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特開2023-83260容器クロージャを処理する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083260
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】容器クロージャを処理する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20230608BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20230608BHJP
   B65B 55/10 20060101ALI20230608BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20230608BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L2/20 106
B65B55/04 V
B65B55/10 A
B65B55/04 M
A61L101:22
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193391
(22)【出願日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】10 2021 131 993.5
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】マックス ブリクマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ゼルナー
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA25
4C058BB07
4C058JJ16
4C058JJ28
4C058JJ29
4C058JJ30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する装置および方法を提供する。
【解決手段】装置(1)は、内部に処理領域が設けられたハウジングであって、処理媒体を付与するために、容器クロージャを処理領域に通して移送できる、ハウジングと、処理媒体を処理領域に流入させるための少なくとも1つの入口(80)、および処理媒体を処理領域から流出させるための少なくとも1つの出口(81)と、処理領域において処理媒体に乱流および/または循環する流れを生じさせるように設定された循環機器(9)と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する装置(1)であって、前記装置(1)が、
内部に処理領域(11)が設けられたハウジング(5)であって、処理媒体を付与するために前記容器クロージャを前記処理領域に通して移送できる、ハウジングと、
前記処理媒体を前記処理領域(11)に流入させるための少なくとも1つの入口(80)、および前記処理媒体を前記処理領域(11)から流出させるための少なくとも1つの出口(81)と、
前記処理領域(11)において前記処理媒体に乱流および/または流れを生じさせるように設定された循環機器(9)と、
を有する、装置。
【請求項2】
前記循環機器(9)が、殊に前記処理領域(11)の上の領域に設置されている少なくとも1つのベンチレータ(94)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記循環機器(9)が、配管(91)と、前記処理媒体を前記処理領域(11)から吸引する、および前記配管(91)を介して循環させるように設定されたファン(90)とを備え、それにより前記処理媒体が少なくとも部分的に、前記処理領域を数回にわたって流れることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記循環機器(9)が、前記ハウジング(5)の内部に分配器(92)を有し、前記分配器は、前記配管(91)に連結され、かつ前記ファン(90)により前記処理領域(11)から吸い出された前記処理媒体の少なくとも一部を前記処理領域(11)に返送するように設定されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記容器クロージャを前記処理領域(11)に通して移送するための、鉛直回転軸(24)を中心に回転可能な移送ディスク(2)を有し、殊に前記移送ディスク(2)の上方に配置された螺旋状のクロージャガイド(3)が設置され、前記クロージャガイドは、前記容器クロージャを螺旋状の移送路に沿って誘導するように設定されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記分配装置(92)が、前記移送ディスク(2)の下方に配置され、前記出口(81)が、殊に前記移送ディスク(2)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項4および5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記分配器(92)が、それぞれ複数の開口を含む複数のランス(92a)を有し、前記ランス(92a)が、前記回転軸(24)の領域から星形に、半径方向外方に延在することを特徴とする、請求項5または6に記載の装置(1)。
【請求項8】
相応に流入部および/または排出部として機能する1つまたは複数の結合部(93)が前記配管(91)内に開口し、前記入口(80)が、殊に前記結合部(93)のうちの1つまたは複数によって形成されることを特徴とする、請求項3~7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記処理媒体は、殊に前記容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌のための気体であるか、または気体を含有し、前記処理媒体は、殊に過酸化水素および/または塩素化合物および/または二酸化炭素および/または過酢酸を含有することを特徴とする、請求項1~8に記載の装置(1)。
【請求項10】
殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する方法であって、前記方法は、
前記容器クロージャを処理領域(11)に通して移送すること、および前記処理領域(11)において前記容器クロージャに前記処理媒体を付与することと、
前記処理媒体を前記処理領域(11)に流入させ、および前記処理媒体を前記処理領域から流出させ、それにより前記処理領域(11)を通る処理媒体流が生成されることと、
さらに、循環機器(9)によって前記処理領域(11)において前記処理媒体に少なくとも部分的に乱流および/または流れを生じさせることと、を包含する方法。
【請求項11】
前記処理媒体は、前記処理領域(11)からファン(90)によって能動的に吸い出され、配管(91)および分配器(92)を介して少なくとも部分的に前記処理領域(11)に返送されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記配管(91)内に開口する結合部(93)を介して、前記処理媒体とは異なる媒体、殊に酸素が前記処理領域(11)に送入されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処理媒体が、殊に前記容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌のための気体であるか、または気体を含有し、前記処理媒体が、殊に過酸化水素および/または塩素化合物および/または二酸化炭素および/または過酢酸を含有することを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置を用いて実行されることを特徴とする、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する、特に消毒する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を充填および閉鎖する際、使用前に容器だけでなくクロージャをも処理する、例えば洗浄(reinigen)、消毒(desinfizieren)、または滅菌(sterilisieren)することが必要になり得る。特に飲料の充填では、容器クロージャのそのような処理は衛生、衛生上の理由から慣例であるか、それどころか必要とされる。
【0003】
クロージャ処理システムは、例えば傾斜した通路を備え、このシステムにおいて処理されるべき容器クロージャが重力にもとづいてこの通路に沿って滑動し、その際、処理剤が付与される(beaufschlagt)。これに代えて、容器クロージャが、移送システム、例えば回転する移送ディスクを用いて能動的に処理区域に通して移送され、それにより装置を、特に鉛直方向に、よりコンパクトに設計することができる。そのような構造形式の装置は、例えば特許文献1および特許文献2から読み取れる。
【0004】
上記で引用された装置では、例えば過酸化水素を含む気体混合物が配管を通って処理領域に達し、そこで処理されるべきクロージャと接触する。通常、気体はノズルから上に向かって流れ、通り過ぎるクロージャを下から滅菌する。この場合、処理領域はノズルの配置と構成によって制限されるか、または少なくとも技術上の制約を受ける。さらに、気体流の方向と対象範囲(Abdeckung)が定まり、それにより処理品質の最適化に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2039439号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102017120557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、容器クロージャの処理を改善すること、特に処理の効果を高めること、および/またはリソースの消費を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1の特徴を有する装置、および並列独立方法請求項の特徴を有する方法により解決される。有利な発展形態は、従属請求項、本発明の以下の記載および好ましい実施例の説明から明らかになる。
【0008】
装置は、処理媒体を用いて容器クロージャを処理するために用いられる。容器クロージャは、回転クロージャ、王冠栓、コルク栓、クランプクロージャ、缶詰蓋、または他の適切なクロージャであり得る。装置は、特に好ましくは飲料充填設備において、例えば水(炭酸なし、または炭酸入り)、ジュース、ソフトドリンク、乳製品、ビール、ワイン、カクテル等々を充填するために使用されるか、またはそのような飲料充填設備の構成要素である。
【0009】
装置は、内部に処理領域が設けられたハウジングを有し、処理媒体を付与するために容器クロージャを処理領域に通して移送できる。
【0010】
ハウジングは、殊に外部環境に対して密閉可能であり、底部と側壁と取外し可能な蓋とを備えることができる。処理されるべき容器クロージャを装置に供給するために、例えば蓋にクロージャ供給部(Verschlusszufuhr)が配置されている。同様に、容器クロージャは、例えば側壁に配置することができる出口を介してハウジングから送り出される。
【0011】
装置は、処理媒体を処理領域もしくはハウジングに流入させるための少なくとも1つの入口、および処理媒体を処理領域もしくはハウジングから流出させるための少なくとも1つの出口をさらに有する。入口および出口を通って、ハウジング内部もしくは処理領域を通り抜ける処理媒体流が生成され、それにより容器クロージャに処理媒体が付与され、したがって処理される。
【0012】
入口および出口は、例えば相応のノズルまたは単純な開口を備え、それらを通って処理媒体が移送される。一実施例では、入口は管によって形成され、この管は、後からさらに説明される移送ディスクの下方でハウジング内に突出し、処理媒体を処理領域に吹き付ける複数のノズルまたは単純な開口を備える。これに代えて、またはこれに加えて、入口は、ハウジングの側壁にノズルまたは単純な開口を備えることができる。装置のいくつかの箇所に複数の入口および/または出口を設けることができる。
【0013】
本発明によれば、装置は、処理領域において処理媒体に乱流および/または流れ、好ましくは循環する流れを生じさせるように設定された循環機器をさらに有する。循環する流れの場合、この流れが完全に処理領域内にある必要はなく、流れは部分的に処理領域から外へ導き出され、別の箇所で再び処理領域に送入することができる。
【0014】
このようにして、循環機器は、処理媒体の分配と目的にかなった使用を最適化し、それにより、同じであるか、または減じられた処理区間距離(Behandlungsstrecke)で、ならびに/あるいは同じであるか、または減じられた量の処理媒体で、容器クロージャの処理の効果を改善することができる。特に、新しく供給される処理媒体を節約でき、そのことによって循環機器はリソース節約に寄与する。
【0015】
装置および循環機器は、殊にモジュール構造であり、それにより根本的に設計し直すことなしに、既存の装置に循環機器を追加装備することができる。したがって既存のシステムのアップグレードを機械工学的に簡単に、かつ低コストで行うことができる。
【0016】
殊に、循環機器が少なくとも1つのベンチレータを有し、それにより装置の処理領域における雰囲気(Atmosphaere)を的確に動かすことができる。そのようにして生成された循環と、場合によっては乱流とによって容器クロージャ、特にクロージャ外面の特に効果的な処理を達成することができる。ベンチレータは、殊に処理領域の上の領域、特に蓋に設置されている。
【0017】
「上に」、「下に」、「上方に」、「下方に」等々の空間に関する名称は、重力方向に相対して、および規定通りの使用のための装置の組込み位置によって一義的に定義される。
【0018】
殊に、循環機器は、配管と、処理媒体を処理領域から吸引する、および配管を介して循環させるように設定されたファンとを備え、それにより処理媒体が少なくとも部分的に処理領域を数回にわたって流れる。この場合、配管は、殊に少なくとも部分的にハウジングの外側に延びる。
【0019】
処理媒体は、このようにして、処理領域全体に均一に分布し、それにより同じ量の処理媒体で、すなわちリソースを追加的に消費することなしに、処理領域のいくつもの箇所で処理媒体が的確に容器クロージャの周囲を流れて付与される。その際に生じる流れの乱流は、特に下から、容器クロージャの特に効果的な処理を可能にする。
【0020】
配管は出口に連結することができ、この場合、ファンが殊に出口の領域に、かつハウジングの外側に設置され、それにより吸引能力が最大になり、既存のシステムへの必要かもしれない追加装備が簡単になる。
【0021】
殊に、循環機器は、ハウジングの内部に分配器を有し、分配器は、配管に連結され、かつファンにより処理領域から吸い出された処理媒体の少なくとも一部を処理領域に返送するように設定されている。この場合、ファンによって吸引された処理媒体が配管を介して分配器に達し、それにより処理を均一化および/または処理媒体を的確に向けることができる。
【0022】
殊に、装置は、容器クロージャを処理領域に通して移送するための鉛直回転軸を中心に回転可能な移送ディスクを有する。移送ディスクの上方には、容器クロージャを横方向に誘導するための螺旋状のクロージャガイドを配置することができ、それにより容器クロージャは、処理の間、螺旋状の移送路に沿って移送される。移送ディスクによるこのような移送は、装置の特にコンパクトな構造形式を可能にする。
【0023】
殊に、分配器は移送ディスクの下方に配置されるので、循環機器によって動かされる処理媒体が処理領域を下から上に向かって流れ、それに伴い、相応に方向付けされた場合、容器クロージャの内面と外面を同じように処理する。この場合、出口は、殊に移送ディスクの上方に配置される。
【0024】
殊に、分配器は、それぞれ複数の開口を含む複数のランスを有し、ランスは、回転軸の領域(ランスは、回転軸に直接/じかに結合される必要はない)から星形に半径方向外方に延在する。このようにして、ランスの形態の分配器は、処理領域の全部または少なくとも大部分を対象として扱う(abdecken)。例えば、それぞれ複数のノズルおよび/または単純な開口を有する5つのランスが設置される。
【0025】
殊に、それに対応して供給部(Zulauf)および/または排出部(Ablauf)として、例えば新たな処理媒体のための供給部および/または使用済処理媒体のための排出部として機能する1つまたは複数の結合部(Anbindung)が配管内に開口する。あるいは、そのような結合部を介して、キャリア媒体または他の物質を処理領域の雰囲気中に導入することができる。したがって好ましい一実施例では、殺菌のために有用であり、処理領域において、例えば過酸化水素と協働する新鮮な酸素が結合部を介して供給される。そのような酸素の交換によって、新鮮な過酸化水素の量を低減することができる。それにより循環機器の一部としての1つまたは複数の結合部は、処理の柔軟化とさらなる最適化を可能にする。
【0026】
殊に、入口が結合部の1つまたは複数によって形成され、それにより処理媒体のための別個の入口を省略することができる。
【0027】
殊に、処理媒体は、気体であるか、または気体を含有する。例えば、過酸化水素および/または塩素および/または二酸化炭素および/または過酢酸との化合物が考えられる。処理自体は、殊に、容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌を含む。処理は、特に好ましくは容器クロージャの消毒を包含するか、またはこれに該当する。
【0028】
上記課題は、さらに、殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する方法によって解決される。方法は、容器クロージャを処理領域に通して移送すること、および同時に、処理領域において容器クロージャに処理媒体を付与することと、処理媒体を処理領域に流入させ、および処理媒体を処理領域から流出させ、それにより処理領域を通る処理媒体流が、殊に容器クロージャを処理領域に通して移送する間に生成されることと、を包含する。この場合、循環機器によって、処理領域において処理媒体に少なくとも部分的に乱流および/または流れ、好ましくは循環する流れを生じさせる。
【0029】
装置に関して説明された特徴、技術的効果、利点、および実施例は、方法にも同様に当てはまる。
【0030】
したがって、処理媒体は、上記の理由から、殊にファンを用いて能動的に処理領域から吸い出され、配管および分配器を介して少なくとも部分的に処理領域に返送される。
【0031】
殊に、上記の理由から、配管内に開口する結合部を介して処理媒体とは異なる媒体、殊に酸素が処理領域に導入される。
【0032】
殊に、処理媒体は、気体であるか、または気体を含有する。例えば、過酸化水素および/または塩素および/または二酸化炭素および/または過酢酸との化合物が考えられる。処理自体は、殊に容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌を包含する。処理は、特に好ましくは容器クロージャの消毒を包含するか、またはこれに該当する。
【0033】
殊に、方法は、上記の実施変形形態の1つによる装置を用いて実行される。
【0034】
本発明の他の利点および特徴は、好ましい実施例の以下の説明から明らかになる。そこで説明された特徴は、単独で、または上述した特徴の1つまたは複数と、これらの特徴が矛盾しない限りで組み合わせて実現することができる。その際、好ましい実施例について添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一実施例による容器クロージャを処理する装置の模式的斜視図である。
図2図1による装置の模式的詳細断面斜視図である。
図3図1による装置のより広範囲に及ぶ模式的断面図である。
図4】別の実施例による容器クロージャを処理する装置の模式的斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の好ましい他の実施形態について、以下の図の説明により詳しく説明する。
【0037】
以下に、好ましい実施例について図をもとにして説明する。その際、それぞれの図において、同一の、類似の、同様の機能の要素には同一の参照符号を付してあり、これらの要素の説明の繰り返しは、冗長性を避けるために部分的に省略する。
【0038】
図1は、第1の実施例による容器クロージャを処理する装置1の側面斜視図を模式的に示す。
【0039】
装置1は、底部50(図2図4を参照)、側壁52および着脱可能な蓋54を備える密閉されたハウジング5を有する。処理されるべき容器クロージャ(図示せず)を装置1内に送入するために、時間調節される(getaktet)クロージャ供給部6が蓋54に配置されている。クロージャ供給部6は、例えば上流に配置されたクロージャ選別装置から、クロージャシュート(図示せず)を介して処理されるべき容器クロージャを受け取る。クロージャ供給部6は、例えばロック(Schleuse)によって、処理されるべき容器クロージャを個別に送り込む(einschleusen)ように設定されている。
【0040】
ハウジング5には、処理された容器クロージャを装置1から導出するための出口7がさらに配置されている。飲料充填設備において、出口7は、相応の移送機器(図示せず)と密封接続することができ、移送機器は、充填された容器を処理されたクロージャで閉鎖するための閉鎖体に、処理された容器クロージャを供給する。
【0041】
出口7は、部分的にハウジング5の底領域にわたって延在し、出口は、付加的にハウジング5から粒子および/または液体を排出するための排出部として設定されていてもよい。これにより、排出されるべき粒子および/または液体を、例えば装置1に隣接するアイソレータ内に排出することができる。
【0042】
図2および図3は、この実施例による装置1の内部構造を様々な視点から、および異なった詳細度で示す。ハウジング5は、容器クロージャを移送するための鉛直回転軸24を中心に回転可能な移送ディスク2と、該移送ディスク2の上方に配置された、容器クロージャの横方向の誘導のための螺旋状のクロージャガイド3を収容している。クロージャガイド3は、連続的な、好ましくはワンピースに形成された螺旋状の金属板帯30を有し、螺旋状金属板帯は、1つまたは複数の支持体32に固定的に組み付けられている。螺旋状金属板帯30の下方に、気体および/または液体透過性のため、および/または汚れ物質を運び出すために相応の複数の開口もしくは穿孔(単数または複数)22を有する移送ディスク2が配置されている。
【0043】
さらに、装置1は、容器クロージャを上から誘導するための、殊に高さ調節可能な天井ガイド4を有する。天井ガイド4は、螺旋状に形成された平らなガイド金属板40を備え、ガイド金属板は、回転軸24の方向に高さ調節可能な取付具42に取り付けられている。取付具42を回転軸24の方向に変位させることにより、ガイド金属板40と移送ディスク2との間の距離が変更される。
【0044】
容器クロージャを処理するために、移送ディスク2が回転される。容器クロージャは、クロージャ供給部6を介して、移送ディスク2の回転軸24の近くでクロージャガイド4の始端領域に供給される。移送ディスク2の回転運動によって、移送ディスク2上にある容器クロージャがクロージャガイド3で、クロージャガイド3の形状により予め定められたガイド軌道に沿って転動する。このようにして、容器クロージャは、回転軸24に対して半径方向内側から半径方向外側に移送される。このような螺旋状の移送によって、直径の増大とともに円周も増大するため、容器クロージャと容器クロージャとの距離が外側への軌道の移動とともに増大し、それにより容器クロージャの起こり得る滞留が防止される。
【0045】
天井ガイド4は、ガイド金属板40が金属板帯30との間に延在するように配置されている。天井ガイド4は、容器クロージャが常に、最適な処理結果が得られる適切な向きのポジションで保持されることに寄与する。特に、容器クロージャの傾きおよび/または食い込み(Verkeilen)を回避できる。その場合、天井ガイド4は移送ディスクの向かい側で容器クロージャを誘導する。したがって、容器クロージャは、クロージャガイド3によって横方向のみならず、天井ガイド4によって上からも誘導される。
【0046】
移送ディスク2の上記の複数の開口もしくは穿孔(単数または複数)22を通って、汚染物質が移送ディスク2から、その下に配置されたハウジング5の底部50へ落下することが可能である。底部50の近くで、側壁54に、殊にフラッシング媒体を流入させるためのサージ開口(Schwalloeffnung)10が配置されている。流入させたフラッシング媒体により、底部50がすすがれ、場合によっては存在する汚染物質、例えば粒子および/または液体が排出部の方向に、および排出部を通って流し出される。有利な排出を保証するために、底部50は、排出部の方向に、殊にわずかに、この例では約3度傾斜させてある。したがって、底部50は、殊に水または洗浄剤が残留する可能性のある鉛直面を有していない。これによって、さらに、洗浄後の装置1の乾燥時間も短く抑えることができる。
【0047】
装置1は、処理媒体を処理領域11に供給するため、および処理領域11から処理媒体を運び出すための機器8をさらに有する。処理領域11において、これがそのように定められているとして、容器クロージャに処理媒体が付与される。
【0048】
容器媒体は、殊に容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌のために用いられ、殊に気体媒体である。例えば、過酸化水素および/または塩素および/または二酸化炭素および/または過酢酸との化合物が考えられる。処理自体は、殊に容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌を包含する。処理は、特に好ましくは容器クロージャの消毒を包含するか、またはこれに該当する。
【0049】
移送ディスク2の回転速度は、殊に調整可能であり、それにより処理領域11における処理されるべき容器クロージャの滞在時間が調整可能である。
【0050】
装置8は、処理領域11に処理媒体を流入させるための1つまたは複数の開口を有する入口80(図3を参照)と、処理領域11から処理媒体を導出するための1つまたは複数の開口を有する出口81とを備える。入口80と出口81を通って、ハウジング内部を通り抜ける処理媒体流を生成することができ、移送ディスク2上にある容器クロージャが処理領域11において処理媒体流と接触し、それによって処理される。
【0051】
この実施例では、入口80が管80aを備えており、該管は、移送ディスク2の下方でハウジング内に突出し、処理媒体を処理領域11に吹き付ける複数のノズルまたは単純な開口を備える。これに代えて、またはこれに加えて、入口80は、側壁52にノズルまたは単純な開口を備えることができる。装置1のいくつかの箇所に複数の入口80を設けることができる。代替実施形態では、好ましくはハウジング5の中心の領域に入口80が1つだけ設けられる。入口80は、例えばクロージャ供給部6の近くに設置することができる。
【0052】
出口81は、この実施例では蓋54に、回転軸24から半径方向にずらして設けられている。あるいは、装置1のいくつかの箇所に複数の出口81を設置することができる。殊に、1つまたは複数の出口81がクロージャ出口7の領域に設けられている。
【0053】
装置1は、循環機器9をさらに備え、循環機器は、この実施例では、出口81の領域に設置されていて、装置1の内部の処理媒体を能動的に吸い出すように設定されたファン90を有する。出口81にあるファン90によって吸引された処理媒体は、少なくとも部分的にハウジング50の外側に延びる配管91を介して分配器92に達する。分配器92は、殊に移送ディスク2の下方に位置し、複数のノズル、ランス92aまたは単純な開口を有し、それにより、出口81で吸い出された処理媒体を少なくとも部分的に処理領域11に返送することができる。処理領域11の少なくとも大部分を対象として扱うために、ランス92aは、回転軸24の領域から星形に外方に延在することができる。例えば、それぞれ複数の開口/ノズルを有する5つのランス92aが設置される。
【0054】
処理媒体は、このようにして、処理領域11全体に均一に分布し、それにより同じ量の処理媒体で、すなわちリソースを追加的に消費することなしに、的確に処理領域11のいくつもの箇所で容器クロージャの周りに処理媒体を流して付与する。その際に生じる流れの乱流は、特に下から、容器クロージャの特に効果的な処理を可能にする。
【0055】
配管91は、閉回路を形成することができ、あるいは、例えば新鮮な処理媒体のための供給部および/または使用済処理媒体のための排出部として機能する1つまたは複数の結合部93が配管91内に開口することができる。あるいは、そのような結合部93を介して、キャリア媒体または他の物質を処理領域11の雰囲気中に送入することができる。したがって、好ましい実施例では、殺菌のために有用であり、処理領域11において過酸化水素と協働する新鮮な酸素が結合部93を介して供給される。そのような酸素の交換によって、新鮮な過酸化水素の量を低減することができる。
【0056】
ファン90、配管91、分配器92、および場合によっては結合部93が共同で循環機器9の実施例を形成する。
【0057】
これに加えて、またはこれに代えて、循環機器9は、1つまたは複数のベンチレータ94を、唯一の循環機器9として、または循環機器9の一部として殊に処理領域11の上の領域に備えることができる。
【0058】
ベンチレータ94は、蓋54に設置することができる。ベンチレータ94は、装置1の処理領域11における雰囲気を的確に動かすように設定されている。そのようにして生成された循環と、場合によっては乱流とによって容器クロージャ、特にクロージャ外面の特に効果的な処理を達成することができる。
【0059】
循環機器9は、殊にそれによって処理領域11で動かされる処理媒体が容器クロージャを一緒に動かさないように設定され、すなわちこの場合、容器クロージャは、別個の保持手段(クリップ、ウエイト、磁石等々)によって移送ディスク2上に保持される必要がない。しかし処理領域11における処理媒体の乱流が望ましい。
【0060】
装置1が結合部(単数または複数)93を有する循環機器9を備えている場合、処理媒体が結合部(単数または複数)93を介して配管91に導入されるならば、入口80を場合によっては省略することができる。換言すれば、結合部93、または複数設置されている場合には結合部93のうちの少なくとも1つが入口80を形成するか、もしくはその機能を引き受ける。そのような実施例が図4に示されている。
【0061】
図に別個に示されない実施例では、循環機器9は、1つまたは複数のベンチレータ94のみを備えている。
【0062】
ここに記載される循環機器9は、処理媒体の分配と目的にかなった使用を最適化し、それにより、同じであるか、または減じられた処理区間距離で、ならびに/あるいは同じであるか、または減じられた量の処理媒体で、容器クロージャの処理の効果を改善することができる。特に、新しく供給される処理媒体を節約でき、そのことによって循環機器9はリソース節約に寄与する。
【0063】
装置1および循環機器9は、殊にモジュール構造であり、それにより根本的に設計し直すことなしに、既存の装置1に循環機器9を追加装備することができる。したがって既存のシステムのアップグレードを機械工学的に簡単に、かつ低コストで行うことができる。
【0064】
適用可能である限り、本発明の範囲を逸脱することなしに、実施例に示されるすべての個々の特徴を互いに組み合わせる、および/または置換することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 装置
10 サージ開口
11 処理領域
2 移送ディスク
22 穿孔
24 回転軸
3 クロージャガイド
30 金属板帯
32 支持体
4 天井ガイド
40 ガイド金属板
42 取付具
5 ハウジング
50 底部
52 側壁
54 蓋
6 クロージャ供給部
7 クロージャ出口
8 処理媒体を供給および運び出すための機器
80 入口
80a 管
81 出口
9 循環機器
90 ファン
91 配管
92 分配器
92a ランス
93 結合部
94 ベンチレータ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する装置(1)であって、前記装置(1)が、
内部に処理領域(11)が設けられたハウジング(5)であって、処理媒体を付与するために前記容器クロージャを前記処理領域に通して移送できる、ハウジングと、
前記処理媒体を前記処理領域(11)に流入させるための少なくとも1つの入口(80)、および前記処理媒体を前記処理領域(11)から流出させるための少なくとも1つの出口(81)と、
前記処理領域(11)において前記処理媒体に乱流および/または流れを生じさせるように設定された循環機器(9)と、
を有する、装置。
【請求項2】
前記循環機器(9)が、殊に前記処理領域(11)の上の領域に設置されている少なくとも1つのベンチレータ(94)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記循環機器(9)が、配管(91)と、前記処理媒体を前記処理領域(11)から吸引する、および前記配管(91)を介して循環させるように設定されたファン(90)とを備え、それにより前記処理媒体が少なくとも部分的に、前記処理領域を数回にわたって流れることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記循環機器(9)が、前記ハウジング(5)の内部に分配器(92)を有し、前記分配器は、前記配管(91)に連結され、かつ前記ファン(90)により前記処理領域(11)から吸い出された前記処理媒体の少なくとも一部を前記処理領域(11)に返送するように設定されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記容器クロージャを前記処理領域(11)に通して移送するための、鉛直回転軸(24)を中心に回転可能な移送ディスク(2)を有し、殊に前記移送ディスク(2)の上方に配置された螺旋状のクロージャガイド(3)が設置され、前記クロージャガイドは、前記容器クロージャを螺旋状の移送路に沿って誘導するように設定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記分配装置(92)が、前記移送ディスク(2)の下方に配置され、前記出口(81)が、殊に前記移送ディスク(2)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記分配器(92)が、それぞれ複数の開口を含む複数のランス(92a)を有し、前記ランス(92a)が、前記回転軸(24)の領域から星形に、半径方向外方に延在することを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項8】
相応に流入部および/または排出部として機能する1つまたは複数の結合部(93)が前記配管(91)内に開口し、前記入口(80)が、殊に前記結合部(93)のうちの1つまたは複数によって形成されることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記処理媒体は、殊に前記容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌のための気体であるか、または気体を含有し、前記処理媒体は、殊に過酸化水素および/または塩素化合物および/または二酸化炭素および/または過酢酸を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項10】
殊に飲料充填設備において処理媒体を用いて容器クロージャを処理する方法であって、前記方法は、
前記容器クロージャを処理領域(11)に通して移送すること、および前記処理領域(11)において前記容器クロージャに前記処理媒体を付与することと、
前記処理媒体を前記処理領域(11)に流入させ、および前記処理媒体を前記処理領域から流出させ、それにより前記処理領域(11)を通る処理媒体流が生成されることと、
さらに、循環機器(9)によって前記処理領域(11)において前記処理媒体に少なくとも部分的に乱流および/または流れを生じさせることと、を包含する方法。
【請求項11】
前記処理媒体は、前記処理領域(11)からファン(90)によって能動的に吸い出され、配管(91)および分配器(92)を介して少なくとも部分的に前記処理領域(11)に返送されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記配管(91)内に開口する結合部(93)を介して、前記処理媒体とは異なる媒体、殊に酸素が前記処理領域(11)に送入されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処理媒体が、殊に前記容器クロージャの洗浄および/または消毒および/または滅菌のための気体であるか、または気体を含有し、前記処理媒体が、殊に過酸化水素および/または塩素化合物および/または二酸化炭素および/または過酢酸を含有することを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、請求項に記載の装置を用いて実行されることを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】