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力とを使用して、制御値を提供し、前記レーザダイオードの動作電流を制御することと、
前記レーザダイオードの端子に補償電流を印加することであって、該補償電流は、前記レーザダイオードを流れないように構成されるとともに、前記始動フェーズの間、前記レーザダイオードに接続された少なくとも1つのインピーダンスを流れる組み合わされた電流を実質的に一定のレベルに維持するように構成されることと、
情報が前記少なくとも1つのバーストにおいて送信される動作フェーズの間、前記第1の駆動電流の値と、前記第2の駆動電流の値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力値とを使用して、駆動回路類の制御値を提供し、前記レーザダイオードの動作電流を制御し、前記始動フェーズの間、前記補償電流の第1の値及び第2の値を更に供給するように構成されるコントローラを設けることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの実施形態は、レーザ変調を制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムでは、送信レーザデバイスによって生成される光の変調度を制御できることが望ましい。状態間の高速の切り替えを維持するとともに雑音を低減するために、送信レーザは、いくつかの規定された電力の間では切り替えられず、その後、オフに切り替えられるが、その出力は低いレベルに低減される。この変調度は、消光比(ER:extinction ratio)としても説明される。消光比とは、データ「1」が存在するときの光強度と、データ「0」が存在するときの強度との比である。
【0003】
しかしながら、これらの相対的に高い光出力及び相対的に低い光出力を送達するためにレーザによって必要とされる電流は一定でない場合があり、個々のレーザデバイス間の公差の影響を受ける場合があるとともに、温度上昇及び/又は経時変化に起因した単一のデバイスの特性の変化に起因して経時的に影響を受ける場合がある。そのような変化は、デバイスが使用中に温度上昇することから、通常動作において起こる可能性がある。連続動作するシステムを一般に対象として変調を制御する既存の方法がある。いくつかのものは、非特許文献1によって提示された技法に関するものであり、低振幅低周波数(LF:low frequency)変調が通常のレーザ電流に追加されるものである。既知のLF変調周波数におけるレーザからの光出力の変動が、レーザ電流/光出力特性の傾きの推定を可能にし、したがって、レーザ特性が過度の非線形性を有していない場合には、所望の平均光レベル及び変調された光レベルに必要とされる駆動電流を計算することができる。したがって、変調度(又はER)に対して妥当な制御を維持するフィードバックループを構築することが可能である。ただし、ここで意味するフィードバックループは、整定する時間を有するものである。
【0004】
しかしながら、例えば受動光ネットワーク(PON:passive optical network)アプリケーションにおけるいくつかの通信システムでは、送信機はバーストモードにおいて動作するのが一般的であり、レーザ変調レベルは、導入(run-in)シーケンスの非常に少ないパルスの後に制御を受けて、指定された値にあるべきである。そのような場合に、制御ループが整定するのに利用可能な時間はほとんどない場合がある。
【0005】
したがって、レーザ自体の製造公差及びパラメータドリフトを自動的に補償することができるだけでなく、規定された目標変調レベルに非常に短い期間内に、非常に少数のパルスをシステムに通過させるだけで到達することができることも時には望ましい。正確な動作状態を確立するのに使用されるパルスシーケンスを有するそのような期間は、一般に導入期間と呼ばれる。
【0006】
必要とされる平均光レベル及び必要とされる消光比を少数の導入パルスの時間スケール内で提供するバイアス電流及び変調電流の適したレベルを求める技法は、これまでに開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、そのような技法は、レーザ駆動制御システムの整定時間の価値のある改善をもたらすが、レーザダイオードをドライバ回路に結合するいくつかの好ましい配置構成では、いくつかの限界が依然として残されている。特に、レーザダイオードをドライバ回路に結合するのに使用される回路構成要素の配置構成が、少なくとも1つのリアクティブ素子、例えばインダクタンスを含むとき、システムの整定時間は、許容できない値に拡大するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】Redman-White、Coue及びWhitfieldによる英国特許第2535553号
【特許文献2】Redman-White、Coue及びWhitfieldによる米国特許第10447007号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Smith(Electronics Letters, October 1978 pp775-776)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この整定時間拡大の問題を無視できる値又はより小さな許容可能値に削減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、
始動フェーズにおいて、第1の駆動電流と、その後に第2の異なる駆動電流とをレーザダイオードに印加するように構成される駆動回路類であって、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、前記レーザダイオードがそれぞれ第1の光出力及び第2の光出力を提供するように構成される電流である、駆動回路類と、
前記レーザダイオードの前記第1の光出力に対応する第1のセンサ出力と、前記第2の光出力に対応する第2のセンサ出力とを提供するように構成される光センサと、
前記第1の駆動電流と、前記第2の駆動電流と、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力とを使用して前記駆動回路類の制御値を提供し、前記レーザダイオード光出力の平均電力及び変調度を制御するように構成されるコントローラと、
を備えるシステムが提供される。
【0011】
前記駆動回路類は、前記レーザダイオードに印加されるバイアス電流と、前記レーザダイオードに印加される変調電流とを制御するように構成することができる。
【0012】
前記駆動回路類は、前記レーザを前記ドライバ回路類に結合する回路構成要素の配置構成内に供給される補償電流であって、その値が、所望のバイアス電流値及び変調電流値を求めるプロセスの間、前記結合する構成要素の配置構成を通る電流を実質的に一定値に維持するように構成される、補償電流を提供するように更に構成することができる。
【0013】
前記制御値は、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに印加される前記バイアス電流及び前記変調電流を制御するように構成することができる。
【0014】
前記コントローラは、前記第1の駆動電流値と、前記第2の駆動電流値と、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力とを使用して、平均電流値及び変調電流値を求め、該平均電流値及び該変調電流値に応じた制御値を提供するように構成することができる。
【0015】
前記コントローラは、前記第1の電流値及び前記第2の電流値を使用して、前記補償電流の値を求めるように構成することができる。
【0016】
前記コントローラは、前記第1の駆動電流と、前記第2の駆動電流と、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力とを使用して、最小動作電流値を提供する、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに印加される第3の電流と、最大動作電流値を提供する、前記レーザダイオードに印加される第4の電流とを求め、前記第3の電流値及び前記第4の電流値に応じた制御値を提供するように構成することができる。
【0017】
前記最小動作電流値はデータ「0」に使用され、前記最大動作電流はデータ「1」に使用される。
【0018】
前記システムは、バースト通信システムにおいて使用されるように配置することができ、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、単一のバーストのタイミング内で印加される。
【0019】
前記システムは、バースト通信システムにおいて使用されるように配置することができ、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、単一のバーストのタイミング内で印加することができる。
【0020】
前記システムは、バースト通信システムにおいて使用されるように配置することができ、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、それぞれのバーストのタイミング内で印加することができる。
【0021】
前記光センサはフォトダイオードを含むことができる。
【0022】
前記光センサは、前記フォトダイオードの前記出力をデジタル値に変換して、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力を提供するように構成されるアナログ/デジタル変換器を備えることができる。
【0023】
前記システムは、前記光センサからの出力と、1つ以上の記憶された基準値とを使用して、前記始動フェーズ後の前記レーザダイオードの挙動の変化を補償するように構成されるフィードバックループを備えることができる。
【0024】
前記駆動回路類は、電流が前記レーザダイオードに印加されず、前記光センサのそれぞれの出力が前記第1のセンサ出力値及び前記第2のセンサ出力値を補正するために使用されるように構成することができる。
【0025】
前記第1の駆動電流値及び前記第2の駆動電流値は、実質的に線形の動作領域内で前記レーザダイオードを動作させるように構成することができる。
【0026】
第2の態様によれば、情報が少なくとも1つのバーストにおいて送信される通信システムの方法であって、前記通信システムは、レーザダイオードと、該レーザダイオードに結合された駆動回路類と、該レーザダイオードの端子に結合された補償電流源と、光センサと、コントローラとを備え、該方法は、動作フェーズの前の始動フェーズにおいて、前記レーザダイオードが、第1の光出力及び第2の光出力をそれぞれ提供するように構成されるように、前記レーザダイオードに第1の駆動電流と、その後に第2の駆動電流とを前記駆動回路類によって印加することであって、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は異なることと、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流に関連した補償電流であって、前記始動フェーズの間、前記レーザダイオードに接続された少なくとも1つのインピーダンスを流れる組み合わされた電流を実質的に一定のレベルに維持するように構成される補償電流を前記始動フェーズにおいて前記補償電流源によって印加することと、前記レーザダイオードの前記第1の光出力に対応する第1のセンサ出力と、前記第2の光出力に対応する第2のセンサ出力とを前記光センサによって提供することと、前記コントローラによって制御値を提供することであって、該制御値は、前記駆動回路類が、前記情報が前記少なくとも1つのバーストにおいて送信される前記動作フェーズの間に前記レーザダイオードの動作電流を制御する制御値を含み、前記制御値は、前記第1の駆動電流の値と、前記第2の駆動電流の値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力値とに基づいていることとを含む、方法が提供される。
【0027】
前記動作電流は、平均電流及び変調電流を含むことができ、前記コントローラによって制御値を提供することは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力と、前記少なくとも1つの供給される入力値とを使用して、平均電流値及び変調制御値を求めることと、前記平均電流値及び前記変調制御値に応じた制御値を提供することとを含むことができる。
【0028】
前記少なくとも1つのインピーダンスは、前記レーザダイオードとシステム電源との間に接続することができる。
【0029】
前記レーザダイオードと前記システム電源との間に接続された前記少なくとも1つのインピーダンスは、少なくとも1つのインダクタンスを含むことができる。
【0030】
前記コントローラによって制御値を提供することは、補償制御値を前記補償電流源に提供することを更に含むことができ、前記補償制御値を提供することは、前記レーザダイオードと前記電源との間に接続された前記インピーダンスを通過する全電流が、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流の供給中に実質的に一定を維持するような前記補償電流の第1の値及び第2の値をそれぞれ求めることと、前記補償電流の前記第1の値に応じた第1の補償制御値と、前記補償電流の前記第2の値に応じた第2の補償制御値とを生成することとを含むことができる。
【0031】
前記方法は、前記駆動回路類によって、前記制御値に基づいて、前記平均電流及び前記変調電流を前記レーザダイオードに提供することを更に含むことができる。
【0032】
前記動作電流は、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに提供される最大動作電流及び最小動作電流を含むことができ、前記コントローラによって制御値を提供することは、前記駆動回路類によって前記レーザダイオードに提供される最小動作電流値及び最大動作電流値を求めることと、前記最大動作電流値及び前記最小動作電流値に応じた前記制御値を提供することとを含むことができる。
【0033】
前記コントローラによって制御値を提供することは、前記制御値に基づいて前記レーザダイオードに前記最大動作電流値及び前記最小動作電流値を提供することを含むことができる。
【0034】
前記最小動作電流値はデータ「0」に使用することができ、前記最大動作電流はデータ「1」に使用することができる。
【0035】
前記動作電流は、バイアス電流及び変調電流を含むことができ、前記コントローラによって制御値を提供することは、バイアス電流値及び変調制御値を求めることと、該バイアス電流値及び該変調制御値に応じて前記駆動回路類に前記制御値を適用することとを含むことができる。
【0036】
前記方法は、前記動作フェーズにおいて、前記駆動回路類によって、前記制御値に基づいて、前記レーザダイオードに印加される前記バイアス電流と、前記レーザダイオードに印加される前記変調電流とを提供することを更に含むことができる。
【0037】
前記動作フェーズの前の前記始動フェーズにおいて、前記レーザダイオードに前記第1の駆動電流と、その後に前記第2の駆動電流とを前記駆動回路類によって提供することは、単一のバーストのタイミング内で前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流を提供することを含むことができる。
【0038】
前記動作フェーズの前の前記始動フェーズにおいて、前記レーザダイオードに前記第1の駆動電流と、その後に前記第2の駆動電流とを前記駆動回路類によって提供することは、それぞれのバーストのタイミング内で前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流を提供することを含むことができる。
【0039】
前記光センサはフォトダイオードを含むことができる。
【0040】
前記光センサは、アナログ/デジタル変換器を備えることができる。
【0041】
前記レーザダイオードの前記第1の光出力に対応する前記第1のセンサ出力と、前記第2の光出力に対応する前記第2のセンサ出力とを前記光センサによって提供することは、前記アナログ/デジタル変換器によって、前記フォトダイオードの前記出力を、前記レーザダイオードの前記第1のセンサ光出力を表すデジタル値と、前記第2の光出力に対応する前記第2のセンサ出力を表すデジタル値とに変換して、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力を提供することを含むことができる。
【0042】
インピーダンスは、前記少なくとも1つのインダクタンスに接続されていない前記レーザダイオードの端子に接続することができる。
【0043】
前記システムは、前記光センサからの出力と、1つ以上の記憶された基準値とを使用して、前記始動フェーズ後の前記レーザダイオードの挙動の変化を補償するように構成されるフィードバックループを備えることができる。
【0044】
前記駆動回路類は、電流が前記レーザダイオードに印加されていないときに、前記光センサのそれぞれの出力が前記第1のセンサ出力値及び前記第2のセンサ出力値を補正するために使用されるように構成することができる。
【0045】
前記第1の駆動電流値及び前記第2の駆動電流値は、実質的に線形の動作領域内で前記レーザダイオードを動作させるように構成することができる。
【0046】
更なる態様によれば、少なくとも1つのバーストを使用する通信の方法であって、
始動フェーズにおいて、レーザダイオードに、レーザダイオードに第1の駆動電流と、その後に第2の異なる駆動電流とを印加することであって、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、前記レーザダイオードがそれぞれ第1の光出力及び第2の光出力を提供するように構成される電流であることと、前記レーザダイオードの前記第1の光出力に対応する第1のセンサ出力と、前記第2の光出力に対応する第2のセンサ出力とを提供することと、前記第1の駆動電流の値と、前記第2の駆動電流の値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、前記少なくとも1つの供給される入力とを使用して、制御値を提供し、前記レーザダイオードの動作電流を制御することと、前記レーザダイオードの端子に補償電流を印加することであって、該補償電流は、前記始動フェーズの間、前記レーザダイオードに接続された少なくとも1つのインピーダンスを流れる組み合わされた電流を実質的に一定のレベルに維持するように構成されることと、前記情報が前記少なくとも1つのバーストにおいて送信される前記動作フェーズの間、前記第1の駆動電流の値と、前記第2の駆動電流の値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力値とを使用して、前記駆動回路類の制御値を提供し、前記レーザダイオードの動作電流を制御し、前記始動フェーズの間、前記補償電流の第1の値及び第2の値を更に供給するように構成されるコントローラを設けることとを含む、方法が提供される。
【0047】
前記方法において提供される前記動作電流は、平均電流及び変調電流を含むことができ、前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力と、前記少なくとも1つの供給される入力とを使用して、平均電流値及び変調制御値を求め、前記平均電流値及び前記変調制御値に応じた制御値を提供するように構成することができる。
【0048】
前記方法による実施の形態に含まれる前記少なくとも1つのインピーダンスは、前記レーザダイオードと前記システム電源との間に接続することができる。
【0049】
前記方法による実施の形態に含まれる前記少なくとも1つのインピーダンスは、少なくとも1つのインダクタンスを含むことができる。
【0050】
前記方法による実施の形態に含まれる前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値、前記第2の駆動電流の前記値を使用して、前記レーザダイオードと前記電源との間に接続された前記インピーダンスを通過する前記全電流が、前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流の前記供給中に実質的に一定を維持するような補償電流の第1の値及び補償電流の第2の値をそれぞれ求めるように構成することができる。
【0051】
前記方法による実施の形態に含まれる前記駆動電流を提供する前記手段は、前記制御値に基づいて、前記レーザダイオードに印加される前記平均電流と、前記レーザダイオードに印加される前記変調電流とを提供するように構成することができる。
【0052】
前記方法において提供される前記動作電流は、前記レーザダイオードに印加される最大動作電流及び最小動作電流を含むことができ、前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、前記少なくとも1つの供給される入力とを使用して、前記レーザダイオードに印加される最小動作電流値と、前記レーザダイオードに印加される最大動作電流値とを求め、該最大動作電流値及び該最小動作電流値に応じた制御値を提供するように構成することができる。
【0053】
前記方法による実施の形態に含まれる前記駆動電流を提供する前記手段は、前記制御値に基づいて、前記レーザダイオードに印加される前記最大動作電流値及び前記最小動作電流値を提供するように構成することができる。
【0054】
前記方法において提供される前記最小動作電流は、データ「0」を表すのに使用することができ、前記最大動作電流は、データ「1」を表すのに使用することができる。
【0055】
前記方法において提供される前記動作電流は、前記レーザダイオードに印加されるバイアス電流及び変調電流を含むことができ、前記コントローラは、前記第1の駆動電流の前記値と、前記第2の駆動電流の前記値と、前記第1のセンサ出力と、前記第2のセンサ出力と、少なくとも1つの供給される入力とを使用して、バイアス電流値及び変調制御値を求め、該バイアス電流値及び該変調制御値に応じた制御値を適用するように構成することができる。
【0056】
前記方法による実施の形態に含まれる前記駆動電流を提供する前記手段は、前記制御値に基づいて、前記バイアス電流を前記レーザダイオードに提供し、前記変調電流を前記レーザダイオードに提供するように構成することができる。
【0057】
前記方法において提供される前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、単一のタイミングバースト内で前記レーザに印加されるように構成することができる。
【0058】
前記方法において提供される前記第1の駆動電流及び前記第2の駆動電流は、それぞれのタイミングバースト内で前記レーザに印加されるように構成することができる。
【0059】
前記方法において提供される前記センサ出力は、フォトダイオードを含む手段によって提供することができる。
【0060】
前記方法において提供される前記センサ出力は、前記フォトダイオードの前記出力をデジタル値に変換して、前記第1のセンサ出力及び前記第2のセンサ出力を提供するアナログ/デジタル変換器を含む手段によって提供することができる。
【0061】
前記方法による実施の形態に含まれる前記レーザは、少なくとも1つのインピーダンスに接続することができ、該少なくとも1つのインピーダンスは、前記少なくとも1つのインダクタンスに接続されていない前記レーザの端子に接続することができる。
【0062】
前記方法による実施の形態に含まれる前記駆動電流を提供する前記手段は、前記光センサからの出力と、1つ以上の記憶された基準値とを使用して、前記始動フェーズ後の前記レーザダイオードの挙動の変化を補償するように構成されたフィードバックループを更に備えることができる。
【0063】
前記方法による実施の形態に含まれる前記駆動電流を提供する前記手段は、電流が前記レーザダイオードに印加されていないときに、前記第1のセンサ出力値及び前記第2のセンサ出力値を補正するために前記光センサのそれぞれの出力を使用することができるように構成することができる。
【0064】
前記方法による実施の形態に含まれる前記駆動電流を提供する前記手段は、実質的に線形の動作領域内で前記レーザダイオードを動作させるように構成することができる。
【0065】
上記において、多くの異なる実施の形態を説明してきた。上記で説明した実施の形態の任意の2つ以上のものを組み合わせることによって更なる実施の形態を提供することができることが理解されるべきである。
【0066】
これより、単に例として、添付図面を参照しながら、いくつかの実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1a】変調度及び変調電流を示す、レーザのレーザ駆動電流に対する光電力を示すグラフである。
図1b】2つの異なる温度で動作するレーザのレーザ駆動電流に対する光電力を示すグラフである。
図2】従来技術の配置構成によるレーザ変調及びバイアスを制御するフィードバック配置構成を示す図である。
図3】データのバーストの開始時におけるバーストモード通信リンクと、レーザを制御する従来のフィードバックループによるレーザ及び駆動電流の通常の応答とを示す図である。
図4】従来技術の配置構成による、レーザ特性に関する情報を提供するデータ導入中の2つのバースト又はパルスの使用を示す図である。
図5】従来技術の一実施形態による、導入バースト又はパルスにおいて観測されたレベルから所望のレーザ駆動電流レベルを求めることを示す図である。
図6】従来技術の一実施形態による、レーザがバイアス電流及び変調電流を用いて駆動される配置構成を概略的に示す図である。
図7】従来技術による、回路素子の配置構成がレーザを結合するのに使用される配置構成を示す図である。
図8】従来技術による、レーザを駆動する配置構成における通常のデータバースト中の理想的な電流の図である。
図9】従来技術による、差動レーザ駆動を採用する配置構成において導入バースト駆動電流を提供する配置構成を示す図である。
図10】従来技術の一実施形態による図9のような配置構成におけるレーザ接続に通常存在する電気波形の図である。
図11】本発明の一実施形態による、導入バースト中に補償電流を提供して、レーザ結合構成要素のインピーダンスに定電流を提供する配置構成を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による図11の配置構成に存在する電流を表す図である。
図13】本発明の一実施形態の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
これより、単に例として、いくつかの実施形態を記載する。
【0069】
図1a及び図1bは、供給電流に対する光出力電力に関する通常のレーザの特性の図を示している。電流が或る閾値101未満であるとき、出力はなくなり、この閾値よりも大きいとき、出力は、多くの場合に、電流と線形であると近似される。閾値電流101の値は、デバイスごとに変化し、また、特にデバイスは使用中に熱くなるので、接合部温度とともに変化する。この特性は、温度が上昇するにつれて、多少の非線形性を示す可能性もある。
【0070】
光信号の高速の切り替え及び低い雑音を得るために、光出力の変調は、オン及びオフを切り替えるのではなく、相対的に高いレベルと相対的に低いレベルとの間で行われる。レーザの平均電力出力は、レーザの最大定格を越えず、何らかのシステムレベル電力仕様を遵守するように制御される。
【0071】
レーザ特性(レーザ駆動電流に対するレーザ光電力出力)は、多くの場合に、閾値電流よりも上では実質的に直線として表され、これは、適度な電流及びより低い動作温度では不合理なものではない。レーザが、より大きな電流を用いてより激しく駆動され、熱くなると、特性は、線形性が低くなり、より高い電流では平坦化する。図1bは、-40℃及び85℃における通常のレーザのそれぞれの特性の図を示している。見て取ることができるように、閾値電流は、温度とともに増加し(104)、レーザダイオードの特性は、より低い温度と比較してより高い温度では線形性が低くなっている。
【0072】
理想的な線形特性からのこの逸脱に起因して、レーザの正確な制御が、広範囲の電力及び温度レベルにわたって必要とされる場合には、線形特性の前提に依拠しない制御ループを提供することが望ましい場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態において、これは、考慮すべき事項でない場合がある。いくつかの実施形態において、バイアス電流及び変調電流が、動作バーストの開始時に設定される場合がある。その結果、レーザは、特性が実質的に線形である周囲温度と同じか又はそれに近いと仮定することができる。レーザがデータバーストの過程で熱くなると、バイアス電流及び変調電流の値は、より正確なフィードバックシステムによって制御することができる。
【0073】
相対的に高いレベル102と相対的に低いレベル103との間の光出力の変調は、これらの2つのレベルの間にある平均レーザ電力105を用いた変調度の観点から記述することができる。相対的に高いレベルと相対的に低いレベルとの間の光出力の変調は、別の方法として消光比(ER)として記述することもできる。消光比は、相対的に高いレベルと相対的に低いレベルとの間の比である。変調度は、図1aに示されている。図1aは、レーザ変調電流も示している。
【0074】
いくつかの実施形態において、レーザバイアス電流は、相対的に低いレベルに関連したレーザ駆動電流である。このバイアス電流は、閾値電流よりも僅かに大きくすることができる。レーザ変調電流は、その場合に、変調度を提供する関連電流であり、バイアス電流に追加されて光ハイレベルを提供する。
【0075】
他の実施形態において、バイアス電流は、所望の光平均レベルと実質的に同等の光レベルを提供するように設定することができる。そのような他の実施形態において、変調電流は、所望の低い(又は「0」)シンボルレベルを提供するようにバイアスから差し引かれ、所望の高い(又は「1」)シンボルレベルを提供するようにバイアス電流に同様に追加される。
【0076】
ERは、慣習的にdBで示すことができる。このパラメータは、「1」シンボルレベルと「0」シンボルレベルとを弁別する受信機能の能力を決定する。したがって、使用中に平均レーザ出力が明確に規定され、ERも規定された制限内にあることを確保するために、光ハイ(optical high)及び光ロー(optical low)に必要とされる電流を求めて制御することができることが望ましい。
【0077】
レーザの平均出力及び変調を制御する技法は、連続モード光ファイバ通信システムにおいて知られている。図2は、そのようなシステムの一例(非特許文献1による)を示している。このシステムの目的は、光レベルを規定された基準値と比較し、その結果、公差、経時変化及び温度変動にもかかわらず平均及びERを維持することである。通常、モニタフォトダイオード201が、送出する光信号の僅かな部分を受信するために、送信レーザダイオード202の近くに固定される。図2に示す例示のシステムでは、低周波数(LF)変調がレーザ駆動電流に加えられる。平均を表すモニタフォトダイオード201からの信号が、バイアス回路210がレーザにおいて平均電流を維持することができるように、基準206と比較される。検出器211が、モニタダイオードからのLF変調を含む信号成分を抽出し、この信号成分は、レーザ特性の傾きを推定するのに使用される。この傾きを傾きの基準207と比較することによって、変調レベルを設定し(209)、維持することが可能になる。
【0078】
図2に示すような制御システムの特徴は、フィードバックループが使用され、このフィードバックループ内に、通常、長時定数を必然的に有するフィルタリング機能、積分機能及び平均機能208があることである。明らかに、連続定常状態において動作する光リンクの場合に、平均化時間が長いことは、一般に、所望の電力レベル及び変調レベルの推定値がより正確であることを意味し、そのため、高速の整定の要件と電力及びERの正確な制御の要件との間に矛盾がある。
【0079】
更に考慮すべき事項は、そのようなシステムにおけるいくつかの時定数の組み合わせが、整定挙動においてオーバシュートを観測する可能性があるような2次応答又はより高次の応答をもたらす場合があるということである。
【0080】
バーストモード通信リンクの場合に、そのようなフィードバックループの整定に必要とされ得るような時間は、利用可能である可能性は低い。高速に整定するように構築されたフィードバックループがオーバシュートを示す場合があり、損傷を与えるおそれがある電流がレーザダイオードに供給される可能性もある。他方、より長い導入が各データペイロードに必要とされる場合には、通信システムの全体的な容量は制限される場合がある。さらに、レーザをドライバ回路に結合するのに使用される回路素子のいくつかの配置構成には、回路状態の整定を更に遅延させ、許容可能な時間スケール内で所望の動作電流レベルを求めるために必要とされる信頼できる情報の収集を妨げるおそれがあるインダクタ等のリアクティブ構成要素が含まれる場合がある。
【0081】
いくつかの実施形態の目的は、変調度(ER)及びバーストモードシステムにおける平均光電力の制御において長い整定時間を可能にする要件を除去することである。これは、少数の導入バースト又はパルスの間にレーザを駆動することから得られる定量的な情報を使用することと、この情報を使用して初期条件を制御ループに設定することとによって達成することができる。例えば、少数の導入バースト又はパルスは、2つとすることもできるし、3つ以上とすることもできる。いくつかの実施形態の更なる目的は、レーザに関連した受動リアクティブ回路素子の影響を最小にすることである。このような影響は、最小にしなければ、所望の時間スケール内に所望の電流レベルを求めるプロセスを妨害する整定時間をシステムの動作においてもたらすおそれがある。
【0082】
図3は、図2に示す上述のタイプの制御システムが所望のER302及び所望の平均電力301を維持するのに使用されるバーストモード光通信システムにおける光レベルの図を示している。図3は、時間に対するレーザ電力出力を第1のグラフに示し、時間に対する平均電流を第2のグラフに示している。制御ループの遅い整定挙動は、始動フェーズにおいて長い整定時間をもたらし、平均電力及びERが、関係のある規格において指定された導入期間303内で正しく規定されない可能性がある。このタイプのバーストモードシステムは、通常、フル性能がほぼ5つの導入バースト内で確立されることを要する合意仕様を有する。各導入バーストは、例えば、ほぼ200ns以下にすぎない。ユーザの観点から、最小数のバースト内でフル性能に整定されることは有利である。さらに、2次応答又はより高次の応答が制御ループに存在する場合には、レーザの最大定格を越える危険があるオーバシュートが整定において発生する場合がある。
【0083】
いくつかの実施形態の更なる目的は、始動すると制御システムにおいて長時定数を使用することも可能であり、したがって、リンクがアクティブであるときに電力及びERの円滑な制御を維持することも可能であるような方法で、導入期間において最小数のバーストしか必要としない、送信レーザダイオードの正確で安定した動作状態を比較的短い期間内で確立する手段を提供することである。
【0084】
図4は、従来技術によるシステムの一実施形態において、所望の光ハイ408及び光ロー409を提供、したがって、平均電力レベル301及びER302を提供するために、レーザ駆動電流値の高速の整定を提供することを目的とする導入の一部として生成されるバーストの図を示している。この実施形態において、最初の2つのバースト又はパルスの出力レベルは、予想動作レベル未満の異なる値に故意に設定される。これらのレベルは、工場における較正又は通常動作において得られる自動較正更新のいずれかから得られる記憶された値に基づいている。この方法は、後により詳細に説明される。
【0085】
第1のバースト又はパルス405において、データ変調を有しない規定された固定電流401が、例えば予想動作出力の50%未満の適度な出力を与えると予想されるレベルでレーザに供給される。対応する光出力レベルは、モニタダイオード信号から求められ、この値は記憶される。第2のバースト又はパルス406について、レーザに供給される電流は、例えば通常動作出力の75%を送達するより高い光出力を与えるために、より高いレベル402に増加される。再び、モニタダイオードによって観測された光電力レベルが測定され、記憶される。その後、簡単な計算を行って、レーザ特性の傾き及び閾値の良好な推定値を求めることができ、したがって、正確な平均電力及びERに必要とされるバイアス電流及び変調電流の初期電流設定値を求めることができる。
【0086】
最初の2つの較正バーストの正確な継続時間及びタイミング間隔は、この用途に使用される特定の通信システムの仕様によって制約されないことは当業者に明らかであろう。いくつかの実施形態において、「バーストイネーブル」信号の形態でホストシステムから入力されるバーストタイミングを遵守することが好都合であり得る。一方、いくつかの他の実施形態において、バーストが、そのバーストにおいて供給される電流に対応する光レベルでモニタダイオード信号を測定することができるだけ十分長いものであることを、唯一の制限事項とすることができる。1つの好都合な方法は、規定された単一のバースト継続時間の間に2つの異なるレーザ駆動電流を印加することである。このように、第2のバースト間隔の前にシステムが較正を受けることを可能とすることができる。
【0087】
図5は、1つの実施形態による所望の機能を実行することができるシステムの一例を示している。当業者であれば、実質的に同じ又は類似の結果を達成するために回路類及び構成要素の他の多くの配置構成を採用することができることを直ちに認識するであろう。
【0088】
送信機レーザダイオード501に、電流モードデジタル/アナログ変換器(DAC)506からのバイアス電流514と、別の電流モードDAC507からの変調電流515とが供給される。変調電流は、データ入力511の制御を受ける変調器510によってオン及びオフに切り替えられる変調電流DAC507によって供給される。変調器510は、変調電流DAC507とレーザダイオード501との間の経路に設けられる。双方の電流は、電流DAC506及び507のそれぞれに入力されるバーストイネーブル制御信号512の活動によってともにオフに切り替えることができる。
【0089】
レーザ501の光出力は、レーザダイオードに隣接した位置に設けられたモニタフォトダイオード502によって監視される。モニタダイオードは電流を生成し、この電流は、フォトダイオード502と接続されたトランスインピーダンス増幅器(TIA:transimpedance amplifier)503によって電圧505に変換される。モニタTIAの出力505は、平均制御ループ及びER制御フィードバックループ(図5に図示せず)に供給され、ADC(アナログ/デジタル変換器)504を介してコントローラ514に供給される。ADC504のデジタル出力513は、コントローラ514への入力として提供される。
【0090】
いくつかの実施形態において、モニタダイオード及び関連したTIAは、信号帯域幅よりも低い帯域幅を有することができ、制御システムは、これを考慮するように構成することができる。
【0091】
連続モードにおいて動作しているとき、すなわち、長いデータバーストシーケンスを有するとき、バイアス電流を制御するデジタル値508及び変調電流を制御するデジタル値509は、フィードバックループ制御によって求められ、温度とともにゆっくりと変化する比較的安定した状態に留まる。一方、データバーストの開始時には、値508及び509の制御は、コントローラ514によって実行することができる高速開始アルゴリズムによって規定することができる。
【0092】
図6は、データバーストへの導入中の少なくとも2つの規定されたレーザ値の使用が、計算を実行するアルゴリズムに情報をどのように提供することができるのかを図によって示している。MREFは、レーザ内に電流が存在しないときのモニタTIAの出力において観測されるレベルであり、漏れ電流及び増幅器オフセットの効果を表す。Iは、第1の較正バースト又はパルス405においてレーザに印加される較正電流401であり、Mは、観測される対応するモニタTIA出力である。Iは、第2の較正バースト又はパルス406においてレーザに印加される較正電流402であり、Mは、観測される対応するモニタTIA出力である。これらの較正電流は、好ましくは、バイアス電流の値を変化させることによって印加される。IAVEは、後続のデータ送信に使用される所望の平均レーザ電流403であり、MAVEは、モニタTIA出力において観測される対応するレベルである。I及びIは、所望のER302においてそれぞれ「1」レベルの信号伝達及び「0」レベルの信号伝達に必要とされるレーザ電流である。M及びMは、モニタTIAの出力において定常状態で観測される対応する「1」レベル及び「0」レベルである。
【0093】
レーザの後続の通常動作に所望されるようなIAVEの必要とされる値及びER値は、便宜上、ローカルメモリに事前に記憶することができる。較正電流値I及びIも、計算の実行に必要とされるが、これらは、いずれかの特定の値である必要はなく、正確には、ともにレーザの通常動作範囲内にあるという条件を満たすものである。これらの値は、便宜上、使用されている特定のレーザの仕様と、任意選択で周囲温度等の他の要因とを考慮して、ローカルメモリ又はルックアップテーブルに記憶することができる。I及びIの値は、例えば、計算が値の限られた範囲の整数表現を使用して行われる場合に、必要とされる計算を大きな丸め誤差なく簡単に行うことができるように、好ましくは十分に異なるべきである。
【0094】
計算を行う1つの方法の一例は以下のとおりである。
【数1】
及び
【数2】
ただし、以下の式を条件とする。
【数3】
したがって、
となる。
その結果、以下の式が得られる。
【数4】
同様に、以下の式を導出することができる。
【数5】
【0095】
この例では、レーザ動作電流は、「1」レベルを表す最小電流及び「0」レベルを表す最大電流に関して規定されている。バイアス電流及び変調電流は、レーザ変調器の特定の実施態様に適した方法でこれらの値から導出することができる。図5に示すようなDC変調器の場合に、バイアス電流はIと同等であり、変調電流は(I-I)と同等である。これらの電流値は、その後、初期動作値として使用され、その後、レーザの温度上昇、又は簡単な線形モデルからの、レーザの電流対光電力特性の起こり得るずれを考慮するために、例えば図2に示すような任意のフィードバックシステムによって調整される。
【0096】
例えば、変調が、平均バイアス電流値に対して加えられ又は差し引かれる交流として印加されるときに、必要とされる計算又は決定を行い、動作電流を規定する多くの方法があることは当業者に明らかであろう。
【0097】
図7は、従来技術による、レーザダイオードを関連したドライバ回路類に結合するのに使用される回路素子の配置構成を示している。この配置構成では、レーザ501と接続されてレーザの光出力のパルス応答を変更及び改善する直列インピーダンス704、710が存在する。この図では、これらのインピーダンスは、通常の用途においてインピーダンスの最重要素子とほぼ等しいチョークインピーダンスによって表されている。当業者であれば、その性質が完全な送信光サブアセンブリ(TOSA:transmit optical sub-assembly)の物理的構成に依存するそのようなインピーダンスには、非常に多くの可能な変形形態が存在し、それぞれは2つ以上の素子を備えることができることを直ちに認識するであろう。規定されたデータバースト中のレーザの起動を容易にするために、切り替え機能703が、バイアス電流DAC506と直列に設けられる。この切り替え機能は、一方においてバイアス電流708をレーザに供給することと、他方においてこの電流を、レーザを迂回させてチョークインピーダンス704との接続部に供給することとのいずれかを選択する。同様に、レーザ電流の変調を容易にするために、一方において追加電流をレーザに供給することと、他方においてこの電流を、レーザを迂回させてチョークインピーダンス704との接続部に供給することとのいずれかを選択する変調切り替え機能702が設けられる。
【0098】
通常動作の過程において、各バースト中に、インダクタンス704を通る電流はほぼ一定であり、チョークインピーダンスに関連した長時定数は概ね望ましい。電流401、402の較正パルス又はバーストが始動フェーズ中に印加されるとき、レーザを通る正味電流は、モニタフォトダイオードチャネルがレーザ出力のレベルを確実に検知することができる十分な時間の間比較的定常に保持される。個々のバースト間の合間において、変調切り替え機能702及びバイアス電流切り替え機能703は、組み合わされた全電流を電源に戻す前に、上記電流の双方がレーザを迂回してチョークインピーダンス704を通るように構成される。
【0099】
図8は、図7に示す配置構成における理想化された電流の図を示している。バイアス電流708と直列の切り替え機能703は、バーストイネーブル信号512によって制御され、変調電流709と直列の切り替え機能702は、データ信号とバーストイネーブル信号との適した論理結合から形成される信号701によって制御されることに留意されたい。明らかな他の要因がない場合には、チョークインピーダンス704を通る電流706は、データバースト中(バーストイネーブル信号512がアサートされているとき)と、バーストイネーブル信号が有効でないときのデータ送信のバースト間との双方において、実質的に一定を維持する。
【0100】
図9は、従来技術によるレーザドライバ回路の一実施形態の簡略化された配置構成を示している。この実施形態において、較正パルス又はバーストが、通常のデータ送信に必要とされるバイアスレベル及び変調レベルの適した設定値を求めるために、導入期間中にレーザに印加される。変調電流702及びバイアス電流703のルーティングを制御するために設けられた切り替え機能は、較正シーケンスの間、固定設定値を有し、したがって、この図では、明瞭化のための省略されている。図9では、変調電流切り替え機能は、変調電流がレーザを迂回するように設定されることに留意されたい。変調電流は、好都合な値に設定することもできるし、0に設定することもできる。これらの設定は、上記変調電流の寄与が較正電流値に関連した計算において考慮される場合には必須ではない。較正動作の開始時に、バイアス電流は、最初に、第1の較正パルス又はバーストを提供するために好都合なより低い値に設定され、レーザの光出力が検知され、モニタTIAの出力505が、コントローラ機能514に記憶される。その後、バイアス電流は、第2の較正バースト又はパルスを提供するために好都合のより高い値に設定され、レーザの対応する光出力が検知され、コントローラ機能に記憶される。理想的な状況では、コントローラは、その後、例えば前述した方法で、通常のデータ送信へのバイアス電流及び変調電流の適した設定値を求めるために簡単な計算を行うことができる。
【0101】
図10は、上記較正プロセス中にレーザを通る理想化された電流フローの図を上部パネルに示している。レーザ電流は、大きな遅延を伴うことなくバイアスDAC606からの印加電流903に追従し、所望の値に整定されると仮定される。下部パネルには、実際的な状況におけるレーザ電流901の図が示されている。BOSAの構成に含まれるレーザ結合チョークインピーダンス704、710及び不可避の寄生容量707、711に起因して、バイアスDAC606からの供給電流の変化に対するレーザ電流の応答は、その平衡値へのゆっくりとした整定を示す可能性があり、また、リンギング挙動を示す可能性もある。実際的な状況では、レーザの接合部に関連したインピーダンス、チョークインピーダンス704及び寄生容量707が、上記長い整定時間を生み出すときの支配的な因子である可能性があり、解決策は、これらを優先課題として考慮しなければならないことに留意されたい。
【0102】
レーザ電流の上記整定及びリンギングの継続時間は、モニタフォトダイオード及び関連したTIAに関連した整定時間と比較して大きい可能性もあり、また、指定された導入期間内に適合することができるバースト又はパルスの継続時間と比較して大きい可能性もある。レーザ電流のこの整定は、したがって、所与の較正電流に対応するレーザの光出力の決定において支配的な時間制約になり得る。その結果、コントローラ機能が、必要とされる動作電流値の意味のある計算を行うのに必要とされる第1の較正電流値及び第2の較正電流値に関連した光出力値の十分に信頼できる尺度を得ることは困難又は不可能になる。
【0103】
この限界が、本発明が克服しようとしているものである。
【0104】
図11は、本発明の一態様によるレーザダイオードを駆動する配置構成を示している。図9に示す特徴に加えて、更なるDAC1101からの更なる補償電流経路が設けられ、更なるDAC1101の出力電流値は、デジタル値1105によって制御される。このデジタル値1105は、コントローラ機能1106の変更形態によって提供される。較正フェーズの間、この変更されたコントローラ機能は、較正バースト又はパルスが終了するまで、チョークインピーダンス704を流れる電流が実質的に一定を維持するように補償電流DACを設定する値を計算する。したがって、第1の較正バースト又はパルスの直前に、補償電流値は、変調電流1003の設定値からの寄与分(0又は他の或る固定値とすることができる)と組み合わされた第2のより大きな較正電流値によって提供される電流と同等のレベルに設定される。バイアス電流設定値905が、第1の較正電流バースト又はパルスのバイアスDAC506の値を設定するために変化した時点において、補償電流DAC1101の設定値1105は、補償電流1102がバイアス電流903の増加分と正確に同じ量だけ削減されるように設定される。これらの手段によって、この配置構成において一般的に支配的なリアクティブ構成要素であるチョークインピーダンス704を流れる電流1103は、実質的に一定に保持される。したがって、実質的に一定の電流がチョークインピーダンス704の構成要素を流れる状況では、レーザを取り囲む電気的状態の大きな変動はなく、したがって、レーザ電流1104は、バイアスDAC506によって印加される電流903に非常に密接に追従する。実際的な実施形態において、チョークインピーダンス710及び関連した寄生素子内を流れる電流の変化は、レーザ内を流れる電流1104の大きな整定誤差をもたらさないことに留意されたい。
【0105】
レーザ501内の電流が最初に0値である高速開始較正動作の開始時には、検知された値に対する任意のオフセット又は漏れの寄与分の大きさを求めるために、モニタフォトダイオード502に接続されたTIA503の出力505を検知することが好都合であり得る。
【0106】
高速開始較正動作を開始するために、高速開始プロセスにおいて使用されるレーザ電流の値が最初に求められる。この値は、レーザの絶対最大電流定格を遵守する。バイアス電流903の第1の値及び第2の値が取得される。これらの値は、便宜的に、通常の送信モードにおいて使用されることを目的としたピーク電流の25%及び75%の範囲にあるものとすることができる。レーザ電流に印加されるバイアス電流903のこれらの2つの値から、レーザ電流に追加されるときにチョークインピーダンス704内に定電流を生み出す補償電流1102の対応する第1の値及び第2の値が計算される。
【0107】
次に、変調電流経路702を制御するスイッチが、固定変調電流1003がこのプロセスに存在する場合にこの電流を接続し、チョークインピーダンス704を通ってレーザをバイパスするように設定される。バイアス電流経路703を制御するスイッチは、バイアス電流903がレーザを流れるように設定される。
【0108】
第1の較正バースト又はパルスの前に、バイアス電流及び変調電流は、0に設定することができ、補償電流制御1105は、チョークインピーダンス704を通過する電流1103が、後続の較正バースト又はパルスの間にこのチョークインピーダンスを通過するものとして求められた全電流と同じ値を有するように設定することができる。
【0109】
第1の較正バースト又はパルスの間、バイアス制御値905の値は、バイアス電流903を第1の高速開始較正バースト又はパルスに必要とされるレベルに設定する第1の値に設定される。変調制御値906は、変調電流902を好ましくは小さな固定値に設定することもできるし、この変調制御値は、変調電流を0値に保つオフ状態を維持することもできる。同時に、補償電流DAC1101が、チョークインピーダンス704を介して流れる追加電流を提供して、このチョークインピーダンスを通る電流が、較正バースト又はパルスの開始とともに変化しないようにするために、補償制御値1105は、事前に求められた第1の値に設定される。
【0110】
レーザ501の光出力は、その後、フォトダイオード502によって検知され、関連したTIA503によって増幅される。上記フォトダイオード及びTIAに関連した任意の整定時間を考慮した後、関連したTIAの出力505は、ADC504によってデジタル化され、コントローラ機能1106に記憶される。
【0111】
その後、第2の較正バースト又はパルスの間、バイアス制御値905は、第2の高速開始較正バースト又はパルスに必要とされる電流レベルにバイアス電流903を設定する第2の値に設定される。変調制御値906は、固定値に設定された状態又はオフ状態を維持する。同時に、補償制御値1105は、補償電流1102が、バイアスDACからの電流の増加と同じ量だけ削減されて、第2の較正バースト又はパルスの電流を提供するように、補償電流DAC1101の出力を削減するように変更され、それによって、レーザ電流1104は増加しているが、チョークインピーダンス704内を流れる電流1103は実質的に不変の状態を維持する。
【0112】
規定されたバースト期間中におけるデータ送信の通常動作の間、補償電流1102は必要とされず、この電流経路は、レーザに関連した構成要素から接続解除される。この接続解除は、切り替え機能の使用、又は補償DAC1101の値を0に設定すること等の当業者に明らかな様々な方法で行うことができる。
【0113】
図12は、図11において図示及び説明した本発明の一実施形態による配置構成の動作の図を示している。補償源DAC1101からの電流1102は、較正動作の開始時に、高速開始較正動作のバースト又はパルスの間にチョークインピーダンス704を流れているものとして求められた全電流1103の値に対応する値に設定されることが見て取れる。第1の高速開始較正バースト又はパルスの間、チョークインピーダンス704を通る電流1103が、実質的に一定を維持し、光出力電力を制御するレーザ1104を通る電流が、上記第1の較正バースト又はパルスの期間全体にわたって大きな整定誤差なく実質的に安定した状態を維持するように、補償電流1102の値は、バイアス電流903(及び場合によっては変調電流)、したがってレーザ電流1104の増加と同じ量だけ減少することが見て取れる。
【0114】
第2の高速開始較正バースト又はパルスの間、補償源DAC1101からの電流1102は、第2の高速開始較正バースト又はパルスのレーザ内の所望の電流レベルを提供するのに必要とされるバイアス電流903の増加に対応する量が更に減少することが見て取れる。その結果、チョークインピーダンス704を流れる電流1103は、実質的に一定を維持し、光出力電力を制御するレーザ1104を通る電流は、上記第2の較正バースト又はパルスの期間全体にわたって大きな整定誤差なく実質的に一定を維持する。
【0115】
したがって、本発明のこれらの特徴によって、コントローラ機能が通常の送信モード中の所望の動作状態に必要とされるバイアス508及び変調509の好ましい値を求めるのに必要とされる計算を行うことができるように、較正バースト又はパルスにおいて使用される電流レベルに対応する光の値の信頼できる尺度を取得することが可能である。
【0116】
次に、適したアルゴリズムの一例を、図13を参照して説明するが、当業者であれば、他の多くのアルゴリズムが同等又は類似の機能を達成することを直ちに認識するであろう。
【0117】
第1のステップS1の間、バイアス電流903及び変調電流1003が0値に設定される。TIA505の出力が、測定され、アナログ/デジタル変換器504によってデジタル化され、計算における任意のオフセットを表すペデスタル値として記憶される。
【0118】
第2のステップS2において、高速開始手順において使用される最大電流が求められ、この最大電流は、レーザの最大定格電流未満の或る値である。変調電流が0に設定されない場合には、同変調電流の低い固定値が求められる。高速開始手順において使用されるバイアス電流の低側の第1の値及び高側の第2の値が求められる。補償電流の第1の値及び第2の値が求められ、すなわち、チョークインピーダンスを流れる全電流が実質的に一定を維持するように計算される。
【0119】
第3のステップS3において、バイアス制御スイッチ702及び変調制御スイッチ703が、バイアス電流がレーザを通過するとともに変調電流がレーザをバイパスするように構成される。バイアス電流及び変調電流は0に設定される。補償電流1102は、オンにされ、高速開始較正手順の第1のバースト又はパルス及び第2のバースト又はパルスの間にチョークインピーダンス704を流れる組み合わされた電流の最大値として求められた値と等しい値に設定される。
【0120】
第4のステップS4において、変調電流が、0又は求められた低い固定値に設定される。第1の較正バースト又はパルスの間、バイアス電流が、第1の求められた値に設定され、補償電流が、対応する第1の求められた値に設定される。その後、TIAの出力が、後続の高速開始較正計算のために測定され、デジタル化され、記憶される。
【0121】
第5のステップS5において、第2の較正バースト又はパルスの間、バイアス電流が、第2の求められた値に設定され、補償電流が、対応する第2の求められた値に設定される。その後、TIAの出力が、後続の高速開始較正計算のために測定され、デジタル化され、記憶される。
【0122】
第6のステップにおいて、コントローラ機能が、較正手順の間に記憶された値を処理し、バイアスDAC506及び変調DAC507の初期設定値を計算して、所望の平均光電力及び消光比を提供する。
【0123】
第7のステップS7において、補償電流源が無効にされ、レーザ駆動回路類から接続解除される。バイアス電流スイッチ702及び変調電流スイッチ703が、データの通常送信のために通常動作状態に設定される。バイアス電流及び変調電流が、ステップS6において計算されたDAC設定値を使用して有効にされる。特定の用途において使用される場合には、利用可能な任意のフィードバック制御システムが、送信の期間の間にバイアス電流設定値及び変調電流設定値を監視及び更新するために有効にされる。
【0124】
種々の変形形態を有する様々な実施形態を上記で説明してきた。当業者であれば、これらの様々な実施形態及び変形形態の様々な要素を組み合わせることができることに留意すべきである。そのような代替形態、変更形態、及び改良形態は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内にあることが意図されている。したがって、上記説明は、単なる例にすぎず、限定を意図するものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等なものにのみ画定されるように限定される。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】