(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083558
(43)【公開日】2023-06-15
(54)【発明の名称】米飯供給装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230608BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071486
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2019068132の分割
【原出願日】2019-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】矢内 政利
(72)【発明者】
【氏名】神山 孝司
(72)【発明者】
【氏名】平井 悠太
(72)【発明者】
【氏名】中野 達也
(57)【要約】
【課題】米飯供給装置において、貯留部内に貯留されている米飯の残量が少なくなることに伴う米飯の搬送効率の低下を防止する。
【解決手段】ホッパ20内の米飯を搬送する搬送スクリュ21と、ホッパ20内の米飯を撹拌しながら搬送スクリュ21へ送る撹拌羽根25と、ホッパ20内の米飯の残量を計測する米飯重量計測器と、搬送スクリュ21から送られた米飯を計量し、予め設定された重量の米飯を容器に供給するシャッタ23および計量器24と、米飯重量計測器に計測される米飯の残量が多いときよりも少ないときの方が、搬送スクリュ21により米飯が搬送されるときの撹拌羽根25の回転速度が速くなる制御を実行する制御部30とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯が貯留される貯留部と、
前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段と、
前記貯留部内の米飯を撹拌しながら前記搬送手段へ送る撹拌手段と、
前記貯留部内の米飯の残量を計測する残量計測手段と、
前記搬送手段から送られた米飯を計量し、予め設定された重量の米飯を受容部材に供給する計量供給手段と、
前記残量計測手段に計測される米飯の残量が多いときよりも少ないときの方が、前記搬送手段により米飯が搬送されるときの前記撹拌手段の回転速度が速くなる制御を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする米飯供給装置。
【請求項2】
前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の重量を計測する米飯重量計測器である、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項3】
前記米飯重量計測器は、装置に取り付けられた脚部にそれぞれ設置されたロードセルで得られた装置重量から前記貯留部に米飯を貯留していない状態での装置重量を差し引いて前記貯留部内の米飯の残量を計測する、
ことを特徴とする請求項2記載の米飯供給装置。
【請求項4】
前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の高さ位置を検知するセンサである、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項5】
前記撹拌手段は、
前記搬送手段による米飯の搬送方向に沿って配置されたシャフトと、
前記シャフトの回転方向と交差する方向に延びる複数の撹拌棒とからなる、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯供給装置に関し、特に、米飯供給装置に設けられて米飯を撹拌する撹拌手段の動作制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯(食材)を弁当箱や椀等の容器に供給するための米飯供給装置が知られている。この米飯供給装置は、貯留部であるホッパ(貯留部)に米飯を貯留しておき、そこから米飯を搬送スクリュ(搬送手段)で適量搬送して計量することにより、一定量の米飯を容器に自動的に供給する装置である。
【0003】
ここで、米飯供給装置においては、ホッパ内の米飯の滞留を防止するための撹拌羽根(撹拌手段)が備えられたものがある。このような米飯供給装置では、搬送スクリュで米飯を搬送する際に、撹拌羽根が米飯を撹拌しながら搬送スクリュに送ることにより、ホッパ内の米飯を残さずに搬送するようにしている。
【0004】
なお、撹拌羽根で米飯を撹拌しながら搬送スクリュに送る米飯供給装置については、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1では、搬送スクリュの上部の左右両側に一対の撹拌羽根を配置しており、撹拌羽根を構成する複数の撹拌バーを、搬送方向後方側では相対的に狭い間隔に、搬送方向前方側では相対的に広い間隔にして、螺旋状に設置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、米飯供給装置においては、ホッパ内に貯留されている米飯の残量が少なくなると、撹拌羽根により搬送スクリュへ送られる米飯の量が少なくなるために、搬送スクリュにより必要量を搬送するまでの時間がかかってしまって搬送効率が低下し、米飯の供給時間つまり容器への盛り付け時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、貯留部内に貯留されている米飯の残量が少なくなることに伴う搬送手段における米飯の搬送効率の低下を防止することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、米飯が貯留される貯留部と、前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段と、前記貯留部内の米飯を撹拌しながら前記搬送手段へ送る撹拌手段と、前記貯留部内の米飯の残量を計測する残量計測手段と、前記搬送手段から送られた米飯を計量し、予め設定された重量の米飯を受容部材に供給する計量供給手段と、前記残量計測手段に計測される米飯の残量が多いときよりも少ないときの方が、前記搬送手段により米飯が搬送されるときの前記撹拌手段の回転速度が速くなる制御を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の重量を計測する米飯重量計測器である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項2記載の発明において、前記米飯重量計測器は、装置に取り付けられた脚部にそれぞれ設置されたロードセルで得られた装置重量から前記貯留部に米飯を貯留していない状態での装置重量を差し引いて前記貯留部内の米飯の残量を計測する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の高さ位置を検知するセンサである、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記撹拌手段は、前記搬送手段による米飯の搬送方向に沿って配置されたシャフトと、前記シャフトの回転方向と交差する方向に延びる複数の撹拌棒とからなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、残量計測手段に計測される米飯の残量が多いときよりも少ないときの方が、搬送手段により米飯が搬送されるときの撹拌手段の回転速度が速くなっているので、貯留部内に貯留されている米飯の残量が少なくなることに伴う搬送手段における米飯の搬送効率の低下を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の米飯供給装置の上部について上蓋を開いた状態で示す斜視図である。
【
図4】本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め上方から示す斜視図である。
【
図5】
図4から上部ホッパおよびハウジングカバーを取り外して示す斜視図である。
【
図6】本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め下方から示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態である米飯供給装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図、
図2は
図1の米飯供給装置の上部について上蓋を開いた状態で示す斜視図、
図3は
図1の米飯供給装置の断面図、
図4は本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め上方から示す斜視図、
図5は
図4から上部ホッパおよびハウジングカバーを取り外して示す斜視図、
図6は本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め下方から示す斜視図、
図7は本発明の一実施の形態である米飯供給装置のブロック図である。
【0017】
図1および
図2に示すように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10および背面板11の両側に位置する側面板12を備え、上方に開いた開口部13が形成された本体部1を有している。また、本体部1には、開口部13を開閉するための上蓋14が、蝶番ユニット15を介して取り付けられている。なお、上蓋14は、開口部13を閉鎖したときに外側に位置する外蓋部14-1と、内側に位置する内蓋部14-2とで構成されている。
【0018】
図示するように、正面板10には、タッチパネル式の表示部16が備えられている。表示部16は、操作コマンドを入力したりメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。本体部1の背面側には、米飯供給装置Aの動作制御を行うための制御部(制御手段・残量計測手段(米飯重量計測器):
図7)30などの様々な電子部品が実装された基板17(
図3)が設置されている。
【0019】
また、正面板10の下方には、米飯を盛り付けるときの容器(受容部材)が設置される容器設置部18が設けられ、正面板10と容器設置部18との間には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部空間19が形成されている。この凹部空間19は容器を収容するに十分な空間となっており、その上方から米飯が落下して容器に供給される。
【0020】
図2および
図3に示すように、前述した開口部13内には、当該開口部13から投入された米飯が貯留されるホッパ(貯留部)20が設置されている。また、
図3に示すように、ホッパ20の底面付近には、米飯を搬送(
図3においては、図面右側から斜め左上側に搬送)するための搬送スクリュ(搬送手段)21、およびホッパ20内の米飯を撹拌しながら搬送スクリュ21へ送る撹拌羽根(撹拌手段)25が設けられている。
【0021】
搬送スクリュ21における米飯の搬送方向の下流側には、搬送スクリュ21の回転によりホッパ20内を搬送された米飯を解すように取り崩して落下させるドラム型で外周に多数の爪22aが設けられた解しローラ(解し手段)22が配置されている。さらに、解しローラ22の直下には、当該解しローラ22から落下した米飯の落下経路を開閉する一対のシャッタ(計量供給手段の一部)23が備えられている。
【0022】
解しローラ22の回転軸は搬送スクリュ21の回転軸と直交するような位置関係になっている。これにより、ホッパ20に貯留された米飯は、ホッパ20に設けられた搬送スクリュ21の回転により解しローラ22へと搬送される。そして、解しローラ22に搬送された米飯は、当該解しローラ22の回転に伴う爪22aの働きにより、解されながら落下する。
【0023】
また、シャッタ23は、前述した解しローラ22によって落下する米飯の落下経路上に位置している。このシャッタ23は、米飯が蓄積可能に下方に膨らんだ形状となっており、下方に向けて開閉可能になった一対の部材で形成されている。そして、容器に米飯を供給する際にはシャッタ23が開き、供給を停止する際に閉じることにより、米飯の容器への供給動作と供給停止動作とが行われる。
【0024】
図4~
図6に詳しく示すように、ホッパ20は、上端および下端が開口した上部ホッパ20aと、上部ホッパ20aの下端の開口に嵌め込まれてホッパ20の底面を形成する下部ホッパ20bとで構成されている。
【0025】
上部ホッパ20aには、上方より下方へ向かって徐々に狭く形成されており、これによって上端が広口の開口とされるとともに、下端が狭口の開口とされている。
【0026】
下部ホッパ20bに形成された略半円形の収容溝20b-1内には、前述した搬送スクリュ21が設置されている。搬送スクリュ21は、米飯の搬送方向に沿って延びる搬送軸21aと、この搬送軸21aの回りに設けられてホッパ20内の米飯を解しローラ22へと搬送する螺旋状のスクリュ21bとで構成されている。そして、搬送軸21aの一方の端部(解しローラ22と反対側の端部)は下部ホッパ20bの外部へ突出しており、当該突出端には減速機26を構成するギア26aが取り付けられている。
【0027】
前述した撹拌羽根25は、搬送スクリュ21と並列に設置されている。撹拌羽根25は、搬送スクリュ21による米飯の搬送方向に沿って配置されたシャフト25aと、シャフト25aの回転方向と交差する方向に延びるとともに相互に間隔を空けて設けられた複数の撹拌棒25bとで構成されている。そして、シャフト25aの一方の端部(解しローラ22と反対側の端部)も下部ホッパ20bの外部へ突出しており、同様に、突出端には減速機27を構成するギア27aが取り付けられている。
【0028】
なお、撹拌羽根25の構造は本実施の形態に示すものには限定されない。但し、本実施の形態の撹拌羽根25によれば、撹拌棒25bで切られるように米飯が撹拌されるので、米粒が潰れて食感が損なわれることがない。
【0029】
搬送軸21aに取り付けられたギア26aを含む減速機26、およびシャフト25aに取り付けられたギア27aを含む減速機27は、共にハウジング28内に格納されている。また、ハウジング28の裏側には、搬送スクリュ21を回転駆動するための搬送用モータM1、および撹拌羽根25を回転駆動するための撹拌用モータM2がそれぞれ固定されている。そして、搬送用モータM1の出力軸には減速機26を構成するギア26bが、撹拌用モータM2の出力軸には減速機27を構成するギア27bが、それぞれ取り付けられている。これにより、搬送用モータM1の回転力は、ギア26bから中継用のギア26cを介してギア26aに伝達され、搬送スクリュ21を回転させる。また、撹拌用モータM2の回転力は、ギア27bから中継用のギア27cを介してギア27aに伝達され、撹拌羽根25を回転させる。
【0030】
なお、ハウジング28の前面は、減速機26,27を保護するとともに、これらの減速機26,27の回転軸を支持するためのハウジングカバー28aで覆われている。
【0031】
そして、搬送スクリュ21を回転駆動するための搬送用モータM1とは別に撹拌羽根25を回転駆動するために撹拌用モータM2が設けられているので、撹拌羽根25は搬送スクリュ21とは独立して回転が可能となっている。したがって、米飯を搬送する方向である第1の方向r1にしか回転しない搬送スクリュ21に対して、撹拌羽根25は、第1の方向r1のみならず、これとは逆の第2の方向r2に対しても回転可能になっており、そのときの回転速度についても、搬送スクリュ21とは独立して設定が可能になっている。
【0032】
ここで、
図3に示すように、撹拌羽根25のシャフト25aは、搬送スクリュ21のスクリュ21bの上端よりも高い位置に設置されている。また、前述した搬送スクリュ21の収容溝20b-1は、撹拌羽根25が設置された部分のホッパ20の底面(ほぼ平坦になった底面)から見て落ち込むような形状になっている。したがって、ホッパ20内の米飯は、撹拌羽根25が第1の方向r1に回転すると、シャフト25aを乗り越えるようにして、撹拌されながら搬送スクリュ21へと送られる。また、第2の方向r2に回転すると、シャフト25aとホッパ20の底面との間を通り抜けるようにして、撹拌されながら搬送スクリュ21へと送られる。
【0033】
さて、
図3において、米飯供給装置Aは、シャッタ23に蓄積された米飯(つまり、容器設置部18に載置された容器に供給されることになる米飯)の計量を行う計量器(計量供給手段の一部)24を備えている。
【0034】
計量器24には、荷重を電気信号に変換するロードセルが用いられている。そして、閉鎖位置にあるシャッタ23に蓄積された米飯の計量値(計量器24による計量値)が目標計量値に到達する直前に搬送スクリュ21および解しローラ22の回転動作が停止し、最終的に目標計量値に到達したときにシャッタ23が開放位置になって米飯が容器に落下供給される。
【0035】
装置底面の4箇所に取り付けられた脚部29には、荷重を電気信号に変換するロードセル(
図7)31が設けられており、各ロードセル31で計測された重量を合計すると米飯供給装置Aの総重量が求められる。したがって、ホッパ20に米飯を貯留していない状態での装置重量を予め登録しておけば、制御部30において、当該装置重量と4つのロードセル31の合計で得られた装置重量(ホッパ20に米飯を貯留した状態での装置重量)との差を求めることにより、ホッパ20内の米飯の重量、つまり米飯の残量が計測される。
【0036】
したがって、制御部30は、ホッパ20内の米飯の残量を計測する米飯重量計測器(残量計測手段)として機能する。
【0037】
なお、ホッパ20内の米飯の重量は、本実施の形態のように脚部29に設置されたロードセル31により測定された装置重量から米飯を貯留していない装置重量を引いて求めることに限定されるものではない。例えば、ホッパ20の重量計測器を設置しておき、計測値からホッパ20の重量を引いて米飯の残量を求めるようにしてもよい。
【0038】
以上のような構成を有する米飯供給装置Aのブロック図を
図7に示す。
【0039】
図示するように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、装置の動作制御を行う制御部30を備えており、前述した表示部16、計量器24、ロードセル31、搬送用モータM1、撹拌用モータM2の他に、搬送スクリュ21による米飯の搬送が実行されない時間であるアイドルタイム(遊休時間)を計測するためのタイマ(計時手段)32、解しローラ22を回転駆動するための解し用モータM3、シャッタ23の開閉させるためのシャッタ用電磁弁Sなどを備えている。
【0040】
そして、制御部30は、タイマ32に計測されたアイドルタイムが所定時間に達したならば、撹拌用モータM2を回転させる制御を行うようになっている。
【0041】
例えば、アイドルタイムが30分に達したならば、制御部30は、撹拌用モータM2のみを回転させて、例えば撹拌羽根25を6rpmで5~6秒間回転させてホッパ20内の米飯を撹拌させる。そして、アイドルタイムが継続する限り、例えば30分毎に撹拌用モータM2のみを回転させる。なお、その際の撹拌羽根25の回転方向は、第1の方向r1あるいは第2の方向r2だけでもよいが、第1の方向r1と第2の方向r2とに交互に回転させるようにしてもよい。そしてこのような撹拌羽根25の回転は、ホッパ20内の米飯残量とは無関係に行われる。
【0042】
また、制御部30は、計測されたホッパ20内の米飯の残量が多いときよりも少ないときの方が、搬送スクリュ21により米飯が搬送されるときの撹拌羽根25の回転速度が速くなるように撹拌用モータM2の回転の制御を行うようになっている。
【0043】
例えば、ホッパ20内の米飯の最大投入可能重量が5kgである場合、ホッパ20内の米飯残量が2kgになるまでは、撹拌羽根25を6rpmで第1の方向r1に回転させてホッパ20内の米飯を撹拌させながら搬送スクリュ21に送る。そして、ホッパ20内の米飯残量が2kg以下になったならば、撹拌羽根25を20rpmで第1の方向r1または第2の方向r2に回転させてホッパ20内の米飯を撹拌させながら搬送スクリュ21に送る。但し、ここで述べた回転方向は一例であり、特に限定されるものではない。なお、本実施の形態において、搬送スクリュ21は、米飯残量の多少にかかわらず、第1の方向に60rpmで回転する。
【0044】
次に、本実施の形態の米飯供給装置Aにおける米飯の供給動作の概略について説明する。
【0045】
先ず、上蓋14を開いておいて、炊き上がった米飯をホッパ20に投入する。その後、上蓋14を閉めてタッチパネル式の表示部16で所定の盛付ボタンを押す。容器設置部18に容器を設置すると、図示しないセンサが容器の設置を検出して搬送スクリュ21、撹拌羽根25および解しローラ22が回転を開始し、閉鎖位置にあるシャッタ23内に米飯が蓄積されていく。このとき、シャッタ23に蓄積された米飯の重量は計量器24によって逐次計測される。そして、前述のように、計測値が目標値に到達する直前に搬送スクリュ21、撹拌羽根25および解しローラ22の回転動作が停止し、最終的に目標値に到達したときにシャッタ23が開放位置になって米飯が容器に落下供給される。
【0046】
ここで、米飯供給装置Aにおいて、アイドルタイムが長くなると、ホッパ20に貯留されている表層の米飯の水分が少なくなって固着気味になってしまう。すると、搬送スクリュ21により米飯の搬送を行ったときに米飯が搬送スクリュ21の回転に沿って動きにくくなり、結果的にスムーズに米飯を搬送することができなくなる。
【0047】
この点に関して、本実施の形態の米飯供給装置Aでは、前述のように、制御部30による制御の下、タイマ32に計測されたアイドルタイムが所定時間に達したならば、撹拌用モータM2が回転するようになっている。
【0048】
具体的には、タイマ32に計測されたアイドルタイムが例えば30分に達したならば、撹拌用モータM2が回転し、撹拌羽根25を6rpmで5~6秒間回転させてホッパ20内の米飯を撹拌させる。
【0049】
このような撹拌羽根25の回転により米飯が解されるので、アイドルタイムが長くなることに伴うホッパ20内の米飯の固着を防止することが可能になる。これにより、アイドルタイムが長くなっても搬送スクリュ21により米飯をスムーズに搬送することができ、米飯の容器への盛り付け時間が長くなることがなくなる。
【0050】
また、ホッパ20内の米飯が容器に落下供給されて残量が徐々に減少するが、米飯供給装置Aにおいては、前述した米飯重量計測器としての制御部30により常に米飯残量が計測されている。すなわち、ホッパ20に米飯を貯留していない状態での装置重量と米飯重量計測器で得られた装置重量(ホッパ20に米飯を貯留した状態での装置重量)との差から、ホッパ20内の米飯の残量が計測されている。
【0051】
そして、ホッパ20内に貯留されている米飯の残量が少なくなると、撹拌羽根25により搬送スクリュ21へ送られる米飯の量が少なくなる。そのために、設定量の米飯を搬送スクリュ21で搬送するのに時間がかかってしまって搬送効率が低下することになる。
【0052】
この点に関しても、本実施の形態の米飯供給装置Aでは、前述のように、制御部30による制御の下、ホッパ20内の米飯の残量が多いときよりも少ないときの方が、搬送スクリュ21により米飯が搬送されるときの撹拌羽根25の回転速度が速くなるように撹拌用モータM2が回転するようになっている。
【0053】
具体的には、ホッパ20内の米飯残量が最大の5kgから徐々に減少して2kgになるまでは、撹拌羽根25を6rpmで第1の方向r1に回転させてホッパ20内の米飯を撹拌させながら搬送スクリュ21に送る。そして、ホッパ20内の米飯残量が2kg以下になったならば、撹拌羽根25をそれまでの回転速度で回転させていたのでは、搬送スクリュ21に送られる米飯の量が少なくなるので、回転速度を上げて20rpmで第1の方向r1または第2の方向r2に回転させてホッパ20内の米飯を撹拌させながら搬送スクリュ21に送る。
【0054】
このように米飯の残量が少なくなったならば撹拌羽根25の回転速度を上げて積極的に米飯を搬送スクリュ21に送っているので、ホッパ20内に貯留されている米飯の残量が少なくなることに伴う搬送スクリュ21における米飯の搬送効率の低下が防止される。これにより、ホッパ20内の米飯が少なくなっても、米飯の容器への盛り付け時間が長くなることがなくなる。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0056】
例えば、以上の説明では、残量計測手段として米飯重量計測器が用いられており、ホッパ20内の米飯の残量を米飯の重量から求めていたが、これに限定されるものではない。すなわち、ホッパ20内の米飯の高さ位置を検知するセンサ(光学センサなど)を設置し、ホッパ20内の米飯の残量を重量ではなく米飯の高さから求めるようにしてもよい。
【0057】
また、以上の説明において示された様々な数値(アイドルタイムにおける撹拌羽根25の回転開始時間の30分や回転継続時間の5~6秒、撹拌羽根25の回転数の6rpmやや20rpm、ホッパ20における米飯の最大投入可能重量の5kg、撹拌羽根25の回転数を上げる際のホッパ20内の米飯残量である2kg、搬送スクリュ21の回転数の60rpmなど)は何れも一例に過ぎず、本発明がこれらの数値に限定されるものではない。
【0058】
また、以上の説明では、ホッパ20内の米飯の残量に応じた撹拌羽根25の速度制御では、撹拌羽根25の回転速度を2種類に制御していたが、米飯の残量をさらに細かく区切って3種類以上に制御するようにしてもよい。
【0059】
そして、前述した実施の形態の米飯供給装置Aにおいては、食材受容部の一例として容器が示されているが、容器に限定されるものではなく、例えば落下した米飯を所定の形状に成形するための成形型などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上の説明では、シャッタに蓄積される米飯の重量を計測するいわゆる上計量の米飯供給装置が示されているが、容器設置部に載置された容器に落下供給される米飯の重量を計測するいわゆる下計量の米飯供給装置であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 本体部
20 ホッパ(貯留部)
21 搬送スクリュ(搬送手段)
21a 搬送軸
21b スクリュ
22 解しローラ(解し手段)
22a 爪
23 シャッタ(計量供給手段の一部)
24 計量器(計量供給手段の一部)
25 撹拌羽根(撹拌手段)
25a シャフト
25b 撹拌棒
26 減速機
27 減速機
28 ハウジング
28a ハウジングカバー
29 脚部
30 制御部(制御手段・残量計測手段(米飯重量計測器))
31 ロードセル
32 タイマ(計時手段)
A 米飯供給装置
M1 搬送用モータ
M2 撹拌用モータ
r1 第1の方向
r2 第2の方向