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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023083677
(43)【公開日】2023-06-16
(54)【発明の名称】ウォーキングビーム式加熱炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/40 20060101AFI20230609BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20230609BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20230609BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20230609BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
F27B9/40
F27B9/24 W
F27D21/00 A
F27D7/06 B
C21D1/00 114D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197502
(22)【出願日】2021-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】岩本 匡弘
【テーマコード(参考)】
4K034
4K050
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4K034AA16
4K034BA05
4K034BA08
4K034DA03
4K034DB02
4K034DB04
4K034DB05
4K034DB06
4K034EA15
4K034EB19
4K034GA12
4K034GA13
4K034GA18
4K050AA01
4K050BA02
4K050CC07
4K050CG14
4K050EA04
4K050EA10
4K056AA08
4K056BC04
4K056CA02
4K056FA10
4K056FA11
4K056FA27
4K063AA08
4K063AA15
4K063BA02
4K063CA05
4K063DA22
4K063DA31
(57)【要約】
【課題】 炉床に駆動ビームの駆動用支柱を挿通させる駆動用貫通穴を設け、この駆動用貫通穴の周囲からシール部材をトラフの水中に浸漬させ、駆動機構により駆動フレームを介して駆動ビームをウォーキング動作させて被処理物を搬送させる場合に、シール部材に破損が発生しつつあること又は発生したことを簡単かつ速やかに検知できるようにする。
【解決手段】 炉床11に駆動ビーム30の駆動用支柱31を挿通させる駆動用貫通穴11aを設け、この駆動用貫通穴の周囲からシール部材14をトラフ50における水x中に浸漬させ、駆動機構40により駆動フレーム41を介して駆動ビームをウォーキング動作させて被処理物Wを搬送させるウォーキングビーム式加熱炉において、シール部材における電気抵抗値の変化を検知する破損検知用の抵抗値センサー61を設けた。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉内に炉長方向に沿った固定ビームと駆動ビームとを炉幅方向に所要間隔を介して複数列設け、炉床の下に設けた駆動機構により駆動フレームを駆動させて、各列の駆動ビームをウォーキング動作させ、加熱炉内に装入された被処理物を順々に搬送させて加熱処理するウォーキングビーム式加熱炉において、各列の駆動ビームにそれぞれ炉長方向に所要間隔を介して複数の駆動用支柱を下方に向けて延出させ、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱に対応させて前記の炉床に駆動用貫通穴を設けると共に、前記の駆動フレームの上に水を収容させたトラフを炉長方向に沿って設け、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱を、各駆動用貫通穴から水が収容されたトラフを介して前記の駆動フレームの上に支持させると共に、前記各駆動用貫通穴の周囲からシール部材をトラフにおける水中に浸漬させるように設け、前記のシール部材における電気抵抗値の変化を検知する破損検知用の抵抗値センサーを各シール部材に設けたことを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉。
【請求項2】
請求項1に記載のウォーキングビーム式加熱炉において、前記の抵抗値センサーとして、シール部材における電気抵抗値を検知する少なくとも2つの電極を、前記のトラフにおける水面に沿った水平方向に所要間隔を介するようにしてシール部材に設けたことを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉。
【請求項3】
請求項2に記載のウォーキングビーム式加熱炉において、前記の抵抗値センサーとして、シール部材の電気抵抗値を検知するための少なくとも2つの電極を、前記の駆動フレームのウォーキング動作により、前記のトラフが上昇した場合における水面の位置よりも下に位置する一方、前記のトラフが下降した場合における水面の位置よりも上に位置するようにして前記のシール部材に設けたことを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉。
【請求項4】
請求項2に記載のウォーキングビーム式加熱炉において、前記の抵抗値センサーとして、シール部材の電気抵抗値を検知するための少なくとも2つの電極を、前記のシール部材のトラフにおける水面に沿った水平方向に所要間隔を介するようにして、上下方向に複数列設けたことを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載のウォーキングビーム式加熱炉において、前記の破損検知用の抵抗値センサーの近傍に、シール部材の温度を検知する温度センサーを設け、温度センサーにおいて決められた温度における電気抵抗値を前記の抵抗値センサーによって測定することを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉。
【請求項6】
請求項2に記載のウォーキングビーム式加熱炉において、前記の抵抗値センサーとして、水平方向に設けた少なくとも2つの電極と同じ水平線上に、シール部材の温度を検知する温度センサーを設けたことを特徴とするウォーキングビーム式加熱炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉内に炉長方向に沿った固定ビームと駆動ビームとを炉幅方向に所要間隔を介して複数列設け、炉床の下に設けた駆動機構により駆動フレームを駆動させて、各列の駆動ビームをウォーキング動作させ、加熱炉内に装入された被処理物を順々に搬送させて加熱処理するウォーキングビーム式加熱炉に関するものである。特に、各列の駆動ビームにそれぞれ炉長方向に所要間隔を介して複数の駆動用支柱を下方に向けて延出させ、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱に対応させて前記の炉床に駆動用貫通穴を設けると共に、前記の駆動フレームの上に水を収容させたトラフを炉長方向に沿って設け、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱を、各駆動用貫通穴から水が収容されたトラフを介して前記の駆動フレームの上に支持させると共に、前記各駆動用貫通穴の周囲からシール部材をトラフにおける水中に浸漬させるように設け、駆動機構により前記の駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて被処理物を順々に搬送させて加熱処理するにあたり、各駆動用貫通穴の周囲からトラフの水中に浸漬させた水封機構に設けた各シール部材に、ひび割れや亀裂などの破損が発生したことを速やかに検知できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋼片や鋼板等の被処理物を加熱炉内において順々に移動させて連続的に加熱処理する加熱炉として、ウォーキングビーム式加熱炉が知られている。
【0003】
ここで、このようなウォーキングビーム式加熱炉としては、特許文献1、2に示されるように、加熱炉内に炉長方向に沿った固定ビームと駆動ビームとを炉幅方向に所要間隔を介して複数列設け、炉床の下に設けた駆動機構により駆動フレームを駆動させて、各列の駆動ビームをウォーキング動作させ、加熱炉内に装入された被処理物を順々に搬送させて加熱処理するようにしたものが一般に使用されている。
【0004】
そして、このようなウォーキングビーム式加熱炉においては、各列の駆動ビームを炉床の下に設けた駆動機構によりウォーキング動作させるにあたり、各列の駆動ビームにそれぞれ炉長方向に所要間隔を介して複数の駆動用支柱を下方に向けて延出させ、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱に対応させて前記の炉床に各駆動用貫通穴を設けると共に、前記の駆動フレームの上に水を収容させたトラフを炉長方向に沿って設け、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱を前記の各駆動用貫通穴から前記の水が収容されたトラフを介して前記の駆動フレームの上に支持させると共に、前記の各駆動用貫通穴を通して加熱炉内のガスが外部に漏れ出したり、外気が加熱炉内に侵入したりしないようにするため、前記の各駆動用貫通穴の周囲からシール部材をトラフにおける水中に浸漬させた水封機構に設け、駆動機構によりトラフが設けられた前記の駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて、被処理物を加熱炉内において順々に搬送させて加熱処理するようにしている。
【0005】
ここで、前記のウォーキングビーム式加熱炉において、前記のように駆動ビームを、水を収容させたトラフが設けられた前記の駆動フレームを介して駆動機構によりウォーキング動作させるようにした場合、前記のように駆動用貫通穴の周囲からトラフに収容された水中に浸漬させるように設けたシール部材がトラフに対して相対的に上下動して、トラフの水中に浸漬されるシール部材の深さが変化し、特に、シール部材がトラフにおける水中に浸漬されたり、持ち上げられたりする境界部分に温度の変動による負荷が加わる。
【0006】
そして、前記のウォーキングビーム式加熱炉において、前記のような動作を繰り返して行うと、特に、シール部材が金属製の場合、温度変動による負荷によってシール部材が腐食したり劣化したりして、シール部材にひび割れや亀裂などの破損が発生し、このように破損した部分から加熱炉内における雰囲気ガスが外部に漏れだしたり、外気が加熱炉内に流れ込んだりして、被処理物の加熱処理に悪影響を及ぼすという問題があり、またこのようなシール部材における破損の発生や、その場所を、ウォーキングビーム式加熱炉の稼働時に発見することは非常に困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-119629号公報
【特許文献2】実公昭63-13237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、加熱炉内に炉長方向に沿った固定ビームと駆動ビームとを炉幅方向に所要間隔を介して複数列設け、各列の駆動ビームにそれぞれ炉長方向に所要間隔を介して複数の駆動用支柱を下方に向けて延出させ、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱に対応させて前記の炉床に駆動用貫通穴を設けると共に、前記の駆動フレームの上に水を収容させたトラフを炉長方向に沿って設け、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱を、各駆動用貫通穴から水が収容されたトラフを介して駆動機構により駆動される駆動フレームの上に支持させると共に、各駆動用貫通穴の周囲からシール部材をトラフにおける水中に浸漬させた水封機構を設け、駆動機構により駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて被処理物を順々に搬送させて加熱処理するようにしたウォーキングビーム式加熱炉における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記のようなウォーキングビーム式加熱炉において、前記のように駆動機構により駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて被処理物を順々に搬送させるにあたり、各駆動用貫通穴の周囲からトラフの水中に浸漬させるように設けた各シール部材に、ひび割れや亀裂などの破損が発生しつつあることや、発生したことや、その場所を簡単かつ速やかに検知できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉においては、前記のような課題を解決するため、加熱炉内に炉長方向に沿った固定ビームと駆動ビームとを炉幅方向に所要間隔を介して複数列設け、炉床の下に設けた駆動機構により駆動フレームを駆動させて、各列の駆動ビームをウォーキング動作させ、加熱炉内に装入された被処理物を順々に搬送させて加熱処理するウォーキングビーム式加熱炉において、各列の駆動ビームにそれぞれ炉長方向に所要間隔を介して複数の駆動用支柱を下方に向けて延出させ、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱に対応させて前記の炉床に駆動用貫通穴を設けると共に、前記の駆動フレームの上に水を収容させたトラフを炉長方向に沿って設け、各列の駆動ビームにおける各駆動用支柱を、各駆動用貫通穴から水が収容されたトラフを介して前記の駆動フレームの上に支持させると共に、前記各駆動用貫通穴の周囲からシール部材をトラフにおける水中に浸漬させるように設け、前記のシール部材における電気抵抗値の変化を検知する破損検知用の抵抗値センサーを各シール部材に設けた。
【0011】
ここで、前記のシール部材が金属製や導電性のある材質の場合、ひび割れや亀裂などの破損が生じ始めたときに、断面の面積が少なくなることで、通電したときの電気抵抗値が変化する。
【0012】
そして、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉においては、前記の特性を利用して、前記の駆動機構によりトラフが設けられた前記の駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて、被処理物を加熱炉内において順々に搬送させて加熱処理する場合において、駆動用貫通穴の周囲からトラフに収容された水中に浸漬させるように設けたシール部材がトラフに対して相対的に上下動し、トラフの水中に浸漬されるシール部材の深さが変化して、シール部材に温度の変動による負荷が加わり、シール部材にひび割れや亀裂などの破損が発生してシール部材の電気抵抗値が変化すると、この電気抵抗値の変化をシール部材に設けた前記の抵抗値センサーによって検知し、シール部材に破損が生じたことを検出するようにしている。
【0013】
また、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉においては、前記の抵抗値センサーとして、シール部材における電気抵抗値を検知する少なくとも2つの電極を、前記のトラフにおける水面に沿った水平方向に所要間隔を介するようにしてシール部材に設け、各電極間の電気抵抗値を測定することができる。それにより、簡単な構造で電気抵抗値を測定することができる。なお、前記のように水平方向に所要間隔を介するようにして設ける電極の数は特に限定されず、シール部材の周方向全体に設けるようにすることもできる。
【0014】
また、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉において、抵抗値センサーとして、前記のようにシール部材の電気抵抗値を検知するための少なくとも2つの電極を、トラフにおける水面に沿った水平方向に所要間隔を介するように設けるにあたっては、少なくとも2つの電極を、前記の駆動フレームによるウォーキング動作により、前記のトラフが上昇した場合における水面の位置よりも下に位置する一方、前記のトラフが下降した場合における水面の位置よりも上に位置するようにしてシール部材に設けることが好ましい。これは、駆動フレームによるウォーキング動作によって、シール部材がトラフにおける水中に浸漬されたり、持ち上げられたりする境界近傍において、温度の変動によってシール部材に加わる負荷が大きくなり、シール部材に破損が発生しやすくなり、確認、検知の必要性が高いためである。
【0015】
また、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉において、前記の抵抗値センサーとして、シール部材の電気抵抗値を検知するための少なくとも2つの電極を、前記のシール部材にトラフにおける水面に沿った水平方向に所要間隔を介するようにして、上下方向に複数列設けるようにすることができる。このようにすると、シール部材における前記の境界近傍から離れた位置においても、シール部材における破損の発生を検知できるようになる。
【0016】
また、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉においては、前記の破損検知用の抵抗値センサーの近傍に、シール部材の温度を検知する温度センサーを設けて、温度センサーにおいて決められた温度における電気抵抗値を前記の抵抗値センサーによって測定することができる。ここで、トラフの水面が上昇、下降することによって、シール部材の温度は常に変化し、この温度変化に伴って電気抵抗値も変化するが、このように破損検知用の抵抗値センサーの近傍に、シール部材の温度を検知する温度センサーを設けた場合、抵抗値センサーの近傍における電気抵抗値の同じ温度で測定したデーターを抽出することができ、シール部材における破損が発生したと判断する電気抵抗値のしきい値を正確に決めることができる。
【0017】
例えば、シール部材の温度が40℃~60℃の範囲で変化するとき、50℃のときの電気抵抗値のデーターを抽出して、しきい値と比較することができる。また、シール部材の温度が40℃~60℃の範囲で変化するとき、40°、50°、60°で複数回測定してもよい。
【0018】
また、シール部材の温度は、水面が上昇、下降しても、水平方向にはほぼ同じ温度であると考えられるので、水平方向に並べて設けた電極と同じ水平線上に温度センサーを設けると、どの電極間の電気抵抗値も温度センサーで測定された温度で計算でき、正確に破損の発生を検知できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明におけるウォーキングビーム式加熱炉においては、前記のように駆動機構によりトラフが設けられた前記の駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて、被処理物を加熱炉内において順々に搬送させて加熱処理する場合に、駆動用貫通穴の周囲からトラフに収容された水中に浸漬させるように設けたシール部材がトラフに対して相対的に上下動し、トラフの水中に浸漬されるシール部材の深さが変化して、シール部材に温度の変動による負荷が加わり、シール部材にひび割れや亀裂などの破損が発生し、この破損部分におけるシール部材の電気抵抗値が変化すると、これをシール部材に設けた前記の抵抗値センサーによって検知するようにしている。
【0020】
この結果、本発明におけるウォーキングビーム式加熱炉においては、駆動機構により駆動フレームを介して各駆動ビームをウォーキング動作させて、被処理物を順々に搬送させて加熱処理する場合に、シール部材にひび割れや亀裂などの破損が発生しつつあることや、発生したことや、その場所を、前記の抵抗値センサーによって簡単かつ速やかに検知できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るウォーキングビーム式加熱炉において、固定ビームと駆動ビームとを複数列設けて被処理物を加熱炉内で搬送させる状態を示した概略断面説明図である。
図2】前記の実施形態に使用するウォーキングビーム式加熱炉において、駆動機構により駆動ビームをウォーキング動作させて、被処理物を加熱炉内で搬送させる状態を示し、(A)は、駆動ビームを下降させて、被処理物を固定ビームの上に保持させた状態を示した被処理物の搬送方向と直交する方向から見た概略断面説明図、(B)は、駆動ビームを上昇させて、固定ビームの上に保持された被処理物を駆動ビームの上に保持させた状態を示した被処理物の搬送方向と直交する方向から見た概略断面説明図である。
図3】前記の実施形態に使用するウォーキングビーム式加熱炉において、駆動機構により駆動ビームをウォーキング動作させて、被処理物を加熱炉内で搬送させるにあたり、(A)は、駆動ビームを下降させて、被処理物を固定ビームの上に保持させた状態を示した被処理物の搬送方向から見た概略断面説明図、(B)は駆動ビームを上昇させて、固定ビームの上に保持させた被処理物を駆動ビームの上に保持させて搬送させる状態を示した被処理物の搬送方向から見た概略断面説明図である。
図4】前記の実施形態に使用するウォーキングビーム式加熱炉において、駆動用貫通穴の周囲からトラフにおける水中に浸漬させるように設けたシール部材における電気抵抗値を検知する抵抗値センサーとして、搬送方向に沿ったシール部材の側面に、トラフの水面に沿った水平方向に所要間隔を介して複数の電極を一列に設けると共に、トラフの温度を測定する温度センサーを電極の列の近傍の水平な位置に設けた状態を示し、(A)は駆動ビームを下降させた状態における抵抗値センサーとトラフの水面との位置関係を示した概略側面説明図、(B)は駆動ビームを上昇させた状態における抵抗値センサーとトラフの水面との位置関係を示した概略側面説明図である。
図5】前記の実施形態に使用するウォーキングビーム式加熱炉において、シール部材における電気抵抗値を検知する抵抗値センサーとして、搬送方向に沿ったシール部材の側面に、トラフの水面に沿った水平方向に所要間隔を介して複数の電極を設けた電極の列を、上下方向に所要間隔を介して2列に設けると共に、トラフの温度を測定する温度センサーを2列の電極の間に位置するように設けた状態を示した概略側面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るウォーキングビーム式加熱炉を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るウォーキングビーム式加熱炉は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0023】
この実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉においては、図1等に示すように、加熱炉10における炉床11の上に、被処理物Wを加熱炉10内に装入させる装入口12から加熱処理された被処理物Wを加熱炉10内から取り出す取出し口13に向かう炉長方向に伸びた固定ビーム20と駆動ビーム30とを、それぞれ加熱炉10の炉幅方向に所要間隔を介して交互に複数列設けている。そして、前記の装入口12には、装入口12の開閉を行う装入用扉12aを設け、前記の取出し口13には、取出し口13の開閉を行う取出し用扉13aを設けている。
【0024】
また、この加熱炉10において、各列の固定ビーム20を設けるにあたっては、図2(A),(B)や図3(A),(B)等に示すように、炉床11の上に炉長方向及び炉幅方向にそれぞれ所要間隔を介して複数の固定用支柱21を立設させ、炉長方向に沿って設けられた各列の固定用支柱21の上にそれぞれ炉長方向に伸びた固定ビーム20を設けている。
【0025】
一方、各列の駆動ビーム30を設けるにあたっては、各列の駆動ビーム30からそれぞれ炉長方向に所要間隔を介して複数の駆動用支柱31を下方に向けて延出させると共に、各列の駆動ビーム30における各駆動用支柱31に対応させて前記の炉床11に各駆動用貫通穴11aを設け、各駆動ビーム30における各駆動用支柱31を、前記の各駆動用貫通穴11aを通して炉床11の下に導くようにしている。なお、前記の各駆動用貫通穴11aは、駆動用支柱31を介して駆動ビーム30がウォーキング動作する際に駆動用支柱31が当たらない大きさにしている。
【0026】
そして、前記の炉床11の下においては、駆動機構40により駆動される駆動フレーム41として、炉長方向に伸びたフレーム桟41aを炉幅方向に所要間隔を介して複数設けると共に、炉幅方向に伸びたフレーム梁41bを炉長方向に所要間隔を介して複数設けて矩形状になったものを用い、この駆動フレーム41の上に、前記の各駆動ビーム30の列に対応するようにして、水xを収容させたトラフ50を炉長方向に沿うようにして、炉幅方向に所要間隔を介するようにして複数列設けている。
【0027】
また、前記のように各列の駆動ビーム30から各駆動用貫通穴11aを通して炉床11の下に導かれた各駆動用支柱31を、各列の駆動ビーム30に対応した位置に設けられた各トラフ50を介して前記の駆動フレーム41の上に支持させている。
【0028】
また、前記の各駆動用貫通穴11aの周囲から各シール部材14をトラフ50に収容された水xの中に浸漬させるように設け、各駆動用貫通穴11aを通して加熱炉10内のガスが外部に漏れたり、外気が加熱炉10内に侵入したりするのを防止している。
【0029】
そして、この実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉においては、前記の駆動フレーム41を駆動機構40により駆動させ、各トラフ50を介して駆動フレーム41に支持された各駆動ビーム30を上下方向及び炉長方向に往復移動させてウォーキング動作させ、この駆動ビーム30により、装入口12から加熱炉10内に装入された被処理物Wを取出し口13側に向けて前記の固定ビーム20の上に載置させるようにして順々に送り、被処理物Wを加熱炉10内において加熱処理させるようにしている。
【0030】
ここで、この実施形態におけるウォーキングビーム式加熱炉において、前記のように駆動機構40により駆動フレーム41を駆動させて、各駆動ビーム30を上下方向及び炉長方向に往復移動させてウォーキング動作させるにあたっては、図2(A),(B)及び図3(A),(B)に示すように、前記の駆動フレーム41の下から下方に突出するようにして炉幅方向に所要間隔を介して対になった支持部材42を、それぞれ炉長方向に所要間隔を介するように複数対設けると共に、このように駆動フレーム41の下に突出して設けられた各支持部材42を回転装置43により上下方向に偏心して回転される対になった偏心カム44の上に支持させ、前記の回転装置43により各偏心カム44を偏心回転させて、前記の駆動フレーム41を上下方向に往復移動させるようにすると共に、前記の駆動フレーム41の一端側の端部に、炉長方向に伸縮する往復移動用シリンダ(図示せず)を接続させ、この往復移動用シリンダにより駆動フレーム41を炉長方向に往復移動させるようにしている。
【0031】
そして、この実施形態においては、前記のシール部材14における電気抵抗値の変化を検知する破損検知用の抵抗値センサー61として、複数の電極61を前記のトラフ50における水面xaに沿った水平方向に所要間隔を介するように設けると共に、このように設けた電極61の列と同じ水平位置に電極61の近傍におけるシール部材14の温度を検知する温度センサー62を設けている。なお、電極61に対する配線及び絶縁や防水対策や電源や制御装置等については図示を省略する。
【0032】
また、この実施形態においては、前記のようにシール部材14に複数の電極61と温度センサー62とを、トラフ50における水面xaに沿った水平方向に設けるにあたり、図4(A),(B)に示すように、前記の駆動機構40によりトラフ50が設けられた駆動フレーム41をウォーキング動作させた場合に、前記の複数の電極61と温度センサー62とが、トラフ50が上昇された状態ではトラフ50における水面xaよりも下に位置する一方、トラフ50が下降された状態ではトラフ50における水面xaよりも上に位置するようにしてシール部材14に設けている。
【0033】
ここで、前記のようにトラフ50が設けられた駆動フレーム41をウォーキング動作させた場合に、シール部材14がトラフ50における水xの中に浸漬されたり、持ち上げられたりする境界近傍においては、シール部材14の温度が大きく変動し、温度変化による負荷が大きくなって、シール部材14に破損が発生しやすくなるため、前記のように複数の電極61と温度センサー62とを、トラフ50が上昇された状態ではトラフ50における水面xaよりも下に位置する一方、トラフ50が下降された状態ではトラフ50における水面xaよりも上に位置するように設け、前記の温度センサー62によって測定された同じ温度条件のときに測定した数値を抽出して、複数の電極61によりシール部材14の電気抵抗値の変化を検知して、シール部材14における破損の発生を検出するようにしている。このようにすると、温度変化による負荷が大きい部分におけるシール部材14の破損を正確かつ速やかに検知できるようになる。
【0034】
また、3つ以上の電極61を設け、それぞれの電極61間の電気抵抗値を検出させるようにした場合、破損した箇所を挟んだ位置にある電極61間の電気抵抗値の変化が大きくなるので、それによって目視しにくい破損でも、その場所が水平方向でわかる目安となる。
【0035】
なお、この実施形態においては、前記のようにトラフ50が上昇された状態ではトラフ50における水面xaよりも下に位置する一方、トラフ50が下降された状態ではトラフ50における水面xaよりも上に位置するようにして、複数の電極61を、トラフ50における水面xaに沿った水平方向に1列設けるようにしただけであるが、図5に示すように、トラフ50における水面xaに沿った水平方向に配列させた複数の電極61の列を、上下方向に所要間隔を介して2列設け、この2列の電極61の間に温度センサー62を設けるようにすることができる。
【0036】
このようにすると、シール部材14がトラフ50における水xの中に浸漬されたり、持ち上げられたりする境界近傍から少し離れた位置においても、前記の温度センサー62によって測定された同じ温度条件のときに測定した数値を抽出して、前記の2列の電極61によってシール部材14における電気抵抗値の変化を検知して、シール部材14における破損の発生を正確かつ速やかに検知できるようになる。
【0037】
このようにすれば、それぞれの電極61間の電気抵抗値を検出するようにした場合に、前述のような水平方向だけではなく、上下方向においても破損した場所がわかるようになる。
【0038】
また、電気抵抗値を検出するにあたっては、温度センサー62が水xの中に浸漬されていると、電極61間の電流が水xの中にも流れて、検出する電極61間における電気抵抗値が安定しないおそれがあるため、温度センサー62が水xから持ち上がっている状態で電気抵抗値を検出するほうがよい。
【符号の説明】
【0039】
10 :加熱炉
11 :炉床
11a :駆動用貫通穴
12 :装入口
12a :装入用扉
13 :取出し口
13a :取出し用扉
14 :シール部材
20 :固定ビーム
21 :固定用支柱
30 :駆動ビーム
31 :駆動用支柱
40 :駆動機構
41 :駆動フレーム
41a :フレーム桟
41b :フレーム梁
42 :支持部材
43 :回転装置
44 :偏心カム
50 :トラフ
61 :電極(抵抗値センサー)
62 :温度センサー
W :被処理物
x :水
xa :水面
図1
図2
図3
図4
図5