(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008360
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
F02M 61/16 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
F02M61/16 F
F02M61/16 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111872
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】根木 謙一
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AA07
3G066AB02
3G066BA36
3G066BA50
3G066BA67
3G066CC03
3G066CC14
3G066CD10
3G066CE22
(57)【要約】
【課題】燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、コロージョン等の発生および侵食リスクを低下させることが可能な燃料噴射装置を提供する
【解決手段】インジェクタハウジング(2)と、燃料噴射孔(12)が形成されているノズルボディ(3、3´)と、前記インジェクタハウジング(2)の端部に前記ノズルボディ(3、3´)を締結する第1ナット部材(6)と、前記第1ナット部材(6)と前記燃料噴射孔(12)との間に設けられた第2ナット部材(11、11´)と、を備える、燃料噴射装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクタハウジング(2)と、
燃料噴射孔(12)が形成されているノズルボディ(3、3´)と、
前記インジェクタハウジング(2)の端部に前記ノズルボディ(3、3´)を締結する第1ナット部材(6)と、
前記第1ナット部材(6)と前記燃料噴射孔(12)との間に設けられた第2ナット部材(11、11´)と、
を備える、
燃料噴射装置。
【請求項2】
前記第2ナット部材(11、11´)に形成された雌ネジ(11c、11´c)が前記ノズルボディ(3、3´)に形成された雄ネジ(3d、3´d)と螺合する、
請求項1記載の燃料噴射装置。
【請求項3】
前記雌ネジ(11c)が前記雄ネジ(3d)と螺合する際に、前記第2ナット部材(11)の端面は、前記ノズルボディ(3)に設けられたストッパ(3c)に当接する、
請求項2記載の燃料噴射装置。
【請求項4】
前記雌ネジ(11´c)が前記雄ネジ(3´d)と螺合する際に、前記第2ナット部材(11´)の端面は、前記第1ナット部材(6)に当接する、
請求項2記載の燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはディーゼルエンジン等の内燃機関の燃焼室に高圧燃料を噴射供給する燃料噴射装置であって、ノズルボディとホルダボディ(インジェクタハウジング)とをリテーニングナットで締結する構造の燃料噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は従来型の燃料噴射装置201が内燃機関のシリンダヘッド300に取り付けられた状態を示す模式図である。燃料噴射装置201についてはノズル側のみが記載されている。また、
図7は
図6のC部の拡大図である。燃料噴射装置201は、インジェクタハウジング202と、ノズルボディ203と、ノズルニードル204と、リテーニングナット206等を備える。
【0005】
ノズルボディ203の先端部にはノズルニードル204により開閉される燃料噴射孔212が形成されている。すなわち、燃料噴射孔212が開口されると燃料噴射孔212から高圧燃料が内燃機関の燃焼室302に噴射され、燃料噴射孔212が閉止されると燃料噴射が停止される。この高圧燃料は、インジェクタハウジング202およびノズルボディ203に形成された第1燃料通路215、216を介してノズルボディ203の先端側に送られる。
【0006】
ノズルボディ203は、インジェクタハウジング202の端部にリテーニングナット206により締結されている。ノズルボディ203の締結の際、リテーニングナット206の受面206aをノズルボディ203の肩面203aに当接させ、ノズルボディ203はリテーニングナット206とインジェクタハウジング202との間に挟み込まれて締結される。この際、肩面203aの内側方向にある隅部203bには軸方向の引張応力σcが生じる。
【0007】
シリンダヘッド300には、燃料噴射装置201が挿入される取付孔304が燃焼室302とシリンダヘッド上部301とを貫通するように形成されている。取付孔304は、燃焼室302側にから、小径部304b、小径部304bよりも径が大きい大径部304aの順に有しており、大径部304aと小径部304bとの間には円環状の段差部304cが形成されている。この段差部304cの環状端面には、環状のガスケット306を介してリテーニングナット206の燃料噴射孔212側の端面206bが配置される。燃料噴射装置201をシリンダヘッド300側に押すクランプ(図示せず)により、燃料噴射装置201はシリンダヘッド300に押圧固定される。この際、クランプの押圧力により隅部203bには軸方向の引張応力σ
dが生じる。すなわち、隅部203bには軸方向の引張応力σ
cに加え、クランプの押圧力による軸方向の引張応力σ
dが生じることになる。(
図7中のσ
c、σ
dを参照)
【0008】
燃焼室302内で発生した燃焼ガスの一部は小径部304bを通ってガスケット306まで到達するが(
図7中のg参照)、わずかな燃焼ガスはここを通り抜けノズルボディ203の隅部203bに到達する場合がある(
図7中のg´参照)。ここで、燃料噴射装置201が使用される国によっては、脱硫等が十分でない燃料が使用されることにより、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合がある。この硫黄化合物を多く含んだ燃焼ガスはノズルボディ203等の表面にコロージョンを引き起こす可能性がある。特に引張応力が生じている隅部203bにおいては硫黄化合物を多く含んだ燃焼ガスとの相乗効果によりコロージョンによる侵食が進むおそれがある。
【0009】
本願発明は、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、コロージョン等の発生および侵食リスクを低下させることが可能な燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明のある観点によれば、インジェクタハウジングと、燃料噴射孔が形成されているノズルボディと、前記インジェクタハウジングの端部に前記ノズルボディを締結する第1ナット部材と、前記第1ナット部材と前記燃料噴射孔との間に設けられた第2ナット部材と、を備える、燃料噴射装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、コロージョン等の発生および侵食リスクを低下させることが可能な燃料噴射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願発明の実施形態に係る燃料噴射装置を示す断面図である。
【
図2】
図1の燃料噴射装置が内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられた状態を示す模式図である。
【
図4】本願発明の変形例に係る燃料噴射装置が内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられた状態を示す模式図である。
【
図6】従来品の燃料噴射装置が内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について具体例を示して説明する。ただし、本実施形態は本願発明の一態様を示すものであり、本願発明を限定するものではなく、本願発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0014】
以下では、本願発明が適用された燃料噴射装置1について説明する。具体的に、燃料噴射装置1は、
図1に示すように、インジェクタハウジング2と、ノズルボディ3と、ノズルニードル4と、ノズルスプリング5と、リテーニングナット6と、バルブピストン7と、バルブボディ8と、電磁アクチュエータ9と、インレット部10と、ノズルナット11等、を備える。
【0015】
ノズルボディ3は、インジェクタハウジング2の先端部(
図1において下側の先端部)にリテーニングナット(第1ナット部材)6により締結されている。インジェクタハウジング2およびノズルボディ3には、インレット部10から導入される高圧燃料をノズルボディ3内部に形成された燃料溜まり室17へ送る第1燃料通路15、16がそれぞれ形成されている。インレット部10は、図示しないコモンレールに接続され、当該コモンレールから高圧燃料がインレット部10に導入される。
【0016】
ノズルボディ3の先端部には燃料噴射孔12が形成されている。この燃料噴射孔12につながるシート部13にノズルニードル4の先端部が着座(シート)することにより燃料噴射孔12が閉鎖される一方、ノズルニードル4の先端部がシート部13から離間(リフト)することにより燃料噴射孔12が開口される。これによって燃料の噴射開始、停止が可能となっている。また、リテーニングナット(第1ナット部材)6と燃料噴射孔12との間のノズルボディ3には、ノズルナット(第2ナット部材)11が取り付けられているが、この点については後述する。
【0017】
インジェクタハウジング2内には、その中心軸を中心としたスプリング室18が形成され、当該スプリング室18にノズルスプリング5が配置されている。ノズルスプリング5は、ノズルニードル4をシート部13側の方向へ付勢する。
【0018】
バルブピストン7は、インジェクタハウジング2に形成された孔30内に挿入される。また、バルブピストン7は、燃料噴射孔12側の下部31がノズルニードル4の上方部に位置するように配置され、他方の上部32側がバルブボディ8に形成された摺動孔34内に摺動可能に挿入される。
【0019】
バルブボディ8には、バルブピストン7の頂部33が位置する部位に、圧力制御室20が形成されている。つまり、圧力制御室20は、バルブピストン7の頂部33が下方側(燃料噴射孔12側)から上方側に向けて臨むように形成される。また、圧力制御室20は、バルブボディ8に形成された導入側オリフィス通路24に連通している。この導入側オリフィス通路24は、バルブボディ8とインジェクタハウジング2との間にバルブボディ8の周方向で環状に形成された圧力導入室23を介して第2燃料通路22に連通されている。つまり、インレット部10に導入された高圧燃料が、第2燃料通路22、圧力導入室23、導入側オリフィス通路24を順に流れて圧力制御室20に供給される。
【0020】
圧力制御室20内の圧力はバルブピストン7を介してノズルニードル4を下向きに押し、燃料溜まり室17内の圧力はノズルニードル4を上向きに押すように構成されている。
【0021】
圧力制御室20は、高圧燃料を低圧側に排出するための開閉用オリフィス通路25にも連通している。開閉用オリフィス通路25は、電磁アクチュエータ9によって開閉される。電磁アクチュエータ9は、通電・非通電を切り換えることにより、開閉用オリフィス通路25を開閉する電磁式のアクチュエータである。本実施例の電磁アクチュエータ9は、通電されると開閉用オリフィス通路25を開放し、非通電にされると開閉用オリフィス通路25を閉止する。
【0022】
開閉用オリフィス通路25が閉止されている時、圧力制御室20内の圧力は、インレット部10に導入された高圧燃料の圧力となる。一方、開閉用オリフィス通路25が開口されると、圧力制御室20内の高圧燃料が開閉用オリフィス通路25を通って低圧側である電磁アクチュエータ9側に流出し、圧力制御室20内の圧力は開口前に比べ降下する。これは、開閉用オリフィス通路25の流路断面積が導入側オリフィス通路24の流路断面積よりも大きく形成されているので、開閉用オリフィス通路25が開口された際に開閉用オリフィス通路25を通って圧力制御室20から流出する燃料よりも導入側オリフィス通路24を通って圧力制御室20に流入する燃料が少なくなるためである。尚、電磁アクチュエータ9側に流出した燃料は、その後、燃料還流路86を通って燃料タンク(図示せず)に還流する。
【0023】
開閉用オリフィス通路25が閉止されている時、ノズルニードル4に作用する圧力制御室20内の圧力による力とノズルスプリング5の付勢力とを加えた下向きの力が燃料溜まり室17内の圧力等でノズルニードル4に作用する上向きの力よりも大きくなり、ノズルニードル4は下向きに押され、燃料噴射孔12を閉鎖する。このため、燃料噴射装置1から燃料が噴射されない状態となる。
【0024】
一方、開閉用オリフィス通路25が開口された際には、ノズルニードル4に作用する圧力制御室20内の圧力による力とノズルスプリング5の付勢力とを加えた下向きの力が燃料溜まり室17内の圧力等でノズルニードル4に作用する上向きの力よりも小さくなり、ノズルニードル4は上向きに押され、燃料噴射孔12が開口される。このため、燃料噴射装置1から燃料が噴射される状態となる。
【0025】
以上をまとめると、燃料噴射装置1において、電磁アクチュエータ9が通電されると、開閉用オリフィス通路25が開口され、圧力制御室20内の圧力が下がり、燃料噴射孔12を塞いでいたノズルニードル4が上昇し、燃料が燃料噴射孔12から噴射される。一方、電磁アクチュエータ9が非通電にされると、開閉用オリフィス通路25が閉止され、圧力制御室20内の圧力が上がり、ノズルニードル4が下降し燃料噴射孔12を塞ぎ、燃料噴射が停止される。
【0026】
図2は、
図1の燃料噴射装置1が内燃機関のシリンダヘッド100に取り付けられた状態を示す模式図である。燃料噴射装置1についてはノズル側のみが記載されている。また、
図3は
図2のA部の拡大図である。
【0027】
インジェクタハウジング2の下側の端面にはノズルボディ3の上端面3eと高圧シール部を形成する下端面2cが形成されるとともに、インジェクタハウジング2の下側の円筒状側面には、リテーニングナット6を締め付け固定するための雄ネジ部2bが形成されている。
【0028】
リテーニングナット6は円筒形状に形成されており、インジェクタハウジング2の雄ネジ部2bと螺合する雌ネジ部6bが設けられた円筒部6cと、この円筒部6cよりも燃料噴射孔12側に配置される保持部6dとを有している。また、尚、本実施形態に係る燃料噴射装置1においてリテーニングナット6は第1ナット部材である。
【0029】
ノズルボディ3の上端側にはインジェクタハウジング2の下端面2cと高圧シール部を形成する上端面3eと、上端面3eより燃料噴射孔12側に上端面3eと平行な環状面である肩面3aが形成されている。環状面である肩面3aの内側の円部から燃料噴射孔12側に向けて延在する円筒部の途中には円筒部から径方向外側に延在するストッパ3cおよび雄ネジ部3dが肩面3a側から順に形成されている。肩面3aと円筒部は隅部3bで垂直に交差している。
【0030】
リテーニングナット6の保持部6dは、ノズルボディ3の肩面3aに対して対向配置される円環状の受面6aを有している。リテーニングナット6の雌ネジ部6bをインジェクタハウジング2の雄ネジ部2bに締め付けることにより、ノズルボディ3がインジェクタハウジング2の先端部に締め付け固定される。この際、肩面3aは受面6aにより押圧され、隅部3bには軸方向の引張応力σ
aが生じる(
図3参照)。
【0031】
ノズルナット11は、燃料噴射孔12側の端面11bと、その逆側の端面11aと、端面11bと端面11aとに挟まれた内周側に設けられ、ノズルボディ3の雄ネジ部3dと螺合する雌ネジ部11cとを有している。ノズルナット11を雄ネジ部3dに締め付けると端面11aがストッパ3cに当接し、ノズルナット11は、ノズルボディ3に締め付け固定される。このように、本実施形態に係る燃料噴射装置1においては、リテーニングナット6と前記燃料噴射孔12との間にノズルナット11が設けられている。尚、本実施形態に係る燃料噴射装置1においてノズルナット11は第2ナット部材である。
【0032】
シリンダヘッド100には、燃料噴射装置1が挿入される取付孔104が燃焼室102とシリンダヘッド上部101とを貫通するように形成されている。取付孔104は、燃焼室102側にから、小径部104b、小径部104bよりも径が大きい大径部104aの順に有しており、大径部104aと小径部104bの間には円環状の段差部104cを有している。この段差部104cの環状端面には、環状のガスケット106を介してノズルナット11の燃料噴射孔12側の端面11bが配置される。燃料噴射装置1をシリンダヘッド100側に押すクランプ(図示せず)により、燃料噴射装置1はシリンダヘッド100に押圧固定される。この際、クランプの押圧力により隅部3bには軸方向の圧縮応力σ
bが生じる(
図3参照)。
【0033】
このように、リテーニングナット6の締結により隅部3bには軸方向の引張応力σaが生じる一方、クランプの押圧力によっては隅部3bに軸方向の圧縮応力σbが生じる。結局、隅部3bにはこれら引張応力σaと圧縮応力σbとの差分のみが生じることになる。このように、本実施形態の燃料噴射装置1は従来品に比べ隅部3bに生じる応力を小さく抑えることができる。したがって、本実施形態の燃料噴射装置1によれば、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、ノズルボディ3の隅部3bにおけるコロージョンの発生及び侵食リスクを低下させることができる。
【0034】
加えて、ガスケット106を通り抜けた燃焼ガスが隅部3bに到達するためにはノズルナット11の雌ネジ部11cとノズルボディ3の雄ネジ部3dの螺合部を通過しなければならない。したがって、本実施形態の燃料噴射装置1は従来品に比べ隅部3bに到達する燃焼ガスを少なく抑えることができる。したがって、本実施形態の燃料噴射装置1によれば、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、ノズルボディ3の隅部3bにおけるコロージョンの発生及び侵食リスクを低下させることができる。
【0035】
<変形例>
図4は、変形例に係る燃料噴射装置1´が内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられた状態を示す模式図である。燃料噴射装置1´についてはノズル側のみが記載されている。また、
図5は
図4のB部の拡大図である。
【0036】
燃料噴射装置1´は、燃料噴射装置1に対してノズルボディ3´およびノズルナット11´が異なる。
【0037】
ノズルボディ3´の上端側にはインジェクタハウジング2の下端面2cと高圧シール部を形成する上端面3´eと、上端面3´eより燃料噴射孔12側に上端面3´eと平行な環状面である肩面3´aが形成されている。肩面3´aの内側の円部から燃料噴射孔12側に向けて延在する円筒部の途中には雄ネジ部3´dが形成されている。肩面3´aと円筒部は隅部3´bで垂直に交差している。このように、ノズルボディ3´はストッパを有していない。
【0038】
ノズルナット11´は、燃料噴射孔12側の端面11´bと、その逆側の端面11´aと、端面11´bと端面11´aとに挟まれた内周側に設けられ、ノズルボディ3´の雄ネジ部3´dと螺合する雌ネジ部11´cとを有している。ノズルナット11´を雄ネジ部3´dに締め付けると端面11´aがリテーニングナット6の下側の端面である下端面6eに当接し、ノズルナット11´は、ノズルボディ3に締め付け固定される。このように、変形例に係る燃料噴射装置1´においては、リテーニングナット6と前記燃料噴射孔12との間にノズルナット11´が設けられている。尚、変形例に係る燃料噴射装置1´においてリテーニングナット6は第1ナット部材であり、ノズルナット11´が第2ナット部材である。
【0039】
変形例に係る燃料噴射装置1´においては、ノズルボディ3´にストッパを設ける必要が無いので、
図2に示す実施形態に比べコストを安く抑えることができる。
【0040】
図2に示す実施形態と同様にガスケット106を通り抜けた燃焼ガスが隅部3´bに到達するためにはノズルナット11´の雌ネジ部11´cとノズルボディ3´の雄ネジ部3´dの螺合部を通過しなければならない。したがって、変形例に係る燃料噴射装置1´は従来品に比べ隅部3´bに到達する燃焼ガスを少なく抑えることができる。したがって、本実施形態の燃料噴射装置1´によれば、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、ノズルボディ3´の隅部3´bにおけるコロージョンの発生及び侵食リスクを低下させることができる。
【0041】
以上のように、本実施形態の燃料噴射装置1および変形例に係る燃料噴射装置1´によれば、燃焼ガス中に硫黄化合物が多く含まれる場合にも、コロージョン等の発生および侵食リスクを低下させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 1´ 燃料噴射装置、2 インジェクタハウジング、2b 雄ネジ部、2c 下端面、3 3´ ノズルボディ、3a 3´a 片面、3b 3´b 隅部、3c ストッパ、3d 3´d 雄ネジ部、3e 3´e 上端面、4 ノズルニードル、5 ノズルスプリング、6 リテーニングナット(第1ナット部材)、6a 受面、6b 雌ネジ部、6c 円筒部、6d 保持部、7 バルブピストン、8 バルブボディ、9 電磁アクチュエータ、10 インレット部、11 11´ノズルナット(第2ナット部材)、11a 11´a 端面、11b 11´b 端面、11c 11´c 雌ネジ部、12 燃料噴射孔、13 シート部、15 16 第1燃料通路、17 燃料溜まり室、18 スプリング室、20、圧力制御室、22 第2燃料通路、23 圧力導入室、24 導入側オリフィス通路、25 開閉用オリフィス通路、86 燃料還流路、100 シリンダヘッド、101 シリンダヘッド上部、102 燃焼室、104 取付孔、104a 大径部、104b 小径部、104c 段差部、106 ガスケット、201 燃料噴射装置、202 インジェクタハウジング、203 ノズルボディ、203a 肩面、203b 隅部、204 ノズルニードル、206 リテーニングナット、206a 受面、212 燃料噴射孔、215 216 第1燃料通路、300 シリンダヘッド、302 燃焼室、304 取付孔、304a 大径部、304b 小径部、304c 段差部、306 ガスケット、