(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083475
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造装置および積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069380
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2022056147の分割
【原出願日】2017-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】000170853
【氏名又は名称】黒田精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥平 博信
(72)【発明者】
【氏名】堀井 英朗
(72)【発明者】
【氏名】進藤 健一
(57)【要約】
【課題】接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われるようにすること。
【解決手段】
帯状薄鋼板Fの間欠移送方向に沿って当該帯状薄鋼板Fの移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板Fの上方への移動を制限するガイド部材100を設け、鉄心薄板A(W)に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置50を設ける。
【選択図】
図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠移送される帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、
上側ホルダ及び下側ホルダと、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行う位置決め手段と、
前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるストリッパプレートとを有する積層鉄心の製造装置。
【請求項2】
前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材を更に有する請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項3】
前記帯状薄鋼板の間欠移送方向の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の左右方向の移動を制限するリフタピンを更に有し、
前記リフタピンは、前記帯状薄鋼板の側縁部が入り込む周溝を有する請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項4】
上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程と、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程とを有し、
前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態に戻す積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つ前記リフタ用ばねによって上方に向けて付勢された前記リフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程を更に有する請求項4に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
前記帯状薄鋼板の上面に前記接着剤の硬化促進剤を塗布する硬化促進剤塗布工程を更に有する請求項4または請求項5に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
前記硬化促進剤塗布工程では、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に連続的に塗布される請求項6に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項8】
前記硬化促進剤塗布工程では、前記帯状薄鋼板が前記間欠移送において停止している場合にのみ、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に塗布される請求項6に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の積層鉄心の製造装置によって製造された積層鉄心。
【請求項10】
請求項4に記載の積層鉄心の製造方法によって製造された積層鉄心。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心の製造装置及び製造方法に関し、更に詳細には、積層された複数枚の鉄心薄板を接着剤によって接着してなる接着型の積層鉄心の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の固定子や回転子に用いられる積層鉄心として、間欠移送される帯状薄鋼板から、パンチとダイとによる複数の打抜き金型(金型セット)を含む順送り金型によって打ち抜かれた鉄心薄板をダイ内に順次積層し、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤によって接着してなる接着型の積層鉄心が知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特許庁公開特許公報2001-321850
【特許文献2】日本国特許庁公開特許公報2009-124828
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄心薄板(帯状薄鋼板)の接着剤塗布面に対する接着剤の塗布は、設計通りの接着強度が得られて接着剤の外部への垂れ等がないように、接着剤塗布面の所定位置に正確に行われる必要がある。また、鉄心薄板(帯状薄鋼板)の移動時に鉄心薄板が振動すること等によって、接着剤塗布面の接着剤が周りに拡散したり、飛散したりしないことが要求される。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による積層鉄心の製造装置は、帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、上側ホルダ及び下側ホルダと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダにそれぞれ設けられ、間欠移送される帯状薄鋼板から鉄心薄板を順次打ち抜く複数のパンチ及びダイと、前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿って当該帯状薄鋼板の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限するガイド部材と、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置とを有する。
【0007】
この構成によれば、帯状薄鋼板は、上方に移動することをガイド部材によって制限された状態で、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われるので、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0008】
ガイド部材は、帯状薄鋼板との当接によって帯状薄鋼板の上方への移動を制限する構造に加えて、帯状薄鋼板との当接によって帯状薄鋼板の左右方向の移動を制限する構造を有していて、帯状薄鋼板の間欠移送を案内する。
【0009】
この場合には、帯状薄鋼板は、上方に移動することの制限に加えて左右方向の移動を制限された状態で、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われるので、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布がより一層正確に行われる。
【0010】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記上側ホルダに設けられ、各移送位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行うべく前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に嵌挿されるパイロットピンを更に有する。
【0011】
この構成によれば、パイロットピンが帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に嵌挿された状態で、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われるので、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0012】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイの上面と対向する下面を有するストリッパプレートを更に有する。
【0013】
この構成によれば、ストリッパプレートによって帯状薄鋼板が上下方向に移動することを制限することができ、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0014】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記ストリッパプレートを前記下側ホルダに向けて付勢するストリッパ用ばねを更に有し、前記ストリッパプレートは前記ストリッパ用ばねのばね力によって前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面に押し付けるように構成されている。
【0015】
この構成によれば、ストリッパプレートによって帯状薄鋼板がダイに押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われ得るようになり、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0016】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記ストリッパプレートは前記パンチが前記ダイから抜け出すまで、より好ましくは前記パンチが前記帯状薄鋼板から抜け出すまで前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面に押し付けるように構成されている。
【0017】
この構成によれば、打抜き後の上側ホルダの上昇過程において、パンチがダイから抜け出した状態になるまで、或いは前記パンチが前記帯状薄鋼板から抜け出すまで、帯状薄鋼板がストリッパプレートによってダイの上面に押し付けられた状態が維持されるから、上側ホルダの上昇過程で帯状薄鋼板が揺れ動くことが抑制され、帯状薄鋼板に塗布された接着剤が飛散することが抑制される。
【0018】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記パイロットピンはストレート軸部を含み、前記ストレート軸部は、前記ストリッパプレートが前記ストリッパ用ばねによる付勢によって前記上側ホルダに対する最降下位置にある状態において、当該ストリッパプレートの下面より下方に突出した位置にある。
【0019】
この構成によれば、上側ホルダの降下過程において、ストリッパプレートの下面が帯状薄鋼板に当接する以前に、パイロットピンのストレート軸部がパイロット孔に進入するから、ストリッパプレートによる帯状薄鋼板の拘束に邪魔されることなく帯状薄鋼板の位置決めが円滑に行われる。
【0020】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接して前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面より離間させるための複数のリフタを更に有する。
【0021】
この構成によれば、帯状薄鋼板の間欠移送時に帯状薄鋼板をダイの上面からリフトアップすることができ、接着剤塗布面が帯状薄鋼板の下面であっても、接着剤塗布面に塗布された接着剤がダイの上面によって擦られることがない。
【0022】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接して前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面より離間させるための複数のリフタと、前記ストリッパプレートの上昇時に当該ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接し且つ前記各リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面より離間させるべく前記各リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねとを更に有する。
【0023】
この構成によれば、接着剤の塗布後に、リフタとストリッパプレートとによって鉄心薄板を上下から支えた状態で前記鉄心薄板をリフトアップ状態(離間状態)に戻すから、帯状薄鋼板のリフトアップ過程で帯状薄鋼板が揺れ動くことが抑制され、帯状薄鋼板に塗布された接着剤が飛散することが抑制される。
【0024】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記各リフタは前記ガイド部材を兼ねている。
【0025】
この構成によれば、部品点数の削減が図られる。
【0026】
リフタがガイド部材を兼ねる場合には、リフタは、上側の外周に周溝を有するリフタピンによって構成され、周溝に帯状薄鋼板の左右の側縁部が入り込む構造であればよい。この場合には、リフタによって帯状薄鋼板がリフトアップされた状態では、帯状薄鋼板は周溝の上下幅に応じて上方へ移動及び下方への移動を制限され、間欠移送時の帯状薄鋼板のばたつきが抑制される。
【0027】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記接着剤塗布装置は、前記接着剤塗布面の複数の所定位置の各々に前記接着剤を転写するために、前記接着剤塗布面に向けて接着剤を吐出する複数の吐出孔を含む転写式のものである。
【0028】
この構成によれば、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が転写によって正確に行われる。
【0029】
本発明による積層鉄心の製造装置は、好ましくは、前記接着剤塗布装置は、前記各吐出孔に対して前記接着剤を、所定圧力をもって供給する接着剤供給装置と、前記各吐出孔が前記接着剤塗布面に対して前記接着剤を転写可能な転写位置と当該転写位置より退避して前記接着剤を転写不能な非転写位置との間に移動させる進退駆動装置とを有する。
【0030】
この構成によれば、吐出孔の位置を転写位置と非転写位置との何れか一方に選択的に設定するだけで、接着剤塗布面に対する接着剤の転写と非転写とが選択設定される。
【0031】
本発明による積層鉄心の製造装置は、帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、上側ホルダ及び下側ホルダと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダに設けられ、間欠移送される帯状薄鋼板から鉄心薄板を順次打ち抜く複数のパンチ及びダイと、前記上側ホルダに設けられ、各移送位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行うべく前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に嵌挿されるパイロットピンと、前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイの上面と対向する下面を有するストリッパプレートと、前記ストリッパプレートを前記下側ホルダに向けて付勢するストリッパ用ばねと、前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接する複数のリフタと、前記ストリッパプレートの上昇時に当該ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接し且つ前記各リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接した状態で当該帯状薄鋼板を前記ダイの上面より浮上させるべく前記各リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置とを有する。
【0032】
この構成によれば、パイロットピンが帯状薄鋼板のパイロット孔に嵌挿され、ストリッパプレートによって帯状薄鋼板がダイの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われ得るようになり、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。しかも、接着剤の塗布後に、リフタとストリッパプレートとによって帯状薄鋼板を上下から支えた状態で帯状薄鋼板をリフトアップ状態に戻すから、帯状薄鋼板の浮上過程で帯状薄鋼板が揺れ動くことが抑制され、帯状薄鋼板に塗布された接着剤が飛散することが抑制される。
【0033】
本発明による積層鉄心の製造方法は、上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、前記下側ホルダに設けられたガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限して前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程と、前記上側ホルダの降下により、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダに設けられたパンチ及びダイによって前記鉄心薄板の外形を打ち抜く打抜工程と、前記打抜工程前に前記上側ホルダ及び下側ホルダの少なくとも一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程とを有する。
【0034】
この製造方法によれば、帯状薄鋼板の間欠移送がガイド部材によって案内され、ガイド部材によって帯状薄鋼板が上方に移動することが制限された状態で、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われるので、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0035】
本発明による積層鉄心の製造方法は、好ましくは、前記移送工程は、前記上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイの上面より離れたリフトアップ状態で間欠移送する。
【0036】
この製造方法によれば、接着剤塗布面が帯状薄鋼板の下面であっても、接着剤塗布面に塗布された接着剤がダイの上面によって擦られることがない。
【0037】
本発明による積層鉄心の製造方法は、好ましくは、前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記移送工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程を更に有する。
【0038】
この製造方法によれば、帯状薄鋼板の位置決めが正確に行われるから、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0039】
本発明による積層鉄心の製造方法は、好ましくは、前記上側ホルダにストリッパ用ばねによって吊り下げられたストリッパプレートを、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記リフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられたダイの上面に押し付ける押付工程を更に有する。
【0040】
この製造方法によれば、パイロット挿入工程の完了後に、帯状薄鋼板をダイの上面に押し付けることが行われるから、換言すると、帯状薄鋼板がダイの上面に押し付けて拘束される以前の状態で、パイロットピンを帯状薄鋼板のパイロット孔に挿入することが行われるから、パイロット孔に対するパイロットピンの挿入が円滑に行われる。
【0041】
本発明による積層鉄心の製造方法は、好ましくは、前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記リフトアップ状態に戻す。
【0042】
この製造方法によれば、ストリッパプレートによって帯状薄鋼板がダイに押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われるから、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。しかも、上側ホルダの上昇過程で帯状薄鋼板が揺れ動くことが抑制され、帯状薄鋼板に塗布された接着剤が飛散することが抑制される。
【0043】
本発明による積層鉄心の製造方法は、上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、前記上側ホルダが上昇した状態において、リフタ用ばねによって上方に向けて付勢された態様で前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイの上面より離れたリフトアップ状態で間欠移送する移送工程と、前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記移送工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程と、前記上側ホルダにストリッパ用ばねによって吊り下げられたストリッパプレートを、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記リフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられたダイの上面に押し付ける押付工程と、間欠移送方向に間隔をおいて一列に設定された複数のプレス位置の各々において、前記押付工程完了後に前記上側ホルダの更なる降下により、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダに設けられたパンチ及びダイによる複数の金型セットによって前記帯状薄鋼板に内形及び外形を順次打ち抜く打抜工程と、前記内形を打ち抜く前記プレス位置と前記外形を打ち抜く前記プレス位置との間に、これらプレス位置と一列に設定され、前記上側ホルダ及び下側ホルダの少なくとも一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程とを有し、前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記リフトアップ状態に戻す。
【0044】
この製造方法によれば、パイロットピンが帯状薄鋼板のパイロット孔に嵌挿され、ストリッパプレートによって帯状薄鋼板がダイの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が行われるので、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。しかも、接着剤の塗布後に、リフタとストリッパプレートとによって帯状薄鋼板を上下から支えた状態で前記帯状薄鋼板をリフトアップ状態に戻すから、帯状薄鋼板のリフトアップ過程で帯状薄鋼板が揺れ動くことが抑制され、帯状薄鋼板に塗布された接着剤が飛散することが抑制される。
【0045】
本発明による積層鉄心の製造方法は、好ましくは、前記塗布工程は、複数の吐出孔の各々より接着剤を前記接着剤塗布面に向けて吐出し、前記接着剤塗布面の複数の所定位置の各々に前記接着剤を転写する工程を含む。
【0046】
この製造方法によれば、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が転写によって微細且つ正確に行われる。
【0047】
本発明による積層鉄心の製造方法は、前記鉄心薄板は複数のティース部を含み、前記ティース部に前記塗布点を少なくとも一つ有する。
【0048】
この製造方法によれば、互いに隣り合う鉄心薄板同士の接着がティース部でも行われ、接着強度が高い積層鉄心が生産される。
【発明の効果】
【0049】
本発明による積層鉄心の製造装置及び製造方法によれば、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】ステッピングモータの固定子に用いられる鉄心薄板の一例を示す平面図
【
図2】
図1に示されている鉄心薄板の製造に用いられる順送り金型装置におけるストリップレイアウトを示す説明図
【
図3】本発明による積層鉄心の製造装置及び製造方法によって製造される鉄心薄板を模式化した鉄心薄板を示す平面図
【
図4】
図3に示されている積層鉄心の製造に用いられる順送り金型装置におけるストリップレイアウトの一実施形態を示す説明図
【
図5】本発明による積層鉄心の製造装置の一つの実施形態を示す概略構成図
【
図6】本実施形態による積層鉄心の製造装置に用いられる接着剤装置を示す断面図
【
図7】本実施形態による接着剤装置の要部の拡大断面図
【
図8A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの上死点状態での断面図
【
図8B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの上死点状態での断面図
【
図9A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの降下過程1での断面図
【
図9B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの降下過程1での断面図
【
図10A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの降下過程2での断面図
【
図10B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの降下過程2での断面図
【
図11A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの降下過程3での断面図
【
図11B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの降下過程3での断面図
【
図12A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの下死点状態での断面図
【
図12B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの下死点状態での断面図
【
図13A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの上昇過程1での断面図
【
図13B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの上昇過程1での断面図
【
図14A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの上昇過程2での断面図
【
図14B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの上昇過程2での断面図
【
図15A】本実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの上昇過程3での断面図
【
図15B】本実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの上昇過程3での断面図
【
図16】本実施形態による製造装置の上死点状態でのリフトアップ部の拡大断面図
【
図17】本実施形態による製造装置の降下過程2でのリフトアップ部の拡大断面図
【
図18】本実施形態による製造装置の下死点状態でのリフトアップ部の拡大断面図
【
図19】本実施形態による製造装置の上昇過程1でのリフトアップ部の拡大断面図
【
図20】
図3に示されている積層鉄心の製造に用いられる順送り金型装置におけるストリップレイアウトの他の実施形態例を示す説明図
【
図21】
図3に示されている積層鉄心の製造に用いられる順送り金型装置におけるストリップレイアウトの他の実施形態例を示す説明図
【
図22A】他の実施形態による製造装置の内形打抜きステーションの上死点状態での断面図
【
図22B】他の実施形態による製造装置の接着剤塗布ステーションの上死点状態での断面図
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明に係る好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0052】
まず、積層鉄心の具体例として、ステッピングモータの固定子に用いられる積層鉄心を、
図1を参照して説明する。
【0053】
積層鉄心は同一形状をした複数の鉄心薄板Aを積層したものである。鉄心薄板Aは、帯状薄鋼板、つまりフープ材Fを、順送り金型を用いたプレス加工によって所定の形状に打ち抜いたものであり、外形打抜きによる円環状のヨーク部Bと、ヨーク部Bから径方向内方に突出した内形打抜きによる複数のティース部(磁極部)Cと、ヨーク部Bに打抜き形成された複数の貫通孔Dとを有し、ヨーク部B及びティース部Cの一方の面(接着剤塗布面)の複数の塗布点E1、E2に丸点状に塗布された接着剤によって隣り合うもの同士が接着されている。
【0054】
ここで用いられる接着剤としては、嫌気性接着剤(接着剤+硬化促進剤)、1液性エポキシ樹脂系接着剤、2液性エポキシ樹脂系接着剤(接着剤第1液+接着剤第2液または主剤+開始剤)、アクリル樹脂系接着剤等の熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤等が挙げられる。
【0055】
尚、
図1では、説明の便宜上、各塗布点E1、E2が鉄心薄板Aの上面に示されているが、実際には、各塗布点E1、E2は、接着剤が鉄心薄板Aの下面(接着剤塗布面)に塗布されるべく、鉄心薄板Aの下面に設定される。
【0056】
積層鉄心の製造工程は、フープ材Fの順送り金型装置(積層鉄心の製造装置)における間欠移送のもとに、
図2に示されているように、前半打抜き工程1~5、接着剤塗布工程6、外形打抜き工程7、回転積層工程8、及び加熱工程9を順に有する。
【0057】
前半打抜き工程では、フープ材Fに対してのパイロット孔Pの打抜き加工1と、内形下穴d1及び貫通孔Dの打抜き加工2と、スロット部S1の打抜き加工3と、内形d2の打抜き加工4と、ティース間スリットS2及びティース先端溝形部mの打抜き加工5とが、各打抜き加工に対応する形状のパンチとダイとによる各金型セット(不図示)によって順次行われ、鉄心薄板Aの外形打抜きを除く基本形状が形成される。
【0058】
接着剤塗布工程6は、前半打抜き工程1~5の後に実施される。フープ材Fへの接着剤の塗布は、
図1にその詳細が示されているように、ヨーク部Bが各スロット部S1に対応する位置に設定された複数の塗布点E1及び各ティース部Cの2箇所に設定された塗布点E2の各々に丸点状に行われる。ここでは、接着剤として、公知の嫌気性接着剤が用いられる。また、
図2でも、説明の便宜上、各塗布点E1、E2が鉄心薄板Aの上面側に示されているが、実際には、各塗布点E1、E2は鉄心薄板Aの下面側に設定される。
【0059】
外形打抜き工程7は接着剤塗布工程6の完了後に実施される。外形打抜き工程7は、鉄心薄板Aの外形d3に対応する形状のパンチとダイとによる金型セット(不図示)によって行われる。
【0060】
回転積層工程8は、外形打抜き工程7に続いて実施される。外形打抜き工程7のダイは、回転ダイであり、1枚の鉄心薄板Aの外形打抜きのたびに自身の中心軸線周りに所定の角度、例えば、90度回転する。これにより、外形打抜き工程7で打ち抜かれた鉄心薄板Aは、中心軸線周りの位置を変化させながら、既に打抜きが完了して回転ダイ内に積層されている鉄心薄板群G上に順次積層される。この回転積層によって各鉄心薄板Aに生じ得る微少な板厚偏差による影響を解消して製品(積層鉄心)の積み厚を精度よく管理することができる。そして鉄心薄板群Gは、回転ダイの下方に連なるスクイズリング(不図示)内に順次押し込まれる。
【0061】
新たに打ち抜かれた鉄心薄板Aが鉄心薄板群G上に積層される際には、新たに打ち抜かれた鉄心薄板Aの下面が、鉄心薄板群Gの最上層に位置する鉄心薄板Aの上面に密着することにより、新たに打ち抜かれた鉄心薄板Aの下面の塗布点E1、E2の各々に丸点状に塗布された接着剤が、最上層に位置する鉄心薄板Aの上面に予め塗布されている硬化促進剤と混合される。
【0062】
加熱工程9は、回転積層工程8の完了後に実施される。スクイズリングの下部には、加熱装置(不図示)が設けられており、この加熱装置によって鉄心薄板群Gは下方に移動しながら加熱される。これにより、各鉄心薄板A間の接着剤を加熱により硬化させて接着強度を高めることができる。このような接着剤の加熱装置としては、例えば、鉄心薄板群Gに対して熱風を吹き付けるヒータ装置を用いることができる。加熱装置による加熱の後に鉄心薄板群Gは各計量用の鉄心薄板Aの位置で分離され、所定枚数の鉄心薄板Aからなる積層鉄心Mが完成する。
【0063】
次に、積層鉄心の製造装置10の一つの実施形態を、
図4、
図5を参照して説明する。尚、以下の説明では、説明の簡素化のために、
図3に示されているように、円環形状に模式化した鉄心薄板Wについて説明する。鉄心薄板Wは、円形の内形ISの打抜き及び円形の外形OSの打抜きにより形成され、それらの打抜きによって得られる円環部Rの下面(接着剤塗布面)の円周方向の複数箇所に設定された各塗布点Eに接着剤を点状に塗布される。
【0064】
製造装置10は、順送り金型方式によるものであり、
図4、
図5に示されているように、パイロット孔打抜きステーションIと、内形打抜きステーションIIと、アイドルステーションIIIと、接着剤塗布ステーションIVと、アイドルステーションVと、外形打抜きステーションVIと、アイドルステーションVIIとを順送り方向に順に有し、フープ材Fの順送り方向の間欠移送のもとに、アイドルステーションIII、V、VII以外の各ステーションI、II、IV、VIが各工程を実行する。尚、パイロット孔打抜きステーションI、内形打抜きステーションII、外形打抜きステーションVIの各々で行われる打抜き加工部は斜線によって示されている。アイドルステーションIII、V、VIIでは、フープ材Fの空送りが行われる。
【0065】
製造装置10は、プレス機械の上部ラム(不図示)の下面に固定される板状の上側ホルダ12と、同プレス機械の下部テーブル(不図示)の上面に上側ホルダ12と正対して固定される板状の下側ホルダ14とを有する。
【0066】
上側ホルダ12の下部には、バッキングプレート16及びパンチプレート18によって、各ステーションI、II、VIに対応する位置に、パイロット孔打抜き用パンチ20、内形打抜き用パンチ22、外形打抜き用パンチ24が取り付けられている。
【0067】
上側ホルダ12の下方にはストリッパ28が吊下げボルト(不図示)によって上下方向に変位可能に取り付けられている。ストリッパ28は吊下げボルト(不図示)による吊り下げ支持によって上側ホルダ12に対する最降下位置が設定されている。ストリッパ28は、板状のストリッパ本体30とストリッパプレート32との接合体によって構成され、ストリッパプレート32の下面33が後述するダイプレート40及び各ダイ42、44、46の上面47に正対する。換言すると、ストリッパプレート32は、ダイプレート40及び各ダイ42、44、46の上面47に正対する下面33を有する。ストリッパプレート32には各パンチ20、22、24が貫通するパンチ挿通孔34、36、38が形成されている。
【0068】
下側ホルダ14の上面には板状のダイプレート40が取り付けられている。ダイプレート40には、各打抜きステーションI、II、VIに対応する位置に、パイロット孔打抜き用ダイ42、内形打抜き用ダイ44、外形打抜き用ダイ46が取り付けられている。パイロット孔打抜き用パンチ20とパイロット孔打抜き用ダイ42、内形打抜き用パンチ22と内形打抜き用ダイ44、外形打抜き用パンチ24と外形打抜き用ダイ46とは、各々対応し、各々金型セットをなしている。
【0069】
尚、ダイプレート40と各ダイ42、ダイ44、ダイ46との上面は面一であるので、以降、これらの上面を総称してダイプレート40の上面47と称する。
【0070】
ダイプレート40が接着剤塗布ステーションIVに対応する位置には接着剤塗布装置50が設けられている。接着剤塗布装置50は、駆動装置54によって駆動されるカム機構52によって上下移動し、上昇位置にある場合に、鉄心薄板Wの積層枚数を設定する計量時を除いた1回のプレス動作毎に接着剤をフープ材Fの下面の複数箇所(塗布点E)に点状に塗布(転写)する。
【0071】
パイロット孔打抜きステーションIでは、パイロット孔打抜き用パンチ20とパイロット孔打抜き用ダイ42とによって、1回のプレス動作毎、換言するとフープ材Fの1回の間欠移送毎にフープ材Fにパイロット孔P(
図4参照)を打ち抜くことが行われる。パイロット孔Pはフープ材Fの間欠移送方向(順送り方向)の両側(左右両側)の縁部近傍に各々に設けられる。
【0072】
内形打抜きステーションIIでは、内形打抜き用パンチ22と内形打抜き用ダイ44とによってフープ材Fの1回の間欠移送毎にフープ材Fに内形IS(
図4参照)を打ち抜くことが行われる。
【0073】
接着剤塗布ステーションIVでは、上昇位置にある接着剤塗布装置50によってフープ材Fの下面の塗布点Eに接着剤を丸点状に塗布することが行われる。尚、所定回の間欠移送毎に生じる鉄心薄板Wの積層枚数を設定する計量時には接着剤塗布装置50が降下位置に降下することにより、フープ材Fに対する接着剤の塗布は休止になる。
【0074】
外形打抜きステーションVIは、外形打抜き用パンチ24と外形打抜き用ダイ46とによってフープ材Fに外形OS(
図4参照)を打ち抜くことが行われる。この打抜きによって鉄心薄板Wが完成し、鉄心薄板Wは降下して外形打抜き用ダイ46内に順次積層される。外形打抜き用ダイ46内に積層された鉄心薄板Wは、接着剤を塗布されていない計量用のものを除いて上下に重なり合うもの同士で塗布点Eの接着剤によって互いに接着される。
【0075】
鉄心薄板Wの積層体は、外形打抜きステーションVIにおいて、下側ホルダ14に形成された排出孔48から下方外方に取り出され、必要に応じて接着剤の加熱硬化のための後処理工程に搬送される。
【0076】
次に、接着剤塗布装置50の詳細を、
図6及び
図7を参照して説明する。
【0077】
接着剤塗布装置50は、転写式のものであり、上部ブロック58と下部ブロック59との連結体による塗布台60を有する。塗布台60は下側ホルダ14及びダイプレート40に形成された保持孔56に上下動可能に嵌挿されている。
【0078】
塗布台60の下部にはカム機構52が設けられている。カム機構52は、下部ブロック59の底部に固定された板カムによる固定カム74と、下部ブロック59の底部に移動可能に設けられた板カムによる移動カム76とを含む。移動カム76は駆動装置54に連結され、駆動装置54によって
図6で見て左右方向に往復駆動される。固定カム74は下面に鋸歯山部74Aと鋸歯谷部74Bとを左右方向に交互に有した鋸歯形状部を含み、移動カム76は上面に鋸歯山部76Aと鋸歯谷部76Bとを交互に有した鋸歯形状部を含む。
【0079】
図示されているように、固定カム74の鋸歯山部74Aと移動カム76の鋸歯山部76Aとが整合する位置に移動カム76がある時には塗布台60は上昇位置(転写位置)に位置する。上昇位置では上部ブロック58の上面61はダイプレート40の上面47より段差αだけ下方に位置する。
【0080】
移動カム76が駆動装置54によって
図6で見て左側に駆動され、固定カム74の鋸歯谷部74Bと移動カム76の鋸歯山部76Aとが互いに整合する位置に移動カム76が位置すると、塗布台60及び固定カム74が降下(下方へ退避)し、塗布台60が降下位置に位置する。この降下位置(非転写位置)では、上部ブロック58の上面61はダイプレート40の上面47に対して段差αを超えた大きい段差をもって下方に位置する。
【0081】
上部ブロック58には、円環溝による接着剤溜まり部62と、接着剤溜まり部62から上部ブロック58の水平な上面61まで上下方向(垂直方向)に延在して上面61に開口した複数の吐出孔64とが形成されている。各吐出孔64は接着剤塗布ステーションIVに位置するフープ材F(鉄心薄板W)の各塗布点Eに対応する位置に配置されている。
【0082】
上部ブロック58内には内部ブロック66が取り付けられている。内部ブロック66には接着剤溜まり部62に接着剤を供給する接着剤供給通路68が形成されている。接着剤供給通路68には可撓性を有する接着剤供給チューブ70が接続されている。接着剤供給チューブ70は接着剤供給装置72に接続されている。接着剤供給装置72は、接着剤を所定圧力に加圧し、加圧した接着剤を計量して所定流量をもって接着剤供給チューブ70及び接着剤供給通路68を介して接着剤溜まり部62に供給する。これにより、各吐出孔64には接着剤溜まり部62から接着剤が常時所定圧力をもって供給される。
【0083】
尚、本実施形態では、接着剤供給チューブ70及び接着剤供給通路68は2個設けられ、接着剤溜まり部62の周方向に180度離れた2箇所に接着剤を供給するようなっているが、このことは必須ではなく、これらの個数、供給位置は、接着剤溜まり部62の全域における接着剤の圧力を適正な圧力に保つために必要な接着剤の供給量を確保するのに必要な個数、供給位置であればよい。接着剤の適正な圧力は、吐出孔64の大きさ、個数や吐出孔64の配置等によって決まる。
【0084】
接着剤溜まり部62の接着剤は各吐出孔64から塗布台60の上方に吐出される。接着剤溜まり部62における接着剤の圧力が所定値に保たれ、且つ接着剤が所定の粘性を有することにより、各吐出孔64から外部に吐出した接着剤は、
図7に示されているように、上部ブロック58の上面61の上方に略半球状に盛り上がった盛上部Nを常時形成する。盛上部Nの高さが段差αより少し大きいことにより、塗布台60が上昇位置(転写位置)にあり、フープ材Fの下面がダイプレート40の上面47に接触する位置にフープ材Fが降下する時に、フープ材Fの下面に各吐出孔64における接着剤の盛上部Nが接触し、各塗布点Eに対して接着剤が丸点状に転写される。
【0085】
接着剤塗布装置50が盛上部Nを間欠的に形成するものである場合には、フープ材Fの下面がダイプレート40の上面47に接触する位置にフープ材Fが位置した状態下で盛上部Nが形成されるようにタイミングが設定されることにより、フープ材Fの下面がダイプレート40の上面47に接触した状態で各塗布点Eに対して接着剤が丸点状に転写される。
【0086】
各塗布点Eに対する接着剤の転写量は、段差α及び盛上部Nの大きさ(体積)によって制御することができる。盛上部Nの大きさは、接着剤溜まり部62における接着剤の圧力、接着剤の粘度、吐出孔64の内径等によって定量的に決まるから、これらの諸元の最適設定によって各塗布点Eに対する接着剤の転写量を最適値に設定することができる。
【0087】
このような吐出孔64が用いられた転写式の接着剤の塗布では、隣り合う吐出孔64のピッチを小さくすることにより、塗布点Eの最小ピッチを吐出孔64の内径より少し大きい寸法に設定することができる。これにより、ティース部Cが小さくても、ティース部Cの複数箇所に塗布点Eを設定することができる。このことは、複数の鉄心薄板Wの積層接着において、ティース部Cの接着強度を向上することに寄与する。
【0088】
塗布台60が降下位置(非転写位置)にある時には、上部ブロック58の上面61がダイプレート40の上面47に対して段差αを超えた大きい段差をもって下方に位置するから、規定された大きさの接着剤の盛上部Nがフープ材Fの下面に接触することがなく、フープ材Fの下面に接着剤が転写されることがない。したがって、鉄心薄板Wの積層枚数を設定する計量時には、塗布台60が降下位置に移動すればよい。
【0089】
上側ホルダ12には、
図8A及び
図8Bに示されているように、ノックアウト26が取り付けられている。尚、
図8Aは各打抜きステーションを代表して内形打抜きステーションIIを、
図8Bは接着剤塗布ステーションIVを各々示している。
【0090】
ノックアウト26は、ストリッパ本体30の上部に当接する下端26Aと、上側ホルダ12に形成された貫通孔13に上下動可能に嵌合した軸部26Cと、上側ホルダ12に形成されたばね室15内に位置する上端フランジ26Bとを有する。ばね室15の上部は上側ホルダ12に固定されたプラグ17によって閉じられている。プラグ17と上端フランジ26Bとの間には圧縮コイルばねによるストリッパ用ばね(ノックアウト用ばね)29が設けられている。ストリッパ用ばね29はノックアウト26を下方へ付勢している。
【0091】
上側ホルダ12の最降下位置(下死点位置)は、プレス機械の上部ラム(不図示)の下死点において、
図12A及び
図12Bに示されているように、下側ホルダ14の左右両側に設けられたストッパ82の上面に上側ホルダ12の下面が当接することにより決まる。上側ホルダ12が最降下位置に位置した時には、ストリッパプレート32は、フープ材Fに当接し、ストリッパ用ばね29の圧縮変形を伴って上側ホルダ12に対して降下変位した状態で、フープ材Fをダイプレート40の上面47に押し付ける。
【0092】
上側ホルダ12に対するストリッパ28の上下方向の相対変位ストロークは、各パンチ20、22、24の各ダイ42、44、46に対する進入ストロークより大きい。進入ストロークとは、
図12Aに示されているように、上側ホルダ12が最降下位置にある状態において、各パンチ20、22、24が各ダイ42、44、46に進入している進入量に相当するストロークである。
【0093】
つまり、ストリッパプレート32を含むストリッパ28は、上側ホルダ12に対する最降下位置と、ストリッパ用ばね29の弾性変形を伴ってストリッパ28が上側ホルダ12に対して相対移動してフープ材Fを下側ホルダ14のダイプレート40の上面47に押し付ける位置との間のストロークが、パンチ20、22、24が各ダイ42、44、46に進入する最大進入ストロークより大きい。
【0094】
このストローク設定により、打抜き後の上側ホルダ12の上昇過程において、各パンチ20、22、24が各ダイ42、44、46及びフープ材Fから抜け出した以降に、上側ホルダ12と共にストリッパ28が上昇し、ストリッパ28によるフープ材Fの押さえが解除される。これにより、各パンチ20、22、24が各ダイ42、44、46から抜け出した状態になるまでフープ材Fがストリッパ28によってダイプレート40の上面47に押し付けられた状態が維持される。
【0095】
パイロット孔打抜きステーションIを除く各ステーションII~VIIには、
図8Aに示されているように、各ステーションII~VIIにおいてフープ材Fのパイロット孔Pに進入可能なパイロットピン84が設けられている。尚、接着剤塗布ステーションIVに設けられるパイロットピン84は、
図8Bでは、図示を省略している。
【0096】
各パイロットピン84は、上端フランジ84A、ストレート軸部84B、下端テーパ軸部84Cを軸線方向に順に有する。各パイロットピン84は、上側ホルダ12に形成された取付孔86に挿入されてバッキングプレート16及びパンチプレート18に形成された貫通孔88、ストリッパ28に形成された貫通孔90を上下に摺動可能に貫通し、下端テーパ軸部84Cに加えてストレート軸部84Bの下部側が上側ホルダに対する最降下位置にあるストリッパプレート32の下面33より下方に突出している。
【0097】
この設定により、上側ホルダ12の降下過程において、ストリッパプレート32の下面33がフープ材Fに当接する以前に、各パイロットピン84のストレート軸部84Bが対応するパイロット孔Pに進入し、フープ材Fの順送り方向及びダイプレート40の上面47においてフープ材Fの順送り方向に直交方向、つまり左右方向の位置決めが行われる。
【0098】
各パイロットピン84は、上端フランジ84Aの下面が取付孔86の底面をなすバッキングプレート16の上面に当接することにより最降下位置(下限位置)を設定され、取付孔86の上部を閉じるべく上側ホルダ12に固定されたプラグ92と上端フランジ84Aとの間に設けられた圧縮コイルばね94のばね力によって下方に付勢されている。このばね付勢構造は、パイロットピン84がパイロット孔Pに正しく入らなかった場合に、パイロットピン84に損傷が生じることを回避する逃げ構造である。尚、ダイプレート40にはパイロットピン84が進入するピン逃げ孔41が形成されている。
【0099】
次に、フープ材Fの送り案内構造及びリフトアップ構造を、
図4、
図8A及び
図8Bを参照して説明する。下側ホルダ14上に、図示実施形態では下側ホルダ14に固定されているダイプレート40上に、フープ材Fの間欠移送方向(順送り方向)に沿う方向の当該薄鋼板のフープ材Fの移送を案内する左右のガイド部材100が左右対称に取り付けられている。左右のガイド部材100は、各々、フープ材Fの順送り方向に長い帯状のものであり、
図4に示されているように、ステーションII、IV、VIに対応する領域を除いてフープ材Fの順送り方向に間欠的に設けられている。
【0100】
左右のガイド部材100は、
図16に示されているように、ダイプレート40の上面47に上方から所定間隔Tをおいて対向する水平壁による下面102及びフープ材Fの左右の端面に所定間隙をおいて対向する縦壁による側面103とを有し、互いに対向する側が鉤形の横断面形状になっている。ガイド部材100の下面102及び側面103とダイプレート40の上面47とは互いに協働してフープ材Fの順送り方向に延在する矩形横断面形状の内側開口の左右の案内溝104を画定している。
【0101】
フープ材Fの左右の側縁部が各々左右の案内溝104に入り込むことにより、各ガイド部材100は、側面103によってフープ材Fの左右方向の移動を制限すると共に下面102によってフープ材Fの上方への移動を制限してフープ材Fの間欠移送を案内する。
【0102】
これにより、フープ材Fの間欠移送時に、フープ材Fが左右方向及び上下方向にずれ動くことが抑制されると共に、フープ材Fの接着剤塗布面(下面)に対する接着剤の塗布時にフープ材Fが左右方向及びダイプレート40の上面47から上方に移動することを制限される。これにより、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。尚、フープ材Fは、ダイプレート40の上面47上に載置されていることにより、或いは後述するリフタピン110によるリフトアップにより下方への移動を制限(阻止)される。
【0103】
上述の所定間隔Tは、後述するリフタピン110によるフープ材Fのリフトアップ量Lとフープ材Fの板厚との合計値より大きい。この設定により、フープ材Fがリフタピン110によってリフトアップされた状態でも、フープ材Fがガイド部材100の下面102に当接することがない。このことにより、フープ材Fの間欠移送時にフープ材Fの上面がガイド部材100の下面102に摺接することがなく、ガイド部材100がフープ材Fの間欠移送時の摩擦抵抗を増大することがない。
【0104】
図4に示されているように、ダイプレート40の左右両側には、各々、フープ材Fの順送り方向に所定の間隔をおいてリフタピン110が設けられている。各リフタピン110の配置位置は、平面視で各ガイド部材100の配置位置に重合する。
【0105】
各リフタピン110は、
図8A及び
図8Bに示されているように、ダイプレート40の上面47に開口すべくダイプレート40及び下側ホルダ14に形成されたリフタピン孔112に上下方向に変位可能に設けられ、上端側がダイプレート40の上面47上に露呈している。各リフタピン110と各リフタピン孔112の底部との間には圧縮コイルばねによるリフタ用ばね114が設けられている。各リフタ用ばね114は対応する各リフタピン110を上方に向けて付勢している。
【0106】
各リフタピン110の上端面の略半分はフープ材Fの下面に当接し、残りの半分はガイド部材100に形成されたストッパ面106に当接可能になっている。これにより、各リフタピン110は、
図8A、
図8B及び
図16に示されているように、フープ材Fがストリッパ28によって押し下げられていない時には、リフタ用ばね114によるばね付勢によって上端面がストッパ面106に当接する上昇位置に位置し、フープ材Fをダイプレート40の上面47より浮上(リフトアップ)させる。各リフタピン110は、フープ材Fがストリッパ28によって押し下げられた時には、
図11A、
図11B及び
図18に示されているようにフープ材Fによって各リフタ用ばね114のばね力に抗して降下し、全体が各リフタピン孔112内に沈下する。
【0107】
リフタピン110によるフープ材Fのリフトアップ量Lは、
図16に示されているように、リフタピン110の上面がガイド部材100の下向きのストッパ面106に当接することにより決まり、当該リフトアップ量Lはフープ材Fの下面に転写される接着剤の塗布厚さ(最大厚さ)より大きい値に設定されている。
【0108】
次に、
図8A、
図8B~
図15A、
図15B及び
図16~
図19を参照して、上述の構成による製造装置10の動作について説明する。尚、
図8A~
図15Aは各打抜きステーションを代表して内形打抜きステーションIIの動作を、
図8B~
図15Bを接着剤塗布ステーションIVの動作を各々示している。パイロット孔打抜きステーションI及び外形打抜きステーションVIの動作は内形打抜きステーションIIの動作と実質的に同じであるので、それらの動作説明は省略する。
【0109】
図8A及び
図8Bは、プレス開始状態として、プレス機械の上部ラム(不図示)が上死点にあって上側ホルダ12の最上昇位置(上死点位置)にある状態を示している。このプレス開始状態では、内形打抜き用パンチ22、ストリッパ28及びパイロットピン84がダイプレート40の上方に離間した位置にある。フープ材Fはリフタピン110によってダイプレート40の上面47から離間した浮上位置(リフトアップ状態)にある(
図16参照)。フープ材Fは、リフトアップ状態で、下面がダイプレート40の上面47に摺接することなく、不図示の間欠送り装置によって所定量ずつ順送り方向に間欠移送される。
【0110】
一回の間欠移送が完了すると、あるいは間欠移送過程で、
図9A及び
図9Bに示されているように、上側ホルダ12が上死点位置から降下を開始する。上側ホルダ12の降下が進むと、
図10A及び
図10Bに示されているように、ストリッパ28がフープ材Fをダイプレート40の上面47に押し付ける以前に、各パイロットピン84の下端テーパ軸部84Cに続いてストレート軸部84Bがフープ材Fのパイロット孔Pに進入する。これにより、製造装置10に対するフープ材Fの移送方向(順送り方向)及び左右方向の位置決めが行われる。
【0111】
この位置決めは、フープ材Fがダイプレート40の上面47からリフトアップした状態で行われるから、位置決めのためのフープ材Fの製造装置10に対する移送方向及び左右方向の移動が低い摩擦抵抗で行われる。
【0112】
上側ホルダ12の降下が更に進むと、
図11A及び
図11Bに示されているように、ストリッパプレート32の下面33がフープ材Fの上面に当接し(
図17参照)、ストリッパ28がリフタ用ばね114のばね力に抗してリフタピン110と共にフープ材Fをダイプレート40の上面47に当接する位置まで押し下げる(
図18参照)。尚、この時には、ストリッパ用ばね29とリフタ用ばね114との総合的なばね力設定によってストリッパ用ばね29が圧縮変形することがなく、ストリッパ28は上側ホルダ12に対する最降下位置にあることを維持する。
【0113】
上側ホルダ12の降下が更に進むと、
図12A及び
図12Bに示されているように、ストリッパ用ばね29が圧縮変形しつつ上側ホルダ12がストリッパ28に対して降下し、上側ホルダ12の下面がストッパ82の上面に当接する下死点に位置する。これにより、内形打抜きステーションIIでは、
図12Aに示されているように、ばね付勢のストリッパ28によってフープ材Fがダイプレート40の上面47に押し付けられたクランプ状態で、内形打抜き用パンチ22が内形打抜き用ダイ44に進入し、内形ISの打抜きが行われる。また、接着剤塗布ステーションIVでは、ばね付勢のストリッパ28によってフープ材Fがダイプレート40の上面47に押し付けられる時に、各吐出孔64から吐出された接着剤の盛上部Nがフープ材Fの下面の対応する塗布点Eに転写される(
図7参照)。
【0114】
この接着剤の転写は、ガイド部材100によってフープ材Fの左右方向の移動が制限され且つフープ材Fの上方への移動が制限され、パイロットピン84によってフープ材Fの位置決めが行われた状態で行われるから、塗布点Eが小さくても、各塗布点Eに対して接着剤の転写が位置精度よく正確に行われる。
【0115】
また、接着剤の転写が、フープ材Fの下面がダイプレート40の上面47に押し付けられる時に、フープ材Fが振動できない状態で行われるから、内形ISの打抜きと接着剤の転写とが同時に行われても、内形打抜きステーションIIにおける打抜き衝撃によってフープ材Fが振動した状態で接着剤の転写が行われることがなく、各塗布点Eに対して接着剤の転写が正確に行われる。このことによっても、塗布点Eが小さくても各塗布点Eに対して接着剤の転写が位置精度よく正確に行われる。
【0116】
内形ISの打抜き及び接着剤の転写が完了すると、
図13A及び
図13Bに示されているように、上側ホルダ12が下死点から上昇を開始する。上側ホルダ12が下死点から上昇すると、まず、内形打抜き用パンチ22が内形打抜き用ダイ44から上方に抜け出す。前述の如くストリッパ28が上側ホルダ12に対して相対移動する前述のストロークが、内形打抜き用パンチ22が内形打抜き用ダイ44に進入する最大進入ストロークより大きいことにより、内形打抜き用パンチ22が内形打抜き用ダイ44から抜け出した状態になるまでフープ材Fがストリッパ28によってダイプレート40の上面47に押し付けられた状態が維持される。
【0117】
これにより、内形打抜き用パンチ22が内形打抜き用ダイ44及びフープ材Fの打抜き開口から抜け出す際の摩擦によって振動が生じても、振動が接着剤塗布ステーションIVのフープ材Fに伝わることがなく、フープ材Fの塗布点Eに転写されている接着剤の転写形状が崩れたり、飛散したりすることがない。
【0118】
上側ホルダ12の上昇が進むと、
図14A及び
図14Bに示されているように、上側ホルダ12と共にストリッパ28が上昇し、各リフタピン110がリフタ用ばね114のばね力によって上昇し、フープ材Fが持ち上げられる。各リフタピン110がストッパ面106に当接することにより、フープ材Fはダイプレート40の上面47から離れた浮上位置(リフトアップ状態)に戻る。
【0119】
このフープ材Fの上昇は、
図19に示されているように、ガイド部材100によってフープ材Fが左右方向にずれ動くことを阻止され、且つストリッパ28がフープ材Fの上面に当接し且つリフタピン110がフープ材Fの下面に当接し、フープ材Fがストリッパ28とリフタピン110とによって上下から支えられた状態で行われるから、フープ材Fが上昇過程で揺れ動くことが抑制される。これにより、フープ材Fの上昇過程(リフトアップ過程)で、フープ材Fの塗布点Eに転写されている接着剤の転写形状が崩れたり、飛散したりすることが抑制される。
【0120】
上側ホルダ12の上昇が更に進むと、
図15A及び
図15Bに示されているように、パイロットピン84がパイロット孔Pから上方に抜け出し、その後、上側ホルダ12が
図8A及び
図8Bに示されている上死点位置に戻る。パイロットピン84がパイロット孔Pから抜け出した時点でフープ材Fの間欠移送が開始される。この間欠移送は、フープ材Fがリフタピン110によりリフトアップされて下面がリフトアップ量L(
図16参照)だけダイプレート40の上面47から離れた状態で行われるから、フープ材Fの下面の塗布点Eに転写された接着剤がダイプレート40の上面47によって擦られることがない。
【0121】
この間欠移送は、ガイド部材100によってフープ材Fの上方への移動が制限され、且つフープ材Fが左右方向にずれ動くことを制限された状態で行われるから、フープ材Fの移送過程で、フープ材Fの塗布点Eに転写されている接着剤の転写形状が崩れたり、飛散したりすることがない。間欠移送は次の打抜き工程が開始される以前に完了する。
【0122】
これらのことにより、鉄心薄板Wの接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われ、しかも、鉄心薄板Wの接着剤塗布面に塗布された接着剤が周りに拡散して転写形状が崩れたり、飛散したりすることがなく、小型の積層鉄心であっても高品質の積層鉄心が安定して生産されるようになる。
【0123】
他の実施形態として、
図20に示されているように、パイロット孔Pは、ガイド部材100に貫通形成されたパイロットピンガイド孔108の真下に対応する位置に形成されていてもよい。この場合には、フープ材Fのばたつきを抑えた状態でパイロット孔Pに対するパイロットピン84の挿入が精度よく行われる。また、パイロットピン84(
図8A参照)がパイロットピンガイド孔108を貫通してパイロット孔Pに進入するので、パイロットピン84によるフープ材Fの位置決め精度が向上する。
【0124】
【0125】
本実施形態では、
図21に示されているように、ガイド部材100が省略され、リフタピン120がフープ材Fのガイド部材を兼ねている。リフタピン120は、ダイプレート40の左右両側に、各々、フープ材Fの順送り方向に所定の間隔をおいてリフタピン110が設けられている。
【0126】
各リフタピン120は、
図22A及び
図22Bに示されているように、ダイプレート40の上面47に開口すべくダイプレート40及び下側ホルダ14に形成されたリフタピン孔122に上下方向に変位可能に設けられ、上端側がダイプレート40の上面47上に突出している。各リフタピン120と各リフタピン孔122の底部との間には圧縮コイルばねによるリフタ用ばね124が設けられている。各リフタ用ばね124は対応する各リフタピン110を上方に向けて付勢している。各リフタピン120は、フープ材Fがストリッパ28によって押し下げられていない時には、リフタ用ばね124によるばね付勢によって段差部120Aがダイプレート40と下側ホルダ14との接合に設けられた肩部116に当接する上昇位置に位置し、フープ材Fがストリッパ28によって押し下げられた時には、フープ材Fによって各リフタ用ばね114のばね力に抗して降下した降下位置に位置する。
【0127】
各リフタピン120はダイプレート40の上面47上に突出した部分の外周に周溝126を有する。各周溝126は、上述の実施形態の案内溝104と同様に、矩形横断面形状をなし、当該周溝126にフープ材Fの左右の側縁部が入り込むことにより、上昇位置ではフープ材Fをダイプレート40の上面47より浮上(リフトアップ)させ、降下位置では、フープ材Fをダイプレート40の上面47上に載置する。また、左右の各リフタピン120の周溝126にフープ材Fの左右の側縁部が入り込むことにより、各リフタピン120はフープ材Fの左右方向の移動を制限してフープ材Fの間欠移送を案内すると共に、リフトアップ時にはフープ材Fの上方への移動を制限することに加えてフープ材Fが下方へ移動することを制限する。
【0128】
これにより、フープ材Fの間欠移送時及び接着剤塗布面に対する接着剤の塗布時に、フープ材Fが左右方向にずれ動くこと及びフープ材Fが上方および下方に移動することが制限され、この制限によってフープ材Fがばたつくことを抑制し、接着剤塗布面に対する接着剤の塗布が正確に行われる。
【0129】
本実施形態は、上述のリフタピン120によるフープ材Fのリフトアップ構造以外は前述の実施形態と実質的に同じであるので、本実施形態でも、前述の実施形態の作用効果が得られる。
【0130】
本実施形態では、リフタピン120がフープ材Fのガイド部材を兼ねるので、部品点数の削減が図られる。
【0131】
本発明による積層鉄心の製造装置の他の実施形態として以下のものがある。
【0132】
(1)帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、上側ホルダ及び下側ホルダと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダにそれぞれ設けられ、間欠移送される帯状薄鋼板から鉄心薄板を順次打ち抜く複数のパンチ及びダイと、前記上側ホルダに設けられ、各移送位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行うべく前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に嵌挿されるパイロットピンと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置とを有する。
【0133】
(2)帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、上側ホルダ及び下側ホルダと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダにそれぞれ設けられ、間欠移送される帯状薄鋼板から鉄心薄板を順次打ち抜く複数のパンチ及びダイと、前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイの上面と対向する下面を有するストリッパプレートと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置とを有する。この場合、積層鉄心の製造装置は、前記ストリッパプレートを前記下側ホルダに向けて付勢するストリッパ用ばねを更に有し、前記ストリッパプレートは前記下面を前記ストリッパ用ばねのばね力によって前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面に押し付けるように構成されていてもよい。更には、前記ストリッパプレートは前記下面によって前記帯状薄鋼板を前記パンチが前記ダイから抜け出すまで前記ダイの上面に押し付けるように構成されていてもよい。
【0134】
(3)帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、上側ホルダ及び下側ホルダと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダにそれぞれ設けられ、間欠移送される帯状薄鋼板から鉄心薄板を順次打ち抜く複数のパンチ及びダイと、前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接して前記帯状薄鋼板を前記ダイの上面より離間させるための複数のリフタと、前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置とを有する。この場合、前記ストリッパプレートの上昇時に当該ストリッパプレートと前記各リフタとによって前記帯状薄鋼板を上下から支えた状態で当該帯状薄鋼板を前記ダイの上面より離間させるべく前記各リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねとを更に有していてもよい。
【0135】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0136】
例えば、接着剤(接着剤第1液)の塗布台60は、計量時のみ降下するもの以外に、プレス動作に同期して降下と上昇とを繰り返すものでもよい。硬化促進剤または開始剤(接着剤第2液)の塗布は、連続でもよいし、フープ材Fが停止している場合のみ塗布してもよい。また、硬化促進剤または開始剤(接着剤第2液)の塗布は、フープ材F全体でもよいし、部分的でもよい。また、複数の接着剤溜まり部62が設けられ、各接着剤溜まり部62からエリア毎の吐出孔64へ接着剤を供給してもよい。接着剤溜まり部62への接着剤の供給は、連続でもよいし、プレス動作に同期して断続でもよい。接着剤の塗布は転写に限られることなく、ジェット方式による噴射塗布でもよい。フープ材Fに対する接着剤の塗布はフープ材Fの上面あるいは下面及び上面の両面であってもよい。接着剤の塗布形状は、丸点状に限られることなく、円環状、三角、四角、異形状等であってもよい。
【0137】
積層鉄心の種類によっては、内形打抜きが不要のものがあり、この場合には、内形打抜きが省略されればよい。また、パイロットピン84も必須ではない。積層鉄心の平面形状としては、円環形、円形以外に、方形、T形、U形等がある。
【0138】
ストリッパプレート32によってフープ材Fをダイプレート40、ダイ44、42、46及び塗布台60の上面に押し付けることは必須でなく、ストリッパプレート32は、パンチ22、24がダイ44、46から抜け出すまで、フープ材Fをダイプレート40、ダイ44、46及び塗布台60の上面との間に、フープ材Fの上下方向の変位を制限するものであってよい。
【0139】
ストリッパプレート32及びリフタピン110の配置は、互いに左右方向にオフセットされていて平面視で重ならない配置以外に、フープ材Fを上下から挟むべく、平面視で互いに重なる配置であってもよい。リフタピン110はフープ材Fの左右方向の中間部に配置されていてもよい。
【0140】
接着剤塗布装置50による接着剤塗布は、接着剤塗布後のフープ材Fの搬送距離が短くなることに鑑み外径打抜き工程の直前であることが好ましいが、必ずしも外径打抜き工程の直前でなくてもよい。加熱工程や回転積層工程は必須ではない。
【0141】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。例えば、パイロットピン、ガイド部材、ストリッパ構造は必須でなく、これらは省略されてもよい。
【符号の説明】
【0142】
10 :製造装置
12 :上側ホルダ
13 :貫通孔
14 :下側ホルダ
15 :ばね室
16 :バッキングプレート
17 :プラグ
18 :パンチプレート
20 :パイロット孔打抜き用パンチ
22 :内形打抜き用パンチ
24 :外形打抜き用パンチ
26 :ノックアウト
26A :下端
26B :上端フランジ
26C :軸部
28 :ストリッパ
29 :ストリッパ用ばね
30 :ストリッパ本体
32 :ストリッパプレート
33 :下面
34 :パンチ挿通孔
36 :パンチ挿通孔
38 :パンチ挿通孔
40 :ダイプレート
41 :ピン逃げ孔
42 :パイロット孔打抜き用ダイ
44 :内形打抜き用ダイ
46 :外形打抜き用ダイ
47 :上面
48 :排出孔
50 :接着剤塗布装置
52 :カム機構
54 :駆動装置
56 :保持孔
58 :上部ブロック
59 :下部ブロック
60 :塗布台
61 :上面
62 :接着剤溜まり部
64 :吐出孔
66 :内部ブロック
68 :接着剤供給通路
70 :接着剤供給チューブ
72 :接着剤供給装置
74 :固定カム
74A :鋸歯山部
74B :鋸歯谷部
76 :移動カム
76A :鋸歯山部
76B :鋸歯谷部
82 :ストッパ
84 :パイロットピン
84A :上端フランジ
84B :ストレート軸部
84C :下端テーパ軸部
86 :取付孔
88 :貫通孔
90 :貫通孔
92 :プラグ
94 :圧縮コイルばね
100 :ガイド部材
102 :下面
103 :側面
104 :案内溝
106 :ストッパ面
108 :パイロットピンガイド孔
110 :リフタピン
112 :リフタピン孔
114 :リフタ用ばね
116 :肩部
120 :リフタピン
120A:段差部
122 :リフタピン孔
124 :リフタ用ばね
126 :周溝
I :パイロット孔打抜きステーション
II :内形打抜きステーション
III :アイドルステーション
IV :接着剤塗布ステーション
V :アイドルステーション
VI :外形打抜きステーション
VII :アイドルステーション
T :所定間隔
L :リフトアップ量
A :鉄心薄板
W :鉄心薄板
M :積層鉄心
F :フープ材(帯状薄鋼板)
E :塗布点
E1 :塗布点
E2 :塗布点
G :鉄心薄板群
【手続補正書】
【提出日】2023-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠移送される帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、
上側ホルダ及び下側ホルダと、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるストリッパプレートと、
前記下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、前記帯状薄鋼板の下面に当接して前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間させるための複数のリフタと、
前記ストリッパプレートの上昇時に当該ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接し且つ前記各リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間させるべく前記各リフタを上方に向けて付勢する複数のリフタ用ばねと、
を有し、
前記接着剤塗布面に接着剤を塗布された前記帯状薄鋼板は、前記ストリッパプレートと前記複数のリフタとによって上下から支えられた状態で前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間する、積層鉄心の製造装置。
【請求項2】
前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材を更に有する請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項3】
前記複数のリフタは、前記帯状薄鋼板の間欠移送方向の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の左右方向の移動を制限するリフタピンをそれぞれ含み、
前記各リフタピンは、前記帯状薄鋼板の側縁部が入り込む周溝を有し、前記周溝は、前記帯状薄鋼板の前記側縁部における下面に当接する請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項4】
前記複数のリフタは、前記帯状薄鋼板の前記下面に当接するリフタピンをそれぞれ含み、
前記各リフタピンは、前記帯状薄鋼板の移送方向に直交する左右方向の中間部に配置されている請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。
【請求項5】
上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、
前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程とを有し、
前記塗布工程は、前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、
前記接着剤塗布面に接着剤を塗布された前記帯状薄鋼板は、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記ストリッパプレートと前記複数のリフタとによって上下から支えられた状態で前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面より離間する積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、前記上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つ前記リフタ用ばねによって上方に向けて付勢された前記リフタにより前記帯状薄鋼板を、前記ダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程を更に有する請求項5に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
前記帯状薄鋼板の上面に前記接着剤の硬化促進剤を塗布する硬化促進剤塗布工程を更に有する請求項5または請求項6に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項8】
前記硬化促進剤塗布工程では、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に連続的に塗布される請求項7に記載の積層鉄心の製造方法。
【請求項9】
前記硬化促進剤塗布工程では、前記帯状薄鋼板が前記間欠移送において停止している場合にのみ、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に塗布される請求項7に記載の積層鉄心の製造方法。