(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083275
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】CO2排出の低負荷なポリマー組成物及びそれを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230608BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/04
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023041183
(22)【出願日】2023-03-15
(62)【分割の表示】P 2021512934の分割
【原出願日】2019-09-09
(31)【優先権主張番号】62/728,680
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・デグエス・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】リカルド・デ・オリヴェイラ・ジアス
(72)【発明者】
【氏名】エデルソン・ムニョス・レイス・マトス
(57)【要約】
【課題】化石燃料源のみを使用して生成される同等の材料と比較した際、炭素排出量の低減、具体的にはゼロ又はゼロに近い排出量、及び全般的な環境への潜在的影響の低減を示すブレンドポリマー組成物の生成。
【解決手段】1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を含む第1の成分と、1種又は複数の再生ポリマー組成物を含む第2の成分と、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物を含む任意選択の第3の成分とを含む、請求項1に規定のブレンドポリマー組成物により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を含む第1の成分と、
1種又は複数の再生ポリマー組成物を含む第2の成分と、
1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物を含む任意選択の第3の成分とを含むブレンドポリマー組成物であって、前記ブレンドポリマー組成物が、式:
P1Biobased・排出係数P1Biobased+P2Recycled・排出係数P2Recycled
+P3Petro・排出係数P3Petro = 排出係数Blend;
に従って決定した場合、ブレンドポリマー組成物1kg当たり1.0kg CO2以下の排出係数Blendを示すように、各成分のwt%が選択され、式中、P1Biobasedは、前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物の質量百分率であり、P2Recycledは、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物の質量パーセントであり、P3Petroは、前記1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物の質量パーセントであり、排出係数P1Biobasedは、前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P2Recycledは、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P3Petroは、前記1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数Blendは、前記ブレンドポリマー組成物に関してkg CO2/kgブレンドポリマー組成物で算出される排出量であり、
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物がバイオベースポリエチレンを含み、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が再生ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~40g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、0.905g/cm3から0.955g/cm3までの範囲の密度を有する、2.6wt%から55.5wt%までで存在する直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~40g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、及び0.905g/cm3から0.945g/cm3までの範囲の密度を有する、2.5wt%から54.3wt%までで存在する低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~50g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、及び0.945g/cm3から0.963g/cm3までの範囲の密度を有する、2.4wt%から51.3wt%までで存在する高密度ポリエチレンを含む、
ブレンドポリマー組成物。
【請求項2】
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が2.4wt%から59.3wt%までの範囲の量で存在する、請求項1に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項3】
前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が40.7wt%から97.6wt%までの範囲の量で存在する、請求項1に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項4】
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が、190℃/2.16kgでのASTM D1238に従って、0.05g/10分から400g/10分までの範囲のメルトフローインデックス(MFI)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項5】
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が、230℃/2.16kgでのASTM D1238に従って、0.1g/10分から130g/10分までの範囲のメルトフローインデックス(MFI)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項6】
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が、ASTM D1505/D792に従って、0.800g/cm3から0.970g/cm3までの範囲の密度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項7】
前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が、産業廃棄ポリマー樹脂、使用済みポリマー樹脂、粉砕再生ポリマー樹脂、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項8】
-1~1g CO2/kgブレンドポリマー組成物の範囲の排出係数Blendを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のブレンドポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のブレンドポリマー組成物を含む、物品。
【請求項10】
押出成形、共押出成形、押出コーティング、射出成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、熱成形、キャストフィルム押出、インフレーションフィルム押出、発泡、押出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、回転成形、引抜成形、カレンダー法、付加製造、及び積層からなる群から選択される方法によって調製される、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
キャップ、閉鎖物、フィルム、射出部品、衛生吸収剤、小容量のブロー成形物品、大容量のブロー成形物品、発泡体、膨張物品、熱成形物品、家庭用電化製品、射出物品、家庭用ユーティリティ、技術部品、エアダクト、自動車部品及びリザーバー、シリンダー、穴あきコイル、ジオデシックブランケット、バッグ、バッグ一般、家庭用品、おむつの裏カバー、ベッドライナー、水槽、ウォーターボックス、箱、大箱、ゴミ収集器、管の肩、チューブ、ロープ、配向構造物、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)等の二軸配向フィルム、プラスチック製家具、蓄電池外箱、木枠、プレート、シート、チューブ、管、コンテナ、電子物品、繊維物品、リボン、ラフィア、テープ、フィラメント、引き出し、ロープ、漁網、テクニカルコイル、カーペット、ほうきの柄、スクリーン、保管テープ、瓶、形材、断熱材、カップ、ポット、中間バルクコンテナ、化粧品用パッケージ、衛生及び清浄製品用パッケージ、食品パッケージ、多層パッケージ硬質品、軟質多層パッケージ、栓、マスターバッチ、押出コーティング、医薬品用パッケージ、共押出パッケージ、広口瓶、防水シート、袋、ライナー、ラミネート、チューブ、カヤック、水タンク、及び浄化槽からなる群から選択される、請求項9又は10に記載の物品。
【請求項12】
1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を含み、前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が2.4wt%から59.3wt%までの範囲の量で存在する、第1の成分と、
1種又は複数の再生ポリマー組成物を含み、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が40.7wt%から97.6wt%までの範囲の量で存在する、第2の成分と
を含み、
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物がバイオベースポリエチレンを含み、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が再生ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~40g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、0.905g/cm3から0.955g/cm3までの範囲の密度を有する、2.6wt%から55.5wt%までで存在する直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~40g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、及び0.905g/cm3から0.945g/cm3までの範囲の密度を有する、2.5wt%から54.3wt%までで存在する低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~50g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、及び0.945g/cm3から0.963g/cm3までの範囲の密度を有する、2.4wt%から51.3wt%までで存在する高密度ポリエチレンを含む、
ブレンドポリマー組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のブレンドポリマー組成物を含む、物品。
【請求項14】
ブレンドポリマー組成物を調製する工程を含む方法であって、前記ブレンドポリマー組成物が、
1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を含む第1の成分と、
1種又は複数の再生ポリマー組成物を含む第2の成分と
を含み、
前記ブレンドポリマー組成物が、式:
P1Biobased・排出係数P1Biobased+P2Recycled・排出係数P2Recycled
+P3Petro・排出係数P3Petro = 排出係数Blend;
に従って決定した場合、-1.0~1.0kg CO2/kgブレンドポリマー組成物の範囲の排出係数Blendを示すように、各成分の質量パーセントが選択され、
式中、P1Biobasedは、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物の質量百分率であり、P2Recycledは、1種又は複数の再生ポリマー組成物の質量パーセントであり、P3Petroは、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物の質量パーセントであり、排出係数P1Biobasedは、前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P2Recycledは、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P3Petroは、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数Blendは、ブレンドポリマー組成物に関してkg CO2/kgブレンドポリマー組成物で算出される排出量であり、
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物がバイオベースポリエチレンを含み、前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が再生ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~40g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、0.905g/cm3から0.955g/cm3までの範囲の密度を有する、2.6wt%から55.5wt%までで存在する直鎖状低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~40g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、及び0.905g/cm3から0.945g/cm3までの範囲の密度を有する、2.5wt%から54.3wt%までで存在する低密度ポリエチレンを含み、
前記バイオベースポリエチレンが、0.1~50g/10分の範囲のMFI(190℃/2.16kgでのASTM D1238)、及び0.945g/cm3から0.963g/cm3までの範囲の密度を有する、2.4wt%から51.3wt%までで存在する高密度ポリエチレンを含む、
方法。
【請求項15】
前記ブレンドポリマーが、溶融ブレンドプロセスによって調製される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶融ブレンドプロセスが、前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物と前記1種又は複数の再生ポリマー組成物とを組み合わせる工程を含み、前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物と前記1種又は複数の再生ポリマー組成物のうちの少なくとも1つがペレット又はフレークの形態である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が、産業廃棄ポリマー樹脂、使用済みポリマー樹脂、粉砕再生ポリマー樹脂、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が、0.1~100wt%の範囲のバイオベースエチレン含有量を有する、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物を調製する工程が、押出成形、共押出成形、押出コーティング、射出成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、熱成形、キャストフィルム押出、インフレーションフィルム押出、発泡、押出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、回転成形、引抜成形、カレンダー法、付加製造、及び積層からなる群から選択される1つ又は複数を含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記1種又は複数の再生ポリマー組成物が、
使用済み残渣からポリマー組成物を選択する工程と、
前記ポリマー組成物を加工して、ポリマー組成物フレークを生成する工程と、
前記ポリマー組成物フレークを清浄にする工程と
を含む再生プロセスから得られる、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記再生プロセスは、前記ポリマー組成物フレークを押出して、ポリマー組成物ペレットを生成する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ブレンドポリマー組成物を調製する工程が、
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物及び前記1種又は複数の再生ポリマー組成物を押出機に加える工程と、
前記1種又は複数のバイオベースポリマー組成物及び前記1種又は複数の再生ポリマー組成物を、ブレンドポリマー組成物として溶融押出する工程と、
前記ブレンドポリマー組成物から、ペレット、フィルム、シート、又は成形物品を形成する工程と
を含む、請求14から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2排出の低負荷なポリマー組成物及びそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンは、フィルム、成形品、及び発泡体等を含む、多様な範囲の物品が製造するために使用することができる。ポリオレフィンは、高加工性、低製造コスト、可撓性、低密度、及び再利用可能性等の特徴を有し得る。ポリエチレン等のプラスチックには多くの有益な用途がある一方で、プラスチック及びプラスチック物品の生成及び製造はしばしば、ごみの生成及び処理中のCO2排出量の増大を含む有害な強い影響を環境に与える。
【0003】
今日社会が直面する課題で最も大きいものの1つは、気候及び環境への影響を最小限にするために温室効果ガスの排出量を低減することである。2015年のパリ協定等の国際協定は、CO2排出量に制限を設け、新たな経済及びビジネスモデルの発展に加えて、再生可能エネルギーに基づいた低炭素経済への移行を推し進め得る。いくつかの事例において、新たな生成手法及び材料溶液は、プラスチック製造中のカーボンフットプリントを低減するために使用することができ、ライフサイクルの見方は、材料の機能性と環境への影響との間の実現可能な妥協を重視するために適用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,181,143号
【特許文献2】米国特許第4,396,789号
【特許文献3】米国特許公報第2013/0095542号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決すべき課題の1つは、化石燃料源のみを使用して生成される同等の材料と比較した際、炭素排出量の低減、具体的にはゼロ又はゼロに近い排出量、及び全般的な環境への潜在的影響の低減を示すブレンドポリマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要は、詳細な説明において以下に更に説明される選ばれた概念を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の、主要な又は不可欠な特徴を特定することを意図するものでも、特許請求される主題の範囲を限定することを補助するものとして使用されることを意図するものでもない。
【0007】
一態様において、本明細書で開示される実施形態は、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を有する第1の成分と、1種又は複数の再生ポリマー組成物を有する第2の成分と、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物を含む任意選択の第3の成分とを含むポリマー組成物であって、ブレンドポリマー組成物が、式:
P1Biobased・排出係数P1Biobased+P2Recycled・排出係数P2Recycled
+P3Petro・排出係数P3Petro = 排出係数Blend
に従って決定した場合、ブレンドポリマー組成物について1.0kg CO2/kg以下の排出係数Blendを示すように、各成分のwt%が選択される、ポリマー組成物に関し、
式中、P1Biobasedは1種又は複数のバイオベースポリマー組成物の質量百分率であり、P2Recycledは1種又は複数の再生ポリマー組成物の質量パーセントであり、P3Petroは1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物の質量パーセントであり、排出係数P1Biobasedは、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P2Recycledは、1種又は複数の再生ポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P3Petroは、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数Blendは、ブレンドポリマー組成物に関してkg CO2/kgブレンドポリマー組成物で算出される排出量である。
【0008】
別の態様において、本明細書で開示される実施形態は、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を有する第1の成分であって、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物が2.4wt%から59.3wt%までの範囲の量で存在する第1の成分と、1種又は複数の再生ポリマー組成物を有する第2の成分であって、1種又は複数の再生ポリマー組成物が40.7wt%から97.6wt%までの範囲の量で存在する第2の成分とを含み得るポリマー組成物に関する。
【0009】
別の態様において、本明細書で開示される実施形態は、ブレンドポリマー組成物を調製する工程を含む方法であって、ブレンドポリマー組成物が、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物を有する第1の成分と、1種又は複数の再生ポリマー組成物を有する第2の成分とを含み、ブレンドポリマー組成物が、式:
P1Biobased・排出係数P1Biobased+P2Recycled・排出係数P2Recycled
+P3Petro・排出係数P3Petro = 排出係数Blend
に従って決定した場合、-1.0~1.0kg CO2/kgブレンドポリマー組成物の範囲の排出係数Blendを示すように、各成分の質量パーセントが選択される、方法に関し、
式中、P1Biobasedは1種又は複数のバイオベースポリマー組成物の質量百分率であり、P2Recycledは1種又は複数の再生ポリマー組成物の質量パーセントであり、P3Petroは1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物の質量パーセントであり、排出係数P1Biobasedは、1種又は複数のバイオベースポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P2Recycledは、1種又は複数の再生ポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P3Petroは、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数Blendは、ブレンドポリマー組成物に関してkg CO2/kgブレンドポリマー組成物で算出される排出量である。
【0010】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、化石燃料源のみを使用して生成される同等の材料と比較した際、炭素排出量の低減、具体的にはゼロ又はゼロに近い排出量、及び全般的な環境への潜在的影響の低減を示すブレンドポリマー組成物の生成を対象とする。別の態様において、本開示の実施形態は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、及びそれらの混合物を含有するブレンドを含むブレンドポリマー組成物の製造中の炭素排出量を低減する方法を対象とする。具体的には、本開示の実施形態は、様々な成分に関して炭素排出量を釣り合わせることによってブレンドポリマー組成物を選択する工程、及びゼロ又はゼロに近い排出量を有するように排出量を釣り合わせると同時に他の望ましい特性を維持するように様々な成分の質量百分率を選択する工程を対象とする。
【0012】
1種又は複数の実施形態において、ブレンドポリマー組成物製造の方法は、ポリマーの質量当たりCO2の質量当量(即ち、kg CO2/kgポリマー)ゼロに近い炭素排出量を示してもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物の質量当たりCO2の質量当量は負であってもよく、これは大気からのCO2の炭素の取り込み(炭素隔離とも呼ばれる)を示す。本開示によるブレンドポリマー組成物は、バイオベースポリマー組成物と再生ポリマー組成物との混合物を含んでもよく、各成分の量は、Eq. 1に示されるように算出される「排出係数」によって決定した場合、算出されるカーボンフットプリントに基づいて選択される。
P1Biobased・排出係数P1Biobased+P2Recycled・排出係数P2Recycled
+P3Petro・排出係数P3Petro = 排出係数Blend
式中、P1Biobasedはバイオベースポリマー組成物の質量百分率であり、P2Recycledは再生ポリマー組成物の質量パーセントであり、P3Petroは1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物の質量パーセントであり、排出係数P1Biobasedは、バイオベースポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P2Recycledは、再生ポリマー組成物成分に関してg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数P3Petroは、1種又は複数の石油化学系バージンポリマー組成物に関してkg CO2/kgポリマーで算出される排出量であり、排出係数Blendは、最終のポリマー組成物に関してg CO2/kgポリマー組成物で算出される排出量である。
【0013】
本明細書で開示されるように、ポリマー組成物の排出係数は、国際規格ISO 14044:2006-「ENVIRONMENTAL MANAGEMENT -- LIFE CYCLE ASSESSMENT -- REQUIREMENTS AND GUIDELINES」に従って算出してもよい。境界条件は、揺りかごからゲートまで手法を考える。数値は、同業者による審査を受けたLCA ISO 14044に準拠した研究に基づき、環境及びライフサイクルモデルはSimaPro(登録商標)ソフトウェアに基づく。Ecoinventがバックグラウンドデータベースとして使用され、IPCC 2013 GWP100がLCIA法として使用される。
【0014】
ブレンドポリマー組成物
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるブレンドポリマー組成物は、バイオベースポリマー成分と再生ポリマー成分との混合物を含み得る。1つ又は複数の実施形態において、ブレンドポリマー組成物は、バイオベースポリマー成分と再生ポリマー成分と、石油化学系バージンポリマー成分との混合物を含み得る。
【0015】
ポリエチレン
1つ又は複数の実施形態において、ブレンドポリマー組成物は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及びそれらのブレンド及び混合物等の様々な分子量及び密度のポリエチレンを含む、エチレンモノマーから生成されるバイオベース及び/又は再生ポリエチレンを含み得る。
【0016】
バイオベースポリエチレン
本開示によるバイオベースポリエチレンは、ある質量百分率の生物由来モノマーを含有するポリオレフィンを含み得る。バイオベースポリエチレン及びモノマーは、天然産物に由来し、化石燃料源から得られるポリマー及びモノマーとは区別される。バイオベース材料は、大気中でCO2を能動的に低減し得るか、又はそうでない場合に、生成中排出する必要があるCO2がより少量であり得る源から得られるため、そのような材料は「グリーン」又は再生可能であると考えられる。
【0017】
バイオベースポリエチレンの例としては、サトウキビ及びテンサイ、カエデ、ナツメヤシ、サトウヤシ、モロコシ、リュウゼツラン、デンプン類、トウモロコシ、小麦、大麦、モロコシ、米、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、藻類、果物、かんきつ類の果実、セルロースを含む材料、果実酒、ヘミセルロースを含む材料、リグニンを含む材料、セルロース類、リグノセルロース類、木材、木本植物、わら、サトウキビバガス、サトウキビの葉、コーンストーバー、木材残渣、紙、ペクチン、キチン、レバン、及びプルラン等の多糖類、並びにそれらの任意の組み合わせ等の天然源由来のエチレンから生成されるポリマーを挙げることができる。
【0018】
バイオベース材料は、サトウキビからエタノールを生成し、それに続いてエタノールを脱水してエチレンにする等の、エチレンを生成するための任意の適切な方法によって加工してもよい。更に、発酵によって、エタノールに加えて高級アルコールの副生成物が生成されることも理解される。脱水時に高級アルコール副生成物が存在する場合、エタノールと一緒に高級アルケン不純物が形成されることがある。したがって、1つ又は複数の実施形態において、エタノールは、高級アルコール副生成物を除去するために脱水前に精製してもよく、一方で、他の実施形態において、エチレンは、高級アルケン不純物を除去するために脱水後に精製してもよい。
【0019】
バイオエタノールとして公知であり、エチレンを生成するために使用される生物学的に供給されるエタノールは、サトウキビ及びテンサイの作物等の作物由来の、又は同様にして、トウモロコシ等の他の材料に関連する加水分解デンプン由来の、糖の発酵によって得ることができる。バイオベースエチレンは、わら及びサトウキビの皮等の多くの農副産物に見出され得る、セルロース及びヘミセルロース由来の加水分解ベース産物から得てもよいことも想到される。この発酵は、様々な微生物の存在下で行われ、そのような微生物で最も重要であるのは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)である。それから得られるエタノールは、通常300℃超の温度での触媒反応を用いてエチレンに変換してもよい。高比表面積ガンマ-アルミナ等の、多種多様の触媒がこの目的に使用され得る。他の例としては、米国特許第9,181,143号及び米国特許第4,396,789号に記載される教示が挙げられ、それらはその全体が参照により本明細書に引用される。
【0020】
本開示によるバイオベースポリエチレンは、ASTM D6866-18 B法によって決定した場合、0.05%、0.1%、1%、及び5%のうちのいずれかから選択される下限から50%、90%、及び100%のうちのいずれかから選択される上限までの範囲のパーセントで、バイオベース炭素含有量を有するポリエチレンを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0021】
1つ又は複数の実施形態において、天然の材料から得られるバイオベース生成物は、その再生可能な炭素含有量に関して、技術規格ASTM D 6866-18、「Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis」に記載される方法論に従って認証され得る。
【0022】
1つ又は複数の実施形態において、ブレンドポリマー組成物は、全組成物の、1wt%、2.4wt.%、4.7wt%、5wt%、5.1wt%、7.5wt%、10wt%、及び26.3wt.%のうちの1つから選択される下限から30wt%、30.3wt.%、36.6wt%、51.3wt%、54.3wt%、55wt%、55.5wt%、60wt%、及び90wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセント(wt%)のバイオベースポリエチレンを含有してもよく、任意の下限を任意の上限と共に使用し得る。更に、ポリマー組成物は、用途及び望ましい炭素排出量プロファイルに応じて、より多くの又はより少ないバイオベースポリエチレンを含有し得ることが想到される。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリエチレンは、190℃/2.16kgでのASTM D1238に従って、0.05g/10min、0.1g/10min、及び0.5g/10minのうちのいずれか1つから選択される下限から40g/10min、50g/10min、及び60g/10minのうちのいずれか1つから選択される上限までのメルトフローインデックス(MFI)を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリエチレンは、ASTM D1505/D792に従って、0.800g/cm3、0.905g/cm3、0.910g/cm3、0.945g/cm3、及び0.950g/cm3のうちのいずれか1つから選択される下限から0.945g/cm3、0.955g/cm3、0.963g/cm3、及び0.970g/cm3のうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲の密度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリエチレンは、0.1g/10minから40g/10minまでの範囲のMFI(ASTM D1238、190℃/2.16で)及び0.905g/cm3から0.955g/cm3までの範囲の密度を有する、ポリマー組成物の2.6wt%から55.5wt%までの範囲の質量パーセント(wt%)で存在する直鎖状低密度ポリエチレンを含み得る。
【0026】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリエチレンは、0.1g/10minから40g/10minまでの範囲のMFI(ASTM D1238、190℃/2.16で)及び0.905g/cm3から0.945g/cm3までの範囲の密度を有する、ポリマー組成物の2.5wt%から54.3wt%までの範囲の質量パーセント(wt%)で存在する低密度ポリエチレンを含み得る。
【0027】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリエチレンは、0.1g/10minから50g/10minまでの範囲のMFI(ASTM D1238、190℃/2.16で)及び0.945g/cm3から0.963g/cm3までの範囲の密度を有する、ポリマー組成物の2.4wt%から51.3wt%までの範囲の質量パーセント(wt%)で存在する高密度ポリエチレンを含み得る。
【0028】
再生ポリエチレン
本開示によるポリマー組成物は、産業廃棄樹脂(post-industrial resin)、使用済み樹脂、粉砕再生ポリマー樹脂、及びそれらの組み合わせを含む、様々な源から得られる再生ポリエチレンを含み得る。1つ又は複数の実施形態において、再生ポリエチレンは、ポリエチレン廃棄物残渣からポリエチレンを選択する工程、ポリエチレンを清浄にする工程、及びポリエチレンを加工してポリエチレンフレークを生成する工程の一般プロセスによって得てもよい。いくつかの実施形態において、加工してポリエチレンフレークを生成する工程は、清浄工程の前に行ってもよい。いくつかの実施形態において、再生プロセスは、ポリエチレンフレークを押出してポリエチレンペレットを生成する工程を更に含む。
【0029】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、全組成物の、1wt%、5wt%、10wt%、40wt%、40.7wt.%、44.5wt%、50wt%、及び55wt%のうちの1つから選択される下限から60wt%、75wt%、80wt%、90wt%、95wt%、95.3wt%、99.5wt%、及び99.9wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセント(wt%)の再生ポリエチレンを含有してもよく、任意の下限を任意の上限と共に使用し得る。更に、ポリマー組成物は、用途及び望ましい炭素排出量プロファイルに応じて、より多くの又はより少ない再生ポリエチレンを含有し得ることが想到される。
【0030】
ポリプロピレン
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、様々な分子量及び密度のポリプロピレン、並びにそれらのブレンド及び混合物を含む、プロピレンモノマーから生成されるバイオベース及び再生ポリプロピレンを含み得る。
【0031】
バイオベースポリプロピレン
本開示によるバイオベースポリプロピレンは、ある質量百分率の生物由来モノマーを含有するポリオレフィンを含み得る。プロピレンモノマーは、バイオベースポリエチレンに関して上に論じられ、例えば米国特許公報第2013/0095542号において論じられるのと同様の生物学的プロセスに由来してもよい。1つ又は複数の実施形態において、生物由来のn-プロパノールを脱水してプロピレンを得てもよく、次いでプロピレンは重合されて様々な種類のポリプロピレンが生成される。本開示によるバイオベースポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ヘテロファジックコポリマー、又はターポリマー等を含み得る。
【0032】
本開示によるバイオベースポリプロピレンは、ASTM D6866-18 B法によって決定した場合、0.05%、0.1%、1%、及び5%のうちのいずれかから選択される下限から50%、90%、及び100%のうちのいずれかから選択される上限までの範囲のパーセントで、バイオベース炭素含有量を有するポリプロピレンを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0033】
1つ又は複数の実施形態において、天然材料から得られるバイオベース生成物は、その再生可能な炭素含有量に関して、技術規格ASTM D 6866-06、「Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」に記載される方法論に従って認証され得る。
【0034】
1つ又は複数の実施形態において、ブレンドポリマー組成物は、全組成物の、1wt%、2.7wt.%、4.7wt%、5wt%、5.1wt%、7.5wt%、及び10wt%のうちの1つから選択される下限から30wt%、36.6wt%、51.3wt%、54.3wt%、55wt%、55.5wt%、58wt%、60wt%、及び90wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセント(wt%)のバイオベースポリプロピレンを含有してもよく、任意の下限を任意の上限と共に使用し得る。更に、ポリマー組成物が、用途及び望ましい炭素排出量プロファイルに応じて、より多くの又はより少ないバイオベースポリプロピレンを含有し得ることが想到される。
【0035】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリプロピレンは、230℃/2.16kgでのASTM D1238に従って、0.1g/10min、0.5g/10min、0.7g/10min、及び1g/10minのうちのいずれか1つから選択される下限から100g/10min、120g/10min、125g/10min、及び130g/10minのうちのいずれか1つから選択される上限までのメルトフローインデックス(MFI)を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0036】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリプロピレンは、ASTM D1505/D792に従って、0.800g/cm3、0.905g/cm3、0.910g/cm3、0.945g/cm3、及び0.950g/cm3のうちのいずれか1つから選択される下限から0.945g/cm3、0.955g/cm3、0.963g/cm3、及び0.970g/cm3のうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲の密度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0037】
再生ポリプロピレン
本開示によるブレンドポリマー組成物は、産業廃棄樹脂、使用済み樹脂、粉砕再生ポリマー樹脂、及びそれらの組み合わせを含む、様々な源から得られる再生ポリプロピレンを含み得る。1つ又は複数の実施形態において、再生ポリプロピレンは、ポリプロピレン廃棄物残渣からポリプロピレンを選択する工程、ポリプロピレンを清浄にする工程、及びポリプロピレンを加工してポリプロピレンフレークを生成する工程の一般プロセスによって得てもよい。いくつかの実施形態において、加工してポリエチレンフレークを生成する工程は、清浄工程の前に行ってもよい。いくつかの実施形態において、再生プロセスは、ポリプロピレンフレークを押出してポリプロピレンペレットを生成する工程を更に含む。
【0038】
1つ又は複数の実施形態において、ブレンドポリマー組成物は、全組成物の、1wt%、5wt%、10wt%、40wt%、41.8wt.%、44.5wt%、50wt%、及び55wt%のうちの1つから選択される下限から60wt%、75wt%、80wt%、90wt%、95wt%、97.6wt%、99.5wt%、及び99.9wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセント(wt%)の再生ポリプロピレンを含有してもよく、任意の下限を任意の上限と共に使用し得る。更に、ポリマー組成物は、用途及び望ましい炭素排出量プロファイルに応じて、より多くの又はより少ない再生ポリプロピレンを含有し得ることが想到される。
【0039】
バイオベースエチレン酢酸ビニルコポリマー
本発明のポリマー組成物は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合によって調製される1種又は複数のエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーを組み入れてもよい。いくつかの実施形態において、EVAコポリマーは、バイオベースEVAであってもよく、エチレン及び/又は酢酸ビニルモノマーのうちの少なくとも1つは、バイオベースエタノールに由来するエチレン等の再生可能源に由来する。
【0040】
1つ又は複数の実施形態において、EVAコポリマーは、ASTM D6866によって決定した場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す。更に、他の実施形態は、少なくとも10%、20%、40%、50%、60%、80%、又は100%のバイオベース炭素を含んでもよい。
【0041】
本開示によるEVAコポリマーは、ASTM D1238に従って決定した場合、190℃及び2.16kgで0.1、1、2、5、10、20、及び50のうちのいずれか1つから選択される下限から50、100、200、300、又は400g/10minのうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲であるメルトフローインデックス(MFI)を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0042】
本開示によるEVAコポリマーは、ASTM D792に従って決定される、0.80、0.91、0.95、0.97、又は1.1g/cm3のうちのいずれか1つから選択される下限から1.1、1.5、1.9、1.21、及び1.25g/cm3のうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲の密度を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせ得る。
【0043】
本開示によるブレンドポリマー組成物は、組成物の、1wt%、2.8wt.%、4.7wt%、5wt%、5.1wt%、7.5wt%、及び10wt%のうちのいずれか1つから選択される下限から30wt%、36.6wt%、51.3wt%、54.3wt%、55wt%、55.5wt%、59.3wt%、60wt%、及び90wt%のうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲である質量パーセントでEVAコポリマーを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組にし得る。
【0044】
本開示によるEVAコポリマーは、EVAポリマー中に、5wt%、25wt%、40wt%、60wt%、66wt%、及び72wt%のうちのいずれか1つから選択される下限から80wt%、85wt%、88wt%、92wt%、及び95wt%のうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲である質量パーセントのエチレンを含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組にし得る。
【0045】
石油化学系バージン樹脂
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン酢酸ビニルを含むがこれらに限定されない1種又は複数の石油化学系バージン樹脂(即ち、化石燃料源から形成されている)を任意選択で含み得る。
【0046】
本開示によるブレンドポリマー組成物は、組成物の、1wt%、2wt.%、5wt%、7.5wt%、及び10wt%のうちのいずれか1つから選択される下限から30wt%、40wt%、50wt%、60wt%、及び90wt%のうちのいずれか1つから選択される上限までの範囲である質量パーセントで石油化学系バージン樹脂を含んでもよく、任意の下限を任意の上限と組にし得る。
【0047】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるブレンドポリマー組成物は、Eq. 1に従って算出した場合、1.0kg CO2/kgポリマー組成物未満である排出係数を有してもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、Eq. 1に従って算出した場合、-1.0~1.0kg CO2/kgブレンドポリマー組成物の範囲である排出係数を有してもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、Eq. 1に従って算出した場合、0kg CO2/kgブレンドポリマー組成物である排出係数を有してもよい。ある範囲の排出係数が提示されているが、いくつかの実施形態において、入手可能な出発材料及び最終のポリマー組成物の用途要件に応じて、排出係数がおよそ0であるか、又は-1より大きい負の場合もあることが想到される。1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、Eq. 1に従って測定される、-1、-0.5、-0.25、-0.1、又は0.05のうちのいずれかの下限から1、0.5、0.25、0.1、又は0.05のうちのいずれかの上限までである排出係数を有してもよく、任意の下限を任意の上限と組み合わせて使用し得る。
【0048】
添加剤
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、酸化防止剤、顔料、充填剤、補強剤、接着促進剤、殺生物剤、増白剤、核剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、及び光安定剤等の、組成物の様々な特性を改変させるいくつかの他の機能性添加剤を含有してもよい。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、全組成物の、0.001wt%、0.01wt.%、0.05wt%、0.5wt%、及び1wt%のうちの1つから選択される下限から1.5wt%、2wt%、5wt%、7wt%、及び15wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセント(wt%)の1種又は複数の添加剤を含有してもよく、任意の下限を任意の上限と共に使用し得る。ポリマー添加剤に関していくつかの可能な範囲を紹介したが、添加剤は、それぞれのポリマー組成物の排出係数の決定において考慮されるものではない。
【0050】
マスターバッチ配合物
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、二次ポリマーで希釈されて、ポリマーペレット、フレーク、及び他の原材料を作るために使用されるか、又はポリマー物品を作るために使用される原料ポリマーを生成する、マスターバッチ(濃縮ポリマー混合物)として配合してもよい。具体的には、本開示によるマスターバッチ配合物は、二次ポリマー組成物のカーボンフットプリントを政府又は業界の基準を遵守するために許容されるレベルまで最小限にするために、二次ポリマー組成物と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態において、二次ポリマー組成物は、様々な分子量及び密度のポリエチレンを含んでもよい。
【0051】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、全組成物の、10wt%、20wt%、25wt%、30wt%、40wt%、及び50wt%のうちの1つから選択される下限から50wt%、60wt%、及び70wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセント(wt%)の、バイオベースポリマー及び/又は再生ポリマーを含有するポリマー組成物の濃縮されたマスターストックを含有してもよく、任意の下限を任意の上限と共に使用し得る。
【0052】
ポリマー組成物調製法
本開示によるポリマー組成物は、いくつかの可能なポリマーブレンド及び配合手法によって調製してもよく、当該手法は、以下の段落において論じられる。
【0053】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、溶融ブレンドプロセスにおいて二次ポリマー組成物と組み合わされる。1つ又は複数の他の実施形態において、ポリマー組成物は、ドライブレンドプロセスにおいて二次ポリマー組成物と組み合わされる。したがって、ポリマーは、後に続く溶融ブレンド又はドライブレンドプロセスにおいて希釈され得るマスターバッチ配合物として配合されて、改善された特性を有する最終のポリマー組成物を形成してもよい。
【0054】
可溶化
本開示によるポリマー組成物は、いくつかの手法を用いて、構成成分から調製してもよい。1つ又は複数の実施形態において、バイオベースポリマー及び再生ポリマーは、デカリン、1,2-ジクロロベンゼン、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール等の適切な有機溶媒に可溶化してもよい。次いで、溶媒混合物は、ポリマーをブレンドするための撹拌下、23℃と130℃との間等の温度まで加熱してもよい。
【0055】
押出
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるポリマー組成物は、連続的又は非連続的な押出によって調製してもよい。方法は、単軸、2軸、又は多軸押出機を使用してもよく、押出機は、いくつかの実施形態において100℃から270℃までの、いくつかの実施形態において140℃から230℃までの範囲の温度で、使用してもよい。いくつかの実施形態において、原材料は、粉末、顆粒、フレーク、又は1種又は複数の成分の溶液、エマルジョン、及び懸濁液として液体中の分散体の形態で、主たる又は二次的なフィーダーに、同時に又は逐次的に、押出機に加えられる。
【0056】
本開示によるポリマー組成物を調製する方法は、押出機中で1種又は複数のバイオベースポリマーと1種又は複数の再生ポリマーとを組み合わせる一般工程と、1種又は複数のバイオベースポリマー及び1種又は複数の再生ポリマーを、ブレンドポリマー組成物として溶融押出する一般工程と、ブレンドポリマー組成物からペレット、フィルム、シート、又は成形物品を形成する一般工程とを含み得る。1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物を調製する方法は、ブレンド調製段階の一続きの工程に続いて単一の押出又は複数の押出を包含してもよい。
【0057】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物の成分は、例えば、インテンシブミキサーを使用して、押出前に事前分散され得る。押出装置の内側で、成分は、熱交換及び/又は機械的摩擦によって加熱され、相は溶融され、ポリマーの変形によって分散液が生じる。いくつかの実施形態において、異なる性質のポリマー間の1種又は複数の相溶化剤(官能化ポリオレフィン等)を使用して、ポリマー相の分布を促進し、且つ/又は精製し、従来のブレンドの形態の及び/又は相間の界面での半浸透性ネットワークの形成を可能にしてもよい。
【0058】
1つ又は複数の実施形態において、本開示による押出手法はまた、次いで他の成分と組み合わされて本開示のポリマー組成物を生成するポリマー組成物濃縮物(マスターバッチ)の調製を包含してもよい。
【0059】
押出によって調製されるポリマー組成物は、押出成形、共押出成形、押出コーティング、射出成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、熱成形、キャストフィルム押出、インフレーションフィルム押出、発泡、押出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、回転成形、引抜成形、カレンダー法、付加製造、及び積層等から選択されるプロセスを含む、製造物品を生産するための種々の成形プロセスに適用可能な顆粒の形態であってもよい。
【0060】
1つ又は複数の実施形態において、物品は、射出成形物品、熱成形物品、フィルム、発泡体、ブロー成形物品、付加製造物品、圧縮物品、共押出成形物品、積層物品、射出ブロー成形物品、回転成形物品、押出成形物品、単層物品、多層物品、又は引抜成形物品等である。多層物品の実施形態において、層のうちの少なくとも1つが本開示のポリマー組成物を含むことが想到される。
【0061】
用途
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、食品用の硬質及び軟質パッケージ、化学製品、家庭用化学製品、農薬、燃料タンク、水道管、ガス管、パイプ塗装、及びジオメンブレン等を含む、物品の製造において使用してもよい。本開示によるポリマー組成物を使用して生産され得る物品の更なる例としては、キャップ、閉鎖物、フィルム、射出部品、衛生吸収剤、小容量のブロー物品、大容量のブロー物品、発泡体、膨張物品、熱成形物品、家庭用電化製品、射出物品、家庭用ユーティリティ、技術部品、エアダクト、自動車部品及びリザーバー、シリンダー、穴あきコイル、ジオデシックブランケット(geodesic blanket)、バッグ、バッグ一般、家庭用品、おむつの裏カバー、ベッドライナー、水槽、ウォーターボックス、箱、大箱、ゴミ収集器、管の肩、チューブ、ロープ、配向構造物、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)等の二軸配向フィルム、プラスチック製家具、蓄電池外箱、木枠、プレート、シート、チューブ、管、コンテナ、電子物品、繊維物品、リボン、ラフィア、テープ、フィラメント、引き出し、ロープ、漁網、テクニカルコイル、カーペット、ほうきの柄、スクリーン、保管テープ、瓶、形材、断熱材、カップ、ポット、IBC(中間バルクコンテナ)、化粧品用パッケージ、衛生及び清浄製品用パッケージ、食品パッケージ、多層パッケージ硬質品、軟質多層パッケージ、栓、マスターバッチ、押出コーティング、医薬品用パッケージ、共押出パッケージ、広口瓶、防水シート、袋、ライナー、ラミネート、チューブ、カヤック、水タンク、浄化槽、及びその他のタイプのタンクが挙げられる。
【実施例0062】
(実施例1)
バイオベースポリエチレンの排出係数の算出
以下の実施例は、サトウキビからのバイオベースポリエチレンの生成に関係する工程のライフサイクル分析を提示し、排出係数は各工程に関して算出する。個別及び全体の排出係数寄与率をTable 1(表1)に示す。
【0063】
【0064】
(実施例2)
再生ポリエチレンの排出係数の算出
次の実施例において、再生ポリエチレンの生成に関する排出係数を、Table 2(表2)に示す。排出係数は、再生プロセス中に得られる材料の質量単位当たりのCO2の質量当量で算出する。再生ポリエチレンの場合、各工程及び/又は再生ポリエチレンの生成プロセスで使用される成分の寄与率は、加工中のCO2排出量の総量から決定する。
【0065】
【0066】
(実施例3)
ポリマー組成物の配合
次の実施例において、本開示によるポリマー組成物を、以下のTable 3(表3)に示すいくつかのポリエチレン源から調製した。
【0067】
【0068】
排出係数が、Eq. (1)に従って決定した場合、-1~1kg CO2/kgブレンドで変動する所定の範囲の炭素排出量になるように、ポリマー組成物を調製した。生じた組成物、及びそれらの関連する排出係数をTable 4(表4)に示す。
【0069】
【0070】
(実施例4)
バイオベースポリエチレン及び再生ポリプロピレン
次の実施例において、ブレンドポリマー組成物を、バイオベースポリエチレンと再生ポリプロピレンとのブレンドから調製した。生じた組成物、及びそれらの関連する排出係数をTable 5(表5)に示す。
【0071】
【0072】
(実施例5)
バイオベースポリプロピレン及び再生ポリエチレン
次の実施例において、ブレンドポリマー組成物を、バイオベースポリエチレンと再生ポリプロピレンとのブレンドから調製した。生じた組成物、及びそれらの関連する排出係数をTable 6(表6)に示す。
【0073】
【0074】
(実施例6)
バイオベースポリプロピレン及び再生ポリプロピレン
次の実施例において、ブレンドポリマー組成物を、バイオベースポリプロピレンと再生ポリプロピレンとのブレンドから調製した。生じた組成物、及びそれらの関連する排出係数をTable 7(表7)に示す。
【0075】
【0076】
(実施例7)
バイオベースEVA(エチレン酢酸ビニル)の排出係数の算出
以下の実施例は、サトウキビからのバイオベースEVAの生成に関係する工程のライフサイクル分析を提示し、排出係数は各工程に関して算出する。個別及び全体の排出係数寄与率をTable 8(表8)に示す。
【0077】
【0078】
(実施例8)
バイオベースEVA及び再生ポリエチレン
次の実施例において、ブレンドポリマー組成物を、バイオベースEVAと再生ポリエチレンとのブレンドから調製した。生じた組成物、及びそれらの関連する排出係数をTable 9(表9)に示す。
【0079】
【0080】
(実施例9)
バイオベースEVA及び再生ポリプロピレン
次の実施例において、ブレンドポリマー組成物を、バイオベースEVAコポリマーと再生ポリプロピレンとのブレンドから調製した。生じた組成物、及びそれらの関連する排出係数をTable 10(表10)に示す。
【0081】
【0082】
本明細書において、先行する説明が、特定の手段、材料、及び実施形態に関して記載してきたが、本明細書で開示される詳細に限定することを意図するものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の範囲内であるように、すべての機能的に均等の構造、方法、及び使用に拡大される。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション節は、記載される機能を実行する工程として本明細書で説明される構造を包含し、構造的均等物だけでなく均等の構造も包含することを、意図するものである。したがって、クギ及びネジは、木製部品を締める環境において、クギが円柱形表面を利用して木製部品を固定するのに対し、ネジはらせん状表面を利用する点で、構造的均等物ではあり得ないが、クギ及びネジは均等の構造であり得る。特許請求の範囲が関連する機能と一緒に語句「のための手段」を明示的に用いるものを除いて、本明細書の特許請求の範囲のいずれかのいかなる限定に関しても、35U.S.C.§112(f)を行使しないことは、出願人の明白な意図である。