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特開2023-83271ガラス用コーティング及びその形成方法並びに自動車ウィンドウ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083271
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ガラス用コーティング及びその形成方法並びに自動車ウィンドウ
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/34 20060101AFI20230608BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20230608BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C03C17/34 A
B32B7/022
B60J1/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023038442
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2019505433の分割
【原出願日】2017-07-17
(31)【優先権主張番号】201610638326.6
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ホー タオ
(72)【発明者】
【氏名】クー ユンシン
(72)【発明者】
【氏名】シー ツォー
(57)【要約】
【課題】ガラス用コーティングを含む自動車ウィンドウを提供する。
【解決手段】以下を含むコーティングは、自動車ウィンドウの引っかき抵抗性を改善することができ、したがって、自動車ウィンドウの引っかき傷を防ぐことができる:
第一の弾性率を有する第一の材料層(101);及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層(102)、ここで、第二の材料層(102)は、第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有し、第一の表面は、第一の材料層(101)を配置するために使用され、第二の表面は、ガラスにこのコーティングが施用されたときにガラスの表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層(102)は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むガラス用コーティング:
第一の弾性率を有する第一の材料層;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層、ここで、前記第二の材料層は、第一の表面及び前記第一の表面に向き合う第二の表面を有し、前記第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、前記第二の表面は、ガラスに前記コーティングが施用されたときに前記ガラスの表面に面するために適合しており、かつ前記第二の材料層は、前記第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【請求項2】
前記第二の弾性率に対する前記第一の弾性率の割合が、10より大きいか又は10である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記第一の弾性率が、室温及び準静的条件下で100MPaより大きい、請求項1に記載のコーティング。
【請求項4】
前記第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で50MPa未満である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
前記第二の材料層の厚さが、前記第一の材料層の厚さよりも大きい、請求項1に記載のコーティング。
【請求項6】
前記第二の材料層の厚さが、500μm未満であるか又は500μmである、請求項1又は5に記載のコーティング。
【請求項7】
前記第二の材料層が、積層された第三の材料層及び第四の材料層を含み、ここで、前記第三の材料層が、前記第一の表面を有し、前記第四の材料層が、前記第二の表面を有し、かつ前記第三の材料層の弾性率が、前記第四の材料層の弾性率よりも大きい、請求項1に記載のコーティング。
【請求項8】
前記第二の材料層の前記第二の弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項1に記載のコーティング。
【請求項9】
前記第一の材料層の前記第一の弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項1、7又は8に記載のコーティング。
【請求項10】
前記第四の材料層の弾性率が、10MPa未満又は10MPaである、請求項7に記載のコーティング。
【請求項11】
前記第三の材料層が少なくとも二つの層を含み、かつ前記第三の材料層の弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項7に記載のコーティング。
【請求項12】
前記第三の材料層が1つの層を含み、前記第三の材料層が、第三の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第三の材料層の前記第三の多孔率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に減少する、請求項7に記載のコーティング。
【請求項13】
前記第一の材料層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、及びポリメチルメタクリレートのうち少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項14】
前記第二の材料層が、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、及び一成分型ポリウレタンフォームシール剤のうち少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項15】
前記第一の材料層が、第一の多孔率を有する材料を含み、前記第二の材料層が、第二の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第一の多孔率が、前記第二の多孔率よりも小さいか又は前記第二の多孔率に等しい、請求項1に記載のコーティング。
【請求項16】
前記第一の多孔率が50%~65%の範囲内であり、かつ前記第二の多孔率が65%~80%の範囲内である、請求項15に記載のコーティング。
【請求項17】
前記第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で5MPa~10MPaの範囲内にある、請求項1に記載のコーティング。
【請求項18】
前記第二の材料層の厚さが、50μm~500μmの範囲内にある、請求項17に記載のコーティング。
【請求項19】
前記第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で0.1MPa~0.5MPaの範囲内にある、請求項1に記載のコーティング。
【請求項20】
前記第二の材料層の厚さが、10μm~200μmの範囲内にある、請求項19に記載のコーティング。
【請求項21】
前記コーティングが、前記第一の材料層と前記第二の材料層の前記第一の表面との間に配置された接着層をさらに含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項22】
前記接着層の材料が、ポリビニルブチラール及びメタンジイソシアネートのうち少なくとも一つを含む、請求項21に記載のコーティング。
【請求項23】
前記接着層の厚さが、5μm~15μmの範囲内にある、請求項21に記載のコーティング。
【請求項24】
以下を含む、ガラス用コーティングを形成するための方法:
第一の弾性率を有する第一の材料層を形成すること;及び
第一の表面及び前記第一の表面に向き合う第二の表面を有する第二の材料層を形成すること、ここで、前記第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、前記第二の表面は、ガラスに前記コーティングが施用されたときに前記ガラスの表面に面するために適合しており、かつ前記第二の材料層は、前記第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【請求項25】
前記第一の材料層を形成することが、基材を提供することを含み、かつ前記第二の材料層を形成することが、以下を含む、請求項24に記載の方法:
溶液を形成すること;
前記溶液で前記基材を被覆すること;及び
前記基材に被覆された前記溶液に固化処理を行い、前記基材に被覆を形成させること、ここで、前記基材は前記第一の材料層であり、かつ前記被覆は前記第二の材料層である。
【請求項26】
前記固化処理の間の固化温度は65℃~100℃の範囲内であり、かつ固化時間は10分~4時間の範囲内である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記被覆の材料がポリジメチルシロキサンを含み、前記溶液が一次溶媒及び固化溶媒を含み、かつ前記溶液を形成することが以下を含む、請求項25に記載の方法:
前記一次溶媒及び前記固化溶媒を、8~11の範囲内の、前記固化溶媒に対する前記一次溶媒の体積比で混合して、混合溶液を得ること;及び
前記混合溶液を攪拌すること。
【請求項28】
前記被覆の材料がポリウレタンを含み、かつ前記溶液を形成することが以下を含む、請求項25に記載の方法:
メチルベンゼン及び長鎖アルキルジオールを反応容器に加えること;
前記メチルベンゼン及び前記長鎖アルキルジオールを攪拌して、前記長鎖アルキルジオールを溶解させること;
前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンに、メタンジイソシアネートを添加すること;
前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンを攪拌すること;及び
前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンに、触媒を添加して、前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンを、化学的に反応させること。
【請求項29】
前記メチルベンゼン及び前記長鎖アルキルジオールを、35℃~50℃の範囲内の第一の温度下で攪拌し、かつ前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンを、60℃~80℃の範囲内の第二の温度下で攪拌する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第一の材料層上又は前記第二の材料層上に接着層を形成することにより、前記第二の材料層の前記第一の表面に、前記第一の材料層を配置することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
以下を含む自動車ウィンドウ:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス;及び
請求項1~23のいずれか一項に記載のコーティング、ここで、前記コーティングは、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ前記第二の材料層の前記第二の表面は、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の前記少なくとも一つに面している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年8月5日に出願され、「ガラス用コーティング及びその形成方法並びに自動車ウィンドウ」との表題を有する、中国特許出願第201610638326.6号に基づく優先権の利益を主張するものであり、前記出願の開示全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的に自動車ウィンドウガラスの技術分野に関するものであり、より詳細には、ガラス用コーティング及びその形成方法並びに自動車ウィンドウに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、自動車産業における急速な開発とともに、中国は自動車の主要な消費国となっている。引っかき抵抗性は、自動車の必須性能のうちの一つである。例えば、いったん自動車ウィンドウガラスに傷がつけられると、自動車の外観のみならず、その安全性にも影響を及ぼすことになる。
【0004】
自動車ウィンドウガラスの引っかき抵抗性を改善するために、通常、引っかき防止コーティングが自動車ウィンドウガラスに取り付けられ、外部からの引っかき力による自動車ウィンドウガラスの(引っかき傷のような)損傷を回避する。既存の技術では、引っかき防止コーティングは、典型的にはPET材料やその他の材料などの比較的硬い層である。
【0005】
しかしながら、既存の技術によってもたらされる引っかき防止コーティングの引っかき防止能力は、さらに改善することが必要であり、自動車ウィンドウガラスの引っかき抵抗性というのは、比較的劣っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明による実施形態として、コーティングの引っかき防止能力及び自動車ウィンドウの引っかき抵抗性を改善するために、ガラス用コーティング及びその形成方法並びに自動車ウィンドウが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある一つの実施形態では、以下を含むガラス用コーティングが提供される:
第一の弾性率を有する第一の材料層;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層、ここで、第二の材料層は、第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有し、第一の表面は、第一の材料層を配置するために使用され、第二の表面は、ガラスにこのコーティングが施用されたときにガラスの表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【0008】
基本的理念として、このコーティングは、異なる硬度を有する第一と第二の材料層を含み、外部からの引っかき力は、このコーティングがガラスに施用されたときに第一の材料層に作用する。第一の材料層が比較的に硬いため、このコーティングの表面に傷がつけられるのを防ぐことができる。外部からの引っかき力は、第一の材料層を介して第二の材料層に到達する。比較的小さい硬度を有するため、第二の材料層は外部からの引っかき力の影響下に変形することができ、したがって、第二の材料層は外部からの引っかき力を吸収し又は分散させてその強度を弱めることができる。このように、このコーティングを介したガラスに対する外部引っかき力は、比較的低いものとなり、このコーティングは比較的強い引っかき防止能力を有することになる。
【0009】
本発明の別の実施形態では、以下を含むガラス用コーティングを形成するための方法が提供される:
第一の弾性率を有する第一の材料層を形成すること;及び
第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有する第二の材料層を形成すること、ここで、第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、第二の表面は、ガラスにこのコーティングが施用されたときにガラスの表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【0010】
基本的理念として、異なる硬度を有する第一と第二の材料層を形成することによって、このコーティングの引っかき防止能力は改善される。
【0011】
本発明の別の実施形態では、以下を含む自動車ウィンドウが提供される:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス;及び
上述したコーティング、ここで、このコーティングは、自動車ウィンドウガラスの二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ第二の材料層の第二の表面は、自動車ウィンドウガラスの二つの表面の少なくとも一つに面している。
【0012】
基本的理念として、このコーティングは自動車ウィンドウガラスの表面に配置され、このコーティングの比較的大きな硬度を有する第一の材料層は、コーティングが外部からの引っかき力によって損傷を受けることを防止し、かつ外部引っかき力を吸収し又は分散させる機能を有する第二の材料層は、自動車ウィンドウガラスの表面に対する外部引っかき力の強さを弱めることができ、したがって、自動車ウィンドウガラスの引っかき抵抗性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態によるガラス用コーティングの断面図を概略的に示したものである。
図2図2は、実施形態によるガラス用コーティングに対して引っかき試験が行われたときの外部からの引っかき力の分布図を概略的に示したものである。
図3図3は、実施形態による比較的硬い材料の単層コーティングに対して引っかき試験が行われたときの外部からの引っかき力の分布図を概略的に示したものである。
図4図4は、実施形態によるガラス用コーティングの断面図を概略的に示したものである。
図5図5は、実施形態による形成方法のフローチャートを概略的に示したものである。
図6図6は、実施形態による自動車ウィンドウの断面図を概略的に示したものである。
図7図7は、実施形態による自動車ウィンドウの断面図を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術に記載したように、既存の技術でもたらされる引っかき防止コーティングの引っかき防止能力は、さらに改善することが必要である。
【0015】
既存の引っかき防止コーティングは、一般的に比較的大きい硬度を有する材料層含む。比較的大きい硬度を有する材料層は、ガラスが外部からの引っかき力によって損傷を受けることを防止するために設けられる。
【0016】
しかしながら、材料層が比較的硬いと、外部引っかき力が材料層に作用するときに材料層の変形は比較的小さいものとなり、したがって、外部引っかき力の影響は、材料層の領域に集中する。材料層を介したガラスに対する外部引っかき力は、依然として比較的高い強度であり、このことは、ガラスが外部引っかき力によって容易に損傷を受けることになり得る。したがって、引っかき防止コーティングの引っかき防止能力を改善することが必要である。
【0017】
上記の問題を解決又は軽減するために、本発明の実施形態は、コーティングの引っかき防止能力を改善するためのガラス用コーティングを提供する。
【0018】
本発明の実施形態の目的、特徴及び利点を明らかにするために、添付の図面と併せて、本発明の実施形態を、明確かつ詳細に記載する。
【0019】
図1は、実施形態によるガラス用コーティングの断面図を概略的に示したものである。
【0020】
図1について、ガラス用コーティングは以下を含む:
第一の弾性率を有する第一の材料層101;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層102、ここで、第二の材料層102は、第一の表面(図1には示していない)及び第一の表面に向き合う第二の表面(図1には示していない)を有し、第一の表面は、第一の材料層101を配置するために使用され、第二の表面は、ガラスにこのコーティングが施用されたときにガラスの表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層102は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【0021】
この実施形態として提供されるコーティングを以下に詳細に説明する。
【0022】
ガラスに施用されると、コーティングは、ガラスが損傷を受けることを防止して、ガラスの傷を回避するために使用され、このことは、ガラスの引っかき抵抗性を改善することができる。外部からの引っかき力は、最初に第一の材料層101に作用するため、第一の材料層101は、良好な引っかき抵抗性を保証するために、比較的大きな硬度を有するべきである。したがって、第一の材料層101は、比較的大きな弾性率を有することができる。
【0023】
第一の材料層101の表面が良好な引っかき抵抗性を有することを保証するために、第一の材料層101の第一の弾性率は小さすぎないものとすべきである。
【0024】
いくつかの実施形態では、第一の弾性率が、室温及び準静的条件下で100MPaより大きく、ここで、室温は、21℃、22℃、23℃、24℃又は25℃のような、20℃~25℃の範囲内にあり、準静的条件での材料のひずみ速度は0.01/秒未満である。
【0025】
いくつかの実施形態では、第一の材料層101は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)のうち少なくとも一つの材料を含む。
【0026】
第一の材料層101は、50%、55%、58%、60%、63%又は65%のような、50%~65%の範囲内の第一の多孔率を有する材料を含むことができ、第一の多孔率を有する材料は、第一の多孔率を有する、一成分型(一液型)ポリウレタンフォームシール剤(PUフォーム)であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102から第一の材料層101へ向かう方向に沿って、第一の材料層101の第一の弾性率は一定の値である。
【0028】
その他の実施形態では、第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って、第一の材料層の第一の弾性率は次第に増加する。すなわち、第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って、第一の材料層の硬度は次第に増加し、したがって、第一の材料層の表面は、比較的大きな硬度を有し、コーティングの表面が外部からの引っかき力によって損傷を受けることを防止する。さらに、第一の材料層から第二の材料層へ向かう方向に沿って、第一の材料層の硬度は次第に減少する。外部からの引っかき力がコーティングの表面に加えられたときに、第一の材料層は、この外部引っかき力を吸収し又は分散させる能力を有する。
【0029】
第一の材料層の第一の弾性率が、第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加し、かつ第一の材料層が第一の多孔率を有する材料を含むとき、第一の材料層の第一の多孔率は、第一の材料層の第一の弾性率を次第に増加させるために、次第に減少する、ということに留意すべきである。
【0030】
実施形態では、第二の材料層102は、単一の材料層として例示されている。
【0031】
コーティングがガラスに施用されるとき、第二の材料層102とガラス表面との間の距離は、第一の材料層101とガラス表面との間の距離よりも短い。第二の材料層102の第二の弾性率は、第一の材料層101の第一の弾性率よりも小さく、第二の材料層102の硬度は第一の材料層101の硬度よりも小さい。外部からの引っかき力が第一の材料層101に加えられた後で、この外部引っかき力は、第一の材料層101を介して第二の材料層102に伝わり、第二の材料層102は、外部引っかき力を吸収するために、外部引っかき力の影響下で変形する。加えて、外部引っかき力の影響下での第二の材料層102の変形は、外部引っかき力を分散させる。このようにして、第二の材料層102により、ガラスの表面における外部引っかき力の強度は、著しく弱められ、したがって、ガラスの表面に傷がつくことを効果的に防止する。
【0032】
第二の材料層102の硬度があまりにも大きすぎると、第二の材料層102の変形は比較的小さいものとなり得る。したがって、外部引っかき力を吸収し又は分散させる能力は比較的劣るものになり、さらに、外部引っかき力は、第二の材料層102によって、わずかにしか弱められなくなる。このため、第二の材料層102の第二の弾性率は、あまり大きいものにはなり得ない。
【0033】
いくつかの実施形態では、第二の弾性率は、室温及び準静的条件下で50MPa未満である。室温及び準静的条件の定義については上述した説明を参照することができるので、ここでは詳細に記載しない。
【0034】
いくつかの実施形態では、第二の弾性率に対する第一の弾性率の比は、あまり小さすぎないものとすべきである。第二の弾性率に対する第一の弾性率の比があまりにも小さすぎると、第一の材料層101と第二の材料層102の間の硬度差があまりに小さすぎるものになり、第二の材料層102の、外部引っかき力を吸収し又は分散させる能力を、比較的劣るものにすることとなる。いくつかの実施形態では、第二の弾性率に対する第一の弾性率の比は、10より大きいか又は10(10以上)である。
【0035】
さらに、第二の材料層102の厚さは、あまり大きすぎるものとすべきではない。第二の材料層102の厚さがあまりにも大きすぎると、コーティングをガラス表面に施用したときに、外部引っかき力の影響下での第二の材料層102の変形が、あまりに大きすぎるものとなり、第二の材料層102の剥離又は破壊が容易に生じてしまうことがある。このため、いくつかの実施形態では、第二の材料層102の厚さは、500μm未満又は500μm(500μm以下)である。
【0036】
第二の材料層102が、外部からの引っかき力を吸収し又は分散させる強い能力を有することを保証するために、第二の材料層102の厚さは、第一の材料層101の厚さよりも大きいものである。
【0037】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102から第一の材料層101へ向かう方向に沿って、第二の材料層102の第二の弾性率は一定の値である。
【0038】
その他の実施形態では、第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って、第二の材料層の第二の弾性率は次第に増加する。コーティングがガラスに施用されるとき、第一の材料層からガラスの表面へ向かう方向に沿って、第二の材料層の硬度は次第に減少し、外部からの引っかき力を吸収し又は分散させる能力は次第により強いものになり得る。第二の材料層の硬度は、ガラスの表面から第二の材料層に向かう方向に沿って次第に増加するため、第二の材料層が、外部からの引っかき力により剥離することを防止することができる。
【0039】
第二の材料層102の厚さは、第二の弾性率に関係する。いくつかの実施形態では、第二の弾性率が大きいほど、第二の材料層102は、より硬くなる。同じ厚さでより大きい硬度を有する第二の材料層102は、外部引っかき力を吸収し又は分散させる能力がより弱いものになり得る。このため、第二の材料層102が、外部引っかき力を吸収し又は分散させる比較的強い能力を有することを保証するために、第二の弾性率が大きいほど、第二の材料層102はより厚いものとするべきである。
【0040】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102の第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で、5MPa、6.5MPa、8MPa、9MPa又は10MPaのような、5MPa~10MPaの範囲内にあるとき、第二の材料層102の厚さは、50μm、70μm、150μm、260μm、400μm又は500μmのような、50μm~500μmの範囲内とすることができ;第二の材料層102の第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で、0.1MPa、0.3MPa又は0.5MPaのような、0.1MPa~0.5MPaの範囲内にあるとき、第二の材料層102の厚さは、10μm、110μm又は200μmのような、10μm~200μmの範囲内とすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン(PU)及びPUフォームのうちの少なくとも一つを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102は、第二の多孔率を有するPUフォームのような、第二の多孔率を有する材料を含むことができる。第一の材料層101が、第一の多孔率を有する材料を含み、第二の材料層102が、第二の多孔率を有する材料を含むとき、第一の多孔率は、第二の多孔率よりも小さいか又は第二の多孔率に等しく、それによって、第二の材料層102の第二の弾性率は、第一の材料層101の第一の弾性率よりも小さい。
【0043】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102が、第二の多孔率を有する材料を含むとき、第二の多孔率は、65%、70%、74%、77%又は80%のような、65%~80%の範囲内とすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102が、第二の多孔率を有する材料を含むとき、第二の材料層102から第一の材料層101へ向かう方向に沿って、第二の材料層102の第二の多孔率は一定の値である。いくつかの実施形態では、第二の材料層102が、第二の多孔率を有する材料を含むとき、第二の材料層102から第一の材料層101へ向かう方向に沿って、第二の材料層102の第二の多孔率は、次第に増加することができ、それによって、第二の材料層102の第二の多孔率は、次第に増加する。
【0045】
いくつかの実施形態では、第二の材料層102の第一の表面は、第一の材料層101に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、第一の材料層と第二の材料層との間の接着を向上させるために、前記コーティングは、第一の材料層と第二の材料層の第一の表面との間に配置された接着層をさらに含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記接着層は、ポリビニルブチラール及びメタンジイソシアネートのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0047】
接着層の厚さは、あまり小さすぎるものでも、大きすぎるものでもないようにすべきである。接着層の厚さがあまりにも小さすぎると、第一の材料層と第二の材料層との間の接着が比較的弱いものとなり;また、接着層の厚さがあまりにも大きすぎると、第二の材料層による外部引っかき力の吸収又は分散の効果に、影響を及ぼしかねない。このため、接着層の厚さは、5μm、8μm、10μm、13μm又は15μmのような、5μm~15μmの範囲内とすることができる。
【0048】
図2は、ガラス用コーティングに対して引っかき試験が行われたときの外部からの引っかき力の分布図を概略的に示したものである。図2に関して、第一の材料層の第二の表面に垂直な外部引っかき力を、第一の材料層(図2には示していない)に加えるために、ダイヤモンド圧子10を使用する。コーティングのより明るい部分は、コーティングにおける外部引っかき力の分布を示すものである。外部引っかき力はコーティングに吸収され、第二の表面に平行な方向に沿って分散させられ、したがって、第二の材料層(図2には示していない)の第二の表面における外部引っかき力の強度は著しく弱められ、このことは、ガラスの表面が、外部引っかき力によって傷つけられるのを効果的に防止することができることを示す。
【0049】
図3は、実施形態による比較的硬い材料の単層コーティングに対して引っかき試験が行われたときの外部からの引っかき力の分布図を概略的に示したものである。図3に関して、コーティングの表面に垂直な外部引っかき力を、コーティングに加えるために、ダイヤモンド圧子10を使用する。コーティングのより明るい部分は、コーティングにおける外部引っかき力の分布を示すものである。外部引っかき力はコーティングの小さい領域に集中し、したがって、コーティングの底部での外部引っかき力は、依然として高い強度を有し、このことは、ガラスの表面に、引っかき傷が容易に形成されることを示す。
【0050】
別の実施形態では、ガラス用コーティングが提供される。図4は、実施形態によるガラス用コーティングの断面図を概略的に示したものである。
【0051】
図4に関し、ガラス用コーティングは以下を含む:
第一の弾性率を有する第一の材料層201;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層202、ここで、第二の材料層202は、第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有し、第一の表面は、第一の材料層201を配置するために使用され、第二の表面は、ガラスにこのコーティングが施用されたときにガラスの表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層202は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【0052】
この実施形態として提供されるコーティングを以下に詳細に説明する。
【0053】
第一の材料層201の詳細については上述の実施形態の説明を参照することができるので、ここでは詳細に記載しない。いくつかの実施形態では、第二の材料層202から第一の材料層201へ向かう方向に沿って、第一の材料層201の第一の弾性率は、次第に増加する。いくつかの実施形態では、第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って、第一の材料層の第一の弾性率は、一定の値とすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第二の弾性率に対する第一の弾性率の割合が、10より大きいか又は10(10以上)であり;第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で50MPa未満である。
【0055】
いくつかの実施形態では、第二の材料層202の厚さは、第一の材料層201の厚さよりも大きい。いくつかの実施形態では、第二の材料層202の厚さは、500μm未満であるか又は500μm(500μm以下)である。
【0056】
第二の材料層202の材料については上述の実施形態の説明を参照することができるので、ここでは詳細に記載しない。
【0057】
いくつかの実施形態では、第二の材料層202は、積層された第三の材料層211及び第四の材料層212を含み、ここで、第三の材料層211が、第一の表面を有し、第四の材料層212が、第二の表面を有し、第三の材料層211の弾性率は、第四の材料層212の弾性率よりも大きい。
【0058】
第三の材料層211の弾性率は、第四の材料層212の弾性率よりも大きいので、第三の材料層211は、第四の材料層212よりも硬い。コーティングがガラスに施用されるとき、第四の材料層212とガラス表面との間の距離は、第三の材料層211とガラス表面との間の距離よりも短く、かつガラス表面により近い第四の材料層212は、第三の材料層211よりも、外部引っかき力を吸収し又は分散させるより強い能力を有し、このことは、第二の材料層202が、外部引っかき力を吸収し又は分散させる強い能力を有することを示す。さらに、第三の材料層211に作用する外部引っかき力は、第四の材料層212に作用する外部引っかき力よりも強い。第三の材料層211は比較的硬いので、第三の材料層211が、外部引っかき力の影響下で剥離するのを防止することができる。
【0059】
コーティングがガラスに施用されるとき、第四の材料層212は、ガラス表面に最も近い。第四の材料層212が、外部からの引っかき力を吸収し又は分散させる強い能力を有することを保証するために、第四の材料層212の弾性率は、あまり大きすぎるものではない。さらに、第四の材料層212に対する外部引っかき力は比較的低いため、第四の材料層212は、たとえ弾性率が比較的低いものであったとしても、剥離を起こさない。
【0060】
いくつかの実施形態では、第四の材料層212の弾性率は、10MPa未満であるか又は10MPa(10MPa以下)である。
【0061】
いくつかの実施形態では、第二の材料層202は弾性率勾配を有し(つまり、第二の材料層202の弾性率は次第に変化する)、したがって、外部引っかき力を吸収し又は分散させる強い能力を有するだけでなく、コーティングがガラスに施用されたときに常に良好な性能を有し、このことは、第二の材料層202が、外部引っかき力の影響下で剥離することを防止することができることを示す。
【0062】
いくつかの実施形態では、第三の材料層211は、少なくとも二つの層を含む。第二の材料層202から第一の材料層201へ向かう方向に沿って、第三の材料層211の弾性率は次第に増加し、このため、第三の材料層211は弾性率勾配を有し、このことは、第三の材料層211が外部引っかき力を吸収し又は分散させる能力を有することを可能にし、かつ第三の材料層211の剥離を回避する。
【0063】
いくつかの実施形態では、第三の材料層は単一の層であり、一定の弾性率を有することができる。任意に、第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って、第三の材料層の弾性率は、次第に増加する。
【0064】
いくつかの実施形態では、第三の材料層は単一の層であり、第三の材料層は、第三の多孔率を有する材料を含む。第二の材料層から第一の材料層へ向かう方向に沿って、第三の材料層の第三の多孔率は、次第に減少し、したがって、第三の材料層の弾性率は、次第に増加する。いくつかの実施形態では、第三の材料層は単一の層であって、第三の材料層は、第三の多孔率を有する材料を含み、ここで、第三の多孔率は一定の値であり、したがって、第三の材料層の第三の多孔率は、一定の値である。
【0065】
いくつかの実施形態では、第二の材料層202の第一の表面は、第一の材料層201に取り付けられている。いくつかの実施形態では、第一の材料層と第二の材料層との間の接着を向上させるために、前記コーティングは、第一の材料層と第二の材料層の第一の表面との間に配置された接着層をさらに含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記接着層は、ポリビニルブチラール及びメタンジイソシアネートのうち少なくとも一つを含むことができる。接着層の厚さは、あまり小さすぎるものでも、大きすぎるものでもないようにすべきである。接着層の厚さがあまりにも小さすぎると、第一の材料層と第二の材料層との間の接着が比較的弱いものとなり;また、接着層の厚さがあまりにも大きすぎると、第二の材料層による外部引っかき力の吸収又は分散の効果に影響を及ぼしかねない。このため、接着層の厚さは、5μm、8μm、10μm、13μm又は15μmのような、5μm~15μmの範囲内とすることができる。
【0067】
ある一つの実施形態において、以下を含む、ガラス用コーティングを形成するための方法が提供される:
第一の弾性率を有する第一の材料層を形成すること;及び
第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有する第二の材料層を形成すること、ここで、第一の表面は、第一の材料層を配置するために使用され、第二の表面は、ガラスにこのコーティングが施用されたときにガラスの表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【0068】
この方法を、図面と併せて以下に詳細に説明する。
【0069】
図5は、この実施形態による形成方法のフローチャートを概略的に示したものである。
【0070】
図5に関して、この方法は以下を含む:
S1、基材を提供すること;
S2、溶液を形成すること;
S3、溶液で基材を被覆すること;及び
S4、基材に被覆された溶液に固化処理を行い、基材に被覆を形成させること、ここで、この基材は第一の材料層であり、かつこの被覆は第二の材料層である。
【0071】
いくつかの実施形態では、基材は、PET、PU、PC、ABS及びPMMAのうち少なくとも一つの材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、50%、55%、58%、60%、63%又は65%のような、50%~65%の範囲内の第一の多孔率を有する材料を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、この被覆は、PDMS、PU及びPUフォームのうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、この被覆は、65%、70%、74%、77%又は80%のような、65%~80%の範囲内にある第二の多孔率を有する材料を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、この被覆の材料はポリジメチルシロキサンであり、溶液が一次溶媒及び固化溶媒を含み、かつ溶液を形成することが以下を含む:
一次溶媒及び固化溶媒を8~11の範囲内の体積比で混合して、混合溶液を得ること;及び
混合溶液を攪拌すること。
例えば、固化溶媒に対する一次溶媒の体積比(一次溶媒の体積:固化溶媒の体積)は、8:1、10:1又は11:1とすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、この被覆の材料がポリウレタンであり、かつ溶液を形成することが以下を含む:
メチルベンゼン及び長鎖アルキルジオールを反応容器に加えること;
メチルベンゼン及び長鎖アルキルジオールを攪拌して、長鎖アルキルジオールを溶解させること;
溶解させた長鎖アルキルジオールを伴うメチルベンゼンに、メタンジイソシアネートを添加すること;
メタンジイソシアネート、及び溶解させた長鎖アルキルジオールを伴うメチルベンゼンを攪拌すること;及び
メタンジイソシアネート、及び溶解させた長鎖アルキルジオールを伴うメチルベンゼンに、触媒を添加して、メタンジイソシアネート、及び溶解させた長鎖アルキルジオールを伴うメチルベンゼンを、化学的に反応させること。
【0075】
いくつかの実施形態では、メチルベンゼン及び長鎖アルキルジオールを第一の温度下で攪拌し、かつメタンジイソシアネート、及び溶解させた長鎖アルキルジオールを伴うメチルベンゼンを第二の温度下で攪拌し、ここで、第一の温度は、35℃、40℃、45℃又は50℃のような、35℃~50℃の範囲内にあり、第二の温度は、60℃、66℃、72℃又は80℃のような、60℃~80℃の範囲内にある。
【0076】
いくつかの実施形態では、この方法は、以下を含む:
第一の材料層を提供すること;
第二の材料層を提供すること;及び
第一の材料層上又は第二の材料層上に接着層を形成することにより、第二の材料層の第一の表面に第一の材料層を配置すること。
【0077】
上記の実施形態で提供される方法によって形成されるガラス用コーティングでは、第二の材料層は、第一の材料層よりも軟らかい。このため、ガラスにコーティングが施用されたとき、外部からの引っかき力は、最初に第一の材料層に作用し、それから第一の材料層を介して第二の材料層に到達する。第二の材料層は、外部からの引っかき力の影響下に変形し、したがって、外部からの引っかき力は、吸収又は分散される。したがって、第二の材料層を介した、ガラスの表面における外部引っかき力の強度は比較的低く、このことは、ガラスの表面に傷がつくことを防止することができることを示す。
【0078】
ある一つの実施形態では、自動車ウィンドウが提供される。図6は、実施形態による自動車ウィンドウの断面図を概略的に示したものである。図6に関して、自動車ウィンドウは以下を含む:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス20;及び
上記の実施形態で提供されたガラス用コーティング、ここで、このコーティングは、自動車ウィンドウガラス20の二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ第二の材料層102の第二の表面は、自動車ウィンドウガラス20の二つの表面の少なくとも一つに面している。
【0079】
いくつかの実施形態では、この互いに向き合う二つの表面は、内部表面と外部表面とを含み、ここで、「内部」及び「外部」とは自動車の車体に対して言及される。いくつかの実施形態では、このコーティングは、自動車ウィンドウガラス20の表面に、特に自動車ウィンドウガラス20の外部表面に配置される。いくつかの実施形態では、このコーティングは、自動車ウィンドウガラスの二つの表面に、すなわち、自動車ウィンドウガラスの内部及び外部表面の両方に配置することができる。いくつかの実施形態では、このコーティングは、自動車ウィンドウガラスの内部表面に配置される。
【0080】
いくつかの実施形態では、このコーティングは以下を含む:
第一の弾性率を有する第一の材料層101;及び
第二の材料層102、ここで、第二の材料層102は、第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有し、第一の表面は、第一の材料層101を配置するために使用され、第二の表面は、自動車ウィンドウガラス20の表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層102は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
【0081】
コーティングについては、図1の上記説明を参照することができるので、ここでは詳細に記載しない。
【0082】
自動車ウィンドウガラス20が外部からの引っかき力にさらされたとき、この外部引っかき力は、最初に、比較的大きな硬度を有する第一の材料層101に作用し、このことは、コーティングの表面が傷つけられるのを効果的に防止する。外部引っかき力は、第一の材料層101を介して第二の材料層102に伝わり、比較的小さな硬度を有する第二の材料層102は、外部引っかき力の影響下で変形し、第二の材料層102が外部引っかき力を吸収し又は分散させる。このようにして、第二の材料層102により、自動車ウィンドウガラス20の表面における外部引っかき力の強度は、著しく弱められ、このことは、自動車ウィンドウガラス20に傷がつくことを効果的に防止し、かつ自動車ウィンドウの引っかき抵抗性をさらに改善する。
【0083】
図7は、実施形態による自動車ウィンドウの断面図を概略的に示したものである。図7に関して、自動車ウィンドウは以下を含む:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス30;及び
上記の実施形態で提供されたガラス用コーティング、ここで、このコーティングは、自動車ウィンドウガラス30の二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ第二の材料層202の第二の表面は、自動車ウィンドウガラス30の二つの表面の少なくとも一つに面している。
【0084】
いくつかの実施形態では、このコーティングは以下を含む:
第一の弾性率を有する第一の材料層201;及び
第二の材料層202、ここで、第二の材料層202は、第一の表面及び第一の表面に向き合う第二の表面を有し、第一の表面は、第一の材料層201を配置するために使用され、第二の表面は、自動車ウィンドウガラス30の表面に面するために適合しており、かつ第二の材料層202は、第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
いくつかの実施形態では、第二の材料層202は、積層された第三の材料層211及び第四の材料層212を含み、ここで、第三の材料層211が第一の表面を有し、第四の材料層212が第二の表面を有し、第三の材料層211の弾性率は、第四の材料層212の弾性率よりも大きい。
【0085】
コーティングについては、図4の上記説明を参照することができるので、ここでは詳細に記載しない。
【0086】
自動車ウィンドウガラス30が外部からの引っかき力にさらされたとき、この外部引っかき力は、最初に、比較的大きな硬度を有する第一の材料層201に作用し、このことは、コーティングの表面が傷つけられるのを効果的に防止する。外部引っかき力は、第一の材料層201を介して第二の材料層202に伝わり、比較的小さな硬度を有する第二の材料層202は、外部引っかき力の影響下で変形し、第二の材料層202が外部引っかき力を吸収し又は分散させる。このようにして、第二の材料層202により、自動車ウィンドウガラス30の表面における外部引っかき力の強度は、著しく弱められ、このことは、自動車ウィンドウガラス30に傷がつくことを効果的に防止し、かつ自動車ウィンドウの引っかき抵抗性をさらに改善する。
【0087】
さらに、第二の材料層202は、弾性率勾配を有する。外部からの引っかき力は、最初に、第一の材料層201を介して第三の材料層211に到達し、それから第四の材料層212に到達し、このため、第三の材料層211が受ける外部引っかき力は、第四の材料層212が受ける外部引っかき力よりも強い。第三の材料層211は第四の材料層212よりも硬いので、第三の材料層211は、比較的大きな外部引っかき力にさらされたときでも剥離を起こさない。さらに、より軟らかい第四の材料層212は、外部引っかき力を吸収し又は分散させるより強い能力を有することができ、このことは、自動車ウィンドウガラス30の表面における外部引っかき力の強度をさらに弱め、かつ自動車ウィンドウの引っかき抵抗性をさらに改善する。
【0088】
以上に、本発明をその好ましい実施形態に言及しながら開示したが、かかる開示は例示としてのみ提示されたものであって、何ら限定を意味するものではないと理解されるべきである。当業者は、本発明の開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの実施形態を修正し変更することができる。
【符号の説明】
【0089】
101、201 第一の材料層
102、202 第二の材料層
10 ダイヤモンド圧子
211 第三の材料層
212 第四の材料層
20、30 自動車ウィンドウガラス
S1 基材を提供すること
S2 溶液を形成すること
S3 溶液で基材を被覆すること
S4 基材に被覆された溶液に固化処理を行い、基材に被覆を形成させること、ここで、この基材は第一の材料層であり、かつこの被覆は第二の材料層である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
以上に、本発明をその好ましい実施形態に言及しながら開示したが、かかる開示は例示としてのみ提示されたものであって、何ら限定を意味するものではないと理解されるべきである。当業者は、本発明の開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの実施形態を修正し変更することができる。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]以下を含むガラス用コーティング:
第一の弾性率を有する第一の材料層;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層、ここで、前記第二の材料層は、第一の表面及び前記第一の表面に向き合う第二の表面を有し、前記第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、前記第二の表面は、ガラスに前記コーティングが施用されたときに前記ガラスの表面に面するために適合しており、かつ前記第二の材料層は、前記第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
[2]前記第二の弾性率に対する前記第一の弾性率の割合が、10より大きいか又は10である、上記[1]に記載のコーティング。
[3]前記第一の弾性率が、室温及び準静的条件下で100MPaより大きい、上記[1]に記載のコーティング。
[4]前記第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で50MPa未満である、上記[1]に記載のコーティング。
[5]前記第二の材料層の厚さが、前記第一の材料層の厚さよりも大きい、上記[1]に記載のコーティング。
[6]前記第二の材料層の厚さが、500μm未満であるか又は500μmである、上記[1]又は[5]に記載のコーティング。
[7]前記第二の材料層が、積層された第三の材料層及び第四の材料層を含み、ここで、前記第三の材料層が、前記第一の表面を有し、前記第四の材料層が、前記第二の表面を有し、かつ前記第三の材料層の弾性率が、前記第四の材料層の弾性率よりも大きい、上記[1]に記載のコーティング。
[8]前記第二の材料層の前記第二の弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、上記[1]に記載のコーティング。
[9]前記第一の材料層の前記第一の弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、上記[1]、[7]又は[8]に記載のコーティング。
[10]前記第四の材料層の弾性率が、10MPa未満又は10MPaである、上記[7]に記載のコーティング。
[11]前記第三の材料層が少なくとも二つの層を含み、かつ前記第三の材料層の弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、上記[7]に記載のコーティング。
[12]前記第三の材料層が1つの層を含み、前記第三の材料層が、第三の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第三の材料層の前記第三の多孔率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に減少する、上記[7]に記載のコーティング。
[13]前記第一の材料層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、及びポリメチルメタクリレートのうち少なくとも一つの材料を含む、上記[1]に記載のコーティング。
[14]前記第二の材料層が、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、及び一成分型ポリウレタンフォームシール剤のうち少なくとも一つの材料を含む、上記[1]に記載のコーティング。
[15]前記第一の材料層が、第一の多孔率を有する材料を含み、前記第二の材料層が、第二の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第一の多孔率が、前記第二の多孔率よりも小さいか又は前記第二の多孔率に等しい、上記[1]に記載のコーティング。
[16]前記第一の多孔率が50%~65%の範囲内であり、かつ前記第二の多孔率が65%~80%の範囲内である、上記[15]に記載のコーティング。
[17]前記第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で5MPa~10MPaの範囲内にある、上記[1]に記載のコーティング。
[18]前記第二の材料層の厚さが、50μm~500μmの範囲内にある、上記[17]に記載のコーティング。
[19]前記第二の弾性率が、室温及び準静的条件下で0.1MPa~0.5MPaの範囲内にある、上記[1]に記載のコーティング。
[20]前記第二の材料層の厚さが、10μm~200μmの範囲内にある、上記[19]に記載のコーティング。
[21]前記コーティングが、前記第一の材料層と前記第二の材料層の前記第一の表面との間に配置された接着層をさらに含む、上記[1]に記載のコーティング。
[22]前記接着層の材料が、ポリビニルブチラール及びメタンジイソシアネートのうち少なくとも一つを含む、上記[21]に記載のコーティング。
[23]前記接着層の厚さが、5μm~15μmの範囲内にある、上記[21]に記載のコーティング。
[24]以下を含む、ガラス用コーティングを形成するための方法:
第一の弾性率を有する第一の材料層を形成すること;及び
第一の表面及び前記第一の表面に向き合う第二の表面を有する第二の材料層を形成すること、ここで、前記第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、前記第二の表面は、ガラスに前記コーティングが施用されたときに前記ガラスの表面に面するために適合しており、かつ前記第二の材料層は、前記第一の弾性率よりも低い第二の弾性率を有する。
[25]前記第一の材料層を形成することが、基材を提供することを含み、かつ前記第二の材料層を形成することが、以下を含む、上記[24]に記載の方法:
溶液を形成すること;
前記溶液で前記基材を被覆すること;及び
前記基材に被覆された前記溶液に固化処理を行い、前記基材に被覆を形成させること、ここで、前記基材は前記第一の材料層であり、かつ前記被覆は前記第二の材料層である。
[26]前記固化処理の間の固化温度は65℃~100℃の範囲内であり、かつ固化時間は10分~4時間の範囲内である、上記[25]に記載の方法。
[27]前記被覆の材料がポリジメチルシロキサンを含み、前記溶液が一次溶媒及び固化溶媒を含み、かつ前記溶液を形成することが以下を含む、上記[25]に記載の方法:
前記一次溶媒及び前記固化溶媒を、8~11の範囲内の、前記固化溶媒に対する前記一次溶媒の体積比で混合して、混合溶液を得ること;及び
前記混合溶液を攪拌すること。
[28]前記被覆の材料がポリウレタンを含み、かつ前記溶液を形成することが以下を含む、上記[25]に記載の方法:
メチルベンゼン及び長鎖アルキルジオールを反応容器に加えること;
前記メチルベンゼン及び前記長鎖アルキルジオールを攪拌して、前記長鎖アルキルジオールを溶解させること;
前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンに、メタンジイソシアネートを添加すること;
前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンを攪拌すること;及び
前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンに、触媒を添加して、前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンを、化学的に反応させること。
[29]前記メチルベンゼン及び前記長鎖アルキルジオールを、35℃~50℃の範囲内の第一の温度下で攪拌し、かつ前記メタンジイソシアネート、及び前記溶解させた長鎖アルキルジオールを伴う前記メチルベンゼンを、60℃~80℃の範囲内の第二の温度下で攪拌する、上記[28]に記載の方法。
[30]前記第一の材料層上又は前記第二の材料層上に接着層を形成することにより、前記第二の材料層の前記第一の表面に、前記第一の材料層を配置することをさらに含む、上記[24]に記載の方法。
[31]以下を含む自動車ウィンドウ:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス;及び
上記[1]~[23]のいずれか一つに記載のコーティング、ここで、前記コーティングは、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ前記第二の材料層の前記第二の表面は、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の前記少なくとも一つに面している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む自動車ウィンドウ:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス;及び
以下を含むコーティング
第一の引張弾性率を有する第一の材料層、ここで、前記第一の材料層は、最も外側に配置されている;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層、ここで、前記第二の材料層は、第一の表面及び前記第一の表面に向き合う第二の表面を有し、前記第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、前記第二の表面は、ガラスに前記コーティングが施用されたときに前記ガラスの表面に面するために適合しており、前記第二の材料層は、前記第一の引張弾性率よりも低い第二の引張弾性率を有し、かつ前記第二の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で50MPa未満である;
ここで、前記コーティングは、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ前記第二の材料層の前記第二の表面は、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の前記少なくとも一つに面している。
【請求項2】
前記第二の引張弾性率に対する前記第一の引張弾性率の割合が、10より大きいか又は10である、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項3】
前記第一の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で100MPaより大きい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項4】
前記第二の材料層の厚さが、前記第一の材料層の厚さよりも大きい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項5】
前記第二の材料層の厚さが、500μm未満であるか又は500μmである、請求項1又はに記載の自動車ウィンドウ
【請求項6】
前記第二の材料層が、積層された第三の材料層及び第四の材料層を含み、ここで、前記第三の材料層が、前記第一の表面を有し、前記第四の材料層が、前記第二の表面を有し、かつ前記第三の材料層の引張弾性率が、前記第四の材料層の引張弾性率よりも大きい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項7】
前記第二の材料層の前記第二の引張弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項8】
前記第一の材料層の前記第一の引張弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項1、又はに記載の自動車ウィンドウ
【請求項9】
前記第四の材料層の引張弾性率が、10MPa未満又は10MPaである、請求項に記載の自動車ウィンドウ
【請求項10】
前記第三の材料層が少なくとも二つの層を含み、かつ前記第三の材料層の引張弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項に記載の自動車ウィンドウ
【請求項11】
前記第三の材料層が1つの層を含み、前記第三の材料層が、第三の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第三の材料層の前記第三の多孔率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に減少する、請求項に記載の自動車ウィンドウ
【請求項12】
前記第一の材料層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、及びポリメチルメタクリレートのうち少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項13】
前記第二の材料層が、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、及び一成分型ポリウレタンフォームシール剤のうち少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項14】
前記第一の材料層が、第一の多孔率を有する材料を含み、前記第二の材料層が、第二の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第一の多孔率が、前記第二の多孔率よりも小さいか又は前記第二の多孔率に等しい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項15】
前記第一の多孔率が50%~65%の範囲内であり、かつ前記第二の多孔率が65%~80%の範囲内である、請求項14に記載の自動車ウィンドウ
【請求項16】
前記第二の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で5MPa~10MPaの範囲内にある、請求項1に記載のコーティング。
【請求項17】
前記第二の材料層の厚さが、50μm~500μmの範囲内にある、請求項16に記載のコーティング。
【請求項18】
前記第二の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で0.1MPa~0.5MPaの範囲内にある、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項19】
前記第二の材料層の厚さが、10μm~200μmの範囲内にある、請求項18に記載の自動車ウィンドウ
【請求項20】
前記コーティングが、前記第一の材料層と前記第二の材料層の前記第一の表面との間に配置された接着層をさらに含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項21】
前記接着層の材料が、ポリビニルブチラール及びメタンジイソシアネートのうち少なくとも一つを含む、請求項20に記載の自動車ウィンドウ
【請求項22】
前記接着層の厚さが、5μm~15μmの範囲内にある、請求項20に記載の自動車ウィンドウ
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む自動車ウィンドウ:
互いに向き合う二つの表面を有する自動車ウィンドウガラス;及び
以下を含むコーティング:
第一の引張弾性率を有する第一の材料層、ここで、前記第一の材料層は、最も外側に配置されている;及び
少なくとも一つの材料層を含む第二の材料層、ここで、前記第二の材料層は、第一の表面及び前記第一の表面に向き合う第二の表面を有し、前記第一の表面は、前記第一の材料層を配置するために使用され、前記第二の表面は、ガラスに前記コーティングが施用されたときに前記ガラスの表面に面するために適合しており、前記第二の材料層は、前記第一の引張弾性率よりも低い第二の引張弾性率を有し、かつ前記第二の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で50MPa未満である;
ここで、前記コーティングは、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の少なくとも一つの上に配置され、かつ前記第二の材料層の前記第二の表面は、前記自動車ウィンドウガラスの前記二つの表面の前記少なくとも一つに面している。
【請求項2】
前記第二の引張弾性率に対する前記第一の引張弾性率の割合が、10より大きいか又は10である、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項3】
前記第一の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で100MPaより大きい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項4】
前記第二の材料層の厚さが、前記第一の材料層の厚さよりも大きい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項5】
前記第二の材料層の厚さが、500μm未満であるか又は500μmである、請求項1又は4に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項6】
前記第二の材料層が、積層された第三の材料層及び第四の材料層を含み、ここで、前記第三の材料層が、前記第一の表面を有し、前記第四の材料層が、前記第二の表面を有し、かつ前記第三の材料層の引張弾性率が、前記第四の材料層の引張弾性率よりも大きい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項7】
前記第二の材料層の前記第二の引張弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項8】
前記第一の材料層の前記第一の引張弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項1、6又は7に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項9】
前記第四の材料層の引張弾性率が、10MPa未満又は10MPaである、請求項6に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項10】
前記第三の材料層が少なくとも二つの層を含み、かつ前記第三の材料層の引張弾性率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に増加する、請求項6に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項11】
前記第三の材料層が1つの層を含み、前記第三の材料層が、第三の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第三の材料層の前記第三の多孔率が、前記第二の材料層から前記第一の材料層へ向かう方向に沿って次第に減少する、請求項6に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項12】
前記第一の材料層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、及びポリメチルメタクリレートのうち少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項13】
前記第二の材料層が、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、及び一成分型ポリウレタンフォームシール剤のうち少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項14】
前記第一の材料層が、第一の多孔率を有する材料を含み、前記第二の材料層が、第二の多孔率を有する材料を含み、かつ前記第一の多孔率が、前記第二の多孔率よりも小さいか又は前記第二の多孔率に等しい、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項15】
前記第一の多孔率が50%~65%の範囲内であり、かつ前記第二の多孔率が65%~80%の範囲内である、請求項14に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項16】
前記第二の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で5MPa~10MPaの範囲内にある、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項17】
前記第二の材料層の厚さが、50μm~500μmの範囲内にある、請求項16に記載の自動車ウィンドウ
【請求項18】
前記第二の引張弾性率が、室温及び準静的条件下で0.1MPa~0.5MPaの範囲内にある、請求項1に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項19】
前記第二の材料層の厚さが、10μm~200μmの範囲内にある、請求項18に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項20】
前記コーティングが、前記第一の材料層と前記第二の材料層の前記第一の表面との間に配置された接着層をさらに含む、請求項1に記載の自動車ウィンドウ
【請求項21】
前記接着層の材料が、ポリビニルブチラール及びメタンジイソシアネートのうち少なくとも一つを含む、請求項20に記載の自動車ウィンドウ。
【請求項22】
前記接着層の厚さが、5μm~15μmの範囲内にある、請求項20に記載の自動車ウィンドウ。
【外国語明細書】