(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083557
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】アンチセンス送達のための細胞透過性ペプチド
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20230608BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230608BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230608BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230608BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230608BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230608BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230608BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20230608BHJP
C07K 7/04 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K47/64
A61P21/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P31/16
A61K48/00
C12N15/113 Z ZNA
C07K7/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071470
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2020521453の分割
【原出願日】2018-10-17
(31)【優先権主張番号】62/573,379
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501237039
【氏名又は名称】サレプタ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン エム. ウォルフ
(72)【発明者】
【氏名】コリン エム. ファドゼン
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ニン チュ
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ エル. ホールデン
(72)【発明者】
【氏名】モニカ ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ガンナー ジェイ. ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー エル. ペンテルート
(57)【要約】
【課題】オリゴヌクレオチド、細胞透過性ペプチドおよびペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供すること。
【解決手段】それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、本明細書において記載されているオリゴヌクレオチド、ペプチドおよびペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法も、本明細書において提供される。細胞透過性ペプチド(CPP)に共有結合的に結合しているオリゴヌクレオチドを含む、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、本明細書において提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月17日に出願された米国仮出願第62/573,379号の優先権を主張するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アンチセンス技術は、選択的スプライス産物を含む1つまたは複数の特異的な遺伝子産物の発現をモジュレートするための手段を提供し、いくつかの治療的、診断的および研究適用において独自に有用である。アンチセンス技術の背後にある原理は、標的核酸とハイブリダイズするアンチセンス化合物、例えばオリゴヌクレオチドが、いくつかのアンチセンス機構のいずれか1つを通して、転写、スプライシングまたは翻訳等の遺伝子発現活性をモジュレートすることである。アンチセンス化合物の配列特異性は、それらを、標的検証および遺伝子機能化のためのツール、ならびに疾患に関与する遺伝子の発現を選択的にモジュレートするための治療薬として、魅力的なものにする。
【0003】
アンチセンス技術の分野においては著しい進歩が為されてきたが、当該技術分野において、改善されたアンチセンスまたはアンチジーン性能を有するオリゴヌクレオチドおよびペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
細胞透過性ペプチド(CPP)に共有結合的に結合しているオリゴヌクレオチドを含む、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、本明細書において提供される。それを必要とする被験体において疾患を処置する方法であって、被験体に、本明細書において記載されているペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法も、本明細書において提供される。
【0005】
したがって、一態様では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、A’は、
【化2】
であるか、またはE’は、
【化3】
であり、
式中、Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH
2)
1~6-C
1~6-ヘテロ芳香族-(CH
2)
1~6C(O)であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
tは、5~27であり、
少なくとも1つのJは、アルギニンである]
が、本明細書において提供される。
【0006】
一実施形態では、Lは、-C(O)(CH2)1~6-トリアゾール-(CH2)1~6C(O)である。
【0007】
一実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Iaのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化4】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、(J)
t-Gは、上で定義した通りの細胞透過性ペプチドである]
である。
【0008】
別の実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Ibのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化5】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、(J)
t-Gは、上で定義した通りの細胞透過性ペプチドである]
である。
【0009】
さらに別の態様では、それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A-B】
図1Aは、エクソンスキッピングに対してフルオロフォア付着または機能的PMOのいずれかを有するCPP有効性を比較するためのワークフローを示す。
図1Bは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの一種であるPMOの基本構造を示す。
【
図1C-D】
図1Cは、本明細書において提供される通りのPMOおよびCy5.5の構造の比較を示す。
図1Dは、機能的エクソンスキッピングについてのeGFPアッセイの記載を示す。
【
図1E】
図1Eは、Cy5.5カーゴまたはPMO IVS2-654カーゴのいずれかを有する13のCPPの比較を示す。
【
図2】
図2Aは、アンチセンス送達のための計算的に導出されたペプチド配列の開発のためのワークフローのスキーム、および試験セットに基づくモデルの性能測定基準を示す。
図2Bは、5つの予測されたPMO担体(PPC)および2つの予測された陰性配列(NS)の表を示す。
図2Cは、血清含有培地中のPPCおよびNSのそれぞれにより5μMの濃度で処理されたeGFP HeLa細胞の平均蛍光強度を示す。
【
図3】
図3Aは、PPCの取り込みに対する温度の効果を示す。
図3Bは、PPCの取り込みに対するサイトカラシンDの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
タンパク質および核酸等の多くの薬学的に活性な化合物の効率的な細胞内送達は、薬物送達の分野において未解決の課題である。多くの大型の巨大分子は、原形質膜を横切ることができず、多くの場合、エンドソームに捕捉されて終わり、リソソーム内で分解される。過去数十年にわたって、分子に高密度の電荷を過給すること、分子をリポソームまたはナノ粒子等の送達ビヒクルと複合体化すること、および細胞透過性ペプチドにコンジュゲートすることを含む、大型の巨大分子の細胞質送達を促進するための複数のアプローチが開発されている。
【0012】
HIV-1からのトランス活性化転写活性化因子(TAT)の20アミノ酸断片により、タンパク質が原形質膜を横切ることができたという発見以来、何百もの細胞透過性ペプチド(CPP)が細胞質への移入を改善することが報告されている。これらのペプチドは、ウイルスタンパク質、DNA結合タンパク質、シグナルペプチドおよび抗菌ペプチド等の多くの天然供給源に由来していた。加えて、CPPは、合理的に設計され、DNAでコードされたペプチドライブラリーから同定されている。CPP配列は、多種多様な物理化学的特性を呈し、高度にカチオン性~両親媒性~疎水性の範囲に及ぶ。ペプチドが細胞透過性ペプチドであることを確認するために、伝統的な実験は、フローサイトメトリーおよびフルオロフォア標識されたCPPを使用する生細胞共焦点イメージングを含んでいた(例えば、
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、
図1Eおよび
図2Cを参照)。これらの実験は細胞透過の証拠を提供するが、これらは、CPPが特定の巨大分子カーゴの送達に好適であるか否かという問いに対処できない。それにもかかわらず、CPPは、ペプチド、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、ナノ粒子および化学療法薬の細胞送達を改善するために利用されてきた。
【0013】
CPPの1つの有望な適用は、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)の送達のためである。PMOは、リボース糖がメチレンモルホリン環で置き換えられ、ホスホジエステル骨格がホスホロジアミデート骨格で置き換えられている、電荷中性アンチセンス治療薬である。PMOは、プレmRNAに結合し、「エクソンスキッピング」として公知であるプロセスを通して遺伝子スプライシングを変更することができる。最近、PMOエテプリルセンは、ジストロフィン遺伝子のエクソン51をスキップすることにより、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の根本的な遺伝子的原因を処置するための最初で唯一のFDA承認療法となった。エテプリルセン等のPMO療法は顕著な有望性を示すが、必要とされる投薬量は、多くの場合、限定された細胞内送達により、1週間当たり複数グラムである。CPPとPMOとの間にコンジュゲートを作出することは、送達を改善する際における1つの有効なアプローチとされてきた。O’Donovanらは、16の異なるCPP-PMOコンジュゲートのわずかなライブラリーに注目し、Moultonら
は、DMDのためにPMOカーゴの送達を改善したアルギニンリッチペプチドを同定した。しかしながら、PMO送達を促進するCPPの特色の体系的な調査はまだない。
【0014】
細胞透過性ペプチドに共有結合的に結合しているオリゴヌクレオチドを含む、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、本明細書において提供される。それを必要とする被験体において疾患を処置する方法であって、被験体に、本明細書において記載されているペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法も、本明細書において提供される。本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドおよびそれによりペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、天然または修飾されていないオリゴヌクレオチドと比べて、配列選択性を損なわずにDNAおよびRNAに対するより強い親和性を示す。一部の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHによる開裂を最小化または防止する。一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHを活性化しない。
【0015】
本明細書において記載されているペプチドは、それらの対応するペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートに、より低い毒性を付与し、オリゴヌクレオチドの活性を強化し、薬物動態および組織分布を改善し、細胞送達を改善し、信頼性も高く制御可能でもあるin vivo分布を付与する。
【0016】
定義
本開示を記載するために使用される種々の用語の定義を、以下に列挙する。これらの定義は、具体的な事例において別段限定されない限り、個々にまたはより大きい群の一部としてのいずれかで、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して使用される場合の用語に当てはまる。
【0017】
用語「約」は、当業者には理解され、それが使用される文脈によってある程度変動する。本明細書で使用される場合、量、時間的持続期間等の測定可能な値に言及する際、用語「約」は、指定値から±5%、±1%および±0.1%を含む±20%または±10%の変動を包含することを意味するが、これは、そのような変動が、開示されている方法を実施するために適切であるからである。
【0018】
用語「アルキル」は、ある特定の実施形態では、1~6個または1~8個の間の炭素原子をそれぞれ含有する、飽和、直鎖または分枝鎖炭化水素部分を指す。C1~6-アルキル部分の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル部分を含むがこれらに限定されず、C1~8-アルキル部分の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル部分を含むがこれらに限定されない。
【0019】
アルキル置換基における炭素原子の数は、接頭辞「Cx~y」によって示すことができ、xは、置換基における炭素原子の最小数であり、yは、最大数である。同様に、Cx鎖は、x個の炭素原子を含有するアルキル鎖を意味する。
【0020】
用語「へテロアルキル」は、それ自体がまたは別の用語と組み合わせて、別段の記載がない限り、記載されている数の炭素原子ならびにO、NおよびSからなる群より選択される1個または2個のヘテロ原子からなる、安定な直鎖または分枝鎖アルキル基を意味し、窒素および硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化されていてよい。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の残りとそれが付着している断片との間を含むヘテロアルキル基の任意の位置に置かれ、かつヘテロアルキル基における最も遠位の炭素原子に付着されていてよい。例は、-O-CH2-CH2-CH3、-CH2-CH2-CH2-OH、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-S-CH2-CH3および-CH2-CH2-S(=O)-CH3を含む。例えば、-CH2-NH-OCH3または-CH2-CH2-S-S-CH3等、最大2個のヘテロ原子が連続してよい。
【0021】
用語「アリール」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられ、別段の記載がない限り、1個または複数の環(典型的には、1、2または3個の環)を含有する炭素環式芳香族系を意味し、そのような環は、ビフェニル等、ペンダント様式で一緒に付着されていてよく、または、ナフタレン等、縮合されていてよい。アリール基の例は、フェニル、アントラシルおよびナフチルを含む。種々の実施形態では、アリール基の例は、フェニル(例えば、C6-アリール)およびビフェニル(例えば、C12-アリール)を含んでよい。一部の実施形態では、アリール基は、6~16個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アリール基は、6~12個の炭素原子を有する(例えば、C6~12-アリール)。一部の実施形態では、アリール基は、6個の炭素原子を有する(例えば、C6-アリール)。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、芳香族の特徴を有する複素環を指す。ヘテロアリール置換基は、炭素原子の数によって定義されてよく、例えば、C1~9-ヘテロアリールは、ヘテロ原子の数を含まず、ヘテロアリール基に含有される炭素原子の数を示す。例えば、C1~9-ヘテロアリールは、追加で1~4個のヘテロ原子を含むことになる。多環式ヘテロアリールは、部分的に飽和した1個または複数の環を含んでよい。ヘテロアリールの非限定的な例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル(例えば、2-および4-ピリミジニルを含む)、ピリダジニル、チエニル、フリル、ピロリル(例えば、2-ピロリルを含む)、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル(例えば、3-および5-ピラゾリルを含む)、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリルおよび1,3,4-オキサジアゾリルを含む。
【0023】
多環式複素環およびヘテロアリールの非限定的な例は、インドリル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-インドリルを含む)、インドリニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル(例えば、1-および5-イソキノリルを含む)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル(例えば、2-および5-キノキサリニルを含む)、キナゾリニル、フタラジニル、1,8-ナフチリジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、クマリン、ジヒドロクマリン、1,5-ナフチリジニル、ベンゾフリル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-ベンゾフリルを含む)、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,2-ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチエニル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-ベンゾチエニルを含む)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(例えば、2-ベンゾチアゾリルおよび5-ベンゾチアゾリルを含む)、プリニル、ベンズイミダゾリル(例えば、2-ベンズイミダゾリルを含む)、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニルおよびキノリジジニルを含む。
【0024】
用語「保護基」または「化学保護基」は、化合物の一部またはすべての反応性部分をブロックし、保護基が除去されるまで、そのような部分が化学反応に関わるのを防止する化学部分、例えば、T.W. Greene, P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed. John Wiley & Sons (1999)において列挙され記載されている部分を指す。異なる保護基が用いられる場合、各(異なる)保護基は異なる手段によって除去可能であることが有利であり得る。全く異質な反応条件下で開裂される保護基は、そのような保護基の差次的な除去を可能にする。例えば、保護基は、酸、塩基および水素化分解によって除去され得る。トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびtert-ブチルジメチルシリル等の基は、酸不安定性であり、水素化分解によって除去可能なCbz基および塩基不安定性であるFmoc基で保護されたアミノ基の存在下、カルボキシおよびヒドロキシ反応性部分を保護するために使用されてよい。カルボン酸部分は、限定なく、メチルまたはエチル等の塩基不安定性基でブロックされてよく、ヒドロキシ反応性部分は、カルバミン酸tert-ブチル等の酸不安定性基でブロックされたアミンの存在下、アセチル等の塩基不安定性基で、または、酸および塩基の両方に安定であるが加水分解的に除去可能なカルバメートで、ブロックされてよい。
【0025】
カルボン酸およびヒドロキシル反応性部分は、ベンジル基等の加水分解的に除去可能な保護基でブロックされてもよく、一方、アミン基は、Fmoc等の塩基不安定性基でブロックされてよい。式(I)の化合物の合成に特に有用なアミン保護基は、トリフルオロアセトアミドである。カルボン酸反応性部分は、2,4-ジメトキシベンジル等の酸化的に除去可能な保護基でブロックされてよく、一方、共存するアミノ基は、フッ化物不安定性シリルカルバメートでブロックされてよい。
【0026】
アリルブロッキング基は、酸および塩基保護基の存在下で有用であり、これは、前者が安定であり、その後金属またはパイ酸触媒によって除去され得るからである。例えば、アリルでブロックされたカルボン酸は、酸不安定性カルバミン酸tert-ブチルまたは塩基不安定性酢酸アミン保護基の存在下、パラジウム(0)触媒反応で脱保護され得る。保護基のさらに別の形態は、化合物または中間体が付着し得る樹脂である。残基が樹脂に付着している限り、その官能基はブロックされ、反応することができない。樹脂から解放されると、官能基は反応するために利用可能になる。
【0027】
用語「核酸塩基」、「塩基対合部分」、「核酸塩基対合部分」または「塩基」は、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび/またはモルホリノサブユニットの複素環式環部を指す。核酸塩基は、天然に存在してよく、または、修飾されているかもしくはこれらの天然に存在する核酸塩基の類似体であってよく、例えば、核酸塩基の1個または複数の窒素原子は、各出現において独立して、炭素によって置き換えられていてよい。例示的な類似体は、ヒポキサンチン(ヌクレオシドイノシンの塩基成分)、2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、C5-プロピニル修飾ピリミジン、10-(9-(アミノエトキシ)フェノキサジニル)(G-クランプ)等を含む。
【0028】
塩基対合部分のさらなる例は、それらのそれぞれのアミノ基がアシル保護基によって保護されたウラシル、チミン、アデニン、シトシン、グアニンおよびヒポキサンチン、2-フルオロウラシル、2-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、2,6-ジアミノプリン、アザシトシン、ピリミジン類似体、例えば、シュードイソシトシンおよびシュードウラシル、ならびに他の修飾された核酸塩基、例えば、8-置換プリン、キサンチンまたはヒポキサンチン(後半の2つは自然分解生成物である)を含むがこれらに限定されない。Chiu and Rana, RNA, 2003, 9, 1034-1048, Limbach et al. Nucleic Acids Research, 1994, 22, 2183-2196およびRevankar and Rao, Comprehensive Natural Products Chemistry, vol. 7, 313において開示されている修飾された核酸塩基も企図されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
塩基対合部分のさらなる例は、1個または複数のベンゼン環が付加された拡大サイズの核酸塩基を含むがこれらに限定されない。その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Glen Research catalog (www.glenresearch.com); Krueger AT et al., Acc. Chem. Res., 2007, 40, 141-150; Kool, ET, Acc. Chem. Res., 2002, 35, 936-943; Benner S.A.,
et al., Nat. Rev. Genet., 2005, 6, 553-543; Romesberg, F.E., et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 2003, 7, 723-733; Hirao, I., Curr. Opin. Chem. Biol., 2006, 10, 622-627において記載されている核酸塩基置き換えは、本明細書において記載されているオリゴマーの合成に有用であるとして企図されている。拡大サイズの核酸塩基の例を以下に示す。
【化6】
【0030】
用語「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、複数の連結したヌクレオシド、ヌクレオチド、またはヌクレオシドおよびヌクレオチドの両方の組合せを含む化合物を指す。本明細書において提供される具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドは、モルホリノオリゴヌクレオチドである。
【0031】
語句「モルホリノオリゴヌクレオチド」または「PMO」は、1つのサブユニットのモルホリノ窒素を隣接するサブユニットの5’-環外炭素に接合するホスホルアミデートまたはホスホロジアミデート連結によって一緒に連結したモルホリノサブユニットを有する修飾されたオリゴヌクレオチドを指す。各モルホリノサブユニットは、標的における核酸塩基に核酸塩基特異的水素結合によって結合するために有効な核酸塩基対合部分を含む。
【0032】
用語「アンチセンスオリゴマー」、「アンチセンス化合物」および「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、交換可能に使用され、それぞれが塩基対合部分を有し、塩基対合部分を核酸(典型的にはRNA)における標的配列にワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズさせて、標的配列内に核酸:オリゴマーヘテロ二本鎖を形成する、サブユニット間連結によって連結しているサブユニットの配列を指す。オリゴマーは、標的配列に対して厳密な(完璧な)または近接した(十分な)配列相補性を有してよく、オリゴマーの末端付近の配列における変動は、概して、内部における変動よりも好ましい。
【0033】
そのようなアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳をブロックもしくは阻害するまたは天然もしくは異常なプレmRNAスプライスプロセシングを阻害する/変更するように設計することができ、それがハイブリダイズする標的配列「に向けられる」または「に対して標的化される」と言うことができる。標的配列は、典型的には、mRNAのAUG開始コドン、翻訳抑制オリゴマー、または前処理された(pre-processed)mRNAのスプライス部位、スプライス抑制オリゴマー(SSO)を含む領域である。スプライス部位の標的配列は、前処理されたmRNAにおける通常のスプライスアクセプタージャンクションの下流にその5’末端の1~約25個の塩基対を有するmRNA配列を含んでよい。種々の実施形態では、標的配列は、スプライス部位を含む、またはエクソンコード配列内に完全に含有されるもしくはスプライスアクセプターもしくはドナー部位に及ぶ、前処理されたmRNAの任意の領域であってよい。オリゴマーは、より一般的には、標的の核酸に対して上述した様式で標的化される場合、タンパク質、ウイルスまたは細菌等の生物学的に関連する標的「に対して標的化される」と言われる。
【0034】
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび標的RNAは、各分子における十分な数の対応する位置が、互いに水素結合できるヌクレオチドによって占有されており、それにより、オリゴヌクレオチドと標的との間に安定かつ特異的な結合が出現する場合、互いに相補的である。故に、「特異的にハイブリダイズ可能」および「相補的」は、オリゴヌクレオチドと標的との間に安定かつ特異的な結合が出現するような、十分な程度の相補性または正確な対合を示すために使用される用語である。当該技術分野において、オリゴヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるその標的配列のものに対して100%相補的である必要はないことが理解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的分子への結合が標的RNAの正常機能に干渉する場合に、特異的にハイブリダイズ可能であり、特異的結合が望ましい条件下、すなわち、in vivoアッセイまたは治療的処置の場合には生理的条件下、およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下で、アンチセンスオリゴヌクレオチドの非標的配列への非特異的結合を回避するために、十分な程度の相補性がある。
【0035】
オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(多くの場合、当該技術分野においては単に「塩基」と称される)修飾または置換も含み得る。修飾または置換された塩基を含有するオリゴヌクレオチドは、核酸において最も一般的に見られる1個または複数のプリンまたはピリミジン塩基が、あまり一般的ではないまたは非天然塩基で置き換えられている、オリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸塩基は、プリン塩基のN9原子においてまたはピリミジン塩基のN1原子において、ヌクレオチドまたはヌクレオシドのモルホリン環に共有結合的に連結している。
【0036】
プリン塩基は、一般式:
【化7】
によって記載される通りの、イミダゾール環に縮合したピリミジン環を含む。
【0037】
アデニンおよびグアニンは、核酸において最も一般的に見られる2個のプリン核酸塩基である。これらは、N6-メチルアデニン、N2-メチルグアニン、ヒポキサンチンおよび7-メチルグアニンを含むがこれらに限定されない他の天然に存在するプリンで置換されていてよい。
【0038】
ピリミジン塩基は、一般式:
【化8】
によって記載される通りの6員ピリミジン環を含む。
【0039】
シトシン、ウラシルおよびチミンは、核酸において最も一般的に見られるピリミジン塩基である。これらは、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、シュードウラシルおよび4-チオウラシルを含むがこれらに限定されない他の天然に存在するピリミジンで置換されていてよい。一実施形態では、本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドは、ウラシルの代わりにチミン塩基を含有する。
【0040】
他の修飾または置換された塩基は、2,6-ジアミノプリン、オロチン酸、アグマチジン、リシジン、2-チオピリミジン(例えば、2-チオウラシル、2-チオチミン)、G-クランプおよびその誘導体、5-置換ピリミジン(例えば、5-ハロウラシル、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、5-アミノメチルウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-アミノメチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、スーパーT)、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、8-アザ-7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、スーパーG、スーパーAおよびN4-エチルシトシン、またはその誘導体;N2-シクロペンチルグアニン(cPent-G)、N2-シクロペンチル-2-アミノプリン(cPent-AP)、およびN2-プロピル-2-アミノプリン(Pr-AP)、シュードウラシルまたはその誘導体;ならびに2,6-ジフルオロトルエンのような縮重もしくはユニバーサル塩基または塩基脱落部位のような欠損塩基(例えば、1-デオキシリボース、1,2-ジデオキシリボース、l-デオキシ-2-O-メチルリボース;または環酸素が窒素で置き換えられたピロリジン誘導体(アザリボース))を含むがこれらに限定されない。シュードウラシルは、ウリジンにあるような正規のN-グリコシドではなくC-グリコシドを有する、ウラシルの天然に存在する異性化バージョンである。
【0041】
ある特定の修飾または置換された核酸塩基は、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を増大させるために特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含むN-2、N-6および0~6置換プリンを含む。種々の実施形態では、核酸塩基は、5-メチルシトシン置換を含んでよく、これは、核酸二本鎖の安定性を0.6~1.2°Cだけ増大させることが示されている。
【0042】
一部の実施形態では、修飾または置換された核酸塩基は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの精製を容易にするために有用である。例えば、ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3個またはそれよりも多い(例えば、3、4、5、6個またはそれよりも多い)連続するグアニン塩基を含有してよい。ある特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、一連の3個またはそれよりも多い連続するグアニン塩基は、精製を複雑化する、オリゴヌクレオチドの凝集をもたらし得る。そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、連続するグアニンの1つまたは複数は、ヒポキサンチンで置換され得る。一連の3個またはそれよりも多い連続するグアニン塩基における1個または複数のグアニンのヒポキサンチンによる置換は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの凝集を低減させ、それにより、精製を容易にすることができる。
【0043】
本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドは、合成され、生物起源のアンチセンス組成物を含まない。本開示の分子は、取り込み、分布もしくは吸収またはそれらの組合せを補助するために、他の分子、分子構造または化合物の混合物、例えば、リポソーム、受容体標的化分子、経口、直腸、局所または他の製剤と、混合、カプセル化、コンジュゲートまたは別様に会合されてもよい。
【0044】
用語「相補的な」および「相補性」は、塩基対合則によって関係付けられたオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)を指す。例えば、配列「T-G-A(5’-3’)」は、配列「T-C-A(5’-3’)」に対して相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対合則に従って適合する、「部分的」であってよい。あるいは、核酸間に、「完全な」、「全くの」または「完璧な」(100%)相補性があってよい。核酸ストランド間の相補性の程度は、核酸ストランド間のハイブリダイゼーションの効率および強さに対して顕著な効果を有する。完璧な相補性が多くの場合望ましいが、一部の実施形態は、標的RNAに関して、1つまたは複数であるが好ましくは6、5、4、3、2または1つのミスマッチを含み得る。そのようなハイブリダイゼーションは、アンチセンスオリゴマーの標的配列に対する「近接した」または「実質的な」相補性でおよび厳密な相補性で出現し得る。一部の実施形態では、オリゴマーは、標的配列に、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%の相補性でハイブリダイズしてよい。オリゴマー内の任意の場所における変動が含まれる。ある特定の実施形態では、オリゴマーの末端付近の配列における変動は、概して、内部における変動よりも好ましく、存在する場合、典型的には、5’末端、3’末端または両方の末端の約6、5、4、3、2または1ヌクレオチド内である。
【0045】
用語「ペプチド」は、複数の連結されたアミノ酸を含む化合物を指す。本明細書において提供されるペプチドは、細胞透過性ペプチドであるとみなされ得る。
【0046】
用語「細胞透過性ペプチド」および「CPP」は、交換可能に使用され、輸送ペプチド、担体ペプチドまたはペプチド形質導入ドメインとも称される、カチオン性細胞透過性ペプチドを指す。本明細書において提供されるペプチドは、所与の細胞培養集団の細胞の100%以内で細胞透過を誘導する能力を有し、複数の組織内における巨大分子トランスロケーションを、全身投与時にin vivoで可能にする。種々の実施形態では、本開示のCPP実施形態は、さらに以下で記載する通り、アルギニンリッチペプチドを含んでよい。
【0047】
用語「処置」は、疾患の好転(amelioration)に使用される1つまたは複数の特定の手順の適用を指す。ある特定の実施形態では、具体的な手順は、1つまたは複数の薬学的作用物質の投与である。個体(例えば、ヒト等の哺乳動物)または細胞の「処置」は、個体または細胞の自然経過を変更するための試みにおいて使用される任意の種類の介入である。処置は、医薬組成物の投与を含むがこれに限定されず、予防的にまたは病理学的事象の開始もしくは病原体との接触に続いてのいずれかで実施されてよい。処置は、疾患または状態の症状または病理学に対するあらゆる望ましい効果を含み、例えば、処置されている疾患または状態の1つまたは複数の測定可能なマーカーにおける最小限の変化または改善を含んでよい。処置されている疾患もしくは状態の進行速度を低減させること、その疾患もしくは状態の発症を遅延させること、またはその発症の重症度を低減させることに向けられ得る、「予防的」処置も含まれる。
【0048】
「有効量」または「治療有効量」は、単回用量としてまたは一連の用量の一部としてのいずれかで哺乳動物被験体に投与される、所望の治療効果を産生するために有効なアンチセンスオリゴマー等の治療用化合物の量を指す。
【0049】
用語「好転」は、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度の軽減を意味する。ある特定の実施形態では、好転は、状態または疾患の1つまたは複数の指標の進行における遅延または減速を含む。指標の重症度は、当業者に公知である主観的または客観的尺度によって決定され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって親オリゴヌクレオチドが修飾された、開示されているオリゴヌクレオチドの誘導体を指す。好適な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418およびJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)において見られ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート
細胞透過性ペプチドに化学的に連結しているオリゴヌクレオチドが、本明細書において提供される。細胞透過性ペプチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを強化する。特に、細胞透過性ペプチドは、線形または非環状ペプチドである。一部の実施形態では、CPPは、アルギニンリッチペプチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みをさらに強化する、1つまたは複数のへテロアルキル部分(例えば、ポリエチレングリコール)に、付加的に化学的に連結することができる。1つの例示的な実施形態では、ポリペプチド、例えばアルギニンリッチポリペプチドは、そのN末端またはC末端残基において、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端または両方の末端に共有結合的にカップリングされる。
【0052】
故に、一態様では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化9】
または薬学的に許容されるその塩が、本明細書において提供され、式中、
A’は、-NHCH
2C(O)NH
2、-N(C
1~6-アルキル)CH
2C(O)NH
2、
【化10】
から選択され、式中、
R
5は、-C(O)(O-アルキル)
x-OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C
2~6-アルキルであるか、またはR
5は、-C(O)C
1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C
1~6-アルキル)R
6、-(C
1~6-へテロアルキル)-R
6、アリール-R
6、ヘテロアリール-R
6、-C(O)O-(C
1~6-アルキル)-R
6、-C(O)O-アリール-R
6、-C(O)O-ヘテロアリール-R
6、および
【化11】
から選択され、
式中、R
6は、OH、SHおよびNH
2から選択されるか、またはR
6は、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各R
1は、OHおよび-NR
3R
4から独立して選択され、各R
3およびR
4は、各出現において独立して、-C
1~6-アルキルであり、
各R
2は、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC
3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C
1~6-アルキル、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化12】
から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CH
2)
6C(O)-または-C(O)(CH
2)
2S
2(CH
2)
2C(O)-であり、
R
7は、-(CH
2)
2OC(O)N(R
8)
2であり、R
8は、-(CH
2)
6NHC(=NH)NH
2であり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH
2)
1~6-C
1~6-ヘテロ芳香族-(CH
2)
1~6C(O)であり、
tは、5~27であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
少なくとも1つのJは、アルギニンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化13】
であるか、または2)E’は、
【化14】
である。
【0053】
一実施形態では、E’は、H、-C
1~6-アルキル、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、および
【化15】
から選択される。
【0054】
さらに別の実施形態では、A’は、-N(C
1~6-アルキル)CH
2C(O)NH
2、
【化16】
から選択される。
【0055】
別の実施形態では、E’は、H、-C(O)CH
3、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化17】
から選択される。
【0056】
また別の実施形態では、A’は、-N(C
1~6-アルキル)CH
2C(O)NH
2、
【化18】
から選択され、
E’は、
【化19】
である。
【0057】
さらに別の実施形態では、A’は、
【化20】
である。
【0058】
別の実施形態では、E’は、H、-C(O)CH3、トリチル、4-メトキシトリチル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0059】
さらに別の実施形態では、E’は、Hおよび-C(O)CH3から選択される。
【0060】
また別の実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Iaのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化21】
である。
【0061】
別の実施形態では、式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式Ibのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化22】
である。
【0062】
式IおよびIbのある実施形態では、E’は、H、C1~6アルキル、-C(O)CH3、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0063】
式IおよびIbの別の実施形態では、E’は、Hおよび-C(O)CH3から選択される。
【0064】
式I、IaおよびIbのある実施形態では、各Jは、グリシン、アラニン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、アルギニンおよびトレオニンから独立して選択される。
【0065】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Jは、アルギニン、リシンおよびグルタミンから独立して選択される。
【0066】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Jは、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、グルタミン、プロリン、リシン、アルギニンおよびバリンから独立して選択される。
【0067】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各Jは、アルギニン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、フェニルアラニンおよびグリシンから独立して選択される。
【0068】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各Jは、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、セリン、リシンおよびロイシンから独立して選択される。
【0069】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、各Jは、アラニン、ロイシン、トリプトファン、リシン、トレオニン、バリン、プロリンおよびアルギニンから独立して選択される。
【0070】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各R1は、N(CH3)2である。
【0071】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、各R2は、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC4~6-複素環式環を含む。
【0072】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、各R2は、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリミジン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC4~6-複素環式環を含む。
【0073】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、各R2は、各出現において独立して、アデニン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、グアニン、7-デアザ-グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である。
【0074】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、各R2は、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である。
【0075】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Lは、-C(O)(CH2)1~6-トリアゾール-(CH2)1~6C(O)-である。
【0076】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Lは、
【化23】
である。
【0077】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Gは、H、C(O)CH3、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0078】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、Gは、Hまたは-C(O)CH3である。
【0079】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、Gは、Hである、
【0080】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、Gは、-C(O)CH3である。
【0081】
式I、IaおよびIbの別の実施形態では、Jは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、RQVTIWFQNRRVKEKK、RLRWR、PPRPPRPPRPPRPPR、CAYHRLRRC、SRRARRSPRHLGSG、PPRPPRPPRPPR、NAKTRRHERRRKLAIER、VKRGLKLRHVRPRVTRMDV、LYKKGPAKKGRPPLRGWFH、TAKTRYKARRAELIAERR、KGTYKKKLMRIPLKGT、PPRPPRPPR、RASKRDGSWVKKLHRILE、TRSSRAGLQWPVGRVHRLLRK、FKIYDKKVRTRVVKH、VRLPPPVRLPPPVRLPPP、GPFHFYQFLFPPV、PLILLRLLRGQF、YTAIAWVKAFIRKLRK、KETWWETWWTEWSQPKKRKV、LIRLWSHLIHIWFQNRRLKWKKK、VDKGSYLPRPTPPRPIYNRN、MDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN、GSPWGLQHHPPRT、KLALKALKALKAALKLA、IPALK、VPALR、LLIILRRRIRKQAHAHSK、IAWVKAFIRKLRKGPLG、AAVLLPVLLAAPVQRKRQKLP、TSPLNIHNGQKL、VPTLK、またはVSALKである。
【0082】
式I、IaおよびIbのまた別の実施形態では、Jは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、RQVTIWFQNRRVKEKK、RLRWR、PPRPPRPPRPPRPPR、CAYHRLRRC、SRRARRSPRHLGSG、PPRPPRPPRPPR、NAKTRRHERRRKLAIER、VKRGLKLRHVRPRVTRMDV、LYKKGPAKKGRPPLRGWFH、TAKTRYKARRAELIAERR、またはKGTYKKKLMRIPLKGTである。
【0083】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、Jは、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、またはALWKTLLKKVLKAPKKKRKVである。
【0084】
式I、IaおよびIbのさらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートは、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドと比較して、取り込みにおける少なくとも2倍の改善を実証する。
【0085】
ある実施形態では、オリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートは、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドと比較して、取り込みにおける少なくとも5倍の改善を実証する。
【0086】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートは、対応するCy5.5-ペプチドコンジュゲートと比較して、取り込みにおける改善を実証する。
【0087】
さらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA標的に対して配列相補性を有する標的化配列を含む。具体的な実施形態では、RNA標的は、細胞RNA標的である。別の具体的な実施形態では、標的化配列は、RNA標的に結合するために十分な配列相補性を有する。さらに別の具体的な実施形態では、標的化配列は、RNA標的に対して完璧な配列相補性を有する。
【0088】
本開示の代表的なペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、数ある中でも、下記の構造のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化24】
または薬学的に許容されるその塩[式中、
Gは、Hまたは-C(O)CH
3であり、Gは、ペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、
R
2は、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基であり、
zは、8~40であり、
CPPは、各出現において独立して、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、RQVTIWFQNRRVKEKK、RLRWR、PPRPPRPPRPPRPPR、CAYHRLRRC、SRRARRSPRHLGSG、PPRPPRPPRPPR、NAKTRRHERRRKLAIER、VKRGLKLRHVRPRVTRMDV、LYKKGPAKKGRPPLRGWFH、TAKTRYKARRAELIAERR、KGTYKKKLMRIPLKGT、PPRPPRPPR、RASKRDGSWVKKLHRILE、TRSSRAGLQWPVGRVHRLLRK、FKIYDKKVRTRVVKH、VRLPPPVRLPPPVRLPPP、GPFHFYQFLFPPV、PLILLRLLRGQF、YTAIAWVKAFIRKLRK、KETWWETWWTEWSQPKKRKV、LIRLWSHLIHIWFQNRRLKWKKK、VDKGSYLPRPTPPRPIYNRN、MDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN、GSPWGLQHHPPRT、KLALKALKALKAALKLA、IPALK、VPALR、LLIILRRRIRKQAHAHSK、IAWVKAFIRKLRKGPLG、AAVLLPVLLAAPVQRKRQKLP、TSPLNIHNGQKL、VPTLK、またはVSALKから選択される]
を含む。
【0089】
本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの一実施形態では、Gは、Hである。
【0090】
本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの別の実施形態では、Gは、-C(O)CH3である。
【0091】
ある実施形態では、Lは、ペプチドのカルボキシ末端に共有結合的に連結しており、Gは、ペプチドのアミノ末端に共有結合的に連結している。
【0092】
本明細書で使用される場合、「Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している」は、J(-COOH)のカルボキシ末端が、N(H)基を介して変数Gに共有結合的に結合していることを示し、Jのカルボキシ末端のヒドロキシル基は、N(H)で置き換えられている。例えば、GがHである場合、下記の構造は、JおよびGによって形成される。
【化25】
【0093】
一部の実施形態では、本明細書において記載されているペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、溶媒和されていない。他の実施形態では、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの1つまたは複数は、溶媒和形態である。当該技術分野において公知の通り、溶媒和物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒のいずれかであり得る。
【0094】
式I、Ia、IbおよびIIのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートはそれらの中性形態で示されているが、一部の実施形態では、これらのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、薬学的に許容される塩形態で使用される。
【0095】
オリゴヌクレオチド
モルホリノベースのサブユニットの重要な特性は、1)安定な非荷電または正に荷電された骨格連結によってオリゴマー形態で連結される能力;2)ヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、ウラシル、5-メチル-シトシンおよびヒポキサンチン)を支持し、それにより、形成されたポリマーが、標的RNAを含む相補的塩基標的核酸と、比較的短いオリゴヌクレオチド(例えば、10~15塩基)で約45℃を上回るTM値でハイブリダイズすることができる能力;3)哺乳動物の細胞に能動的にまたは受動的に輸送されるオリゴヌクレオチドの能力;ならびに4)RNアーゼおよびRNアーゼH分解にそれぞれ抵抗する、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド:RNAヘテロ二本鎖の能力を含む。
【0096】
オリゴマーと標的配列との間に形成される二本鎖の安定性は、結合TMおよび二本鎖の細胞の酵素的開裂に対する感受性の関数である。相補的配列RNAに関するオリゴマーのTMは、Hames et al., Nucleic Acid Hybridization, IRL Press, 1985, pp. 107-108によって記載されたもの等の従来の方法によって、またはMiyada C. G. and Wallace R. B., 1987, Oligomer Hybridization
Techniques, Methods Enzymol. Vol. 154 pp. 94-107において記載されている通りに、測定され得る。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、相補的配列RNAに関して、体温よりも高い、および一実施形態では約45℃または50℃よりも高い、結合TMを有してよい。60~80℃の範囲内またはそれよりも高いTMも含まれる。周知の原理によれば、相補的塩基(based)RNAハイブリッドに関して、オリゴマーのTMは、二本鎖におけるC:G対合塩基の比を増大させることによって、もしくはヘテロ二本鎖の長さを(塩基対で)増大させることによって、または両方によって、増大できる。同時に、細胞取り込みを最適化することを目的として、オリゴマーのサイズを限定することが有利であり得る。この理由から、本開示の化合物は、25塩基またはそれよりも短い長さで高TM(45~50℃またはそれよりも高い)を示す化合物を含む。
【0097】
オリゴヌクレオチドの長さは、プレmRNA分子内の意図した場所に選択的に結合することができる限り、変動してよい。そのような配列の長さは、本明細書において記載されている選択手順に従って決定することができる。概して、オリゴヌクレオチドは、長さ約8ヌクレオチド~長さ最大約50ヌクレオチドである。例えば、オリゴヌクレオチドの長さ(z)は、8~38、8~25、15~25、17~21、または約18であり得る。しかしながら、この範囲内のヌクレオチドの任意の長さが、本明細書において記載されている方法において使用され得ることが分かるであろう。
【0098】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、塩基修飾または置換を含有する。例えば、ある特定の核酸塩基は、本明細書において記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を増大させるように選択されてよい。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシンおよび2,6-ジアミノプリンを含むN-2、N-6および0~6置換プリンを含む。5-メチルシトシン置換は、核酸二本鎖の安定性を0.6~1.2°Cだけ増大させることが示されており、本明細書において記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれてよい。一実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのピリミジン塩基は、5-置換ピリミジン塩基を含み、ピリミジン塩基は、シトシン、チミンおよびウラシルからなる群より選択される。一実施形態では、5-置換ピリミジン塩基は、5-メチルシトシンである。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのプリン塩基は、N-2、N-6置換プリン塩基を含む。一実施形態では、N-2、N-6置換プリン塩基は、2,6-ジアミノプリンである。
【0099】
モルホリノベースのオリゴマー(アンチセンスオリゴマーを含む)が、例えば、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,521,063号、同第5,506,337号および係属中の米国特許出願第12/271,036号、同第12/271,040号、ならびにPCT公開第WO/2009/064471号および同第WO/2012/043730号ならびにSummerton et al. 1997, Antisense and Nucleic Acid Drug Development, 7, 187-195において詳述されており、これらは、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
したがって、一態様では、式IIのオリゴヌクレオチド:
【化26】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
Aは、OH、-NHCH
2C(O)NH
2、-N(C
1~6-アルキル)CH
2C(O)NH
2、
【化27】
からなる群より選択され、
R
5は、-C(O)(O-アルキル)
xOHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、-C
2~6-アルキルであるか、またはR
5は、-C(O)C
1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-C
1~6-アルキル-R
6、-C
1~6-へテロアルキル-R
6、-アリール-R
6、-ヘテロアリール-R
6、-C(O)O-C
1~6-アルキル-R
6、-C(O)O-アリール-R
6および-C(O)O-ヘテロアリール-R
6からなる群より選択され、
R
6は、OH、SHおよびNH
2からなる群より選択されるか、あるいはR
6は、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SまたはNHであり、
各R
1は、独立して、OHまたは-NR
3R
4であり、
各R
3およびR
4は、各出現において独立して、-C
1~6-アルキルであり、
各R
2は、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基からなる群より独立して選択され、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンからなる群より選択されるC
3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
Eは、H、-C
1~6-アルキル、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、および
【化28】
からなる群より選択され、
Qは、-C(O)(CH
2)
6C(O)-または-C(O)(CH
2)
2S
2(CH
2)
2C(O)-であり、
R
7は、-(CH
2)
2OC(O)N(R
8)
2であり、
R
8は、-(CH
2)
6NHC(=NH)NH
2である]
が、本明細書において提供される。
【0101】
式IIの一実施形態では、Aは、
【化29】
であり、
Eは、H、-C(O)CH
3、ベンゾイルおよびステアロイルからなる群より選択され、R
5は、-C(O)(O-アルキル)
x-OHであり、各アルキル基は、各出現において独立して、-C
2~6-アルキル、トリチルおよび4-メトキシトリチルであり、
各R
2は、独立して、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、プリン、およびデアザ-プリンからなる群より選択されるC
4~6-複素環式環を含む。
【0102】
式IIの別の実施形態では、R5は、C(O)(O-CH2CH2)3-OHであり、各R2は、独立して、核酸塩基であり、核酸塩基は、各出現において独立して、ピリミジンまたはプリンを含む。
【0103】
また別の実施形態では、式IIのオリゴヌクレオチドは、式IIaのオリゴヌクレオチド:
【化30】
である。
【0104】
式IIおよびIIaのある実施形態では、R2は、各出現において独立して、アデニン、2,6-ジアミノプリン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンであり、
各R1は、-N(CH3)2である。
【0105】
本明細書において記載されている通りのヌクレオチド部分の種々の実施形態が、表1において提供される。
【表1】
【0106】
一部の実施形態では、本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドは、溶媒和されていない。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドの1つまたは複数は、溶媒和形態である。当該技術分野において公知の通り、溶媒和物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒のいずれかであり得る。
【0107】
式IIおよびIIaのオリゴヌクレオチドはそれらの中性形態で示されているが、一部の実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩形態で使用される。
【0108】
ペプチド
本明細書において提供されるオリゴヌクレオチドは、CPPにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド部分を含む。特に、細胞透過性ペプチドは、線形または非環状ペプチドである。一部の実施形態では、CPPは、理論上の正の正味電荷を有することができる。一部の実施形態では、正の正味電荷は、1~12の整数であり得る。そのようなCPPの代表を以下に示す:
【化31】
[式中、cは、1~12の整数である]。
【0109】
一部の実施形態では、CPPは、化合物の細胞への輸送を強化するために有効な、アルギニンリッチペプチド輸送部分であり得る。輸送部分は、一部の実施形態では、オリゴマーの末端に付着している。ペプチドは、所与の細胞培養集団の細胞の、間にあるすべての整数を含む、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%以内で細胞透過を誘導する能力を有し、複数の組織内における巨大分子トランスロケーションを、全身投与時にin vivoで可能にする。一実施形態では、細胞透過性ペプチドは、アルギニンリッチペプチド輸送体であってよい。
【0110】
上述した通りの輸送部分は、付着した輸送部分の非存在下におけるオリゴマーの取り込みと比べて、付着したオリゴマーの細胞移入を大幅に強化することが示されている。取り込みは、コンジュゲートされていない化合物と比べて少なくとも2倍、一部の実施形態では10倍強化され得る。一部の実施形態では、取り込みは、CPP-Cy5.5コンジュゲートと比べて少なくとも2倍、一部の実施形態では10倍強化され得る。
【0111】
アルギニンリッチペプチド輸送体(すなわち、細胞透過性ペプチド)の使用は、本開示を実施する際に特に有用である。ある特定のペプチド輸送体は、アンチセンス化合物の、筋細胞を含む初代細胞への送達において高度に有効であることが示されている。さらに、本明細書において記載されているペプチド輸送体は、アンチセンスPMOにコンジュゲートされた場合、いくつかの遺伝子転写物のスプライシングを変更する能力の強化を実証する。
【0112】
故に、一態様では、式IIIのペプチド:
【化32】
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
tは、5~27であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
少なくとも1つのJは、アルギニンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択され、
Lは、固体支持体に共有結合的に連結していてよい-C(O)(CH
2)
1~6-C
1~6-ヘテロ芳香族-(CH
2)
1~6C(O)である]
が、本明細書において提供される。
【0113】
ある実施形態では、各Jは、グリシン、アラニン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、アルギニンおよびトレオニンから独立して選択される。
【0114】
別の実施形態では、各Jは、アルギニン、リシンおよびグルタミンから独立して選択される。
【0115】
別の実施形態では、各Jは、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、グルタミン、プロリン、リシン、アルギニンおよびバリンから独立して選択される。
【0116】
別の実施形態では、各Jは、アルギニン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、フェニルアラニンおよびグリシンから独立して選択される。
【0117】
また別の実施形態では、各Jは、グリシン、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、セリン、リシンおよびロイシンから独立して選択される。
【0118】
さらに別の実施形態では、各Jは、アラニン、ロイシン、トリプトファン、リシン、トレオニン、バリン、プロリンおよびアルギニンから独立して選択される。
【0119】
また別の実施形態では、Lは、-C(O)(CH2)1~6-C1~6-ヘテロ芳香族-(CH2)1~6C(O)である。
【0120】
【0121】
さらに別の実施形態では、Gは、H、C(O)CH3、ベンゾイルおよびステアロイルからなる群より選択される。
【0122】
また別の実施形態では、Gは、C(O)CH3またはHである。
【0123】
別の実施形態では、Gは、C(O)CH3である。
【0124】
別の実施形態では、Gは、Hである。
【0125】
さらに別の実施形態では、Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している。さらなる実施形態では、Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結している。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書において記載されているペプチドは、溶媒和されていない。他の実施形態では、ペプチドの1つまたは複数は、溶媒和形態である。当該技術分野において公知の通り、溶媒和物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒のいずれかであり得る。
【0127】
式IIIのペプチドはそれらの中性形態で示されているが、一部の実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩形態で使用される。
【0128】
方法
それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、式I、IaまたはIbのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【0129】
したがって、一態様では、それを必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、被験体に、本開示のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを投与するステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【0130】
一実施形態では、筋疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである。
【0131】
別の実施形態では、ウイルス感染症は、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルスおよびデングウイルスからなる群より選択されるウイルスによって引き起こされる。
【0132】
別の実施形態では、細菌感染症は、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる。
【0133】
本明細書で考慮される被験体は、典型的には、ヒトである。しかしながら、被験体は、処置が所望される任意の哺乳動物であり得る。故に、本明細書において記載されている方法は、ヒトおよび獣医学的適用の両方に適用され得る。
【0134】
投与/用量
治療用組成物の製剤およびそれらのその後の投与(投薬)は、当業者の技量内である。投薬は、処置される疾患状況の重症度および応答性に依存し、処置の経過は、数日間から数か月間、または疾患状況の十分な縮小が達成されるまで継続する。最適な投薬スケジュールは、患者の体内における薬物蓄積の測定から算出することができる。
【0135】
当業者ならば、最適投薬量、投薬方法論および繰り返し率を簡単に決定することができる。最適投薬量は、個々のオリゴマーの相対的効力に応じて変動してよく、概して、in
vitroおよびin vivo動物モデルにおいて有効であることが分かっているEC50に基づいて推定することができる。概して、投薬量は、0.01μg~100g/体重1kgであり、1日、1週間、1か月または1年に1回または複数回、またはさらには2~20年ごとに1回、与えられてよい。当業者ならば、体液または組織中における測定された滞留時間および薬物の濃度に基づき、投薬の繰り返し率を簡単に推定することができる。処置成功後、疾患状況の再発を防止するために、患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、オリゴマーは、0.01μg~100g/体重1kgの範囲内の維持用量で、1日に1回または複数回~20年ごとに1回、投与される。
【0136】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチド)は、単独で投与される。
【0137】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、治療有効量または投薬量で投与される。「治療有効量」は、それ単独で患者に投与された場合、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を有効に処置する、式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドの量である。所与の事例において特定の被験体に対して「治療有効量」であることが判明している量は、そのような投薬量が当業者によって「治療有効量」であると考えられているにもかかわらず、検討中の疾患または状態を同様に処置されている被験体の100%には有効でない場合がある。治療有効量に対応するオリゴヌクレオチドの量は、疾患の種類、疾患の段階、処置されている患者の年齢、および他の事実に強く依存する。
【0138】
異なる実施形態では、式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドおよび使用される有効量に応じて、オリゴヌクレオチドは、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症に関与する遺伝子の発現をモジュレートすることができる。
【0139】
式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドの量は、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症の有効な処置をもたらすべきであるが、量は、好ましくは、患者にとって過度に毒性ではない(すなわち、量は、好ましくは、医療ガイドラインによって確立された通りの毒性限界内である)。一部の実施形態では、過度の毒性を防止するまたは筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症のより効果的な処置を提供することのいずれかまたは両方のために、投与される総投薬量に対する限定が提供される。典型的には、本明細書で考慮される量は、1日当たりであるが、半日および2日または3日サイクルも本明細書で考慮される。
【0140】
異なる投薬量レジメンが、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置するために使用されてよい。一部の実施形態では、上述した例示的な投薬量のいずれか等の1日投薬量が、1日に1回、2回、3回、または4回、3、4、5、6、7、8、9、または10日間投与される。処置されている疾患の段階および重症度に応じて、より短い処置時間(例えば、最大5日間)が高い投薬量とともに用いられてよく、またはより長い処置時間(例えば、10またはそれよりも多い日数、または週数、または月数、またはそれよりも長い)が低い投薬量とともに用いられてよい。一部の実施形態では、1日に1回または2回の投薬量は、1日おきに投与される。
【0141】
式IIおよびIIaのオリゴヌクレオチドまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物形態は、純粋な形態でまたは適切な医薬組成物で、当該技術分野において公知の許容される投与モードまたは作用物質のいずれかを介して投与され得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、経口的に、鼻に、非経口的に(静脈内、筋肉内または皮下)、局所的に、経皮的に、膣内に、膀胱内に、大槽内にまたは直腸的に、投与され得る。剤形は、例えば、固体、半固体、凍結乾燥粉末または液体剤形、例えば、錠剤、丸剤、軟質弾性または硬質ゼラチンカプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、坐剤、エアゾール剤等、例えば、正確な投薬量の単純な投与に好適な単位剤形であり得る。特定の投与経路は、経口、特に、好都合な1日投薬量レジメンを、処置される疾患の重症度に従って調整することができるものである。
【0142】
助剤およびアジュバント剤は、例えば、保存剤、湿潤剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着香剤、乳化剤および分注剤(dispensing agent)を含んでよい。微生物の活動の防止は、概して、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等、種々の抗菌および抗真菌剤によって提供される。糖、塩化ナトリウム等の等張剤も含まれてよい。注射可能薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。助剤は、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤および酸化防止剤、例えば、クエン酸、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエン等も含むことができる。
【0143】
固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティングおよび当該技術分野において周知である他のものを用いて調製することができる。これらは、乳白剤を含有することができ、腸管のある特定の部分において活性オリゴヌクレオチド(単数または複数)を遅延方式で放出するような組成のものであり得る。使用され得る包理組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスである。活性オリゴヌクレオチドは、適切ならば、上で言及した賦形剤の1つまたは複数を加えたマイクロカプセル化形態であることもできる。
【0144】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。そのような剤形は、例えば、本明細書において記載されているコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩および必要に応じた薬学的アジュバントを、担体、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等;可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド;油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;またはこれらの物質の混合物等に、溶解する、分散する等して、それにより、溶液または懸濁液を形成することによって、調製される。
【0145】
概して、意図される投与モードに応じて、薬学的に許容される組成物は、約1重量%~約99重量%の本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドまたは薬学的に許容されるその塩および99重量%~1重量%の薬学的に許容される賦形剤を含有することになる。一例では、組成物は、約5重量%~約75重量%の間の本明細書において記載されているオリゴヌクレオチドまたは薬学的に許容されるその塩となり、残りは、好適な薬学的賦形剤である。
【0146】
そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかとなるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990)を参照されたい。
【0147】
キット
他の実施形態では、キットが提供される。本開示に従うキットは、本開示のオリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは組成物を含む、パッケージを含む。一部の実施形態では、キットは、式I、IaもしくはIbに従うペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩を含む。他の実施形態では、キットは、式IIもしくはIIaに従うオリゴヌクレオチド、または薬学的に許容されるその塩を含む。また他の実施形態では、キットは、式IIIに従うペプチド、または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0148】
語句「パッケージ」は、本明細書において提示されるオリゴヌクレオチドまたは組成物を含有する任意の容器を意味する。一部の実施形態では、パッケージは、箱または包装紙であり得る。薬学的製品を包装する際に使用するための包装材料は、当業者に周知である。薬学的包装材料の例は、ボトル、管、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナ、シリンジ、ボトル、ならびに、選択された製剤ならびに意図される投与モードおよび処置に好適な任意の包装材料を含むがこれらに限定されない。
【0149】
キットは、パッケージ内に含有されていないがパッケージの外側に付着している物品、例えばピペットも含有することができる。
【0150】
キットは、本開示のオリゴヌクレオチドまたは組成物を患者に投与するための指示をさらに含有することができる。キットは、米国食品医薬品局等の規制機関によって承認された本明細書におけるオリゴヌクレオチドの使用の指示も含むことができる。キットは、オリゴヌクレオチドについてのラベリングまたは製品添付文書も含有することができる。パッケージもしくは任意の製品添付文書または両方は、それら自体が規制機関によって承認されてよい。キットは、パッケージ内に、固相または液相(提供される緩衝液等)のオリゴヌクレオチドを含むことができる。キットは、方法を行うために溶液を調製するための緩衝液、および液体を1つのコンテナから別のコンテナへ移すためのピペットも含むことができる。
【実施例0151】
例証を目的としておよび本開示のある特定の具体的な実施形態を記載するために、実施例が以下で明記されている。しかしながら、特許請求の範囲は、本明細書において明記されている実施例によって決して限定されるものではない。開示されている実施形態への種々の変更および修正は、当業者に明らかであろうし、限定なく、本開示の化学構造、置換基、誘導体、製剤または方法に関連するものを含むそのような変更および修正は、本開示の趣旨および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、為され得る。本明細書におけるスキーム内の構造における変数の定義は、本明細書において提示される式中の対応する位置のものに見合っている。
【0152】
細胞透過性ペプチドは、タンパク質およびオリゴヌクレオチドを含む治療的に関連する大型分子の細胞内送達を容易にすることができる。天然および合理的設計の両方に由来する数百のCPP配列が文献において記載されているが、任意の所与の配列の性能は、それが目的のカーゴによく適合していることに依拠する。本実験は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの処置のために最近FDAに承認された説得力のある種類のアンチセンス治療薬であるホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)の送達のためのCPPに特異的に焦点を合わせている。フルオロフォアカーゴとは対照的にPMOカーゴの送達のための公知のCPPの性能における幅広い差異が、本明細書において記載されている。したがって、いずれのペプチド配列がPMO送達を最も特異的に実施するかを予測するための計算法の使用は、活性CPP-PMOコンジュゲートを決定するための効率的な方法となるであろう。
【0153】
特異的なカーゴを送達するために有効なCPPを発見または予測することは、依然として未解決の課題である。CPP配列を予測するための1つの方法は、CPPの実験データセットに対してトレーニングされた計算モデルを構築することによる。サポートベクターマシンおよびN対1ニューラルネットワークを用い、物理化学的特性、アミノ酸組成およびジペプチド組成に基づくCPP予測については、以前に記載されている。これらのモデルは、いくつかの論文から収集されたCPP配列に対してトレーニングされており、これは、異なる実験設計(細胞系、濃度等)を用い、細胞透過を測定するために蛍光カーゴを主に使用する。結果として、これらのモデルは、所与の送達問題のためのCPP選択に影響を与えるカーゴ特異的な基準を獲得しない。
【0154】
計算モデルのライブラリーを生成するために、文献のCPP配列を使用して64のCPP-PMOコンジュゲートを合成し、コンジュゲートを蛍光ベースのレポーターアッセイにおいて機能的エクソンスキッピングについて評価した。次いで、このライブラリーからのエクソンスキッピングデータを使用して、所与のペプチドが、PMOにコンジュゲートされた場合にエクソンスキッピングを少なくとも3倍強化するか否かを予測するためのランダム決定フォレスト分類子を当てはめた。最後に、7つの以前に報告されていないペプチド配列(「PPC」と呼ばれる)をレポーターアッセイにおいて評価して、計算モデルを検証した。計算的に予測された配列の1つは、PMOの特異的送達を、試験された文献のCPPの80%よりも良好に実施した。これらの結果は、CPP配列を目的のカーゴに合わせることの重要性および特定の機能を有するペプチド配列を発見するための機械学習の検出力を強調する。
【0155】
(実施例1)
ペプチド調製および精製のための一般的方法
高速流動ペプチド合成
ペプチドは、自動流動ペプチド合成装置を使用して0.1mmolスケールで合成した。ChemMatrix Rink Amide HYR樹脂(200mg)を、90℃で維持した反応器にロードした。すべての試薬を、90℃で維持したステンレス鋼ループに通すHPLCポンプを用いて80mL/分で流した後、反応器に導入した。各カップリングについて、DMF中0.2Mアミノ酸および0.2M HATUを含有する10mLの溶液を、200μLのジイソプロピルエチルアミンと混合し、反応器に送達した。10.4mLの20%(v/v)ピペリジンを使用して、Fmoc除去を遂行した。各ステップの間に、15mLのDMFを使用して、反応器を洗い流した。最終カップリングはアミノ酸ではなく4-ペンチン酸とであったが、同じ条件を使用した。合成の完了後、樹脂をDCMで3回洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0156】
ペプチド開裂および脱保護
各ペプチドを、6mLのReagent K(82.5%トリフルオロ酢酸、5%フェノール、5%水、5%チオアニソールおよび2.5% 1,2-エタンジチオール(EDT))での処理による同時包括的な側鎖脱保護および樹脂からの開裂に供した。開裂物を室温で16時間放置して、Pbfの完全な除去を確実にした。開裂カクテルを濾過して樹脂を除去し、N2を混合物に吹き込むことによって、蒸発させた。次いで、約35mLの冷エーテルを添加し、粗生成物を、3分間の遠心分離を通してペレット化した。このエーテル研和および遠心分離をもう2回繰り返した。第3の洗浄の後、ペレットを50%水および50%アセトニトリルに再溶解し、凍結乾燥した。
【0157】
ペプチド精製
溶媒A:0.1%TFAを含有する水
溶媒B:0.1%TFAを含有するアセトニトリル
凍結乾燥したペプチドを、最小体積の移動相(95%A、5%B)に溶解した。溶液を、質量ベースの精製システムに付着させた逆相HPLCカラム(Agilent Zorbax SB C18カラム:9.4×250mm、5μmまたはAgilent Zorbax SB C3カラム:9.4×250mm、5μm)にロードした。線形勾配は0.5%B/分で5%Bから55%Bまで実行した。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度をLC-MSによって確認した。
【0158】
実施例1のプロトコールを使用して、表2のペプチドを合成した。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0159】
(実施例2)
ペプチドコンジュゲーション
【化34】
5-アジドペンタン酸をPMOにカップリングするための手順
PMO IVS-654(R
2=5’-GCT ATT ACC TTA ACC CAG-3’;z=18)(200mg、32μmol)を、600μLのDMSOに溶解した。溶液に、244μLのDMF中のHBTU(320μLのDMF中0.4M HBTU、128μmol)およびDIEA(22.3μL、128μmol)で活性化させた4当量の5-アジドペンタン酸(13.6μL、128μmol)を含有する溶液を添加した(最終反応体積=1.2mL)。反応を25分間進めた後、1mLの水および2mLの水酸化アンモニウムでクエンチした。水酸化アンモニウムは、反応過程中に形成されたあらゆるエステルを加水分解する。1時間後、溶液を40mLに希釈し、逆相HPLC(Agilent Zorbax SB C3カラム:21.2×100mm、5μm)および58分間かけて(1%B/分)2から60%Bまでの線形勾配(溶媒A:水;溶媒B:アセトニトリル)を使用して精製した。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度をLC-MSによって確認した。凍結乾燥により、171mgの乾燥粉末(84%収率)を得た。
【0160】
アジド/アルキンヒュスゲン環化付加によるPMO-ペプチドコンジュゲーションのための一般的手順
セプタムキャップ付きの20mLのシンチレーションバイアルに、ペプチドアルキン(1.1μmol)、ISV2-654アジド(0.95μmol)および臭化銅(0.05mmol)を投入した。バイアルを窒素で5分間パージして、酸素の除去を確実にした後、セプタムを通して約1mLのDMFを添加した。反応混合物を1分間ボルテックスした。2時間後、反応混合物を10mLの50mMトリス(pH8)で希釈し、逆相HPLCカラム(Agilent Zorbax SB C3 9.4×50mm、5μm)にロードした。20分間かけて5~45%Bの線形勾配を使用して、クロマトグラフィーを実施した。溶媒A:水中5mM酢酸アンモニウム、pH=8;溶媒B:90%アセトニトリル 10%水中5mM酢酸アンモニウム pH=8。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度をLC-MSによって確認した。
【0161】
(実施例3)
計算設計
5分割交差検証(five-fold cross validation)を用いて推定された分類正確度を有するグリッド検索を通して、ランダムフォレスト分類子ハイパーパラメーターを最適化した。選択された特徴の数、ツリーの数および最大ツリー深度は、それぞれ、5、10および5であった。20配列のホールドアウト試験セットに対する分類子評価からの性能測定基準を、
図2Aに示す。
【0162】
性能測定基準を以下で定義し、TPは、真陽性を指し、TNは、真陰性を指し、FPは、偽陽性を指し、FNは、偽陰性を指す。
【数1】
【0163】
各ペプチド配列について19の特徴を算出し、そのうちの1つはペプチド分子量であった。残りの18の特徴は6つのアミノ酸物理化学的記述子に由来し、これらは、22の天然および593の非天然アミノ酸について算出された384の分子特性の因子分析によって産生された。各ペプチド配列について、これらの6つの記述子を、5つのN末端残基、5つのC末端残基およびペプチド配列全体にわたって平均化した。
【0164】
CPP配列を、コンジュゲートされていないPMOに関してeGFP蛍光における3倍を上回る変化を呈するか否かに基づき、陽性または陰性例のいずれかとして分類した。44の配列をランダムフォレストモデルのためのトレーニングセットとして使用し、20の配列をホールドアウト(hold out)して、モデルがデータに適正に当てはまり、配列の
エクソンスキッピング活性を成功裏に予測することができる程度を評価するための試験セットとして役立てた。モデルの性能測定基準を、
図2Aに示す。
【0165】
実験的に検証するために、CPPライブラリーからのトレーニングデータセットにおいて観察された分布に比例する見込みがあるペプチド長およびアミノ酸組成を選択することにより、ランダムペプチド配列を生成した。ランダムペプチドのうち、5つの陽性配列はeGFP蛍光における3倍を上回る増大につながることが予測され、2つは陰性配列(NS)であることが予測された。PMO送達のための新規ペプチド配列を開発するためにより多くの陽性配列を選択し、これらは予測されたPMO担体(PPC)と称された。これらのPPCを、固相ペプチド合成によって合成し、PMO IVS2-654にコンジュゲートし、RP-HPLCによって精製した。結果を、
図2Aおよび
図2Bに示す。
【0166】
(実施例4)
フローサイトメトリー
PMO-CPPコンジュゲートのライブラリーを試験するために、GFP蛍光のフローサイトメトリー分析を行った。CPPを試験するために、HeLa654細胞を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS)および1%(v/v)ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したMEM中、37℃および5%CO2で維持した。各PMO-CPPコンジュゲートのストックを、リン酸緩衝血清(PBS)中で調製した。260nmにおける吸光度を測定することおよび168,700Lmol-1cm-1の吸光率を使用することによって、ストックの濃度を決定した。細胞を、5μMの濃度の各それぞれのコンジュゲートとともに、10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したMEM中、37℃および5%CO2で22時間インキュベートした。次に、処理培地を吸引し、細胞をトリプシン-EDTA 0.25%とともに37℃および5%CO2で15分間インキュベートし、PBSで1回洗浄し、2%FBSおよび2μg/mLヨウ化プロピジウムを加えたPBSに再懸濁した。
【0167】
フローサイトメトリー分析をBD LSRIIフローサイトメーターで行った。ゲートをデータに適用して、ヨウ化プロピジウムに対して高度に陽性であるかまたは主な細胞集団とは十分に異なる前方/側方散乱読み取りを有する細胞を除外した。各ヒストグラムは、少なくとも10,000のゲート化事象を含有する。結果を、
図1E、
図2Cおよび表3に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0168】
(実施例5)
阻害剤実験
様々なエンドサイトーシスの機序を阻害するために、パルスチェイス実験を実施した。簡潔に述べると、HeLa654細胞を、96ウェルプレート内、10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したMEM中、1ウェル当たり5,000細胞の密度で平板培養した。翌日、細胞を、示された濃度の各阻害剤で処理した。30分後、PMO-ペプチドコンジュゲートを、5μMの濃度で各ウェルに添加した。37℃および5%CO
2で3時間インキュベーション後、処理培地を新鮮培地(阻害剤もPMO-ペプチドもなし)で置き換え、細胞を、37℃および5%CO
2でもう22時間成長させた。4℃の実験では、平板培養の翌日、細胞を4℃で30分間プレインキュベートし、続いて、PMO-ペプチドコンジュゲートを、5μMの濃度で各ウェルに添加した。4℃で3時間のインキュベーションの後、処理培地を新鮮培地で置き換え、細胞を、37℃および5%CO
2でもう22時間成長させた。次いで、試料調製およびフローサイトメトリーを、上述した通りに実施した。各ヒストグラムは、20μMサイトカラシンDおよび200nMワートマニンによる処理を除いて、少なくとも2,000のゲート化事象を含有する。結果を
図3Aおよび
図3Bに示す。
【0169】
eGFP蛍光は、阻害剤の多くとのプレインキュベーション後も比較的変化しなかったが、サイトカラシンDとのプレインキュベーションは、eGFP蛍光の顕著な減少につながった。サイトカラシンDは、アクチンミクロフィラメントの迅速に成長する反矢じり端に結合し、これにより、アクチンモノマーの集合および解離を防止する。これは、細胞の細胞骨格だけでなく、かき乱し再編成してマクロピノサイトーシスを容易にする膜の能力にも影響を及ぼす。eGFP蛍光の減少はエクソンスキッピング経路における下流への効果によるものである可能性があるが、これらの結果は、マクロピノサイトーシスが、本コンジュゲートの内部移行において重要な役割を果たすことを示唆する。
【0170】
参照による組み込み
本出願全体を通して引用されるすべての参考文献(文献参照、発行済み特許、公開された特許出願および同時係属中の特許出願を含む)の内容は、これによりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者に一般的に公知の意味と一致する。
【0171】
均等物
当業者ならば、日常実験以上のものを使用することなく、本明細書において記載されている開示の具体的な実施形態の多くの均等物を認識または解明することができるであろう。そのような均等物は、下記の特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
【化35】
または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
A’は、-NHCH
2C(O)NH
2、-N(C
1~6-アルキル)CH
2C(O)NH
2、
【化36】
から選択され、式中、
R
5は、-C(O)(O-アルキル)
x-OHであり、xは、3~10であり、各アルキル基は、各出現において独立して、C
2~6-アルキルであるか、またはR
5は、-C(O)C
1~6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C
1~6-アルキル)R
6、-(C
1~6-へテロアルキル)-R
6、アリール-R
6、ヘテロアリール-R
6、-C(O)O-(C
1~6-アルキル)-R
6、-C(O)O-アリール-R
6、-C(O)O-ヘテロアリール-R
6、および
【化37】
から選択され、
式中、R
6は、OH、SHおよびNH
2から選択されるか、またはR
6は、固体支持体に共有結合的に連結しているO、SもしくはNHであり、
各R
1は、OHおよび-NR
3R
4から独立して選択され、各R
3およびR
4は、各出現において独立して、-C
1~6-アルキルであり、
各R
2は、H、核酸塩基、および化学保護基で官能基化された核酸塩基から独立して選択され、前記核酸塩基は、各出現において独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリンおよびデアザ-プリンから選択されるC
3~6-複素環式環を含み、
zは、8~40であり、
E’は、H、-C
1~6-アルキル、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化38】
から選択され、式中、
Qは、-C(O)(CH
2)
6C(O)-または-C(O)(CH
2)
2S
2(CH
2)
2C(O)-であり、
R
7は、-(CH
2)
2OC(O)N(R
8)
2であり、R
8は、-(CH
2)
6NHC(=NH)NH
2であり、
Lは、Jのアミノ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Lは、-C(O)(CH
2)
1~6-C
1~6-ヘテロ芳香族-(CH
2)
1~6C(O)であり、
tは、5~27であり、
各Jは、各出現において独立して、アルギニン、グリシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、イソロイシン、システイン、チロシン、ヒスチジン、アスパラギン、アスパラギン酸およびトレオニンからなる群より選択され、
少なくとも1つのJは、アルギニンであり、
Gは、Jのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合的に連結しており、Gは、H、-C(O)C
1~6-アルキル、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される}
下記の条件の少なくとも1つが真である:
1)A’は、
【化39】
であるか、または2)E’は、
【化40】
である、ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩。
(項目2)
A’が、-N(C
1~6-アルキル)CH
2C(O)NH
2、
【化41】
から選択される、項目1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目3)
E’が、H、-C(O)CH
3、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化42】
から選択される、項目1から2のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目4)
前記式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、
【化43】
から選択されるペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートであり、式中、E’は、H、C
1~6-アルキル、-C(O)CH
3、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される、項目1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目5)
式(Ia)のものである、項目1または4に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目6)
式(Ib)のものである、項目1または4に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目7)
各Jが、グリシン、アラニン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、セリン、プロリン、バリン、アルギニンおよびトレオニンから独立して選択される、項目1から6のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目8)
各Jが、アルギニンである、項目1から7のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目9)
各R
1が、N(CH
3)
2である、項目1から8のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目10)
各R
2が、各出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシルおよびヒポキサンチンから選択される核酸塩基である、項目1から9のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目11)
Lが、-C(O)(CH
2)
1~6-トリアゾール-(CH
2)
1~6C(O)-である、項目1から10のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目12)
Lが、
【化44】
である、項目1から11のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目13)
Gが、H、C(O)CH
3、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される、項目1から12のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目14)
Gが、-C(O)CH
3である、項目1から23のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目15)
Jが、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV、RRIPNRRPRR、TRRQRTRRARRNR、HARIKPTFRRLKWKYKGKFW、GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ、LRRERQSRLRRERQSR、RRRRRRRRR、RQIKIWFQNRRMKWKK、KRARNTEAARRSRARKLQRMKQ、RHIKIWFQNRRMKWKK、RRRRRRRR、KMTRAQRRAAARRNRWTAR、RGGRLSYSRRRFSTSTGR、KQINNWFINQRKRHWK、KLWMRWYSPTTRRYG、RRWWRRWRR、SQIKIWFQNKRAKIKK、GAYDLRRRERQSRLRRRERQSR、TRRNKRNRIQEQLNRK、GKRKKKGKLGKKRDP、RQVTIWFQNRRVKEKK、RLRWR、PPRPPRPPRPPRPPR、CAYHRLRRC、SRRARRSPRHLGSG、PPRPPRPPRPPR、NAKTRRHERRRKLAIER、VKRGLKLRHVRPRVTRMDV、LYKKGPAKKGRPPLRGWFH、TAKTRYKARRAELIAERR、KGTYKKKLMRIPLKGT、PPRPPRPPR、RASKRDGSWVKKLHRILE、TRSSRAGLQWPVGRVHRLLRK、FKIYDKKVRTRVVKH、VRLPPPVRLPPPVRLPPP、GPFHFYQFLFPPV、PLILLRLLRGQF、YTAIAWVKAFIRKLRK、KETWWETWWTEWSQPKKRKV、LIRLWSHLIHIWFQNRRLKWKKK、VDKGSYLPRPTPPRPIYNRN、MDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN、GSPWGLQHHPPRT、KLALKALKALKAALKLA、IPALK、VPALR、LLIILRRRIRKQAHAHSK、IAWVKAFIRKLRKGPLG、AAVLLPVLLAAPVQRKRQKLP、TSPLNIHNGQKL、VPTLK、またはVSALKである、項目1に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目16)
Jが、RRRRRRRRRRRR、GLAFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV、RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG、RKKRRQRRR、RRRRRRRRRR、GRPRESGKKRKRKRLKP、またはALWKTLLKKVLKAPKKKRKVである、項目1から15のいずれか一項に記載のペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または薬学的に許容されるその塩。
(項目17)
項目1から16のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
(項目18)
筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症の処置を必要とする被験体において、筋疾患、ウイルス感染症または細菌感染症を処置する方法であって、前記被験体に、項目1から16のいずれか一項に記載の化合物または項目17に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目19)
前記筋疾患が、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記ウイルス感染症が、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルスおよびデングウイルスからなる群より選択されるウイルスによって引き起こされる、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記細菌感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、項目18に記載の方法。