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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083635
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】ブレース下部取付具
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
E04B9/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197433
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】593078958
【氏名又は名称】株式会社染野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 記彦
(57)【要約】
【課題】ブレース材の設置位置によらず、ブレース材との接続が可能なブレース下部取付具を実現する。
【解決手段】ブレース下部取付具100は、並設されている3本の天井材支持部材50の上に、天井材支持部材50と交差させる向きで設置することができ、天井材支持部材50の上に設置したブレース下部取付具100を、天井材支持部材50の延在方向にスライド移動させて、ブレース材1の設置位置に応じて天井材支持部材50の取り付け位置を調整することができる。特に、このブレース下部取付具100の一対の保持板部10には、その長手方向のほぼ全域に亘ってビス止め用の複数の小孔13が設けられているので、一対の保持板部10の間に挟まれたブレース材1を固定するのに適正な小孔13を選択してビス止めすることが可能になっており、ブレース材1の設置位置によらずブレース材1をブレース下部取付具100に接続することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上部構造に上端部が接続されているブレース材の下端部を、前記上部構造に吊り部材を介して吊り下げられている天井材支持部材に接続するためのブレース下部取付具であって、
前記天井材支持部材は、フランジ部と、そのフランジ部の上面に立設されたウェブ部とを有して断面視略逆T字形状を呈しており、前記ウェブ部の上端にはその厚さ方向に幅広に形成された被保持部が設けられており、
当該ブレース下部取付具は、
所定間隔をあけて略平行に配置されている一対の保持板部と、
前記一対の保持板部が立設されている底板部と、を備え、
前記一対の保持板部には、その保持板部の長手方向のほぼ中央に少なくとも前記天井材支持部材の前記被保持部と前記ウェブ部を挿通させるための切欠が設けられているとともに、その保持板部の長手方向のほぼ全域に亘って当該ブレース下部取付具を前記ブレース材の下端部にビス止めするための小孔が複数設けられており、
前記切欠に前記被保持部と前記ウェブ部を挿通させた状態で、前記天井材支持部材の延在方向と交差する向きにその天井材支持部材上に設置され、前記一対の保持板部の間に前記ブレース材の下端部が固定されるように構成されていることを特徴とするブレース下部取付具。
【請求項2】
前記ブレース材は、断面視左右対称の矩形状を呈する管状の長尺部材であり、
前記一対の保持板部の間隔は、前記ブレース材の太さ方向の幅の寸法にあわせて設計されていることを特徴とする請求項1に記載のブレース下部取付具。
【請求項3】
当該ブレース下部取付具は、少なくとも3本の前記天井材支持部材が互いに略平行に並設されている箇所に設置されるように構成されており、
前記3本の天井材支持部材のうち、中央側の前記天井材支持部材の前記被保持部と前記ウェブ部が前記切欠に挿通された状態で、前記一対の保持板部はその両端が両側の前記天井材支持部材に届く長さを有しており、
前記一対の保持板部の両端には、前記3本の天井材支持部材のうち、両側の前記天井材支持部材の前記被保持部に掛けられる掛止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレース下部取付具。
【請求項4】
前記切欠に前記被保持部と前記ウェブ部を挿通させた状態で前記天井材支持部材上に設置されている当該ブレース下部取付具の前記底板部は、前記天井材支持部材の前記フランジ部と略面一となる配置に隣接して配されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のブレース下部取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り天井を補強するブレース材の下端部を天井材支持部材に接続するのに用いるブレース下部取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システム天井構造において、Tバーと称される天井材支持部材を格子状に組み上げて枠組を形成し、建物の上部構造に垂設された吊りボルトの下端に取り付けられている吊り天井用の吊り金具にTバーを連結して枠組を吊り下げた状態とし、その枠組に天井板などを設置してなる吊り天井が知られている。
吊り天井はその構造上、地震時に作用する水平力によって横揺れし易く、その横揺れによって天井板に破損が生じたり、脱落したりするおそれがあった。
【0003】
そのため、建物の上部構造に上端部を接続し、下端部をTバーに接続するようにして、補強用のブレース材を吊り天井に斜設することによって、地震時の横揺れを抑えるようにしている。
そのブレース材の下端部をTバーに接続するのに用いるブレース下部取付具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1のブレース下部取付具には、2本のブレース材をビス止めして接続するため、ブレース材2本分のビス孔が設けられている。なお、ブレース材2本分のビス孔は、ブレース下部取付具の長手方向の中央寄りの箇所に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6432784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のブレース下部取付具の場合、2本のブレース材を接続する箇所が予め定められているので、建物の上部構造に上端部が接続されたブレース材の設置位置に誤差があった際や、ブレース材の設置位置を変更する際には、そのブレース下部取付具にブレース材を接続するのが困難になることがあった。
【0006】
本発明の目的は、ブレース材の設置位置によらず、ブレース材との接続が可能なブレース下部取付具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、
建物の上部構造に上端部が接続されているブレース材の下端部を、前記上部構造に吊り部材を介して吊り下げられている天井材支持部材に接続するためのブレース下部取付具であって、
前記天井材支持部材は、フランジ部と、そのフランジ部の上面に立設されたウェブ部とを有して断面視略逆T字形状を呈しており、前記ウェブ部の上端にはその厚さ方向に幅広に形成された被保持部が設けられており、
当該ブレース下部取付具は、
所定間隔をあけて略平行に配置されている一対の保持板部と、
前記一対の保持板部が立設されている底板部と、を備え、
前記一対の保持板部には、その保持板部の長手方向のほぼ中央に少なくとも前記天井材支持部材の前記被保持部と前記ウェブ部を挿通させるための切欠が設けられているとともに、その保持板部の長手方向のほぼ全域に亘って当該ブレース下部取付具を前記ブレース材の下端部にビス止めするための小孔が複数設けられており、
当該ブレース下部取付具は、前記切欠に前記被保持部と前記ウェブ部を挿通させた状態で、前記天井材支持部材の延在方向と交差する向きにその天井材支持部材上に設置され、前記一対の保持板部の間に前記ブレース材の下端部が固定されるように構成されているようにした。
【0008】
かかる構成のブレース下部取付具は、一対の保持板部に設けられている切欠に天井材支持部材の被保持部とウェブ部を挿通させた状態で、天井材支持部材の延在方向と交差する向きにその天井材支持部材上に設置されるようになっており、天井材支持部材上に設置されたブレース下部取付具の一対の保持板部の間にブレース材の下端部が固定されるようになっている。
特に、このブレース下部取付具の一対の保持板部には、その長手方向のほぼ全域に亘ってビス止め用の複数の小孔が設けられており、一対の保持板部の間に挟まれたブレース材を固定するのに適正な小孔を選択してビス止めすることが可能になっているので、天井材支持部材の延在方向に沿ってブレース下部取付具の配置を調整して、一対の保持板部の間にブレース材の下端部を挟み込むようにすれば、ブレース材の設置位置によらずブレース材をブレース下部取付具にビス止めして接続することができる。
【0009】
また、望ましくは、
前記ブレース材は、断面視左右対称の矩形状を呈する管状の長尺部材であり、
前記一対の保持板部の間隔は、前記ブレース材の太さ方向の幅の寸法にあわせて設計されているようにする。
【0010】
こうすることで、一対の保持板部の間にブレース材を好適に挟み込むことができ、一対の保持板部の間に挟み込んだブレース材を両側からビス止めすることが可能になる。
ブレース材を両側からビス止めすることができれば、上記した特許文献1のブレース下部取付具のようにブレース材を片側からビス止めしたものに比べてその接合強度の向上を図ることができ、吊り天井構造の耐力を向上させることができる。
【0011】
また、望ましくは、
当該ブレース下部取付具は、少なくとも3本の前記天井材支持部材が互いに略平行に並設されている箇所に設置されるように構成されており、
前記3本の天井材支持部材のうち、中央側の前記天井材支持部材の前記被保持部と前記ウェブ部が前記切欠に挿通された状態で、前記一対の保持板部はその両端が両側の前記天井材支持部材に届く長さを有しており、
前記一対の保持板部の両端には、前記3本の天井材支持部材のうち、両側の前記天井材支持部材の前記被保持部に掛けられる掛止部が設けられているようにする。
【0012】
このようなブレース下部取付具であれば、並設されている3本の天井材支持部材のうち、中央側の天井材支持部材の被保持部とウェブ部を一対の保持板部の切欠に挿通させるとともに、並設されている3本の天井材支持部材のうち、両側の天井材支持部材の被保持部に一対の保持板部の両端の掛止部を掛けるようにして、天井材支持部材の上にブレース下部取付具を設置することができる。
つまり、ブレース下部取付具の長手方向の中央側の切欠と、ブレース下部取付具の長手方向の両端側の掛止部を、並設されている3本の天井材支持部材に接触させて、その3本の天井材支持部材上にブレース下部取付具を掛け渡すように設置することができるので、ブレース下部取付具を安定した姿勢で天井材支持部材上に設置することができる。
【0013】
また、望ましくは、
前記切欠に前記被保持部と前記ウェブ部を挿通させた状態で前記天井材支持部材上に設置されている当該ブレース下部取付具の前記底板部は、前記天井材支持部材の前記フランジ部と略面一となる配置に隣接して配されるように構成されているようにする。
【0014】
天井材支持部材上に設置されたブレース下部取付具の底板部が、天井材支持部材のフランジ部と略面一となる配置に隣接して配されていれば、平板状の天井板を底板部とフランジ部とにそれぞれビス止めし易いので、天井板の取り付けを好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブレース材の設置位置によらず、ブレース材との接続が可能なブレース下部取付具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のブレース下部取付具を示した図であり、正面図(a)、上面図(b)、側面図(c)である。
図2】本実施形態のブレース下部取付具を天井材支持部材に設置した状態を示す正面図(a)と上面図(b)である。
図3】本実施形態のブレース下部取付具を天井材支持部材に設置した状態を示す斜視図である。
図4】天井材支持部材に設置されているブレース下部取付具にブレース材の下端部を固定した態様を示す斜視図である。
図5】ブレース材の設置位置に応じてブレース材をブレース下部取付具に固定する位置が調整可能であることを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係るブレース下部取付具の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
図1などに示すブレース下部取付具100は、建物の上部構造に上端部が接続されているブレース材1(図4参照)の下端部を、上部構造に吊りボルトや吊り金具(ハンガー)を介して吊り下げられている天井材支持部材50に接続するのに用いる金具である。
【0019】
吊りボルトは上端が上部構造に固定されて垂設されており、その吊りボルトの下端に天井材支持部材50を保持する吊り金具が取り付けられており、吊りボルトと吊り金具を介して天井材支持部材50が上部構造から吊り下げられた状態で保持されている。
このような天井構造は周知であるので、ここでは詳述せず、以下の説明においては吊りボルトや吊り金具の図示は省略する。
【0020】
まず、ブレース下部取付具100が設置される天井材支持部材50について説明する。
天井材支持部材50は、Tバーなどと称される長尺な部材であり、例えば、図2図5に示すように、フランジ部51と、そのフランジ部51の上面に立設されたウェブ部52とを有して断面視略逆T字形状を呈しており、ウェブ部52の上端にはその厚さ方向に幅広に形成された被保持部53が設けられている。
このような天井材支持部材50が格子状に組み上げられてなる枠組が上部構造から吊り下げた状態で保持されており、その天井材支持部材50(枠組)の上にブレース下部取付具100が設置される。
なお、天井材支持部材50のウェブ部52の上端に設けられている被保持部53は、吊り金具が挟持するように保持する箇所であり、この被保持部53が設けられていることで天井材支持部材50を吊り下げて保持し易くなっている。
【0021】
本実施形態のブレース下部取付具100は、少なくとも3本の長尺な天井材支持部材50が互いに略平行に並設されている箇所に設置されるように構成されている。
また、ブレース下部取付具100は、天井材支持部材50の延在方向(長手方向)と交差する向きにその天井材支持部材50上に設置されるようになっている。本実施形態では、ブレース下部取付具100は天井材支持部材50の(延在方向(長手方向)と直交する向きに設置される。
【0022】
本実施形態のブレース下部取付具100は、例えば、図1図4に示すように、所定間隔をあけて略平行に配置されている一対の保持板部10と、一対の保持板部10が立設されている底板部20と、を備えている。
一対の保持板部10の下縁には略直角に折曲されてなる固定下端部10aが設けられており、その固定下端部10aが底板部20の上面に面接触するように固設されている。
【0023】
底板部20には、一対の保持板部10が起立した姿勢で固設されている。
底板部20は、底板部20の上面に立設された一対の保持板部10が所定間隔をあけて略平行に配置された状態を維持している部材である。
底板部20は、保持板部10の後述する切欠11を挟む配置に対を成して配設されている。
底板部20は、例えば、所定形状の金属プレートの縁に曲げ加工を施して形成した部材であり、底板部20の外縁は起立した態様に形成されている。
底板部20の外縁が起立した態様に形成されていることで、底板部20の強度向上が図られている。
なお、一対の保持板部10は、対を成す底板部20に掛け渡すように配設されており、一対の保持板部10が掛け渡されている箇所の底板部20の外縁は切り欠かれている。一対の保持板部10が掛け渡されている箇所に対応する底板部20の外縁が切り欠かれていることで、保持板部10の掛け渡しを妨げないようになっている。
【0024】
一対の保持板部10には、その保持板部10の長手方向のほぼ中央に少なくとも天井材支持部材50の被保持部53とウェブ部52を挿通させるための切欠11が設けられている。切欠11は、一対の保持板部10の下縁側に設けられている。
本実施形態の切欠11は、略逆T字形状を呈しており、天井材支持部材50のフランジ部51まで挿通可能になっている。なお、切欠11の形状や大きさは任意であり、天井材支持部材50(Tバー)の形状等に応じて形成すればよい。
この切欠11に、並設されている3本の天井材支持部材50のうち、中央側の天井材支持部材50の被保持部53とウェブ部52が挿通されるようになっており、中央側の天井材支持部材50の被保持部53とウェブ部52が切欠11に挿通されて、その天井材支持部材50の延在方向と交差する向きに設置された状態で、一対の保持板部10はその両端が両側の天井材支持部材50に届く長さを有している。
【0025】
そして、一対の保持板部10の両端には、並設されている3本の天井材支持部材50のうち、両側の天井材支持部材50の被保持部53に掛けられる掛止部12が設けられている。
具体的には、一対の保持板部10の両端には、両側の天井材支持部材50との干渉を回避するための側部切欠12aが設けられており、その側部切欠12aとともに掛止部12が設けられている。
掛止部12は、下方に突出した突片を有しているフック状に形成されている。
この掛止部12は、天井材支持部材50の被保持部53の一方の側面と上端面に接触するように、被保持部53に引っ掛けられるようになっている。
【0026】
また、一対の保持板部10にはその保持板部10の長手方向のほぼ全域に亘って、ブレース下部取付具100をブレース材1の下端部にビス止めするための小孔13が複数設けられている。
具体的には、保持板部10の長手方向に列を成すとともに、保持板部10の高さ方向にも列を成すように、複数の小孔13が設けられている。複数の小孔13は、縦横30mm程度の間隔をあけて設けられている。
なお、保持板部10に設けられている複数の小孔13を斜めの列と見なした場合、保持板部10の長手方向と略45°の角度をなす列になっている。
【0027】
一対の保持板部10は、ブレース材1の側面に当接する部分であり、この保持板部10にブレース材1が固定される。
具体的には、対向する保持板部10の間にブレース材1の下端部が挟まれるようになっており、一対の保持板部10の間に挟まれているブレース材1の下端部がビス止めされて、ブレース材1がブレース下部取付具100に固定されるようになっている。
つまり、一対の保持板部10の間隔は、ブレース材1の太さ方向の幅の寸法にあわせて設計されている。
【0028】
ここで、本実施形態のブレース下部取付具100(一対の保持板部10)に固定されるブレース材1について説明する。
ブレース材1は、吊り天井を補強するために、建物の上部構造と吊り天井(天井材支持部材50)の間に斜設される鋼材である。
本実施形態で用いるブレース材1は、図4に示すように、断面視左右対称の矩形状を呈する管状の長尺部材である。例えば、このブレース材1は、その断面が長方形状や正方形状を呈する管状の長尺部材である。
そして、このブレース材1は、対向して対をなす2組の面のうち、一方の組の面に保持板部10が当接した状態で、ブレース下部取付具100に固定される。
つまり、ブレース材1の2組の面のうち、他方の組の面の太さ方向の幅の寸法にあわせて、ブレース下部取付具100における一対の保持板部10の間隔が設計されている。
なお、本実施形態では、断面視正方形状を呈するブレース材1であって、幅50mmのブレース材1を使用している。
【0029】
次に、本実施形態のブレース下部取付具100によってブレース材1を天井材支持部材50に接続する手順について説明する。
【0030】
まず、図3に示すように、並設されている3本の天井材支持部材50のうち、中央側の天井材支持部材50の被保持部53とウェブ部52を切欠11に挿通させるとともに、並設されている3本の天井材支持部材50のうち、両側の天井材支持部材50の被保持部53に掛止部12を掛けるように、ブレース下部取付具100を設置する。
このとき、並設されている3本の天井材支持部材50の延在方向と交差(直交)する向きにブレース下部取付具100を設置しており、その3本の天井材支持部材50の上にブレース下部取付具100を設置している。
このように天井材支持部材50上に設置されたブレース下部取付具100の底板部20は、天井材支持部材50のフランジ部51と略面一となる配置に隣接して配されるようになっている。
【0031】
こうして3本の天井材支持部材50の上に設置したブレース下部取付具100を、天井材支持部材50の延在方向にスライド移動させて、天井材支持部材50の取り付け位置を調整する。ここでは図3中、前後方向にスライド移動させて、天井材支持部材50の位置調整を行う。
具体的には、建物の上部構造に上端部が接続されているブレース材1の設置位置に応じてブレース下部取付具100の配置を調整する位置合わせを行う。
本実施形態では、天井材支持部材50のウェブ52の上端に幅広に形成されている被保持部53の上端面に、一対の保持板部10の下縁が接触した態様でブレース下部取付具100が載置されるようになっているので、天井材支持部材50の上に設置されたブレース下部取付具100の姿勢を安定させることができ、ブレース下部取付具100のスライド移動もスムーズに行うことができる。
また、ブレース下部取付具100の両端の掛止部12が、両側の天井材支持部材50の被保持部53に掛けられているので、この掛止部12がガイドとなってブレース下部取付具100のスライド移動を安定させることができる。
なお、ブレース下部取付具100をスライド移動させてその配置を調整する際に、ブレース材1の下端部がその作業の妨げになる場合には、ブレース材1を上部構造側に待避させておくなどすればよい。
【0032】
次いで、天井材支持部材50上で位置合わせされたブレース下部取付具100の一対の保持板部10の間にブレース材1の下端部をセットする。なお、ブレース下部取付具100の位置合わせを終えた状態で、一対の保持板部10の間にブレース材1の下端部が挟まれていてもよい。
そして、図4に示すように、保持板部10からブレース材1に向けてビス3を打ち込んで、保持板部10とブレース材1とをビス止めする。
ここでは、1本のブレース材1に対して、片側3箇所にビス3を打ち込んでおり、ブレース材1一本あたり6箇所でビス止めしている。
【0033】
特に、ブレース下部取付具100の一対の保持板部10には、その長手方向のほぼ全域に亘ってビス止め用の複数の小孔13が設けられているので、一対の保持板部10の間に挟まれているブレース材1を固定するのに適正な小孔13を選択してビス止めすることが可能であり、ブレース材1の設置位置によらずブレース材1をブレース下部取付具100に好適に固定することができる。
例えば、図5に示すように、ブレース材1の設置位置に誤差があった場合や、ブレース材1の設置位置が変更される場合でも、ブレース材1の設置位置に応じて好適にブレース材1をブレース下部取付具100に固定することができる。
【0034】
こうして天井材支持部材50上に取り付けられているブレース下部取付具100に、ブレース材1をビス止めして固定する作業が完了し、建物の上部構造に上端部が接続されているブレース材1の下端部を天井材支持部材50に接続した状態となる。
【0035】
そしてこの後、天井板をブレース下部取付具100の底板部20と天井材支持部材50のフランジ部51に対してそれぞれビス止めして、吊り天井の天井板を取り付ける。
【0036】
このように、本実施形態のブレース下部取付具100であれば、並設されている3本の天井材支持部材50の上に、その天井材支持部材50と交差させる向きで載置するようにして容易に設置することができる。
また、3本の天井材支持部材50の上に設置したブレース下部取付具100を、天井材支持部材50の延在方向にスライド移動させるようにして、ブレース材1の設置位置に応じて天井材支持部材50の取り付け位置を容易に調整することができる。
そして、本実施形態のブレース下部取付具100の一対の保持板部10には、その長手方向のほぼ全域に亘ってビス止め用の複数の小孔13が設けられており、一対の保持板部10の間に挟まれたブレース材1を固定するのに適正な小孔13を選択してビス止めすることが可能であるので、ブレース材1の設置位置によらずブレース材1をブレース下部取付具100に接続して固定することができ、ブレース下部取付具100を介してブレース材1を天井材支持部材50に接続することができる。
【0037】
また、天井材支持部材50上に設置されたブレース下部取付具100の底板部20は、天井材支持部材50のフランジ部51と略面一となる配置に隣接して配されるようになっているので、平板状の天井板を底板部20とフランジ部51とにそれぞれビス止めし易くなっており、天井板の取り付けを好適に行うことができる。
【0038】
また、このブレース下部取付具100は、一対の保持板部10の間に挟み込んだブレース材1を両側からビス止めすることができるので、上記した従来技術(特許文献1)のブレース下部取付具のように、断面視略C字状を呈するブレース材を片側からビス止めしたものに比べてその接合強度の向上が図られており、吊り天井構造の耐力を向上させることができる。
具体的には、天井ユニット試験の結果、終局耐力で25kN以上、剛性で2000kN/m以上の性能を有することが分かった。これは石膏ボード2枚張り程度の一般的な天井材で、天井の固有周期が0.1秒以下となるほか、終局耐力上は4.5~6.0Gに相当する。
なお、ブレース材1を両側からビス止めすることを可能にするため、本発明者は断面視左右対称の矩形状を呈する管状のブレース材1を用いることとした。
【0039】
以上のように、本実施形態のブレース下部取付具100であれば、ブレース材1の設置位置によらず、ブレース材1との接続が可能であり、そのブレース材1を天井材支持部材50に接続することができる。
【0040】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ブレース材
3 ビス
10 保持板部(一対の保持板部)
10a 固定下端部
11 切欠
12 掛止部
12a 側部切欠
13 小孔
20 底板部
50 天井材支持部材
51 フランジ部
52 ウェブ部
53 被保持部
100 ブレース下部取付具
図1
図2
図3
図4
図5