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特開2023-83266ロック解除要素及びそれを備えた電気プラグインコネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083266
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ロック解除要素及びそれを備えた電気プラグインコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/508 20060101AFI20230608BHJP
   H01R 13/73 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01R13/508
H01R13/73 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193711
(22)【出願日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】A50971/2021
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フリッチュ
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF06
5E087JJ07
5E087KK02
5E087MM02
5E087QQ01
5E087RR11
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】本発明は、ロック機構の弾性的に偏向可能又は変位可能なロックアームに作用するための電気プラグイン接続のためのロック解除要素に関する。
【解決手段】ロック解除要素は、ユーザが触れるように設計され、電気絶縁性プラスチックでコーティングされ、又は製造される少なくとも1つの作動タブを有し、作動タブの中心点及び接続部の長手方向中心軸線は、長手方向中心軸線に対して互いに対して径方向にオフセットされる。相補的プラグインコネクタ、特にケーブルプラグ、との電気プラグイン接続を生成する電気プラグインコネクタ、特にビルトイン型プラグソケット、は相補型プラグインコネクタ用のロック構成を備え、ロック解除要素は、電気絶縁性プラスチックでコーティングされ、又は製造される少なくとも1つの作動タブを有し、また/及び作動タブの中心点及び接続部の長手方向中心軸線は、長手方向中心軸線に対して互いに対して径方向にオフセットされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック機構の弾性的に偏向可能又は変位可能なロックアームに作用する、電気プラグイン接続のためのロック解除要素であって、
前記ロック解除要素は、剛性の構成を有し、作動行程経路に沿って手動で受動位置から能動位置に変位可能であり、前記能動位置において、前記ロックアームに係合し、かつ、前記ロックアームを相補的ロック機構との係合から解除する少なくとも1つの作動部分を備え、
ユーザが触れるように設計され、電気絶縁性プラスチックでコーティングされ、又は電気絶縁性プラスチックから製造されている少なくとも1つの作動タブを備えることを特徴とするロック解除要素。
【請求項2】
請求項1に記載のロック解除要素において、
電気絶縁性プラスチックで全体的にコーティングされ、又は全体的に電気絶縁性プラスチックから製造されている
ことを特徴とするロック解除要素。
【請求項3】
請求項1に記載のロック解除要素において、
前記作動タブから、前記ロック解除要素の前記作動行程経路に対して実質的に平行な前記作動部分の方向に接続部が延在し、
前記作動タブの中心点及び前記接続部の長手方向中心軸線は、前記長手方向中心軸線の径方向に相互にオフセットしている
ことを特徴とするロック解除要素。
【請求項4】
請求項1に記載のロック解除要素において、
前記作動部分は、前記ロック解除要素の最遠位の後端部に配置され、
前記ロック解除要素が全体的に前記作動部分を越えて後方に突出しないことより、前記作動部分が前記ロック解除要素の後端面を構成している
ことを特徴とするロック解除要素。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のロック解除要素において、
前記作動タブは、前記接続部及び前記作動行程経路のうち少なくとも一方に対して垂直に配置されている
ことを特徴とするロック解除要素。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のロック解除要素において、
前記作動タブは、前記接続部及び前記作動行程経路のうち少なくとも一方に対して平行に配置されている
ことを特徴とするロック解除要素。
【請求項7】
相補的プラグインコネクタとの電気プラグイン接続を実現するための電気プラグインコネクタであって、
相補的プラグインコネクタがプラグイン軸線の方向に挿入可能な第1のプラグイン開口部が形成されているハウジングと、
少なくとも1つのコンタクトキャリアと、
前記コンタクトキャリアにおいて保持されている少なくとも1つの電気コンタクト要素と、
前記相補的プラグインコネクタのためのロック機構と、を有し、
前記相補的プラグインコネクタの完全プラグイン状態において、当該相補的プラグインコネクタの相補的な第2ロック機構に係合する少なくとも1つの第1ロック機構を有する少なくとも1つの弾性的に偏向可能又は変位可能なロックアームと、
手動で受動位置から能動位置に変位可能である少なくとも1つのロック解除要素と、
前記能動位置において前記ロックアームに係合し、前記第1ロック機構を前記第2ロック機構との係合から解除した状態に維持する、前記ロック解除要素における少なくとも1つの作動部と、
前記能動位置において前記作動部が係合する、前記ロックアームにおける少なくとも1つのロック解除面と、を備え、
前記ロック解除要素には、請求項1に記載の作動タブが形成されている
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項8】
ビルトインプラグソケットとして構成されている請求項7に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
前記作動タブの中心点は、ビルトイン位置において鉛直である中心平面に対して側方に30°~60°の範囲に含まれる角度でオフセットされている
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
接続部の長手方向中心軸線は、前記作動タブの中心点と実質的に一致し、かつ、ビルトイン位置において鉛直である中心平面に対して30°~60°の範囲に含まれる角度でオフセットされていることを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
前記接続部の長手方向中心軸線は、実質的に前記中心平面の領域に配置されている
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項11】
請求項7又は8に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
前記ロックアームの前記ロック解除面は、電気絶縁性プラスチックで少なくとも部分的にコーティングされ、若しくは電気絶縁性プラスチックから製造され、
又は、前記ロックアームが全体的に電気絶縁性プラスチックでコーティングされ、若しくは電気絶縁性プラスチックから製造されている
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項12】
請求項7又は8に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
前記相補的プラグインコネクタのための前記ロック機構は、前記ハウジング及び前記コンタクトキャリアのうち少なくとも一方の凹部に受け入れられる
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項13】
請求項7又は8に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
前記ロック解除要素は、前記プラグイン軸線に対して平行に変位可能であるように、前記コンタクトキャリアの凹部に設けられている
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【請求項14】
請求項7又は8に記載の電気プラグインコネクタにおいて、
更なるプラグインコネクタのための第2プラグイン開口部が、前記第1プラグイン開口部の反対側に配置されている
ことを特徴とする電気プラグインコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、電気プラグイン接続のためのロック解除要素、及び請求項7の前文による、相補的プラグインコネクタとの電気プラグイン接続を生成するための電気プラグインコネクタ、特にビルトインプラグソケット、に関する。
【背景技術】
【0002】
電気プラグインコネクタ、特にビルトイン型プラグソケットは、相補型プラグインコネクタとの電気プラグイン接続を生成するために、一般的に、ロック機構を備えており、このロック機構によって相補型プラグインコネクタはプラグイン接続の不注意な解除に対して固定されることが可能である。プラグインコネクタは、長い間知られており、例えば、EP2783427B1に記載されている。それらはハウジングを有し、そのハウジングには、相補的プラグインコネクタをプラグイン軸線の方向に差し込むことができ、少なくとも第1のプラグイン開口部が形成されている。少なくとも1つの電気接触要素が、ハウジングに固定され、好ましくは、少なくとも1つのコンタクトキャリアにハウジングに保持される、又はそれによって形成され、好ましくは、コンタクトキャリアに保持される。多くの場合、相補的プラグインコネクタのためのロック機構も、コンタクトキャリア内に受容される。
【0003】
典型的には、ビルトイン型プラグソケットにおけるこのタイプのロック機構は、それぞれが少なくとも第1ロック機構、特にロック突起を有する少なくとも1つの弾性的に偏向可能又は変位可能なロックアームからなり、このロックアームは、相補的プラグインコネクタの完全に差し込まれた状態において、この相補的プラグインコネクタの相補的な第2ロック機構に結合させる。そのために、例えば、開口部、アンダーカット、又は同様のカットアウトをプラグに設けてもよい。ロック機構を解除し、それによってビルトインプラグソケットからプラグを引き出すことを可能にするために、ユーザは少なくとも1つのロック解除要素を作動させ、それを受動位置から能動位置へと手動で、好ましくはプラグイン軸線と平行に変位させる。この能動位置では、少なくとも1つの作動部分がロック解除要素、好ましくは作動突起に係合し、そのロック機構を相補的プラグ上の相補的ロック機構と係合しない状態に維持する。
【0004】
電気的プラグイン接続のためのこれらのロック機構のためのロック解除要素は、ロック機構の弾性的に偏向可能又は変位可能なロックアームに作用することを意図しているが、好ましくは剛性構成を有している。これは、意図したとおりに使用される
場合、ロック解除要素の例えば曲げ、圧縮等の形状の変化がないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、電気プラグインコネクタのより浅いビルトイン深さを実現することを可能にし、ビルトインプラグソケットの電気及び電子ユニットと下流のコンポーネント又はアセンブリ、更にプラグ及びロック解除要素に触れるべきユーザをそれぞれ損傷又は害から保護する機構を提供する。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の解決手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるロック解除要素は、少なくとも1つの作動タブを有することを特徴とする。この作動タブは、ユーザによって触れられるように設計され、電気絶縁性プラスチックで被覆されるか、又は電気絶縁性プラスチックから製造されている。
【0008】
これにより、ロック解除要素を作動させる、又は単に触れる、静電的に帯電した人又は物体を介しての急速な放電を回避することが可能である。このようにして、特にマイクロエレクトロニクス部品及び/又は集積回路における静電気放電による損傷を防ぐことができる。
【0009】
有利な一実施形態は、ロック解除要素が、全体が電気絶縁性プラスチックで被覆されているか、又は全体が電気絶縁性プラスチックから製造されていることを更に特徴とする。これにより、静電気放電に関して可能な限り高い安全性を達成することができる。
【0010】
ロック解除要素の非対称な実施形態が優先され、この実施形態では、連結部分が作動タブから作動部の方向に作動移動と実質的に平行に延び、作動タブの中心点と連結部分の長手方向中心軸線がこの長手方向中心軸線に対して半径方向に互いに対してオフセットされている。典型的には、ロック機構は、ビルトインプラグソケットの長手方向中心平面において上部に中心的に配置される。ロック解除要素の長手方向中心軸線と作動タブの中心点との横方向のオフセットの結果、作動タブは長手方向中心から外れ、垂直方向で見て、幾分少ない高さにあり、その結果、全体としてビルトインプラグソケットは小さい垂直構造高さを持ち、複数のビルトインプラグソケットがより密集して互いに上に設置されることができる。従って、このように作動タブがロック解除要素の長手方向中心軸線に対して非対称な形状の場合であっても、ロック解除要素の良好な操作性が維持される。
【0011】
本発明によるロック解除要素の有利な一実施形態は、作動部分がロック解除要素の最遠位の後端部に配置され、ロック解除要素のどの部分もそれを越えて後方に突出せず、前記作動部分がそれによってロック解除要素の後端面を形成していることを特徴とする。これにより、静電気放電に対するユーザとユニットの最適な保護と、非常に短い構造を両立させることができる。
【0012】
ロック解除要素が作動しているときに最適な力の伝達を確実にするために、作動タブは、好ましくは、接続部分及び/又は作動移動に対して垂直に整列される。
【0013】
これとは対照的に、ロック解除要素がスライドの形態で、ハウジングの表面に沿って移動可能である実施形態も可能であり、その場合、作動タブは、接続部分及び/又は作動移動に対して平行に整列される。
【0014】
序文で提示した目的を達成するために、電気的プラグインコネクタ、特にビルトイン型プラグソケットの場合、相補的プラグインコネクタ、特にケーブルプラグとの電気的プラグイン接続を作り出す目的で、設けられたロック機構のロック解除要素は、先行通路の1つに従って設計されている。
【0015】
ここで、作動タブの中心点は、ビルトイン位置で垂直である中心軸線に対して、30°~60°の間の角度、好ましくは実質的に45°オフセットされている。これにより、作動タブの非対称配置が生じ、その結果、同じ表面積を維持しながら、ビルトインプラグソケットの全体の構造高さが減少し、したがって、複数のソケットの省スペース配置が可能になる。また、プラグソケットが上下に並んでいる場合にも、ロック解除が容易になる。
【0016】
ここでももちろん、作動タブの中心点とロック解除要素の連結部分の長手方向中心軸線とが、長手方向中心軸線に対して半径方向に互いずれているロック解除要素の前述の非対称な実施形態を提供することが可能である。
【0017】
その場合、本発明の好ましい実施形態は、更に、接続部の長手方向の中心軸線が、作動タブの中心点と実質的に一致しており、30°~60°の間の角度、好ましくは実質的に45°でビルトイン位置において鉛直である中心平面に対してオフセットされていることを特徴とする。
【0018】
本願発明の更なる実施形態は、接続部の長手方向中心軸線が、実質的に垂直中心平面の領域に配置される。これにより、既に存在するビルトイン型プラグソケットの場合であっても、既存の機構と入れ替えて新しい構造を使用することが可能となり、前述の利点を享受することができる。
【0019】
静電気放電の回避に関連して安全性をできるだけ最適化するために、本願発明に係る更なる実施形態は、ロックアームのロック解除面が、少なくとも部分的に電気絶縁性プラスチックで被覆されるか、又は電気絶縁性プラスチックから製造されるか、若しくは、ロックアーム全体が電気絶縁性プラスチックで被覆又は製造されることを特徴としてもよい。
【0020】
ビルトイン型プラグソケットのコンパクトな構造のために、相補的プラグインコネクタのロック機構は、好ましくは、ハウジング及び/又はコンタクトキャリアの凹部に受け入れられる。
【0021】
この場合、ロック解除要素がプラグイン軸線と平行に変位可能であるようにコンタクトキャリアの凹部に取り付けられると特に有利である。
【0022】
本発明によるプラグインコネクタの更なる実施形態は、更なるプラグインコネクタのための反対方向に向けられた第2のプラグイン開口部が、第1のプラグイン開口部とは反対側に配置され、好ましくは同様にロック機構、特に前述のようなロック機構を備える。これにより、ケーブル延長のための対応するカップリングの場合にも、前述の利点を達成することが可能となる。
【0023】
本発明をより良く理解するために、以下の図を参照しながらより詳細に説明する。
【0024】
図では、それぞれの実施形態を非常に簡略化された模式的な図になっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るロック解除要素を備えたソケットを示す斜視図である。
図2図1のビルトイン型プラグソケットの分解図である。
図3図1のソケットの垂直方向における中心平面に沿った断面図である。
図4図1のプラグソケットのロック機構のコンタクトキャリアとロック解除要素の好ましい実施形態を示す斜視図である。
図5図1のプラグソケットのロック機構のコンタクトキャリアとロック解除要素を示すロック解除要素の半径方向の平面図である。
図6図1図5の実施形態のロック解除要素の正面を示す斜視図である。
図7図1図5の実施形態のロック解除要素の後面を示す斜視図である。
図8図1図5の実施形態のロック解除要素を示す側面図である。
図9図1図5の実施形態のロック解除要素を示す背面図である。
図10】本願発明に係る発光リングとロック解除要素を備えたビルトイン型プラグソケットの更なる実施形態を示す斜視図である。
図11図10のソケットを示す正面図である。
図12図10のソケットを示す側面図である。
図13図10のソケットの垂直中心平面に沿った縦断面を示す図である。
図14】本願発明に係る他の実施形態におけるロック解除要素とロックアームを示す正面図である。
図15図14のロック解除要素とロックアームの構造を示す側面図である。
図16図14のロック解除要素とロックアームの構造を示す後面図である。
図17図14のロック解除要素を示す上面図である。
図18】ビルトイン型プラグソケットの更なる実施形態を示す正面図である。
図19図18のソケットを示す側面図である。
図20図18のソケットの垂直中心平面に沿った縦断面を示す図である。
図21図18のソケットを示す斜視図である。
図22】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るプラグインコネクタのための更なる例示的な実施形態のカプラを示す側面図である。
図23図22のカプラを示す上面図である。
図24図22のカプラを2つのプラグイン方向のうちの一方を示す図である。
図25】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態を示す六面図及び斜視図である。
図26】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態を示す六面図及び斜視図である。
図27】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態を示す六面図及び斜視図である。
図28】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態を示す六面図及び斜視図である。
図29】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態を示す六面図及び斜視図である。
図30】本願発明に係るロック解除要素を備える本願発明に係るビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態を示す六面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
はじめに、様々に説明された実施形態において、同じである部品には同じ参照符号、又は同じ部品名称が付されており、説明全体を通じて存在する開示を、同じ参照符号、又は同じ部品名称を有する同じ部品に類推的に移すことが可能であることを述べておく。例えば、上、下、横など、説明で選択された位置表示は、直接説明され図示されている図を参照し、位置の変更がある場合、これらの位置表示も新しい位置に類推的に移すことが可能である。
【0027】
図面は、それ自体独立した例示的な実施形態を示し、同じ参照符号又は部品名称は、同じである部品に使用される。例示的な実施形態は、可能な構成上の変形を示し、本発明は、具体的に図示された構成上の変形に限定されるものではなく、むしろ、個々の構成上の変形と互いの種々の組み合わせも可能であり、本発明によって提供される技術作用の教示に基づいて、この変形可能性は、この技術分野で働く当業者の能力範囲内である。順序良くするために、最後に、構造をより良く理解する目的で、要素が時々縮尺通りでなく図示され、及び/又は拡大及び/又は縮小されていることを指摘しておく。
【0028】
図1は、シャーシソケットとも呼ばれるビルトイン型プラグインコネクタの第1の実施形態を例として示しており、このコネクタは、相補的プラグインコネクタ、特にケーブルコネクタと共に、電気的プラグイン接続を形成することが可能である。図1に示されている本発明によるビルトイン型プラグインコネクタは、データプラグ、特にRJ45データプラグに結合されるようになっており、透視図で図解されている。もちろん、本発明による構造は、他のタイプのビルトイン型プラグインコネクタ又はカプにも転用することができる。したがって、本発明による解決策は、XLR規格によるプラグインコネクタ、フォンジャック、光ファイバープラグ、このタイプのシステムの組み合わせなどにも使用することができる。
【0029】
すべての本質的な構成要素又はアセンブリとともに図2に分解図で詳細に示されている図1の電気プラグインコネクタは、相補的プラグインコネクタ(図示せず)のためのプラグイン開口部2を有するハウジング1を備えている。図示されているように、ハウジング1は、2つの同心のハウジング部分を備えていてもよく、あるいは、別の方法で相補的ケーブルプラグコネクタのソケット状プラグ延長部のための付加的な環状プラグイン開口部として環状ギャップを形成してもよい。環状ギャップは、環状底部8(コンタクトキャリア)によってハウジング1の内部で接続されている。
【0030】
プラグイン側の端部、ハウジング1の前面側には、ハウジング1から好ましくは直角に、好ましくはその全周にわたって突出する接続用フランジ3が設けられている。接続用フランジ3はまた、貫通開口部又は部分的に開いている凹部4を有し、この凹部を通して、ビルトインプラグインコネクタ用の締結手段、典型的には締結ネジ、リベットなどが、ユニット、スイッチボード又は同様の要素の壁Gに接続用フランジ3を固定するために案内され得る。プラグイン開口部2の中心軸線は、好ましくは、ハウジング又はプラグインコネクタの全体としての中心軸線及び長手方向軸線を構成している。もちろん、接続用フランジ3は、例えば円形の輪郭または多角形の鎖状など、他の輪郭形状を有していてもよい。また、接続用フランジ3の全ての角部に凹部4が存在することも可能である。
【0031】
ハウジング1の接続用フランジ3の前面側は、ビルトイン型プラグインコネクタの組立状態において、プラグイン側のフランジプレート5と対向する位置にある。このフランジプレートには、ハウジング1のプラグイン開口部2と同軸に配置された相補型プラグインコネクタのためのプラグイン開口部6が設けられている。更に、フランジプレート5に取付け孔7が機械加工され、接続用フランジ3の凹部4と同軸に配置され、ユニット又はスイッチボードなどの壁に接続する目的でプラグインコネクタのための締結手段を案内するように設計されていることが、その例である。
【0032】
必要であれば、好ましくは板状のシール(図示せず)を設け、フランジプレート5とハウジング1の接続用フランジ3との間に直接挿入し、これらの構成要素の間にクランプした状態で保持することもできる。
【0033】
ハウジング1は、好ましくは、中心軸線Mと同心である内側のコンタクトキャリア8を一体的に構成し、その場合、電気絶縁性材料から製造される。必要であれば、コンタクトキャリア8は、任意の所望の保持配置によってハウジング1に固定され、電気絶縁性材料、好ましくはプラスチックからなり、好ましくは接地コンタクト9も有することができる別個の挿入部品によって構成されていてもよい。この場合、金属又は他の電気伝導性材料のハウジング1も可能である。図示された実施形態では、更なるプラグイン開口部11を規定するために、リアキャップ10が存在する。しかし、ハウジング1は、後部で完全に閉鎖されていてもよい。
【0034】
しかしながら、コンタクトキャリア8は、差し込まれる相補的プラグインコネクタへの電気的な接続を生じさせる役割を果たす接続部12も受け入れる。これらの接続部12は、例えば、接続セット13の一部であり、この接続セット13はまた、接続部12とその反対側の端部を固定する、電気絶縁材料の少なくとも1つの絶縁体14をその中央部分に有している。図示されたシャーシソケットの実施形態では、接続部12は、ハウジングカバー15を介してハウジング1の後端部で再び外に導かれる。しかしながら、接続部12は、ハウジングカバー15を通して回路基板に導かれ、その回路基板に、又はその中にはんだ付けされることも可能である。
【0035】
ハウジング1内又はハウジング1上には、ロック機構16、17が配置されており、その少なくとも1つのロックアーム16は、ロック解除要素17によって再びロックを解除することも可能である。このロック解除要素17は、従来、プレス加工された曲げられた部品であり、好ましくは、作動部分19を有する端部の間に接続部18として平坦又はわずかに曲がった中央部分を有し、ユーザが容易に到達して作動できるように、プラグイン側のハウジング1の端部を越えて前方に突出する。ロック解除要素17が配置される位置には、ロック解除要素17がフランジプレート5の前側を越えて突出することができる半径方向外向きの凹部20が、好ましくはハウジング1のプラグイン開口部2から、またフランジプレート5のプラグイン開口部6から延在している。
【0036】
手動で容易に取り扱うことができる作動タブ21は、図示の例示的な実施形態では、ハウジング1の中心軸線M及びロック解除要素17の長手方向の中心軸線Lに対しても直角であり、ハウジング1の中心軸線M及びロック解除要素17の長手方向の中心軸線Lに対して横方向に向いた軸線を中心に湾曲しており(この点では図4図9参照)、ロック解除要素17の前端部に、作動部の反対側に存在することが望ましい。ロック解除要素17の少なくともこの作動タブ21は、意図したとおりに使用されると、使用者によって触れられ、そのサイズおよび形状は、その目的のために設計されており、電気絶縁性プラスチック又は同様の作用を有する材料で覆われているか、この絶縁性材料から製造されている。必要であれば、ロック解除要素17はまた、例えば作動タブ21と中央部又は接続部18の大部分、又は好ましくは全体が、電気絶縁性プラスチックでコーティング(被覆)され、又はこの電気絶縁性プラスチックから製造されてもよい。少なくとも作動タブ21を電気絶縁性材料により構成し又は電気絶縁性材料でコーティングすることにより、ロック解除要素17を作動させるか又は触れる静電的に帯電した人又は物体を介して急速な放電を防止し、結果としてプラグインコネクタ又は下流システムのマイクロエレクトロニクス部品又は集積回路における損傷を防止することができる。
【0037】
作動タブ21の中心点Zと接続部18の長手方向中心軸線Lとが、この長手方向中心軸線Lの径方向に相互にオフセットされているようなロック解除要素17の実施形態が好ましい。本図は、正面から見て-右側にアングリングアウェイされている作動タブ21を示している。それにもかかわらず、垂直な長手方向中心平面に関して他の側にアングルアウェイを設けることも、もちろん可能である。中心点Zは、例えば、表面重心として決定されてもよい。ロック解除要素17の前端部のこの非対称な形状は、丸みを帯びた、円形、楕円形、腎臓形、多角形の鎖状の縁などの様々な輪郭形状が適用可能であり、かつ、様々なサイズが適用可能である。このことは、ハウジング1の最上部領域、好ましくはハウジング1又はコンタクトキャリア8の長手方向中心平面に正確に配置される通常の位置決めの場合、プラグインコネクタの全体の構造高さを低減し、ひいては省スペース構造を得ることに寄与する。このような構成の複数のビルトイン型プラグソケットは、相互に隣りあって又は相互に積み重ねられて非常に密接に設置されてもよく、特に相互に積み重ねられているプラグソケットの場合には、依然としてロック解除を非常に容易にすることができる。
【0038】
ハウジング1の中央長手方向軸線Mから離れる方向に面する側に、少なくとも1つのロック機構、ここでは側面視でラグ状であり、主に平坦なロックアーム16の外縁に上向きに湾曲した2つのロック突出部23の形態である弾性のあるロックアーム16は、好ましくは上面の細長い凹部22において固定されてコンタクトキャリア8の外部又は内部に設けられている。プラグイン開口部2に差し込まれた相補的プラグインコネクタのプラグイン状態において、好ましくは同様にコンタクトキャリア8の長手方向中心平面に配置されたロックアーム16は、当該ロック突出部23によって、このプラグインコネクタの対応する相補的ロック機構に係合する。
【0039】
ロックアーム16を、差し込まれたプラグインコネクタのロック機構との係合を解除し、プラグイン開口部2から引き出すことができるように解放するために、ロック解除要素17は、例えば図1又は図3に示されているように、ハウジング1を越えて前方に最大限に突出する受動位置から、ハウジング1及びコンタクトキャリア8の中心軸線Mに対して平行に、能動位置まで後方に変位されうる。ロック解除要素17は、結果としてロックアーム16とロック解除要素17の好適な相互案内を確保するために、好ましくはロックアーム16の上方で、コンタクトキャリア8の凹部22におけるのと同様にコンタクトキャリア8又はハウジング1に対して変位可能に取り付けられる。
【0040】
ロック解除要素17が受動位置から能動位置に変位させられているとき、ロック解除要素17における作動部分24は、好ましくはロックアーム16のロック解除面の形態の斜面25に作用し、ハウジング1及びコンタクトキャリア8の中心軸線Mの方向にそれを曲げ、その結果、ロック突出部23は差し込まれたプラグインコネクタのロック機構との係合から外れ、それによってプラグイン開口部2からの引き出しのためにそれを解放させる。ロックアーム16の形状にかかわらず、斜面25は、好ましくは、プラグイン開口部2と反対側のその端部に位置する。ロック解除要素17がユーザによって再び解放される場合、弾力的、弾性的又はバネ的に付勢されたロックアーム16は、再びその初期位置に移動し、またその過程でロック解除要素17を再びその受動位置に戻すように変位させる。
【0041】
図2の例示的な実施形態においてその長さの大部分にわたって実質的に直線的に延在しているロックアーム16は、好ましくは金属から構成されてもよい。また、ロックアーム16は、好ましくは、部分的に電気絶縁材料で覆われ、部分的に構成され、又は全体が電気絶縁材料で構成されている。この場合、ロックアーム16に必要な弾性をも確保する絶縁性プラスチックが好ましくは選択される。部分的な被覆又は製造が行われる場合、ロック解除要素17と接触する部分又は接触している部分は、好ましくは対応して構成され、特に斜面25及び最大でも隣接する部分にも同様に構成される。
【0042】
図2図5の例示的な実施形態では、ロックアーム16は、プラグイン開口部2に近いコンタクトキャリア8の前部領域におけるその締結点から、ハウジング1の後端部の方向へ延びている。ロックアーム16の偏向可能な端部がプラグイン開口部2の方向に延びる、反対の設置方向も可能であろう。ロックアーム16の他の形状も可能であり、例えば、図14図17に示すU字状に湾曲した形状は、U字状のロックアーム16の直線脚26がコンタクトキャリア8に載り、そこに支持されるものである。ロックアーム16の、前部に位置する湾曲部27に隣接する湾曲脚28は、ロック突出部23及び斜面25とともに、後方に向かって180°湾曲している。
【0043】
電気絶縁性のロック解除要素17、ひいてはプラグソケット全体の特に短い構造を得るために、作動部分19はロック解除要素17の最遠位の後端部に配置されている。図6図8で分かるように、ロック解除要素17の他のどの部分も、作動部分19を越えて後方に、すなわちその長手方向中心軸線Lの方向に、ハウジング1の長手方向中心軸線Lの方向に、受動位置から作動位置への変位の方向に突出しない。作動部分19の後端は、ここでは、好ましくは、ロック解除要素17上のその基端部分と共に、ロック解除要素17の後端境界面又は端面を形成している。
【0044】
図6から図9に見られるように、ロック解除要素17は、好ましくは、実質的に平坦な又はわずかに湾曲した中央部分にある接続部18から横方向に離れて突出する2つのタブ29を有する。また、このタイプの断面の増加、又は別のタイプの断面の増加を片側だけに設けることも可能であろう。好ましくはプラグイン開口部2に近い前部分にあるこれらのタブ29、又は他のタイプの断面の増加は、ロック解除要素17のその受動位置Pから能動位置Aへの変位移動においてハウジング1上の少なくとも一つの対応するストッパ30又は他のタイプの断面の減少と相互作用し、必要ならばこれらの断面の減少をハウジング1と一体的に機械加工するか、別体の要素としてそれに機械的に接続できるようになる。タブ29及びストッパ30のこのシステムは、受動位置Pから能動位置Aへのロック解除要素17の作動移動を制限し、同じ移動方向への更なる移動は、タブ29がストッパ30に受け止められることによって阻止されるからである。このため、作動部分19が、ロック解除要素17が受動位置Pにあるときの位置から更に能動位置Aに向かって変位して、ロックアーム16の後端、特に斜面25の後方境界を越えて移動することができることも防止される。したがって、ロック解除要素17の能動位置から、作動部分19が、ロックアーム16の端部の後方を更に通過し、したがってこの位置に解放不能に留まることを確実に防止することが可能である。
【0045】
受動位置と能動位置との間の移動は、作動タブ21がハウジング1の前端壁に対してその背面によって当接することによっても区切られる。
【0046】
図2図9に示された本発明の実施形態に対応する態様において、作動タブ21と同様に、電気絶縁性材料、好ましくはプラスチックで被覆されているか、又はそれらから製造されている作動部分19は、少なくとも1つの舌片によって形成されており、当該舌片は、ロック解除要素17の長手方向中心軸線L又はハウジング1の長手方向中心軸線Mと平行に配向された曲げ軸線Pを中心に湾曲されている。この曲げ軸線Pは、好ましくは、ロック解除要素17の平面内にあり、ロック解除要素17の平坦又はわずかに湾曲した接続部18を介して長手方向中心軸線Lと同軸である。作動部分19は、好ましくは、その後方側にベベルを有する。その開放形状の結果、製造設備のホッパー内で互いに巻き込まれた部品を分離するための機械的又は手動による支出が回避できるので、ロック解除要素17の後端部は製造が容易である。作動部分19がロック解除要素17の長手方向軸線を中心に、すなわちロック解除要素17とロックアーム16との相対変位の方向に平行に曲げられるときの曲げ角度の偏差も、作動部分19の径方向寸法にわずかな影響しか及ぼさない。同じことが、鋳造又は射出成形の場合、好ましくは電気絶縁性のプラスチックからロック解除要素17全体を製造する場合にも当てはまる。したがって、製造中に曲げ角度が比較的大きく変化する場合でも、プラグイン接続のロックを解除するのに常に十分なロックアーム16の撓みが確保され、それによって再現可能な機能信頼性と操作の品質がもたらされる。
【0047】
ロックアーム16における斜面25は、ロック解除要素17を受動位置から能動位置に変位させるために過剰な力を加える必要がないように十分なレバー作用を提供しつつ、この構成要素の短さを担保することができるように、その後部に配置されるのが好ましい。ロックアーム16についても、ロックアーム16のいずれの部分もロック解除面を越えて後方に突出しないことが有利に適用される。また、ここではプラグインコネクタのハウジング1のプラグイン方向における短い構造のために、ロック解除要素17がその最大限の範囲まで能動位置に変位させられても、ロック解除要素17のいずれの部分も能動的に斜面25を越えて突出していないことが特に好ましい。
【0048】
ロック解除要素17及びロックアーム16における相互作用又は当接する斜面の代わりに、これらの部品のうちの1つだけがそのような斜面を有し、これら2つの部品のうちの他の1つが斜面と相互作用する突起を有していてもよい。また、ロックアーム16をロック位置に付勢する、別の弾力的な弾性要素が設けられていること、及び/又は、ロック解除要素17がユーザによって解放されたときに受動位置へ押し戻すために、更なる弾力的な弾性要素が設けられていてもよい。ロックアーム16の弾力的に弾性的な設計の代わりに、コンタクトキャリア8上に枢動可能に取り付けられ、ハウジング1に差し込まれた相補的プラグインコネクタのロック機構に係合する位置に、別のばね要素によって負荷されることも可能である。
【0049】
図3に明示されているように、プラグソケット又はシャーシソケットの形態のプラグインコネクタのハウジング1は、ロックアーム16の後端又はロック解除要素17の後端と一致するハウジングカバー15までの内寸を有し、その最大作動位置では、後方に最大限変位されるようになっている。これにより、実質的に小さいハウジング1、したがってプラグイン方向に非常に小さい設置深さを有するプラグソケットを製造することが可能になる。これは、特に図面の図1図3に例として示されている実施形態に適用され、この実施形態では、ハウジング1の長手方向中心軸線Lに対して横向きに、又は第1のプラグイン開口部2のプラグイン軸線に対して横向きに、プラグイン開口部11を有する更なるプラグソケットがハウジング1の後側に配置されている。
【0050】
ロック解除要素17は、その受動位置において、好ましくは、コンタクトキャリア8及び/又はハウジング1と相互作用又は当接するストッパ要素31によって、プラグイン開口部2の方向における更なる前方変位に対して固定される。このストッパ要素31は、好ましくは、ロック解除要素17の長手方向に延び、ロック解除要素17の中央部分の平面から上方に、前部で、すなわちプラグイン開口部2に近いところで湾曲した、型打ちされた舌部である。ストッパ要素31とロック解除要素17の平坦又はわずかに湾曲した中央にある接続部18との間には、カットアウト32が設けられている。
【0051】
同様に、ロック解除要素17の1つの有利な実施形態によれば、ロック解除要素17の平坦な又はわずかに湾曲した中央にある接続部18と作動部分19との間に、更なるカットアウト33を設けることも可能である。しかしながら、作動部分19とストッパ要素31の両方を、例えば型抜きによって、切り抜きなしでロック解除要素17から機械加工することも可能である。図13図17の例示的な実施形態に示されているように、作動部分19及びストッパ要素31の両方は、湾曲した中央にある接続部18の端部又は上側に一体成形された高さの形態であってよい。更に、これらの構造体(作動部分19及びストッパ要素31)は、要件に適合した任意の所望の方法でロック解除要素17に接続される別個の製造部品であることも可能である。
【0052】
本発明によるビルトイン型プラグインコネクタの更に有利な実施形態が図10図13に示されている。
【0053】
電気絶縁性のコンタクトキャリア8は、相補的ケーブルプラグコネクタ用のプラグイン開口部2を有するハウジング1内に挿入される。コンタクトキャリア8に固定された接続部12は、プラグイン開口部内に突出し、ハウジング1の背面側に導出される。この点で、コンタクトキャリア8は、再びハウジング1の一体型部品又は部分であってもよく、その場合も同様に電気絶縁材料で構成されているが、別部品として構成され、ハウジング1内の対応するレセプタクルに挿入固定されていてもよい。この後者のタイプの構造では、ハウジング1は通常、金属から製造され、コンタクトキャリア8のみが絶縁材料、好ましくはプラスチックから構成される。
【0054】
前面プレート34は、図10及び図11においてユニット、配電盤などの壁Wの細部によって隠されたハウジング1の前面側に配置され、コンタクトキャリア8の前部分を囲む。図12及び図13でよりよく見ることができる前面プレート34は、好ましくは、前方に突出し、プラグイン開口部2の円周の少なくとも一部、好ましくは大部分に沿って走るウェブ35を円周に有し、その過程でプラグイン開口部2の前端及び外周境界を形成している。図10図12及び図13は、最後に、ビルトイン型プラグインコネクタもプリント回路基板構成で存在し得るという例として、ここでは水平に配置されたプリント回路基板36又は回路基板も示している。
【0055】
図10図13に示される例示的な実施形態では、前面プレート34は、光散乱性又は光伝導性の材料から製造され、その中に外部光源からの光が少なくとも1つの結合入面を介して結合されることが可能である。この実施形態は、ユニット又はスイッチングキャビネット、スイッチボードなどに背面側から組み込まれることを意図しているので、少なくともハウジング1は、ユニット又はスイッチボードなどの壁Wに配置を固定するために、好ましくは取り付け孔が機械加工された円周に沿って取付け部37を有している。また、好ましくは、壁Wに取付け孔38が存在する方法と同様に、取付け部37に対応する位置で前面プレート34に同軸の取付け孔が存在する。
【0056】
カップリング-イン面を介して前面プレート34に結合される光の光源は、好ましくは、プリント回路基板36又は回路基板に実装される。実際の照明手段、好ましくはLED又はOLEDは、ここではカップリング-イン面に直接隣接して配置されることが好ましい。光源の制御及び光源へのエネルギーの供給は、いずれもプリント回路基板36上のケーブル又は導電性トラックによって実現されるが、電位の点では接続部12から分離されたままである。プリント回路基板36のないビルトイン型プラグインコネクタの場合、光源のための他のタイプの配置も可能であり、例えば、有線光源、好ましくはLED又はOLEDの「張り出し」配置が挙げられる。光源は、好ましくは、少なくとも2つの異なる色の光を発するように設計されるか、又は作動させることができ、その目的のために、例えば異なる色の複数の照明手段を使用することができる。必要であれば、光源の制御は、ビルトインプラグインコネクタ配置の異なる状態を設定するためのスイッチに結合され、異なる状態が異なる色の光を発することによって示されるように構成され、例えば、接続状態の視覚的識別又は光学表示、又は様々な診断メッセージの特徴付けのために使用することができる。
【0057】
図1図9に関連して説明したのと同様に、前面プレート34を備える本発明によるビルトイン型プラグインコネクタの実施形態では、不用意に引き抜かれ、したがってプラグイン接続が解除されないように、相補型プラグインコネクタ、好ましくはケーブルプラグ用のロック機構(16、17)が設けられていてもよい。この場合、ロック解除要素17は、前面プレート34及びユニット、配電盤などの壁Wを貫通して突出し、したがって、ユーザがアクセス可能である。ロック配置の機能及び取り付けに関して、図1図9に関連する対応する実施形態を参照されたい。
【0058】
図4から図7及び図9に具体的に図示されているように、作動タブ21の中心点Zと接続部18の長手方向中心軸線Lとが、当該長手方向中心軸線Lの径方向に相互にオフセットされているロック解除要素17の実施形態が好ましい。したがって、図10図13に係るビルトイン型プラグインコネクタの実施形態についても、ハウジング1の最上部領域におけるロック機構(16、17)の一般に日常的な位置決めの場合、プラグインコネクタの全体の構造高さを低減することができ、したがって省スペース構造を獲得することが可能である。
【0059】
本発明に従って設計されたロック機構(16、17)と、ロック解除要素17の非対称な作動タブ21とを有するビルトイン型プラグインコネクタの更なる実施形態が、図18から図21に示されている。ここで関係しているのは、5つの接続部12を有する、ハウジング1及びそこに形成又は挿入されたコンタクトキャリア8を有するXLRシャーシソケットである。ユニット又はスイッチボードなどにビルトインプラグインコネクタを固定する目的で、前に示したのとは更に別の実施形態で例としてここに存在するハウジング1は、そこに取付け孔40を有する少なくとも2つの直径方向に対向する締結タブ39を有している。
【0060】
図1図9に関連して説明したのと同様に、図18図21のビルトイン型プラグインコネクタも、ここではXLRシステム用に設計されたコンタクトキャリア8内に、好ましくは相補型プラグインコネクタ用に受けられるロック機構(16、17)を備えている。ここでも、ロック解除要素17は、プラグイン接続のロックを解除することを望む際にユーザが容易にアクセスできるように、ハウジング1及びコンタクトキャリア8の前端面を越えて突出している。ロック機構の機能及び取り付けに関しては、図1図9に係る対応する実施形態を参照されたい。この実施形態においても、小さな鉛直実装高さのために、ロック解除要素17は、作動タブ21を備え、この作動タブ21の中心点Zと接続部18の長手方向中心軸線Lとは、この長手方向中心軸線Lの径方向に相互にオフセットされている。
【0061】
本発明がビルトインプラグインコネクタに限定されないことを示すために、プラグインコネクタの更なる例示的な実施形態として、図22図24は、2つの相似するプラグインコネクタ、好ましくはケーブルプラグのための接続形態を示す。その立方体状の、必要に応じて円筒状であってもよいハウジング1は、好ましくはケーブルプラグ用の2つのプラグイン開口部2を有し、この開口部2は、ハウジング1の対向する端面に形成されている。ハウジング1の端面にあるこれらのプラグソケットの少なくとも1つ、好ましくは両方のプラグソケットには、図1図9に関連して説明したように、ロック機構が設けられている。
【0062】
図24に示されているように、ここではRJ45コンタクト17のためのエンドプレート41は、取付けネジ42によって固定され、ひいてはコンタクトキャリア8をハウジング1に対して固定している。当該構成要素は、ハウジング1の断面を越えて突出しないので、長手方向中心平面に対してオフセットされた作動タブ21の新たな位置決めにより、使用者がケーブル又は作動タブ21に引っ掛かり、場合によってはカップリングに沿ってドラッグするか又はカップリングを損傷するか又は他の損傷を引き起こすリスクを著しく低減することができる。
【0063】
ロック解除要素17、好ましくはロックアーム16も、前述したように短い構造で設計される場合、それに対応してカップリングの全長を短縮することが可能であり、全体としてすべての寸法において設置サイズの大幅な縮小を得ることも可能である。
【0064】
また、図25図30は、本発明による異なる構成を有するハウジング1を備えるビルトインプラグインコネクタの更なる実施形態を示す。具体的に、さまざまなプラグ形状のためのさまざまなコンタクトキャリア8と、本発明に従って設計され、非対称に成形され位置合わせされた作動タブ21を有するロック解除要素17と、を備える。
【符号の説明】
【0065】
1‥ハウジング
2‥プラグイン開口部
3‥接続用フランジ
4‥凹部
5‥フランジプレート
6‥プラグイン開口部
7‥取付け孔
8‥コンタクトキャリア
9‥接地コンタクト
10‥リアキャップ
11‥プラグイン開口部
12‥接続部
13‥接続セット
14‥絶縁体
15‥ハウジングカバー
16‥ロックアーム
17‥ロック解除要素
18‥接続部
19‥作動部分
20‥凹部
21‥作動タブ
22‥凹部
23‥ロック突出部
24‥作動部分
25‥斜面
26‥直線脚
27‥湾曲部
28‥湾曲脚
29‥タブ
30‥ストッパ
31‥ストッパ要素
32‥カットアウト
33‥カットアウト
34‥前面プレート
35‥ウェブ
36‥プリント回路基板
37‥取付け部
38‥取付け孔
39‥締結タブ
40‥取付け孔
41‥エンドプレート
42‥取付けネジ
L‥長手方向中心軸線
M‥中心軸線
P‥曲げ軸線
Z‥中心点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30