(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083295
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ファイバーボール集合体、及びファイバーボール集合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/02 20060101AFI20230608BHJP
D04H 1/435 20120101ALI20230608BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20230608BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20230608BHJP
【FI】
D04H1/02
D04H1/435
A41D31/00 503G
A41D31/00 502L
A41D31/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046329
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2020036016の分割
【原出願日】2020-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】米澤 智之
(72)【発明者】
【氏名】武波 一昭
(57)【要約】
【課題】柔らかい風合いを有し、作業性に優れるファイバーボール集合体を提供すること。
【解決手段】複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体であって、上記複数の第1ファイバーボールが、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を、50質量%以上含み、上記複数の第2ファイバーボールが、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、上記複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維が、上記複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有することを特徴とするファイバーボール集合体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体であって、
前記複数の第1ファイバーボールが、前記複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を、50質量%以上含み、
前記複数の第2ファイバーボールが、前記複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、
前記複数の第1ファイバーボールが、前記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、
第1繊維が、第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有する、
ことを特徴とする、前記ファイバーボール集合体。
【請求項2】
第1繊維の平均繊維長が、第2繊維の平均繊維長の20~80%である、請求項1に記載のファイバーボール集合体。
【請求項3】
第1繊維の平均繊維長が、10~50mmであり、第2繊維の平均繊維長が、40~100mmである、請求項1又は2に記載のファイバーボール集合体。
【請求項4】
第1繊維の平均繊維径が、第2繊維の平均繊維径の20~80%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項5】
前記複数の第1ファイバーボールが、前記複数の第2ファイバーボールの1/30~1/3の平均体積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項6】
前記複数の第1ファイバーボールが、0.01(cm3/個)以上且つ0.50(cm3/個)未満の平均体積を有し、そして前記複数の第2ファイバーボールが、0.50(cm3/個)以上且つ2.00(cm3/個)以下の平均体積を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項7】
前記複数の第1ファイバーボールの平均体積:MV1(cm3/個)が、次の式:
MV1=V1/n1
[V1(cm3/g)は、前記複数の第1ファイバーボールの嵩高性(cm3/g)であり、n1(個/g)は、前記複数の第1ファイバーボール1g当たりの個数である]
により表され、
前記複数の第2ファイバーボールの平均体積:MV2(cm3/個)が、次の式:
MV2=V2/n2
[V2(cm3/g)は、前記複数の第2ファイバーボールの嵩高性(cm3/g)であり、n1(個/g)は、前記複数の第2ファイバーボール1g当たりの個数である]
により表される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項8】
前記ファイバーボール集合体が、前記複数の第1ファイバーボールと、前記複数の第2ファイバーボールとを、それらの計100質量部に基づいて、20~60質量部及び80~40質量部の比率で含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項9】
前記ファイバーボール集合体が、100~400(cm3/g)の嵩高性を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項10】
前記複数の第2ファイバーボールが、第2繊維として、ポリエチレンテレフタラート繊維を50質量%以上含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体を含む衣類。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体を含む寝装品。
【請求項13】
複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体の製造方法であって、
複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維と、複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維とを、同時に、ボール機に充填し、第1繊維から構成される、前記複数の第1ファイバーボールと、第2繊維から構成される、前記複数の第2ファイバーボールとを形成するステップを含み、
第1繊維が、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を、50質量%以上含み、
第2繊維が、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、
前記複数の第1ファイバーボールが、前記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、
第1繊維が、第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有する、
ことを特徴とする、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体、及び複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グース、ダック等の羽毛は、柔らかい風合いを有するとともに、軽量且つ保温性に優れるため、防寒用衣料、防寒用寝具の充填材として用いられている。しかし、近年、羽毛の供給量が減少していること、羽毛が投機対象となっていること等を背景に、羽毛のコストが高騰している。また、動物愛護の観点から、羽毛の商業的利用に対する圧力も一定程度存在する。
【0003】
羽毛の代替品として、化学繊維を材料とする人工素材の開発が進んでいる。当該人工素材としては、例えば、板中綿、粒中綿、ちぎり中綿等が挙げられる。
粒中綿、例えば、特許文献1に記載の混綿中綿は、2種以上の繊維からなる混綿中綿であって、式:最大混率値-最小混率値から求められる前記2種以上の繊維の混率のばらつきが10質量%以内である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
板中綿は、そもそも、羽毛のような、柔らかい風合いを再現することが難しい。
また、特許文献1に開示されるような粒中綿は、板中綿よりは嵩高いものの、羽毛のような、柔らかい風合いを出すには改善の余地があった。
さらに、ちぎり中綿は、羽毛のような、柔らかい風合いを再現しやすいものの、その製造の際に手作業の工程を要し、製造の観点から改善の余地がある。また、ちぎり中綿は、自動ダウン充填機を用いた充填を行う場合には、攪拌が必要であるとともに、詰まりが発生しやすく、作業性の観点から問題があった。
従って、本開示は、柔らかい風合いを有し、作業性に優れるファイバーボール集合体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者らは、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体であって、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を、50質量%以上含み、上記複数の第2ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、第1繊維が、第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有することを特徴とするファイバーボール集合体を見出した。
【発明の効果】
【0007】
本開示のファイバーボール集合体は、柔らかい風合いを有し、作業性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体であって、
上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を、50質量%以上含み、
上記複数の第2ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、
上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、
第1繊維が、第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有する、
ことを特徴とする、上記ファイバーボール集合体。
【0009】
上記ファイバーボール集合体は、所定の複数の第1ファイバーボールと、所定の複数の第2ファイバーボールとを含む。複数の第1ファイバーボールは、複数の第2ファイバーボールよりも平均体積が小さい、すなわち、そのサイズが相対的に小さい。
【0010】
上記複数の第1ファイバーボールに50質量%以上含まれるポリトリメチレンテレフタラート繊維は、伸縮性、形状安定性及び柔軟性に優れる化学繊維である。相対的に小さい、上記複数の第1ファイバーボールは、相対的に大きい、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすいとともに、上記隙間に入り込んだ複数の第1ファイバーボールが、上記伸縮性、形状安定性及び柔軟性に起因するクッション性を発揮し、上記複数の第1ファイバーボールと、上記複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体が、高い嵩高性(フィルパワー)を有しやすくなり、羽毛に近い、柔らかい風合いを発揮することができる。
【0011】
また、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込むことにより、上記複数の第2ファイバーボールが、所定の距離だけ離間しやすくなり、上記複数の第2ファイバーボール同士が絡み合って凝集することが抑制されやすい。その結果、上記ファイバーボール集合体は、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等への充填がしやすく、作業性に優れる。
以上より、上記ファイバーボール集合体は、柔らかい風合いを有し、作業性に優れる。
【0012】
[態様2]
第1繊維の平均繊維長が、第2繊維の平均繊維長の20~80%である、態様1に記載のファイバーボール集合体。
【0013】
上記ファイバーボール集合体では、第1繊維の平均繊維長と、第2繊維の平均繊維長とが、所定の関係を有する。従って、第1ファイバーボールのサイズが、第2ファイバーボールのサイズよりも小さくなりやすく、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。また、第1ファイバーボールが、第2ファイバーボールと絡みにくくなるため、上記ファイバーボール集合体を、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等に充填しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、作業性に優れる。
【0014】
さらに、ファイバーボール集合体の製造の観点においては、第1繊維の平均繊維長と、第2繊維の平均繊維長とが、所定の関係を有するため、第1ファイバーボールを構成する第1繊維と、第2ファイバーボールを構成する第2繊維を、ボール機に同時に充填し、第1ファイバーボールと、第2ファイバーボールとを、同時に形成しやすくなる。
【0015】
[態様3]
第1繊維の平均繊維長が、10~50mmであり、第2繊維の平均繊維長が、40~100mmである、態様1又は2に記載のファイバーボール集合体。
【0016】
上記ファイバーボール集合体では、第1繊維の平均繊維長と、第2繊維の平均繊維長とが、所定の範囲にある。従って、第1ファイバーボールのサイズが、第2ファイバーボールのサイズよりも小さくなりやすく、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすい小さいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0017】
また、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすい小さいサイズを有しやすくなるため、上記複数の第2ファイバーボールが、所定の距離だけ離間しやすくなり、上記複数の第2ファイバーボール同士が絡み合って凝集することが抑制されやすい。その結果、上記ファイバーボール集合体は、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等への充填がしやすく、作業性に優れる。
【0018】
[態様4]
第1繊維の平均繊維径が、第2繊維の平均繊維径の20~80%である、態様1~3のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【0019】
上記ファイバーボール集合体では、第1繊維の平均繊維径と、第2繊維の平均繊維径とが、所定の関係を有する。従って、第1ファイバーボールが、第2ファイバーボールよりも小さくなりやすく、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすい小さいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。また、第1ファイバーボールが、第2ファイバーボールと絡みにくくなるため、上記ファイバーボール集合体を、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等に充填しやすく、上記ファイバーボール集合体が、作業性に優れる。
【0020】
さらに、ファイバーボール集合体の製造の観点においては、第1繊維の平均繊維径と、第2繊維の平均繊維径とが、所定の関係を有するため、複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維と、複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維とを、ボール機に同時に充填し、第1ファイバーボールと、第2ファイバーボールとを、同時に形成しやすくなる。
【0021】
また、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすい小さいサイズを有しやすくなるため、上記複数の第2ファイバーボールが、所定の距離だけ離間しやすくなり、上記複数の第2ファイバーボール同士が絡み合って凝集することが抑制されやすい。その結果、上記ファイバーボール集合体は、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等への充填がしやすく、上記ファイバーボール集合体が、作業性に優れる。
【0022】
[態様5]
上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの1/30~1/3の平均体積を有する、態様1~4のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【0023】
上記ファイバーボール集合体では、上記複数の第1ファイバーボールの平均体積と、上記複数の第2ファイバーボールの平均体積とが、所定の関係を有する。従って、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0024】
また、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすくなるため、上記複数の第2ファイバーボールが、所定の距離だけ離間しやすくなり、上記複数の第2ファイバーボール同士が絡み合って凝集することが抑制されやすい。その結果、上記ファイバーボール集合体は、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等への充填がしやすく、上記ファイバーボール集合体が、作業性に優れる。
【0025】
[態様6]
上記複数の第1ファイバーボールが、0.01(cm3/個)以上且つ0.50(cm3/個)未満の平均体積を有し、そして上記複数の第2ファイバーボールが、0.50(cm3/個)以上且つ2.00(cm3/個)以下の平均体積を有する、態様1~5のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【0026】
上記ファイバーボール集合体では、上記複数の第1ファイバーボールの平均体積と、上記複数の第2ファイバーボールの平均体積とが、所定の範囲にある。従って、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有する。
【0027】
また、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすくなるため、上記複数の第2ファイバーボールが、所定の距離だけ離間しやすくなり、上記複数の第2ファイバーボール同士が絡み合って凝集することが抑制されやすい。その結果、上記ファイバーボール集合体は、自動ダウン充填機を用いて、衣類、寝装品等への充填がしやすく、上記ファイバーボール集合体が、作業性に優れる。
【0028】
[態様7]
上記複数の第1ファイバーボールの平均体積:MV1(cm3/個)が、次の式:
MV1=V1/n1
[V1(cm3/g)は、上記複数の第1ファイバーボールの嵩高性(cm3/g)であり、n1(個/g)は、上記複数の第1ファイバーボール1g当たりの個数である]
により表され、
上記複数の第2ファイバーボールの平均体積:MV2(cm3/個)が、次の式:
MV2=V2/n2
[V2(cm3/g)は、上記複数の第2ファイバーボールの嵩高性(cm3/g)であり、n1(個/g)は、上記複数の第2ファイバーボール1g当たりの個数である]
により表される、
態様1~6のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
上記ファイバーボール集合体は、柔らかい風合いと、作業性とに優れる。
【0029】
[態様8]
上記ファイバーボール集合体が、上記複数の第1ファイバーボールと、上記複数の第2ファイバーボールとを、それらの計100質量部に基づいて、20~60質量部及び80~40質量部の比率で含む、態様1~7のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【0030】
上記ファイバーボール集合体は、上記複数の第1ファイバーボールと、上記複数の第2ファイバーボールとを、所定の比率で含むため、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いと、作業性とに優れる。
【0031】
[態様9]
上記ファイバーボール集合体が、100~400(cm3/g)の嵩高性を有する、態様1~8のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
上記ファイバーボール集合体は、所定の嵩高性を有し、柔らかい風合いを有する。
【0032】
[態様10]
上記複数の第2ファイバーボールが、第2繊維として、ポリエチレンテレフタラート繊維を50質量%以上含む、態様1~9のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体。
【0033】
上記ファイバーボール集合体では、複数の第2ファイバーボールが、第2繊維として、強度が強く、軽量であるポリエチレンテレフタラート繊維を所定量含む。ポリエチレンテレフタラート繊維は、軽量であり、加工性に優れ、柔らかい風合いを発揮することができるため、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
【0034】
また、ファイバーボール集合体の製造の観点においては、ポリエチレンテレフタラート繊維は、他の繊維と混合しやすい傾向にあるため、第2繊維として、ポリエチレンテレフタラート繊維を選択すると、第1繊維と混合しやすくなり、第1繊維及び第2繊維(ポリエチレンテレフタラート繊維)をボール機に同時に充填し、第1ファイバーボールと、第2ファイバーボールとを、同時に形成しやすくなる。
【0035】
[態様11]
態様1~10のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体を含む衣類。
上記衣類は、柔らかい風合いを有する。
【0036】
[態様12]
態様1~10のいずれか一項に記載のファイバーボール集合体を含む寝装品。
上記寝装品は、柔らかい風合いを有する。
【0037】
[態様13]
複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含むファイバーボール集合体の製造方法であって、
複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維と、複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維とを、同時に、ボール機に充填し、第1繊維から構成される、上記複数の第1ファイバーボールと、第2繊維から構成される、上記複数の第2ファイバーボールとを形成するステップを含み、
第1繊維が、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を、50質量%以上含み、
第2繊維が、ポリトリメチレンテレフタラート繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、
上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、
第1繊維が、第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有する、
ことを特徴とする、上記製造方法。
【0038】
上記製造方法は、繊維構成と、平均体積とが異なる2種のファイバーボール(複数の第1ファイバーボール及び複数の第2ファイバーボール)を同時に形成することができるので、製造効率に優れる。また、上記方法により製造されたファイバーボール集合体は、柔らかい風合いを有し、作業性に優れる。
【0039】
本開示のファイバーボール集合体について、以下、詳細に説明する。
本開示のファイバーボール集合体は、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを含む。
なお、本明細書では、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを合わせて、単に、「ファイバーボール」と称する場合がある。
【0040】
上記複数の第1ファイバーボールは、上記複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維として、ポリトリメチレンテレフタラート繊維(以下、「PTT繊維」と称する場合がある)を、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは95質量%以上含む。それにより、複数の第1ファイバーボールが、伸縮性、形状安定性及び柔軟性に優れやすくなり、ひいては、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
なお、第1繊維として、PTT繊維の上限は、100質量%である。
【0041】
PTT繊維は、テレフタル酸骨格及び1,3-プロパンジオール骨格を、それぞれ、好ましくは25モル%以上及び25モル%以上、より好ましくは35モル%以上及び35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上及び40モル%以上、そしてさらにいっそう好ましくは45モル%以上及び45モル%以上含む。それにより、複数の第1ファイバーボールが、伸縮性、形状安定性及び柔軟性に優れやすくなり、ひいては、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。なお、PTT繊維における、テレフタル酸骨格及び1,3-プロパンジオール骨格の上限は、それぞれ、50モル%及び50モル%である。
【0042】
PTT繊維は、その他の多価カルボン酸骨格及び多価アルコール骨格を有することができる。
上記多価カルボン酸骨格としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸骨格(例えば、シュウ酸骨格、アジピン酸骨格等)、脂環族ジカルボン酸骨格(シクロヘキサンジカルボン酸骨格等)、芳香族ジカルボン酸骨格(イソフタル酸骨格、ソジウムスルホイソフタル酸骨格等)が挙げられる。
【0043】
上記多価アルコール骨格としては、例えば、脂肪族グリコール骨格(エチレングリコール骨格、1,2ープロピレングリコール骨格、ブチレングリコール骨格、テトラメチレングリコール骨格等)、脂環族グリコール骨格(シクロヘキサングリコール骨格等)等が挙げられる。
上記多価カルボン酸骨格及び多価アルコール骨格は、複数の第1ファイバーボールが、伸縮性、形状安定性及び柔軟性に優れやすくなる観点から、それぞれ、2価カルボン酸及び2価アルコールであることが好ましい。
【0044】
上記複数の第1ファイバーボールは、第1繊維として、PTT繊維に加え、その他の繊維、例えば、合成繊維を含むことができる。上記合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタラート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET),ポリブチレンテレフタラート,ポリペンチレンテレフタラート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6若しくはナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;又はそれらの変性物、あるいはそれらの組み合わせ等から形成された繊維が挙げられる。
【0045】
上記複数の第2ファイバーボールは、上記複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維として、PTT繊維を含まないか、又はPTT繊維を50質量%未満、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、そしてさらにいっそう好ましくは10質量%以下含む。それにより、複数の第2ファイバーボールが、柔らかい風合いを有しやすくなり、ひいてはファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0046】
上記複数の第2ファイバーボールは、第2繊維として、ポリエチレンテレフタラート繊維(以下、「PET繊維」と称する場合がある)を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにいっそう好ましくは80質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは90質量%以上含む。それにより、複数の第2ファイバーボールが、ポリエチレンテレフタラート繊維に起因して、柔らかい風合いを有しやすくなり、ひいてはファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
なお、上記複数の第2ファイバーボールにおける、PET繊維の上限は、100質量%である。
上記複数の第2ファイバーボールは、第2繊維として、上記複数の第1ファイバーボールの箇所で説明した、その他の繊維を含むことができる。
【0047】
上記複数の第1ファイバーボールは、第1繊維として、そして上記複数の第2ファイバーボールは、第2繊維として、抗菌性、防臭性、防ダニ性、制電性、吸湿性、透湿性、断熱性、発熱性、蓄熱性、光発熱性、保温性等を有する繊維(機能性繊維)を含むことができる。
上記発熱性を有する繊維としては、遠赤外線放射繊維、例えば、株式会社ファーベストの光電子(登録商標)が挙げられる。
上記蓄熱性を有する繊維としては、ヘリーハンセン(登録商標)のVOLCALOFT(登録商標)が挙げられる。
その他の機能性繊維は、周知であることから説明を省略する。
【0048】
上記複数の第1ファイバーボールは、上記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、そして上記複数の第2ファイバーボールの、好ましくは1/30~1/3、より好ましくは1/20~1/6、さらに好ましくは1/15~1/8の平均体積を有する。それにより、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
【0049】
上記複数の第1ファイバーボールは、好ましくは0.01(cm3/個)以上、より好ましくは0.03(cm3/個)以上、さらに好ましくは0.05(cm3/個)以上、さらにいっそう好ましくは0.07(cm3/個)以上、そしてさらにいっそう好ましくは0.08(cm3/個)以上の平均体積を有する。また、上記複数の第1ファイバーボールは、好ましくは0.50(cm3/個)未満、より好ましくは0.40(cm3/個)以下、さらに好ましくは0.30(cm3/個)以下、さらにいっそう好ましくは0.20(cm3/個)以下、そしてさらにいっそう好ましくは0.15(cm3/個)以下の平均体積を有する。それにより、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
【0050】
上記複数の第2ファイバーボールは、好ましくは0.50(cm3/個)以上、より好ましくは0.70(cm3/個)以上、さらに好ましくは0.80(cm3/個)以上、さらにいっそう好ましくは0.90(cm3/個)以上、そしてさらにいっそう好ましくは1.00(cm3/個)以上の平均体積を有する。また、上記複数の第2ファイバーボールは、好ましくは2.00(cm3/個)以下、より好ましくは1.80(cm3/個)以下、さらに好ましくは1.70(cm3/個)以下、さらにいっそう好ましくは1.60(cm3/個)以下、そしてさらにいっそう好ましくは1.50(cm3/個)以下の平均体積を有する。それにより、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
【0051】
本明細書では、複数の第1ファイバーボールの平均体積と、複数の第2ファイバーボールの平均体積との大小は、目視で判断することができる。
本明細書では、ファイバーボールの平均体積の値は、以下の通り測定される。
(1)JIS L 1903:2017「羽毛試験方法」の「8.3.2 体積測定による方法」に従って、嵩高性:V(cm3/g)を算出する。
(2)嵩高性(cm3/g)を測定したファイバーボール1g当たりの個数:n(個/g)を算出する。
(3)平均体積:MV(cm3/個)を、以下の式:
MV=V/n
により算出する。
【0052】
複数の第1ファイバーボールは、本開示のファイバーボール集合体の用途に応じて、任意の嵩高性を有することができ、好ましくは70~200(cm3/g)、より好ましくは90~180(cm3/g)、さらに好ましくは110~160(cm3/g)、そしてさらにいっそう好ましくは120~150(cm3/g)の嵩高性を有する。それにより、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。なお、嵩高性の測定方法は、上述の通りである。
【0053】
複数の第2ファイバーボールは、本開示のファイバーボール集合体の用途に応じて、任意の嵩高性を有することができ、好ましくは100~240(cm3/g)、より好ましくは120~220(cm3/g)、さらに好ましくは140~200(cm3/g)、そしてさらにいっそう好ましくは150~190(cm3/g)の嵩高性を有する。それにより、ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
【0054】
本開示のファイバーボール集合体は、その用途に応じて、任意の嵩高性を有することができ、好ましくは100~400(cm3/g)、より好ましくは130~350(cm3/g)、さらに好ましくは160~300(cm3/g)の嵩高性を有する。それにより、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0055】
第1繊維は、第2繊維よりも、短い平均繊維長を有する。第1繊維は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、さらに好ましくは20mm以上、そしてさらにいっそう好ましくは25mm以上の平均繊維長を有する。また、第1繊維は、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下、さらに好ましくは40mm以下、そしてさらにいっそう好ましくは35mm以下の平均繊維長を有する。それにより、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0056】
第2繊維は、第1繊維よりも、長い平均繊維長を有する。第2繊維は、好ましくは40mm以上、より好ましくは50mm以上、さらに好ましくは55mm以上、そしてさらにいっそう好ましくは60mm以上の平均繊維長を有する。また、第2繊維は、好ましくは100mm以下、より好ましくは90mm以下、さらに好ましくは80mm以下、そしてさらにいっそう好ましくは70mm以下の平均繊維長を有する。それにより、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0057】
第1繊維の平均繊維長は、第2繊維の平均繊維長の、好ましくは100%未満、より好ましくは20~80%、さらに好ましくは25~70%、そしてさらにいっそう好ましくは30~60%である。それにより、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0058】
本明細書では、ファイバーボールの平均繊維長は、以下の通り測定される。
(1)ファイバーボールから、任意に100本の繊維を抜取り、当該100本の繊維の繊維長を、JIS L 1015:2010の附属書Aの「A7.1 繊維長の測定」の「A7.1.1 A法(標準法)目盛りが付いたガラス板上で個々の繊維の長さを測定する方法」に従って測定する。
(2)100本の繊維の繊維長の単純平均を、平均繊維長として採用する。
【0059】
第1繊維は、第2繊維よりも、小さな平均繊維径を有する。また、第1繊維の平均繊維径は、第2繊維の平均繊維径の好ましくは100%未満、より好ましくは20~80%、さらに好ましくは25~70%、そしてさらにいっそう好ましくは30~60%である。それにより、上記複数の第1ファイバーボールが、上記複数の第2ファイバーボールの隙間に入り込みやすいサイズを有しやすくなり、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有しやすくなる。
【0060】
上記平均繊維径の大小は、ファイバーボールが、単一の繊維径を有する場合には、顕微鏡等を用いて、目視で判断することができる。
平均繊維径を測定すべき場合、例えば、ファイバーボールが、異なる繊維径を有する複数の繊維種を含む場合には、平均繊維径は、ファイバーボールを電子顕微鏡により撮影し、撮影した画像から無作為に100本のセルロースナノファイバーの直径を測定し、相加平均することにより測定される。
【0061】
上記ファイバーボール集合体は、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを、それらの計100質量部に基づいて、好ましくは20~60質量部及び80~40質量部、より好ましくは25~55質量部及び75~45質量部、さらに好ましくは30~50質量部及び70~50質量部、そしてさらにいっそう好ましくは35~45質量部及び65~55質量部の比率で含む。それにより、上記ファイバーボール集合体が、柔らかい風合いを有し、作業性に優れやすくなる。
【0062】
本開示のファイバーボール集合体は、特に制限なく、例えば、複数の第1ファイバーボールを、公知のボール機を用いて製造し、複数の第2ファイバーボールを、公知のボール機を用いて製造した後、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを混合することにより形成することができる。
【0063】
また、本開示のファイバーボール集合体は、以下のステップを用いて製造することができる。
・複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維と、複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維とを、同時に、ボール機に充填し、第1繊維から構成される、上記複数の第1ファイバーボールと、第2繊維から構成される、上記複数の第2ファイバーボールとを形成するステップ(以下、「形成ステップ」と称する場合がある)
【0064】
なお、第1繊維は、PTT繊維を、50質量%以上含み、第2繊維は、PTT繊維を含まないか、又は50質量%未満含み、そして上記複数の第1ファイバーボールは、上記複数の第2ファイバーボールよりも小さな平均体積を有し、第1繊維は、第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有する。
【0065】
上記形成ステップは、例えば、当技術分野で公知のボール機、例えば、HAI JIN MACHINERY社、Changsh Hitec Machinery社等のものを用いて実施することができる。
【0066】
上記形成ステップは、例えば、特開2018-178304号公報に記載の方法に一部準拠し、例えば、複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維と、複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維とを、フィードラチス上に積層して積層物を形成し、当該積層物を、ボール機に送り、複数の第1ファイバーボールと、複数の第2ファイバーボールとを形成することができる。
【0067】
複数の第1ファイバーボールを構成する第1繊維は、複数の第2ファイバーボールを構成する第2繊維よりも、短い平均繊維長と、小さな平均繊維径とを有するため、第1繊維は、第2繊維と混合しにくく、第1繊維から構成される、複数の第1ファイバーボールと、第2繊維から構成される複数の第2ファイバーボールとが形成される。
【0068】
第1繊維は、本明細書に列挙される繊維、具体的には、PTT繊維と、その他の繊維とを含むことができる。その場合には、その他の繊維は、PTT繊維の好ましくは80~120%、そしてより好ましくは90~110%の平均繊維長と、PTT繊維の好ましくは80~120%、そしてより好ましくは90~110%の平均繊維径を有することが好ましい。それにより、複数の第1ファイバーボール及び複数の第2ファイバーボールを同時に形成しやすくなる。
【0069】
第2繊維は、本明細書に列挙される繊維、例えば、PET繊維と、その他の繊維とを含むことができる。その場合には、その他の繊維は、PET繊維の好ましくは80~120%、そしてより好ましくは90~110%の平均繊維長と、PET繊維の好ましくは80~120%、そしてより好ましくは90~110%の平均繊維径を有することが好ましい。それにより、複数の第1ファイバーボール及び複数の第2ファイバーボールを同時に形成しやすくなる。
【0070】
本開示のファイバーボール集合体は、羽毛の代替品として、羽毛が用いられる分野に、特に制限なく用いられることができ、例えば、衣類(例えば、衣服、靴等)、バッグ、寝装品等が挙げられる。
上記衣服としては、例えば、防寒具(例えば、ダウンジャケット、コート、マフラー、パンツ、帽子、手袋)、スポーツウェア(例えば、スキーウェア、スノーボードウェア)等が挙げられる。
上記寝装品としては、布団、まくら、寝袋、膝掛け等が挙げられる。
【実施例0071】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1]
複数の第1ファイバーボールを形成する第1繊維と、複数の第2ファイバーボールを形成する第2繊維とを、以下の通り準備した。
<第1繊維>
組成 :ポリトリメチレンテレフタラート
(テレフタル酸骨格及び1,3-プロパンジオール骨格を、それぞれ、50モル%及び50モル%含む)
繊維長:30mm
繊度 :3.3dtex
【0072】
<第2繊維>
組成 :ポリエチレンテレフタラート
(テレフタル酸骨格及びエチレングリコール骨格を、それぞれ、50モル%及び50モル%含む)
繊維長:64mm
繊度 :7.0dtex
【0073】
HAI JIN MACHINERY社のボール機に、第1繊維及び第2繊維の積層物を投入し、複数の第1ファイバーボールNo.1と、複数の第2ファイバーボールNo.1とを含むファイバーボール集合体No.1を形成した。
ファイバーボール集合体No.1の嵩高性を、表1に示す。
【0074】
ファイバーボール集合体No.1から、複数の第1ファイバーボールNo.1と、複数の第2ファイバーボールNo.1とをより分け、それらの嵩高性及び平均体積を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
【0076】
自動ダウン充填機を用いて、ファイバーボール集合体No.1を、一般的な形状のジャケットに充填し、複数のジャケットを形成したところ、ファイバーボール集合体No.1のつまりは発生しなかった。
また、形成されたジャケットは、その風合いが、ダウンを充填したものと同様であった。