(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083396
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】身体への腫瘍治療電場の長手方向伝達用のアレイ
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20230608BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/04
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065747
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2021186354の分割
【原出願日】2017-06-29
(31)【優先権主張番号】62/356,986
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゼーヴ・ボンゾン
(72)【発明者】
【氏名】エイロン・キルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】ハダス・ハーシュコヴィッチ
(57)【要約】
【課題】対象者の身体の長手方向軸を有する部分(例えば、胴体、頭部、および腕)の腫瘍は、標的領域の長手方向の前後のそれぞれの位置に第1および第2の電極セットを取り付けることによって、腫瘍治療電場を使って治療することができる。
【解決手段】これらの電極セットの間に100~500kHzの周波数を有するAC電圧が印加される。これは、標的領域を長手方向に通る電場線を有するAC電場を印加する。標的領域の少なくとも一部において電場強度は少なくとも1V/cmである。いくつかの実施形態では、この手法は、異なる方向を有するAC電場を標的領域に印加するために、標的領域を通して横方向(例えば、前方から後方および/または横から横)にAC電場を印加することと組み合わされる。
【選択図】
図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体内の標的領域を腫瘍治療電場で治療する際に使用するための装置であって、長手方向軸を有する対象者の身体の一部分に前記標的領域が配置される装置において、
並列、直列、または並列/直列の組み合わせで一緒に配線された、第1の複数の電極と、
前記第1の複数の電極を対象者の身体に対して保持するように構成された第1の帯状基板であって、前記第1の複数の電極が、前記長手方向軸の長手方向において、前記標的領域よりも手前の位置で対象者の身体の第1の部分を取り囲む、第1の帯状基板と、
並列、直列、または並列/直列の組み合わせで一緒に配線された、第2の複数の電極と、
前記第2の複数の電極を対象者の身体に対して保持するように構成された第2の帯状基板であって、前記第2の複数の電極が、前記長手方向における前記標的領域の後ろの位置で対象者の身体の第2の部分を取り囲む、第2の帯状基板と、
を含んでなることを特徴とする装置。
【請求項2】
(a)前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間に100~500kHzの周波数を有するAC電圧をさらに含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
(a)前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間に125~250kHzの周波数を有するAC電圧をさらに含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の複数の電極はすべて一緒に並列に配線され、前記第2の複数の電極はすべて一緒に並列に配線されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の帯状基板および第2の帯状基板のそれぞれが可撓性である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の帯状基板および第2の帯状基板のそれぞれは、対象者の身体の胴周りに適合するように成形および寸法決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の帯状基板が、対象者の身体における胴周りに適合するように成形および寸法決めされ、前記第2の帯状基板が、対象者の身体における首周りに適合するように成形および寸法決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の帯状基板が、対象者の身体における首周りに適合するように成形および寸法決めされ、前記第2の帯状基板が、対象者の身体における頭部の周りに適合するように成形および寸法決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の帯状基板が、対象者の身体における首周りに適合するように成形および寸法決めされ、前記第2の帯状基板が、対象者の身体における頭部に適合するように成形および寸法決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の帯状基板および第2の帯状基板のそれぞれは、対象者の身体における手足の周りに適合するように成形および寸法決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
並列、直列、または並列/直列の組み合わせで一緒に配線された、第3の複数の電極と、
前記長手方向における前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間の位置で、前記標的領域に対して対象者の身体の第1の側に前記第3の複数の電極を保持するように構成された第3の基板と、
並列、直列、または並列/直列の組み合わせで一緒に配線された、第4の複数の電極と、
前記長手方向における前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間の位置で、前記標的領域に対して前記第1の側の反対側である、対象者の身体の第2の側に前記第4の複数の電極を保持するように構成された第4の基板と、
をさらに含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
第5の複数の電極と、
前記長手方向における前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間の位置で、前記標的領域に対して対象者の身体の第3の側に前記第5の複数の電極を保持するように構成された第5の基板と、
第6の複数の電極と、
前記長手方向における前記第1の複数の電極と前記第2の複数の電極との間の位置で、前記標的領域に対して前記第3の側の反対側である、対象者の身体の第4の側に前記第6の複数の電極を保持するように構成された第6の基板と、
をさらに含んでいる、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願との相互参照」
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2016年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/356,986号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場(TTFields)は、細胞分裂を中断することにより硬化腫瘍を標的とする中間周波数範囲(例えば、125~250kHz、または場合によっては100~500kHz)の低強度交流電場(例えば、1~3V/cm)である。腫瘍治療電場は、通常、2組の電極アレイを介して伝達される。これらの組の各々を構成する電極アレイは、治療されている身体部分の両側に配置されている。
図1Aおよび
図1Bは、それぞれ対象者の頭および胸部における電極アレイの従来の配置を示す。これらの例のそれぞれにおいて、電極アレイの第1の組は、前方位置16/19に1つの電極アレイと後方位置(図示しないが、対応する前方位置のすぐ後ろに位置する)に第2の電極アレイを含む。AC電圧が前方電極アレイと後方電極アレイとの間に印加されると、結果として生じる電場の力線は、概して、対象物の正面と背面との間を延びるであろう。
【0003】
図1Aの例および
図1Bの例のそれぞれは、右側位置14/17の第1の電極アレイと左側位置15/18の第2の電極アレイとを含む第2の組の電極アレイを含む。AC電圧が右側のアレイと左側のアレイとの間に印加されると、結果として生じる電場の力線は、概して、対象物の左側と右側との間を延びることになる。交流電圧は、(i)前後(A/P)電極アレイと(ii)右左(R/L)電極アレイとの間で交互の順序で印加され、それによって、電場の方向が上記の2つの方向の間で(例えば、1秒毎に)繰り返し切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,715,921号明細書
【特許文献2】米国特許第8,715,203号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
A/PおよびR/L電極アレイは、対象者の身体の多くの部分に2つのほぼ垂直な方向に電場を印加するのに非常に適しているが、A/PおよびR/L電極の使用が困難または不可能であり得るいくつかの状況が想定され得る。例としては、対象が電極アレイを配置するために一般的に使用される部位の1つに痛みまたは潰瘍を有する、並びに、A/PおよびR/L電極の両方を使用することが不快であるおよび/または実用的ではない(例えば、対象者の首、肘、膝など)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、腫瘍治療電場を用いて対象者の身体内の標的領域を治療するための第1の装置を対象とし、標的領域は、長手方向軸を有する対象者の身体の一部に位置する。この装置は、1つ以上の静電容量結合電極の第1のセットと、1つ以上の電極の第1のセットを対象者の身体に対して保持するように構成された第1の基板とを含んでなり、1つ以上の電極の第1のセットが、標的領域の長手方向の前の位置で、対象者の身体の第1の部分を囲む。この装置はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第2のセットと、1つ以上の電極の第2のセットを対象者の身体に対して保持するように構成された第2の基板とを含んでなり、1つ以上の電極の第2のセットが、標的領域の長手方向の次の位置で、対象者の身体の第2の部分を囲む。この装置はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第3のセットと、第3の基板とを含んでなり、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、1つ以上の電極の第3のセットを対象者の身体に対して標的領域の第1の側に保持するように構成されている。この装置はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第4のセットと、第4の基板とを含んでなり、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、1つ以上の電極の第4のセットを対象者の身体に対して標的領域の第1の側の反対の第2の側に保持するように構成されている。
【0007】
第1の装置のいくつかの実施形態は、次から次へと繰り返し交互に、(a)1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間に100~500kHzの周波数を有するAC電圧と、(b)1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットのとの間に100~500kHzの周波数を有するAC電圧と、を発生するように構成されたAC電圧発生器をさらに含んでなる。
【0008】
第1の装置のいくつかの実施形態は、次から次へと繰り返し交互に、(a)1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間に125~250kHzの周波数を有するAC電圧と、(b)1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットのとの間に125~250kHzの周波数を有するAC電圧と、を発生するように構成されたAC電圧発生器をさらに含んでなる。
【0009】
第1の装置のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極の第1のセットは第1の複数フラット電極要素を含み、1つ以上の電極の第2のセットは第2の複数フラット電極要素を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1の基板および第2の基板のそれぞれは可撓性である。
【0010】
第1の装置のいくつかの実施形態では、第1および第2の基板のそれぞれは、対象者の胴体の周りにフィットするような形状および寸法である。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1の基板は対象者の胴体の周りにフィットするような形状および寸法で、第2の基板は対象者の首の周りにフィットするような形状および寸法である。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1の基板は対象者の首の周りにフィットするような形状および寸法で、第2の基板は対象者の頭の周りにフィットするような形状および寸法である。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1の基板は対象者の首の周りにフィットするような形状および寸法で、第2の基板は対象者の頭にフィットするような形状および寸法である。第1の装置のいくつかの実施形態では、第1および第2の基板のそれぞれは対象者のリムの周りにフィットするような形状および寸法である。
【0011】
第1の装置のいくつかの実施形態は、1つ以上の静電容量結合電極の第5のセットと、第5の基板とを含んでなり、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、1つ以上の電極の第5のセットを対象者の身体に対して標的領域の第3の側に保持するように構成されている。これらの実施形態はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第6のセットと、第6の基板とを含んでなり、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、1つ以上の電極の第6のセットを対象者の身体に対して標的領域の第3の側の反対の第4の側に保持するように構成されている。
【0012】
本発明の別の態様は、腫瘍治療電場を用いて対象者の身体内の標的領域を治療する第1の方法を対象とし、標的領域は、長手方向軸を有する対象者の身体の一部に位置する。この方法は、標的領域の長手方向の前の位置で対象者の身体の第1の部分を囲むように、1つ以上の電極の第1のセットを対象者の身体に取り付けることを含み、標的領域の長手方向に続く位置で対象者の身体の第2の部分を囲むように、1つ以上の電極の第2のセットを対象者の身体に取り付けることを含む。この方法はまた、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間に100~500kHzの周波数の第1のAC電圧を印加することを含み、標的領域を長手方向に通過する電場線を有する第1のAC電場を印加し、第1のAC電場は、標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。
【0013】
第1の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極の第1および第2のセットのそれぞれは対象者の身体に静電容量結合されている。
【0014】
第1の方法のいくつかの実施形態は、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、標的領域の第1の側に、対象者の身体に1つ以上の電極の第3のセットを取り付けることを含み、さらに、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、標的領域の第1の側の反対側である第2の側に、対象者の身体に1つ以上の電極の第4のセットを取り付けることをさらに含む。これらの方法はまた、1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットとの間に100~500kHzの周波数の第1のAC電圧を印加することを含み、標的領域を通過する第2のAC電場を印加し、第2のAC電場は、標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。これらの実施形態のいくつかでは、1つ以上の電極の第1、第2、第3、および第4のセットのそれぞれは、対象者の身体に静電容量結合されている。これらの実施形態のいくつかでは、第1および第2のAC電圧のそれぞれは、125~250kHzの周波数を有する。これらの実施形態のいくつかでは、第1のAC電圧を印加する工程および第2のAC電圧を印加する工程は、交互の順序で少なくとも10,000回繰り返される。
【0015】
第1の方法のいくつかの実施形態は、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、標的領域の第3の側に、対象者の身体に1つ以上の電極の第5のセットを取り付けることを含み、さらに、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間の長手方向の位置で、標的領域の第3の側の反対側である第4の側に、対象者の身体に1つ以上の電極の第6のセットを取り付けることをさらに含む。これらの方法はまた、1つ以上の電極の第5のセットと1つ以上の電極の第6のセットとの間に100~500kHzの周波数の第3のAC電圧を印加することを含み、標的領域を長手方向に通過する力線を有する第3のAC電場を印加し、第3のAC電場は、標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。これらの実施形態のいくつかでは、第1のAC電圧を印加するステップ、第2のAC電圧を印加するステップ、および第3のAC電圧を印加する工程は、交互の順序で少なくとも10,000回繰り返される。
【0016】
第1の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極の第1のセットは対象者の身体の第1の部分の周りに分布する第1の複数のフラット電極要素を含み、1つ以上の電極の第2のセットは対象者の身体の第2の部分の周りに分布する第2の複数のフラット電極要素を含む。
【0017】
第1の方法のいくつかの実施形態では、標的領域は対象者の胴体内に配置され、1つ以上の電極の第1のセットは標的領域の下の対象胴体の周りに配置され、1つ以上の電極の第2のセットは標的領域の上の対象胴体の周りに配置される。
【0018】
第1の方法のいくつかの実施形態では、標的領域は対象者の胴体内に配置され、1つ以上の電極の第1のセットは標的領域の下の対象胴体の周りに配置され、1つ以上の電極の第2のセットは対象者の首の周りに配置される。
【0019】
第1の方法のいくつかの実施形態では、標的領域は対象者の頭部中に配置され、1つ以上の電極の第1のセットは対象者の首の周りに配置され、1つ以上の電極の第2のセットは対象者の頭部の周りに配置される。
【0020】
第1の方法のいくつかの実施形態では、標的領域は対象者のリムに位置する。これらの実施形態では、長手方向軸はリムを通って近位から遠位方向に延び、1つ以上の電極の第1のセットは、標的領域に近い位置でリムの周りに配置され、1つ以上の電極の第2のセットは、標的領域に遠い位置でリムの周りに配置される。
【0021】
本発明の別の態様は、腫瘍治療電場を用いて対象者の身体のリムにおける標的領域を治療するための第2の装置に関する。この装置は、1つ以上の静電容量結合電極の第1のセットと、1つ以上の電極の第1のセットが標的領域に近い位置でリムの第1の側を部分的に取り囲むように、対象者の身体に対して、1つ以上の電極の第1のセットを保持するように構成される第1の基板とを含んでなる。この装置はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第2のセットと、1つ以上の電極の第2のセットが標的領域に遠い位置でリムの第2の側を部分的に取り囲むように、対象者の身体に対して、1つ以上の電極の第2のセットを保持するように構成される第2の基板とを含んでなる。リムの第2の側はリムの第1の側と反対である。この装置はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第3のセットと、1つ以上の電極の第3のセットが標的領域に近い位置でリムの第2の側を部分的に取り囲むように、対象者の身体に対して、1つ以上の電極の第3のセットを保持するように構成される第3の基板とを含んでなる。この装置はまた、1つ以上の静電容量結合電極の第4のセットと、1つ以上の電極の第4のセットが標的領域に遠い位置でリムの第1の側を部分的に取り囲むように、対象者の身体に対して、1つ以上の電極の第4のセットを保持するように構成される第4の基板とを含んでなる。
【0022】
第2の装置のいくつかの実施形態は、次から次へと繰り返し交互に、(a)1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第1のAC電圧と、(b)1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットのとの間に100~500kHzの周波数を有する第2のAC電圧と、を発生するように構成されたAC電圧発生器をさらに含んでなる。これらの実施形態のいくつかでは、第1および第2のAC電圧のそれぞれは、125~250kHzの周波数を有する。
【0023】
第2の装置のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極の第1、第2、第3、および第4のセットのそれぞれは、複数のフラット電極要素を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1、第2、第3、および第4の基板のそれぞれは可撓性である。
【0024】
第2の装置のいくつかの実施形態では、リムは腕で、第1および第3の基板のそれぞれは、肘に対して近位側で腕にフィットするような形状および寸法で、第2および第4の基板のそれぞれは、肘に対して遠位側で腕にフィットするような形状および寸法である。第2の装置のいくつかの実施形態では、リムは脚で、第1および第3の基板のそれぞれは、膝に対して近位側で脚にフィットするような形状および寸法で、第2および第4の基板のそれぞれは、膝に対して遠位側で脚にフィットするような形状および寸法である。
【0025】
本発明の別の態様は、腫瘍治療電場を用いて対象者の身体のリムの中の標的領域を治療する第2の方法に関する。この方法は、標的領域に近い位置でリムの第1の側を部分的に囲むように1つ以上の電極の第1のセットを取り付けることと、標的領域に遠い位置でリムの第2の側を部分的に囲むように1つ以上の電極の第2のセットを取り付けることとを含み、リムの第2の側はリムの第1の側の反対側である。この方法はまた、標的領域に近い位置でリムの第2の側を部分的に囲むように1つ以上の電極の第3のセットを取り付けることと、標的領域に遠い位置でリムの第1の側を部分的に囲むように1つ以上の電極の第4のセットを取り付けることとを含む。この方法はまた、1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間に100~500kHzの周波数の第1のAC電圧を印加するステップであって、標的領域を通して第1のAC電場を印加し、第1のAC電場が、標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有するように印加するステップを含み、さらに、1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットとの間に100~500kHzの周波数の第2のAC電圧を印加するステップであって、標的領域を通して第2のAC電場を印加し、第2のAC電場が、標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有するように印加するステップを含む。この方法では、第1のAC電圧を印加するステップと第2のAC電圧を印加するステップとは、次から次へと繰り返し交互に実行される。
【0026】
第2の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極の第1、第2、第3、および第4のセットのそれぞれは、対象者の身体に静電容量結合されている。これらの実施形態のいくつかでは、第1および第2のAC電圧のそれぞれは、125~250kHzの周波数を有する。
【0027】
第2の方法のいくつかの実施形態では、第1のAC電圧を印加するステップおよび第2のAC電圧を印加するステップは、交互の順序で少なくとも10,000回繰り返される。
【0028】
第2の方法のいくつかの実施形態では、リムは腕で、1つ以上の電極の第1のセットおよび1つ以上の電極の第3のセットは、肘に対して近位に配置され、1つ以上の電極の第2のセットおよび1つ以上の電極の第4のセットは、肘に対して遠位に配置される。第2の方法のいくつかの実施形態では、リムは脚で、1つ以上の電極の第1のセットおよび1つ以上の電極の第3のセットは、膝に対して近位に配置され、1つ以上の電極の第2のセットおよび1つ以上の電極の第4のセットは、膝に対して遠位に配置される。
【0029】
第2の方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極の第1、第2、第3、および第4のセットのそれぞれは、複数のフラット電極要素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】対象者の頭部および胸部における電極アレイの従来の配置を示す。
【
図1B】対象者の頭部および胸部における電極アレイの従来の配置を示す。
【
図2】円筒形本体内に長手方向の電場を発生させるために、電極の長手方向ペアがどのように使われるかを示す概略図である。
【
図3A】胸部または腹部に電場を伝達するための電極アレイの長手方向ペアの配置を示す。
【
図3B】腹部に電場を伝達するための電極アレイの長手方向のペアの配置を示す。
【
図3C】腕の一部に電場を伝達するための長手方向ペアの電極アレイの配置を示す。
【
図3D】脚の一部に電場を伝達するための長手方向ペアの電極アレイの配置を示す。
【
図3E】腹側脳、脳幹、および首に電場を伝達するための長手方向ペアの電極アレイの配置を示す。
【
図3F】腹側脳、脳幹、および首に電場を伝達するための別の実施形態を示す。
【
図4A】胸部または腹部に電場を伝達するための一対の前後方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す正面図である。
【
図4B】胸部または腹部に電場を伝達するための一対の前後方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す背面図である。
【
図4C】胸部または腹部に電場を伝達するための一対の左右方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す正面図である。
【
図4D】胸部または腹部に電場を伝達するための一対の左右方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す背面図である。
【
図4E】胸部に電場を伝達するための、対角線上に配置された一対の緯度方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す正面図である。
【
図4F】胸部に電場を伝達するための、対角線上に配置された一対の緯度方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す背面図である。
【
図4G】乳頭下脳に電場を伝達するための一対の左右方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す背面図である。
【
図4H】
図4Gと同じ解剖学的位置で使用するために、横方向アレイと長手方向アレイとを組み合わせる別の実施形態の背面図である。
【
図5A】胸部に電場を伝達するために、一対の前後方向アレイと一対の左右方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアをそれぞれ示す正面図である。
【
図5B】胸部に電場を伝達するために、一対の前後方向アレイと一対の左右方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアをそれぞれ示す背面図である。
【
図5C】胸部に電場を伝達するために、対角線上に配置された2組の緯度方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す正面図である。
【
図5D】胸部に電場を伝達するために、対角線上に配置された2組の緯度方向アレイと組み合わせられた長手方向アレイのペアを示す背面図である。
【
図6A】電極の帯状またはベルト状のセットを対象者の身体に固定するのに適した第1の構成を示す。
【
図6B】電極のパネル状のセットを対象者の身体に固定するのに適した第2の構成を示す。
【
図7A】一対の長手方向アレイの一例についての複数の電極要素の配置の正面図を示す。
【
図7B】一対の長手方向アレイの一例についての複数の電極要素の配置の背面図を示す。
【
図7C】一対の前後方向アレイの一例についての複数の電極要素の配置の正面図を示す。
【
図7D】一対の前後方向アレイの一例についての複数の電極要素の配置の背面図を示す。
【
図7E】一対の左右方向アレイの一例についての複数の電極要素の配置の正面図を示す。
【
図7F】一対の左右方向アレイの一例についての複数の電極要素の配置の背面図を示す。
【
図8】有限要素シミュレーションを使用して計算された、
図7A/Bの配置を使用した6つの軸方向スライスについての電場の強度を示す。
【
図9A】
図7A/Bの配置のために、身体および肺のそれぞれを通る長手方向の電場の力線方向を示す。
【
図9B】
図7A/Bの配置のために、身体および肺のそれぞれを通る長手方向の電場の力線方向を示す。
【
図10A】2組の長手方向アレイを使用して膝に電場を伝達することを目的とした実施形態の内側図を示す。
【
図10B】2組の長手方向アレイを使用して膝に電場を伝達することを目的とした実施形態の外側図を示す。
【0031】
様々な実施形態は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明され、図中、類似の参照番号は類似の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に記載される実施形態は、標的領域内に長手方向の電場を生成するように構成された少なくとも一対の電極アレイを含むことによって、A/PおよびR/L電極を使用することの前述した制限を克服する。本明細書で使用されるように、以下のことに留意されたい。(1)身体の頭部および主要部分に関して、長手方向軸は前後方向軸および横方向軸の両方に対して垂直である。(2)脚または腕に関して、長手方向軸は近遠位方向軸である。(3)「長手方向電場」という用語は、長手方向軸とほぼ同じ方向に延びる電場を指し、長手方向軸と正確に平行である電場に限定されない。(4)長手方向電場を生成するように設計された電極アレイは「長手方向アレイ」と呼ばれる。(5)一般に対象者の左右の間、或いは、対象者の前後の間を延びる電場を発生させるように設計された従来の電極アレイは「緯度方向アレイ」と呼ばれる。
【0033】
長手方向電場を生成するために、対象者の身体の周りにフィットする一対のリング状または円弧状の電極アレイが、一方のアレイが他方の上に配置された状態で使用され得る。いくつかの実施形態では、それらが配置される身体部分を完全に囲むリングとしてアレイは設計されている。他の実施形態では、それらが配置されている身体部分を部分的に囲む円弧(例えば、半円)としてアレイは設計されている。上部電極アレイと下部電極アレイとの間に電圧が印加されると、それらの間に生じる電場は長手方向に配向される。
【0034】
図2は、どのようにして長手方向電場が身体内で生成され得るかについての一次推定を示す概略図である。この例では、円筒形の両端の細いリング状の電極リング21、22の間に交流電圧25が印加されたときの固体の導電性円筒形本体20内の電場を考察する。電場線26によって示されるように、シリンダ20内の電場は、シリンダに沿って長手方向にほぼ均一に向けられ、またシリンダ20の内部に貫通する。いくつかの実施形態では、腫瘍治療電場を伝達するための一対の電極アレイは、一方のアレイが他方の上に配置された状態で、対象者の身体の周りにフィットする2つのリング状のアレイとして設計され得る。
【0035】
長手方向電場が細胞分裂の軸と平行である場合に腫瘍治療電場がより効果的であるので、長手方向電場の使用が大きな利点をもたらし得る。結果として、電場が印加される方向の数を増やすことは、治療されている腫瘍(分裂中の細胞の配向性が変わり得る)に対する有効性を高めることができる。特に、長手方向のアレイを使用することで、電場分布と対象者の快適さの両方を最適化できる、身体上のアレイレイアウトのための新しい選択肢が生まれます。
【0036】
図3A~
図3Dは、腫瘍治療電場を人体の異なる部分に伝達するように設計された電極アレイの長手方向ペアの4つの例を示す。これらの実施形態のすべてにおいて、電極アレイのそれぞれは、電極要素がそれぞれの身体部分を完全に囲むように、電極要素を対象者の身体に対して保持するように構成された基板上に取り付けられた1つ以上の電極要素を含む。いくつかの好ましい実施形態では、基板は対象者の身体との適合性を促進するために可撓性である。可撓性基板上に個々の電極要素を取り付けるための適切な手法の一例が、
図6Aおよび
図6Bに関連して以下に説明される。
【0037】
例えば、胸部または腹部に電場を伝達することを意図した
図3Aの実施形態では、第1の電極アレイは、胴体の周りの位置31(例えば、対象者の腰のすぐ上)に配置され、第2の電極アレイは、対象者の首の周りの位置32に配置される。例えば、腹部に電場を伝達することを意図した
図3Bの実施形態では、第1の電極アレイは、胴体の周りの位置33(例えば、対象者の腰のすぐ上)に配置され、第2の電極アレイは、胴体の周りの位置34(例えば、対象者の腹部のトップで)に配置される。例えば、肺に電場を伝達するための代替の実施形態(図示せず)では、第1の電極アレイは、胸部の下に配置され(
図3Bの位置34と同様)、第2の電極アレイは、対象者の首の周りに配置される(
図3Aの位置32と同様)。
【0038】
例えば、腕の一部に電場を伝達することを意図した
図3Cの実施形態では、第1の電極アレイは、標的領域に近接する腕上の位置35に配置され、第2の電極アレイは、標的領域に対して遠位の腕上の位置36に配置される。肘内の標的領域は、これらの位置35、36の位置を調整することによって収容され得る。同様に、例えば、脚部の一部に電場を伝達することを意図した
図3Dの実施形態では、第1の電極アレイは、標的領域に近接する脚上の位置37に配置され、第2の電極アレイは、標的領域に対して遠位の脚上の位置38に配置される。膝内の標的領域は、これらの位置37、38の位置を調整することによって収容され得る。
【0039】
例えば、腫瘍治療電場を脳下垂体脳、脳幹、および首に伝達することを意図した
図3Eの実施形態では、第1の電極アレイは、対象者の首の周りの位置26に配置され、第2の電極アレイは、対象者の頭部の冠(クラウン)に近い位置27に配置される。これらの同じ解剖学的位置に電場を伝達することを意図した代替の実施形態である
図3Fの実施形態では、第1の電極アレイは、対象者の首の周りの位置28に配置され、第2の電極アレイは、対象者の頭上の位置29に配置される。
【0040】
図3A~
図3Eに示す各実施形態は、対象者の身体内の標的領域を腫瘍治療電場で治療する方法を実施するために使用され、この方法は、次のステップによってなる。(1)標的領域の長手方向の前の位置で、対象者の身体の第1の部分を囲むように1つ以上の電極の第1のセットを対象者の身体に取り付けるステップ。(2)標的領域の長手方向に続く位置で、対象者の身体の第2の部分を囲むように1つ以上の電極の第2のセットを対象者の身体に取り付けるステップ。(3)1つ以上の電極の第1のセットと1つ以上の電極の第2のセットとの間に100~500kHzの周波数の第1のAC電圧を印加するステップであって、標的領域を長手方向に通過する電場を有する第1のAC電場を印加し、第1のAC電場が、標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有するように、第1のAC電圧を印加するステップ。いくつかの好ましい実施形態では、1つ以上の電極の第1および第2のセットは、対象者の身体に静電容量結合される。
【0041】
それらが使用される解剖学的位置に応じて、長手方向アレイは、以下の利点のうちの1つ以上をもたらし得る。第1に、長手方向アレイは、横方向アレイよりも高い電場強度で特定の標的領域をカバーすることを可能にし得る。例えば、従来の緯度方向アレイのみを使用して肺腫瘍を治療する場合、対象者の両側のアレイは脇の下の下に配置されなければならない。結果として、肺の上葉における電場強度は比較的低い。対照的に、(
図3Aに示すように)腰の周りおよび首の周りに配置された長手方向アレイは、(
図8および
図9A、
図9Bに関連して後述されるように)肺全体にわたってより均一な高電場強度をもたらすことができる。
【0042】
第2に、特定の解剖学的位置では、長手方向アレイは、緯度方向アレイよりも体の輪郭によく接着し得る。例えば、胸部を治療するとき、胸部に配置された緯度方向アレイは身体の輪郭にうまく接着しない可能性があり(例えば、女性の乳房の場合)、アレイと身体との電気的接触が最適にならず、腫瘍内の電場強度が低下する。これらの状況では、長手方向アレイを介した電場の身体への電気的結合は、横方向アレイを介した電場の身体への電気的結合よりも良好なカバレージをもたらすことができる。
【0043】
第3に、対象者の身体上に配置された大きな緯度方向アレイは、運動を制限したり、特定の解剖学的位置において対象者に不快感を与えたりする可能性がある。例えば、胸部を治療するとき、(例えば、
図4A、
図4Bに示されるように)対象者の胸部に配置された大きな緯度方向アレイは、不快感を引き起こすか、または運動の制限さえ生じ得る。このような場合、1つのアレイで首を迂回させ、もう1つで上腹部または腰を迂回させる、アレイの長手方向ペアが、使用する対象者をより快適にすることができるので、(例えば、
図3Aに示されるように)適切に設計された長手方向アレイのペアを使用して電場を伝達する際に快適性の向上に役立ち得る。
【0044】
第4の重要な利点は、長手方向アレイを使用して生成される電場が、横方向アレイ(すなわち、前後方向または横方向に配置された電極アレイのセット)によって生成される電場に対してほぼ垂直であることである。したがって、(例えば、
図3A~
図3Dに示されるような)長手方向電場を生成するように設計されたアレイは、複数の異なる方向の電場で標的領域を治療するために緯度方向電場を生成するように設計された従来のアレイと組み合わせることができ、それによって治療の効果を高める。長手方向アレイの利用可能性はまた、電場分布および対象者の快適さを最適化する電極のレイアウトを見つけるためのさらなる自由度を提供する。
【0045】
図4A~4Hは、(例えば、
図3A~Fに関連して上述したものと同様の)一対の長手方向アレイが一対の緯度方向アレイと組み合わされた例を示す。これらの状況のそれぞれにおいて、電極がそれらのそれぞれの位置に固定された後、(a)標的領域に長手方向電場を課すために、長手方向に配置された第1および第2の電極セット間にAC電圧が印加され、(b)標的領域に緯度方向電場を課すために、緯度方向に配置された第3および第4のセットの電極間にAC電圧が印加される。これらのステップ(a)および(b)は、標的領域に課されている電場の方向を繰り返し切り替えるために、治療期間中に交互の順序で繰り返される。いくつかの実施形態では、切り替え速度は0.25から2秒の間である。治療は一度に何時間も続けることが好ましいので、これらのステップ(a)および(b)のそれぞれは、好ましくは少なくとも10,000回繰り返される。好ましくは、AC電圧の周波数は100~500kHzの間で、いくつかの好ましい実施形態では、周波数は125~250kHzの間である。(例えば、膵臓癌および特定の種類の肺癌を治療するための)いくつかの好ましい実施形態では、周波数は140~160kHzの間である。(例えば、卵巣癌を治療するための)いくつかの好ましい実施形態では、周波数は190~210kHzの間である。好ましくは、標的領域に印加されるそれぞれの電場は少なくとも1V/cmの電場強度を有する。
【0046】
例えば、胸部に電場を伝達することを意図している
図4A/Bの実施形態では、長手方向アレイは、対象者の腰の直ぐ上の位置31に配置された第1の電極アレイと、対象者の首の周りの位置32に配置された第2の電極アレイとによって実施される。さらに、緯度方向アレイは、対象者の胸部の位置41に配置された第3の電極アレイと、対象者の背中の位置42に配置された第4の電極アレイとを備える。この実施形態では、緯度方向電場の電場線方向は前方から後方へ延びる。
【0047】
例えば、胸部に電場を伝達することを意図している
図4C/Dの実施形態でも、長手方向アレイは
図4A/4Bと同じ方法で実施されるが、緯度方向アレイは、第3の電極アレイを対象者の右側の位置43に配置し、第4の電極アレイを対象者の左側の位置44に配置して実施される。この実施形態では、緯度方向電場の電場線方向は横方向に延びる。
【0048】
例えば、胸部に電場を伝達することを意図している
図4E/Fの実施形態でも、長手方向アレイは
図4A/4Bと同じ方法で実施されるが、緯度方向アレイは、第3の電極アレイを対象者の胸部左側の位置45に配置し、第4の電極アレイを対象者の背中右側の位置46に配置して実施される。この実施形態では、緯度方向電場の電場線方向は、対象者の胸部を通って前から後ろへ斜めに延びる。
【0049】
例えば、腫瘍治療電場を乳頭下脳に伝達することを意図している
図4Gの実施形態では、長手方向アレイは、対象者の首の周りの位置26に配置された第1の電極アレイと、対象者の頭部の冠に近い位置27に配置された第2の電極アレイとによって実施される。さらに、緯度方向アレイは、対象者の頭部の左側の位置47に配置された第3の電極アレイと、対象者の頭部の右側の位置48に配置された第4の電極アレイとを備える。この実施形態では、緯度方向電場の電場線方向は横方向に延びる。あるいは、緯度方向アレイは、対象者の頭部の前後の位置に配置された第3および第4の電極(図示せず)を使用して実施されてもよい。
【0050】
図4Hの実施形態は、第1の電極アレイが対象者の首の周りの位置28に配置され、第2の電極アレイが対象者の頭上の位置29に配置されることを除いて、
図4Gの実施形態と同様である。
【0051】
図4A~
図4Hを参照して上述した実施形態に加えて、長手方向に配置された一対のアレイと緯度方向に配置された一対のアレイとを組み合わせる多種多様な代替構成が、広範囲の解剖学的構造で使用するために容易に想定され、関連分野の当業者には明らかであり得る。
【0052】
図5A~
図5Dは、(例えば、
図3A~
図Fに関連して上述したものと同様の)一対の長手方向アレイが、二対の緯度方向アレイと組み合わされる例を示す。これらの状況のそれぞれにおいて、(a)標的領域に長手方向電場を課すために長手方向に配置された第1および第2の電極セットの間にAC電圧が印加され、(b)標的領域に第1の緯度方向電場を課すために緯度方向に配置された第3および第4の電極セットの間にAC電圧が印加され、(c)標的領域に第2の緯度方向電場を課すために緯度方向に配置された第5および第6の電極セットの間にAC電圧が印加される。第1の緯度方向電場と第2の緯度方向電場との間の角度は、好ましくは60°~120°の間で、最も好ましいのはできるだけ90°に近い角度である。これらのステップ(a)、(b)、および(c)は、3つのそれぞれの方向の間で、標的領域に課されている電場方向を繰り返し切り替えるために、治療期間中に交互の順序で繰り返される。いくつかの実施形態では、切り替え速度は0.25から2秒の間である。治療は一度に何時間も続けることが好ましいので、これらのステップ(a)、(b)、および(c)のそれぞれは、好ましくは少なくとも10,000回繰り返される。
【0053】
例えば、胸部に電場を伝達することを意図している
図5A/Bの実施形態では、長手方向アレイは、対象者の腰の直ぐ上の位置31に配置された第1の電極アレイと、対象者の首の周りの位置32に配置された第2の電極アレイとによって実施される。さらに、第1の緯度方向アレイは、前から後ろに延びる電場線を有する第1の緯度方向電場を生成するために、対象者の胸部の位置41に配置された第3の電極アレイと、対象者の背中の位置42に配置された第4の電極アレイとを備える。最後に、第3の緯度方向アレイは、横方向に延びる電場線を有する第2の緯度方向電場を生成するために、対象者の身体の右側の位置51に配置された第5の電極アレイと、対象者の身体の左側の位置52に配置された第6の電極アレイとを備える。
【0054】
図5C/Dの実施形態は、
図5A/Bの実施形態と同様であるが、第3および第4の電極アレイが対象者の正面の位置55および背面の位置56にそれぞれ配置されている点と、第5および第6の電極アレイが対象者の前面の位置57および背面の位置58にそれぞれ配置されている点とにおいて異なる。この実施形態では、第1の緯度方向電場が前方右から後方左へ延びる電場線を有し、第2の緯度方向電場が前方左から後方右へ延びる電場線を有する。第1の緯度方向電場と第2の緯度方向電場との間の角度は、好ましくは60°~120°の間であり、最も好ましいのはできるだけ90°に近い角度である。
【0055】
ここでもまた、
図5A~
図5Dを参照して上述した2つの実施形態に加えて、長手方向に配置された1対のアレイと緯度方向に配置された2対のアレイとを組み合わせる多種多様な代替構成が解剖学的位置の広範囲での使用のために容易に想定され、関連分野の当業者には明らかであり得る。
【0056】
上述した
図3~
図5の説明は、様々なペアの電極が対象者の身体上に配置される位置を説明しているが、それらの電極のセット構成については説明していない。
図6Aおよび
図6Bに示す構成を含むがこれらに限定されない様々な構成が、これらの電極のセットを実施するために使用され得る。
【0057】
図6Aは、一組の電極60を対象者の身体に固定するのに適した第1の構成を示す。この実施形態では、各組の電極60は、帯状基板62上に取り付けられた複数の個別電極要素61を含む。帯状基板62は、それが使用される特定の身体部分にフィットするような形状および寸法である。例えば、
図3Aの位置31に示されている長手方向アレイの場合、基板62はベルトに似た可撓性基板で、
図3Aの位置32に示されている長手方向アレイの場合、基板62はチョーカーに似た可撓性基板で、また、
図3Eの位置27に示されている長手方向アレイの場合、基板62はヘッドバンドに似た可撓性基板である。基板62の役割は、個々の電極要素61を対象者の皮膚に対して保持することで、それによってこれらの要素が皮膚と良好に接触する。任意選択で、導電性ゲルを電極要素61と対象者の皮膚との間に塗布してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、個々の電極要素61のそれぞれは、従来のNovocure TTF-100L(登録商標)トランスデューサアレイで使用されている電極要素のように、高誘電率を有するディスク状の静電容量結合電極である。代替の実施形態では、複数の個別電極要素61を使用する代わりに、単一電極要素(図示せず)を使用することができ、その場合、単一電極要素は好ましくはそれが使用される対象者の身体の特定部分にフィットするように可撓性または輪郭を有する。
【0059】
各組の電極60内の個々の電極要素61は、適切な配線63を使用して一緒に配線される。例えば、個々の電極要素61は、並列に、直列に、または並列/直列の組み合わせで配線され得る。必要に応じて、この配線63はコネクタ64で終端され得る。このコネクタ64は、電極60のセットとAC信号発生器65とを接続するために使用され、AC信号発生器65は二組の電極間に電圧を印加することができる。
【0060】
図6Bは、パネル状の電極60´セットを対象者の身体に固定するのに適した第2の構成を示す。この構成は、パネル状の基板62´に装着された複数の個別電極要素61を含む。この
図6Bの実施形態における配線63およびコネクタ64は、
図6Aの対応する要素と同様である。この
図6Bの実施形態は、(
図4~
図5に示す)位置41~58に配置するため、並びに、これらの実施形態を参照しながら上述した横方向電場を発生させるために最も適している。
【0061】
電極要素が配置される解剖学的位置に基づいて、複数の個々の電極要素を取り付けるための多種多様な代替基板構成が当業者には明らかであろう。
図7A~
図7Fは、そのような3つの構成における電極要素の配置を示す。
図7A/Bに示される長手方向の電極セット71、72(それぞれ正面図および背面図を示す)のための電極要素を支持する基板は、相当する解剖学的構造に適した寸法に縮尺された、
図6Aに示される帯状構成と同様である。
図7C/D(それぞれ正面図および背面図を示す)に示された前/後の緯度方向電極セット73/74用の電極要素と、
図7E/F(それぞれ正面図および背面図を示す)に示された右/左の緯度方向電極セット75/76用の電極要素と、を支持する基板は、相当する解剖学的構造に適した大きさに縮尺および形状が合わせられた、
図6Bに示されるパネル状構成と同様である。
図7A/B、
図7C/D、および
図7E/Fの3つの電極構成のすべてを組み合わせ、3つの異なる電場方向を提供するためにこれら3組の電極間で電場を循環させることによって、患者の快適性を維持しつつ、肺の上葉に対する優れた電場範囲を形成することができる。
【0062】
有限要素計算法により、長手方向アレイが相当する解剖学的構造への効果的な貫通を提供できることが明らかになった。一例では、
図7A/Bに示すように、複数のセラミックディスク形状の電極要素が、現実的な計算ファントムにおける腰部に対応する第1の位置71と、首部に対応する第2の位置72とに分配される。
【0063】
図8は、有限要素シミュレーションを用いて計算された、肺を通って規則的な垂直間隔で隔てられた軸スライス81~86のこの例についての電場強度を示す。このシミュレーションは、長手方向アレイを使用して、大部分の肺を通して1~4V/cmの間の電場強度を得ることが可能であることを明らかにする。
図9A/Bは、このシミュレーションについて、それぞれ身体および肺を通る長手方向の電場の電場線の方向91を示す。これらの図は、これらの電場線の長手方向の特性を示している。
【0064】
場合によっては、腫瘍治療電場を使用して腫瘍を治療するには、少なくとも1対の長手方向アレイを使用することが唯一の実用的な方法であり得る。例えば、腫瘍が膝や肘などの関節にある場合、横方向の電極セットのみを使用すると、対象者の可動性が著しく損なわれる可能性がある。
【0065】
図10Aおよび
図10Bは、この可動性の問題を克服する、2組の長手方向アレイを使用して電場を膝に伝達することを意図した実施形態の内側および外側をそれぞれ示す図である。この実施形態では、第1の基板が、膝に近接する位置101で脚の前面を部分的に囲むように脚に対して1つ以上の電極の第1のセットを保持し、第2の基板が、膝に対して遠位の位置102で脚の裏側を部分的に囲むように脚に対して1つ以上の電極の第2のセットを保持し、第3の基板が、膝に近接する位置103で脚の裏側を部分的に囲むように脚に対して1つ以上の電極の第3のセットを保持し、第4の基板が、膝に対して遠位の位置104で脚の前面を部分的に囲むように脚に対して1つ以上の電極の第4のセットを保持する。
【0066】
位置101~104の各セットの電極は、脚の輪郭に一致する開いた円弧のような形状であることが好ましい。この円弧形状は、
図6Aに関連して上述したように、可撓性基板を用いて達成することができ、その上に複数の個別電極要素が取り付けられる。あるいは、円弧形状は、その上に1つ以上の電極要素が取り付けられる剛性基板を使用しても達成され得る。開いた円弧構成が電極アレイに使用されるとき、電場が確実に身体を貫通するように、任意の所与のペアのアレイを使用される身体部分の反対側に配置することが重要であって、これは所与の電極ペアの両方の円弧が身体の同じ側に配置されている場合、重要な電場が身体の表在領域にのみ発生する可能性があるためである。
【0067】
この実施形態では、位置101に固定された電極のセットと位置102に固定された電極のセットとの間に第1のAC電圧が印加され、破線106の一般方向に延びる電場線を有する電場が生じる。次に、位置103に固定された電極セットと位置104に固定された電極のセットとの間に第2のAC電圧が印加され、その結果、点線107の一般方向に延びる電場線を有する電場が生じる。この構成は、関節を通してX字形を形成する2つの電場をもたらす。これら2つの電場の方向(106、107)は垂直ではないかもしれないが、それらの電場の間の角度が、単一方向の電場に対する改善された結果をもたらすのに十分に大きいであろう。好ましくは、第1および第2のAC電圧の周波数は100から500kHzの間である。いくつかの好ましい実施形態では、この周波数は125から250kHzの間である。2つの電場の強度は、標的領域の少なくとも一部分において少なくとも1V/cmであることが好ましい。
【0068】
別の実施形態では、関節の上下に位置する一対の長手方向アレイを関節の外側に配置された一対の緯度方向アレイと組み合わせることによって膝を治療することができる。これらの実施形態では、長手方向アレイは、(例えば、
図3Dに見られるように)脚を完全に囲むことができ、または(例えば、
図10に関連して上述したように)脚を部分的に囲み得る。
【0069】
相当する寸法に適切な変更がなされるならば、
図10に関連して上述した膝の文脈における同じ概念が、肘の文脈において、または他の関節にも適用され得ることに留意されたい。
【0070】
いくつかの場合(例えば、
図3A~3Fの実施形態)、それらが配置される身体部分を完全に回避するようにアレイは設計され、他の場合(例えば、
図10A~Bの実施形態)、それらが配置される身体部分を完全に回避しないようにアレイは設計される。しかしながら、これらのアレイ構成の両方において、それぞれのアレイは長手方向軸に沿って異なる位置に配置されなければならない。
【0071】
腫瘍治療電場は、電場生成装置によって生成された電場を体内に静電容量結合する電極アレイを介して伝達されてもよい。例えば、米国特許第7,715,921号明細書(特許文献1)に記載されているアレイ設計構造は、長手方向アレイの設計に組み込むことができる。電極アレイはまた、米国特許第8,715,203号明細書(特許文献2)に記載されているように、対象者の皮膚に対して配置されるように設計されている複数のセラミック素子を含む複合電極として設計され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、アレイは、薄い導電性ゲルを介して身体に接続されている高誘電率を有する1式のセラミックディスクとして設計されている。各アレイのディスクは、フレックスワイヤを介して電気的に相互接続されており、アレイが対象者の身体にしっかりと接着するように、接着テープがディスク上に配置されている。長手方向アレイを作成するための構成要素は、NovoTTF-100L(登録商標)を使用して腫瘍治療電場を胴体に伝達するのと同様に、Optune(登録商標)を使用して腫瘍治療電場を頭部に伝達するために現在使用されているものと同様であり得る。セラミック要素は、並列に、直列に、または並列と直列の任意の組み合わせ(例えば、各グループが直列に配線された3つのディスクを含む、並列に配線された3つのグループ)に配線され得る。
【0073】
任意選択的に、アレイレイアウトの設計は有限要素シミュレーションの助けを借りて実行することができ、これは長手方向アレイの任意の特定の設計がもたらすであろう予想電場分布を計算するために使用され得る。そのような設計は、最大電場強度を標的領域に伝達するように最適化することができる。
【0074】
任意選択で、各アレイ内のディスクは、それらが異なるサイズの対象にフィットすることを可能にするように接続され得る(例えば、各アレイは、少数のディスクを有するいくつかの接続パッチを含み得、或いは、ディスクは可撓性コネクタで接続され得る)。
【0075】
上記の実施形態は人間対象に関して説明されているが、それらは適切な修正を行うことによって他の動物(例えば、犬、馬等)にも使用することができ、これは当業者には明らかであろう。
【0076】
本発明を特定の実施形態を参照して開示したが、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の領域と範囲から逸脱することなく、記載した実施形態に対する多数の修正、改定、および変更が可能である。したがって、本発明は記載された実施形態に限定されず、特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を含むことが意図されている。
【0077】
[第1項]
対象者の身体内の標的領域を腫瘍治療電場で治療するための装置であって、長手方向軸を有する対象者の身体の一部分に標的領域を配置する装置において、
1つ以上の静電容量結合電極の第1のセットと、
1つ以上の電極の前記第1のセットを対象者の身体に対して保持するように構成された第1の基板であって、1つ以上の電極の前記第1のセットが、長手方向で前記標的領域の前の位置で、前記対象者の身体の第1の部分を囲む、第1の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第2のセットと、
1つ以上の電極の前記第2のセットを対象者の身体に対して保持するように構成された第2の基板であって、1つ以上の電極の前記第2のセットが、長手方向で前記標的領域の次の位置で、前記対象者の身体の第2の部分を囲む、第2の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第3のセットと、
1つ以上の電極の前記第3のセットを保持する第3の基板であって、1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記対象者の身体に対して1つ以上の電極の前記第3のセットを前記標的領域の第1の側に保持する、第3の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第4のセットと、
1つ以上の電極の前記第4のセットを保持する第4の基板であって、1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記対象者の身体に対して1つ以上の電極の前記第4のセットを、前記第1の側とは反対側である前記標的領域の第2の側に保持する、第4の基板と、
を含んでなることを特徴とする装置。
[第2項]
(a)1つ以上の電極の前記第1のセットと前記第2のセットとの間に100~500kHzの周波数を有するAC電圧と、(b)1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットとの間に100~500kHzの周波数を有するAC電圧と、を次から次へと繰り返し交互に生成するように構成されたAC電圧発生器をさらに含んでなることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第3項]
(a)1つ以上の電極の前記第1のセットと前記第2のセットとの間に125~250kHzの周波数のAC電圧を生成するように構成されたAC電圧発生器と、(b)1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットとの間に125~250kHzの周波数を有するAC電圧と、を次から次へと繰り返し交互に生成するように構成されたAC電圧発生器をさらに含んでなることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第4項]
1つ以上の電極の前記第1のセットが第1の複数フラット電極要素を含み、1つ以上の電極の前記第2のセットが第2の複数フラット電極要素を含むことを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第5項]
前記第1の基板および前記第2の基板のそれぞれが可撓性であることを特徴とする、第4項に記載の装置。
[第6項]
前記第1の基板および前記第2の基板のそれぞれが、前記対象者の身体の胴体の周りにフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第7項]
前記第1の基板が前記対象者の身体の胴体の周りにフィットするような形状および寸法であり、前記第2の基板が前記対象者の身体の首の周りにフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第8項]
前記第1の基板が前記対象者の身体の首の周りにフィットするような形状および寸法であり、前記第2の基板が前記対象者の身体の頭部の周りにフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第9項]
前記第1の基板が前記対象者の身体の首の周りにフィットするような形状および寸法であり、前記第2の基板が前記対象者の身体の頭部にフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第10項]
前記第1の基板および第2の基板のそれぞれが、前記対象者の身体のリムの周りにフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第11項]
1つ以上の静電容量結合電極の第5のセットと、
1つ以上の電極の前記第5のセットを保持する第5の基板であって、1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記対象者の身体に対して1つ以上の電極の前記第5のセットを前記標的領域の第3の側に保持する、第5の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第6のセットと、
1つ以上の電極の前記第6のセットを保持する第6の基板であって、1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記対象者の身体に対して1つ以上の電極の前記第6のセットを、前記第3の側とは反対側である前記標的領域の第4の側に保持する、第6の基板と、
をさらに含むことを特徴とする、第1項に記載の装置。
[第12項]
対象者の身体内の標的領域を腫瘍治療電場で治療する方法であって、長手方向軸を有する前記対象者の身体の一部分に前記標的領域が配置される方法において、
前記標的領域の長手方向の前の位置で、前記対象者の身体の第1の部分を囲むように、1つ以上の電極の第1のセットを前記対象者の身体に取り付けるステップと、
前記標的領域の長手方向に続く位置で、前記対象者の身体の第2の部分を囲むように、1つ以上の電極の第2のセットを前記対象者の身体に取り付けるステップと、
1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第1のAC電圧を印加するステップであって、前記標的領域を長手方向に通過する電場線を有する第1のAC電場を印加し、前記第1のAC電場が、前記標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、第1のAC電圧を印加するステップと、
を含んでなることを特徴とする方法。
[第13項]
1つ以上の電極の前記第1のセットおよび前記第2のセットのそれぞれが、前記対象者の身体に静電容量結合されていることを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第14項]
1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記標的領域の第1の側に、前記対象者の身体に1つ以上の電極の第3のセットを取り付けるステップと、
1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記標的領域の前記第1の側の反対側である第2の側に、前記対象者の身体に1つ以上の電極の第4のセットを取り付けるステップと、
1つ以上の電極の前記第3のセットと1つ以上の電極の前記第4のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第2のAC電圧を印加するステップであって、前記標的領域を通過する第2のAC電場を印加し、前記第2のAC電場が、前記標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、第2のAC電圧を印加するステップと、
をさらに含んでなることを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第15項]
前記1つ以上の電極の前記第1のセット、前記第2のセット、前記第3のセット、および前記第4のセットのそれぞれが前記対象者の身体に静電容量結合されていることを特徴とする、第14項に記載の方法。
[第16項]
前記第1のAC電圧および前記第2のAC電圧のそれぞれが、125~250kHzの周波数を有することを特徴とする、第15項に記載の方法。
[第17項]
前記第1のAC電圧を印加するステップと前記第2のAC電圧を印加するステップとが次から次へと交互に少なくとも10,000回繰り返されることを特徴とする、第16項に記載の方法。
[第18項]
1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記標的領域の第3の側に、前記対象者の身体に1つ以上の電極の第5のセットを取り付けるステップと、
1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間の長手方向の位置で、前記標的領域の前記第3の側の反対側である第4の側に、前記対象者の身体に1つ以上の電極の第6のセットを取り付けるステップと、
1つ以上の電極の前記第5のセットと1つ以上の電極の前記第6のセットとの間に100~500kHzの周波数で第3のAC電圧を印加するステップであって、前記標的領域を通過する第3のAC電場を印加し、前記第3のAC電場が、前記標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、第3のAC電圧を印加するステップと、
をさらに含んでなることを特徴とする、第14項に記載の方法。
[第19項]
前記第1のAC電圧を印加するステップと前記第2のAC電圧を印加するステップと前記第3のAC電圧を印加するステップとが、次から次へと交互に少なくとも10,000回繰り返されることを特徴とする、第18項に記載の方法。
[第20項]
1つ以上の電極の前記第1のセットが、前記対象者の身体の第1の部分の周りに分布する第1の複数フラット電極要素を含み、1つ以上の電極の前記第2のセットが、前記対象者の身体の第2の部分の周りに分布する第2の複数フラット電極要素を含むことを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第21項]
前記標的領域が前記対象者の身体の胴体内に配置され、1つ以上の電極の前記第1のセットが前記標的領域の下方で前記対象者の胴体の周りに配置され、1つ以上の電極の前記第2のセットが前記標的領域の上方で前記対象者の胴体の周りに配置されていることを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第22項]
前記対象者は首を有し、前記標的領域が前記対象者の身体の胴体内に配置され、1つ以上の電極の前記第1のセットが、前記標的領域の下方で前記対象者の胴体の周りに配置され、1つ以上の電極の前記第2のセットが、前記対象者の前記首の周りに配置されていることを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第23項]
前記対象者は頭部と首を有し、前記標的領域が前記対象者の前記頭部内に配置され、1つ以上の電極の前記第1のセットが前記対象者の前記首の周りに配置され、1つ以上の電極の前記第2のセットが前記対象者の前記頭部の周りに配置されていることを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第24項]
前記標的領域が前記対象者の身体のリムに配置され、前記長手方向軸が前記リムを通って近位から遠位方向に延び、1つ以上の電極の前記第1のセットが、前記標的領域に対して近い位置で前記リムの周りに配置され、1つ以上の電極の前記第2のセットが、前記標的領域に対し遠い位置で前記リムの周りに配置されていることを特徴とする、第12項に記載の方法。
[第25項]
対象者の身体のリム内の標的領域を腫瘍治療電場で治療するための装置であって、
1つ以上の静電容量結合電極の第1のセットと、
1つ以上の電極の前記第1のセットを対象者の身体に対して保持するように構成された第1の基板であって、1つ以上の電極の前記第1のセットが、前記標的領域に対し近い位置で、前記リムの第1の側を部分的に囲む、第1の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第2のセットと、
1つ以上の電極の前記第2のセットを対象者の身体に対して保持するように構成された第2の基板であって、1つ以上の電極の前記第2のセットが、前記標的領域に対し遠い位置で、前記リムの第2の側を部分的に囲み、前記リムの前記第2の側が前記リムの前記第1の側の反対側である、第2の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第3のセットと、
1つ以上の電極の前記第3のセットを前記対象者の身体に対して保持する第3の基板であって、1つ以上の電極の前記第3のセットが、前記標的領域に対し近い位置で、前記リムの前記第2の側を部分的に囲む、第3の基板と、
1つ以上の静電容量結合電極の第4のセットと、
1つ以上の電極の前記第4のセットを前記対象者の身体に対して保持する第4の基板であって、1つ以上の電極の前記第3のセットが、前記標的領域に対し遠い位置で、前記リムの前記第1の側を部分的に囲む、第4の基板と、
を含んでなることを特徴とする装置。
[第26項]
(a)1つ以上の電極の前記第1のセットと前記第2のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第1のAC電圧と、(b)1つ以上の電極の第3のセットと1つ以上の電極の第4のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第2のAC電圧と、を次から次へと繰り返し交互に生成するように構成されたAC電圧発生器をさらに含んでなることを特徴とする、第25項に記載の装置。
[第27項]
前記第1のAC電圧および前記第2のAC電圧のそれぞれが、125~250kHzの周波数を有することを特徴とする、第26項に記載の装置。
[第28項]
1つ以上の電極の前記第1のセット、前記第2のセット、前記第3のセット、および前記第4のセットのそれぞれが複数のフラット電極要素を含むことを特徴とする、第25項に記載の装置。
[第29項]
前記第1の基板、前記第2の基板、前記第3の基板、および前記第4の基板のそれぞれが可撓性であることを特徴とする、第28項に記載の装置。
[第30項]
前記リムが、肘を有する腕であり、
前記第1の基板および前記第3の基板のそれぞれが、前記肘に対して近位の前記腕にフィットするような形状および寸法であり、
前記第2の基板および前記第4の基板のそれぞれが、前記肘に対して遠位の前記腕にフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第25項に記載の装置。
[第31項]
前記リムが、膝を有する脚であり、
前記第1の基板および前記第3の基板のそれぞれが、前記膝に対して近位の前記脚にフィットするような形状および寸法であり、
前記第2の基板および前記第4の基板のそれぞれが、前記膝に対して遠位の前記脚にフィットするような形状および寸法であることを特徴とする、第25項に記載の装置。
[第32項]
対象者の身体のリム内の標的領域を腫瘍治療電場で治療するための方法であって、
前記標的領域に対し近い位置で、前記リムの第1の側を部分的に囲むように、1つ以上の電極の第1のセットを取り付けるステップと、
前記標的領域に対し遠い位置で、前記リムの第2の側を部分的に囲み、前記リムの前記第2の側が前記リムの前記第1の側の反対側であるように、1つ以上の電極の第2のセットを取り付けるステップと、
前記標的領域に対し近い位置で、前記リムの前記第2の側を部分的に囲むように、1つ以上の電極の第3のセットを取り付けるステップと、
前記標的領域に対し遠い位置で、前記リムの前記第1の側を部分的に囲むように、1つ以上の電極の第4のセットを取り付けるステップと、
1つ以上の電極の前記第1のセットと1つ以上の電極の前記第2のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第1のAC電圧を印加するステップであって、前記標的領域を通過する第1のAC電場を印加し、前記第1のAC電場が、前記標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、第1のAC電圧を印加するステップと、
1つ以上の電極の前記第3のセットと1つ以上の電極の前記第4のセットとの間に100~500kHzの周波数を有する第2のAC電圧を印加するステップであって、前記標的領域を通過する第2のAC電場を印加し、前記第2のAC電場が、前記標的領域の少なくとも一部において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、第2のAC電圧を印加するステップと、
を含んでなり、前記第1のAC電圧を印加するステップと前記第2のAC電圧を印加するステップとが、次から次へと繰り返し交互に実行されることを特徴とする方法。
[第33項]
1つ以上の電極の前記第1のセット、前記第2のセット、前記第3のセット、および前記第4のセットのそれぞれが、前記対象者の身体に静電容量結合されていることを特徴とする、第32項に記載の方法。
[第34項]
前記第1のAC電圧および前記第2のAC電圧のそれぞれが、125~250kHzの周波数を有することを特徴とする、第33項に記載の方法。
[第35項]
前記第1のAC電圧を印加するステップと前記第2のAC電圧を印加するステップとが次から次へと交互に少なくとも10,000回繰り返されることを特徴とする、第32項に記載の方法。
[第36項]
前記リムが肘を有する腕であり、1つ以上の電極の前記第1のセットおよび1つ以上の電極の前記第3のセットが前記肘に対して近位に配置され、1つ以上の電極の前記第2のセットおよび1つ以上の電極の前記第4のセットが前記肘に対して遠位に配置されていることを特徴とする、第32項に記載の方法。
[第37項]
前記リムが膝を有する脚であり、1つ以上の電極の前記第1のセットおよび1つ以上の電極の前記第3のセットが前記膝に対して近位に配置され、1つ以上の電極の前記第2のセットおよび1つ以上の電極の前記第4のセットが前記膝に対して遠位に配置されていることを特徴とする、第32項に記載の方法。
[第38項]
1つ以上の電極の前記第1のセット、前記第2のセット、前記第3のセット、および前記第4のセットのそれぞれが、複数のフラット電極要素を含むことを特徴とする、第32項に記載の方法。
【符号の説明】
【0078】
20 本体、シリンダ
21、22 電極リング
25 電圧
26~29 位置
31~38 位置
41~48 位置
51~58 位置
60、60´ 電極
61 電極要素
62、62´ 基板
63 配線
64 コネクタ
65 AC信号発生器
71~76 電極セット
81~86 軸スライス
91 方向
101~104 位置
106、107 方向
【外国語明細書】